癌等治療効果を有するヒト由来CD70陽性樹状細胞の調整方法、該ヒト由来CD70陽性樹状細胞および該ヒト由来CD70陽性樹状細胞を含む医薬組成物
【課題】癌、悪性腫瘍、白血病、難治性の感染症等に治療効果を有するヒト由来CD70陽性樹状細胞の調整方法、該ヒト由来CD70陽性樹状細胞および該ヒト由来CD70陽性樹状細胞を含む医薬組成物の提供。
【解決手段】ヒト樹状細胞またはその前駆細胞をin vitroで菌体成分(リポポリサッカライド)、GM−CSF、IL−4、またはTNF等を添加して培養することによって、癌等に治療効果を有するヒト由来CD70陽性樹状細胞が得られる。
【解決手段】ヒト樹状細胞またはその前駆細胞をin vitroで菌体成分(リポポリサッカライド)、GM−CSF、IL−4、またはTNF等を添加して培養することによって、癌等に治療効果を有するヒト由来CD70陽性樹状細胞が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも菌体成分を含む培養条件によって誘導したヒト由来CD70陽性樹状細胞(dendritic cell: DC)の調整方法および該方法によって得られたヒト由来CD70陽性DC、および当該ヒト由来CD70陽性DCに必要に応じて対象疾患関連抗原を付与した癌、悪性腫瘍、または白血病あるいは難治性の感染症などの治療用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
約10年前から、 DCは生体内で最も強力な抗原提示細胞であり、T細胞に抗原を提示することにより免疫応答を誘導する事が知られるようになった。更に、DCはT細胞のみでなくB細胞、NK細胞、NKT細胞などとも直接作用し、免疫の指令塔の役割を担う細胞であると認識されている(Hart, D. N. J., Blood 1997; 90: 3245-3278)。DCは様々な前駆細胞が血液を介して末梢組織に到達して未成熟DCに分化し、抗原取り込み抗原を末梢リンパ組織に移行してT細胞に抗原を提示する。状況によりDCはT細胞を介して抗原の免疫応答、あるいは寛容を誘導する。もし、未成熟DCが抗原摂取時に感染や炎症性の刺激を受けとり、CD40, CD80, CD86などの共刺激分子の発現上昇を伴い高いT細胞刺激能を獲得すると、抗原特異的T細胞を活性化することによって強い免疫応答を誘導する(Banchereau, J. et al., Annu. Rev. Immunol. 2000; 18: 767-811)。現在、その研究は、in vitroでのDC誘導法が開発された事や、癌特異的な抗原が次々と同定された事などにより、DCの強い免疫誘導能を癌治療に応用する研究に発展している。このような新しい細胞医療は、次世代医療として注目され、実用化に向けての研究が着実に進められている。
【0003】
近年の樹状細胞免疫治療の研究の進展に伴い、その治療法が進歩する一方で、新たな問題も提起されている。それは、癌細胞、癌組織などの産物によって誘導されるregulatory T細胞(Treg)などによって癌の寛容が誘導されたり、エフェクター細胞が不活化されたりすることによって、同治療が無力化されることである(Gajjimore, A. et al. Immunology、2000; 107: 105-107, Wang, R-F. Semin Cancer Biol. 2005; in press)。さらに、エフェクター細胞を癌組織に有効に到達させる課題も指摘されている(Soruri, A. et al. IJBCB 2005; 37: 241-245) 。しかし、それらの問題点解決に、近年発見された病原体成分や異常なDNA, RNAなどを認識する分子(Toll like Receptor: TLR)でTLR刺激を介して活性化されたDCの作用が注目されている。TLR刺激によってDCは強力な免疫誘導能を持つ成熟したDCに分化し、in vivoおよびin vitroで癌細胞を排除するのにも有用であることが示されている (Yong, Y. et al. Nature Immunol. 2004; 5: 508-515, Serra, P. Immunity 2003; 19: 877-889)。それは、強いエフェクターの誘導と共に免疫寛容の排除やTregの抑制も原因の1つとして挙げられた(Wang, R-F. Semin Cancer Biol. 2005; in press)。しかし、このようにin vivo 実験でTLR 刺激を受けたDCの有用性が示される一方で、in vitroではかならずしも有用なデータが示されなかった。それは、TLR刺激したヒトDCは一過性に抗腫瘍免疫に重要なTh1反応を刺激するが刺激後2-3日目にはTh1反応を抑制するDCに変化するとされている (Langenkamp, A. et al. Nature Immunol. 2000; 4: 311-316)。また、そのようなTh1活性を失ったDCはむしろ抗腫瘍免疫活性を阻害すると報告されている (Camploreale, A. et al. Cancer Res. 2003; 63: 3688-3694) 。そのため、活性化したDCは紫外線やマイトマイシンCといった薬剤で刺激後早期に死滅して利用され、TLR刺激で成熟したDCの潜在能力を十分に活用できないでいるのが現状である。従って、このようなin vivoとin vitroでのTLRの刺激を介したDCの作用の矛盾を解決することは、癌の樹状細胞療法に大きな進展をもたらすと考えられる。
【0004】
マウスでは、TLRで刺激された成熟DCにはCD70分子を発現することが知られている (Tesselar A. J. immunol. 2003; 169: 33-40)。そして、近年、そのCD70を介した強い抗腫瘍免疫の作用が明らかになりつつある (Arens A., et al. 2004; 199: 1595-1605)。CD70はTNFファミリーに属する2型の膜貫通分子であり、その受容体であるCD27は多くのT細胞に常時発現しているTNF受容体ファミリーである。CD27は刺激を受けるとCD28-B7と同様にT細胞受容体(TCR)刺激存在下でCD27-CD70はT細胞の増殖、生存の維持、サイトカインの産生を誘導する(Goodwin, G., et al. Cell 1993; 73: 447-456)。特に、細胞性免疫、すなわち抗原特異的CTLの誘導に強い作用があると考えられている。活性化T細胞、B細胞、DCが発現するCD70の刺激によってCD8+T細胞はIFN-γを産生するCTLに分化するが、B細胞やNK細胞もCD27-CD70依存的に活性化を受ける(Brost, J. et al. Curr. Opinion immunol. 2005; 17: 275-281)。このようなCD27-CD70依存的な免疫反応はCD4T細胞を必要とせずに強い抗腫瘍免疫を誘導して、免疫記憶を成立させる(Arens A., et al. J. Exp. Med. 2004; 199: 1595-1605)。以上のように、CD70はTLR刺激を介した成熟したDCに発現する分子の1つで、その発現によって効果的な細胞性免疫を誘導することが明らかとなっている(Bullock TJ. Et al. J.Immunol. 2005; 174: 710-717)。しかし、ヒト由来CD70陽性DCについては、発現が認められず、また、その誘導法も明らかにさていない。従って、そうした効力のあるDCを癌治療等に利用できないでいる。
【0005】
DCによるサイトカインの産生は、その機能と密接に関している。IL-12を産生する樹状細胞はTh1反応を強く誘導し、生体の免疫を誘導する。この作用は癌免疫に極めて有効であるとされ(Rajanavolgyi, E., et al. Advanced in Cancer Res. 2003; 195-233)、DCのIL-12発現、Th1誘導能は細胞免疫治療の研究で重要視されてきた。近年、IL-12ファミリーの新しい分子がいくつか発見され、その中でもIL-23が注目されている。IL-12と同様にTh1誘導能を有する他に、いくつか異なる作用を有している (Bettelli, E., J. Exp. Med. 2005; 201: 169-171)。IL-23は細胞性免疫の誘導活性が強く、強い抗腫瘍作用および転移抑制作用も報告されているが(Lo, C-H. et al., J. Immunol. 2003; 171: 600-607)、その臨床的効果は未知数である。また、IL-23はIL-17産生性T細胞を誘導して自己免疫疾患の発症に関与することが知られ、自己免疫疾患のリンパ節や炎症部位に観察されるIL-23陽性DCの性質や機能に注目が集められている。
【非特許文献1】Hart, D. N. J., Blood 1997; 90: 3245-3278
【非特許文献2】Banchereau, J. et al., Annu. Rev. Immunol. 2000; 18: 767-811
【非特許文献3】Gajjimore, A. et al. Immunology、2000; 107: 105-107
【非特許文献4】Wang, R-F. Semin Cancer Biol. 2005; in press
【非特許文献5】Yong, Y. et al. Nature Immunol. 2004; 5: 508-515
【非特許文献6】Serra, P. Immunity 2003; 19: 877-889
【非特許文献7】Langenkamp, A. et al. Nature Immunol. 2000; 4: 311-316
【非特許文献8】Camploreale, A. et al. Cancer Res. 2003; 63: 3688-3694
【非特許文献9】Tesselar A. J. immunol. 2003; 169: 33-40
【非特許文献10】Arens A., et al. 2004; 199: 1595-1605
【非特許文献11】Bullock TJ. Et al. J.Immunol. 2005; 174: 710-717
【非特許文献12】Goodwin, G., et al. Cell 1993; 73: 447-456
