説明

疑似体験装置

【課題】機械への挟まりや巻き込まれを擬似的に体験できる疑似体験装置を提供する。
【解決手段】疑似体験装置1は、一対のローラ3、4を互いに接近させた状態でそれぞれ回転駆動する駆動機構5と、上側のローラ3を他方のローラ4から離れる方向に移動可能な移動機構6と、駆動機構5にて互いに接近させた状態で回転駆動されている一対のローラ3、4間への物体の進入を検出する位置センサ75と、前記一対のローラ間に物体が挟まった際の圧力を調整可能な調整手段と、を備えるとともに、位置センサ75が物体の進入を検出した場合に、その検出から所定時間経過後に一対のローラ3、4が互いに遠ざかるように移動機構6を制御し、かつ一対のローラ3、4のそれぞれの回転が停止するように駆動機構5を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械への挟まりや巻き込まれを擬似的に体験できる疑似体験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の機械を用いた工場での労働災害を防止するためには作業者の安全意識を高めることが重要である。機械への挟まりや巻き込まれはこうした災害で代表的なものである。作業者への注意喚起や座学による安全教育は安全意識を高めるための有効な手段の一つであるが、より効果的な対策をこれらとは異なる観点から検討することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、機械への挟まりや巻き込まれを作業者に擬似的に体験させることができれば作業者の記憶に残り易いため安全意識の向上に効果的であるが、このような要求を十分に満足できる適当な装置がなかった。
【0004】
そこで、本発明は、機械への挟まりや巻き込まれを擬似的に体験できる疑似体験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の疑似体験装置は、一対のローラ(3、4)を互いに接近させた状態でそれぞれ回転駆動する駆動機構(5)と、前記一対のローラのうち、少なくとも一方のローラを他方のローラから離れる方向に移動可能な移動機構(6)と、前記駆動機構にて互いに接近させた状態で回転駆動されている前記一対のローラ間への物体の進入を検出する検出手段(75)と、前記検出手段が物体の進入を検出した場合に、前記一対のローラが互いに遠ざかるように前記移動機構を制御し、かつ前記一対のローラのそれぞれの回転が停止するように前記駆動機構を制御する解放制御手段(81、82)と、前記一対のローラ間に物体が挟まった際の圧力を調整可能な調整手段(61、74)と、を備え、前記解放制御手段は、前記検出手段が物体の進入を検出してから所定時間経過後に前記一対のローラが互いに離れるように前記移動機構を制御することにより、上述した課題を解決する。
【0006】
この疑似体験装置によれば、互いに接近させた状態で回転する一対のローラ間に物体が進入した場合に各ローラの回転が停止され、かつ一対のローラが互いに遠ざかる。そのため、作業者等の被験者が模擬手などをローラ間に進入させることにより、被験者に対してローラへの挟まりや巻き込まれを擬似的に体験させることができる。しかも、ローラ間への物体の進入を検出してからローラが遠ざかるまでの間にタイムラグが設定されるので、ローラへ巻き込まれる感覚を効果的に被験者に与えることが可能になる。更に、ローラ間に物体が挟まった際の圧力を調整できるので、ローラ間へ挟まれる感覚の強さを調整できる。
【0007】
本発明の疑似体験装置の一態様において、前記一対のローラのそれぞれの回転が停止するように前記駆動機構が前記解放制御手段にて制御される際に前記一対のローラのそれぞれの慣性を打ち消す方向のトルクを発生させるトルク発生手段(15)を更に備えてもよい。この態様によれば、各ローラの回転が停止される際にはこれらの慣性が打ち消されるため各ローラが惰性で回転することを抑制できる。トルク発生手段は、駆動機構の駆動源から各ローラまでの動力伝達経路内にブレーキを設けたり、駆動機構の駆動源に対するトルク制御を行うことによって実現可能である。
【0008】
本発明の疑似体験装置の一態様において、前記駆動機構には、前記一対のローラのそれぞれを回転駆動するための駆動源として電動機(15)が設けられており、前記電動機の回転速度と目標値との差分が設定値以上となった場合及び前記電動機の負荷が設定値以上となった場合のうち少なくとも一つの条件が成立したときに前記一対のローラのそれぞれの回転が停止するように前記駆動機構を制御する停止制御手段(81、83)を更に備え、前記電動機から前記一対のローラに至る動力伝達経路内に、負荷されるトルクが設定値を超えた場合にトルク伝達を解除するトルクリミッタ(33、34)が設けられてもよい。この態様によれば、電動機の回転速度及び負荷に関する条件の少なくとも一つが成立した場合に各ローラが停止されるとともに、負荷されるトルクが設定値を超えた場合にはトルクリミッタによりトルク伝達が物理的に遮断される。このように多重の安全装置が設けられるため疑似体験装置の安全性が向上する。
