説明

異物除去機構及び紙葉類取扱装置

【課題】紙葉類取扱装置において、指が装置内部に入ることを確実に抑止するとともに、限られたスペースの中で多量の異物を容易に取り出すことができるようにする。
【解決手段】本発明の異物除去機構100は、上部に開口119が設けられ、上方から開口119を通って落下してきた異物を収容する異物返却口トレイ111と、異物返却口トレイ111の側面に設けられた返却口に設けられ、返却口の上部に設けられた第1の軸112aを中心として回動することによって開閉する異物返却口扉110と、開口119の一端に設けられた第2の軸112aを中心として回動可能に設けられ、異物返却口扉110が異物返却口トレイ111の内側に回動して開かれた際に異物返却口扉110に押されて上方向に回動して開口119を塞ぐ異物返却蓋112と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物除去機構及び紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1には、自動販売機の釣銭等の返却口が開示されている。従来の異物(硬貨)返却口は、特許文献1の第2〜第6図に示されているように、上部に開口部15が設けられた返却口基部14と、返却口扉19、軸20から構成されている。そして、上部から異物としての硬貨Cが落下してくると、開口部15から硬貨Cが返却口基部14内に入り、返却口扉19を開くことで硬貨Cを取ることができるようになっている。なお、以下では、硬貨Cなどの返却物を異物と称する。
【0003】
この異物を取るときに、開口部15から装置内に指が誤って入ると、異物除去者(硬貨Cを取り出す人)が怪我をする恐れがあるとともに、装置の故障につながる可能性がある。このため、特許文献1では、返却口扉19を開けたときに、返却口扉19が開口部15に蓋をすることで、開口部15から装置内へ指が入らないようしている。
【0004】
また、特許文献2には、メダル返却装置に関する技術が記載されている。特許文献2では、図5に示されているように、揺動範囲規制部材9で返却蓋8の揺動範囲を規制することで、除去者の指が装置内に入らないようにしている。同様に、特許文献3に記載されたメダル返却装置においても、図5に示されているように、揺動規制部材9で返却蓋7の揺動範囲を規制することで、除去者の指が装置内に入らないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭58−13406号公報
【特許文献2】特開2007−293790号公報
【特許文献3】特開2008−198144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、限られた小さなスペース内に異物返却口を配置しようとすると、少ない容量の異物しか取り出すことができないという問題が生じる。
【0007】
特許文献1の第2図〜第6図に示される返却口を例に挙げて説明すると、大量の異物が返却口基部14に入ると、返却口扉19を外側から押した際に、返却口扉19が返却口基部14内の異物に当たってしまい、返却口扉19の開く量が少なくなってしまう。このため、少量の異物しか除去できなくなることや、返却口扉19が開かなくなるといった状態が発生する。
【0008】
また、取り出すことのできる異物の容量を大きくしようとすると、返却口基部14の上部の開口部15を大きくする必要がある。その一方、特許文献1の構成では返却口扉19で開口部15に蓋をする構成のため、開口部15に指が入らないようにするためには、開口部15を大きくしたことに伴って返却口扉19も大きくする必要が生じる。このため、装置全体のスペースが増大してしまう問題があった。
【0009】
また、特許文献2に記載された構成を例に挙げて説明すると、大量の異物がメダル収納部5に入ると、既に返却蓋8の揺動範囲は揺動範囲規制部材9で規制されているため、返却蓋8の開く量が少なく、取り出せる異物の量は少ない。このため、何度も返却蓋8の開閉を行って異物を取り出す必要が生じる。また、返却蓋8が揺動範囲規制部材9で規制されている範囲内で最大限に開いたとしても、返却蓋8の開き量は少ないため、異物を除去できなかったり、内部に溜まった異物により返却蓋8が開かない等の問題が生じてしまう。特許文献3に記載された技術においても、同様の問題が発生してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、指が装置内部に入ることを確実に抑止するとともに、限られたスペースの中で多量の異物を容易に取り出すことが可能な、新規かつ改良された異物除去機構及び紙葉類取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、上部に開口が設けられ、上方から前記開口を通って落下してきた異物を収容するトレイと、前記トレイの側面に設けられた返却口に設けられ、前記返却口の上部に設けられた第1の軸を中心として回動することによって開閉する返却口扉と、前記開口の一端に設けられた第2の軸を中心として回動可能に設けられ、前記返却口扉が前記トレイの内側に回動して開かれた際に前記返却口扉に押されて上方向に回動して前記開口を塞ぐ返却口蓋と、を備える異物除去機構が提供される。