【非特許文献13】Arens A., et al. J. Exp. Med. 2004; 199: 1595-1605
【非特許文献14】Rajanavolgyi, E., et al. Adv. Cancer Res. 2003; 195-233
【非特許文献15】Bettelli, E., J. Exp. Med. 2005; 201: 169-171
【非特許文献16】Lo, C-H. et al., J. Immunol. 2003; 171: 600-607
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、TLR等の刺激で得られるDCで癌等に対して有効な治療効果を有すると考えられるヒト由来CD70陽性DC、該ヒト由来CD70陽性DCの調整方法、該ヒト由来CD70陽性DCを含む医薬組成物の提供を目的とする。具体的には、少なくとも菌体成分等の存在下でヒトDCまたはその前駆細胞をin vitroで培養してヒト由来CD70陽性DCを調整する方法、該方法により調整されたヒト由来CD70陽性DC、該ヒト由来CD70陽性DCを含む癌、悪性腫瘍、または白血病あるいは難治性の感染症などの治療用医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述のように、TLR刺激でヒト由来CD70陽性DCを得ようとする方法は開発されていなかった。本発明者は、ヒトDCのCD70発現について鋭意検討を行い、少なくとも菌体成分等の存在下でヒトDCまたはその前駆細胞をin vitroで培養してヒト由来CD70陽性DCを作成し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] ヒト由来DCまたはその前駆細胞をin vitroで菌体成分と共に培養し、ヒト由来CD70陽性DCを調整する方法。
[2] ヒト由来ヒトDCがヒト単球由来DCである、[1]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[3] ヒト単球をGM-CSFにIL-4またはTNFを添加して培養する、[1]または[2]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[4] リポポリサッカライド(LPS)の存在下で培養する、[3]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[5] 治療しようとする疾患と関連する組織または臓器に存在する抗原の存在下で培養する、[1]乃至[4]のいずれかに記載のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[6] 疾患が、癌、悪性腫瘍、または白血病である、[5]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[7] 疾患が、難治性の感染症である、[5]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[8] [1]乃至[7]のいずれかの方法で調製されたヒト由来CD70陽性DC。
[9] in vitro においてCD4T細胞に増殖促進反応し、かつIFN-γおよびIL-17を誘導する機能を有する、[8]のヒト由来CD70陽性DC。
[10] in vitro において自己CD8T細胞にCD70を介してIFN-γを誘導する機能を有する、[8]のヒト由来CD70陽性DC。
[11] [9]または[10]のヒト由来CD70陽性DCを含む医薬組成物。
[12] 癌、悪性腫瘍、または白血病治療に用い得る、[10]の医薬組成物。
[13] 難治性の感染症に用い得る、[10]の医薬組成物。
【発明の効果】
【0009】
実施例が示すように、ヒト由来CD70陽性DCはこれまでのDCと異なりLPS刺激後長時間に渡り、Th1誘導能をもつことが明らかになった。この原因メカニズムとして、IL-23の持続的な発現が認められた。さらに、IL-17とIFN-gを産生するエフェクターT細胞を誘導することや、CD70依存的なCD8T細胞へのIFN-γ産生誘導能が明らかとなった。以上の効果は、従来の作成されたヒトDCにはないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
1.ヒト由来CD70陽性樹状細胞(ヒト由来CD70陽性DC)の調製
本発明のヒト由来CD70陽性DCは、例えば、ヒト単球を用いる場合には以下の方法によって製造される。
2.通常の方法により、顆粒球、単球コロニー形成因子(GM-CSF) 20 ng/mlとインターロイキン4(IL-4) 10 ng/mlを加え、ヒト単球を7日間培養し、ヒト単球由来樹状細胞を調整する。
3.該ヒト単球由来樹状細胞を複数回洗浄(約5回)した後、該樹状細胞に菌体成分(LPS等)1-30μg/ml および、目的とする抗原1-100μg/mlを加え2−4日間培養する。その後、浮遊細胞(ヒト由来CD70陽性DC)を採取する。この工程は本発明で非常に重要である。
4.以上の方法の他の方法としては、単球をGM-CSF 20ng/mlとTNF 10ng/mlで7日間培養し、1回洗浄後、細胞に菌体成分を加え3-5日間培養する。その後、浮遊細胞(ヒト由来CD70陽性DC)を採取する。
以上の手法によって成熟樹状細胞(ヒト由来CD70陽性DC)が作られるが、本発明のヒト由来CD70陽性DCは、従来のDCにない下記の特徴を有する。
a)刺激後長時間強い活性を持ったTh1細胞を誘導できる。通常は刺激後1日以内に活性がほとんど失われるといわれている。
b)CD70を発現する。
c)IL-23を持続的に発現している。
d)IL-17を産生するT細胞を誘導できる。
e)CD70依存的に自己CD8T細胞のIFN-γ産生を誘導する。
f)自己T細胞反応に於いて免疫を促進させるIFN-γ産生を誘導するが、免疫
抑制に関わるIL-10の産生を誘導しないこと。
以上の性質は、これまで報告されてきた樹状細胞にはない性質で癌等の治療効果を優位にあげるものと予想される。
本発明は、ヒト由来CD樹状細胞(DC)またはその前駆細胞を少なくとも菌体成分の存在下で培養しヒト由来CD70陽性DCを調製する方法であり、また得られたヒト由来CD70陽性DCである。例えば、ヒト単球にGM-CSFおよびIL-4、添加して誘導されるDCおよび当該DCに更に菌体成分等の刺激(例えばOK-432, BCG,LPSなど)を加えたものがヒト由来CD70陽性DCとして調製される。この際、ヒト単球を最初にまたはGM−CSFおよびTNFで刺激しDCに分化させてもよい。さらに、細胞を洗浄後、菌体成分等(LPS, OK-432, BCG)によってTLR刺激を与えることにより、成熟したCD70陽性DCとなる。また、ヒトDCまたはその前駆細胞を洗浄後、ヒト由来CD70陽性DCに調製する際にCD40アゴニストを添加してもよい。CD40アゴニストとは、免疫細胞表面に発現するCD40抗原に作用することにより、CD40を介した細胞内へシグナルを伝達し得る物質を意味する。CD40アゴニストは、CD40抗原に対する天然または合成のリガンド、すなわちCD40を介してシグナルを誘導するあらゆる分子、およびCD40抗原に対する抗体を包含する。かかる抗体は、CD40のいずれの部位を認識するものであっても、CD40を介するシグナルを誘導するものであればよい。抗CD40抗体は、DCを成熟させることが報告されており(Z.H.Zhou et al., Hybridoma, 18:471 1999)、本発明において使用される抗体は、特に限定されない。また、抗体分子の抗原認識部位を保持する抗CD40抗体フラグメントも、CD40アゴニストとして有用である。
【0012】
ヒトDCは前述のようにヒト単球をGM-CSFおよびIL-4の存在下で培養することにより得られる。この際の単球はヒト末梢血由来でも、ヒト骨髄由来でも、ヒト脾臓細胞由来でも、ヒト臍帯血由来でもよい。さらに、これらの組織、器官から樹状細胞をFACS(Fluorescent activated cell sorter)またはフローサイトメーター等によりCD1a等のDC特異的な表面抗原の発現を指標に単離することもできる。FACSによる特定の細胞集団の単離は公知の方法により行なえばよい。FACS、フローサイトメーターとしては例えばFACS vantage(ベクトン・ディッキンソン社製)、FACS Calibur(ベクトン・ディッキンソン社製)等を用いることができる。
【0013】
ヒト単球、DCの培養は、周知のヒトリンパ系細胞の培養技術により行なうことができる。培養液としては例えばRPMI1640やDMEMを用いることができ、これらの基本培地に適当な抗生物質や動物血清等を添加して培養すればよい。培養容器も限定されず、培養規模に応じて市販のプレート、ディッシュ、フラスコを適宜選択して用いることができる。
【0014】
培養に用いるGM-CSF、IL-4、TNF、LPSの濃度は、1ng/mL〜100ng/mL、好ましくは5ng/mL〜30ng/mLである。また、CD40アゴニストを添加する場合、例えば抗CD40抗体の濃度は、0.1μg/mL〜100μg/mL、好ましくは1μg/mL〜10μg/mLである。刺激に必要な培養日数は、3日間以上7日間以内が好ましい。ヒト単球またはヒトDCの表面抗原の発現をFACS等で調べることにより、目的の分化程度の細胞が得られる培養期間を適宜決定することができる。刺激に用いるGM-CSF、IL-4、TNF、LPSの濃度、刺激期間等の条件は、自己ナーブCD4陽性T細胞の抗原刺激によるIFN-γの誘導やDCのCD70発現を指標として条件を決定できる。
【0015】
ヒト由来CD70陽性DCは、in vitroにおいてLPS刺激後3日目以降も持続的なTh1反応を誘導できること、IL-23を発現していること、CD70を発現すること、IL-17産生エフェクターT細胞を誘導できること、自己のCD8T細胞にCD70依存的にIFN-γ産生を誘導できること、自己T細胞反応に於いて免疫を促進させるIFN-γ産生を誘導するが、免疫抑制に関わるIL-10の産生を誘導しないこと、等の特徴的な機能を有する細胞である。細胞がこれらの特徴を有しているか否かは後記の実施例に記載の方法により決定することがきでる。
