病院用エレベータの照明制御装置、およびこれを利用する照明制御システム、照明制御方法
【課題】 ストレッチャを利用してエレベータで搬送される患者が照明光により不快な思いをしなように乗りかご内の照明光量を制御する病院用エレベータの照明制御装置、およびこれを利用する照明制御システム、照明制御方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された複数の感圧センサと乗りかごの天井部に設置され光量の調整が可能な照明機器とに接続された照明制御装置は、センサ情報取得部と照明光量制御部とを有する。センサ情報取得部は感圧センサに圧力がかかったことが検出された感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得する。照明光量制御部はセンサ情報取得部で2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、照明機器の光量の高低を反転させるように制御する。
【解決手段】 実施形態によれば、病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された複数の感圧センサと乗りかごの天井部に設置され光量の調整が可能な照明機器とに接続された照明制御装置は、センサ情報取得部と照明光量制御部とを有する。センサ情報取得部は感圧センサに圧力がかかったことが検出された感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得する。照明光量制御部はセンサ情報取得部で2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、照明機器の光量の高低を反転させるように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、病院用エレベータの照明制御装置、およびこれを利用する照明制御システム、照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院に設置されたエレベータは、寝台用移動ベッド(以後、「ストレッチャ」と称する。)による患者の搬送に利用されることがある。
【0003】
患者はストレッチャ上に仰向けに横たわっており、視線が上方向に向けられるため、エレベータの乗りかご内に乗り込んだときに天井からの照明光がまぶしく不快な思いをする場合があった。特に、最近使用されているLED照明では、まぶしさを感じることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−041258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常のエレベータシステムにおいて、乗客の有無によってかご内の照明の光量を変化させ、意匠性やサービス性を向上させる技術も開発されているが、ストレッチャによる患者の搬送に適した照明光量制御を行うことについては考慮されていなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ストレッチャを利用してエレベータで搬送される患者が照明光により不快な思いをしなように乗りかご内の照明光量を制御する病院用エレベータの照明制御装置、およびこれを利用する照明制御システム、照明制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための実施形態によれば、病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された複数の感圧センサと、乗りかごの天井部に設置され光量の調整が可能な照明機器とに接続された照明制御装置は、センサ情報取得部と、照明光量制御部とを有する。センサ情報取得部は、感圧センサに圧力がかかったことが検出された感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得する。照明光量制御部は、センサ情報取得部で2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、照明機器の光量の高低を反転させるように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図2】第1実施形態による照明制御装置の構成を示すブロック図。
【図3】第1実施形態による照明制御装置の動作を示すフローチャート。
【図4】第2実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図5】第2実施形態による照明制御装置の構成を示すブロック図。
【図6】第2実施形態による照明制御装置の動作を示すフローチャート。
【図7】第2実施形態による照明制御装置を利用した乗りかごの上部から見た断面図。
【図8】第3実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図9】第4実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図10】第5実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図11】第6実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態として、病院に設置されたエレベータにおいて、ストレッチャに患者を乗せて搬送するときに、患者がまぶしく不快な思いをしないように乗りかご内の照明光量を制御するエレベータ照明制御システムについて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図1を参照して説明する。
【0011】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Aは、乗りかご10の戸近傍の床部に、戸開閉方向に並べて設置された複数の感圧センサ20−1〜20−4と、乗りかご10の天井部に設置された複数の照明機器30−1〜30−4と、感圧センサ20−1〜20−4および照明機器30−1〜30−4とに通信ケーブル50を介して接続された照明制御装置40Aとを有している。
【0012】
感圧センサ20−1〜20−4はそれぞれ、四輪のキャスタを有するストレッチャの、回転軸方向(横たわっている患者の左右方向)のキャスタ間隔よりも狭い幅の検出領域を有し、この検出領域で所定値以上の圧力がかかったことを検出すると、当該センサの識別情報を含むセンサ情報を生成して出力する。センサの識別情報とは、感圧センサ20−1〜20−4のいずれであるかを識別する情報である。
【0013】
照明機器30−1〜30−4は、光量の高低を調整可能であり、乗りかご10の戸側からみて天井部分の手前左側部分の照明機器30−1および奥左側部分の照明機器30−2と、手前右側部分の照明機器30−3および奥右側部分の照明機器30−4とに分割して設置されている。
【0014】
照明制御装置40Aは、図2に示すように、戸開閉情報取得部41と、センサ情報入力部42と、入力回数計数部43と、ストレッチャ乗降判定部44と、位置情報判定部45と、照明制御部46とを有する。
【0015】
戸開閉情報取得部41は、当該エレベータの運転を制御するエレベータ運転制御装置(図示せず)から、乗りかご10が戸開状態であるか、戸閉状態であるかを示す情報を取得する。
【0016】
センサ情報入力部42は、戸開閉情報取得部41において乗りかご10が戸開状態であることを示す情報が取得されたときに、感圧センサ20−1〜20−4から出力されたセンサ情報を取得し入力する。
【0017】
入力回数計数部43は、センサ情報入力部42においてセンサ情報が入力された回数を感圧センサごとに計数し、戸開閉情報取得部41から戸閉状態であることを示す情報が取得されたときには計数値をリセットする。
【0018】
ストレッチャ乗降判定部44は、入力回数計数部43において2箇所の感圧センサについてセンサ情報が偶数回計数されたときには、乗りかご10への四輪ストレッチャの乗り込みまたは降りがあり、2つの前輪が通過した2箇所および2つの後輪が通過した2箇所でセンサ情報が出力されたと判定する。ここで例えば、1台のストレッチャが乗り込みまたは降りたときはセンサ情報は2回と計数され、2台のストレッチャが乗り込みまたは降りたときにはセンサ情報は4回と計数される。
【0019】
位置情報判定部45は、ストレッチャ乗降判定部44においてストレッチャの乗り込みまたは降りがあったと判定されたときに、センサ情報入力部42で取得されたセンサ情報に含まれる感圧センサの識別情報から、ストレッチャの乗降があった位置を判定する。
【0020】
照明制御部46は、位置情報判定部45で当該ストレッチャの乗降があったと判定された位置(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)に対応する照明機器30−1〜30−4の光量の高低を反転させるように制御する。
【0021】
〈第1実施形態によるエレベータ照明制御システムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Aの動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
まず、照明制御装置40Aの戸開閉情報取得部41において、エレベータの乗りかご10が戸開状態であることを示す情報が取得されると(S1の「YES」)に、センサ情報入力部42において感圧センサ20−1〜20−4からセンサ情報が入力されたか否かが監視される。
【0023】
そして、ストレッチャの前輪である2つのキャスタが乗りかご10の感圧センサ上を通過すると、それぞれのキャスタに対応する2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が出力され、センサ情報入力部42から照明制御装置40Aに入力される。
【0024】
2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が入力されると(S2の「YES」)、入力回数計数部43において、この2箇所の感圧センサのセンサ情報が入力された回数が入力回数計数部43で計数される(S3)。ここではまず「1回」と計数される。
【0025】
2箇所の感圧センサからセンサ情報が「ほぼ同時に入力された」か否かは、これら2つのセンサ情報が入力された時刻の差が予め設定された所定時間以内であるか否かにより判定される。これは、四輪ストレッチャの前輪の2つのキャスタが通過するときには該当する2つの感圧センサではほとんど時間差なく圧力が検知されセンサ情報が出力されるからである。
【0026】
