異種アッセイの洗浄方法及び装置としてのサイフォン吸引
マイクロ流体構造を含む第2基質に結合されたマクロ流体構造を含む第1基質を有する流体タイル。マイクロ流体構造は、第1基質内のマクロ流体構造に対応し、マクロ流体構造間に流体流路を提供する。マイクロ流体構造の1つは、精製チャンバと廃棄物チャンバとの間に流体流路を提供する洗浄サイフォンである。洗浄サイフォンは、精製チャンバ内の液体の容積が所定の量を超えるとプライミングされるように構成され、それによって精製チャンバ内の液体の容積が所定の量を超えると、洗浄サイフォンが精製チャンバ内の液体を廃棄物チャンバへと移送開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年10月30日出願の米国仮特許出願第61/256,495号及び2009年10月30日出願の米国仮特許出願第61/256,510号に対する優先権を主張し、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、化学、生物学、及び生化学的プロセス又は反応のためのマイクロ流体及びマクロ流体に関する。より詳細には、本発明は、異種アッセイのサイフォン洗浄方法及び装置を開示する。
【背景技術】
【0003】
近年、薬学、生物工学、化学及び関連産業では、様々な反応及び分析を実行するためにマイクロチャンバ及びチャネル構造を包含するデバイスの採用が増加している。これらのデバイスは、一般にマイクロ流体装置と呼ばれ、これによってアッセイを実行するために必要な反応物及びサンプルの量を減少させることができる。これによって、人間の介入なしに、並列でも直列でも予測性及び再現性が非常に高い方法で多数の反応も可能になる。したがって、マイクロ流体装置は、微小化学物質分析システム(マイクロTAS)を実現するために有望なデバイスであり、これは従来のラボラトリの機能を有する小型化された装置を特徴とする定義を有する。
【0004】
一般に、マイクロTASデバイスにおける企図はすべて2通りに特徴付けることができる。すなわち、流体輸送を担当する力によるもの、及び流体の流れの誘導に使用するメカニズムによるもの、である。前者をモータと呼ぶ。後者を弁と呼び、これは論理又は同様のアクチュエータを構成し、流体を容積定量化する、流体を混合する、一組の流体入力部を一組の流体出力部と接続する、流体を保存できるように十分に漏れない方法で(用途に応じて気体又は液体の通過に対して)容器を密封するなど、幾つかの基本的動作にとって必須のものである。マイクロ流体ネットワーク上で弁とモータとを組み合わせ、デバイスを装填する入力手段、及び分析の結果を測定する読み出し手段を補足することによって、マイクロTASは実現可能で有用なものとなる。
【0005】
流体ハンドラとも呼ばれる流体ハンドリングデバイス、計量分配デバイス、サンプル装填ロボット、化合物ディスペンサ、計量分配手段、ピペッタ、及びピペットワークステーションは、流体を、特に液体を流体貯蔵所から別の流体貯蔵所へと移送する目的を有する。したがって、典型的な流体取り扱いプロセスに関与する構成要素は、プロセスにおけるその役割に従って3つのカテゴリに分類することができる。すなわち、(i)元の流体貯蔵所の源、(ii)流体を移送する手段、及び(iii)流体が移動する先の流体貯蔵所内の容器である。
【0006】
一般に、自動計量分配デバイスは、厳密には常に必要というわけではない。何故なら、計量分配作業は、ピペッタ又は類似のデバイスのような特定の用具を装備した人間のオペレータが実行できるからである。しかし、計量分配デバイスは、例えば、動作速度、性能、費用、汚染の問題及び汎用性など、その全体的特徴に従って説明することができる。流体ハンドリングデバイスに望ましい要件は、(高い生産性を達成するが、温度、反応物の活性などのような同様の条件でアッセイを実行することもできる)可能な限り最高速度、源と容器との間の汚染が最小であること、固定費用及び計量分配作業(消耗品)毎の費用が最小であること、性能(用量の精密さ、計量分配できる量の範囲、フットプリントなど)、及び汎用性(マルチフォーマットの互換性、実行する作業のタイプ、源と容器の自動識別など)である。
【0007】
既存の流体ハンドリングデバイスはすべて、これらの要件に対応するか、又はその一部を解決しており、使用者の選択は、特定の用途及びラボラトリの環境によって決定される。異質の環境であるので、計量分配器具は、厳密には流体貯蔵手段用であるので、有意に異なり、様々な技術を採用する。すなわち、使い捨ての先端及び吸引手段、流体に浸漬する金属ピン、吸気針及びその後のすすぎ及び洗浄作業、ポンプ及び管類、圧電性又は他の機械的手段による小滴の排出である。計量分配技術を取り巻くインフラストラクチャ及びその自動化の程度も非常に異なるが、それは製薬業における化合物ライブラリ管理の複雑な設備から、簡単な手持ち式デバイスまである。
【0008】
求心デバイスは、マイクロ流体デバイスの特定のクラスであり、これは求心加速度がマイクロ流体デバイス自体、及びマイクロ流体デバイス内に含まれる任意の流体にかかる見かけの遠心力を生成するような方法で、マイクロ流体デバイスが回転軸回りで旋回する。遠心力はモータとして半径方向に作用するが、角運動量が変化すると接線方向にも作用する。しかし、この力は同時に、入口に含まれる流体など、マイクロ流体デバイス内に含まれるいかなる材料にも加えられる。例えば、Gyros AB、Tecan AG、Burstein Technologies Inc.などが開発するような大部分の求心性マイクロ流体デバイスでは、マイクロ流体デバイスは円板の形状を有し、回転軸は主要面に対して直角であり、円板の中心を通る。
【0009】
異種アッセイは、複数の生化学用途で一般的なフォーマットである。異種アッセイは、例えば固体相分離、免疫学的アッセイ(ELISA)、及びビーズベースのアッセイ技術で一般的である。異種アッセイは、カラム(例えばゲル、粉末、及びビーズを含むカラム)、コーティングした表面(例えばELISAマイクロプレート、及び横流細片)、及びビーズ(例えば磁性又は非磁性、ガラス、ポリスチレン、シリカ、ナノ結晶、ポリマー表面及びPSストレプトアビジンビーズ)によって実行する。
【0010】
一例として、ビーズは核酸精製に使用することができる。サンプルをビーズと一緒に容器に導入することができる。サンプルの一部がビーズと選択的に相互作用して、ビーズに結合することができる。ビーズと相互作用していないサンプルは、洗浄緩衝液での抽出及び/又は希釈によって除去することができる。洗浄緩衝液は通常、ビーズに付着したサンプルの結合特性と干渉しないように選択される。溶離緩衝液を添加すると、ビーズに付着したサンプルの相互作用が変化し、その結果、サンプルを放出する。これで、サンプルを溶離緩衝液で採取し、プロトコルの次のステップに使用可能にすることができる。
【0011】
別の例として、ビーズを免疫学的アッセイに使用することができる。サンプルをビーズと一緒に容器に導入することができる。サンプルの一部がビーズと選択的に相互作用してビーズに結合することができる。ビーズと相互作用していないサンプルは、洗浄緩衝液での抽出及び/又は希釈によって除去することができる。洗浄緩衝液は通常、ビーズに付着したサンプルの結合特性と干渉しないように選択される。これで、異なる溶液を添加して、まだビーズに結合しているサンプルの量を検出可能にし、サンプルの量と相関する信号を生成することができる。
【0012】
一般に、ビーズの操作には幾つかの洗浄方法体系が使用されてきた。洗浄手順の幾つかの例には、ビーズを採取するために磁界を加えるとともに、連続的な洗浄フラックスを加えること、毛管内の渦でビーズを流体的に捕捉すること、ビーズを濾過すること、大気圧で溶剤を蒸発させること、真空中で水を蒸発させること、加熱して水を蒸発させることなどがある。しかし、均質な特性のビーズを製造すること、及び芯の周囲のコーティングを均一な直径にすることが困難な場合がある。洗浄手順の効率が問題となることがある。何故なら、例えばビーズの常磁性特性が低下した結果、洗浄手順中にビーズに付着したサンプルの損失、及び/又はビーズそのものの損失を最小化することが困難な場合があるからである。
【0013】
汚染も問題となることがある。何故なら、例えばクラスタ状ビーズ間の微小な空洞に液体又は流体が存在する場合に、ビーズに付着していないサンプルの部分が洗浄作用に抵抗し、ビーズが締結したサンプルと一緒に残ることがあるからである。さらに、効率及び汚染の結果、再現性が問題となることがある。例えばピペッタによって実行する洗浄品質がラボによって変動することがある。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、サイフォン洗浄の方法及び装置に向けられている。該方法は、異種アッセイの部分又は完全洗浄のために洗浄サイフォンを実現することを含んでもよい。サイフォン洗浄の目的は、精製チャンバ又は反応チャンバ内でビーズを洗浄すること、別の処理のために精製チャンバから洗浄液を抽出すること、洗浄液を廃棄すること、及び/又は残りの条件を変更することである。サイフォンの挙動は、重力及び/又は慣性加速度によって支配することができる。支配する力は、(遠心力のように空間と時間の両方で)一定でもよく、又は変動してもよい。サイフォンの挙動を支配する力を同時又は別個に使用して、同じアッセイの異なる相の分離ステップ、例えばビーズのペレット化、細胞分離、及び/又は血液分画を実行することができる。
【0015】
弁起動のサイフォンを実現し、これによって精製チャンバ又は反応チャンバ内の液体の量に関係なく、洗浄ステップをいつ実行するかの厳密な決定を可能にすることができる。開示された洗浄サイフォンの使用者は、均一アッセイか異種アッセイかに関していかなる違いも知覚できないことがある。何故なら、洗浄が使用者に見えず、例えば自動プライミング又は弁起動によって支配されているからである。
【0016】
流入する液体の流れる時間の展開に関係なく、満杯状態と空の状態との間で交互にチャンバ内の液体の容積又はレベルを加減するために、自給式サイフォンを実現することができる。自給式サイフォンを使用することにより、反応チャンバ内に含まれる液体の容積に従ってサイフォンのプライミングを起動することができる。したがって、自給式サイフォンを使用することにより、精製チャンバ又は反応チャンバ内の液体の量が所定のレベルに到達した場合に、人間の介入を必要とせずに、精製チャンバ又は反応チャンバを自動的に空にすることができる。
【0017】
洗浄サイフォンによって、予測可能で再現可能な洗浄作用を可能にすることができる。何故なら、流体構成が再現可能であり、外部手段なしに画定されるからである。洗浄サイフォンは、望ましくない量の洗浄液を残さずに、精製チャンバ又は反応チャンバからの完全な液体抽出を保証することができる。洗浄サイフォンは、連続的な洗浄ステップの流れを別々の洗浄容量の断続的な鎖に変換し、事実上、洗浄効率を改良可能にすることができる。サイフォンに誘発された洗浄は所望の回数だけ繰り返すことができ、これは不可逆的弁機構とは異なる。
【0018】
洗浄サイフォンは、流体タイルのマイクロ流体構成要素として実現することができ、ここで流体の流れは、最初は分離しているマイクロ流体構成要素とマクロ流体構成要素とを流体連通させることによって調整される。2つの構成要素を接続する時間と、このような流体連通の位置とは両方とも恣意的であり、外部から決定することができる。したがって、本開示は無限数の仮想弁について述べるが、それはすべて最初は閉状態であるが、任意の時間に、事前に決定する必要がない複数の場所にて任意の順序で開放することができる。
【0019】
本開示による仮想弁が閉鎖している場合は、流体、気体又は固体及びその混合物を、第1マクロ流体構成要素内に含むことができる。仮想弁が開放されるとすぐに、少なくとも1つのマイクロ流体構成要素を通して、少なくとも1つ又は複数の追加のマイクロ流体又はマクロ流体構成要素との連通が可能になる。流体、気体又は固体及びその混合物が追加の構成要素に流入するか否か、及びその程度及び速度は、流体、気体又は固体及びその混合物に作用する力、及び弁構成要素を通る流れに対する障害によって決定される。
【0020】
マイクロ流体回路内では、重力、機械的マイクロポンプ、電界、音響エネルギーの印加、外圧、又は慣性加速度(例えば求心力)の使用により、流体輸送を達成することができる。本開示による弁は、流体輸送のメカニズムには関係なく、したがって以上の流体輸送手段のいずれとも互換性があるが、これらに限定されない。
【0021】
したがって本開示の1つの態様では、洗浄サイフォンのプロセスを実現する装置は、サイフォンを含む複数のマイクロ流体構成要素又は構造を備えるマイクロ流体基質と、マイクロ流体構成要素又は構造に対応する複数のマクロ流体構成要素又は構造を備えるマクロ流体基質と、を有する。本開示の範囲内で、本発明の装置はさらに追加の基質層を有することができると想定される。本開示によれば、これらの追加の基質層は、複数の流体チャネル、チャンバ、及びレンズ及びフィルタなどの操作構成要素又は構造を有することができる。
【0022】
マクロ流体基質は、所望のプロセスを実行するための反応物、サンプル、生物学的サンプルなどを有し得るチャンバを有してもよい。マクロ流体基質内のチャンバは、マイクロ流体基質内のマイクロ流体構造に対応することがあり、したがってマクロ流体基質内のチャンバはマクロ流体力学的基質及び/又はマイクロ流体基質内の追加のチャンバと流体連通するようにしてもよい。例示的な実施形態では、マクロ流体力学的基質は精製又は反応チャンバ及び廃棄物チャンバを有し、マイクロ流体基質は、精製又は反応チャンバを廃棄物チャンバと流体連通させることができるマイクロ流体力学的サイフォンを有する。
【0023】
本開示による流体タイルの実施形態で異種アッセイの部分又は全体洗浄に洗浄サイフォンを使用すると、その結果、より効率的にアッセイを処理することができる。現在、異種アッセイの部分又は完全洗浄には、準備する人が複数の異なるデバイスで、液体を準備して1つの容器から別の容器へと移送する、反応させる、混合する、精製するなど、個々に複数のステップを実行する必要があることがある。本開示の例示的な実施形態を使用することにより、準備する人は準備すべき単一のサンプルを加えるだけでよく、洗浄液を精製チャンバ又は反応チャンバから取り出すことができる自動サイフォン吸引プロセスなど、追加のステップはすべてタイル内で実行することができる。したがって、本開示の実施形態は、所望のプロセス又は手順を実行する効率を向上させ、プロセス又は手順における人為ミスの可能性を排除し、外部の作用物質がサンプルを汚染する可能性を最小化し、環境を汚染する可能性を最小化して、タイル内でサンプルの正確で再現可能な測定を実行できるようにすることができる。
【0024】
本開示の上記及び他の利点、目的、及び形態は、実施形態の詳細な説明及び添付図面により明白になる。また、上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は例示的であって、本開示の範囲を限定するものではないことも理解されたい。
【0025】
本開示の上記及び他の利点、目的、及び形態は、実施形態の詳細な説明及び添付図面により明白になる。また、上記一般的説明及び以下の詳細な説明は例示的であって、本開示の範囲を限定するものではないことも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】サイフォン吸引効果の実施形態を示す。
【図2】液体アッセイの部分又は完全洗浄用洗浄サイフォンの概略の実施形態を示す。
【図3】サイフォン洗浄を組み込んだ流体タイルの実施形態を示す。
【図4】流体タイル内で液体アッセイを部分又は完全洗浄する洗浄サイフォンの実施形態を示す。
【図5】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンの洗浄を調整する実施形態を示す。
【図6】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の結合ステップの実施形態を示す。
【図7】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の上澄み液抽出ステップの実施形態を示す。
【図8】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の上澄み液抽出ステップの実施形態を示す。
【図9】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の洗浄ステップの実施形態を示す。
【図10】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法のサイフォン吸入ステップの実施形態を示す。
【図11】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法のサイフォン吸入ステップの実施形態を示す。
【図12】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の溶離ステップの実施形態を示す。
【図13】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法のサンプル採取の実施形態を示す。
【図14】流体タイルを製造する方法の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書では、異種アッセイの洗浄手順としてサイフォン吸入を使用する本発明の方法及び装置の詳細な実施形態を開示するが、開示された実施形態は本発明の方法及び装置の例示に過ぎず、これは様々な方法で実施できることを理解されたい。したがって、本明細書で開示される特定の機能の詳細は限定的なものではなく、単に特許請求の範囲のベースであり、異種アッセイの洗浄手順としてサイフォン吸引を使用するために本発明の方法及び装置を様々に採用する当業者を教示するための代表的ベースであると解釈されたい。
【0028】
本開示では、入力部、入口、出口、ポート、接続部、ウェル、チャンバ、リザーバ及び同様の言葉を区別せず、これはすべて流体が流体ネットワークに入るか、又はそこから出ることができる手段を指す。
【0029】
本開示では、「サンプル」という用語は、より複雑な混合物の成分として分離又は検出されるか、又は前駆体種として合成される任意の流体、反応物、溶液又は混合物を包含するものと理解される。
【0030】
本開示では、「流体連通」又は「流体接続」という用語は、構成要素間で流体の流れを可能にするように動作自在に相互接続された構成要素を定義するものとする。例示的実施形態では、分析プラットホームは流体タイルを備え、タイルが回転すると、求心力によってタイル上の流体の運動が刺激される、及び/又は重力によってタイル上の流体の運動が刺激される。
【0031】
本明細書では、「生物学的サンプル」、「対象サンプル」又は「生物学的流体サンプル」という用語は、生物学的に誘導された任意の分析サンプルを意味すると理解され、それはDNA、血液、血漿、血清、リンパ、唾液、涙、髄液、尿、汗、植物及び野菜の抽出物、精液、水、食物又はこのようなサンプルの任意の細胞又は細胞成分を含むが、これらに限定されない。
【0032】