【0009】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明の疑似体験装置によれば、互いに接近させた状態で回転する一対のローラ間に物体が進入した場合に各ローラの回転が停止され、かつ一対のローラが互いに遠ざかるため、作業者等の被験者が模擬手などをローラ間に進入させることにより、被験者に対してローラへの挟まりや巻き込まれを擬似的に体験させることができる。しかも、ローラ間への物体の進入を検出してからローラが遠ざかるまでの間にタイムラグが設定されるので、ローラへ巻き込まれる感覚を効果的に被験者に与えることが可能になる。更に、ローラ間に物体が挟まった際の圧力を調整できるので、ローラ間へ挟まれる感覚の強さを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一形態に係る疑似体験装置の要部を示した正面図。
【図2】図1の矢印IIの方向から疑似体験装置を見た状態を示した図。
【図3】図1の矢印IIIの方向から疑似体験装置を見た状態を示した図。
【図4】図1の矢印IVの方向から疑似体験装置を見た状態を示した図。
【図5】移動機構を模式的に示した図。
【図6】制御系の機能を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の一形態に係る疑似体験装置の要部を示した正面図である。図2〜図4は図1の矢印II、III、IVの各方向から疑似体験装置を見た状態を示している。なお、図1では図の見やすさを優先するため他の部材に隠れて見えない一部の部材については透過図として図示されている。これらの図に示すように、疑似体験装置1は移動及び設置が容易なキャスター付きの筐体(不図示)に対して複数のボルト2にて取り付けられている。疑似体験装置1は、上下に並んだ一対のローラ3、4と、各ローラ3、4を回転駆動する駆動機構5と、上側のローラ3を下側のローラ4から離れる方向に、即ち図1の矢印方向に移動させることが可能な移動機構6とを備えている。
【0013】
各ローラ3、4は筐体に固定されたベースプレート7に支持されている。各ローラ3、4は外周が弾力性のあるウレタン樹脂で形成された弾性体のローラとして構成されている。上側のローラ3は軸線Ax1に沿って延びるローラ軸10に固定されている。ローラ軸10は移動機構6にて回転自在に支持されている。下側のローラ4は軸線Ax2(図3)に沿って延びるローラ軸12に固定されている。図3に示したように、ローラ軸12はベースプレート7と、そのベースプレート7に対して平行に延びていて筐体に対してボルト2にて固定された支持プレート9とによって回転自在に支持されている。
【0014】
駆動機構5は、駆動源としての電動機15と、電動機15から各ローラ3、4へ動力を伝達する伝達機構16とを備えている。電動機15は不図示の電源装置に接続されている。電動機15は現在の回転速度及び負荷を検出可能な検出装置18を内蔵している。伝達機構16は、電動機15の動力をローラ3の側及びローラ4の側のそれぞれに分割する動力分割部20と、電動機15の動力を動力分割部20に伝達する一次伝達部21と、動力分割部20にて分割された動力を各ローラ3、4に伝達する2つの二次伝達部22A、22Bとを備えている。
【0015】
動力分割部20は上下に並び互いに平行な一対の回転軸25、26と、各回転軸25、26に固定されかつ互いに噛み合う一対のギア27、28とを備えている。各ギア27、28は同一構成である。これにより、上側の回転軸25に入力された動力は一対のギア27、28にて下側の回転軸26に分割される。図4に示したように、上側の回転軸25は軸線Ax3方向に延びており、下側の回転軸26は軸線Ax4方向に延びている。各回転軸25、26はベースプレート7と、そのベースプレート7に対して平行に延びていて筐体に対してボルト2にて固定された支持プレート29とによって回転自在に支持されている。
【0016】