次に、ストレッチャ乗降判定部44において、入力回数計数部43で計数された計数値が偶数であるか否かが判定される(S4)。
【0027】
ここでは、2箇所の感圧センサのセンサ情報が入力された回数は「1回」であり、奇数であると判定され(S4の「NO」)、ステップS1に戻る。
【0028】
ステップS1ではさらに戸開閉情報取得部41においてセンサ情報が入力されたか否かが監視される。
【0029】
そして、ストレッチャの後輪である2つのキャスタが乗りかご10の感圧センサ上を通過すると、それぞれのキャスタに対応する2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が出力され、センサ情報入力部42から照明制御装置40Aに入力される。
【0030】
2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が入力されると(S2の「YES」)、入力回数計数部43において、この2箇所の感圧センサのセンサ情報が入力された回数が入力回数計数部43で計数される(S3)。ここで、1回目と同じ2つの感圧センサからセンサ情報が入力されると回数が更新され、「2回」として計数される。
【0031】
次に、ストレッチャ乗降判定部44において、入力回数計数部43で計数された計数値が「2回」であることから偶数であると判定され(S4の「YES」)、ステップS5に移動する。
【0032】
ステップS5では、位置情報判定部45において、センサ情報入力部42で入力されたセンサ情報に含まれる感圧センサの識別情報から、該当する感圧センサの位置情報が取得される。
【0033】
例えば、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側に位置する感圧センサ20−3および20−4であるときには(S5の「YES」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の右側からストレッチャの乗り込みがあったと判定される(S6)。
【0034】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、ストレッチャが乗りかご10内の右側に乗っているとみなされ、乗りかご10の右側の照明機器30−3および30−4の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S7)。
【0035】
また、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の左側に位置する感圧センサ20−1および20−2であるときには(S5の「NO」、S8の「YES」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の左側からストレッチャの乗り込みがあったと判定される(S9)。
【0036】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、ストレッチャが乗りかご10内の左側に乗っているとみなされ、乗りかご10の左側の照明機器30−1および30−2の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S10)。
【0037】
また、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側にも左側にも判別されなかったときには(S5の「NO」、S8の「NO」)、乗りかご10の中央を含む全体的な位置でストレッチャの乗り込みがあったと判定される(S11)。
【0038】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、ストレッチャが乗りかご10内の中央を含む全体的な位置に乗っているとみなされ、乗りかご10の全体の照明機器30−1〜30−4の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S12)。
【0039】
乗りかご10にストレッチャが乗り込んだ後、戸開閉情報取得部41において戸閉状態になったことを示す情報が取得されると(S13の「YES」)、入力回数計数部43における計数値がリセットされる(S14)。
【0040】
その後ストレッチャを乗せた乗りかご10が目的階に到着し、戸開閉情報取得部41において戸開状態になったことを示す情報が取得されると(S1の「YES」)、上述した処理と同様にステップS2〜S4の処理が実行される。
【0041】
ストレッチャの後輪である2つのキャスタが乗りかご10の感圧センサ上を通過し、さらに前輪である2つのキャスタが同じ感圧センサ上を通過すると、ステップS4においてストレッチャ乗降判定部44で2箇所の感圧センサのセンサ情報が入力された回数が「2回」として計数され、この計数値が偶数であると判定される(S4の「YES」)。
【0042】
そして位置情報判定部45において、センサ情報入力部42で入力されたセンサ情報に含まれる感圧センサの識別情報から、該当する感圧センサの位置情報が取得され、ストレッチャが降りた位置が判定される。
【0043】
例えば、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが、乗りかご10の右側に位置する感圧センサ20−3および20−4であるときには(S5の「YES」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の右側からストレッチャが降りたものと判定される(S6)。
【0044】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、乗りかご10内の右側に乗っていたストレッチャが降りたとみなされ、乗りかご10の右側の照明機器30−3および30−4の光量の高低が反転され、低い状態から通常の高い状態に切り替えられる(S7)。
【0045】
また入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の左側に位置する感圧センサ20−1および20−2であるときには(S5の「NO」、S8の「YES」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の左側からストレッチャが降りたものと判定される(S9)。
【0046】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、乗りかご10内の左側に乗っていたストレッチャが降りたとみなされ、乗りかご10の右側の照明機器30−1および30−2の光量の高低が反転され、低い状態から通常の高い状態に切り替えられる(S10)。
【0047】
また入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側にも左側にも判別されなかったときには(S5の「NO」、S8の「NO」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の中央を含む全体的な位置からストレッチャが降りたものと判定される(S11)。
【0048】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、乗りかご10内の中央を含む全体的な位置に乗っていたストレッチャが降りたとみなされ、乗りかご10の全体の照明機器30−1〜30−4の光量の高低が反転され、低い状態から通常の高い状態に切り替えられる(S12)。
【0049】
乗りかご10からストレッチャが降りた後、戸開閉情報取得部41において戸閉状態になったことを示す情報が取得されると(S13の「YES」)、入力回数計数部43における計数値がリセットされる(S14)。
【0050】
上述した処理において、ステップS2において2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が入力されていないとき(S2の「NO」)、ステップS4において計数値が奇数のとき(S4の「NO」)、およびステップS13において戸閉されていないとき(S13の「NO」)はステップS1に戻り、処理が繰り返される。
【0051】
以上の本実施形態によれば、エレベータの乗りかごにストレッチャが乗り込んだときに当該ストレッチャの位置に対応する位置の照明の光量を低くし、その後ストレッチャが降りたときに当該照明の光量を通常の高い状態に戻すことで、ストレッチャ上の患者がまぶしい思いをしないようにするとともに、他のエレベータ利用者に不都合を感じさせないようにすることができる。
【0052】
またストレッチャが乗りかごに乗降したか否かを、センサ情報の入力回数が「偶数回か否か」で判定することにより、複数回の乗降動作があった場合や複数台のストレッチャが乗り込んだ場合にも適切に照明制御を行うことができる。
【0053】
また上述した本実施形態において、感圧センサ上をストレッチャの前輪が通過してから後輪が通過するまでの時間を計測し、この時間が予め設定された閾値以上の場合、または予め設定された閾値以下の場合に、「ストレッチャが乗降した」と判定するようにしてもよい。このように判定処理をすることにより、他の四輪のキャスタを有する構造物、例えば車椅子やベビーカーが乗り込んだ場合や、二輪の構造物が複数乗り込んだ場合等と区別することが可能になる。
【0054】
また、ストレッチャが1台しか乗り込めない乗りかごである場合などは、ステップS4において「偶数回か否か」を判定するのではなく、「2回目か否か」を判定するようにしてもよい。
【0055】
また、感圧センサの位置情報から、キャスタが通過したことが検知された2箇所の感圧センサ間の距離を算出し、この距離が所定範囲内である場合に「ストレッチャが乗降した」か否かを判定するようにしてもよい。
【0056】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図4を参照して説明する。
【0057】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Bは、乗りかご10内を上部から俯瞰する位置に設置されたカメラ装置60をさらに有し、照明制御装置40Aに替えて照明制御装置40Bを有する他は、第1実施形態において説明したエレベータ照明制御システム1Aの構成と同様であるため、同一の機能を有する装置については詳細な説明を省略する。
【0058】
カメラ装置60は、乗りかご10内を撮影し、撮影した映像情報を照明制御装置40Bに通信ケーブル50を介して送信する。
【0059】
照明制御装置40Bは、図5に示すように、映像取得解析部47を有する他は第1実施形態において説明した照明制御装置40Aの構成と同様であるため、同一機能を有する機能部の詳細な説明については省略する。