例示的な実施形態に係るサイフォン吸引効果について、図1を参照しながら説明する。流体を包含する上部リザーバ100と下部リザーバ102とをサイフォン104で流体接続することができる。サイフォン104は、上部リザーバ100に包含される流体、特に液体を下部リザーバ102に移送するように動作する。上部リザーバ100内の液体は、上部リザーバ100内の入口点106にてサイフォン104に入る。次に、液体は入口点106からサイフォン104を上昇してサイフォン104の高点108へと移動し、高点108は上部リザーバ100内の液体表面より上にある。次に、液体は、高点108から下降してサイフォン104の放出点110へと移動し、放出点110は下部リザーバ102内にある。
【0033】
サイフォン104は上部リザーバ100内の液体を下部リザーバ102へと輸送するが、それは重力によって、サイフォン104の放出点110における液体の静水圧が下部リザーバ102内の周囲圧より高くなるからである。放出点110が大気中へと放出する場合、サイフォン104の放出点110における液体の静水圧は大気圧より高い。液体は入口点106にてサイフォン104に引き込まれ、上部リザーバ100の表面より上に上昇するが、これは重力によって、サイフォン104の高点108付近の液体の静水圧が大気圧より低くなるからである。
【0034】
上部リザーバ100内の液体の表面から高点108までの最大高さは、上部リザーバ100内の液体の表面における圧力及び放出点110における圧力(大気圧)、液体の密度、及び液体の蒸気圧によって制限される。液体内の圧力が液体の蒸気圧より低下すると、高点108で蒸気の泡が形成し始めることがあり、サイフォンの効果が喪失する。標準大気圧での水では、上部リザーバ100内の液体の表面から高点108までの最大高さは約33フィート(1005.84cm)である。
【0035】
いったん開始すると、液体が上方向に流れて上部リザーバ100を出る動作を維持するために、サイフォン104は追加のエネルギーを必要としない。サイフォン104は、上部リザーバ100内のレベルが吸入点106より下へと低下して、空気又は他の周囲気体がサイフォン効果を中断できるまで、上部リザーバ100から液体を引き出すことができる。さらに、サイフォン効果を任意の用途に適用する場合は、サイフォン104の流体流路のサイズを要件に密接に合わせることが重要になることがある。流体流路は、例えばパイプ、管、毛管、及び液体を搬送することができる他の通路とすることができる。断面又は直径が大きすぎる流体流路を使用し、弁又は収縮性の流体流路を使用して流れを絞ると、気体又は蒸気が高点108に集まる効果を高めるようであり、これは真空を破壊してサイフォン効果を喪失させる働きをすることがある。
【0036】
例示的な実施形態による液体アッセイの部分又は完全洗浄用洗浄サイフォンの概略について、図2を参照しながら説明する。洗浄サイフォンの概略図は、反応器チャンバ200、洗浄緩衝液チャンバ202、サンプル結合チャンバ204、溶離緩衝液チャンバ206、最終サンプルチャンバ208、及び廃棄物チャンバ210を含む。洗浄緩衝液チャンバ202、サンプル結合チャンバ204、及び溶離緩衝液チャンバ206は、反応器チャンバ200と流体連通させることができる。反応器チャンバ200は、最終サンプルチャンバ208と流体連通させることができる。反応器チャンバ200は、サイフォン212を介して廃棄物チャンバ210と流体連通させることができる。サイフォンは、反応器チャンバ200と廃棄物チャンバ210との間の流体流路である。
【0037】
サイフォン212は、反応チャンバ200の出口から上方向に距離L2という高さを有し、距離L2はゼロより大きい。サイフォン212は、溶離緩衝液チャンバ206及び/又は溶離緩衝液チャンバ206に含まれる液体から距離L1という高さまで延在し、ここで距離L1はゼロより大きい。距離L1は、反応チャンバ200内の溶離緩衝液及びサンプル(溶離液)を採取する場合に、反応チャンバ200に含まれるいかなる液体(溶離液)も、最終サンプルチャンバ208へと流れるのではなく、サイフォン212を通って廃棄物チャンバ210へと流れるのを防止するために、ゼロより大きい。
【0038】
サイフォン212は、洗浄緩衝液チャンバ202及びサンプル結合チャンバ204の出口から上方向に距離L4という高さまで延在し、ここで距離L4はゼロより大きい。ビーズを洗浄し、ビーズと相互作用及び結合しない残りのサンプルがあればすべて除去する場合に、反応チャンバ200に含まれるいかなる液体も、サイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと流れるのではなく、洗浄緩衝液チャンバ202及び/又はサンプル結合チャンバ204へと逆流するのを防止するために、距離L4はゼロより大きい。
【0039】
廃棄物チャンバ210は、反応チャンバ200の出口より下方向の距離L3に、又は廃棄物チャンバ210内の液体レベルと反応チャンバ200内の液体レベルとの間の距離L3に位置決めされ、ここで距離L3はゼロより大きい。液体が反応チャンバ200からサイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと流れることができるように、距離L3はゼロより大きい。
【0040】
例示的実施形態では、サイフォン212を通る流路は、反応チャンバ200からその最高点までに、反応チャンバ200内の液体の容積と比較すると小さい幾何学的容積を有し、それにより滑らかな流れを確保する。さらに、サイフォン212を通る流路などの流路は、粒子状溶液(例えば細胞及び/又はビーズ)が均質な液体と同じほど容易に流路を通って流れるほど十分に大きい一方、サイフォン吸引効果が泡の形成によって有意に破壊されないほど十分に小さくすることができる。一例では、サイフォン212を通る流路などの流路は、約50ミクロンから少なくとも1mmの断面寸法又は直径を有することができる。流路は、約300ミクロンの断面寸法又は直径を有することができることが好ましい。
【0041】
例示的な例では、液体アッセイを部分又は完全洗浄するサイフォン洗浄方法は、サンプル結合チャンバ204を反応チャンバ200に流体接続することによって開始する。サンプル結合チャンバ204に含まれるサンプルは、ビーズ(例えば磁性又は非磁性、ガラス、ポリスチレン、シリカ、ナノ結晶、ポリマー表面及びPSストレプトアビジンビーズ)とともに反応チャンバ200に流入する。サンプルの一部は、ビーズと選択的に相互作用して、ビーズと結合する。次に、反応チャンバ200と廃棄物チャンバ210との間の流体の流れを開始することができる。反応チャンバ200内の上澄み液を反応チャンバ200から抽出し、サイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと移送してもよい。洗浄緩衝液チャンバ202を反応チャンバ200と流体接続してもよい。洗浄緩衝液チャンバ202に含まれる洗浄緩衝液は、次に反応チャンバ200に流入する。洗浄緩衝液は、ビーズに付着するサンプルの結合特性と干渉せず、ビーズを洗浄して、ビーズと相互作用及び結合しない残りのサンプルがあればすべて除去することが好ましい。次に、洗浄緩衝液を反応チャンバ200から取り出し、サイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと移送してもよい。例示的な実施形態では、洗浄緩衝液を反応チャンバ200へと移送した後であるが、洗浄緩衝液を反応チャンバ200からサイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと移送する前に、ビーズ溶液を洗浄緩衝液中へ再浮遊させ、反応チャンバ200の底部でビーズを再ペレット化した後に、余分な洗浄緩衝液をサイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと誘導できると有利である
【0042】
次に、反応チャンバ200内のビーズに付着したサンプルを除去し、最終サンプルチャンバ208へと移送してもよい。サンプルを反応チャンバ200から除去するために、溶離緩衝液チャンバ206を反応チャンバ200と流体接続してもよい。溶離緩衝液チャンバ206に含まれる溶離緩衝液は、反応チャンバ200へと流入することができる。溶離緩衝液は、ビーズに付着したサンプルの相互作用を変化させて、サンプルをビーズから解放することが好ましい。反応チャンバ200内の溶離緩衝液及びサンプル(溶離液)は、反応チャンバ200を最終サンプルチャンバ208と流体接続することによって、最終サンプルチャンバ208へと移送してもよい。最終サンプルチャンバ208によって、サンプルをプロトコルの次のステップで、又は別の処理に使用可能にすることができる。
【0043】
特に、反応チャンバ200からサイフォン212を介して廃棄物チャンバ210への流体の流れは、サイフォン212のプライミングによって開始されることが可能である。サイフォン212のプライミングは、サイフォン212の流体流路を十分な液体で充填させ、それによって廃棄物210内にあるサイフォン212の放出点における液体の静水圧を廃棄物チャンバ210内の周囲圧より高くすることを含む。
【0044】
サイフォン212は幾つかの異なる方法でプライミングされることができるが、それは反応チャンバ200に加えられる圧力を増大させる、反応チャンバ200に接続されたサイフォン212に加えられる圧力を減少させる、弁の開閉、ポンプ、自動プライミング、及び/又はベル(気体に誘発された液体変位を組み込む)を含むが、これらに限定されない。自給式サイフォンは、反応チャンバ200内の液体の量が所定の量を超えた場合に、反応チャンバ200と廃棄物チャンバ210との間で流体の流れを開始することにより、反応チャンバ200を自動洗浄チャンバへと変換することができる。弁起動のサイフォンによって、反応チャンバ200内の液体の量に関係なく、洗浄ステップをいつ実行するかの厳密な決定を可能にすることができる。開示された洗浄サイフォンの使用者は、均一アッセイか異種アッセイかに関していかなる違いも知覚できないことがある。何故なら、洗浄が使用者に見えず、例えば自動プライミング又は弁起動によって支配されているからである。
【0045】
流入する液体の流れる時間の展開に関係なく、満杯状態と空の状態との間で交互にチャンバ内の液体の容積又はレベルを加減するために、自給式サイフォンを使用することができる。自給式サイフォンを使用することにより、反応チャンバ200に含まれる液体の容積に従ってサイフォン212のプライミングを起動することができる。自給式サイフォンを使用することにより、反応チャンバ200に含まれる液体の容積に従ってサイフォンのプライミングを起動することができる。例示的実施形態では、反応チャンバ200内の液体の容積が所定の容積(例えば200μL)に到達すると、自給式サイフォンがプライミングされる。反応チャンバ200内の液体の容積が例えば200μLに到達すると、サイフォンがプライミングされ、サイフォンの流路を通って廃棄物チャンバ210への流体の流れを開始する。
【0046】
洗浄の目的は、例えば別の処理のために洗浄液を抽出する、洗浄液を廃棄する、及び/又は残りの状態(例えば酸素交換)を変更させることとすることができる。サイフォン吸引される液体は均質又は異質であることがあり、例えば、液体はビーズ、細胞、及び又は粒子を含有することがある。液体は、例えば、水、アルコール、溶剤、及び/又は生物学的サンプルなどの様々な液体の均質又は異質混合物とすることができる。液体は、様々な変動する大気圧に適用できる場合、様々な液体の均質又は異質混合物とすることができる。
【0047】
サイフォン212の挙動は、重力及び/又は慣性加速度(例えば遠心力)によって支配することができる。支配する力は、(遠心力のように空間と時間の両方で)一定でも変動してもよい。サイフォン212の挙動を支配する力を同時又は別個に使用して、同じアッセイの異なる相の分離ステップ、例えば、ビーズのペレット化、細胞分離、及び/又は血液分画を実行することができる。
【0048】
洗浄サイフォンは、流体構成が再現可能であり、外部手段なしに画定されるので、予測可能で再現可能な洗浄作用を可能にすることができる。洗浄サイフォンは、望ましくない量の洗浄液を残さずに、反応チャンバ200からの完全な液体抽出を保証することができる。洗浄サイフォンは、連続的な洗浄ステップの流れを別々の洗浄容量の断続的な鎖に変換し、事実上、洗浄効率を改良可能にすることができる。サイフォンに誘発された洗浄は所望の回数だけ繰り返すことができ、これは破壊されている隔壁などのような不可逆的弁機構とは異なる。
【0049】
洗浄サイフォンは、特定のデバイス又は装置に組み込むことができるが、マイクロプレート、エッペンドルフ型管、及び生化学及び化学に使用される従来の管のような汎用フォーマットに組み込むこともできる。例示的実施形態では、液体アッセイを部分又は完全洗浄する洗浄サイフォンは、流体タイル内に組み込むことができ、これは特許出願PCT/US2010/031411号に記載されたタイプとすることができ、その教示は参照により本明細書に組み込むものとする。流体タイルは、求心システム内で使用することができ、それは遠心ロータ、及びマイクロ流体プラットホーム、さらに求心力で刺激された流体のマイクロ操作及びマクロ操作を提供する幾つかのその応用などであるが、これらに限定されない。しかし、本明細書で開示する手段は、例えば重力、機械的マイクロポンプ、電界、音響エネルギーの印加、及び外圧など、流体輸送を実行する他の力に依存するマイクロ流体及びマクロ流体構成要素でも等しく適用可能である。
【0050】
求心システム(例えば遠心機)内の流体タイルの代表的な適用は、矩形のデバイスを採用し、回転軸をデバイスのフットプリントの外側に位置決めする。例示のために、図面、さらに説明では概ねこのようなデバイスに言及する。長円形及び円形のデバイス、不規則な表面及び容積を含むが、これらに限定されない矩形のデバイス以外の他の形状も、本開示の範囲に入り、回転軸が本体構造を通るデバイスが、特定の用途には有利なことがあることを理解されたい。
【0051】
混合は、求心システム内で振盪することによって実行されてもよい。例えば例示的な実施形態では、求心システムは、1方向で約1000rpmなどに加速し、その後に代替方向で突然減速するというシーケンスを実行するようにプログラムすることができる。別の例として、磁石、電磁石、ばね又は機械的要素によって、回転するロータに加速度を加えることができる。ロータは、それに応じて共振し、回転により励起された振動を発生することができ、これがサンプルの混合向上を誘導する。これによって、求心システム内のタイル内で幾つかの反応物、サンプル、生物学的サンプルなどを一緒に混合し、さらに液体に含有される粒子を再浮遊させることができる。
【0052】
例示的な実施形態によるサイフォン洗浄を組み込んだ流体タイルについて、図3を参照しながら説明する。流体タイル300は、第1基質(マクロ流体基質)及び第2基質(マイクロ流体基質)から形成される実質的に平面の物体である。流体タイル300は、3つ以上の基質から形成されることができることも理解されたい。第1及び第2基質は任意の幾何学的形状とすることができる。第1基質は、マクロ流体構造302を形成する凹部、空隙又は突起を有する。第2基質は、マイクロ流体構造304を形成する凹部、空隙又は突起を有する。第2基質はマイクロ流体構造304を有するように図示されているが、第2基質はマクロ流体構造を有してもよい。第2基質内のマイクロ流体構造304は、第1基質と第2基質とを相互に結合した場合に、第1基質内のマクロ流体構造302に対応してよい。マイクロ流体構造304及びマクロ流体構造302は、一連の弁、チャンバ、リザーバ、反応器、毛管、反応チャンバ、反応カラム、溶離カラム、電気泳動チャンバ、イオン交換マトリクス、マイクロ反応器及びマイクロ毛管、及び/又は他のタイプの構造から構成されてよい。
【0053】
例示的な実施形態では、第1及び第2基質はその間に挟まれた薄膜層を有する。薄膜層によって、基質内の空隙を分離し、マイクロ流体回路304を形成することができ、これを薄膜層の孔によって基質内に含まれるマクロ流体構造302と流体連通させることができる。第1基質と第2基質とをその間の薄膜層内で結合することができる。さらに、薄膜層は、電磁気発生手段からの電磁放射によって穿孔することができる。薄膜層は弁マトリクスとすることができ、これは特許出願WO04050242A2号(‘242号出願)に記載されたタイプでよく、ここで薄膜層は弁を起動するように穿孔される。‘242号出願の教示は、参照により本明細書に組み込むものとする。
【0054】
図3に示すように、流体タイル300は、ウェル又はチャンバなどの複数のマクロ流体構造302、及びマクロ流体構造302間に流体流路を提供するように構成される複数のマクロ流体構造304を有する実質的に矩形の構造である。マクロ流体構造302は、第1基質内に含まれる少なくとも1つの他の流体ハンドリングマクロ流体構造302と流体連通させる、及び/又は第2基質内に含まれる少なくとも1つのマイクロ流体回路304と流体連通させされてよい。マイクロ流体構造304は、洗浄サイフォン306を包含してよい。洗浄サイフォン306は、チャンバ308とチャンバ310との間に流体流路を提供してよい。
【0055】
特定のマイクロ流体構造又は回路304及び/又は特定のマクロ流体構造302の機能性を流体タイル300内で構成し、選択されたサンプル又は生物学的サンプルで所望のアッセイ、反応、洗浄手順、及び他の手順を実行することができる。任意のマイクロ流体的、マクロ流体的、又は流体的アッセイ、反応、又は手順を流体タイル300内で構成し、所望の機能性を得ることができる。さらに、流体タイル300は、当技術分野で知られているサンプル容積を使用して、このようなプロセス又は手順を実行可能にすることができる。例えば、核酸精製及び免疫学的アッセイの処理のステップ及びプロセスのうち1つ又は複数を流体タイル300に組み込めることを理解されたい。
【0056】
例示的実施形態により流体タイル内で液体アッセイを部分又は完全洗浄する洗浄サイフォンについて、図4を参照しながら説明する。図示のように、流体タイル400は、第1基質内のマクロ流体構造302を有し、精製チャンバ402、洗浄チャンバ404、サンプルチャンバ406、ビーズチャンバ408、溶離チャンバ410、廃棄物チャンバ412、及びサンプル採取チャンバ414を有する。マクロ流体構造302は、約1から数百マイクロリットルの容積、又は最大約数ミリリットルの容積を有してよい。例示的実施形態では、精製チャンバ402、サンプルチャンバ406、ビーズチャンバ408、溶離チャンバ410、及びサンプル採取チャンバ414は、約1から数百マイクロリットルの容積を有し、洗浄チャンバ404及び廃棄物チャンバ412は数分の1ミリリットルから約数ミリリットルの容積を有する。
【0057】
流体タイル400は、第2基質内にマクロ流体構造302に対応するマイクロ流体構造304を包含する。マイクロ流体構造304は洗浄サイフォン416を有する。洗浄サイフォン416は、精製チャンバ402と廃棄物チャンバ412との間の流体流路である。例示的実施形態では、洗浄サイフォン416を通る流路は、精製チャンバ402からその最高点までに、精製チャンバ402内の液体の容積と比較すると小さい幾何学的容積を有し、それにより滑らかな流れを確保する。さらに、洗浄サイフォン416を通る流路などの流路は、粒子状溶液(例えば細胞及び/又はビーズ)が均質な液体と同じほど容易に流路を通って流れるほど十分に大きい一方、サイフォン吸引効果が泡の形成によって有意に破壊されないほど十分に小さくすることができる。例示的な例では、洗浄サイフォン416を通る流路などの流路は、約50ミクロンから少なくとも1mmの断面寸法又は直径を有することができる。流路は、333ミクロン×333ミクロンの矩形の断面を有することができることが好ましい。図示のように、333ミクロン×333ミクロンの矩形断面を有する洗浄サイフォン416の場合、約1マイクロリットルが占有する長さは約1cmである。その結果、数百マイクロリットルの流体容積を操作する場合、長さ数センチメートルの洗浄サイフォン416内にある液体の容積は、精製チャンバ402内にある液体の総容積の小さいパーセンテージでなければならない。