【0016】
2.ヒト由来CD70陽性DCの用途
本発明のヒト由来CD70陽性DCは上述のように、LPS刺激後長期に渡り自己ナイーブCD4T細胞に抗原刺激下で、IFN-γ産生およびTh1誘導する能力がある。その背景には、IL-23の持続的な発現やCD70の発現といった新たな機能を獲得したことにある。これらの機能は、持続的なTh1反応のメカニズムや、癌組織への免疫を長期に渡り維持させる方法の開発、慢性炎症性疾患、自己免疫疾患発症の解明の研究の進展に影響をおよぼす可能性がある。従って、ヒト由来CD70陽性DCの用途は、癌や難治性感染症への細胞療法や自己免疫性疾患治療への研究開発などに利用に好ましいと思われる。
【0017】
また、CD70陽性DCと自己T細胞の反応でin vitroで抗原特異的なエフェクターT細胞や記憶細胞を作成することが可能であり,それらの細胞は抗原特異的な細胞増殖、IFN-γ産生の誘導、癌細胞殺傷効果が観察される。それと同時に、NK活性の誘導も伴う。
【0018】
この新しいCD70陽性DCの機能によって、従来技術として得ることができなかったIL-17を産生するエフェクターT細胞をつくり出すことが可能である。従って、このようなDCの機能をターゲットとした種々の薬剤開発が可能である。具体的には、薬剤によるDCのIL-23産生抑制やIL-17産生T細胞の抑制効果を見ることができる。
【0019】
以上より、ヒト由来CD70陽性DCは、CD4陽性あるいはCD8陽性T細胞の免疫応答をIL-23及びCD70によって活性化することが可能であることが明らかである。従って本発明のヒト由来CD70陽性DCによってCD4陽性あるいはCD8陽性T細胞を、従来のDCにはない新しいメカニズムで活性化することにより、これまで超えられなかった免疫寛容の壁を突破する目的で新規の細胞免疫治療に用いることができる。
【0020】
本発明の対象となるのは、癌、悪性腫瘍、白血病などへの樹状細胞療法が挙げられる。
【0021】
本発明の対象になるのは、IL-23との関連性がいわれている結核、サルモネラ感染症、野兎病、クリプトコッカス症、トキソプラズマ感染症、サイトメガロウイルス感染症などの細胞内感染症を来す難治性疾患の治療に用いられる樹状細胞療法が挙げられる。
【0022】
さらに、本発明活用の対象になるのは、関節リュウマチ、クローン病、乾癬、多発性硬化症などの自己免疫疾患のDCをターゲットとした薬剤開発が挙げられる。
【0023】
本発明は、本発明の方法により誘導されたヒト由来CD70陽性DCを含む上記疾患の治療用医薬組成物を包含する。本発明のヒト由来CD70陽性DCを疾患の治療に用いる場合、治療しようとする疾患に関連した抗原で刺激する。抗原としては、疾患と関連する組織・臓器に存在する抗原タンパク、またはペプチド、また、それらをコードするRNA, DNA類、およびその改変体を用いる。この際の刺激は、本発明のヒCD70陽性DCをin vitro で抗原と共に培養すればよい。
【0024】
治療用医薬組成物に用いるヒトDCの種類としては、ヒト単球由来DC(Bwatrice Thurner, Gerold Schuler et al, J. Exp. Med. 1999 190(11):1669-1678, Axel Heiser, Eli Gilboa el al, J. Clin. Invest. 2002 109(3) 409-417)またはヒト末血DC(Small EJ., L Clin Oncol. 2000 18(23):3894-3903) あるいはヒトCD34陽性細胞由来DC(Caux C, Jacques Banchereau et al Blood 1997 90(4); 1458-1470)等を挙げることができ、好ましくはヒト単球由来DCを含むヒト DCとする。
【実施例】
【0025】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0026】
以下に本発明の具体的態様と効果を例示した実施例を記載する。但し、本発明はこれら実施例にその本発明が限定されるものではない。
【0027】
A. ヒト由来CD70陽性DCを用いた実施例
ヒト単球をGM-CSFとIL-4で作成されたDCを5回洗浄後にLPS10μg/mL加えて3-4日間刺激して作成された細胞をヒト由来CD70陽性DCと定義する。
【0028】
実施例1:ヒトDCのCD70分子の誘導
ヒトDCは以下のように調製した。ヒト末梢血由来単核細胞を抗CD14抗体付着磁気ビーズ (MACS)にてポジテイブセレクションをして単球を得る(>99% CD14陽性細胞)。同様に、ヒト由来CD70陽性DCは単球をヒトGM-CSF(20 ng/mL)およびヒトTNF(30 ng/mL)存在下に7日間培養し、調整した。得られたDCをFACScan flow cytometer (Becton Dickinson)を用いて解析すると、95%以上がHLA-DR発現細胞であり、T細胞、B細胞、NK細胞および単球/マクロファージの混入は0.1%以下であった。ヒト由来CD70陽性DCは以下のように調製した。上記細胞をPBSにて5回洗浄し、ヒトLPS(Sigma, 10 μg/mL)共存下にてさらに3日間培養し、これをCD70陽性DCとした。この方法によるCD70誘導効果を従来通りに洗浄しないでLPS刺激したDCとCD70の発現を抑制するIL-4を添加した洗浄刺激DC、いわゆるサイトカインカクテル(TNF, IL-1, PGE2)によって成熟刺激をしたDCとCD70の発現および成熟DCマーカーとしてCD86の発現をフローサイトメーターで測定し、比較検討してみた。図1Aが示すように、それぞれの刺激によってすべてのDCは成熟するが、上記のプロトコールによって洗浄刺激したDCのみが、CD70を強く誘導した。また、洗浄刺激してIL-4を添加したCD70陰性DCとCD70陽性DCとの表現型の違いをフローサイトメーターで解析した。結果は、図1Bが示す通り、CD70の発現が特異的にIL-4によって阻害され、他の膜抗原である4-1BBL, HLA class I, class II, CD86, CD80, CD40, CD83の発現はいずれも高発現を保っていた。
【0029】
実施例2:ヒト由来CD70陽性DCの持続性的Th1誘導活性の検証。
これまでのヒトDCでは成熟刺激後のTh1誘導能は1日以内でほとんど消失するといわれていた。CD70陽性DCの持続的なTh1誘導能を検証するためKeyhole limptet Hemocianin (KLH) 10 μg/mLでパルスしたDCを、ナイーブCD4T細胞と混合培養してみた。その結果は、培養3日後の培養上清中のIFN-γ濃度、および、培養12日後のTh1誘導で確認された。Th1細胞のアッセイは、培養したT細胞をPMA(10 ng/mL), inomycine (500 ng/mL), Brefeldin A (10 μg/mL)で 3時間処理し、4%パラホルムアルデヒドで固定した。さらに、細胞膜穿孔試薬(0.5% Saponin, 2% FBS/PBS )で処理したのち、T細胞のIFN-g/IL-4の細胞内染色をしてFACS解析をした。図2Aは、LPS刺激後1日目(白色柱)、または3日目(灰色柱) の非洗浄刺激、洗浄後刺激、洗浄刺激+IL-4のDCとナイーブCD4T細胞を3日間培養後の培養上清のIFN-γ濃度である。LPS刺激後1日目のDCはいずれも強いIFN-γ誘導能を示たが、3日後ではCD70陽性細胞(洗浄後刺激)以外はほとんど活性が消失した。図2Bは、DCとの混合培養で刺激されたT細胞のTh1/Th2誘導活性を示したものである。negative controlはT細胞混合前にTGF-β10ng/mL、抗ヒトIL-12抗体10μg/mLを加えたものである。IFN-γ産生誘導能と同様に、LPS刺激後3日目のCD70陽性DCはTh1誘導活性を示している。
【0030】
実施例3:ヒト由来CD70陽性DCは持続的にIL-23を発現する。
DCのTh1誘導活性はIL-12の産生と密接な関係があるといわれている。CD70陽性DCの持続的Th1誘導活性もIL-12ファミリー分子の発現が密接に関与していた。LPS刺激後のDCを経時的に回収してIL-12ファミリー分子のエッセンジャーRNAの変化をRT-PCR法で解析した。対照に洗浄後LPS+IL-4刺激DCを用いた。図3が示すようにLPS刺激後1日目のDCは、いずれもIL-12ファミリー分子の強い発現が見られたが、CD70陽性DCのみが刺激後48時間以降もIL-12p40とIL-23p19の発現が持続していた。活性型のIL-12ファミリー分子はヘテロダーマイーを形成するが、IL-12p40とIL-23p19は活性型IL-23を形成する。細胞内染色に於いても刺激後4日目のCD70陽性DCではIL-12p40の発現が見られた。従って、CD70陽性DCはIL-23を産生することが示唆され、実施例4が示すようにT細胞のIL-17産生を誘導することでCD70陽性DCの活性型IL-23の産生が裏付けられた。
【0031】
実施例4:ヒト由来CD70陽性DCはIL-17産生エフェクターT細胞の誘導する。
IL-23はT細胞にIL-17産生を誘導するので、CD70DCによってナイーブCD4T細胞の培養により、IL-17産生性Tエフェクターが誘導されるのか検証した。末梢血ナイーブCD4T細胞とCD70陽性DCを12日間混合培養して、PMA, inomycine, Brefeldin A処理したT細胞のIFN-g/IL-17の2重細胞内染色をした。IL-17 の染色には1次抗体は兎抗IL-17ポリクロナール抗体(MBL)、2次抗体にはFITCラベル抗兎抗体(PARIS)を用いた。IFN-γの染色にはPEラベルIFN-γモノクロナール抗体を用いた。対照のDCにはCD70陰性DC(洗浄後LPS+IL-4刺激DC)を用いた。図4に示すようにCD70陽性DCではIFN-γ、およびIL-17を産生するTエフェクター(正方形枠内)が誘導されたが,CD70陰性DCでは観察されなかった。
【0032】