【0060】
映像取得解析部47は、カメラ装置60で撮影された乗りかご10内の映像情報を取得し、この映像情報を解析して乗りかご10内にストレッチャが乗っているかを判定し、乗っていると判定した場合には当該ストレッチャが乗りかご10内のどの位置(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)にあるかが認識される。
【0061】
位置情報判定部45は、ストレッチャ乗降判定部44においてストレッチャの乗り込みまたは降りがあったと判定されたときに、センサ情報入力部42で取得されたセンサ情報に対応する感圧センサの位置情報を取得するとともに、映像取得解析部47で認識された乗りかご10内のストレッチャの位置の情報を取得する。
【0062】
照明光量制御部46は、センサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)と、映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致するか否かを判定する。判定の結果、一致する場合には該当する位置に対応する照明機器30−1〜30−4の光量の高低を反転させるように制御する。
【0063】
〈第2実施形態によるエレベータ照明制御システムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Bの動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。本実施形態においては、カメラ装置60により撮影された乗りかご10内の映像が照明制御装置40Bに送信されているものとする。
【0064】
本実施形態において図6のステップS21〜ステップS25の処理は、第1実施形態における図3のステップS1〜S5の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0065】
ステップS25において入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側に位置する感圧センサ20−3および20−4であり(S25の「YES」)乗りかご10の右側からストレッチャの乗り込みがあったと判定されたとき(S26)には、照明制御装置40Bの映像取得解析部47においてカメラ装置60から取得された映像情報が解析され、乗りかご10内にストレッチャが乗っているかが判定される。そして、乗っていると判定された場合には当該ストレッチャが乗りかご10内のどの位置(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)にあるかが認識される。
【0066】
次に照明光量制御部46において、センサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報(右側)と、映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致するか否かが判定される(S27)。判定の結果、「右側である」ことで一致した場合には該当する位置に対応する照明機器30−3および30−4の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S28)。
【0067】
また入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の左側に位置する感圧センサ20−1および20−2であり(S25の「NO」、S29の「YES」)乗りかご10の左側からストレッチャの乗り込みがあったと判定されたとき(S30)には、照明制御装置40Bの映像取得解析部47においてカメラ装置60から取得された映像情報が解析され、乗りかご10内にストレッチャが乗っているかが判定される。そして、乗っていると判定された場合には当該ストレッチャが乗りかご10内のどの位置(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)にあるかが認識される。
【0068】
次に照明光量制御部46において、センサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報(左側)と、映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致するか否かが判定される(S31)。判定の結果、「左側である」ことで一致した場合には該当する位置に対応する照明機器30−1および30−2の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S32)。
【0069】
また、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側にも左側にも判別されず(S25の「NO」、S29の「NO」)、乗りかご10の中央を含む全体的な位置でストレッチャの乗り込みがあったと判定されたとき(S33)には、乗りかご10の全体の照明機器30−1〜30−4の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S34)。
【0070】
乗りかご10にストレッチャが乗り込んだ後、戸開閉情報取得部41において戸閉状態になったことを示す情報が取得されると(S35の「YES」)、入力回数計数部43における計数値がリセットされる(S36)。
【0071】
その後ストレッチャを乗せた乗りかご10が目的階に到着し、戸開閉情報取得部41において戸開状態になったことを示す情報が取得された場合も、上述した処理と同様に照明光量制御部46においてセンサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報と、映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致する場合にストレッチャが降りたものと判定され、該当する位置に対応する照明機器の光量の高低が反転され、低い状態から通常の高い状態に切り替えられる。
【0072】
上述した処理において、ステップステップS22において2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が入力されていないとき(S22の「NO」)、ステップS24において計数値が奇数のとき(S24の「NO」)、ステップS27ならびにS31においてセンサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報と映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致しない場合(S27の「NO」、S31の「NO」)、およびステップS35において戸閉されていないとき(S35の「NO」)はステップS1に戻り、処理が繰り返される。
【0073】
以上の本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を有するとともに、さらに高い精度で乗りかごへのストレッチャの乗降の有無および乗降した位置情報を認識し、適切な照明制御を行うことができる。
【0074】
本実施形態において、映像取得解析部47において解析された映像情報から、ストレッチャに乗った患者の頭部の位置を認識し、照明光量制御部46においてこの頭部の位置に対応する照明機器の光量の高低が反転されるようにしてもよい。
【0075】
例えば、図7に示すように、乗りかご10の左側にストレッチャが乗り込み、患者の頭部の位置が乗りかご10の奥にあることが映像情報から認識されたときには、照明機器30−1のみの光量の高低が低い状態に切り替えられる。
【0076】
このように患者の頭部に対応する照明機器のみの光量を制御することにより、照明光量低減による他の利用者への影響をさらに少なくすることができ、適切な照明制御を行うことができる。
【0077】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図8を参照して説明する。
【0078】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Cは、乗りかご10の天井近傍の照明機器30−1〜30−4の下部に設置された透過光量調節板70と、乗りかご10の床面近傍の壁面に設置された足元照明機器80とをさらに有し、照明制御装置40Aまたは照明制御装置40Bに替えて照明制御装置40Cを有する他は、第1実施形態のエレベータ照明制御システム1Aまたは第2実施形態のエレベータ照明制御システム1Bの構成と同様であるため、同一の機能を有する装置については詳細な説明は省略する。
【0079】
透過光量調節板70は、電圧のON/OFFに反応する液晶板が挟みこまれ、これにより透明ガラスと不透明ガラスとに切り替え可能な調光ガラスであり、照明制御装置40Cの制御により電圧のON/OFFが切り替えられる。
【0080】
足元照明機器80は、照明制御装置40Cの制御により照明のON/OFFが切り替えられる。
【0081】
〈第3実施形態によるエレベータ照明制御システムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Cの動作について説明する。本実施形態においては、照明機器30−1〜30−4は光量の高低の調整ができないものである。また、本実施形態においてストレッチャが乗り込んでいない通常状態では、透過光量調節板70への電圧はOFF状態で透明ガラスとして機能し、足元照明機器80の照明はOFF状態である。
【0082】
そして、第1実施形態または第2実施形態において説明した場合と同様に、感圧センサ20−1〜20−4からのセンサ情報により乗りかご10のいずれかの場所にストレッチャが乗り込んだと判定されると、照明制御装置40Cにより透過光量調節板70への電圧がON状態にされ不透明ガラスとして機能させて照明機器30−1〜30−4からの光量が低減され、足元照明機器80の照明がON状態にされる。
【0083】
以上の本実施形態においては、天井部に設置された照明機器が光量調整ができないものである場合にも、透過光量調節板および足元照明機器を利用することにより、エレベータの乗りかごに乗り込んだストレッチャ上の患者がまぶしい思いをしないようにするとともに、他のエレベータ利用者に不都合を感じさせないようにすることができる。
【0084】