【0058】
サイフォン416は、精製チャンバ402内の液体の容積が250μLを超えた場合にプライミングされる精製チャンバ402と流体連通する状態で位置決めされる。例示的実施形態では、サイフォン416は自給式サイフォンである。サイフォン416は、精製チャンバ402内の液体の容積が所定の容積(例えば250μL)に到達するとプライミングされる。精製チャンバ402内の液体の容積が250μLを超えた場合、廃棄物チャンバ412が通気されているか、又は少なくとも精製チャンバ402より高い圧力ではないという条件で、液体が自動的にサイフォン416を充填する。精製チャンバ402内の液体レベルがサイフォン416の高さを超えるとすぐに、サイフォン416がプライミングされ、サイフォン416から廃棄物チャンバ412への流路を通る流体の流れを開始する。
【0059】
精製チャンバ402内の液体がサイフォン416に入る点は、精製チャンバ内の液体レベルが250μLに到達した場合に精製チャンバ402内の液体レベルより低くなるように位置決めされる。サイフォン416の入口の位置が高すぎる、例えば精製チャンバ402の液体レベルより上、又はそのすぐ下である場合、サイフォン416の入口より上にある液体によって加えられる圧力の量は、毛管張力を克服すべき場合に、特に狭いサイフォンの断面又は直径で、いかなる液体も流れるには不十分になることがある。他方で、サイフォン416の入口の位置が低すぎる場合、例えば精製チャンバ402のすぐ底部にある場合、精製チャンバ402内の粒子状物質(例えばビーズ)が液体とともに精製チャンバ402から流出することがある。したがって、サイフォン416の入口は、可能な限り低い位置にしながら、それでも粒子状物質が精製チャンバ402の底部でペレット化された場合に精製チャンバ402内にある粒子状物質が占有する容積によって画定されるレベルより上にできると有利である。
【0060】
精製チャンバは、精製チャンバ402内の液体の容積が250μLを超えない場合に、閉じたチャンバとして挙動する。何故なら、サイフォン416がプライミングされないからである。精製チャンバ402内の液体の容積が実際に250μLを超えると、サイフォン416がプライミングされ、精製チャンバ402へのサイフォン416の流体的接続部より上にある液体の量が、廃棄物チャンバ412へと完全に流れる。サイフォンの洗浄又は動作後、サイフォン416の内容は廃棄物チャンバ412へと完全に空けられる。次に、新しい液体を精製チャンバ402に注入することができ、精製チャンバ402は、まるで精製チャンバ402が以前に使用されたことがないかのように挙動する。
【0061】
例示的な実施形態により仮想レーザ弁を使用して流体タイル400内のサイフォン洗浄を調整することについて、図5を参照しながら説明する。流体タイル400の第1基質に含まれるマクロ流体構造302、及び流体タイル400の第2基質に含まれるマイクロ流体構造304は、弁マトリクス内の接続毛管に対して異なる面に位置決めされ、照射によって選択された位置に穿孔することができる薄膜層によって分離され、したがって仮想レーザ弁を生成する。
【0062】
サイフォン洗浄方法の流体ハンドリングプロセスは、マクロ流体構造302とマイクロ流体構造304とを流体連通させるように仮想レーザ弁を開放することで開始し、流体にかかる重力又は慣性加速度のように、流体タイル400の底部に向かって誘導された力を加えると、流体を流すことができる。しかし、弁機構は機械的弁などのように、当技術分野で知られている異なるタイプであってもよい。移動の対象となる液体又は流体の量は、弁の位置によって割り出すことができる。何故なら、対応する弁より上に含まれる流体が弁を通って移動できるからである。このプロセスは複数のその後の層で再現することができ、それによって様々な桁にわたって連続的に希釈する、2つ以上のタイプの液体を相互に混合する、所与の時間量だけ流体を反応器内で保温する、又はマトリクス層上にてリアルタイムでプロトコルを実行することも可能になる。
【0063】
仮想レーザ弁をサイフォン洗浄に使用して、サイフォン416をプライミングしてもよい。特に、仮想レーザ弁を使用して、弁が空気へと流れる空気の容量、空気へと流れる液体の容量、又は液体へと流れる液体の容量を分離する場合に、サイフォン416をプライミングする、及び/又は制御するために使用してもよい。液体へと流れる空気の容量間に弁が位置決めされた場合、サイフォン416を完全に空けて、サイフォン416の望ましくない自動プライミングを防止することができる。
【0064】
特に、図5に示すように、サイフォン416と廃棄物チャンバ412との間の流体連通点は、所望の機能性のために特定の仮想レーザ弁(VLV)を作動させて選択することができる。廃棄物412内の液体の内側に流体連通が位置決めされ(液体へと流れる空気の容量)、VLV500が作動すると、サイフォン416の偶発的なプライミングを防止することができる。VLV500の作動はサイフォン416の偶発的なプライミングを防止するが、それはサイフォン416に含まれる空気の変位が、泡生成のために追加のエネルギーを必要とするからである。すなわち、サイフォン416をプライミングするために、精製チャンバ402内で250μLの液体容積(液体へと流れる液体の容量)が過剰になる必要がある。このヒステリシス特性は、例えば毛管現象によるサイフォン416の自動プライミングを回避するのに有利なことがある。
【0065】
廃棄物チャンバ412内の液体の外側に流体連通が位置決めされ(空気へと流れる空位の容量)、VLV502が作動すると、250μLの液体容積が精製チャンバ402に含まれるとすぐに(空気へと流れる液体の容量)、しかし毛管及び泡が存在する構成によっても、サイフォン416の容易なプライミングを可能にすることができる。
【0066】
サイフォン416のプライミングを開始するために、廃棄物チャンバ412内の流体連通点、VLVの作動部を廃棄物チャンバ412内の液体の外側に位置決めし、精製チャンバ402の内容が廃棄物チャンバ412へと空けられると、廃棄物チャンバ412内の液体の中にすることが有利なことがある。この方法により、サイフォン416を液体小滴がない状態に維持することを可能にすることができる。すなわち、廃棄物チャンバ412内の液体に対して廃棄物チャンバ412内の適切な位置で流体連通点、VLVの作動部を生成すると、サイフォン416のプライミングを調整することができる。最初の推定では、廃棄物チャンバ内の流体連通点の位置、VLVの作動部は、サイフォン416のプライミングが一定のサイフォン高さで実行されると、精製チャンバ402から廃棄物チャンバ412への液体の移送に影響しないはずである。
【0067】
仮想レーザ弁を使用し、マイクロ流体構造304を通してマクロ流体構造302を通気することができる。図5に示すように、VLV、例えば1つ又は複数のVLV504を作動させ、マクロ流体構造内の空気容量を流体接続すると、マイクロ流体構造を介したマクロ流体チャンバの通気を可能にすることができる。通気により、マクロ流体構造間の流体の容易な流れを可能にすることができる。
【0068】
例示的な実施形態による流体タイル400内の仮想レーザ弁で調整したサイフォン洗浄手順について、図6から図13を参照しながら説明する。サイフォン洗浄方法の流体ハンドリングプロセスは、通気目的などのために仮想レーザ弁を開放して、選択的にチャンバを流体連通させ、重力又は慣性加速度などの流体タイル400の底部に向けられた力を加えて、マイクロ毛管又は毛管などの流体流路を通して流体を1つのチャンバから別のチャンバへと流すことによって実行される。仮想レーザ弁を作動させて、サンプルを含むサンプルチャンバ406及びビーズ(例えば磁性又は非磁性、ガラス、ポリスチレン、シリカ、ナノ結晶、ポリマー表面及びPSストレプトアビジンビーズ)を含有するビーズチャンバを精製チャンバ402と流体連通させることができる。次に、サンプルチャンバ406に含まれるサンプルが、流体流路600を通して精製チャンバ402に流入することができる。次に、ビーズチャンバ408内に含まれるビーズは、流体流路602を通して精製チャンバ402に流入することができる。精製チャンバ402内で、サンプルはビーズと選択的に相互作用し、その結果、サンプルの一部がビーズに結合する。
【0069】
流路600及び602は、精製チャンバ402の頂部で精製チャンバ402と連通してよく、それによって流体が精製チャンバ402の空気容量に流入することができる。流路600及び602は他の位置で精製チャンバ402と連通してよく、それによって流体が精製チャンバ402の液体容量に流入することができることに留意されたい。流路600及び602は精製チャンバ402の頂部で精製チャンバ402と連通してよく、それによって流体が精製チャンバ402の空気容量に流入し、その後の作業中に流体が流路600及び602を通って逆流する危険を回避できることが好ましい。
【0070】
さらに、遠心力又は重力などの力を加えることにより、ビーズを精製チャンバ402内に詰め込むか、又はペレット化することができる。遠心力の適切な継続時間及び速度を選択することによって、ビーズを所望のレベルまで詰め込むことができる。ビーズの懸濁液を選択的に移動させる、又は代替的に同じビーズを液体から分離するために遠心力を使用する可能性は、液体自体に対するビーズの浮力特性、及び大きい質量の粒子の限られた拡散速度によって可能になる。
【0071】
サンプルがビーズと相互作用すると、残りの上澄み液を抽出することができる。上澄み液は、精製チャンバ406から抽出して、廃棄物チャンバ412へと移送することができる。精製チャンバ402から上澄み液を抽出するために、仮想レーザ弁700を作動させ、サイフォン416を通して精製チャンバ402と廃棄物チャンバ412とを流体連通させることができる。精製チャンバ402内の液体がサイフォン416に入る点は、ビーズが精製チャンバ402の底部でペレット化された場合に精製チャンバ402内の液体レベルより下で、精製チャンバ402内のビーズが占有する容量によって画定されたレベルより上に位置決めされる。図6に示すように、精製チャンバ402はほぼ満杯である(250μLより多くの液体を包含している)。精製チャンバ402は250μLより多くの液体を包含しているので、サイフォン416は自動プライミングされ、サイフォン416を通る流れを開始する。仮想レーザ弁700は、サイフォン416を容易にプライミングできるように、最初に(図7に示すように)廃棄物チャンバ412内に液体があれば、その液体の外側に位置決めされ、その後はすべての上澄み液が廃棄物チャンバ412へと移送されると、(図8に示すように)廃棄物チャンバ412内の液体中に位置決めされることが好ましい。
【0072】
精製チャンバ402内の上澄み液がすべて廃棄物チャンバ412へと移送された後、精製チャンバ402内でサンプルが付着したビーズを洗浄することができる。精製チャンバ402内でサンプルが付着したビーズを洗浄するために、仮想レーザ弁を作動させ、流体流路900を通して洗浄緩衝液を包含する洗浄チャンバ404と精製チャンバ402とを流体連通させることができる。次に、洗浄チャンバ404内の洗浄緩衝液が精製チャンバ402に流入することができる。流路900は、精製チャンバ402の底部で精製チャンバ402と連通することができ、これによって洗浄緩衝液が精製チャンバ402内のビーズを通って流れることができる。流路900は、他の位置で精製チャンバ402と連通することができ、それによって流体が精製チャンバ402内の液体容量、空気容量、又はビーズに流入できることを理解されたい。例示的実施形態では、流路900は精製チャンバ402の頂部で精製チャンバ402と連通することができ、それによって流体が精製チャンバ402の空気容量に流入し、その後の作業中に流体が流路900を通って逆流する危険を回避することができる。
【0073】
洗浄緩衝液は、ビーズと相互作用していないが、ビーズに付着したサンプルの結合特性と干渉してはならないサンプルが残っている場合は、それをすべて除去するように作用する。精製チャンバ402内の液体の容積が250μLを超えると、サイフォン416が自動プライミングされ、サイフォン416を通る流れを開始する。サイフォン416を通る流れが開始すると、精製チャンバ内の洗浄解消剤が廃棄物チャンバ412へと移送される。さらに、仮想レーザ弁1000を作動させ、サイフォン416の容易なプライミングを可能にするために、最初は廃棄物チャンバ412内に液体があればその外側に位置決めし、その後は洗浄緩衝液が廃棄物チャンバ412へと移送されると、(図11に示すように)廃棄物チャンバ412内の液体中に位置決めすることができる。
【0074】
精製チャンバ402内の洗浄緩衝液が廃棄物チャンバ412へと移送された後、精製チャンバ402内のビーズに付着したサンプルを採取することができる。精製チャンバ402内のサンプルを採取するために、仮想レーザ弁を作動させ、流体流路1200を通して溶離緩衝液を包含する溶離チャンバ410と精製チャンバ402とを流体連通させることができる。次に、溶離チャンバ410内の溶離緩衝液が精製チャンバ402に流入することができる。流路1200は、精製チャンバ402の底部で精製チャンバ402と連通することができ、それによって溶離緩衝液が精製チャンバ402内のビーズを通って流れることができる。流路1200は他の位置で精製チャンバ402と連通することができ、それによって流体が精製チャンバ402内の液体容量、空気容量、又はビーズに流入できることを理解されたい。例示的な実施形態では、流路1200は精製チャンバ402の頂部で精製チャンバ402と連通することができ、それによって流体が精製チャンバ402の空気容量に流入し、その後の作業中に流体が流路1200を通って逆流する危険を回避することができる。
【0075】
溶離緩衝液は、ビーズに付着したサンプルの結合特性と干渉するように作用し、その結果、ビーズからサンプルを解放する。サンプルがビーズから解放されると、採取チャンバ414内でサンプルを採取することができる。精製チャンバ402内でサンプルを採取するために、仮想レーザ弁を作動させて、流体流路1300を介して溶離緩衝液中にサンプルを含む精製チャンバ402とサンプル採取チャンバ414を流体連通させることができる。次に、精製チャンバ402内のサンプルがサンプル採取チャンバ414に流入することができる。サンプルがサンプル採取チャンバ414へと移送されると、サンプルをプロトコルの次のステップに、又は別の処理に使用可能にすることができる。
【0076】
精製チャンバ402をサンプル採取チャンバ414に流体接続する流路1300に精製チャンバ402を接続する弁は、ビーズが精製チャンバ402の底部でペレット化された場合に精製チャンバ402内の液体レベルより下で、精製チャンバ402内のビーズが占有する容量によって画定されたレベルより上に位置決めすることができる。流路1300は、精製チャンバ402内の他の位置で精製チャンバ402と連通できることを理解されたい。流路1300は、精製チャンバ402内でペレット化されたビーズが占有する容量によって画定されたレベルのすぐ上で精製チャンバ402と連通し、それによってビーズを精製チャンバ402内に残しながらサンプルを採取できることが好ましい。
【0077】
さらに、精製チャンバ402を完全に洗浄して、精製チャンバ402内の流体及び/又は材料をすべて除去する場合は、精製チャンバ402を流路1300又はサイフォン416に接続する弁を、精製チャンバ402の底部にあるように位置決めすることができる。弁を精製チャンバ402の底部に位置決めすると、任意の粒子状物質(例えばビーズ)などの精製チャンバ402の内容物をサンプル採取チャンバ414又は廃棄物チャンバ412へと完全に空けることを可能にすることができる。
【0078】
上記実施形態を組み合わせると、ビーズ懸濁液を所与のチャンバに移送すること、サンプルがビーズと特異的に相互作用できるようにサンプルを同じチャンバに分配すること、チャンバからビーズを除去せずに、サイフォン洗浄によりサンプルを選択的に洗浄すること、ビーズによって捕捉されているサンプルの特定の部分を採取することができる溶離緩衝液を添加すること、及び別の処理のために溶離液を採取することが可能になる。この手順は、分子診断、核酸サンプルの準備、免疫学的アッセイの実行などに数々の用途がある。
【0079】
製造及び処理
本開示の実施形態による流体タイルは、特定の用途に適切な様々な組成及び表面コーティングを有することができるので有利である。流体タイルの組成は、構造的要件、製造プロセス、反応物の適合性、及び耐薬品性特性の機能になるようである。特に、流体タイルのマイクロ流体基質及びマクロ流体基質は、例えばシリコン、シリカ、石英、不活性金属などの無機結晶質又は非晶質材料、プラスチック、例えばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アセトニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン及びメタロセンなどの有機材料から作成することができる。これらは、未改質又は改質表面で使用することができる。
【0080】
これらの材料の表面特性は、特定の用途に合わせて改質することができる。表面の改質は、当技術分野で知られているような方法で達成することができ、それはシラン処理、イオン注入及び不活性ガスプラズマでの化学的処理を含むが、これらに限定されない。流体タイルもこれらの材料の複合体又は組合せで作成することができ、例えば、流体タイルは、例えば流体タイルの検出チャンバなどを構成する光学的に透明な表面を埋め込まれたポリマー材料で製造される。例えばアレイ、検出器、機能的デバイス、ゲルなどの追加の要素も異質マクロ流体基質に組み込んで、デバイスの組み込みを所与のプロセスにさらに適したものにすることができる。
【0081】
また、流体タイルは、とりわけ、成形、熱成形、打ち抜き及びミリングが容易であるので、ポリエチレンテレフタレート(PET)、共重合で改質したポリエチレンテレフタレート(PETG)、テフロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルメタクリレート及びポリカーボネートなどのプラスチックからも製作することができる。さらに、流体タイルは、シリカ、ガラス、石英又は不活性金属で作成することができる。1つの例示的な実施形態でマイクロ流体工学流体回路、毛管、チャンバなどを有する流体タイルは、既知の結合技術を使用し、自身内に形成された相補的マクロ流体チャンバ、ウェル、反応器、精製チャンバなどを有する対向した基質を接合することによって構築することができる。
【0082】
本開示の流体タイルの実施形態のマイクロ流体基質は、光学的に透明又は不透明で隣接する基質、又は部分的に透明又は不透明な基質を射出成形して製作することができる。流体タイルの実施形態のマクロ流体基質は、光学的に透明又は不透明で隣接する基質、又は部分的に透明又は不透明な基質を熱成形して製作することができる。しかし、熱整形はマイクロ流体基質にも等しく適用することができ、組立などの生産費及びキャパシティに関して非常に有利である。基質内の光学的表面を使用して、レーザ弁などの検出分析又は他の流体的作業の手段を提供することができる。ポリカーボネート以外の材料を備える層も、流体タイルに組み込むことができる。