【0012】
また、前記返却口蓋は、前記第2の軸から先端までの長さが前記トレイ内の異物と干渉しない長さに設定されたものであってもよい。
【0013】
また、前記返却口蓋には、前記返却口扉に向かって突出する棒が設けられ、前記返却口扉が前記第1の軸を中心として回動すると、前記返却口扉が前記棒を押すことによって、前記返却口蓋が回動するものであってもよい。
【0014】
また、前記返却口扉には、前記返却口蓋に向かって突出する突起部が設けられ、前記返却口扉が前記第1の軸を中心として回動すると、前記突起部が前記棒を押すことによって、前記返却口蓋が回動するものであってもよい。
【0015】
また、前記トレイの底面には、所定方向に延在する突起部が設けられたものであってもよい。
【0016】
また、前記突起部の延在方向と直交する方向に沿った断面形状の上面は、上部に頂点を有する三角形の2辺から構成されるものであってもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、紙葉類が挿入される紙幣投入口と、上部に開口が設けられ、前記紙幣投入口に異物が投入された際に、上方から前記開口を通って落下してきた異物を収容するトレイと、前記トレイの側面に設けられた返却口と、前記返却口を覆う扉であって、前記返却口の上部に設けられた第1の軸を中心として回動することによって開閉する返却口扉と、前記開口の一端に設けられた第2の軸を中心として回動可能に設けられ、前記返却口扉が前記トレイの内側に回動して開かれた際に前記返却口扉に押されて上方向に回動して前記開口を塞ぐ返却口蓋と、を備える紙葉類取扱装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、指が装置内部に入ることを確実に抑止するとともに、限られたスペースの中で多量の異物を容易に取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の各実施形態に係る紙葉類取扱装置における異物除去機構の構成を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態において、図1の一転鎖線I−I’に沿った断面を示す概略断面図である。
【図3】異物が異物返却口トレイ内に入った場合に、異物返却口扉を右側から指で押して、異物返却口扉を開けた状態を示す模式図である。
【図4】大量の異物が異物返却口ダクトから異物返却口トレイに落下してきた場合に、異物返却口扉を開けた状態を示す模式図である。
【図5】第2の実施形態に係る異物除去機構の構成を説明するための断面図である。
【図6】第1の実施形態において、異物返却口トレイ内に大量の異物が落下してきた場合を示す模式図である。
【図7】第3の実施形態の構成を示す模式図である。
【図8】第4の実施形態に係る異物除去機構の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<1.第1の実施形態>
図1は、本発明の各実施形態に係る紙葉類取扱装置における異物除去機構100の構成を示す模式図である。紙葉類取扱装置は、例えば銀行などに設置される現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)などの紙幣取扱装置である。異物除去機構100は、紙葉類取扱装置の紙幣投入口に誤って異物(硬貨など)が投入された場合に、投与された異物を除去するための機構である。図1は、異物除去機構100を斜め上方から見た斜視図を示している。図1に示すように、異物除去機構100は、異物返却口扉110、異物返却口トレイ111、異物返却口蓋112、異物返却口蓋112を可動させるための棒113、揺動範囲規制部材114、異物返却口ダクト115、を備える。
【0022】
紙葉類取扱装置は、入金などの際に紙幣が投入される紙幣投入口を備えている。紙幣投入口には、本来、紙幣のみが投入されるものであるが、誤って硬貨などの異物が投入されてしまう場合がある。本実施形態に係る紙幣取扱装置においては、紙幣投入口に誤って異物が投入されると、異物が紙幣から分別されて、異物返却口ダクト115に投入される。
【0023】
図1に示すように、異物返却口トレイ111は、底面111aと、底面111aに対して鉛直方向に直立し、互いに対向するように平行に設けられた2つの側板部111bから構成されている。2つの側板部111bの上部を連結するようにして揺動範囲規制部材114が設けられている。異物返却口ダクト115は、異物返却口トレイ111の一端に設けられ、異物返却口トレイ111と接続されるように設けられている。異物返却口ダクト115は、上方に向かって開口幅が広がるようにダクト状に構成されている。異物返却口蓋112は、所定の中心軸112aを中心として回動可能に構成されている。図1に示すように、中心軸112aは、異物返却口ダクト115側に設けられている。異物返却口蓋112は、底面111aの上面を一部覆い、中心軸112aを中心として上方向(図1中の矢印A1方向)に回動することができる。
【0024】