本実施形態においては乗りかご10内の透過光量調節板70が1つの部材で構成され設置された場合について説明したが、複数の透過光量調節板を並べて設置し、それぞれで夏のON/OFF状態を個別に制御するようにしてもよい。例えば、照明機器30−1〜30−4の大きさおよび位置に合わせた4つの透過光量調節板を設置し、ストレッチャの乗降があったとみなされた場所や患者の頭部に対応すると認識された場所の透過光量調節板のみの電圧のON/OFF状態を切り替えるようにしてもよい。
【0085】
《第4実施形態》
本発明の第4実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図9を参照して説明する。
【0086】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Dは、乗りかご10内に設置された照明用スイッチ90をさらに有し、照明制御装置40A〜照明制御装置40Cのいずれかに替えて照明制御装置40Dを有する他は、第1実施形態のエレベータ照明制御システム1A〜第3実施形態のエレベータ照明制御システム1Cのいずれかの構成と同様であるため、同一の機能を有する装置については詳細な説明は省略する。
【0087】
照明用スイッチ90は、照明制御装置により照明機器30−1〜30−4のいずれかの光量が低減されているときにエレベータ利用者により押下されると、光量が通常の高い状態に切り替えられる。また、透過光量調節板70の電圧がON状態であり不透明ガラスとして機能するとともに足元照明機器80がON状態であるときに、エレベータ利用者により照明用スイッチ90が押下されると、透過光量調節板70の電圧がOFF状態にされ透明ガラスとして機能するように切り替えられるとともに、足元照明機器80がOFF状態に切り替えられる。
【0088】
以上の本実施形態によれば、ストレッチャが乗り込んだことを認識して乗りかご10内の照明の光量が自動制御機能により低減されても、エレベータ利用者が当該機能は不要であると判断する場合は、当該照明用スイッチ90が操作されることにより照明の光量を通常の状態に戻すことができる。
【0089】
《第5実施形態》
本発明の第5実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図10を参照して説明する。
【0090】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Eは、乗りかご10内の床部と側壁部との境目に設置されたストレッチャ乗降誘導具100−1および100−2をさらに有する他は、第1実施形態のエレベータ照明制御システム1A〜第4実施形態のエレベータ照明制御システム1Dのいずれかの構成と同様であるため、同一の機能を有する装置については詳細な説明は省略する。
【0091】
ストレッチャ乗降誘導具100−1および100−2は、乗りかご10内の床部と側壁部との境目を穏やかなカーブ状で繋ぐように設置された板状、または略三角柱状の構造物である。このストレッチャ乗降誘導具100−1および100−2は、乗りかご10に対して着脱可能な状態で設置してもよく、また形状は中空でもよい。
【0092】
このように乗りかご10にストレッチャ乗降誘導具100−1および100−2を設置することにより、ストレッチャが乗りかご10に入る際に壁にぶつからず、感圧センサ20−1〜20−4に対してストレッチャのキャスタを真っ直ぐ壁面と平行に移動させるように誘導することができ、感圧センサ20−1〜20−4のセンサ情報によるストレッチャの乗降の判定精度を向上させることができる。
【0093】
《第6実施形態》
本発明の第6実施形態による、エレベータ照明制御システムを利用した監視システム2の構成について、図11を参照して説明する。
【0094】
本実施形態による監視システム1Fは、第1実施形態のエレベータ照明制御システム1A〜第5実施形態のエレベータ照明制御システム1Eのいずれかが、エレベータ運転制御装置110を介して通信ケーブル50により監視装置120に接続されて構成されている。
【0095】
エレベータ運転制御装置110は、当該エレベータが何らかの理由で停止し、乗りかご10が乗降可能領域であるドアゾーンまで移動できない状況になり、且つ照明制御装置40A〜40Eのいずれかにより乗りかご10内にストレッチャが乗っていると判定されているときは、ストレッチャが乗りかご10内にある状態でエレベータが故障していることを示す情報を監視装置120に送信する。
【0096】
監視装置120は、ストレッチャが乗りかご内10にある状態でエレベータが故障していることを示す情報を受信すると、これを表示や音声等により出力し監視員に報知する。
【0097】
以上の本実施形態によれば、ストレッチャが乗りかご内10にある状態でエレベータが故障した場合にこの情報を監視員に報知することができ、迅速な救出処置を実施させることが可能になる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1A〜1E…エレベータ照明制御システム
2…監視システム
20−1〜20−4…感圧センサ
30−1〜30−4…照明機器
40A〜40E…照明制御装置
41…戸開閉情報取得部
42…センサ情報入力部
43…入力回数計数部
44…ストレッチャ乗降判定部
45…位置情報判定部
46…照明制御部
47…映像取得解析部
50…通信ケーブル
60…カメラ装置
70…透過光量調節板
80…足元照明機器
90…照明用スイッチ
100−1、100−2…ストレッチャ乗降誘導具
110…エレベータ運転制御装置
120…監視装置
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、病院用エレベータの照明制御装置、およびこれを利用する照明制御システム、照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院に設置されたエレベータは、寝台用移動ベッド(以後、「ストレッチャ」と称する。)による患者の搬送に利用されることがある。
【0003】
患者はストレッチャ上に仰向けに横たわっており、視線が上方向に向けられるため、エレベータの乗りかご内に乗り込んだときに天井からの照明光がまぶしく不快な思いをする場合があった。特に、最近使用されているLED照明では、まぶしさを感じることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−041258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常のエレベータシステムにおいて、乗客の有無によってかご内の照明の光量を変化させ、意匠性やサービス性を向上させる技術も開発されているが、ストレッチャによる患者の搬送に適した照明光量制御を行うことについては考慮されていなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ストレッチャを利用してエレベータで搬送される患者が照明光により不快な思いをしなように乗りかご内の照明光量を制御する病院用エレベータの照明制御装置、およびこれを利用する照明制御システム、照明制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための実施形態によれば、病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された複数の感圧センサと、乗りかごの天井部に設置され光量の調整が可能な照明機器とに接続された照明制御装置は、センサ情報取得部と、照明光量制御部とを有する。センサ情報取得部は、感圧センサに圧力がかかったことが検出された感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得する。照明光量制御部は、センサ情報取得部で2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、照明機器の光量の高低を反転させるように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図2】第1実施形態による照明制御装置の構成を示すブロック図。
【図3】第1実施形態による照明制御装置の動作を示すフローチャート。
【図4】第2実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図5】第2実施形態による照明制御装置の構成を示すブロック図。
【図6】第2実施形態による照明制御装置の動作を示すフローチャート。
【図7】第2実施形態による照明制御装置を利用した乗りかごの上部から見た断面図。
【図8】第3実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図9】第4実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図10】第5実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【図11】第6実施形態による照明制御装置を利用したエレベータ照明制御システムの構成を示す全体図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態として、病院に設置されたエレベータにおいて、ストレッチャに患者を乗せて搬送するときに、患者がまぶしく不快な思いをしないように乗りかご内の照明光量を制御するエレベータ照明制御システムについて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図1を参照して説明する。
【0011】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Aは、乗りかご10の戸近傍の床部に、戸開閉方向に並べて設置された複数の感圧センサ20−1〜20−4と、乗りかご10の天井部に設置された複数の照明機器30−1〜30−4と、感圧センサ20−1〜20−4および照明機器30−1〜30−4とに通信ケーブル50を介して接続された照明制御装置40Aとを有している。
【0012】
感圧センサ20−1〜20−4はそれぞれ、四輪のキャスタを有するストレッチャの、回転軸方向(横たわっている患者の左右方向)のキャスタ間隔よりも狭い幅の検出領域を有し、この検出領域で所定値以上の圧力がかかったことを検出すると、当該センサの識別情報を含むセンサ情報を生成して出力する。センサの識別情報とは、感圧センサ20−1〜20−4のいずれであるかを識別する情報である。
【0013】
照明機器30−1〜30−4は、光量の高低を調整可能であり、乗りかご10の戸側からみて天井部分の手前左側部分の照明機器30−1および奥左側部分の照明機器30−2と、手前右側部分の照明機器30−3および奥右側部分の照明機器30−4とに分割して設置されている。
【0014】