一次伝達部21は、軸線Ax5の方向に延びるモータ軸15aとカップリング30を介して結合された駆動軸31と、駆動軸31の回転を動力分割部20の回転軸25に伝達するベルト伝達機構32とを備えている。駆動軸31は支持プレート29にて回転自在に支持されている。ベルト伝達機構32は、トルクリミッタ33を介して駆動軸31に取り付けられた駆動プーリ35と、トルクリミッタ34を介して回転軸25に取り付けられた被駆動プーリ36と、各プーリ35、36に巻き掛けられた歯付きベルト37とを備えている。各プーリ35、36には歯付きベルト37と噛み合うプーリ歯が形成されている。電動機15から一対のローラ3、4までの動力伝達経路内にトルクリミッタ33、34が設けられているので、動力伝達経路内に無理なトルクが働いた場合にはトルクリミッタ33、34によってトルク伝達が物理的に遮断されるので疑似体験装置1の安全性が向上する。
【0017】
二次伝達部22A、22Bは、同一の伝達速度比を持つベルト伝達機構としてそれぞれ構成されている。上側の二次伝達部22Aは回転軸25に固定された駆動プーリ40と、上側のローラ軸10に固定された被駆動プーリ41と、移動機構6にて回転自在に支持されたテンションプーリ42と、これらプーリ40〜42に噛み合った状態で巻き掛けられた歯付きベルト43とを備えている。同様に、下側の二次伝達部22Bは回転軸26に固定された駆動プーリ44と、下側のローラ軸12に固定された被駆動プーリ45と、支持プレート9にて回転自在に支持されたテンションプーリ46と、これらプーリ44〜46に噛み合った状態で巻き掛けられた歯付きベルト47とを備えている。
【0018】
駆動機構5が以上の構成を備えているため、電動機15の動力が動力分割部30にて2つに分割され、一方の動力が二次伝達部22Aを経由して上側のプーリ3に、他方の動力が二次伝達部22Bを経由して下側のプーリ4にそれぞれ伝達される。これによって、各プーリ3、4は互いに同一の回転速度で図1の矢印方向に回転駆動される。
【0019】
移動機構6は、軸線Ax3の回りに揺動可能な揺動アーム50と、揺動アーム50を駆動する駆動装置51とを備えている。揺動アーム50は、ベースプレート7を挟むようにして並べられかつ互いに平行な一対のアーム部材53、54と、これら一対のアーム部材53、54を先端側で連結する連結部材55とが組み合わされることによって構成されている。揺動アーム50の基端側は2つのブッシュ57、58を介して回転軸25に対して相対回転可能な状態で連結されている。また、揺動アーム50の先端側の連結部材55は中空円筒状に構成されており、その中空部分は上側のローラ軸10にて貫かれている。連結部材55は2つのブッシュ59、60を介してローラ軸10に対して相対回転可能な状態でローラ軸10に組み付けられている。従って、ローラ3及びローラ軸10が回転状態のままで揺動アーム50を揺動させることができる。
【0020】
駆動装置51は空気圧で作動するエアシリンダ装置61と、エアシリンダ装置61と揺動アーム50の先端側とをリンク結合するリンク部材62とを備えている。図1に示すように、エアシリンダ装置61は、往復動可能な状態で設けられたピストン64と、ピストン64に連結されたピストンロッド65とを備えており、ピストン64の両側にはポート68、69を介して圧縮空気が導入される。図1の状態は、ピストン64が不図示のストッパにて下向きの移動が規制された状態である。ピストンロッド65にはその長さを調整可能なねじ式のナックルジョイント等の調整機構が設けられている。その調整機構によってピストンロッド65の長さを調整することにより、ローラ3、4間のクリアランスCLの大きさを調整できる。クリアランスCLは0、即ち各ローラ3、4が接触した状態から、最大15mm程度まで調整可能である。実機テストを行った結果、クリアランスCLの大きさが10mmの際に模擬手を挟むのに適していることが確認できた。
【0021】
エアシリンダ装置61の各ポート68、69は以下に説明する空気圧回路に接続されている。図5は移動機構6を模式的に示した図である。図示するように、エアシリンダ装置61に接続される空気圧回路Cは、各ポート68、69に接続された2つの通路70、71と、各通路70、71と圧力源73との接続状態を切り替える電磁弁72と、エアシリンダ装置61の伸び側の空気室67の圧力を調整する調整弁74とを有している。この図から明らかなように、電磁弁72が図示の位置にある場合はピストン64の両側に位置する各空気室66、67に圧縮空気が導かれる。調整弁74の操作によって空気室67の圧力が空気室66の圧力よりも減圧されることで、上側のローラ3を下側のローラ4へ接近させる方向の力が働く。この力の大きさを調整弁74の操作量を変化させて調整することによってローラ3、4間に物体が挟まった際の圧力を調整できる。これにより、ローラ3、4間に挟まれる感覚の強さを調整できる。従って、エアシリンダ装置61及び調整弁74とが協働することによって本発明に係る調整手段として機能する。
【0022】