【0083】
流体タイルを形成する基質の組成は、特定の用途、及び流体タイルで使用する反応物との化学的適合性の要件によって主に決定される。電気泳動用途及び電気制御弁などの電気回路を必要とする流体タイルに、電気層及び対応する構成要素を組み込むことができる。集積回路、レーザダイオード、光ダイオード及び抵抗性ネットワークなどの選択的加熱又は冷却区域又はフレキシブル論理構造を形成することができる制御デバイスを、流体タイルの適切に配線した区域に組み込むことができる。乾燥状態で保存できる反応物を、流体タイルの製作中に当技術分野で知られている手段を使用してリザーバに噴霧するか、又は単に固体材料を付着させることによって、適切な開放したチャンバに導入することができる。代替的又は相補的な以前の方法では、マクロ流体基質上で反応物を親油化することが明白で簡単な解決法である。液体反応物は、マイクロ流体及びマクロ流体基質の組立前又はその後に適切なリザーバ内に注入し、その後に流体タイル内の流体回路内で弁作用の手段に使用することができる薄いプラスチック膜を含むカバー層を塗布することもできる。
【0084】
本発明の流体タイルには、流体タイルを形成する基質上で直接製作するか、又は事前に製作したモジュールとして流体タイル上に配置して複数の構成要素を設けることができる。一体の流体構成要素に加えて、回転デバイス内で回転中に、又は静止時に、れんが構成又は1つの流体タイルで、特定のデバイス及びエレメントを流体タイルの外側に位置特定するか、又は最善の方法では流体タイルの構成要素上に位置決めするか、流体タイルと接触した状態で配置することができる。本開示による流体タイルを備えることが最善である流体構成要素は、検出チャンバ、リザーバ、弁機構、検出器、センサ、温度制御素子、フィルタ、混合要素、及び制御システムを含むが、これらに限定されない。
【0085】
さらに、流体タイルは、流体タイルの外側にあって、チャンバを覆うカバー薄膜を包含することができる。カバー薄膜に穿孔することにより、カバー薄膜はサンプル採取を、又はサンプル溶液をチャンバに予め装填することを可能にすることができ、これによりサンプル採取の前に流体タイルの中間保存を可能にすることができる。さらに、カバー薄膜により、より効率的で高速の放射熱伝達を可能にすることができる。カバー薄膜により、チャンバ内のサンプルへの最適な光学的アクセスも可能にすることができる。
【0086】
例示的な実施形態では、本開示の流体タイルのマイクロ流体基質及びマクロ流体基質を、PET/COP/多層又はPP層の熱成形によって製作することができる。マクロ流体基質は、マイクロ流体基質の毛管に対応する空隙、例えば約5〜50個の空隙を包含してよく、空隙間のギャップは1mm以上であってよい。マクロ流体基質は等しく1つの部片又は異なる特性の複数の基質としてよく、例えば、保存、表面特性、熱特性、機械的及び電気的性能に合わせて最適化される。この実施形態では、マイクロ流体基質とマクロ流体基質とが薄膜層によって分離される。薄膜層は、約8μmの厚さを有する簡単な非構造的箔であってよい。薄膜層は、カーボンブラック染料を有するCOPから作成されてよい。さらに、薄膜層はレーザ弁で穿孔し、マイクロ流体基質内の毛管とマクロ流体基質内の空隙を流体連通させてよい。熱結合、積層、感圧性接着剤、活性接着剤などを使用することにより、別個の構成要素、マイクロ流体基質及びマクロ流体基質を密封して、その汚染を防止できることを理解されたい。
【0087】
例示的な実施形態では、薄膜層又は穿孔層は、複数のマイクロ流体構成要素又は構造を、複数のマクロ流体構成要素又は構造又は追加の構成要素又は構造から分離してよい。薄膜層の構造は均質又は異質でよく、例えば多層及びコーティングを含む。本開示によれば、薄膜層又は穿孔層は、ポリ(メチルメタクリレート)などのポリマー化合物、又は低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリスチレン(PS)、酢酸エチルビニル(EVA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、環状オレフィンホモポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)などの他の材料から構成されてよい。これらのポリマーは単独で、又は互いに組み合わせて使用されてよい。ポリマーを使用することが好ましいが、それは使用及び製造が容易だからである。例えば追加の表面処理がある、又はない金属箔などの他の選択肢が可能であることは明白である。
【0088】
薄膜層は、予め選択した電磁放射の吸着特性を有する光学又は他の同様の材料又は層をさらに備えてよい。吸収は、十分な量の予め選択された電磁エネルギーを吸収し、その結果、穿孔されるような方法で、例えば金属箔を含むか、表面の光学的性質(n屈折率及びk吸光係数)を改質するなど、光フィルタの吸収に使用されるような既知の改質によって、又は粗さのような他の表面特性によって実行されることができる。他の技術も、例えばカーボンブラック粒子、線量エマルジョン、ナノ結晶などの光吸収小球を利用することができる。さらに、反射層、極性変更層、波長シフト層を使用して、電磁エネルギーの有効吸収を増大させることができる。
【0089】
例示的実施形態では、流体タイルにはサンプル、反応物、緩衝液、生物学的サンプルなどを予備装填することができる。流体タイルに予備装填する目的は、使用者が流体タイル内で処理したいようなサンプル、反応物、生物学的サンプルなどを、使用者が容易に添加可能にできることである。これによって、流体タイル内でサンプル、反応物、生物学的サンプルなどの自動処理を可能にすることができる。流体タイルは、約−80℃から約50℃、約0℃から約50℃、特に約2℃から約8℃から成る温度から、又は流体タイル内に予備装填されたサンプル、反応物、生物学的サンプルなどを保存するのに必要な任意の温度で保存することができる。
【0090】
例示的な実施形態により流体タイルを製造する方法について、図14を参照しながら説明する。マイクロ流体基質及びマクロ流体基質は、それぞれステップ1400及び1402に示すように熱成形されてよい。基質は、ポリプロピレン(PP)の箔ロールから熱成形されてよい。次に、ステップ1406で示すように、薄膜層1404、仮想レーザ弁薄膜層を、マイクロ流体基質に積層してよい。薄膜層1404をマイクロ流体基質に積層して、複数のマイクロ流体構成要素又は構造を複数のマクロ流体構成要素又は構造又は追加の構成要素又は構造から分離してよい。次に、ステップ1408で示すように、マイクロ流体基質及びマクロ流体基質を相互に密封又は結合して、54×86mmの寸法を有する空の流体タイル1410を生成してよい。マイクロ流体及びマクロ流体基質は、マイクロ流体基質とマクロ流体基質を分離する薄膜層1404で、相互に密封又は結合される。したがって、薄膜層1404を選択的に穿孔すると、マイクロ流体基質内のマイクロ流体構造をマクロ流体基質内のマクロ流体構造と流体連通させることができる。
【0091】
代替的に、薄膜層1404は、薄膜層1404の片側又は両側に塗布されたトランスファ接着剤を有してよい。次に、薄膜層1404をマイクロ流体基質及びマクロ流体基質に密封又は結合して、54×86mmの寸法を有する空の流体タイル1410を生成してよい。例示的実施形態では、薄膜層1404は、薄膜層1404を熱成形したマイクロ流体基質上に積層した後、熱成形したマクロ流体基質に面した薄膜層1404の側に塗布されるトランスファ接着剤を有する。マイクロ流体基質とマクロ流体基質は、薄膜層1404に塗布されたトランスファ接着剤を介して相互に密封又は結合され、薄膜層1404がマイクロ流体基質とマクロ流体基質とを分離している。したがって、薄膜層1040を選択的に穿孔すると、マイクロ流体基質内のマイクロ流体構造をマクロ流体基質内のマクロ流体構造と流体連通させることができる。
【0092】
さらに、仕上げ加工した流体タイル1414を生成するためにステップ1412で示すように、薄膜層1404を使用して熱成形したマクロ流体基質を密封1408する前に、マクロ流体基質内の熱成形マクロ流体構造にサンプル、反応物、緩衝液、生物学的サンプルなどを装填してよい。さらに、仕上げ加工した流体タイル1414を包装、出荷及び/又は保存してよい。仕上げ加工した流体タイル1414の包装は、仕上げ加工した流体タイル1414のカートン詰め又はパレット梱包を含むことができる。各サンプル、反応物、緩衝液、生物学的サンプルなどのバーコードラベルを流体タイル1414上に配置してよい。
【0093】
流体タイル1414の製造方法は、包装業の既存のプロセスで実現することができ、例えばPP箔ロール、トランスファ接着剤ロール、薄膜ロール、及びバーコードラベルロールを使用する。2つのレーンがあってもよく、1つはマイクロ流体基質の熱成形用で、1つはマクロ流体基質の熱成形用である。さらに、反応物充填の解決法をモジュール式に組み込んで、連続的な反応物充填ラインを生成することができる。
【0094】
例示的な実施形態では、流体タイルは、薄膜層の使用によって密封することができる入力ポート及び出力ポートを有してよい。入力及び出力ポートを覆う薄膜層の使用は、薬品を発見する際に、反応物を装填する作業と実際のアッセイとの間に標準的マイクロプレートを使用する場合、日常的に実行されている。薄膜層は汚染物質及び微量の流体の蒸発を防止し、その結果、その濃度が変化し、したがってアッセイ又はプロセス条件を変更する。サンプル、反応物、生物学的サンプルなどを入力又は抽出するには、使用者は薄膜層を穿孔又は貫通して、シリンジ、バキュテイナ及び/又はピペットなどであるが、これらに限定されない流体ハンドリングデバイスを入力ポート及び/又は出力ポートに挿入することができる。
【0095】
薄膜層は、流体タイルのマイクロ流体基質とマイクロ流体基質との間に配置できるものと同じ薄膜層でよい。さらに、薄膜層は、ポリマー材料、天然ゴム、又は使用する液体に対して不活性である特徴を有し、液体を導入するために貫通可能である一方、その後は気密性を維持して保存反応物の蒸発を防止する任意の材料から製作することができる。薄膜層は、金属及びポリマー層を含む積層薄膜を加えることによって得ることができる。金属層は気体及び液体に対する低い透過性を可能にし、ポリマー層は流体タイル内の保存反応物の容易かつ効果的な密封を可能にする。さらに、2つの薄膜層の組合せを使用することができ、その一方はマイクロ流体基質とマクロ流体基質との間に配置される薄膜層と一致していてもよい。この二重薄膜構成は、一方の薄膜が外側に向かって他方の薄膜が汚染されるのを防止するので、核酸又は酵素から生じ得る汚染に対する抵抗を改善し、保護されていない環境でサンプル又は反応物を装填又は取り出す作業中に、望ましくない分子が輸送される可能性を低下させることができる。
【0096】
流体タイルは、複数の入力及び出力ポートを有することができる。入力及び出力ポートは、流体タイル内に、装填又は取り出すべき流体の容積に従って恣意的に決定することができる長さを有することができ、連続する入力ポートと出力ポートの間のピッチは、既存の基準及び特定の組み込みの必要性に従って選択することができる。2.25mm、4.5mm又は9mmという名目ピッチ値は、それぞれ1536個、384個及び96個のウェルがあるマイクロタイタプレートの基準に対応する。
【0097】
これらの流体タイルは、求心システムの中でも様々なシステムで処理することができる。遠心力を加えると、適切な弁によって可能になった場合に液体を移送させることができ、この弁は予めプログラムするか、静止時に作動するか、又は回転中に作動することができる。
【0098】
例示的実施形態では、流体タイルはスループットの必要性に従って個別に、又はグループで処理することができる。この実施形態では、流体タイルは静止時に装填し、求心システムを使用して処理することができる。求心システムは、幾つかの用途では事前定義の温度、例えば4℃で動作することができる。2つの流体タイルを求心システム内のロータに装填することができる。しかし、任意の数の流体タイルを、当技術分野で知られている任意の求心システムに装填できることを理解されたい。求心システムは、非同期処理では、直径75cmのロータの場合は600rpm(10Hz)で動作する定速ロータによって、32回の平行試験で駆動することができる。あるいは、求心システムは、直径20cmのロータの場合は2000rpm未満で動作するロータによって駆動することができる。流体タイルは回転軸から一定の距離に位置決めする必要がなく、流体タイルは空間を節約するために複数の列で装填できることを理解されたい。
【0099】
本開示によれば、回転軸に面した、又は回転軸に最も近い入力ポートがあることが好ましい。この位置決めが望ましいのは、求心加速度を受ける流体がロータの外側部分に向かって半径方向に移動する傾向があり、流体を採取するために入力ポートを最適に設計できるからである。この実施形態では、流体タイルは、弁アクチュエータを適正な位置に位置決めするために旋回する求心プラットホーム上で処理することができ、遠心力によって流体タイルの内側の流体を移動させることができる。さらに、約3秒の読み出し時間を有するシステムに、旋回する光検出器を組み込むことができる。これは、第2「光検出器システム」の同軸回転を流体タイルの下で実現することを含んでもよい。
【0100】
本開示の原理、好ましい実施形態及び動作モードについて、以上の明細書で説明してきた。しかし、本開示は、図示の特定の実施形態に限定されない。何故なら、これらの実施形態が限定的ではなく、例示的と見なされるからである。さらに、本明細書で開示し、添付の特許請求の範囲で列挙する本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者による変更及び変化が可能である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年10月30日出願の米国仮特許出願第61/256,495号及び2009年10月30日出願の米国仮特許出願第61/256,510号に対する優先権を主張し、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、化学、生物学、及び生化学的プロセス又は反応のためのマイクロ流体及びマクロ流体に関する。より詳細には、本発明は、異種アッセイのサイフォン洗浄方法及び装置を開示する。
【背景技術】
【0003】
近年、薬学、生物工学、化学及び関連産業では、様々な反応及び分析を実行するためにマイクロチャンバ及びチャネル構造を包含するデバイスの採用が増加している。これらのデバイスは、一般にマイクロ流体装置と呼ばれ、これによってアッセイを実行するために必要な反応物及びサンプルの量を減少させることができる。これによって、人間の介入なしに、並列でも直列でも予測性及び再現性が非常に高い方法で多数の反応も可能になる。したがって、マイクロ流体装置は、微小化学物質分析システム(マイクロTAS)を実現するために有望なデバイスであり、これは従来のラボラトリの機能を有する小型化された装置を特徴とする定義を有する。
【0004】
一般に、マイクロTASデバイスにおける企図はすべて2通りに特徴付けることができる。すなわち、流体輸送を担当する力によるもの、及び流体の流れの誘導に使用するメカニズムによるもの、である。前者をモータと呼ぶ。後者を弁と呼び、これは論理又は同様のアクチュエータを構成し、流体を容積定量化する、流体を混合する、一組の流体入力部を一組の流体出力部と接続する、流体を保存できるように十分に漏れない方法で(用途に応じて気体又は液体の通過に対して)容器を密封するなど、幾つかの基本的動作にとって必須のものである。マイクロ流体ネットワーク上で弁とモータとを組み合わせ、デバイスを装填する入力手段、及び分析の結果を測定する読み出し手段を補足することによって、マイクロTASは実現可能で有用なものとなる。
【0005】
流体ハンドラとも呼ばれる流体ハンドリングデバイス、計量分配デバイス、サンプル装填ロボット、化合物ディスペンサ、計量分配手段、ピペッタ、及びピペットワークステーションは、流体を、特に液体を流体貯蔵所から別の流体貯蔵所へと移送する目的を有する。したがって、典型的な流体取り扱いプロセスに関与する構成要素は、プロセスにおけるその役割に従って3つのカテゴリに分類することができる。すなわち、(i)元の流体貯蔵所の源、(ii)流体を移送する手段、及び(iii)流体が移動する先の流体貯蔵所内の容器である。
【0006】
一般に、自動計量分配デバイスは、厳密には常に必要というわけではない。何故なら、計量分配作業は、ピペッタ又は類似のデバイスのような特定の用具を装備した人間のオペレータが実行できるからである。しかし、計量分配デバイスは、例えば、動作速度、性能、費用、汚染の問題及び汎用性など、その全体的特徴に従って説明することができる。流体ハンドリングデバイスに望ましい要件は、(高い生産性を達成するが、温度、反応物の活性などのような同様の条件でアッセイを実行することもできる)可能な限り最高速度、源と容器との間の汚染が最小であること、固定費用及び計量分配作業(消耗品)毎の費用が最小であること、性能(用量の精密さ、計量分配できる量の範囲、フットプリントなど)、及び汎用性(マルチフォーマットの互換性、実行する作業のタイプ、源と容器の自動識別など)である。
【0007】
既存の流体ハンドリングデバイスはすべて、これらの要件に対応するか、又はその一部を解決しており、使用者の選択は、特定の用途及びラボラトリの環境によって決定される。異質の環境であるので、計量分配器具は、厳密には流体貯蔵手段用であるので、有意に異なり、様々な技術を採用する。すなわち、使い捨ての先端及び吸引手段、流体に浸漬する金属ピン、吸気針及びその後のすすぎ及び洗浄作業、ポンプ及び管類、圧電性又は他の機械的手段による小滴の排出である。計量分配技術を取り巻くインフラストラクチャ及びその自動化の程度も非常に異なるが、それは製薬業における化合物ライブラリ管理の複雑な設備から、簡単な手持ち式デバイスまである。
【0008】
求心デバイスは、マイクロ流体デバイスの特定のクラスであり、これは求心加速度がマイクロ流体デバイス自体、及びマイクロ流体デバイス内に含まれる任意の流体にかかる見かけの遠心力を生成するような方法で、マイクロ流体デバイスが回転軸回りで旋回する。遠心力はモータとして半径方向に作用するが、角運動量が変化すると接線方向にも作用する。しかし、この力は同時に、入口に含まれる流体など、マイクロ流体デバイス内に含まれるいかなる材料にも加えられる。例えば、Gyros AB、Tecan AG、Burstein Technologies Inc.などが開発するような大部分の求心性マイクロ流体デバイスでは、マイクロ流体デバイスは円板の形状を有し、回転軸は主要面に対して直角であり、円板の中心を通る。
【0009】
異種アッセイは、複数の生化学用途で一般的なフォーマットである。異種アッセイは、例えば固体相分離、免疫学的アッセイ(ELISA)、及びビーズベースのアッセイ技術で一般的である。異種アッセイは、カラム(例えばゲル、粉末、及びビーズを含むカラム)、コーティングした表面(例えばELISAマイクロプレート、及び横流細片)、及びビーズ(例えば磁性又は非磁性、ガラス、ポリスチレン、シリカ、ナノ結晶、ポリマー表面及びPSストレプトアビジンビーズ)によって実行する。