実施例5:ヒト由来CD70陽性DCはCD8T細胞にCD27-CD70依存的、CD28-B7非依存的にIFN-γ産生を誘導する。
CD70にはCD8T細胞に強いIFN-γ誘導作用があることが、マウスのトランスジェニックマウスを用いた実験で実証されている。ヒト由来CD70陽性DCにも同様な作用があるのかを、自己のCD8T細胞を用いて実証してみた。CD8T細胞は末梢血単核白血球分画からPan-T-isolation Kit (MACS)によって純化したT細胞(98%>CD3+)を更に、CD8イムノビーズ(Dyanl)によってポジティブセレクションを行なった細胞(99%>CD3+CD8+)を用いた。CD70陽性DCは、抗CD70抗体(Ancel)またはCTLA-4-IgFc(R&D)でそれぞれCD70またはB7(CD80&CD86)を混合培養前に処置して、ブロックしたもの、しないものを用いた。CD8T細胞とCD70陽性DCを混合培養後3日後の培養上清中のIFN-g濃度、混合培養後2日目のCD8T細胞の細胞表面のCD27及びCD28の変化、CD8T細胞のIFN-γ secretion assay (MACS)によるIFN-g産生を観察した。培養上清中のIFN-γは抗CD70抗体、CTLA-4-IgFcの前処置でそれぞれ相加的な抑制がみられた(図5A)。混合培養後のCD8T細胞のCD27,CD28の変化から、CD70陽性DCはCD70およびB7分子を介し、それぞれCD27,CD28を刺激したことが示唆された。CD27-CD28+T細胞はCD70に刺激され、B7に刺激されていない細胞であるが、IFN-γ産生細胞を多く有し、その割合は抗CD70抗体で抑制され、CD70陰性DCではこのような現象は見られなかった(図5B)。緑色の点はCD27とCD28の発現量に応じてプロットされている。下記の数値表は、それぞれの細胞画分の割合(%)を示してある。黒でプロットしてある点はIFN-γ産生細胞を示し、図内の数値は細胞画分のIFN-γ産生細胞の%である。CD70陽性DCで刺激されたCD8T細胞はCD27-CD28+細胞画分が増加し、IFN-γ産生細胞の顕著な増加が見られる。そのような現象はCD70陰性DCでは見られず、抗CD70抗体処理で抑制された。図5Bから、CD70陽性DCは自己CD8T細胞をCD70依存的でB7非依存的にIFN-γ誘導することが明らかである。また、強い免疫抑制を有するCTLA-4に耐性であることも示唆された。
【0033】
実例6:ヒト由来CD70陽性DCは自己T細胞混合反応によりIFN-γを誘導するが、IL-10は誘導しない。
DCと自己T細胞の混合反応で生じる環境は、DCが抗原特異的なエフェクターT細胞を誘導するときに極めて重要である。CD70陽性DCは自己T細胞培養の早期に産生されるTh1やTc1を誘導するのに促進的に働くIFN-γ、抑制的に働くIL-10の測定を行なってみた。対照として、CD70陰性DCまたは他人のT細胞反応を用いて実験を行なった。T細胞はPan T-isolation kitを用いて分離したT細胞画分(98%<CD3+)を用いた。CD70陽性DC(1x105個)と自己または他人のT細胞(1x106個)を3日間混合培養したところ、自己および他人のT細胞でIFN-γを誘導し、IL-10の産生はほとんど確認されなかった (図6)。それに対して、CD70陰性DCは特に自己のT細胞にIL-10産生の強い誘導がみられ、IFN-γ産生に於いては自己、他人ともにほとんど見られなかった。
【0034】
CD70陽性DCによる抗原特異的または非特異的なキラーT細胞の誘導
抗原特異的なキラーT細胞の誘導は、癌の細胞療法の基本となる実験である。ターゲットとなる腫瘍細胞は悪性黒色腫細胞株Mel-888で細胞はHLA-A24を有し、HLA-A24拘束性gp100ペプチドを抗原として提示することができる。HLA-A24陽性のドナーからの洗浄した未熟DCまたは未洗浄のDCに抗原ペプチドとLPSをそれぞれ10μg/mLずつ加え3日間培養し、抗原感作CD70陽性DCを作成する。また、対照の抗原ペプチドとして卵白アルブミンを用いた。DC(1x105細胞)と自己T細胞(1X106細胞)を10-14日間培養して、エフェクターT細胞を回収した。また、記憶細胞を作成するため、IL-7, IL-15 それぞれ10ng/mLを添加して更に14日間培養を行なった。51CrラベルしたMel-888細胞、またはK-562細胞を用いて、それぞれ抗原特異的な細胞傷害アッセイとNK活性を測定した。その結果、CD70陽性DCはMel-888細胞に対して抗原特異的なキラー細胞を誘導し、NK活性も誘導することができた(図7A)。また、CD70陽性DCとCD70陰性DCをKLHで感作して、自己T細胞(CD3+>99%)を培養して得られた記憶T細胞の活性を調べた。図7(B)の右の図の黒色柱、白色柱、灰色柱は、それぞれ記憶T細胞単独、特異抗原非感作単球と記憶T細胞、特異的抗原感作単球と記憶T細胞の培養2日後の細胞増殖活性を示す。図7(B)の左の図の白色柱、灰色柱は、それぞれ特異抗原非感作単球と記憶T細胞、特異的抗原感作単球と記憶T細胞の培養1日後のIFN-γ産生誘導活性を示す。図7(B)から、作成した記憶細胞は抗原感作した単球によって、細胞増殖およびIFN-γ産生の誘導を認めた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】ヒト由来CD70陽性DCのCD70と成熟DCの指標となるCD86の誘導を示した図である。
【図1B】CD70の発現が特異的にIL-4によって阻害され、他の膜抗原である4-1BBL, HLA class I, class II, CD86, CD80, CD40, CD83の発現はいずれも高発現を保つことを示す図である。
【図2A】LPS刺激後1日目(白色柱)と3日目(灰色柱)のDCによる自己ナイーブCD4T細胞のIFN-γ誘導活性であり、CD70 陽性DCのみが、3日後もIFN-γ産生を保つことを示す図である。
【図2B】LPS刺激後1日目と3日目のCD70陽性DCおよびCD70陰性DCのTh1誘導活性を示した図である。
【図3】LPS刺激後のIL-12ファミリー分子のmRNAの変化を示し、CD70陽性DCの持続的なIL-12p40とIL-23の発現が強く見られることを示す図である。
【図4】CD70陽性DCによるIFN-γ産生、およびIL-17エフェクターT細胞産生を示す図であり、四辺形枠内の細胞がIFN-γ産生細胞で正方形枠内の細胞がIFN-γとIL-17を産生する細胞を示し、数値は全体の%である。
【図5A】CD70陽性DCと自己CD8T細胞を混合培養したときのIFN-γ産生の結果を示し、DCを抗CD70抗体、またはCTLA-4IgFcで処理したときの、活性の抑制が見られることを示す図である。
【図5B】CD70陽性DCによるCD70依存的B7非依存的なCD8T細胞へのIFN-γ産生誘導を示した図である。
【図6】CD70陽性DCとCD70陰性DCを自己または他人T細胞と混合培養した時のIFN-γ、およびIL-10産生を示した図である。
【図7A】CD70陽性DCとCD70陰性DCをgp100 peptideで感作して、自己T細胞(CD3+>99%)を培養して得られたエフェクターT細胞をTE ratio (20:1)で混ぜたときの細胞傷害活性の図である。Mel-888細胞の活性は抗原特異的細胞傷害活性を示し、K-562細胞の活性はNK活性を示す。
【図7B】CD70陽性DCとCD70陰性DCをKLHで感作して、自己T細胞(CD3+>99%)を培養して得られた記憶T細胞の活性を示し、作成した記憶T細胞は抗原感作した単球によって、細胞増殖およびIFN-γ産生の誘導を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも菌体成分を含む培養条件によって誘導したヒト由来CD70陽性樹状細胞(dendritic cell: DC)の調整方法および該方法によって得られたヒト由来CD70陽性DC、および当該ヒト由来CD70陽性DCに必要に応じて対象疾患関連抗原を付与した癌、悪性腫瘍、または白血病あるいは難治性の感染症などの治療用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
約10年前から、 DCは生体内で最も強力な抗原提示細胞であり、T細胞に抗原を提示することにより免疫応答を誘導する事が知られるようになった。更に、DCはT細胞のみでなくB細胞、NK細胞、NKT細胞などとも直接作用し、免疫の指令塔の役割を担う細胞であると認識されている(Hart, D. N. J., Blood 1997; 90: 3245-3278)。DCは様々な前駆細胞が血液を介して末梢組織に到達して未成熟DCに分化し、抗原取り込み抗原を末梢リンパ組織に移行してT細胞に抗原を提示する。状況によりDCはT細胞を介して抗原の免疫応答、あるいは寛容を誘導する。もし、未成熟DCが抗原摂取時に感染や炎症性の刺激を受けとり、CD40, CD80, CD86などの共刺激分子の発現上昇を伴い高いT細胞刺激能を獲得すると、抗原特異的T細胞を活性化することによって強い免疫応答を誘導する(Banchereau, J. et al., Annu. Rev. Immunol. 2000; 18: 767-811)。現在、その研究は、in vitroでのDC誘導法が開発された事や、癌特異的な抗原が次々と同定された事などにより、DCの強い免疫誘導能を癌治療に応用する研究に発展している。このような新しい細胞医療は、次世代医療として注目され、実用化に向けての研究が着実に進められている。
【0003】
