説明

癌細胞株のインビボイメージングのための方法及び試薬

非侵襲性のインビボイメージング用の試薬及び方法を提供し、当該試薬は、NIRリポーター分子とコンジュゲートする標的用担体分子を含む。1つの態様では、当該標的用担体分子は、生体、動物又はヒトの抗原に特異性がある抗体又はその断片である。一実施形態では、当該抗体は、抗癌/腫瘍マーカー抗体、器官特異的抗体、組織特異的抗体、細胞種特異的抗体、細胞表面特異的抗体、抗ウイルス抗体、抗バクテリア抗体及び抗病原抗体である。当該NIRリポーター分子は、インビボイメージングとの適合性を有し、通常少なくとも580nmの励起波長を有する、あらゆる蛍光リポーター分子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2006年3月23日に出願の米国仮特許出願第60/743718号の優先権を主張し、その全開示内容を本願明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
本発明はインビボイメージング用の、標的用担体分子−近赤外(NIR)コンジュゲートに関する。本発明の応用分野としては、細胞生物学、インビボイメージング、病理学、神経学、免疫学、プロテオミクス及び、バイオセンシング分野が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
癌胎児抗原(CEA)は、多くのヒトの癌(結腸、胸部、膵臓及び肺の腫瘍を含む)における腫瘍マーカーとして同定された糖タンパク質である。このタンパク質(当初、胎児の腸、及び成人の結腸腫瘍における量的増加に基づき、癌胎児性の抗原として同定された)は、細胞間接着及び移動に関与する、多くの遺伝子ファミリーを構成するメンバーである。CEAは通常、成人の組織中に微量に存在するが、特徴的なことに、悪性の場合には、このタンパク質が過剰に発現する。CEAの血清中濃度を、ヒトの大腸癌の診断、及び臨床進行のモニタリングの際に利用できる(Pignatelli M,Durbin H,& Bodmer WF.Carcinoembryonic antigen functions as an accessory adhesion molecule mediating colon epithelial cell−collagen interactions.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1990、87:1541−1545(非特許文献1);Sanders DSA,Kerr,MA.Lewis blood group and CEA related antigens;coexpressed cell−cell adhesion molecules with roles in the biological progression and dissemination of tumors.J.Clin.Pathol.:Mol.Pathol.1999、52:174−178(非特許文献2);Gold P and Goldenberg NA.The Carcinoembryonic Antigen(CEA):Past,Present,and Future.Perspectives in Colon and Rectal Surgery 1996、9(2)(非特許文献3))。
【0004】
伝統的に、CEAが癌の血液マーカーとして用いられていた。実際、通常の癌の際の、血液検査方法の開発における最初の成功例が1965年に得られており、その際に、癌胎児抗原(CEA)が大腸癌患者の血液中で検出されている。当該マーカーは、癌の検査用に用いるには非特異的であるという欠点を有するが、腫瘍再発、及び直接の腫瘍イメージングの予測手段としての価値を有する。CEAは、様々なタイプの癌の約80%(結腸直腸、胸部、肺及び卵巣癌など)において発現する。
【0005】
CEAは、初期及び転移性の大腸癌の発見及び治療に関連する、前臨床検査における主要な検査対象である。特に、動物モデル(特に腫瘍モデルマウス)は現在でも、臨床試験における治療方法の開発のベースとなっている。すなわち、CEAは臨床疾患マーカー、及び治療標的としての有用性を有する(Paganelli G,Magnani,P,Zito,F,Villa,E,Sudati,F,Lopalco,L,Rosetti,C,Malcovati,M,Chiolerio,F,Seccamini,E.Three−step monoclonal antibody tumor targeting in carcinoembryonic antigen− positive patients.Cancer Res.1991、51:5960−5966(非特許文献4);Vogel CA,Galmiche MC,Westermann P,Sun LQ,Pelegrin A,FoIIi S,Bischof Delaloye A,Slosman DO,Mach,JP,Buchegger F.Carcinoembryonic antigen expression,antibody localization and immunodetection of human colon cancer liver metastases in nude mice:a model for radioimmunotherapy.Int.J.Cancer 1996、67:294−302(非特許文献5);Nolan KF,Yun C−O,Akamatsu Y,Murphy JC,Leung S−O,Beecham,EJ,Junghans,RP Bypassing