【0010】
一例として、ビーズは核酸精製に使用することができる。サンプルをビーズと一緒に容器に導入することができる。サンプルの一部がビーズと選択的に相互作用して、ビーズに結合することができる。ビーズと相互作用していないサンプルは、洗浄緩衝液での抽出及び/又は希釈によって除去することができる。洗浄緩衝液は通常、ビーズに付着したサンプルの結合特性と干渉しないように選択される。溶離緩衝液を添加すると、ビーズに付着したサンプルの相互作用が変化し、その結果、サンプルを放出する。これで、サンプルを溶離緩衝液で採取し、プロトコルの次のステップに使用可能にすることができる。
【0011】
別の例として、ビーズを免疫学的アッセイに使用することができる。サンプルをビーズと一緒に容器に導入することができる。サンプルの一部がビーズと選択的に相互作用してビーズに結合することができる。ビーズと相互作用していないサンプルは、洗浄緩衝液での抽出及び/又は希釈によって除去することができる。洗浄緩衝液は通常、ビーズに付着したサンプルの結合特性と干渉しないように選択される。これで、異なる溶液を添加して、まだビーズに結合しているサンプルの量を検出可能にし、サンプルの量と相関する信号を生成することができる。
【0012】
一般に、ビーズの操作には幾つかの洗浄方法体系が使用されてきた。洗浄手順の幾つかの例には、ビーズを採取するために磁界を加えるとともに、連続的な洗浄フラックスを加えること、毛管内の渦でビーズを流体的に捕捉すること、ビーズを濾過すること、大気圧で溶剤を蒸発させること、真空中で水を蒸発させること、加熱して水を蒸発させることなどがある。しかし、均質な特性のビーズを製造すること、及び芯の周囲のコーティングを均一な直径にすることが困難な場合がある。洗浄手順の効率が問題となることがある。何故なら、例えばビーズの常磁性特性が低下した結果、洗浄手順中にビーズに付着したサンプルの損失、及び/又はビーズそのものの損失を最小化することが困難な場合があるからである。
【0013】
汚染も問題となることがある。何故なら、例えばクラスタ状ビーズ間の微小な空洞に液体又は流体が存在する場合に、ビーズに付着していないサンプルの部分が洗浄作用に抵抗し、ビーズが締結したサンプルと一緒に残ることがあるからである。さらに、効率及び汚染の結果、再現性が問題となることがある。例えばピペッタによって実行する洗浄品質がラボによって変動することがある。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、サイフォン洗浄の方法及び装置に向けられている。該方法は、異種アッセイの部分又は完全洗浄のために洗浄サイフォンを実現することを含んでもよい。サイフォン洗浄の目的は、精製チャンバ又は反応チャンバ内でビーズを洗浄すること、別の処理のために精製チャンバから洗浄液を抽出すること、洗浄液を廃棄すること、及び/又は残りの条件を変更することである。サイフォンの挙動は、重力及び/又は慣性加速度によって支配することができる。支配する力は、(遠心力のように空間と時間の両方で)一定でもよく、又は変動してもよい。サイフォンの挙動を支配する力を同時又は別個に使用して、同じアッセイの異なる相の分離ステップ、例えばビーズのペレット化、細胞分離、及び/又は血液分画を実行することができる。
【0015】
弁起動のサイフォンを実現し、これによって精製チャンバ又は反応チャンバ内の液体の量に関係なく、洗浄ステップをいつ実行するかの厳密な決定を可能にすることができる。開示された洗浄サイフォンの使用者は、均一アッセイか異種アッセイかに関していかなる違いも知覚できないことがある。何故なら、洗浄が使用者に見えず、例えば自動プライミング又は弁起動によって支配されているからである。
【0016】
流入する液体の流れる時間の展開に関係なく、満杯状態と空の状態との間で交互にチャンバ内の液体の容積又はレベルを加減するために、自給式サイフォンを実現することができる。自給式サイフォンを使用することにより、反応チャンバ内に含まれる液体の容積に従ってサイフォンのプライミングを起動することができる。したがって、自給式サイフォンを使用することにより、精製チャンバ又は反応チャンバ内の液体の量が所定のレベルに到達した場合に、人間の介入を必要とせずに、精製チャンバ又は反応チャンバを自動的に空にすることができる。
【0017】
洗浄サイフォンによって、予測可能で再現可能な洗浄作用を可能にすることができる。何故なら、流体構成が再現可能であり、外部手段なしに画定されるからである。洗浄サイフォンは、望ましくない量の洗浄液を残さずに、精製チャンバ又は反応チャンバからの完全な液体抽出を保証することができる。洗浄サイフォンは、連続的な洗浄ステップの流れを別々の洗浄容量の断続的な鎖に変換し、事実上、洗浄効率を改良可能にすることができる。サイフォンに誘発された洗浄は所望の回数だけ繰り返すことができ、これは不可逆的弁機構とは異なる。
【0018】
洗浄サイフォンは、流体タイルのマイクロ流体構成要素として実現することができ、ここで流体の流れは、最初は分離しているマイクロ流体構成要素とマクロ流体構成要素とを流体連通させることによって調整される。2つの構成要素を接続する時間と、このような流体連通の位置とは両方とも恣意的であり、外部から決定することができる。したがって、本開示は無限数の仮想弁について述べるが、それはすべて最初は閉状態であるが、任意の時間に、事前に決定する必要がない複数の場所にて任意の順序で開放することができる。
【0019】
本開示による仮想弁が閉鎖している場合は、流体、気体又は固体及びその混合物を、第1マクロ流体構成要素内に含むことができる。仮想弁が開放されるとすぐに、少なくとも1つのマイクロ流体構成要素を通して、少なくとも1つ又は複数の追加のマイクロ流体又はマクロ流体構成要素との連通が可能になる。流体、気体又は固体及びその混合物が追加の構成要素に流入するか否か、及びその程度及び速度は、流体、気体又は固体及びその混合物に作用する力、及び弁構成要素を通る流れに対する障害によって決定される。
【0020】
マイクロ流体回路内では、重力、機械的マイクロポンプ、電界、音響エネルギーの印加、外圧、又は慣性加速度(例えば求心力)の使用により、流体輸送を達成することができる。本開示による弁は、流体輸送のメカニズムには関係なく、したがって以上の流体輸送手段のいずれとも互換性があるが、これらに限定されない。
【0021】
したがって本開示の1つの態様では、洗浄サイフォンのプロセスを実現する装置は、サイフォンを含む複数のマイクロ流体構成要素又は構造を備えるマイクロ流体基質と、マイクロ流体構成要素又は構造に対応する複数のマクロ流体構成要素又は構造を備えるマクロ流体基質と、を有する。本開示の範囲内で、本発明の装置はさらに追加の基質層を有することができると想定される。本開示によれば、これらの追加の基質層は、複数の流体チャネル、チャンバ、及びレンズ及びフィルタなどの操作構成要素又は構造を有することができる。
【0022】
マクロ流体基質は、所望のプロセスを実行するための反応物、サンプル、生物学的サンプルなどを有し得るチャンバを有してもよい。マクロ流体基質内のチャンバは、マイクロ流体基質内のマイクロ流体構造に対応することがあり、したがってマクロ流体基質内のチャンバはマクロ流体力学的基質及び/又はマイクロ流体基質内の追加のチャンバと流体連通するようにしてもよい。例示的な実施形態では、マクロ流体力学的基質は精製又は反応チャンバ及び廃棄物チャンバを有し、マイクロ流体基質は、精製又は反応チャンバを廃棄物チャンバと流体連通させることができるマイクロ流体力学的サイフォンを有する。
【0023】
本開示による流体タイルの実施形態で異種アッセイの部分又は全体洗浄に洗浄サイフォンを使用すると、その結果、より効率的にアッセイを処理することができる。現在、異種アッセイの部分又は完全洗浄には、準備する人が複数の異なるデバイスで、液体を準備して1つの容器から別の容器へと移送する、反応させる、混合する、精製するなど、個々に複数のステップを実行する必要があることがある。本開示の例示的な実施形態を使用することにより、準備する人は準備すべき単一のサンプルを加えるだけでよく、洗浄液を精製チャンバ又は反応チャンバから取り出すことができる自動サイフォン吸引プロセスなど、追加のステップはすべてタイル内で実行することができる。したがって、本開示の実施形態は、所望のプロセス又は手順を実行する効率を向上させ、プロセス又は手順における人為ミスの可能性を排除し、外部の作用物質がサンプルを汚染する可能性を最小化し、環境を汚染する可能性を最小化して、タイル内でサンプルの正確で再現可能な測定を実行できるようにすることができる。
【0024】
本開示の上記及び他の利点、目的、及び形態は、実施形態の詳細な説明及び添付図面により明白になる。また、上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は例示的であって、本開示の範囲を限定するものではないことも理解されたい。
【0025】
本開示の上記及び他の利点、目的、及び形態は、実施形態の詳細な説明及び添付図面により明白になる。また、上記一般的説明及び以下の詳細な説明は例示的であって、本開示の範囲を限定するものではないことも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】サイフォン吸引効果の実施形態を示す。
【図2】液体アッセイの部分又は完全洗浄用洗浄サイフォンの概略の実施形態を示す。
【図3】サイフォン洗浄を組み込んだ流体タイルの実施形態を示す。
【図4】流体タイル内で液体アッセイを部分又は完全洗浄する洗浄サイフォンの実施形態を示す。
【図5】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンの洗浄を調整する実施形態を示す。
【図6】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の結合ステップの実施形態を示す。
【図7】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の上澄み液抽出ステップの実施形態を示す。
【図8】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の上澄み液抽出ステップの実施形態を示す。
【図9】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の洗浄ステップの実施形態を示す。
【図10】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法のサイフォン吸入ステップの実施形態を示す。
【図11】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法のサイフォン吸入ステップの実施形態を示す。
【図12】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法の溶離ステップの実施形態を示す。
【図13】仮想レーザ弁を使用して流体タイル内でサイフォンを洗浄する方法のサンプル採取の実施形態を示す。
【図14】流体タイルを製造する方法の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書では、異種アッセイの洗浄手順としてサイフォン吸入を使用する本発明の方法及び装置の詳細な実施形態を開示するが、開示された実施形態は本発明の方法及び装置の例示に過ぎず、これは様々な方法で実施できることを理解されたい。したがって、本明細書で開示される特定の機能の詳細は限定的なものではなく、単に特許請求の範囲のベースであり、異種アッセイの洗浄手順としてサイフォン吸引を使用するために本発明の方法及び装置を様々に採用する当業者を教示するための代表的ベースであると解釈されたい。
【0028】
本開示では、入力部、入口、出口、ポート、接続部、ウェル、チャンバ、リザーバ及び同様の言葉を区別せず、これはすべて流体が流体ネットワークに入るか、又はそこから出ることができる手段を指す。
【0029】
本開示では、「サンプル」という用語は、より複雑な混合物の成分として分離又は検出されるか、又は前駆体種として合成される任意の流体、反応物、溶液又は混合物を包含するものと理解される。
【0030】
本開示では、「流体連通」又は「流体接続」という用語は、構成要素間で流体の流れを可能にするように動作自在に相互接続された構成要素を定義するものとする。例示的実施形態では、分析プラットホームは流体タイルを備え、タイルが回転すると、求心力によってタイル上の流体の運動が刺激される、及び/又は重力によってタイル上の流体の運動が刺激される。
【0031】
本明細書では、「生物学的サンプル」、「対象サンプル」又は「生物学的流体サンプル」という用語は、生物学的に誘導された任意の分析サンプルを意味すると理解され、それはDNA、血液、血漿、血清、リンパ、唾液、涙、髄液、尿、汗、植物及び野菜の抽出物、精液、水、食物又はこのようなサンプルの任意の細胞又は細胞成分を含むが、これらに限定されない。
【0032】
例示的な実施形態に係るサイフォン吸引効果について、図1を参照しながら説明する。流体を包含する上部リザーバ100と下部リザーバ102とをサイフォン104で流体接続することができる。サイフォン104は、上部リザーバ100に包含される流体、特に液体を下部リザーバ102に移送するように動作する。上部リザーバ100内の液体は、上部リザーバ100内の入口点106にてサイフォン104に入る。次に、液体は入口点106からサイフォン104を上昇してサイフォン104の高点108へと移動し、高点108は上部リザーバ100内の液体表面より上にある。次に、液体は、高点108から下降してサイフォン104の放出点110へと移動し、放出点110は下部リザーバ102内にある。
【0033】
サイフォン104は上部リザーバ100内の液体を下部リザーバ102へと輸送するが、それは重力によって、サイフォン104の放出点110における液体の静水圧が下部リザーバ102内の周囲圧より高くなるからである。放出点110が大気中へと放出する場合、サイフォン104の放出点110における液体の静水圧は大気圧より高い。液体は入口点106にてサイフォン104に引き込まれ、上部リザーバ100の表面より上に上昇するが、これは重力によって、サイフォン104の高点108付近の液体の静水圧が大気圧より低くなるからである。
【0034】
上部リザーバ100内の液体の表面から高点108までの最大高さは、上部リザーバ100内の液体の表面における圧力及び放出点110における圧力(大気圧)、液体の密度、及び液体の蒸気圧によって制限される。液体内の圧力が液体の蒸気圧より低下すると、高点108で蒸気の泡が形成し始めることがあり、サイフォンの効果が喪失する。標準大気圧での水では、上部リザーバ100内の液体の表面から高点108までの最大高さは約33フィート(1005.84cm)である。
【0035】
いったん開始すると、液体が上方向に流れて上部リザーバ100を出る動作を維持するために、サイフォン104は追加のエネルギーを必要としない。サイフォン104は、上部リザーバ100内のレベルが吸入点106より下へと低下して、空気又は他の周囲気体がサイフォン効果を中断できるまで、上部リザーバ100から液体を引き出すことができる。さらに、サイフォン効果を任意の用途に適用する場合は、サイフォン104の流体流路のサイズを要件に密接に合わせることが重要になることがある。流体流路は、例えばパイプ、管、毛管、及び液体を搬送することができる他の通路とすることができる。断面又は直径が大きすぎる流体流路を使用し、弁又は収縮性の流体流路を使用して流れを絞ると、気体又は蒸気が高点108に集まる効果を高めるようであり、これは真空を破壊してサイフォン効果を喪失させる働きをすることがある。
【0036】
例示的な実施形態による液体アッセイの部分又は完全洗浄用洗浄サイフォンの概略について、図2を参照しながら説明する。洗浄サイフォンの概略図は、反応器チャンバ200、洗浄緩衝液チャンバ202、サンプル結合チャンバ204、溶離緩衝液チャンバ206、最終サンプルチャンバ208、及び廃棄物チャンバ210を含む。洗浄緩衝液チャンバ202、サンプル結合チャンバ204、及び溶離緩衝液チャンバ206は、反応器チャンバ200と流体連通させることができる。反応器チャンバ200は、最終サンプルチャンバ208と流体連通させることができる。反応器チャンバ200は、サイフォン212を介して廃棄物チャンバ210と流体連通させることができる。サイフォンは、反応器チャンバ200と廃棄物チャンバ210との間の流体流路である。
【0037】
サイフォン212は、反応チャンバ200の出口から上方向に距離L2という高さを有し、距離L2はゼロより大きい。サイフォン212は、溶離緩衝液チャンバ206及び/又は溶離緩衝液チャンバ206に含まれる液体から距離L1という高さまで延在し、ここで距離L1はゼロより大きい。距離L1は、反応チャンバ200内の溶離緩衝液及びサンプル(溶離液)を採取する場合に、反応チャンバ200に含まれるいかなる液体(溶離液)も、最終サンプルチャンバ208へと流れるのではなく、サイフォン212を通って廃棄物チャンバ210へと流れるのを防止するために、ゼロより大きい。
【0038】
サイフォン212は、洗浄緩衝液チャンバ202及びサンプル結合チャンバ204の出口から上方向に距離L4という高さまで延在し、ここで距離L4はゼロより大きい。ビーズを洗浄し、ビーズと相互作用及び結合しない残りのサンプルがあればすべて除去する場合に、反応チャンバ200に含まれるいかなる液体も、サイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと流れるのではなく、洗浄緩衝液チャンバ202及び/又はサンプル結合チャンバ204へと逆流するのを防止するために、距離L4はゼロより大きい。
【0039】
廃棄物チャンバ210は、反応チャンバ200の出口より下方向の距離L3に、又は廃棄物チャンバ210内の液体レベルと反応チャンバ200内の液体レベルとの間の距離L3に位置決めされ、ここで距離L3はゼロより大きい。液体が反応チャンバ200からサイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと流れることができるように、距離L3はゼロより大きい。
【0040】
例示的実施形態では、サイフォン212を通る流路は、反応チャンバ200からその最高点までに、反応チャンバ200内の液体の容積と比較すると小さい幾何学的容積を有し、それにより滑らかな流れを確保する。さらに、サイフォン212を通る流路などの流路は、粒子状溶液(例えば細胞及び/又はビーズ)が均質な液体と同じほど容易に流路を通って流れるほど十分に大きい一方、サイフォン吸引効果が泡の形成によって有意に破壊されないほど十分に小さくすることができる。一例では、サイフォン212を通る流路などの流路は、約50ミクロンから少なくとも1mmの断面寸法又は直径を有することができる。流路は、約300ミクロンの断面寸法又は直径を有することができることが好ましい。
【0041】