近年の樹状細胞免疫治療の研究の進展に伴い、その治療法が進歩する一方で、新たな問題も提起されている。それは、癌細胞、癌組織などの産物によって誘導されるregulatory T細胞(Treg)などによって癌の寛容が誘導されたり、エフェクター細胞が不活化されたりすることによって、同治療が無力化されることである(Gajjimore, A. et al. Immunology、2000; 107: 105-107, Wang, R-F. Semin Cancer Biol. 2005; in press)。さらに、エフェクター細胞を癌組織に有効に到達させる課題も指摘されている(Soruri, A. et al. IJBCB 2005; 37: 241-245) 。しかし、それらの問題点解決に、近年発見された病原体成分や異常なDNA, RNAなどを認識する分子(Toll like Receptor: TLR)でTLR刺激を介して活性化されたDCの作用が注目されている。TLR刺激によってDCは強力な免疫誘導能を持つ成熟したDCに分化し、in vivoおよびin vitroで癌細胞を排除するのにも有用であることが示されている (Yong, Y. et al. Nature Immunol. 2004; 5: 508-515, Serra, P. Immunity 2003; 19: 877-889)。それは、強いエフェクターの誘導と共に免疫寛容の排除やTregの抑制も原因の1つとして挙げられた(Wang, R-F. Semin Cancer Biol. 2005; in press)。しかし、このようにin vivo 実験でTLR 刺激を受けたDCの有用性が示される一方で、in vitroではかならずしも有用なデータが示されなかった。それは、TLR刺激したヒトDCは一過性に抗腫瘍免疫に重要なTh1反応を刺激するが刺激後2-3日目にはTh1反応を抑制するDCに変化するとされている (Langenkamp, A. et al. Nature Immunol. 2000; 4: 311-316)。また、そのようなTh1活性を失ったDCはむしろ抗腫瘍免疫活性を阻害すると報告されている (Camploreale, A. et al. Cancer Res. 2003; 63: 3688-3694) 。そのため、活性化したDCは紫外線やマイトマイシンCといった薬剤で刺激後早期に死滅して利用され、TLR刺激で成熟したDCの潜在能力を十分に活用できないでいるのが現状である。従って、このようなin vivoとin vitroでのTLRの刺激を介したDCの作用の矛盾を解決することは、癌の樹状細胞療法に大きな進展をもたらすと考えられる。
【0004】
マウスでは、TLRで刺激された成熟DCにはCD70分子を発現することが知られている (Tesselar A. J. immunol. 2003; 169: 33-40)。そして、近年、そのCD70を介した強い抗腫瘍免疫の作用が明らかになりつつある (Arens A., et al. 2004; 199: 1595-1605)。CD70はTNFファミリーに属する2型の膜貫通分子であり、その受容体であるCD27は多くのT細胞に常時発現しているTNF受容体ファミリーである。CD27は刺激を受けるとCD28-B7と同様にT細胞受容体(TCR)刺激存在下でCD27-CD70はT細胞の増殖、生存の維持、サイトカインの産生を誘導する(Goodwin, G., et al. Cell 1993; 73: 447-456)。特に、細胞性免疫、すなわち抗原特異的CTLの誘導に強い作用があると考えられている。活性化T細胞、B細胞、DCが発現するCD70の刺激によってCD8+T細胞はIFN-γを産生するCTLに分化するが、B細胞やNK細胞もCD27-CD70依存的に活性化を受ける(Brost, J. et al. Curr. Opinion immunol. 2005; 17: 275-281)。このようなCD27-CD70依存的な免疫反応はCD4T細胞を必要とせずに強い抗腫瘍免疫を誘導して、免疫記憶を成立させる(Arens A., et al. J. Exp. Med. 2004; 199: 1595-1605)。以上のように、CD70はTLR刺激を介した成熟したDCに発現する分子の1つで、その発現によって効果的な細胞性免疫を誘導することが明らかとなっている(Bullock TJ. Et al. J.Immunol. 2005; 174: 710-717)。しかし、ヒト由来CD70陽性DCについては、発現が認められず、また、その誘導法も明らかにさていない。従って、そうした効力のあるDCを癌治療等に利用できないでいる。
【0005】
DCによるサイトカインの産生は、その機能と密接に関している。IL-12を産生する樹状細胞はTh1反応を強く誘導し、生体の免疫を誘導する。この作用は癌免疫に極めて有効であるとされ(Rajanavolgyi, E., et al. Advanced in Cancer Res. 2003; 195-233)、DCのIL-12発現、Th1誘導能は細胞免疫治療の研究で重要視されてきた。近年、IL-12ファミリーの新しい分子がいくつか発見され、その中でもIL-23が注目されている。IL-12と同様にTh1誘導能を有する他に、いくつか異なる作用を有している (Bettelli, E., J. Exp. Med. 2005; 201: 169-171)。IL-23は細胞性免疫の誘導活性が強く、強い抗腫瘍作用および転移抑制作用も報告されているが(Lo, C-H. et al., J. Immunol. 2003; 171: 600-607)、その臨床的効果は未知数である。また、IL-23はIL-17産生性T細胞を誘導して自己免疫疾患の発症に関与することが知られ、自己免疫疾患のリンパ節や炎症部位に観察されるIL-23陽性DCの性質や機能に注目が集められている。
【非特許文献1】Hart, D. N. J., Blood 1997; 90: 3245-3278
【非特許文献2】Banchereau, J. et al., Annu. Rev. Immunol. 2000; 18: 767-811
【非特許文献3】Gajjimore, A. et al. Immunology、2000; 107: 105-107
【非特許文献4】Wang, R-F. Semin Cancer Biol. 2005; in press
【非特許文献5】Yong, Y. et al. Nature Immunol. 2004; 5: 508-515
【非特許文献6】Serra, P. Immunity 2003; 19: 877-889
【非特許文献7】Langenkamp, A. et al. Nature Immunol. 2000; 4: 311-316
【非特許文献8】Camploreale, A. et al. Cancer Res. 2003; 63: 3688-3694
【非特許文献9】Tesselar A. J. immunol. 2003; 169: 33-40
【非特許文献10】Arens A., et al. 2004; 199: 1595-1605
【非特許文献11】Bullock TJ. Et al. J.Immunol. 2005; 174: 710-717
【非特許文献12】Goodwin, G., et al. Cell 1993; 73: 447-456
【非特許文献13】Arens A., et al. J. Exp. Med. 2004; 199: 1595-1605
【非特許文献14】Rajanavolgyi, E., et al. Adv. Cancer Res. 2003; 195-233
【非特許文献15】Bettelli, E., J. Exp. Med. 2005; 201: 169-171
【非特許文献16】Lo, C-H. et al., J. Immunol. 2003; 171: 600-607
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、TLR等の刺激で得られるDCで癌等に対して有効な治療効果を有すると考えられるヒト由来CD70陽性DC、該ヒト由来CD70陽性DCの調整方法、該ヒト由来CD70陽性DCを含む医薬組成物の提供を目的とする。具体的には、少なくとも菌体成分等の存在下でヒトDCまたはその前駆細胞をin vitroで培養してヒト由来CD70陽性DCを調整する方法、該方法により調整されたヒト由来CD70陽性DC、該ヒト由来CD70陽性DCを含む癌、悪性腫瘍、または白血病あるいは難治性の感染症などの治療用医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述のように、TLR刺激でヒト由来CD70陽性DCを得ようとする方法は開発されていなかった。本発明者は、ヒトDCのCD70発現について鋭意検討を行い、少なくとも菌体成分等の存在下でヒトDCまたはその前駆細胞をin vitroで培養してヒト由来CD70陽性DCを作成し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] ヒト由来DCまたはその前駆細胞をin vitroで菌体成分と共に培養し、ヒト由来CD70陽性DCを調整する方法。
[2] ヒト由来ヒトDCがヒト単球由来DCである、[1]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[3] ヒト単球をGM-CSFにIL-4またはTNFを添加して培養する、[1]または[2]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[4] リポポリサッカライド(LPS)の存在下で培養する、[3]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[5] 治療しようとする疾患と関連する組織または臓器に存在する抗原の存在下で培養する、[1]乃至[4]のいずれかに記載のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[6] 疾患が、癌、悪性腫瘍、または白血病である、[5]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[7] 疾患が、難治性の感染症である、[5]のヒト由来CD70陽性DCを調製する方法。
[8] [1]乃至[7]のいずれかの方法で調製されたヒト由来CD70陽性DC。
[9] in vitro においてCD4T細胞に増殖促進反応し、かつIFN-γおよびIL-17を誘導する機能を有する、[8]のヒト由来CD70陽性DC。