また、異物返却口トレイ111に対して、異物返却口ダクト115が設けられた側の反対側には、異物返却口扉110が設けられている。異物返却口扉110は、中心軸110aを中心として図1中の矢印A2方向に回動可能に構成されている。
【0025】
棒113は、異物返却口蓋112の上側の面に取り付けられている。異物返却口扉110が矢印A2方向に回動すると、異物返却口扉110が棒113に当接する。そして、更に異物返却口扉110が矢印A2方向に回動すると、異物返却口扉110が棒113を押して、異物返却口蓋112が矢印A1方向に回動するように構成されている。
【0026】
図2は、図1の一転鎖線I−I’に沿った断面を示す概略断面図である。図2に示すように、異物返却口トレイ111に対して、一方の側に異物返却口ダクト115が設けられ、他方の側に異物返却口扉110が設けられている。図2に示すように、異物返却口扉110には、扉突起部116が設けられている。また、図2に示すように、異物返却口扉110は、扉シャフト117を中心として回動可能とされている。扉シャフト117は、図1で説明した中心軸110aに対応し、異物返却口扉110の回転中心となるシャフトである。また、異物返却口蓋112は、蓋シャフト118を中心として回動可能とされている。蓋シャフト118は、図1で説明した中心軸112aに対応し、異物返却口蓋112の回転中心となるシャフトである。
【0027】
図2に示す状態では、異物返却口蓋112が回動範囲内で最も下側に位置しているため、異物返却口ダクト115と異物返却口トレイ111は連通している。このため、異物が異物返却口ダクト115に入ると、異物は異物返却口ダクト115の開口119を通って異物返却口トレイ111内に入る。
【0028】
図3は、異物120が異物返却口トレイ111内に入った場合に、異物返却口扉110を右側から指121で押して、異物返却口扉110を開けた状態を示す模式図である。図3に示すように、異物返却口扉110を外側から指121で押すと、異物返却口扉110が矢印A2方向に回動し、扉突起部116が棒113に当接し、扉突起部116が棒113を押すことによって異物返却口蓋112が矢印A1方向に回動する。
【0029】
このように、異物返却口扉110を開くと、異物返却口扉110の扉突起部116が棒113を押すことによって、異物返却口蓋112が蓋シャフト118を中心に回動し、開口部119を閉じる。これにより、開口部119から指121などが入らないようにすることができる。また、異物返却口扉110が大きく開かれる場合は、棒113が揺動範囲規制部材114に当接する。棒113が揺動範囲規制部材114に当接すると、異物返却口蓋112の回動が停止する。従って、異物返却口蓋112の揺動範囲(回動範囲)を規制することができる。
【0030】
以上のような構成によれば、異物返却口扉110を十分に小さくした場合であっても、、扉突起部116が棒113を押すことによって、異物返却口蓋112が開口部119を塞ぐことができる。従って、異物返却口扉110を大きくすることなく、開口部119を塞ぐことができ、装置内に指121などが入らないようにすることができる。また、揺動範囲も大きくすることができるため、異物返却口扉110が開くことができる量を十分に大きくすることができるため、図3の右側から異物120を取り易くすることができる。
【0031】
図4は、大量の異物120が異物返却口ダクト115から異物返却口トレイ111に落下してきた場合に、異物返却口扉110を開けた状態を示す模式図である。この場合、異物返却口扉110を開くことによって、異物返却口トレイ111内に堆積した異物120が異物返却口蓋112上に押し戻され、更に、扉突起部116が棒113を押すことによって異物返却口蓋112が矢印A1方向に回動するため、異物返却口蓋112上の異物120が異物返却口ダクト115へ押し戻される。従って、異物返却口トレイ111内の異物120が異物返却口ダクト115へ押し戻されることによって、異物返却口扉110が回動する範囲に異物120が残らないようにすることができ、異物返却口扉110が回動するためのスペース(空間)を確実に確保することが可能である。そして、異物返却口扉110を確実に開くことができるため、図4の右側から指121を挿入することによって異物返却口トレイ111内の異物120を確実に取り除くことが可能である。
【0032】
以上説明したように第1の実施形態によれば、異物返却口扉110を開くと、扉突起部116が棒113を押すことによって、異物返却口蓋112が上方に回動して開口部119を塞ぐことができる。従って、開口部119から指121などが挿入されてしまうことを抑止することができる。また、異物返却口扉110を開くと、異物返却口トレイ111内の異物120が異物返却口蓋112上に押し戻され、更に異物返却口蓋112が上方に回動することによって異物120が異物返却口ダクト115へ押し戻される。従って、大量の異物120が異物返却口トレイ111内に入った場合であっても、異物返却口扉110が開くスペースを確保することができ、異物返却口トレイ111内の異物120を除去することが可能となる。
【0033】