immunization: optimized design against carcinoembryonic antigen(CEA)−expressing tumors,and lack of suppression by soluble CEA.Clin.Cancer Res.1999、5:3921−3941(非特許文献6);Armstrong AC and Hawkins RE Vaccines in oncology: background and clinical potential.Brit.J.Radiol.2001 74:991−1002(非特許文献7);Ko BK,Kawano K,Murray JL,Disis ML,Efferson,CL Clinical studies of vaccines targeting breast cancer Clin.Cancer Res.2003、9:3222−3234(非特許文献8);Saha A,Chatterjee SK,Foon,KA,Primus FJ,Sreedharan S,Mohanty K,Bhattacharya−Chatterjee M.Dendritic cells pulsed with an anti−idiotype antibody mimicking carcinoembryonic antigen(CEA) can reverse immunological tolerance to CEA and induce antitumor immunity in CEA transgenic mice Cancer Res.2004、64:4995−5003)(非特許文献9))。
【0006】
ヌードマウスモデルにおけるLS174Tヒト大腸癌異種移植片が、腫瘍イメージング及びCEAの生体内分布に関する調査において広範囲に用いられている。LS174T腫瘍細胞は、それらの表面上に抗原分子を過剰に発現し、当該抗原を培地に放出(10日目において106細胞当たり1944ng)する。イメージング試験の場合、CEA単クローン抗体を、多くの場合、放射性核種(例えば111In、Tc−99m、123I)とコンジュゲートさせ、γ−シンチレーションカメラで検出する。イムノPET(選択的に癌細胞と反応する陽電子放射断層撮影(PET)同位元素、及び単一光子排出コンピュータ断層撮影(SPECT)による抗体ベースのターゲティング)を用いることにより、シグナル/バックグラウンドでの画像コントラストが増強され、検出感度の向上に寄与していた。
【0007】
CEAベースの放射線イメージングが、現在ヒトの診療用途に用いられている。例えば、Tc−99mの放射性同位元素で識別されたAnti−CEA(CEAスキャン)が、初期及び再発性の結腸直腸癌の検出用に認可されている。しかしながら、CEA−Scanは結腸直腸癌腫に特異的ではない。なぜなら、CEAは肺、胸部、卵巣、子宮内膜及び頸部の消化器系(食道、胃、膵臓及び胆管腫瘍)、髄様甲状腺ガン及び癌腫ガンなどの他の癌腫においても発現するからである。
【0008】
一方、蛍光ベースのイメージングに関しては、NIRのスペクトル下で蛍光を発する分子が組織中へ浸透しないことが理由で、生検組織又は内視鏡検査においのみ使用可能であった。例えば、切除された胃の胃腺癌を、癌胎児抗原(CEA)と反応する、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗体を使用して、内視鏡免疫蛍光技術を使用して調べている。
【0009】
すなわち、当該分野では、CEAを認識し、全ての動物又はヒトにおいて可視化できる抗体に対するニーズが存在する。また、インビボイメージング用のNIRとコンジュゲートした他の標的化抗体に対するニーズも存在する。近赤外光(NIR)範囲の電磁スペクトルにおける、プローブからの蛍光の検出は、体組織がこのスペクトル範囲において比較的透過傾向を有するため、特に有望なインビボイメージング方法である(B.C.Wilson,Optical properties of tissues.Encyclopedia of Human Biology,1991,5,587−597(非特許文献10))。
【0010】
【非特許文献1】Pignatelli M,Durbin H,& Bodmer WF.Carcinoembryonic antigen functions as an accessory adhesion molecule mediating colon epithelial cell−collagen interactions.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1990、87:1541−1545
【非特許文献2】Sanders DSA,Kerr,MA.Lewis blood group and CEA related antigens;coexpressed cell−cell adhesion molecules with roles in the biological progression and dissemination of tumors.J.Clin.Pathol.:Mol.Pathol.1999、52:174−178
【非特許文献3】Gold P and Goldenberg NA.The Carcinoembryonic Antigen(CEA):Past,Present,and Future.Perspectives in Colon and Rectal Surgery 1996、9(2)