[10] in vitro において自己CD8T細胞にCD70を介してIFN-γを誘導する機能を有する、[8]のヒト由来CD70陽性DC。
[11] [9]または[10]のヒト由来CD70陽性DCを含む医薬組成物。
[12] 癌、悪性腫瘍、または白血病治療に用い得る、[10]の医薬組成物。
[13] 難治性の感染症に用い得る、[10]の医薬組成物。
【発明の効果】
【0009】
実施例が示すように、ヒト由来CD70陽性DCはこれまでのDCと異なりLPS刺激後長時間に渡り、Th1誘導能をもつことが明らかになった。この原因メカニズムとして、IL-23の持続的な発現が認められた。さらに、IL-17とIFN-gを産生するエフェクターT細胞を誘導することや、CD70依存的なCD8T細胞へのIFN-γ産生誘導能が明らかとなった。以上の効果は、従来の作成されたヒトDCにはないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
1.ヒト由来CD70陽性樹状細胞(ヒト由来CD70陽性DC)の調製
本発明のヒト由来CD70陽性DCは、例えば、ヒト単球を用いる場合には以下の方法によって製造される。
2.通常の方法により、顆粒球、単球コロニー形成因子(GM-CSF) 20 ng/mlとインターロイキン4(IL-4) 10 ng/mlを加え、ヒト単球を7日間培養し、ヒト単球由来樹状細胞を調整する。
3.該ヒト単球由来樹状細胞を複数回洗浄(約5回)した後、該樹状細胞に菌体成分(LPS等)1-30μg/ml および、目的とする抗原1-100μg/mlを加え2−4日間培養する。その後、浮遊細胞(ヒト由来CD70陽性DC)を採取する。この工程は本発明で非常に重要である。
4.以上の方法の他の方法としては、単球をGM-CSF 20ng/mlとTNF 10ng/mlで7日間培養し、1回洗浄後、細胞に菌体成分を加え3-5日間培養する。その後、浮遊細胞(ヒト由来CD70陽性DC)を採取する。
以上の手法によって成熟樹状細胞(ヒト由来CD70陽性DC)が作られるが、本発明のヒト由来CD70陽性DCは、従来のDCにない下記の特徴を有する。
a)刺激後長時間強い活性を持ったTh1細胞を誘導できる。通常は刺激後1日以内に活性がほとんど失われるといわれている。
b)CD70を発現する。
c)IL-23を持続的に発現している。
d)IL-17を産生するT細胞を誘導できる。
e)CD70依存的に自己CD8T細胞のIFN-γ産生を誘導する。
f)自己T細胞反応に於いて免疫を促進させるIFN-γ産生を誘導するが、免疫
抑制に関わるIL-10の産生を誘導しないこと。
以上の性質は、これまで報告されてきた樹状細胞にはない性質で癌等の治療効果を優位にあげるものと予想される。
本発明は、ヒト由来CD樹状細胞(DC)またはその前駆細胞を少なくとも菌体成分の存在下で培養しヒト由来CD70陽性DCを調製する方法であり、また得られたヒト由来CD70陽性DCである。例えば、ヒト単球にGM-CSFおよびIL-4、添加して誘導されるDCおよび当該DCに更に菌体成分等の刺激(例えばOK-432, BCG,LPSなど)を加えたものがヒト由来CD70陽性DCとして調製される。この際、ヒト単球を最初にまたはGM−CSFおよびTNFで刺激しDCに分化させてもよい。さらに、細胞を洗浄後、菌体成分等(LPS, OK-432, BCG)によってTLR刺激を与えることにより、成熟したCD70陽性DCとなる。また、ヒトDCまたはその前駆細胞を洗浄後、ヒト由来CD70陽性DCに調製する際にCD40アゴニストを添加してもよい。CD40アゴニストとは、免疫細胞表面に発現するCD40抗原に作用することにより、CD40を介した細胞内へシグナルを伝達し得る物質を意味する。CD40アゴニストは、CD40抗原に対する天然または合成のリガンド、すなわちCD40を介してシグナルを誘導するあらゆる分子、およびCD40抗原に対する抗体を包含する。かかる抗体は、CD40のいずれの部位を認識するものであっても、CD40を介するシグナルを誘導するものであればよい。抗CD40抗体は、DCを成熟させることが報告されており(Z.H.Zhou et al., Hybridoma, 18:471 1999)、本発明において使用される抗体は、特に限定されない。また、抗体分子の抗原認識部位を保持する抗CD40抗体フラグメントも、CD40アゴニストとして有用である。
【0012】
ヒトDCは前述のようにヒト単球をGM-CSFおよびIL-4の存在下で培養することにより得られる。この際の単球はヒト末梢血由来でも、ヒト骨髄由来でも、ヒト脾臓細胞由来でも、ヒト臍帯血由来でもよい。さらに、これらの組織、器官から樹状細胞をFACS(Fluorescent activated cell sorter)またはフローサイトメーター等によりCD1a等のDC特異的な表面抗原の発現を指標に単離することもできる。FACSによる特定の細胞集団の単離は公知の方法により行なえばよい。FACS、フローサイトメーターとしては例えばFACS vantage(ベクトン・ディッキンソン社製)、FACS Calibur(ベクトン・ディッキンソン社製)等を用いることができる。
【0013】
ヒト単球、DCの培養は、周知のヒトリンパ系細胞の培養技術により行なうことができる。培養液としては例えばRPMI1640やDMEMを用いることができ、これらの基本培地に適当な抗生物質や動物血清等を添加して培養すればよい。培養容器も限定されず、培養規模に応じて市販のプレート、ディッシュ、フラスコを適宜選択して用いることができる。
【0014】
培養に用いるGM-CSF、IL-4、TNF、LPSの濃度は、1ng/mL〜100ng/mL、好ましくは5ng/mL〜30ng/mLである。また、CD40アゴニストを添加する場合、例えば抗CD40抗体の濃度は、0.1μg/mL〜100μg/mL、好ましくは1μg/mL〜10μg/mLである。刺激に必要な培養日数は、3日間以上7日間以内が好ましい。ヒト単球またはヒトDCの表面抗原の発現をFACS等で調べることにより、目的の分化程度の細胞が得られる培養期間を適宜決定することができる。刺激に用いるGM-CSF、IL-4、TNF、LPSの濃度、刺激期間等の条件は、自己ナーブCD4陽性T細胞の抗原刺激によるIFN-γの誘導やDCのCD70発現を指標として条件を決定できる。
【0015】
ヒト由来CD70陽性DCは、in vitroにおいてLPS刺激後3日目以降も持続的なTh1反応を誘導できること、IL-23を発現していること、CD70を発現すること、IL-17産生エフェクターT細胞を誘導できること、自己のCD8T細胞にCD70依存的にIFN-γ産生を誘導できること、自己T細胞反応に於いて免疫を促進させるIFN-γ産生を誘導するが、免疫抑制に関わるIL-10の産生を誘導しないこと、等の特徴的な機能を有する細胞である。細胞がこれらの特徴を有しているか否かは後記の実施例に記載の方法により決定することがきでる。
【0016】
2.ヒト由来CD70陽性DCの用途
本発明のヒト由来CD70陽性DCは上述のように、LPS刺激後長期に渡り自己ナイーブCD4T細胞に抗原刺激下で、IFN-γ産生およびTh1誘導する能力がある。その背景には、IL-23の持続的な発現やCD70の発現といった新たな機能を獲得したことにある。これらの機能は、持続的なTh1反応のメカニズムや、癌組織への免疫を長期に渡り維持させる方法の開発、慢性炎症性疾患、自己免疫疾患発症の解明の研究の進展に影響をおよぼす可能性がある。従って、ヒト由来CD70陽性DCの用途は、癌や難治性感染症への細胞療法や自己免疫性疾患治療への研究開発などに利用に好ましいと思われる。
【0017】
また、CD70陽性DCと自己T細胞の反応でin vitroで抗原特異的なエフェクターT細胞や記憶細胞を作成することが可能であり,それらの細胞は抗原特異的な細胞増殖、IFN-γ産生の誘導、癌細胞殺傷効果が観察される。それと同時に、NK活性の誘導も伴う。
【0018】
この新しいCD70陽性DCの機能によって、従来技術として得ることができなかったIL-17を産生するエフェクターT細胞をつくり出すことが可能である。従って、このようなDCの機能をターゲットとした種々の薬剤開発が可能である。具体的には、薬剤によるDCのIL-23産生抑制やIL-17産生T細胞の抑制効果を見ることができる。
【0019】
以上より、ヒト由来CD70陽性DCは、CD4陽性あるいはCD8陽性T細胞の免疫応答をIL-23及びCD70によって活性化することが可能であることが明らかである。従って本発明のヒト由来CD70陽性DCによってCD4陽性あるいはCD8陽性T細胞を、従来のDCにはない新しいメカニズムで活性化することにより、これまで超えられなかった免疫寛容の壁を突破する目的で新規の細胞免疫治療に用いることができる。
【0020】
本発明の対象となるのは、癌、悪性腫瘍、白血病などへの樹状細胞療法が挙げられる。
【0021】
本発明の対象になるのは、IL-23との関連性がいわれている結核、サルモネラ感染症、野兎病、クリプトコッカス症、トキソプラズマ感染症、サイトメガロウイルス感染症などの細胞内感染症を来す難治性疾患の治療に用いられる樹状細胞療法が挙げられる。
【0022】
さらに、本発明活用の対象になるのは、関節リュウマチ、クローン病、乾癬、多発性硬化症などの自己免疫疾患のDCをターゲットとした薬剤開発が挙げられる。
【0023】
本発明は、本発明の方法により誘導されたヒト由来CD70陽性DCを含む上記疾患の治療用医薬組成物を包含する。本発明のヒト由来CD70陽性DCを疾患の治療に用いる場合、治療しようとする疾患に関連した抗原で刺激する。抗原としては、疾患と関連する組織・臓器に存在する抗原タンパク、またはペプチド、また、それらをコードするRNA, DNA類、およびその改変体を用いる。この際の刺激は、本発明のヒCD70陽性DCをin vitro で抗原と共に培養すればよい。
【0024】