図示の状態から電磁弁72に電圧が印可されると空気室67の圧力が維持された状態で空気室66の圧力が大気圧となる。このため、エアシリンダ装置61が伸び側にストロークして揺動アーム50は図の上向きに揺動する。即ち、移動機構6によって上側のローラ3が下側のローラ4から離れる方向に移動する。なお、エアシリンダ装置61はピストンロッド65の位置を検出する位置センサ75を内蔵している。
【0023】
疑似体験装置1の動作はコンピュータとして構成された制御装置にて制御される。図6は疑似体験装置1の制御系の機能を説明するブロック図である。制御装置80には疑似体験装置1に対する所定の制御プログラムが保持されいる。制御装置80がその制御プログラムを実行することにより、制御装置80には制御実行部81、ローラ間進入判定部82及び電動機動作判定部83が論理的にそれぞれ構成される。
【0024】
制御実行部81は不図示の電源スイッチや各種設定情報を入力するキーボード等の外部入力装置85からの入力情報に基づいて主電源のON・OFF制御、電動機15の回転速度制御や移動機構6を駆動する空気圧回路の圧力源73の制御等を行う。その他にも、制御実行部81はローラ間進入判定部82及び電動機動作判定部83のそれぞれの判定結果に応答して電動機15及び移動機構6の各動作を制御する。
【0025】
ローラ間進入判定部82は一対のローラ3、4の間への物体の進入の有無を判定する。即ち、ローラ間進入判定部82は被験者が疑似体験のために模擬手等の物体をローラ3、4間に進入させたか否かを判定する。その進入の有無はエアシリンダ装置61に内蔵された位置センサ75の信号から、一対のローラ3、4間のクリアランスCLが設定値に設定された状態の基準位置に対するずれ量を検出し、そのずれ量に基づいて判定される。そのずれ量が閾値を超えた場合はローラ3、4間に物体が進入したと判定し、その判定結果を制御実行部81に送る。位置センサ75は本発明に係る検出手段に相当する。
【0026】
制御実行部81はその判定結果を受けてから所定時間経過後に一対のローラ3、4が互いに遠ざかるように移動機構6の電磁弁72を操作する。そして、制御実行部81はこの操作と並行して電動機15を停止させる。電動機15を停止させる際は、各ローラ3、4が惰性で回転することを防止するため、電動機15の出力トルクを反転させて減速期間を可能な限り小さくしている。電動機15の出力トルクを反転させることにより各ローラ3、4の慣性を打ち消す方向のトルクが発生するため各ローラ3、4は直ちに停止する。これにより、被験者は一対のローラ3、4による挟まれ及び巻き込まれから解放されて疑似体験が終了する。このように、電動機15の出力トルクが反転するように制御されることにより、電動機15は本発明に係るトルク発生手段として機能する。なお、上記の所定時間は、巻き込まれの感覚を被験者に効果的に与えるために適切な時間に設定される。所定時間が短すぎると、被験者の体感としては挟まれの感覚が支配的となり巻き込まれを感じなくなるためである。例えば、電動機15の回転速度が1000rpmに設定されている場合、その所定時間を0.1secに設定することにより、その所定時間が巻き込まれの感覚を与えるために有効なタイムラグとなる。
【0027】
電動機動作判定部83は、電動機15に内蔵された検出装置18からの信号に基づいて電動機の回転速度(回転数)及び負荷をそれぞれ監視する。電動機15は回転速度の目標値にて動作するように制御実行部81にて制御されるが、電動機動作判定部83はその目標値と検出装置18が検出する回転速度との差分を演算する。そして、電動機動作判定部83はその差分が所定値よりも大きいか否かを判定し、差分が所定値よりも大きい場合は異常が発生したものと判定し、その判定結果を制御実行部81へ送る。また、電動機動作判定部83は検出装置18が検出する電動機15の負荷が所定値よりも大きいか否かを判定し、負荷が所定値よりも大きい場合は異常が発生したものと判定し、その判定結果を81へ送る。異常の有無を判定するための各所定値は実験等により経験的に定められる。
【0028】
制御実行部81は、異常が発生した旨の判定結果を電動機動作判定部83から受けた場合、電動機15を停止させる。この停止も上記と同様に、電動機15の出力トルクを反転させて減速期間を可能な限り小さくすることによって各ローラ3、4が惰性で回転することを抑制して各ローラ3、4を直ちに停止させる。このように、電動機動作判定部83は電動機15の回転速度及び負荷を監視することにより疑似体験装置1の異常の有無を判定し、その判定結果に基づいて電動機15を停止させるので疑似体験装置1の安全性が向上する。
【0029】