照明制御装置40Aは、図2に示すように、戸開閉情報取得部41と、センサ情報入力部42と、入力回数計数部43と、ストレッチャ乗降判定部44と、位置情報判定部45と、照明制御部46とを有する。
【0015】
戸開閉情報取得部41は、当該エレベータの運転を制御するエレベータ運転制御装置(図示せず)から、乗りかご10が戸開状態であるか、戸閉状態であるかを示す情報を取得する。
【0016】
センサ情報入力部42は、戸開閉情報取得部41において乗りかご10が戸開状態であることを示す情報が取得されたときに、感圧センサ20−1〜20−4から出力されたセンサ情報を取得し入力する。
【0017】
入力回数計数部43は、センサ情報入力部42においてセンサ情報が入力された回数を感圧センサごとに計数し、戸開閉情報取得部41から戸閉状態であることを示す情報が取得されたときには計数値をリセットする。
【0018】
ストレッチャ乗降判定部44は、入力回数計数部43において2箇所の感圧センサについてセンサ情報が偶数回計数されたときには、乗りかご10への四輪ストレッチャの乗り込みまたは降りがあり、2つの前輪が通過した2箇所および2つの後輪が通過した2箇所でセンサ情報が出力されたと判定する。ここで例えば、1台のストレッチャが乗り込みまたは降りたときはセンサ情報は2回と計数され、2台のストレッチャが乗り込みまたは降りたときにはセンサ情報は4回と計数される。
【0019】
位置情報判定部45は、ストレッチャ乗降判定部44においてストレッチャの乗り込みまたは降りがあったと判定されたときに、センサ情報入力部42で取得されたセンサ情報に含まれる感圧センサの識別情報から、ストレッチャの乗降があった位置を判定する。
【0020】
照明制御部46は、位置情報判定部45で当該ストレッチャの乗降があったと判定された位置(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)に対応する照明機器30−1〜30−4の光量の高低を反転させるように制御する。
【0021】
〈第1実施形態によるエレベータ照明制御システムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Aの動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
まず、照明制御装置40Aの戸開閉情報取得部41において、エレベータの乗りかご10が戸開状態であることを示す情報が取得されると(S1の「YES」)に、センサ情報入力部42において感圧センサ20−1〜20−4からセンサ情報が入力されたか否かが監視される。
【0023】
そして、ストレッチャの前輪である2つのキャスタが乗りかご10の感圧センサ上を通過すると、それぞれのキャスタに対応する2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が出力され、センサ情報入力部42から照明制御装置40Aに入力される。
【0024】
2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が入力されると(S2の「YES」)、入力回数計数部43において、この2箇所の感圧センサのセンサ情報が入力された回数が入力回数計数部43で計数される(S3)。ここではまず「1回」と計数される。
【0025】
2箇所の感圧センサからセンサ情報が「ほぼ同時に入力された」か否かは、これら2つのセンサ情報が入力された時刻の差が予め設定された所定時間以内であるか否かにより判定される。これは、四輪ストレッチャの前輪の2つのキャスタが通過するときには該当する2つの感圧センサではほとんど時間差なく圧力が検知されセンサ情報が出力されるからである。
【0026】
次に、ストレッチャ乗降判定部44において、入力回数計数部43で計数された計数値が偶数であるか否かが判定される(S4)。
【0027】
ここでは、2箇所の感圧センサのセンサ情報が入力された回数は「1回」であり、奇数であると判定され(S4の「NO」)、ステップS1に戻る。
【0028】
ステップS1ではさらに戸開閉情報取得部41においてセンサ情報が入力されたか否かが監視される。
【0029】
そして、ストレッチャの後輪である2つのキャスタが乗りかご10の感圧センサ上を通過すると、それぞれのキャスタに対応する2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が出力され、センサ情報入力部42から照明制御装置40Aに入力される。
【0030】
2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が入力されると(S2の「YES」)、入力回数計数部43において、この2箇所の感圧センサのセンサ情報が入力された回数が入力回数計数部43で計数される(S3)。ここで、1回目と同じ2つの感圧センサからセンサ情報が入力されると回数が更新され、「2回」として計数される。
【0031】
次に、ストレッチャ乗降判定部44において、入力回数計数部43で計数された計数値が「2回」であることから偶数であると判定され(S4の「YES」)、ステップS5に移動する。
【0032】
ステップS5では、位置情報判定部45において、センサ情報入力部42で入力されたセンサ情報に含まれる感圧センサの識別情報から、該当する感圧センサの位置情報が取得される。
【0033】
例えば、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側に位置する感圧センサ20−3および20−4であるときには(S5の「YES」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の右側からストレッチャの乗り込みがあったと判定される(S6)。
【0034】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、ストレッチャが乗りかご10内の右側に乗っているとみなされ、乗りかご10の右側の照明機器30−3および30−4の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S7)。
【0035】
また、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の左側に位置する感圧センサ20−1および20−2であるときには(S5の「NO」、S8の「YES」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の左側からストレッチャの乗り込みがあったと判定される(S9)。
【0036】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、ストレッチャが乗りかご10内の左側に乗っているとみなされ、乗りかご10の左側の照明機器30−1および30−2の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S10)。
【0037】
また、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側にも左側にも判別されなかったときには(S5の「NO」、S8の「NO」)、乗りかご10の中央を含む全体的な位置でストレッチャの乗り込みがあったと判定される(S11)。
【0038】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、ストレッチャが乗りかご10内の中央を含む全体的な位置に乗っているとみなされ、乗りかご10の全体の照明機器30−1〜30−4の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S12)。
【0039】
乗りかご10にストレッチャが乗り込んだ後、戸開閉情報取得部41において戸閉状態になったことを示す情報が取得されると(S13の「YES」)、入力回数計数部43における計数値がリセットされる(S14)。
【0040】
その後ストレッチャを乗せた乗りかご10が目的階に到着し、戸開閉情報取得部41において戸開状態になったことを示す情報が取得されると(S1の「YES」)、上述した処理と同様にステップS2〜S4の処理が実行される。
【0041】
ストレッチャの後輪である2つのキャスタが乗りかご10の感圧センサ上を通過し、さらに前輪である2つのキャスタが同じ感圧センサ上を通過すると、ステップS4においてストレッチャ乗降判定部44で2箇所の感圧センサのセンサ情報が入力された回数が「2回」として計数され、この計数値が偶数であると判定される(S4の「YES」)。
【0042】
そして位置情報判定部45において、センサ情報入力部42で入力されたセンサ情報に含まれる感圧センサの識別情報から、該当する感圧センサの位置情報が取得され、ストレッチャが降りた位置が判定される。
【0043】
例えば、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが、乗りかご10の右側に位置する感圧センサ20−3および20−4であるときには(S5の「YES」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の右側からストレッチャが降りたものと判定される(S6)。
【0044】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、乗りかご10内の右側に乗っていたストレッチャが降りたとみなされ、乗りかご10の右側の照明機器30−3および30−4の光量の高低が反転され、低い状態から通常の高い状態に切り替えられる(S7)。
【0045】
また入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の左側に位置する感圧センサ20−1および20−2であるときには(S5の「NO」、S8の「YES」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の左側からストレッチャが降りたものと判定される(S9)。
【0046】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、乗りかご10内の左側に乗っていたストレッチャが降りたとみなされ、乗りかご10の右側の照明機器30−1および30−2の光量の高低が反転され、低い状態から通常の高い状態に切り替えられる(S10)。
【0047】
また入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側にも左側にも判別されなかったときには(S5の「NO」、S8の「NO」)、ストレッチャ乗降判定部44において乗りかご10の中央を含む全体的な位置からストレッチャが降りたものと判定される(S11)。