治療用医薬組成物に用いるヒトDCの種類としては、ヒト単球由来DC(Bwatrice Thurner, Gerold Schuler et al, J. Exp. Med. 1999 190(11):1669-1678, Axel Heiser, Eli Gilboa el al, J. Clin. Invest. 2002 109(3) 409-417)またはヒト末血DC(Small EJ., L Clin Oncol. 2000 18(23):3894-3903) あるいはヒトCD34陽性細胞由来DC(Caux C, Jacques Banchereau et al Blood 1997 90(4); 1458-1470)等を挙げることができ、好ましくはヒト単球由来DCを含むヒト DCとする。
【実施例】
【0025】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0026】
以下に本発明の具体的態様と効果を例示した実施例を記載する。但し、本発明はこれら実施例にその本発明が限定されるものではない。
【0027】
A. ヒト由来CD70陽性DCを用いた実施例
ヒト単球をGM-CSFとIL-4で作成されたDCを5回洗浄後にLPS10μg/mL加えて3-4日間刺激して作成された細胞をヒト由来CD70陽性DCと定義する。
【0028】
実施例1:ヒトDCのCD70分子の誘導
ヒトDCは以下のように調製した。ヒト末梢血由来単核細胞を抗CD14抗体付着磁気ビーズ (MACS)にてポジテイブセレクションをして単球を得る(>99% CD14陽性細胞)。同様に、ヒト由来CD70陽性DCは単球をヒトGM-CSF(20 ng/mL)およびヒトTNF(30 ng/mL)存在下に7日間培養し、調整した。得られたDCをFACScan flow cytometer (Becton Dickinson)を用いて解析すると、95%以上がHLA-DR発現細胞であり、T細胞、B細胞、NK細胞および単球/マクロファージの混入は0.1%以下であった。ヒト由来CD70陽性DCは以下のように調製した。上記細胞をPBSにて5回洗浄し、ヒトLPS(Sigma, 10 μg/mL)共存下にてさらに3日間培養し、これをCD70陽性DCとした。この方法によるCD70誘導効果を従来通りに洗浄しないでLPS刺激したDCとCD70の発現を抑制するIL-4を添加した洗浄刺激DC、いわゆるサイトカインカクテル(TNF, IL-1, PGE2)によって成熟刺激をしたDCとCD70の発現および成熟DCマーカーとしてCD86の発現をフローサイトメーターで測定し、比較検討してみた。図1Aが示すように、それぞれの刺激によってすべてのDCは成熟するが、上記のプロトコールによって洗浄刺激したDCのみが、CD70を強く誘導した。また、洗浄刺激してIL-4を添加したCD70陰性DCとCD70陽性DCとの表現型の違いをフローサイトメーターで解析した。結果は、図1Bが示す通り、CD70の発現が特異的にIL-4によって阻害され、他の膜抗原である4-1BBL, HLA class I, class II, CD86, CD80, CD40, CD83の発現はいずれも高発現を保っていた。
【0029】
実施例2:ヒト由来CD70陽性DCの持続性的Th1誘導活性の検証。
これまでのヒトDCでは成熟刺激後のTh1誘導能は1日以内でほとんど消失するといわれていた。CD70陽性DCの持続的なTh1誘導能を検証するためKeyhole limptet Hemocianin (KLH) 10 μg/mLでパルスしたDCを、ナイーブCD4T細胞と混合培養してみた。その結果は、培養3日後の培養上清中のIFN-γ濃度、および、培養12日後のTh1誘導で確認された。Th1細胞のアッセイは、培養したT細胞をPMA(10 ng/mL), inomycine (500 ng/mL), Brefeldin A (10 μg/mL)で 3時間処理し、4%パラホルムアルデヒドで固定した。さらに、細胞膜穿孔試薬(0.5% Saponin, 2% FBS/PBS )で処理したのち、T細胞のIFN-g/IL-4の細胞内染色をしてFACS解析をした。図2Aは、LPS刺激後1日目(白色柱)、または3日目(灰色柱) の非洗浄刺激、洗浄後刺激、洗浄刺激+IL-4のDCとナイーブCD4T細胞を3日間培養後の培養上清のIFN-γ濃度である。LPS刺激後1日目のDCはいずれも強いIFN-γ誘導能を示たが、3日後ではCD70陽性細胞(洗浄後刺激)以外はほとんど活性が消失した。図2Bは、DCとの混合培養で刺激されたT細胞のTh1/Th2誘導活性を示したものである。negative controlはT細胞混合前にTGF-β10ng/mL、抗ヒトIL-12抗体10μg/mLを加えたものである。IFN-γ産生誘導能と同様に、LPS刺激後3日目のCD70陽性DCはTh1誘導活性を示している。
【0030】
実施例3:ヒト由来CD70陽性DCは持続的にIL-23を発現する。
DCのTh1誘導活性はIL-12の産生と密接な関係があるといわれている。CD70陽性DCの持続的Th1誘導活性もIL-12ファミリー分子の発現が密接に関与していた。LPS刺激後のDCを経時的に回収してIL-12ファミリー分子のエッセンジャーRNAの変化をRT-PCR法で解析した。対照に洗浄後LPS+IL-4刺激DCを用いた。図3が示すようにLPS刺激後1日目のDCは、いずれもIL-12ファミリー分子の強い発現が見られたが、CD70陽性DCのみが刺激後48時間以降もIL-12p40とIL-23p19の発現が持続していた。活性型のIL-12ファミリー分子はヘテロダーマイーを形成するが、IL-12p40とIL-23p19は活性型IL-23を形成する。細胞内染色に於いても刺激後4日目のCD70陽性DCではIL-12p40の発現が見られた。従って、CD70陽性DCはIL-23を産生することが示唆され、実施例4が示すようにT細胞のIL-17産生を誘導することでCD70陽性DCの活性型IL-23の産生が裏付けられた。
【0031】
実施例4:ヒト由来CD70陽性DCはIL-17産生エフェクターT細胞の誘導する。
IL-23はT細胞にIL-17産生を誘導するので、CD70DCによってナイーブCD4T細胞の培養により、IL-17産生性Tエフェクターが誘導されるのか検証した。末梢血ナイーブCD4T細胞とCD70陽性DCを12日間混合培養して、PMA, inomycine, Brefeldin A処理したT細胞のIFN-g/IL-17の2重細胞内染色をした。IL-17 の染色には1次抗体は兎抗IL-17ポリクロナール抗体(MBL)、2次抗体にはFITCラベル抗兎抗体(PARIS)を用いた。IFN-γの染色にはPEラベルIFN-γモノクロナール抗体を用いた。対照のDCにはCD70陰性DC(洗浄後LPS+IL-4刺激DC)を用いた。図4に示すようにCD70陽性DCではIFN-γ、およびIL-17を産生するTエフェクター(正方形枠内)が誘導されたが,CD70陰性DCでは観察されなかった。
【0032】
実施例5:ヒト由来CD70陽性DCはCD8T細胞にCD27-CD70依存的、CD28-B7非依存的にIFN-γ産生を誘導する。
CD70にはCD8T細胞に強いIFN-γ誘導作用があることが、マウスのトランスジェニックマウスを用いた実験で実証されている。ヒト由来CD70陽性DCにも同様な作用があるのかを、自己のCD8T細胞を用いて実証してみた。CD8T細胞は末梢血単核白血球分画からPan-T-isolation Kit (MACS)によって純化したT細胞(98%>CD3+)を更に、CD8イムノビーズ(Dyanl)によってポジティブセレクションを行なった細胞(99%>CD3+CD8+)を用いた。CD70陽性DCは、抗CD70抗体(Ancel)またはCTLA-4-IgFc(R&D)でそれぞれCD70またはB7(CD80&CD86)を混合培養前に処置して、ブロックしたもの、しないものを用いた。CD8T細胞とCD70陽性DCを混合培養後3日後の培養上清中のIFN-g濃度、混合培養後2日目のCD8T細胞の細胞表面のCD27及びCD28の変化、CD8T細胞のIFN-γ secretion assay (MACS)によるIFN-g産生を観察した。培養上清中のIFN-γは抗CD70抗体、CTLA-4-IgFcの前処置でそれぞれ相加的な抑制がみられた(図5A)。混合培養後のCD8T細胞のCD27,CD28の変化から、CD70陽性DCはCD70およびB7分子を介し、それぞれCD27,CD28を刺激したことが示唆された。CD27-CD28+T細胞はCD70に刺激され、B7に刺激されていない細胞であるが、IFN-γ産生細胞を多く有し、その割合は抗CD70抗体で抑制され、CD70陰性DCではこのような現象は見られなかった(図5B)。緑色の点はCD27とCD28の発現量に応じてプロットされている。下記の数値表は、それぞれの細胞画分の割合(%)を示してある。黒でプロットしてある点はIFN-γ産生細胞を示し、図内の数値は細胞画分のIFN-γ産生細胞の%である。CD70陽性DCで刺激されたCD8T細胞はCD27-CD28+細胞画分が増加し、IFN-γ産生細胞の顕著な増加が見られる。そのような現象はCD70陰性DCでは見られず、抗CD70抗体処理で抑制された。図5Bから、CD70陽性DCは自己CD8T細胞をCD70依存的でB7非依存的にIFN-γ誘導することが明らかである。また、強い免疫抑制を有するCTLA-4に耐性であることも示唆された。
【0033】
実例6:ヒト由来CD70陽性DCは自己T細胞混合反応によりIFN-γを誘導するが、IL-10は誘導しない。
DCと自己T細胞の混合反応で生じる環境は、DCが抗原特異的なエフェクターT細胞を誘導するときに極めて重要である。CD70陽性DCは自己T細胞培養の早期に産生されるTh1やTc1を誘導するのに促進的に働くIFN-γ、抑制的に働くIL-10の測定を行なってみた。対照として、CD70陰性DCまたは他人のT細胞反応を用いて実験を行なった。T細胞はPan T-isolation kitを用いて分離したT細胞画分(98%<CD3+)を用いた。CD70陽性DC(1x105個)と自己または他人のT細胞(1x106個)を3日間混合培養したところ、自己および他人のT細胞でIFN-γを誘導し、IL-10の産生はほとんど確認されなかった (図6)。それに対して、CD70陰性DCは特に自己のT細胞にIL-10産生の強い誘導がみられ、IFN-γ産生に於いては自己、他人ともにほとんど見られなかった。
【0034】