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態に係る異物除去機構100の構成を説明するための断面図であって、図2と同様に、図1の一転鎖線I−I’に沿った断面を示す概略断面図である。
【0034】
第2の実施形態に係る異物除去機構100の基本的な構成は、第1の実施形態と同様である。図5に示すように、第2の実施形態では、異物返却口蓋112の長さLを第1の実施形態よりも短くしている。換言すれば、第2の実施形態では、蓋シャフト118から異物返却口蓋112の先端までの長さLを第1の実施形態よりも短くしている。
【0035】
このような構成にすることで、異物返却口トレイ111内に大量の異物120が落下してきた場合に、第1の実施形態と比較すると、更に容易に異物返却口扉110を開くことが可能となる。
【0036】
図6は、第1の実施形態において、異物返却口トレイ111内に大量の異物120が落下してきた場合を示している。図6に示すように、大量の異物120が異物返却口トレイ111内に入ると、異物返却口扉110の可動範囲が小さくなり、一度に異物返却口トレイ111内の異物120を取り出すことができなくなる事態が想定される。特に、図6に示すように、異物120が縦に並んだ状態が発生した場合に異物返却口扉110を開くと、縦に並んだ異物120が異物返却口扉110と異物返却口蓋112の間に挟まれた状態となり、異物返却口扉110を少ししか開くことができない事態が想定される。
【0037】
一方、異物返却口蓋112の長さLを短くした第2の実施形態によれば、図6と同様に異物120が縦に並んだ状態が発生した場合であっても、異物返却口蓋112の先端が縦に並んだ異物120と当接してしまうことがなく、異物返却口扉110と異物返却口蓋112の間に異物120が挟まれしまう事態を確実に抑止できる。図5に示す状態において、異物返却口扉110が開かれると、異物120が縦に並んだ状態が生じていたとしても、異物返却口蓋112の軌跡と重なっている異物120aは異物返却口蓋112に押されて矢印A3方向に倒れる。これによって、縦に並んだ異物120は異物返却口に向かって押し出される。このとき、異物返却口扉110の回転中心からの長さは、第1の実施形態よりも短いため、図6の状態が発生してしまうことを確実に回避できる。従って、異物返却口蓋112の長さLを短くすることよって、大量の異物120が異物返却口トレイ111内に落下した場合であっても、異物返却口扉110を大きく開くことが可能となり、異物返却口トレイ111内の異物120を容易に取り除くことが可能となる。
【0038】
以上説明したように第2の実施形態によれば、異物返却口扉110または異物返却口蓋112について、回転中心から先端までの長さを短くすることで、異物120が異物返却口扉110と異物返却口蓋112との間に挟まれてしまうことを抑止できる。従って、異物返却口蓋112をより確実に開くことが可能となり、大量の異物120をより確実に取り除くことが可能となる。
【0039】
<3.第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の基本的な構成は、第2の実施形態と同様である。図7は、第3の実施形態の構成を示す模式図であって、図1の矢印A4方向から異物返却口トレイ111を見た状態を模式的に示す図である。
【0040】
第1及び第2の実施形態と同様に、異物返却口トレイ111は、底面111a、および対向する側板部111bを備え、異物返却口ダクト115から落下してきた異物120が入るように構成されている。また、異物返却口ダクト115側には、異物返却口蓋112が回動可能に設けられている。
【0041】
図7に示すように、異物返却口トレイ111の底面111aには、断面がL字形状の突起111cが設けられている。突起111cは、L字形状の突起が上方に向かうように配置されている。突起111cは、側板部111bと平行に延在するように設けられている。
【0042】
このような構成によれば、図7に示すように、異物返却口ダクト115から異物120が落下してくると、異物120が突起111cに接触することにより突起111cの左右に振り分けられる。そして、異物120を突起111cの左右に振り分けることにより、図5に示したような、異物120が縦に並んだ状態を作り出すことができる。換言すれば、突起111cを設けたことにより、異物返却口トレイ111内の異物120の配置状態を制御することが可能となる。そして、図5に示す状態に異物120を配置できるため、第2の実施形態と比較して更に確実に異物120を取り出すことが可能となる。
【0043】
以上説明したように第3の実施形態によれば、突起111cを設けたことにより、図6及び図7に示すように異物120を縦に並べることができる。そして、第2の実施形態と同様に異物返却口蓋112の長さLを短くすることによって、縦に並んだ異物120を確実に取り除くことが可能となる。
【0044】
<4.第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第1の実施形態、第2の実施形態における棒113、扉突起部116、および揺動範囲規制部材114を異物返却口トレイ111の外に配置したものである。