【0048】
この判定に基づいて照明光量制御部46では、乗りかご10内の中央を含む全体的な位置に乗っていたストレッチャが降りたとみなされ、乗りかご10の全体の照明機器30−1〜30−4の光量の高低が反転され、低い状態から通常の高い状態に切り替えられる(S12)。
【0049】
乗りかご10からストレッチャが降りた後、戸開閉情報取得部41において戸閉状態になったことを示す情報が取得されると(S13の「YES」)、入力回数計数部43における計数値がリセットされる(S14)。
【0050】
上述した処理において、ステップS2において2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が入力されていないとき(S2の「NO」)、ステップS4において計数値が奇数のとき(S4の「NO」)、およびステップS13において戸閉されていないとき(S13の「NO」)はステップS1に戻り、処理が繰り返される。
【0051】
以上の本実施形態によれば、エレベータの乗りかごにストレッチャが乗り込んだときに当該ストレッチャの位置に対応する位置の照明の光量を低くし、その後ストレッチャが降りたときに当該照明の光量を通常の高い状態に戻すことで、ストレッチャ上の患者がまぶしい思いをしないようにするとともに、他のエレベータ利用者に不都合を感じさせないようにすることができる。
【0052】
またストレッチャが乗りかごに乗降したか否かを、センサ情報の入力回数が「偶数回か否か」で判定することにより、複数回の乗降動作があった場合や複数台のストレッチャが乗り込んだ場合にも適切に照明制御を行うことができる。
【0053】
また上述した本実施形態において、感圧センサ上をストレッチャの前輪が通過してから後輪が通過するまでの時間を計測し、この時間が予め設定された閾値以上の場合、または予め設定された閾値以下の場合に、「ストレッチャが乗降した」と判定するようにしてもよい。このように判定処理をすることにより、他の四輪のキャスタを有する構造物、例えば車椅子やベビーカーが乗り込んだ場合や、二輪の構造物が複数乗り込んだ場合等と区別することが可能になる。
【0054】
また、ストレッチャが1台しか乗り込めない乗りかごである場合などは、ステップS4において「偶数回か否か」を判定するのではなく、「2回目か否か」を判定するようにしてもよい。
【0055】
また、感圧センサの位置情報から、キャスタが通過したことが検知された2箇所の感圧センサ間の距離を算出し、この距離が所定範囲内である場合に「ストレッチャが乗降した」か否かを判定するようにしてもよい。
【0056】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図4を参照して説明する。
【0057】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Bは、乗りかご10内を上部から俯瞰する位置に設置されたカメラ装置60をさらに有し、照明制御装置40Aに替えて照明制御装置40Bを有する他は、第1実施形態において説明したエレベータ照明制御システム1Aの構成と同様であるため、同一の機能を有する装置については詳細な説明を省略する。
【0058】
カメラ装置60は、乗りかご10内を撮影し、撮影した映像情報を照明制御装置40Bに通信ケーブル50を介して送信する。
【0059】
照明制御装置40Bは、図5に示すように、映像取得解析部47を有する他は第1実施形態において説明した照明制御装置40Aの構成と同様であるため、同一機能を有する機能部の詳細な説明については省略する。
【0060】
映像取得解析部47は、カメラ装置60で撮影された乗りかご10内の映像情報を取得し、この映像情報を解析して乗りかご10内にストレッチャが乗っているかを判定し、乗っていると判定した場合には当該ストレッチャが乗りかご10内のどの位置(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)にあるかが認識される。
【0061】
位置情報判定部45は、ストレッチャ乗降判定部44においてストレッチャの乗り込みまたは降りがあったと判定されたときに、センサ情報入力部42で取得されたセンサ情報に対応する感圧センサの位置情報を取得するとともに、映像取得解析部47で認識された乗りかご10内のストレッチャの位置の情報を取得する。
【0062】
照明光量制御部46は、センサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)と、映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致するか否かを判定する。判定の結果、一致する場合には該当する位置に対応する照明機器30−1〜30−4の光量の高低を反転させるように制御する。
【0063】
〈第2実施形態によるエレベータ照明制御システムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Bの動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。本実施形態においては、カメラ装置60により撮影された乗りかご10内の映像が照明制御装置40Bに送信されているものとする。
【0064】
本実施形態において図6のステップS21〜ステップS25の処理は、第1実施形態における図3のステップS1〜S5の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0065】
ステップS25において入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側に位置する感圧センサ20−3および20−4であり(S25の「YES」)乗りかご10の右側からストレッチャの乗り込みがあったと判定されたとき(S26)には、照明制御装置40Bの映像取得解析部47においてカメラ装置60から取得された映像情報が解析され、乗りかご10内にストレッチャが乗っているかが判定される。そして、乗っていると判定された場合には当該ストレッチャが乗りかご10内のどの位置(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)にあるかが認識される。
【0066】
次に照明光量制御部46において、センサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報(右側)と、映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致するか否かが判定される(S27)。判定の結果、「右側である」ことで一致した場合には該当する位置に対応する照明機器30−3および30−4の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S28)。
【0067】
また入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の左側に位置する感圧センサ20−1および20−2であり(S25の「NO」、S29の「YES」)乗りかご10の左側からストレッチャの乗り込みがあったと判定されたとき(S30)には、照明制御装置40Bの映像取得解析部47においてカメラ装置60から取得された映像情報が解析され、乗りかご10内にストレッチャが乗っているかが判定される。そして、乗っていると判定された場合には当該ストレッチャが乗りかご10内のどの位置(例えば、乗りかご10の右側あるいは左側)にあるかが認識される。
【0068】
次に照明光量制御部46において、センサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報(左側)と、映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致するか否かが判定される(S31)。判定の結果、「左側である」ことで一致した場合には該当する位置に対応する照明機器30−1および30−2の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S32)。
【0069】
また、入力されたセンサ情報に対応する感圧センサが乗りかご10の右側にも左側にも判別されず(S25の「NO」、S29の「NO」)、乗りかご10の中央を含む全体的な位置でストレッチャの乗り込みがあったと判定されたとき(S33)には、乗りかご10の全体の照明機器30−1〜30−4の光量の高低が反転され、通常の高い状態から低い状態に切り替えられる(S34)。
【0070】
乗りかご10にストレッチャが乗り込んだ後、戸開閉情報取得部41において戸閉状態になったことを示す情報が取得されると(S35の「YES」)、入力回数計数部43における計数値がリセットされる(S36)。
【0071】
その後ストレッチャを乗せた乗りかご10が目的階に到着し、戸開閉情報取得部41において戸開状態になったことを示す情報が取得された場合も、上述した処理と同様に照明光量制御部46においてセンサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報と、映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致する場合にストレッチャが降りたものと判定され、該当する位置に対応する照明機器の光量の高低が反転され、低い状態から通常の高い状態に切り替えられる。
【0072】
上述した処理において、ステップステップS22において2箇所の感圧センサからほぼ同時にセンサ情報が入力されていないとき(S22の「NO」)、ステップS24において計数値が奇数のとき(S24の「NO」)、ステップS27ならびにS31においてセンサ情報に対応する感圧センサの位置情報から推定されるストレッチャの位置情報と映像取得解析部47で認識されたストレッチャの位置情報とが一致しない場合(S27の「NO」、S31の「NO」)、およびステップS35において戸閉されていないとき(S35の「NO」)はステップS1に戻り、処理が繰り返される。
【0073】
以上の本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を有するとともに、さらに高い精度で乗りかごへのストレッチャの乗降の有無および乗降した位置情報を認識し、適切な照明制御を行うことができる。
【0074】
本実施形態において、映像取得解析部47において解析された映像情報から、ストレッチャに乗った患者の頭部の位置を認識し、照明光量制御部46においてこの頭部の位置に対応する照明機器の光量の高低が反転されるようにしてもよい。
【0075】