CD70陽性DCによる抗原特異的または非特異的なキラーT細胞の誘導
抗原特異的なキラーT細胞の誘導は、癌の細胞療法の基本となる実験である。ターゲットとなる腫瘍細胞は悪性黒色腫細胞株Mel-888で細胞はHLA-A24を有し、HLA-A24拘束性gp100ペプチドを抗原として提示することができる。HLA-A24陽性のドナーからの洗浄した未熟DCまたは未洗浄のDCに抗原ペプチドとLPSをそれぞれ10μg/mLずつ加え3日間培養し、抗原感作CD70陽性DCを作成する。また、対照の抗原ペプチドとして卵白アルブミンを用いた。DC(1x105細胞)と自己T細胞(1X106細胞)を10-14日間培養して、エフェクターT細胞を回収した。また、記憶細胞を作成するため、IL-7, IL-15 それぞれ10ng/mLを添加して更に14日間培養を行なった。51CrラベルしたMel-888細胞、またはK-562細胞を用いて、それぞれ抗原特異的な細胞傷害アッセイとNK活性を測定した。その結果、CD70陽性DCはMel-888細胞に対して抗原特異的なキラー細胞を誘導し、NK活性も誘導することができた(図7A)。また、CD70陽性DCとCD70陰性DCをKLHで感作して、自己T細胞(CD3+>99%)を培養して得られた記憶T細胞の活性を調べた。図7(B)の右の図の黒色柱、白色柱、灰色柱は、それぞれ記憶T細胞単独、特異抗原非感作単球と記憶T細胞、特異的抗原感作単球と記憶T細胞の培養2日後の細胞増殖活性を示す。図7(B)の左の図の白色柱、灰色柱は、それぞれ特異抗原非感作単球と記憶T細胞、特異的抗原感作単球と記憶T細胞の培養1日後のIFN-γ産生誘導活性を示す。図7(B)から、作成した記憶細胞は抗原感作した単球によって、細胞増殖およびIFN-γ産生の誘導を認めた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】ヒト由来CD70陽性DCのCD70と成熟DCの指標となるCD86の誘導を示した図である。
【図1B】CD70の発現が特異的にIL-4によって阻害され、他の膜抗原である4-1BBL, HLA class I, class II, CD86, CD80, CD40, CD83の発現はいずれも高発現を保つことを示す図である。
【図2A】LPS刺激後1日目(白色柱)と3日目(灰色柱)のDCによる自己ナイーブCD4T細胞のIFN-γ誘導活性であり、CD70 陽性DCのみが、3日後もIFN-γ産生を保つことを示す図である。
【図2B】LPS刺激後1日目と3日目のCD70陽性DCおよびCD70陰性DCのTh1誘導活性を示した図である。
【図3】LPS刺激後のIL-12ファミリー分子のmRNAの変化を示し、CD70陽性DCの持続的なIL-12p40とIL-23の発現が強く見られることを示す図である。
【図4】CD70陽性DCによるIFN-γ産生、およびIL-17エフェクターT細胞産生を示す図であり、四辺形枠内の細胞がIFN-γ産生細胞で正方形枠内の細胞がIFN-γとIL-17を産生する細胞を示し、数値は全体の%である。
【図5A】CD70陽性DCと自己CD8T細胞を混合培養したときのIFN-γ産生の結果を示し、DCを抗CD70抗体、またはCTLA-4IgFcで処理したときの、活性の抑制が見られることを示す図である。
【図5B】CD70陽性DCによるCD70依存的B7非依存的なCD8T細胞へのIFN-γ産生誘導を示した図である。
【図6】CD70陽性DCとCD70陰性DCを自己または他人T細胞と混合培養した時のIFN-γ、およびIL-10産生を示した図である。
【図7A】CD70陽性DCとCD70陰性DCをgp100 peptideで感作して、自己T細胞(CD3+>99%)を培養して得られたエフェクターT細胞をTE ratio (20:1)で混ぜたときの細胞傷害活性の図である。Mel-888細胞の活性は抗原特異的細胞傷害活性を示し、K-562細胞の活性はNK活性を示す。
【図7B】CD70陽性DCとCD70陰性DCをKLHで感作して、自己T細胞(CD3+>99%)を培養して得られた記憶T細胞の活性を示し、作成した記憶T細胞は抗原感作した単球によって、細胞増殖およびIFN-γ産生の誘導を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト樹状細胞またはその前駆細胞をin vitroで菌体成分と共に培養し、ヒト由来CD70陽性樹状細胞を調整する方法。
【請求項2】
ヒト樹状細胞がヒト単球由来樹状細胞である、請求項1に記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項3】
ヒト単球をGM-CSFにIL-4またはTNFを添加して培養する、請求項1または2に記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項4】
リポポリサッカライド(LPS)の存在下で培養する、請求項3記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項5】
治療しようとする疾患と関連する組織または臓器に存在する抗原の存在下で培養する、請求項1〜4のいずれかに記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項6】
疾患が、癌、悪性腫瘍、または白血病である、請求項5記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する、請求項5記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項7】
疾患が、難治性の感染症である、請求項5記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の方法で調製されたヒト由来CD70陽性樹状細胞。
【請求項9】
in vitro においてCD4T細胞に増殖促進反応し、かつIFN-γおよびIL-17を誘導する機能を有する、請求項目8に記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞。
【請求項10】
in vitro においてCD8T細胞にCD70を介してIFN-γを誘導する機能を有する、請求項目8に記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を含む医薬組成物。
【請求項12】
癌、悪性腫瘍、または白血病治療に用い得る、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
難治性の感染症に用い得る、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項1】
ヒト樹状細胞またはその前駆細胞をin vitroで菌体成分と共に培養し、ヒト由来CD70陽性樹状細胞を調整する方法。
【請求項2】
ヒト樹状細胞がヒト単球由来樹状細胞である、請求項1に記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項3】
ヒト単球をGM-CSFにIL-4またはTNFを添加して培養する、請求項1または2に記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項4】
リポポリサッカライド(LPS)の存在下で培養する、請求項3記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項5】
治療しようとする疾患と関連する組織または臓器に存在する抗原の存在下で培養する、請求項1〜4のいずれかに記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項6】
疾患が、癌、悪性腫瘍、または白血病である、請求項5記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する、請求項5記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項7】
疾患が、難治性の感染症である、請求項5記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を調製する方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の方法で調製されたヒト由来CD70陽性樹状細胞。
【請求項9】
in vitro においてCD4T細胞に増殖促進反応し、かつIFN-γおよびIL-17を誘導する機能を有する、請求項目8に記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞。
【請求項10】
in vitro においてCD8T細胞にCD70を介してIFN-γを誘導する機能を有する、請求項目8に記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項記載のヒト由来CD70陽性樹状細胞を含む医薬組成物。
【請求項12】
癌、悪性腫瘍、または白血病治療に用い得る、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
難治性の感染症に用い得る、請求項11記載の医薬組成物。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【公開番号】特開2007−116937(P2007−116937A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311102(P2005−311102)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(592019213)学校法人昭和大学 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(592019213)学校法人昭和大学 (23)
【Fターム(参考)】
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