例示的な例では、液体アッセイを部分又は完全洗浄するサイフォン洗浄方法は、サンプル結合チャンバ204を反応チャンバ200に流体接続することによって開始する。サンプル結合チャンバ204に含まれるサンプルは、ビーズ(例えば磁性又は非磁性、ガラス、ポリスチレン、シリカ、ナノ結晶、ポリマー表面及びPSストレプトアビジンビーズ)とともに反応チャンバ200に流入する。サンプルの一部は、ビーズと選択的に相互作用して、ビーズと結合する。次に、反応チャンバ200と廃棄物チャンバ210との間の流体の流れを開始することができる。反応チャンバ200内の上澄み液を反応チャンバ200から抽出し、サイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと移送してもよい。洗浄緩衝液チャンバ202を反応チャンバ200と流体接続してもよい。洗浄緩衝液チャンバ202に含まれる洗浄緩衝液は、次に反応チャンバ200に流入する。洗浄緩衝液は、ビーズに付着するサンプルの結合特性と干渉せず、ビーズを洗浄して、ビーズと相互作用及び結合しない残りのサンプルがあればすべて除去することが好ましい。次に、洗浄緩衝液を反応チャンバ200から取り出し、サイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと移送してもよい。例示的な実施形態では、洗浄緩衝液を反応チャンバ200へと移送した後であるが、洗浄緩衝液を反応チャンバ200からサイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと移送する前に、ビーズ溶液を洗浄緩衝液中へ再浮遊させ、反応チャンバ200の底部でビーズを再ペレット化した後に、余分な洗浄緩衝液をサイフォン212を介して廃棄物チャンバ210へと誘導できると有利である
【0042】
次に、反応チャンバ200内のビーズに付着したサンプルを除去し、最終サンプルチャンバ208へと移送してもよい。サンプルを反応チャンバ200から除去するために、溶離緩衝液チャンバ206を反応チャンバ200と流体接続してもよい。溶離緩衝液チャンバ206に含まれる溶離緩衝液は、反応チャンバ200へと流入することができる。溶離緩衝液は、ビーズに付着したサンプルの相互作用を変化させて、サンプルをビーズから解放することが好ましい。反応チャンバ200内の溶離緩衝液及びサンプル(溶離液)は、反応チャンバ200を最終サンプルチャンバ208と流体接続することによって、最終サンプルチャンバ208へと移送してもよい。最終サンプルチャンバ208によって、サンプルをプロトコルの次のステップで、又は別の処理に使用可能にすることができる。
【0043】
特に、反応チャンバ200からサイフォン212を介して廃棄物チャンバ210への流体の流れは、サイフォン212のプライミングによって開始されることが可能である。サイフォン212のプライミングは、サイフォン212の流体流路を十分な液体で充填させ、それによって廃棄物210内にあるサイフォン212の放出点における液体の静水圧を廃棄物チャンバ210内の周囲圧より高くすることを含む。
【0044】
サイフォン212は幾つかの異なる方法でプライミングされることができるが、それは反応チャンバ200に加えられる圧力を増大させる、反応チャンバ200に接続されたサイフォン212に加えられる圧力を減少させる、弁の開閉、ポンプ、自動プライミング、及び/又はベル(気体に誘発された液体変位を組み込む)を含むが、これらに限定されない。自給式サイフォンは、反応チャンバ200内の液体の量が所定の量を超えた場合に、反応チャンバ200と廃棄物チャンバ210との間で流体の流れを開始することにより、反応チャンバ200を自動洗浄チャンバへと変換することができる。弁起動のサイフォンによって、反応チャンバ200内の液体の量に関係なく、洗浄ステップをいつ実行するかの厳密な決定を可能にすることができる。開示された洗浄サイフォンの使用者は、均一アッセイか異種アッセイかに関していかなる違いも知覚できないことがある。何故なら、洗浄が使用者に見えず、例えば自動プライミング又は弁起動によって支配されているからである。
【0045】
流入する液体の流れる時間の展開に関係なく、満杯状態と空の状態との間で交互にチャンバ内の液体の容積又はレベルを加減するために、自給式サイフォンを使用することができる。自給式サイフォンを使用することにより、反応チャンバ200に含まれる液体の容積に従ってサイフォン212のプライミングを起動することができる。自給式サイフォンを使用することにより、反応チャンバ200に含まれる液体の容積に従ってサイフォンのプライミングを起動することができる。例示的実施形態では、反応チャンバ200内の液体の容積が所定の容積(例えば200μL)に到達すると、自給式サイフォンがプライミングされる。反応チャンバ200内の液体の容積が例えば200μLに到達すると、サイフォンがプライミングされ、サイフォンの流路を通って廃棄物チャンバ210への流体の流れを開始する。
【0046】
洗浄の目的は、例えば別の処理のために洗浄液を抽出する、洗浄液を廃棄する、及び/又は残りの状態(例えば酸素交換)を変更させることとすることができる。サイフォン吸引される液体は均質又は異質であることがあり、例えば、液体はビーズ、細胞、及び又は粒子を含有することがある。液体は、例えば、水、アルコール、溶剤、及び/又は生物学的サンプルなどの様々な液体の均質又は異質混合物とすることができる。液体は、様々な変動する大気圧に適用できる場合、様々な液体の均質又は異質混合物とすることができる。
【0047】
サイフォン212の挙動は、重力及び/又は慣性加速度(例えば遠心力)によって支配することができる。支配する力は、(遠心力のように空間と時間の両方で)一定でも変動してもよい。サイフォン212の挙動を支配する力を同時又は別個に使用して、同じアッセイの異なる相の分離ステップ、例えば、ビーズのペレット化、細胞分離、及び/又は血液分画を実行することができる。
【0048】
洗浄サイフォンは、流体構成が再現可能であり、外部手段なしに画定されるので、予測可能で再現可能な洗浄作用を可能にすることができる。洗浄サイフォンは、望ましくない量の洗浄液を残さずに、反応チャンバ200からの完全な液体抽出を保証することができる。洗浄サイフォンは、連続的な洗浄ステップの流れを別々の洗浄容量の断続的な鎖に変換し、事実上、洗浄効率を改良可能にすることができる。サイフォンに誘発された洗浄は所望の回数だけ繰り返すことができ、これは破壊されている隔壁などのような不可逆的弁機構とは異なる。
【0049】
洗浄サイフォンは、特定のデバイス又は装置に組み込むことができるが、マイクロプレート、エッペンドルフ型管、及び生化学及び化学に使用される従来の管のような汎用フォーマットに組み込むこともできる。例示的実施形態では、液体アッセイを部分又は完全洗浄する洗浄サイフォンは、流体タイル内に組み込むことができ、これは特許出願PCT/US2010/031411号に記載されたタイプとすることができ、その教示は参照により本明細書に組み込むものとする。流体タイルは、求心システム内で使用することができ、それは遠心ロータ、及びマイクロ流体プラットホーム、さらに求心力で刺激された流体のマイクロ操作及びマクロ操作を提供する幾つかのその応用などであるが、これらに限定されない。しかし、本明細書で開示する手段は、例えば重力、機械的マイクロポンプ、電界、音響エネルギーの印加、及び外圧など、流体輸送を実行する他の力に依存するマイクロ流体及びマクロ流体構成要素でも等しく適用可能である。
【0050】
求心システム(例えば遠心機)内の流体タイルの代表的な適用は、矩形のデバイスを採用し、回転軸をデバイスのフットプリントの外側に位置決めする。例示のために、図面、さらに説明では概ねこのようなデバイスに言及する。長円形及び円形のデバイス、不規則な表面及び容積を含むが、これらに限定されない矩形のデバイス以外の他の形状も、本開示の範囲に入り、回転軸が本体構造を通るデバイスが、特定の用途には有利なことがあることを理解されたい。
【0051】
混合は、求心システム内で振盪することによって実行されてもよい。例えば例示的な実施形態では、求心システムは、1方向で約1000rpmなどに加速し、その後に代替方向で突然減速するというシーケンスを実行するようにプログラムすることができる。別の例として、磁石、電磁石、ばね又は機械的要素によって、回転するロータに加速度を加えることができる。ロータは、それに応じて共振し、回転により励起された振動を発生することができ、これがサンプルの混合向上を誘導する。これによって、求心システム内のタイル内で幾つかの反応物、サンプル、生物学的サンプルなどを一緒に混合し、さらに液体に含有される粒子を再浮遊させることができる。
【0052】
例示的な実施形態によるサイフォン洗浄を組み込んだ流体タイルについて、図3を参照しながら説明する。流体タイル300は、第1基質(マクロ流体基質)及び第2基質(マイクロ流体基質)から形成される実質的に平面の物体である。流体タイル300は、3つ以上の基質から形成されることができることも理解されたい。第1及び第2基質は任意の幾何学的形状とすることができる。第1基質は、マクロ流体構造302を形成する凹部、空隙又は突起を有する。第2基質は、マイクロ流体構造304を形成する凹部、空隙又は突起を有する。第2基質はマイクロ流体構造304を有するように図示されているが、第2基質はマクロ流体構造を有してもよい。第2基質内のマイクロ流体構造304は、第1基質と第2基質とを相互に結合した場合に、第1基質内のマクロ流体構造302に対応してよい。マイクロ流体構造304及びマクロ流体構造302は、一連の弁、チャンバ、リザーバ、反応器、毛管、反応チャンバ、反応カラム、溶離カラム、電気泳動チャンバ、イオン交換マトリクス、マイクロ反応器及びマイクロ毛管、及び/又は他のタイプの構造から構成されてよい。
【0053】
例示的な実施形態では、第1及び第2基質はその間に挟まれた薄膜層を有する。薄膜層によって、基質内の空隙を分離し、マイクロ流体回路304を形成することができ、これを薄膜層の孔によって基質内に含まれるマクロ流体構造302と流体連通させることができる。第1基質と第2基質とをその間の薄膜層内で結合することができる。さらに、薄膜層は、電磁気発生手段からの電磁放射によって穿孔することができる。薄膜層は弁マトリクスとすることができ、これは特許出願WO04050242A2号(‘242号出願)に記載されたタイプでよく、ここで薄膜層は弁を起動するように穿孔される。‘242号出願の教示は、参照により本明細書に組み込むものとする。
【0054】
図3に示すように、流体タイル300は、ウェル又はチャンバなどの複数のマクロ流体構造302、及びマクロ流体構造302間に流体流路を提供するように構成される複数のマクロ流体構造304を有する実質的に矩形の構造である。マクロ流体構造302は、第1基質内に含まれる少なくとも1つの他の流体ハンドリングマクロ流体構造302と流体連通させる、及び/又は第2基質内に含まれる少なくとも1つのマイクロ流体回路304と流体連通させされてよい。マイクロ流体構造304は、洗浄サイフォン306を包含してよい。洗浄サイフォン306は、チャンバ308とチャンバ310との間に流体流路を提供してよい。
【0055】
特定のマイクロ流体構造又は回路304及び/又は特定のマクロ流体構造302の機能性を流体タイル300内で構成し、選択されたサンプル又は生物学的サンプルで所望のアッセイ、反応、洗浄手順、及び他の手順を実行することができる。任意のマイクロ流体的、マクロ流体的、又は流体的アッセイ、反応、又は手順を流体タイル300内で構成し、所望の機能性を得ることができる。さらに、流体タイル300は、当技術分野で知られているサンプル容積を使用して、このようなプロセス又は手順を実行可能にすることができる。例えば、核酸精製及び免疫学的アッセイの処理のステップ及びプロセスのうち1つ又は複数を流体タイル300に組み込めることを理解されたい。
【0056】
例示的実施形態により流体タイル内で液体アッセイを部分又は完全洗浄する洗浄サイフォンについて、図4を参照しながら説明する。図示のように、流体タイル400は、第1基質内のマクロ流体構造302を有し、精製チャンバ402、洗浄チャンバ404、サンプルチャンバ406、ビーズチャンバ408、溶離チャンバ410、廃棄物チャンバ412、及びサンプル採取チャンバ414を有する。マクロ流体構造302は、約1から数百マイクロリットルの容積、又は最大約数ミリリットルの容積を有してよい。例示的実施形態では、精製チャンバ402、サンプルチャンバ406、ビーズチャンバ408、溶離チャンバ410、及びサンプル採取チャンバ414は、約1から数百マイクロリットルの容積を有し、洗浄チャンバ404及び廃棄物チャンバ412は数分の1ミリリットルから約数ミリリットルの容積を有する。
【0057】
流体タイル400は、第2基質内にマクロ流体構造302に対応するマイクロ流体構造304を包含する。マイクロ流体構造304は洗浄サイフォン416を有する。洗浄サイフォン416は、精製チャンバ402と廃棄物チャンバ412との間の流体流路である。例示的実施形態では、洗浄サイフォン416を通る流路は、精製チャンバ402からその最高点までに、精製チャンバ402内の液体の容積と比較すると小さい幾何学的容積を有し、それにより滑らかな流れを確保する。さらに、洗浄サイフォン416を通る流路などの流路は、粒子状溶液(例えば細胞及び/又はビーズ)が均質な液体と同じほど容易に流路を通って流れるほど十分に大きい一方、サイフォン吸引効果が泡の形成によって有意に破壊されないほど十分に小さくすることができる。例示的な例では、洗浄サイフォン416を通る流路などの流路は、約50ミクロンから少なくとも1mmの断面寸法又は直径を有することができる。流路は、333ミクロン×333ミクロンの矩形の断面を有することができることが好ましい。図示のように、333ミクロン×333ミクロンの矩形断面を有する洗浄サイフォン416の場合、約1マイクロリットルが占有する長さは約1cmである。その結果、数百マイクロリットルの流体容積を操作する場合、長さ数センチメートルの洗浄サイフォン416内にある液体の容積は、精製チャンバ402内にある液体の総容積の小さいパーセンテージでなければならない。
【0058】
サイフォン416は、精製チャンバ402内の液体の容積が250μLを超えた場合にプライミングされる精製チャンバ402と流体連通する状態で位置決めされる。例示的実施形態では、サイフォン416は自給式サイフォンである。サイフォン416は、精製チャンバ402内の液体の容積が所定の容積(例えば250μL)に到達するとプライミングされる。精製チャンバ402内の液体の容積が250μLを超えた場合、廃棄物チャンバ412が通気されているか、又は少なくとも精製チャンバ402より高い圧力ではないという条件で、液体が自動的にサイフォン416を充填する。精製チャンバ402内の液体レベルがサイフォン416の高さを超えるとすぐに、サイフォン416がプライミングされ、サイフォン416から廃棄物チャンバ412への流路を通る流体の流れを開始する。
【0059】
精製チャンバ402内の液体がサイフォン416に入る点は、精製チャンバ内の液体レベルが250μLに到達した場合に精製チャンバ402内の液体レベルより低くなるように位置決めされる。サイフォン416の入口の位置が高すぎる、例えば精製チャンバ402の液体レベルより上、又はそのすぐ下である場合、サイフォン416の入口より上にある液体によって加えられる圧力の量は、毛管張力を克服すべき場合に、特に狭いサイフォンの断面又は直径で、いかなる液体も流れるには不十分になることがある。他方で、サイフォン416の入口の位置が低すぎる場合、例えば精製チャンバ402のすぐ底部にある場合、精製チャンバ402内の粒子状物質(例えばビーズ)が液体とともに精製チャンバ402から流出することがある。したがって、サイフォン416の入口は、可能な限り低い位置にしながら、それでも粒子状物質が精製チャンバ402の底部でペレット化された場合に精製チャンバ402内にある粒子状物質が占有する容積によって画定されるレベルより上にできると有利である。
【0060】
精製チャンバは、精製チャンバ402内の液体の容積が250μLを超えない場合に、閉じたチャンバとして挙動する。何故なら、サイフォン416がプライミングされないからである。精製チャンバ402内の液体の容積が実際に250μLを超えると、サイフォン416がプライミングされ、精製チャンバ402へのサイフォン416の流体的接続部より上にある液体の量が、廃棄物チャンバ412へと完全に流れる。サイフォンの洗浄又は動作後、サイフォン416の内容は廃棄物チャンバ412へと完全に空けられる。次に、新しい液体を精製チャンバ402に注入することができ、精製チャンバ402は、まるで精製チャンバ402が以前に使用されたことがないかのように挙動する。
【0061】
例示的な実施形態により仮想レーザ弁を使用して流体タイル400内のサイフォン洗浄を調整することについて、図5を参照しながら説明する。流体タイル400の第1基質に含まれるマクロ流体構造302、及び流体タイル400の第2基質に含まれるマイクロ流体構造304は、弁マトリクス内の接続毛管に対して異なる面に位置決めされ、照射によって選択された位置に穿孔することができる薄膜層によって分離され、したがって仮想レーザ弁を生成する。
【0062】
サイフォン洗浄方法の流体ハンドリングプロセスは、マクロ流体構造302とマイクロ流体構造304とを流体連通させるように仮想レーザ弁を開放することで開始し、流体にかかる重力又は慣性加速度のように、流体タイル400の底部に向かって誘導された力を加えると、流体を流すことができる。しかし、弁機構は機械的弁などのように、当技術分野で知られている異なるタイプであってもよい。移動の対象となる液体又は流体の量は、弁の位置によって割り出すことができる。何故なら、対応する弁より上に含まれる流体が弁を通って移動できるからである。このプロセスは複数のその後の層で再現することができ、それによって様々な桁にわたって連続的に希釈する、2つ以上のタイプの液体を相互に混合する、所与の時間量だけ流体を反応器内で保温する、又はマトリクス層上にてリアルタイムでプロトコルを実行することも可能になる。
【0063】
仮想レーザ弁をサイフォン洗浄に使用して、サイフォン416をプライミングしてもよい。特に、仮想レーザ弁を使用して、弁が空気へと流れる空気の容量、空気へと流れる液体の容量、又は液体へと流れる液体の容量を分離する場合に、サイフォン416をプライミングする、及び/又は制御するために使用してもよい。液体へと流れる空気の容量間に弁が位置決めされた場合、サイフォン416を完全に空けて、サイフォン416の望ましくない自動プライミングを防止することができる。
【0064】
特に、図5に示すように、サイフォン416と廃棄物チャンバ412との間の流体連通点は、所望の機能性のために特定の仮想レーザ弁(VLV)を作動させて選択することができる。廃棄物412内の液体の内側に流体連通が位置決めされ(液体へと流れる空気の容量)、VLV500が作動すると、サイフォン416の偶発的なプライミングを防止することができる。VLV500の作動はサイフォン416の偶発的なプライミングを防止するが、それはサイフォン416に含まれる空気の変位が、泡生成のために追加のエネルギーを必要とするからである。すなわち、サイフォン416をプライミングするために、精製チャンバ402内で250μLの液体容積(液体へと流れる液体の容量)が過剰になる必要がある。このヒステリシス特性は、例えば毛管現象によるサイフォン416の自動プライミングを回避するのに有利なことがある。
【0065】
廃棄物チャンバ412内の液体の外側に流体連通が位置決めされ(空気へと流れる空位の容量)、VLV502が作動すると、250μLの液体容積が精製チャンバ402に含まれるとすぐに(空気へと流れる液体の容量)、しかし毛管及び泡が存在する構成によっても、サイフォン416の容易なプライミングを可能にすることができる。