例えば、図7に示すように、乗りかご10の左側にストレッチャが乗り込み、患者の頭部の位置が乗りかご10の奥にあることが映像情報から認識されたときには、照明機器30−1のみの光量の高低が低い状態に切り替えられる。
【0076】
このように患者の頭部に対応する照明機器のみの光量を制御することにより、照明光量低減による他の利用者への影響をさらに少なくすることができ、適切な照明制御を行うことができる。
【0077】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図8を参照して説明する。
【0078】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Cは、乗りかご10の天井近傍の照明機器30−1〜30−4の下部に設置された透過光量調節板70と、乗りかご10の床面近傍の壁面に設置された足元照明機器80とをさらに有し、照明制御装置40Aまたは照明制御装置40Bに替えて照明制御装置40Cを有する他は、第1実施形態のエレベータ照明制御システム1Aまたは第2実施形態のエレベータ照明制御システム1Bの構成と同様であるため、同一の機能を有する装置については詳細な説明は省略する。
【0079】
透過光量調節板70は、電圧のON/OFFに反応する液晶板が挟みこまれ、これにより透明ガラスと不透明ガラスとに切り替え可能な調光ガラスであり、照明制御装置40Cの制御により電圧のON/OFFが切り替えられる。
【0080】
足元照明機器80は、照明制御装置40Cの制御により照明のON/OFFが切り替えられる。
【0081】
〈第3実施形態によるエレベータ照明制御システムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Cの動作について説明する。本実施形態においては、照明機器30−1〜30−4は光量の高低の調整ができないものである。また、本実施形態においてストレッチャが乗り込んでいない通常状態では、透過光量調節板70への電圧はOFF状態で透明ガラスとして機能し、足元照明機器80の照明はOFF状態である。
【0082】
そして、第1実施形態または第2実施形態において説明した場合と同様に、感圧センサ20−1〜20−4からのセンサ情報により乗りかご10のいずれかの場所にストレッチャが乗り込んだと判定されると、照明制御装置40Cにより透過光量調節板70への電圧がON状態にされ不透明ガラスとして機能させて照明機器30−1〜30−4からの光量が低減され、足元照明機器80の照明がON状態にされる。
【0083】
以上の本実施形態においては、天井部に設置された照明機器が光量調整ができないものである場合にも、透過光量調節板および足元照明機器を利用することにより、エレベータの乗りかごに乗り込んだストレッチャ上の患者がまぶしい思いをしないようにするとともに、他のエレベータ利用者に不都合を感じさせないようにすることができる。
【0084】
本実施形態においては乗りかご10内の透過光量調節板70が1つの部材で構成され設置された場合について説明したが、複数の透過光量調節板を並べて設置し、それぞれで夏のON/OFF状態を個別に制御するようにしてもよい。例えば、照明機器30−1〜30−4の大きさおよび位置に合わせた4つの透過光量調節板を設置し、ストレッチャの乗降があったとみなされた場所や患者の頭部に対応すると認識された場所の透過光量調節板のみの電圧のON/OFF状態を切り替えるようにしてもよい。
【0085】
《第4実施形態》
本発明の第4実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図9を参照して説明する。
【0086】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Dは、乗りかご10内に設置された照明用スイッチ90をさらに有し、照明制御装置40A〜照明制御装置40Cのいずれかに替えて照明制御装置40Dを有する他は、第1実施形態のエレベータ照明制御システム1A〜第3実施形態のエレベータ照明制御システム1Cのいずれかの構成と同様であるため、同一の機能を有する装置については詳細な説明は省略する。
【0087】
照明用スイッチ90は、照明制御装置により照明機器30−1〜30−4のいずれかの光量が低減されているときにエレベータ利用者により押下されると、光量が通常の高い状態に切り替えられる。また、透過光量調節板70の電圧がON状態であり不透明ガラスとして機能するとともに足元照明機器80がON状態であるときに、エレベータ利用者により照明用スイッチ90が押下されると、透過光量調節板70の電圧がOFF状態にされ透明ガラスとして機能するように切り替えられるとともに、足元照明機器80がOFF状態に切り替えられる。
【0088】
以上の本実施形態によれば、ストレッチャが乗り込んだことを認識して乗りかご10内の照明の光量が自動制御機能により低減されても、エレベータ利用者が当該機能は不要であると判断する場合は、当該照明用スイッチ90が操作されることにより照明の光量を通常の状態に戻すことができる。
【0089】
《第5実施形態》
本発明の第5実施形態によるエレベータ照明制御システムの構成について、図10を参照して説明する。
【0090】
本実施形態によるエレベータ照明制御システム1Eは、乗りかご10内の床部と側壁部との境目に設置されたストレッチャ乗降誘導具100−1および100−2をさらに有する他は、第1実施形態のエレベータ照明制御システム1A〜第4実施形態のエレベータ照明制御システム1Dのいずれかの構成と同様であるため、同一の機能を有する装置については詳細な説明は省略する。
【0091】
ストレッチャ乗降誘導具100−1および100−2は、乗りかご10内の床部と側壁部との境目を穏やかなカーブ状で繋ぐように設置された板状、または略三角柱状の構造物である。このストレッチャ乗降誘導具100−1および100−2は、乗りかご10に対して着脱可能な状態で設置してもよく、また形状は中空でもよい。
【0092】
このように乗りかご10にストレッチャ乗降誘導具100−1および100−2を設置することにより、ストレッチャが乗りかご10に入る際に壁にぶつからず、感圧センサ20−1〜20−4に対してストレッチャのキャスタを真っ直ぐ壁面と平行に移動させるように誘導することができ、感圧センサ20−1〜20−4のセンサ情報によるストレッチャの乗降の判定精度を向上させることができる。
【0093】
《第6実施形態》
本発明の第6実施形態による、エレベータ照明制御システムを利用した監視システム2の構成について、図11を参照して説明する。
【0094】
本実施形態による監視システム1Fは、第1実施形態のエレベータ照明制御システム1A〜第5実施形態のエレベータ照明制御システム1Eのいずれかが、エレベータ運転制御装置110を介して通信ケーブル50により監視装置120に接続されて構成されている。
【0095】
エレベータ運転制御装置110は、当該エレベータが何らかの理由で停止し、乗りかご10が乗降可能領域であるドアゾーンまで移動できない状況になり、且つ照明制御装置40A〜40Eのいずれかにより乗りかご10内にストレッチャが乗っていると判定されているときは、ストレッチャが乗りかご10内にある状態でエレベータが故障していることを示す情報を監視装置120に送信する。
【0096】
監視装置120は、ストレッチャが乗りかご内10にある状態でエレベータが故障していることを示す情報を受信すると、これを表示や音声等により出力し監視員に報知する。
【0097】
以上の本実施形態によれば、ストレッチャが乗りかご内10にある状態でエレベータが故障した場合にこの情報を監視員に報知することができ、迅速な救出処置を実施させることが可能になる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1A〜1E…エレベータ照明制御システム
2…監視システム
20−1〜20−4…感圧センサ
30−1〜30−4…照明機器
40A〜40E…照明制御装置
41…戸開閉情報取得部
42…センサ情報入力部
43…入力回数計数部
44…ストレッチャ乗降判定部
45…位置情報判定部
46…照明制御部
47…映像取得解析部
50…通信ケーブル
60…カメラ装置
70…透過光量調節板
80…足元照明機器
90…照明用スイッチ
100−1、100−2…ストレッチャ乗降誘導具
110…エレベータ運転制御装置
120…監視装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された、四輪のキャスタを有するストレッチャの横方向のキャスタ間隔よりも狭い幅の検出領域を有する複数の感圧センサと、前記乗りかごの天井部に設置され、光量の調整が可能な照明機器とに接続された照明制御装置において、
前記感圧センサに圧力がかかったことが検出されたときに、当該感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報取得部で、2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、前記乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または前記乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、前記照明機器の光量の高低を反転させるように制御する照明光量制御部と、
を備えることを特徴とする病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項2】
接続された照明機器は複数個あり、
前記照明光量制御部は、前記センサ情報取得部で取得されたセンサ情報の識別情報から判定されるストレッチャの乗降位置に対応する照明機器の光量の高低を反転させるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項3】
前記乗りかご内を俯瞰する位置に設置されたカメラ装置にさらに接続され、
前記照明光量制御部は、2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得され、且つ、前記カメラ装置で撮影された前記乗りかご内の映像情報を取得して解析することにより、前記乗りかご内にストレッチャが乗り込んだと判定したときに、当該照明機器の光量を低い状態に切り替える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項4】
前記照明光量制御部は、前記カメラ装置で撮影された前記乗りかご内の映像情報を取得して解析することにより認識した患者の頭部の位置に対応する照明機器の光量の高低を反転させるように制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項5】