なお、制御装置80は、疑似体験装置1の安全性を更に向上させるため、疑似体験装置1の伝達機構16等の機構部を覆う不図示のカバーが開かれた場合に電動機15を停止させるとともに、エアシリンダ装置61へ供給する空気の圧力が基準値よりも低下した場合に電動機15を停止させるようにしている。
【0030】
本形態においては、図6に示した制御装置80のローラ間進入判定部82と制御実行部81とが協働することにより本発明に係る解放制御手段として機能する。また、電動機動作判定手段83と制御実行部81とが協働することにより本発明に係る停止制御手段として機能する。
【0031】
但し、本発明は以上の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。上記形態の移動機構6は一対のローラ3、4のうち上側のローラ3を移動させるものであるが、一対のローラ3、4の両方を移動させる形態に変更することもできる。また、本発明に係る一対のローラの配置は任意であり、必ずしもこれらが上下方向(鉛直方向)に並ぶ必要はなく左右方向(水平方向)に並ぶようにしてもよい。更に、一対のローラは回転軸線が水平となる姿勢で配置されなくてもよい。例えば、その回転軸線が鉛直となる姿勢で又は水平方向に対して傾いた状態となる姿勢で一対のローラが配置される形態で本発明を実施できる。
【0032】
上記形態に係る駆動機構5に適用された動力伝達手段は一例にすぎず適宜変更可能である。例えば、歯車機構やチェーン機構等のベルト機構以外の他の動力伝達手段を利用して本発明に係る駆動機構を実現してよい。図示した移動機構6も一例に過ぎず、例えばその駆動源として電動機を利用することもできる。
【0033】
一対のローラ間への物体の進入検出方法としては、一対のローラ間のクリアランス内を横切る光を出射する発光部と、その光を受光する受光部とを備えた光学的センサを設け、その光学的センサによって上記光が遮られたか否かにより、一対のローラ間への物体の進入の有無を検出することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 疑似体験装置
3、4 ローラ
5 駆動機構
6 移動機構
15 電動機(駆動源、トルク発生手段)
33、34 トルクリミッタ
61 エアシリンダ装置(調整手段)
74 調整弁(調整手段)
75 位置センサ(検出手段)
81 制御実行部(解放制御手段、停止制御手段)
82 ローラ間進入判定部(解放制御手段)
83 電動機動作判定部(停止制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のローラを互いに接近させた状態でそれぞれ回転駆動する駆動機構と、前記一対のローラのうち、少なくとも一方のローラを他方のローラから離れる方向に移動可能な移動機構と、前記駆動機構にて互いに接近させた状態で回転駆動されている前記一対のローラ間への物体の進入を検出する検出手段と、前記検出手段が物体の進入を検出した場合に、前記一対のローラが互いに遠ざかるように前記移動機構を制御し、かつ前記一対のローラのそれぞれの回転が停止するように前記駆動機構を制御する解放制御手段と、前記一対のローラ間に物体が挟まった際の圧力を調整可能な調整手段と、を備え、
前記解放制御手段は、前記検出手段が物体の進入を検出してから所定時間経過後に前記一対のローラが互いに遠ざかるように前記移動機構を制御することを特徴とする疑似体験装置。
【請求項2】
前記一対のローラのそれぞれの回転が停止するように前記駆動機構が前記解放制御手段にて制御される際に前記一対のローラのそれぞれの慣性を打ち消す方向のトルクを発生させるトルク発生手段を更に備える請求項1に記載の疑似体験装置。
【請求項3】
前記駆動機構には、前記一対のローラのそれぞれを回転駆動するための駆動源として電動機が設けられており、
前記電動機の回転速度と目標値との差分が設定値以上となった場合及び前記電動機の負荷が設定値以上となった場合のうち少なくとも一つの条件が成立したときに前記一対のローラのそれぞれの回転が停止するように前記駆動機構を制御する停止制御手段を更に備え、
前記電動機から前記一対のローラに至る動力伝達経路内に、負荷されるトルクが設定値を超えた場合にトルク伝達を解除するトルクリミッタが設けられている請求項1又は2に記載の疑似体験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−203407(P2011−203407A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69371(P2010−69371)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)