【0066】
サイフォン416のプライミングを開始するために、廃棄物チャンバ412内の流体連通点、VLVの作動部を廃棄物チャンバ412内の液体の外側に位置決めし、精製チャンバ402の内容が廃棄物チャンバ412へと空けられると、廃棄物チャンバ412内の液体の中にすることが有利なことがある。この方法により、サイフォン416を液体小滴がない状態に維持することを可能にすることができる。すなわち、廃棄物チャンバ412内の液体に対して廃棄物チャンバ412内の適切な位置で流体連通点、VLVの作動部を生成すると、サイフォン416のプライミングを調整することができる。最初の推定では、廃棄物チャンバ内の流体連通点の位置、VLVの作動部は、サイフォン416のプライミングが一定のサイフォン高さで実行されると、精製チャンバ402から廃棄物チャンバ412への液体の移送に影響しないはずである。
【0067】
仮想レーザ弁を使用し、マイクロ流体構造304を通してマクロ流体構造302を通気することができる。図5に示すように、VLV、例えば1つ又は複数のVLV504を作動させ、マクロ流体構造内の空気容量を流体接続すると、マイクロ流体構造を介したマクロ流体チャンバの通気を可能にすることができる。通気により、マクロ流体構造間の流体の容易な流れを可能にすることができる。
【0068】
例示的な実施形態による流体タイル400内の仮想レーザ弁で調整したサイフォン洗浄手順について、図6から図13を参照しながら説明する。サイフォン洗浄方法の流体ハンドリングプロセスは、通気目的などのために仮想レーザ弁を開放して、選択的にチャンバを流体連通させ、重力又は慣性加速度などの流体タイル400の底部に向けられた力を加えて、マイクロ毛管又は毛管などの流体流路を通して流体を1つのチャンバから別のチャンバへと流すことによって実行される。仮想レーザ弁を作動させて、サンプルを含むサンプルチャンバ406及びビーズ(例えば磁性又は非磁性、ガラス、ポリスチレン、シリカ、ナノ結晶、ポリマー表面及びPSストレプトアビジンビーズ)を含有するビーズチャンバを精製チャンバ402と流体連通させることができる。次に、サンプルチャンバ406に含まれるサンプルが、流体流路600を通して精製チャンバ402に流入することができる。次に、ビーズチャンバ408内に含まれるビーズは、流体流路602を通して精製チャンバ402に流入することができる。精製チャンバ402内で、サンプルはビーズと選択的に相互作用し、その結果、サンプルの一部がビーズに結合する。
【0069】
流路600及び602は、精製チャンバ402の頂部で精製チャンバ402と連通してよく、それによって流体が精製チャンバ402の空気容量に流入することができる。流路600及び602は他の位置で精製チャンバ402と連通してよく、それによって流体が精製チャンバ402の液体容量に流入することができることに留意されたい。流路600及び602は精製チャンバ402の頂部で精製チャンバ402と連通してよく、それによって流体が精製チャンバ402の空気容量に流入し、その後の作業中に流体が流路600及び602を通って逆流する危険を回避できることが好ましい。
【0070】
さらに、遠心力又は重力などの力を加えることにより、ビーズを精製チャンバ402内に詰め込むか、又はペレット化することができる。遠心力の適切な継続時間及び速度を選択することによって、ビーズを所望のレベルまで詰め込むことができる。ビーズの懸濁液を選択的に移動させる、又は代替的に同じビーズを液体から分離するために遠心力を使用する可能性は、液体自体に対するビーズの浮力特性、及び大きい質量の粒子の限られた拡散速度によって可能になる。
【0071】
サンプルがビーズと相互作用すると、残りの上澄み液を抽出することができる。上澄み液は、精製チャンバ406から抽出して、廃棄物チャンバ412へと移送することができる。精製チャンバ402から上澄み液を抽出するために、仮想レーザ弁700を作動させ、サイフォン416を通して精製チャンバ402と廃棄物チャンバ412とを流体連通させることができる。精製チャンバ402内の液体がサイフォン416に入る点は、ビーズが精製チャンバ402の底部でペレット化された場合に精製チャンバ402内の液体レベルより下で、精製チャンバ402内のビーズが占有する容量によって画定されたレベルより上に位置決めされる。図6に示すように、精製チャンバ402はほぼ満杯である(250μLより多くの液体を包含している)。精製チャンバ402は250μLより多くの液体を包含しているので、サイフォン416は自動プライミングされ、サイフォン416を通る流れを開始する。仮想レーザ弁700は、サイフォン416を容易にプライミングできるように、最初に(図7に示すように)廃棄物チャンバ412内に液体があれば、その液体の外側に位置決めされ、その後はすべての上澄み液が廃棄物チャンバ412へと移送されると、(図8に示すように)廃棄物チャンバ412内の液体中に位置決めされることが好ましい。
【0072】
精製チャンバ402内の上澄み液がすべて廃棄物チャンバ412へと移送された後、精製チャンバ402内でサンプルが付着したビーズを洗浄することができる。精製チャンバ402内でサンプルが付着したビーズを洗浄するために、仮想レーザ弁を作動させ、流体流路900を通して洗浄緩衝液を包含する洗浄チャンバ404と精製チャンバ402とを流体連通させることができる。次に、洗浄チャンバ404内の洗浄緩衝液が精製チャンバ402に流入することができる。流路900は、精製チャンバ402の底部で精製チャンバ402と連通することができ、これによって洗浄緩衝液が精製チャンバ402内のビーズを通って流れることができる。流路900は、他の位置で精製チャンバ402と連通することができ、それによって流体が精製チャンバ402内の液体容量、空気容量、又はビーズに流入できることを理解されたい。例示的実施形態では、流路900は精製チャンバ402の頂部で精製チャンバ402と連通することができ、それによって流体が精製チャンバ402の空気容量に流入し、その後の作業中に流体が流路900を通って逆流する危険を回避することができる。
【0073】
洗浄緩衝液は、ビーズと相互作用していないが、ビーズに付着したサンプルの結合特性と干渉してはならないサンプルが残っている場合は、それをすべて除去するように作用する。精製チャンバ402内の液体の容積が250μLを超えると、サイフォン416が自動プライミングされ、サイフォン416を通る流れを開始する。サイフォン416を通る流れが開始すると、精製チャンバ内の洗浄解消剤が廃棄物チャンバ412へと移送される。さらに、仮想レーザ弁1000を作動させ、サイフォン416の容易なプライミングを可能にするために、最初は廃棄物チャンバ412内に液体があればその外側に位置決めし、その後は洗浄緩衝液が廃棄物チャンバ412へと移送されると、(図11に示すように)廃棄物チャンバ412内の液体中に位置決めすることができる。
【0074】
精製チャンバ402内の洗浄緩衝液が廃棄物チャンバ412へと移送された後、精製チャンバ402内のビーズに付着したサンプルを採取することができる。精製チャンバ402内のサンプルを採取するために、仮想レーザ弁を作動させ、流体流路1200を通して溶離緩衝液を包含する溶離チャンバ410と精製チャンバ402とを流体連通させることができる。次に、溶離チャンバ410内の溶離緩衝液が精製チャンバ402に流入することができる。流路1200は、精製チャンバ402の底部で精製チャンバ402と連通することができ、それによって溶離緩衝液が精製チャンバ402内のビーズを通って流れることができる。流路1200は他の位置で精製チャンバ402と連通することができ、それによって流体が精製チャンバ402内の液体容量、空気容量、又はビーズに流入できることを理解されたい。例示的な実施形態では、流路1200は精製チャンバ402の頂部で精製チャンバ402と連通することができ、それによって流体が精製チャンバ402の空気容量に流入し、その後の作業中に流体が流路1200を通って逆流する危険を回避することができる。
【0075】
溶離緩衝液は、ビーズに付着したサンプルの結合特性と干渉するように作用し、その結果、ビーズからサンプルを解放する。サンプルがビーズから解放されると、採取チャンバ414内でサンプルを採取することができる。精製チャンバ402内でサンプルを採取するために、仮想レーザ弁を作動させて、流体流路1300を介して溶離緩衝液中にサンプルを含む精製チャンバ402とサンプル採取チャンバ414を流体連通させることができる。次に、精製チャンバ402内のサンプルがサンプル採取チャンバ414に流入することができる。サンプルがサンプル採取チャンバ414へと移送されると、サンプルをプロトコルの次のステップに、又は別の処理に使用可能にすることができる。
【0076】
精製チャンバ402をサンプル採取チャンバ414に流体接続する流路1300に精製チャンバ402を接続する弁は、ビーズが精製チャンバ402の底部でペレット化された場合に精製チャンバ402内の液体レベルより下で、精製チャンバ402内のビーズが占有する容量によって画定されたレベルより上に位置決めすることができる。流路1300は、精製チャンバ402内の他の位置で精製チャンバ402と連通できることを理解されたい。流路1300は、精製チャンバ402内でペレット化されたビーズが占有する容量によって画定されたレベルのすぐ上で精製チャンバ402と連通し、それによってビーズを精製チャンバ402内に残しながらサンプルを採取できることが好ましい。
【0077】
さらに、精製チャンバ402を完全に洗浄して、精製チャンバ402内の流体及び/又は材料をすべて除去する場合は、精製チャンバ402を流路1300又はサイフォン416に接続する弁を、精製チャンバ402の底部にあるように位置決めすることができる。弁を精製チャンバ402の底部に位置決めすると、任意の粒子状物質(例えばビーズ)などの精製チャンバ402の内容物をサンプル採取チャンバ414又は廃棄物チャンバ412へと完全に空けることを可能にすることができる。
【0078】
上記実施形態を組み合わせると、ビーズ懸濁液を所与のチャンバに移送すること、サンプルがビーズと特異的に相互作用できるようにサンプルを同じチャンバに分配すること、チャンバからビーズを除去せずに、サイフォン洗浄によりサンプルを選択的に洗浄すること、ビーズによって捕捉されているサンプルの特定の部分を採取することができる溶離緩衝液を添加すること、及び別の処理のために溶離液を採取することが可能になる。この手順は、分子診断、核酸サンプルの準備、免疫学的アッセイの実行などに数々の用途がある。
【0079】
製造及び処理
本開示の実施形態による流体タイルは、特定の用途に適切な様々な組成及び表面コーティングを有することができるので有利である。流体タイルの組成は、構造的要件、製造プロセス、反応物の適合性、及び耐薬品性特性の機能になるようである。特に、流体タイルのマイクロ流体基質及びマクロ流体基質は、例えばシリコン、シリカ、石英、不活性金属などの無機結晶質又は非晶質材料、プラスチック、例えばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アセトニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン及びメタロセンなどの有機材料から作成することができる。これらは、未改質又は改質表面で使用することができる。
【0080】
これらの材料の表面特性は、特定の用途に合わせて改質することができる。表面の改質は、当技術分野で知られているような方法で達成することができ、それはシラン処理、イオン注入及び不活性ガスプラズマでの化学的処理を含むが、これらに限定されない。流体タイルもこれらの材料の複合体又は組合せで作成することができ、例えば、流体タイルは、例えば流体タイルの検出チャンバなどを構成する光学的に透明な表面を埋め込まれたポリマー材料で製造される。例えばアレイ、検出器、機能的デバイス、ゲルなどの追加の要素も異質マクロ流体基質に組み込んで、デバイスの組み込みを所与のプロセスにさらに適したものにすることができる。
【0081】
また、流体タイルは、とりわけ、成形、熱成形、打ち抜き及びミリングが容易であるので、ポリエチレンテレフタレート(PET)、共重合で改質したポリエチレンテレフタレート(PETG)、テフロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルメタクリレート及びポリカーボネートなどのプラスチックからも製作することができる。さらに、流体タイルは、シリカ、ガラス、石英又は不活性金属で作成することができる。1つの例示的な実施形態でマイクロ流体工学流体回路、毛管、チャンバなどを有する流体タイルは、既知の結合技術を使用し、自身内に形成された相補的マクロ流体チャンバ、ウェル、反応器、精製チャンバなどを有する対向した基質を接合することによって構築することができる。
【0082】
本開示の流体タイルの実施形態のマイクロ流体基質は、光学的に透明又は不透明で隣接する基質、又は部分的に透明又は不透明な基質を射出成形して製作することができる。流体タイルの実施形態のマクロ流体基質は、光学的に透明又は不透明で隣接する基質、又は部分的に透明又は不透明な基質を熱成形して製作することができる。しかし、熱整形はマイクロ流体基質にも等しく適用することができ、組立などの生産費及びキャパシティに関して非常に有利である。基質内の光学的表面を使用して、レーザ弁などの検出分析又は他の流体的作業の手段を提供することができる。ポリカーボネート以外の材料を備える層も、流体タイルに組み込むことができる。
【0083】
流体タイルを形成する基質の組成は、特定の用途、及び流体タイルで使用する反応物との化学的適合性の要件によって主に決定される。電気泳動用途及び電気制御弁などの電気回路を必要とする流体タイルに、電気層及び対応する構成要素を組み込むことができる。集積回路、レーザダイオード、光ダイオード及び抵抗性ネットワークなどの選択的加熱又は冷却区域又はフレキシブル論理構造を形成することができる制御デバイスを、流体タイルの適切に配線した区域に組み込むことができる。乾燥状態で保存できる反応物を、流体タイルの製作中に当技術分野で知られている手段を使用してリザーバに噴霧するか、又は単に固体材料を付着させることによって、適切な開放したチャンバに導入することができる。代替的又は相補的な以前の方法では、マクロ流体基質上で反応物を親油化することが明白で簡単な解決法である。液体反応物は、マイクロ流体及びマクロ流体基質の組立前又はその後に適切なリザーバ内に注入し、その後に流体タイル内の流体回路内で弁作用の手段に使用することができる薄いプラスチック膜を含むカバー層を塗布することもできる。
【0084】
本発明の流体タイルには、流体タイルを形成する基質上で直接製作するか、又は事前に製作したモジュールとして流体タイル上に配置して複数の構成要素を設けることができる。一体の流体構成要素に加えて、回転デバイス内で回転中に、又は静止時に、れんが構成又は1つの流体タイルで、特定のデバイス及びエレメントを流体タイルの外側に位置特定するか、又は最善の方法では流体タイルの構成要素上に位置決めするか、流体タイルと接触した状態で配置することができる。本開示による流体タイルを備えることが最善である流体構成要素は、検出チャンバ、リザーバ、弁機構、検出器、センサ、温度制御素子、フィルタ、混合要素、及び制御システムを含むが、これらに限定されない。
【0085】
さらに、流体タイルは、流体タイルの外側にあって、チャンバを覆うカバー薄膜を包含することができる。カバー薄膜に穿孔することにより、カバー薄膜はサンプル採取を、又はサンプル溶液をチャンバに予め装填することを可能にすることができ、これによりサンプル採取の前に流体タイルの中間保存を可能にすることができる。さらに、カバー薄膜により、より効率的で高速の放射熱伝達を可能にすることができる。カバー薄膜により、チャンバ内のサンプルへの最適な光学的アクセスも可能にすることができる。
【0086】
例示的な実施形態では、本開示の流体タイルのマイクロ流体基質及びマクロ流体基質を、PET/COP/多層又はPP層の熱成形によって製作することができる。マクロ流体基質は、マイクロ流体基質の毛管に対応する空隙、例えば約5〜50個の空隙を包含してよく、空隙間のギャップは1mm以上であってよい。マクロ流体基質は等しく1つの部片又は異なる特性の複数の基質としてよく、例えば、保存、表面特性、熱特性、機械的及び電気的性能に合わせて最適化される。この実施形態では、マイクロ流体基質とマクロ流体基質とが薄膜層によって分離される。薄膜層は、約8μmの厚さを有する簡単な非構造的箔であってよい。薄膜層は、カーボンブラック染料を有するCOPから作成されてよい。さらに、薄膜層はレーザ弁で穿孔し、マイクロ流体基質内の毛管とマクロ流体基質内の空隙を流体連通させてよい。熱結合、積層、感圧性接着剤、活性接着剤などを使用することにより、別個の構成要素、マイクロ流体基質及びマクロ流体基質を密封して、その汚染を防止できることを理解されたい。
【0087】
例示的な実施形態では、薄膜層又は穿孔層は、複数のマイクロ流体構成要素又は構造を、複数のマクロ流体構成要素又は構造又は追加の構成要素又は構造から分離してよい。薄膜層の構造は均質又は異質でよく、例えば多層及びコーティングを含む。本開示によれば、薄膜層又は穿孔層は、ポリ(メチルメタクリレート)などのポリマー化合物、又は低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリスチレン(PS)、酢酸エチルビニル(EVA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、環状オレフィンホモポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)などの他の材料から構成されてよい。これらのポリマーは単独で、又は互いに組み合わせて使用されてよい。ポリマーを使用することが好ましいが、それは使用及び製造が容易だからである。例えば追加の表面処理がある、又はない金属箔などの他の選択肢が可能であることは明白である。
【0088】
薄膜層は、予め選択した電磁放射の吸着特性を有する光学又は他の同様の材料又は層をさらに備えてよい。吸収は、十分な量の予め選択された電磁エネルギーを吸収し、その結果、穿孔されるような方法で、例えば金属箔を含むか、表面の光学的性質(n屈折率及びk吸光係数)を改質するなど、光フィルタの吸収に使用されるような既知の改質によって、又は粗さのような他の表面特性によって実行されることができる。他の技術も、例えばカーボンブラック粒子、線量エマルジョン、ナノ結晶などの光吸収小球を利用することができる。さらに、反射層、極性変更層、波長シフト層を使用して、電磁エネルギーの有効吸収を増大させることができる。
【0089】
例示的実施形態では、流体タイルにはサンプル、反応物、緩衝液、生物学的サンプルなどを予備装填することができる。流体タイルに予備装填する目的は、使用者が流体タイル内で処理したいようなサンプル、反応物、生物学的サンプルなどを、使用者が容易に添加可能にできることである。これによって、流体タイル内でサンプル、反応物、生物学的サンプルなどの自動処理を可能にすることができる。流体タイルは、約−80℃から約50℃、約0℃から約50℃、特に約2℃から約8℃から成る温度から、又は流体タイル内に予備装填されたサンプル、反応物、生物学的サンプルなどを保存するのに必要な任意の温度で保存することができる。