前記照明機器は、下部に透過光量調節板を有し、
前記照明光量制御部は、前記透過光量調節板による前記照明機器の光量の透過を調節することにより、前記乗りかご内の照明機器の光量の高低を反転させるように制御する
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項6】
前記乗りかごの床面近傍に設置された足元照明機器にさらに接続され、
前記照明光量制御部は、前記乗りかご内の照明装置の光量を低い状態に切り替えたときに、前記足元照明機器をON状態にする
ことを特徴とする請求項5に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項7】
前記乗りかご内に設置された照明用スイッチにさらに接続され、
前記照明光量制御部は、前記乗りかご内の照明装置の光量を低い状態に切り替えた後、前記照明スイッチが押下されたことを検出したときには、当該照明機器の光量を高い状態に戻す
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項8】
前記乗りかご内には、床部と側壁部との境目を穏やかなカーブ状で繋ぐためのストレッチャ乗降誘導具が設置されている
ことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項9】
病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された、四輪のキャスタを有するストレッチャの横方向のキャスタ間隔よりも狭い幅の検出領域を有する複数の感圧センサと、
前記乗りかごの天井部に設置され、光量の調整が可能な照明機器と、
前記感圧センサに圧力がかかったことが検出されたときに、当該感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報取得部により、2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、前記乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または前記乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、前記照明機器の光量の高低を反転させるように制御する照明光量制御部と、
を備えることを特徴とする病院用エレベータの照明制御システム。
【請求項10】
前記照明光量制御部において前記乗りかごにストレッチャ乗り込んだと判定された後に、当該エレベータが故障すると、ストレッチャが当該乗りかご内にある状態でエレベータが故障していることを示す情報を出力する監視システムにさらに接続された
ことを特徴とする請求項9に記載の病院用エレベータの照明制御システム。
【請求項11】
病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された、四輪のキャスタを有するストレッチャの横方向のキャスタ間隔よりも狭い幅の検出領域を有する複数の感圧センサと、前記乗りかごの天井部に設置され、光量の調整が可能な照明機器とに接続された照明制御装置が、
前記感圧センサに圧力がかかったことが検出されたときに、当該感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得するセンサ情報取得ステップと、
前記センサ情報取得ステップで、2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、前記乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または前記乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、前記照明機器の光量の高低を反転させるように制御する照明光量制御ステップと、
を有することを特徴とする病院用エレベータの照明制御方法。
【請求項1】
病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された、四輪のキャスタを有するストレッチャの横方向のキャスタ間隔よりも狭い幅の検出領域を有する複数の感圧センサと、前記乗りかごの天井部に設置され、光量の調整が可能な照明機器とに接続された照明制御装置において、
前記感圧センサに圧力がかかったことが検出されたときに、当該感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報取得部で、2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、前記乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または前記乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、前記照明機器の光量の高低を反転させるように制御する照明光量制御部と、
を備えることを特徴とする病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項2】
接続された照明機器は複数個あり、
前記照明光量制御部は、前記センサ情報取得部で取得されたセンサ情報の識別情報から判定されるストレッチャの乗降位置に対応する照明機器の光量の高低を反転させるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項3】
前記乗りかご内を俯瞰する位置に設置されたカメラ装置にさらに接続され、
前記照明光量制御部は、2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得され、且つ、前記カメラ装置で撮影された前記乗りかご内の映像情報を取得して解析することにより、前記乗りかご内にストレッチャが乗り込んだと判定したときに、当該照明機器の光量を低い状態に切り替える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項4】
前記照明光量制御部は、前記カメラ装置で撮影された前記乗りかご内の映像情報を取得して解析することにより認識した患者の頭部の位置に対応する照明機器の光量の高低を反転させるように制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項5】
前記照明機器は、下部に透過光量調節板を有し、
前記照明光量制御部は、前記透過光量調節板による前記照明機器の光量の透過を調節することにより、前記乗りかご内の照明機器の光量の高低を反転させるように制御する
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項6】
前記乗りかごの床面近傍に設置された足元照明機器にさらに接続され、
前記照明光量制御部は、前記乗りかご内の照明装置の光量を低い状態に切り替えたときに、前記足元照明機器をON状態にする
ことを特徴とする請求項5に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項7】
前記乗りかご内に設置された照明用スイッチにさらに接続され、
前記照明光量制御部は、前記乗りかご内の照明装置の光量を低い状態に切り替えた後、前記照明スイッチが押下されたことを検出したときには、当該照明機器の光量を高い状態に戻す
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項8】
前記乗りかご内には、床部と側壁部との境目を穏やかなカーブ状で繋ぐためのストレッチャ乗降誘導具が設置されている
ことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の病院用エレベータの照明制御装置。
【請求項9】
病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された、四輪のキャスタを有するストレッチャの横方向のキャスタ間隔よりも狭い幅の検出領域を有する複数の感圧センサと、
前記乗りかごの天井部に設置され、光量の調整が可能な照明機器と、
前記感圧センサに圧力がかかったことが検出されたときに、当該感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報取得部により、2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、前記乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または前記乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、前記照明機器の光量の高低を反転させるように制御する照明光量制御部と、
を備えることを特徴とする病院用エレベータの照明制御システム。
【請求項10】
前記照明光量制御部において前記乗りかごにストレッチャ乗り込んだと判定された後に、当該エレベータが故障すると、ストレッチャが当該乗りかご内にある状態でエレベータが故障していることを示す情報を出力する監視システムにさらに接続された
ことを特徴とする請求項9に記載の病院用エレベータの照明制御システム。
【請求項11】
病院内エレベータの乗りかごの戸近傍の床部に並べて設置された、四輪のキャスタを有するストレッチャの横方向のキャスタ間隔よりも狭い幅の検出領域を有する複数の感圧センサと、前記乗りかごの天井部に設置され、光量の調整が可能な照明機器とに接続された照明制御装置が、
前記感圧センサに圧力がかかったことが検出されたときに、当該感圧センサの識別情報を含むセンサ情報を取得するセンサ情報取得ステップと、
前記センサ情報取得ステップで、2箇所の感圧センサのセンサ情報が偶数回取得されたときに、前記乗りかごへのストレッチャの乗り込み、または前記乗りかごからのストレッチャの降りがあったものとみなし、前記照明機器の光量の高低を反転させるように制御する照明光量制御ステップと、
を有することを特徴とする病院用エレベータの照明制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−51123(P2013−51123A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188400(P2011−188400)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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