【0045】
図8は、第4の実施形態に係る異物除去機構100の構成を示す模式図である。ここで、図8(A)は、異物除去機構100の上面図を示しており、図8(B)は側面図を示している。図8(A)及び図8(B)に示すように、第4の実施形態においては、棒113、扉突起部116、および揺動範囲規制部材114は、異物返却口トレイ111の側面板111bの外側に配置されている。図8(A)に示すように、棒113は、接続部113aを介して異物返却口蓋112と接続されている。また、扉突起部116は、接続部116aを介して異物返却口扉110と接続されている。そして、図8(B)に示すように、側面板111bには、接続部113a及び接続部116aが挿通する孔111d、孔111eがそれぞれ設けられている。孔111d、孔111eは、異物返却口扉110及び異物返却口蓋112が回動した際の接続部113a,116aの軌跡に沿って設けられている。従って、棒113、扉突起部116を側面板111bの外側に配置した場合であっても、第1及び第2の実施形態と同様に、異物返却口扉110及び異物返却口蓋112を可動することが可能である。
【0046】
第4の実施形態では、棒113、扉突起部116、および揺動範囲規制部材114が異物返却口トレイ111の外側に配置されているため、異物120と、棒113、扉突起部116、または揺動範囲規制部材114とが接触することを抑止できる。異物120と、棒113、扉突起部116、または揺動範囲規制部材114とが接触すると、異物返却口扉110または異物返却口蓋112が回動し難くなることが想定されるが、第4の実施形態では、異物120と、棒113、扉突起部116、または揺動範囲規制部材114とが接触することがないため、異物返却口扉110または異物返却口蓋112を確実かつスムーズに回動させることが可能である。
【0047】
以上説明したように第4の実施形態によれば、棒113、扉突起部116、および揺動範囲規制部材114を異物返却口トレイ111の外側に配置したため、異物120と、棒113、扉突起部116、または揺動範囲規制部材114とが接触することを抑止でき、異物返却口扉110または異物返却口蓋112を確実かつスムーズに回動させることが可能となる。従って、異物120を更に容易に取り出すことが可能となる。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0049】
100 異物除去機構
110 異物返却口扉
111 異物返却口トレイ
111a 中心軸
112 異物返却蓋
112a 中心軸
119 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口が設けられ、上方から前記開口を通って落下してきた異物を収容するトレイと、
前記トレイの側面に設けられた返却口に設けられ、前記返却口の上部に設けられた第1の軸を中心として回動することによって開閉する返却口扉と、
前記開口の一端に設けられた第2の軸を中心として回動可能に設けられ、前記返却口扉が前記トレイの内側に回動して開かれた際に前記返却口扉に押されて上方向に回動して前記開口を塞ぐ返却口蓋と、
を備えることを特徴とする、異物除去機構。
【請求項2】
前記返却口蓋は、前記第2の軸から先端までの長さが前記トレイ内の異物と干渉しない長さに設定されたことを特徴とする、請求項1に記載の異物除去機構。
【請求項3】
前記返却口蓋には、前記返却口扉に向かって突出する棒が設けられ、
前記返却口扉が前記第1の軸を中心として回動すると、前記返却口扉が前記棒を押すことによって、前記返却口蓋が回動することを特徴とする、請求項1に記載の異物除去機構。
【請求項4】
前記返却口扉には、前記返却口蓋に向かって突出する突起部が設けられ、前記返却口扉が前記第1の軸を中心として回動すると、前記突起部が前記棒を押すことによって、前記返却口蓋が回動することを特徴とする、請求項3に記載の異物除去機構。
【請求項5】
前記トレイの底面には、所定方向に延在する突起部が設けられたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の異物除去機構。
【請求項6】
前記突起部の延在方向と直交する方向に沿った断面形状の上面は、上部に頂点を有する三角形の2辺から構成されることを特徴とする、請求項5に記載の異物除去機構。
【請求項7】
紙葉類が挿入される紙幣投入口と、
上部に開口が設けられ、前記紙幣投入口に異物が投入された際に、上方から前記開口を通って落下してきた異物を収容するトレイと、
前記トレイの側面に設けられた返却口に設けられ、前記返却口の上部に設けられた第1の軸を中心として回動することによって開閉する返却口扉と、
前記開口の一端に設けられた第2の軸を中心として回動可能に設けられ、前記返却口扉が前記トレイの内側に回動して開かれた際に前記返却口扉に押されて上方向に回動して前記開口を塞ぐ返却口蓋と、
を備えることを特徴とする、紙葉類取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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