【0090】
例示的な実施形態により流体タイルを製造する方法について、図14を参照しながら説明する。マイクロ流体基質及びマクロ流体基質は、それぞれステップ1400及び1402に示すように熱成形されてよい。基質は、ポリプロピレン(PP)の箔ロールから熱成形されてよい。次に、ステップ1406で示すように、薄膜層1404、仮想レーザ弁薄膜層を、マイクロ流体基質に積層してよい。薄膜層1404をマイクロ流体基質に積層して、複数のマイクロ流体構成要素又は構造を複数のマクロ流体構成要素又は構造又は追加の構成要素又は構造から分離してよい。次に、ステップ1408で示すように、マイクロ流体基質及びマクロ流体基質を相互に密封又は結合して、54×86mmの寸法を有する空の流体タイル1410を生成してよい。マイクロ流体及びマクロ流体基質は、マイクロ流体基質とマクロ流体基質を分離する薄膜層1404で、相互に密封又は結合される。したがって、薄膜層1404を選択的に穿孔すると、マイクロ流体基質内のマイクロ流体構造をマクロ流体基質内のマクロ流体構造と流体連通させることができる。
【0091】
代替的に、薄膜層1404は、薄膜層1404の片側又は両側に塗布されたトランスファ接着剤を有してよい。次に、薄膜層1404をマイクロ流体基質及びマクロ流体基質に密封又は結合して、54×86mmの寸法を有する空の流体タイル1410を生成してよい。例示的実施形態では、薄膜層1404は、薄膜層1404を熱成形したマイクロ流体基質上に積層した後、熱成形したマクロ流体基質に面した薄膜層1404の側に塗布されるトランスファ接着剤を有する。マイクロ流体基質とマクロ流体基質は、薄膜層1404に塗布されたトランスファ接着剤を介して相互に密封又は結合され、薄膜層1404がマイクロ流体基質とマクロ流体基質とを分離している。したがって、薄膜層1040を選択的に穿孔すると、マイクロ流体基質内のマイクロ流体構造をマクロ流体基質内のマクロ流体構造と流体連通させることができる。
【0092】
さらに、仕上げ加工した流体タイル1414を生成するためにステップ1412で示すように、薄膜層1404を使用して熱成形したマクロ流体基質を密封1408する前に、マクロ流体基質内の熱成形マクロ流体構造にサンプル、反応物、緩衝液、生物学的サンプルなどを装填してよい。さらに、仕上げ加工した流体タイル1414を包装、出荷及び/又は保存してよい。仕上げ加工した流体タイル1414の包装は、仕上げ加工した流体タイル1414のカートン詰め又はパレット梱包を含むことができる。各サンプル、反応物、緩衝液、生物学的サンプルなどのバーコードラベルを流体タイル1414上に配置してよい。
【0093】
流体タイル1414の製造方法は、包装業の既存のプロセスで実現することができ、例えばPP箔ロール、トランスファ接着剤ロール、薄膜ロール、及びバーコードラベルロールを使用する。2つのレーンがあってもよく、1つはマイクロ流体基質の熱成形用で、1つはマクロ流体基質の熱成形用である。さらに、反応物充填の解決法をモジュール式に組み込んで、連続的な反応物充填ラインを生成することができる。
【0094】
例示的な実施形態では、流体タイルは、薄膜層の使用によって密封することができる入力ポート及び出力ポートを有してよい。入力及び出力ポートを覆う薄膜層の使用は、薬品を発見する際に、反応物を装填する作業と実際のアッセイとの間に標準的マイクロプレートを使用する場合、日常的に実行されている。薄膜層は汚染物質及び微量の流体の蒸発を防止し、その結果、その濃度が変化し、したがってアッセイ又はプロセス条件を変更する。サンプル、反応物、生物学的サンプルなどを入力又は抽出するには、使用者は薄膜層を穿孔又は貫通して、シリンジ、バキュテイナ及び/又はピペットなどであるが、これらに限定されない流体ハンドリングデバイスを入力ポート及び/又は出力ポートに挿入することができる。
【0095】
薄膜層は、流体タイルのマイクロ流体基質とマイクロ流体基質との間に配置できるものと同じ薄膜層でよい。さらに、薄膜層は、ポリマー材料、天然ゴム、又は使用する液体に対して不活性である特徴を有し、液体を導入するために貫通可能である一方、その後は気密性を維持して保存反応物の蒸発を防止する任意の材料から製作することができる。薄膜層は、金属及びポリマー層を含む積層薄膜を加えることによって得ることができる。金属層は気体及び液体に対する低い透過性を可能にし、ポリマー層は流体タイル内の保存反応物の容易かつ効果的な密封を可能にする。さらに、2つの薄膜層の組合せを使用することができ、その一方はマイクロ流体基質とマクロ流体基質との間に配置される薄膜層と一致していてもよい。この二重薄膜構成は、一方の薄膜が外側に向かって他方の薄膜が汚染されるのを防止するので、核酸又は酵素から生じ得る汚染に対する抵抗を改善し、保護されていない環境でサンプル又は反応物を装填又は取り出す作業中に、望ましくない分子が輸送される可能性を低下させることができる。
【0096】
流体タイルは、複数の入力及び出力ポートを有することができる。入力及び出力ポートは、流体タイル内に、装填又は取り出すべき流体の容積に従って恣意的に決定することができる長さを有することができ、連続する入力ポートと出力ポートの間のピッチは、既存の基準及び特定の組み込みの必要性に従って選択することができる。2.25mm、4.5mm又は9mmという名目ピッチ値は、それぞれ1536個、384個及び96個のウェルがあるマイクロタイタプレートの基準に対応する。
【0097】
これらの流体タイルは、求心システムの中でも様々なシステムで処理することができる。遠心力を加えると、適切な弁によって可能になった場合に液体を移送させることができ、この弁は予めプログラムするか、静止時に作動するか、又は回転中に作動することができる。
【0098】
例示的実施形態では、流体タイルはスループットの必要性に従って個別に、又はグループで処理することができる。この実施形態では、流体タイルは静止時に装填し、求心システムを使用して処理することができる。求心システムは、幾つかの用途では事前定義の温度、例えば4℃で動作することができる。2つの流体タイルを求心システム内のロータに装填することができる。しかし、任意の数の流体タイルを、当技術分野で知られている任意の求心システムに装填できることを理解されたい。求心システムは、非同期処理では、直径75cmのロータの場合は600rpm(10Hz)で動作する定速ロータによって、32回の平行試験で駆動することができる。あるいは、求心システムは、直径20cmのロータの場合は2000rpm未満で動作するロータによって駆動することができる。流体タイルは回転軸から一定の距離に位置決めする必要がなく、流体タイルは空間を節約するために複数の列で装填できることを理解されたい。
【0099】
本開示によれば、回転軸に面した、又は回転軸に最も近い入力ポートがあることが好ましい。この位置決めが望ましいのは、求心加速度を受ける流体がロータの外側部分に向かって半径方向に移動する傾向があり、流体を採取するために入力ポートを最適に設計できるからである。この実施形態では、流体タイルは、弁アクチュエータを適正な位置に位置決めするために旋回する求心プラットホーム上で処理することができ、遠心力によって流体タイルの内側の流体を移動させることができる。さらに、約3秒の読み出し時間を有するシステムに、旋回する光検出器を組み込むことができる。これは、第2「光検出器システム」の同軸回転を流体タイルの下で実現することを含んでもよい。
【0100】
本開示の原理、好ましい実施形態及び動作モードについて、以上の明細書で説明してきた。しかし、本開示は、図示の特定の実施形態に限定されない。何故なら、これらの実施形態が限定的ではなく、例示的と見なされるからである。さらに、本明細書で開示し、添付の特許請求の範囲で列挙する本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者による変更及び変化が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイのサイフォン洗浄用装置であって、
精製チャンバと、
前記精製チャンバに流体連通している廃棄物チャンバと、
前記廃棄物チャンバを前記精製チャンバに流体連通させる洗浄サイフォンと、を備える装置。
【請求項2】
前記洗浄サイフォンは、0フィート(0cm)と33フィート(1005.84cm)の間の高さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記精製チャンバ内の液体の容積が約200μLを超えると、前記洗浄サイフォンがプライミングされる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記精製チャンバ内の前記液体の前記容積が約200μLを超えると、前記洗浄サイフォンが前記精製チャンバから前記廃棄物チャンバへの前記液体の移送を開始する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記廃棄物チャンバは前記精製チャンバの垂直に下方に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
アッセイのサイフォン洗浄用装置であって、
少なくとも1つのマクロ流体構造を備える第1基質と、
前記第1基質の前記少なくとも1つのマクロ流体構造に対応する少なくとも1つのマイクロ流体構造を備える第2基質と、
前記第2基質内に前記少なくとも1つのマイクロ流体構造のうち少なくとも1つを形成する洗浄サイフォンと、を備える装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのマクロ流体構造を前記少なくとも1つのマイクロ流体構造から分離する薄膜層をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記薄膜層は電磁照射によって穿孔可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのマクロ流体構造は精製チャンバを有する、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのマクロ流体構造は廃棄物チャンバを有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記洗浄サイフォンは、前記精製チャンバを前記廃棄物チャンバに流体接続する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記洗浄サイフォンは、前記精製チャンバ内の前記液体の容積が約200μLを超えた場合に、前記精製チャンバから前記廃棄物チャンバに液体を移送する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記マイクロ流体及びマクロ流体構造は、毛管、チャネル、検出チャンバ、反応チャンバ、リザーバ、弁機構、反応カラム、溶離カラム、精製カラム、精製チャンバ、検出器、センサ、温度制御素子、フィルタ、混合要素、及び制御システムから構成される群から選択される、請求項6に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの入力ポート及び少なくとも1つの出力ポートをさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項15】
アッセイのサイフォン洗浄方法であって、
精製チャンバと廃棄物チャンバとを流体接続するために、洗浄サイフォンを位置決めする工程と、
前記精製チャンバに液体を流入させるように、少なくとも1つの仮想レーザ弁を作動させる工程と、
前記精製チャンバ内の前記液体の容積が約200μLを超えると、前記洗浄サイフォンによって前記精製チャンバから前記廃棄物チャンバへの流体の流れを開始する工程と、を含む方法。
【請求項16】
前記精製チャンバ内の前記液体の前記容積が約200μLを超えると、前記洗浄サイフォンを介して前記精製チャンバから前記廃棄物チャンバへと前記液体を空にする工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記精製チャンバ内の前記液体が前記廃棄物チャンバに空けられると、最初は前記廃棄物チャンバ内の液体の外側、及び前記廃棄物チャンバ内の前記液体の内側の位置で、前記廃棄物チャンバ内の仮想レーザ弁を作動させる工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
サンプルチャンバに包含されるサンプルを前記精製チャンバに流入させるように、少なくとも1つの仮想レーザ弁を作動させる工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ビーズチャンバに含まれるビーズを前記精製チャンバに流入させるように、少なくとも1つの仮想レーザ弁を作動させる工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
洗浄チャンバに含まれる洗浄緩衝液を前記精製チャンバに流入させるように、少なくとも1つの仮想レーザ弁を作動させる工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項1】
アッセイのサイフォン洗浄用装置であって、
精製チャンバと、
前記精製チャンバに流体連通している廃棄物チャンバと、
前記廃棄物チャンバを前記精製チャンバに流体連通させる洗浄サイフォンと、を備える装置。
【請求項2】
前記洗浄サイフォンは、0フィート(0cm)と33フィート(1005.84cm)の間の高さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記精製チャンバ内の液体の容積が約200μLを超えると、前記洗浄サイフォンがプライミングされる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記精製チャンバ内の前記液体の前記容積が約200μLを超えると、前記洗浄サイフォンが前記精製チャンバから前記廃棄物チャンバへの前記液体の移送を開始する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記廃棄物チャンバは前記精製チャンバの垂直に下方に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
アッセイのサイフォン洗浄用装置であって、
少なくとも1つのマクロ流体構造を備える第1基質と、
前記第1基質の前記少なくとも1つのマクロ流体構造に対応する少なくとも1つのマイクロ流体構造を備える第2基質と、
前記第2基質内に前記少なくとも1つのマイクロ流体構造のうち少なくとも1つを形成する洗浄サイフォンと、を備える装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのマクロ流体構造を前記少なくとも1つのマイクロ流体構造から分離する薄膜層をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記薄膜層は電磁照射によって穿孔可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのマクロ流体構造は精製チャンバを有する、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのマクロ流体構造は廃棄物チャンバを有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記洗浄サイフォンは、前記精製チャンバを前記廃棄物チャンバに流体接続する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記洗浄サイフォンは、前記精製チャンバ内の前記液体の容積が約200μLを超えた場合に、前記精製チャンバから前記廃棄物チャンバに液体を移送する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記マイクロ流体及びマクロ流体構造は、毛管、チャネル、検出チャンバ、反応チャンバ、リザーバ、弁機構、反応カラム、溶離カラム、精製カラム、精製チャンバ、検出器、センサ、温度制御素子、フィルタ、混合要素、及び制御システムから構成される群から選択される、請求項6に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの入力ポート及び少なくとも1つの出力ポートをさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項15】
アッセイのサイフォン洗浄方法であって、
精製チャンバと廃棄物チャンバとを流体接続するために、洗浄サイフォンを位置決めする工程と、
前記精製チャンバに液体を流入させるように、少なくとも1つの仮想レーザ弁を作動させる工程と、
前記精製チャンバ内の前記液体の容積が約200μLを超えると、前記洗浄サイフォンによって前記精製チャンバから前記廃棄物チャンバへの流体の流れを開始する工程と、を含む方法。
【請求項16】
前記精製チャンバ内の前記液体の前記容積が約200μLを超えると、前記洗浄サイフォンを介して前記精製チャンバから前記廃棄物チャンバへと前記液体を空にする工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記精製チャンバ内の前記液体が前記廃棄物チャンバに空けられると、最初は前記廃棄物チャンバ内の液体の外側、及び前記廃棄物チャンバ内の前記液体の内側の位置で、前記廃棄物チャンバ内の仮想レーザ弁を作動させる工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
サンプルチャンバに包含されるサンプルを前記精製チャンバに流入させるように、少なくとも1つの仮想レーザ弁を作動させる工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ビーズチャンバに含まれるビーズを前記精製チャンバに流入させるように、少なくとも1つの仮想レーザ弁を作動させる工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
洗浄チャンバに含まれる洗浄緩衝液を前記精製チャンバに流入させるように、少なくとも1つの仮想レーザ弁を作動させる工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−509578(P2013−509578A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535958(P2012−535958)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003302
【国際公開番号】WO2011/051821
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(511250220)スピンクス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003302
【国際公開番号】WO2011/051821
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(511250220)スピンクス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]