【非特許文献4】Paganelli G,Magnani,P,Zito,F,Villa,E,Sudati,F,Lopalco,L,Rosetti,C,Malcovati,M,Chiolerio,F,Seccamini,E.Three−step monoclonal antibody tumor targeting in carcinoembryonic antigen− positive patients.Cancer Res.1991、51:5960−5966
【非特許文献5】Vogel CA,Galmiche MC,Westermann P,Sun LQ,Pelegrin A,FoIIi S,Bischof Delaloye A,Slosman DO,Mach,JP,Buchegger F.Carcinoembryonic antigen expression,antibody localization and immunodetection of human colon cancer liver metastases in nude mice:a model for radioimmunotherapy.Int.J.Cancer 1996、67:294−302
【非特許文献6】Nolan KF,Yun C−O,Akamatsu Y,Murphy JC,Leung S−O,Beecham,EJ,Junghans,RP Bypassing immunization: optimized design against carcinoembryonic antigen(CEA)−expressing tumors,and lack of suppression by soluble CEA.Clin.Cancer Res.1999、5:3921−3941
【非特許文献7】Armstrong AC and Hawkins RE Vaccines in oncology: background and clinical potential.Brit.J.Radiol.2001 74:991−1002
【非特許文献8】Ko BK,Kawano K,Murray JL,Disis ML,Efferson,CL Clinical studies of vaccines targeting breast cancer Clin.Cancer Res.2003、9:3222−3234
【非特許文献9】Saha A,Chatterjee SK,Foon,KA,Primus FJ,Sreedharan S,Mohanty K,Bhattacharya−Chatterjee M.Dendritic cells pulsed with an anti−idiotype antibody mimicking carcinoembryonic antigen(CEA) can reverse immunological tolerance to CEA and induce antitumor immunity in CEA transgenic mice Cancer Res.2004、64:4995−5003)
【非特許文献10】B.C.Wilson,Optical properties of tissues.Encyclopedia of Human Biology,1991,5,587−597
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
一実施形態では、NIRリポーター分子とコンジュゲートした標的用担体分子及びその使用方法の提供に関する。1つの態様では、当該標的用担体分子は、生体(動物又はヒト)中の抗原に特異性がある抗体又はその断片である。一実施形態では、当該抗体は、抗癌/腫瘍マーカー抗体、器官特異的抗体、組織特異的抗体、細胞種特異的抗体、細胞表面特異的抗体、抗ウイルス抗体、抗バクテリア抗体及び抗病原抗体である。
【0012】
NIRリポーター分子は、インビボイメージングへの適合性を有し、少なくとも580nmの励起波長を一般に有する、あらゆる蛍光リポーター分子であってもよい。リポーター分子としては、蛍光有機色素及び粒子が挙げられる。リポーター分子は反応性基を含んでなり、公知の方法を使用して、本発明の標的用担体分子とコンジュゲートしている。
【0013】
リポーター分子−標的用担体分子コンジュゲートを用いて、生体内に当該コンジュゲートを導入することにより、血液及びリンパ液の循環を介して、標的部位へ輸送され、それにより非侵襲性のインビボイメージングが可能となる。生体内に導入(典型的には静脈へ注入)された後の任意のタイミングで、インビボイメージング用の装置を使用して生体を照射し、イメージングされる。
【0014】
また他の実施形態では、インビボイメージング用のキットの提供に関し、当該キットは、標的用担体分子−リポーター分子コンジュゲート、標的用担体分子、NIRリポーター分子、インビボイメージングのための指示書、及びリポーター分子を標的用担体分子にコンジュゲートするための指示書、の任意の組合せを含む。
【0015】
また、本発明に記載の組成物及びキットを製造する方法の提供に関し、並びに、本発明には、本発明の方法用のイメージング剤の製造方法への、その使用も包含される。
【0016】
本発明の別の実施形態には、発明の詳細な説明に記載されているものが包含される。
【0017】
発明の詳細な説明
イントロダクション
本発明は、新規な標的特異的なインビボイメージング用の担体分子−NIRリポーター分子コンジュゲートを提供する。これらの色素コンジュゲートは、インビボイメージングと適合する励起波長(典型的には約580nm〜約800nm)の1つ以上の蛍光色素とコンジュゲートした、生体内の標的若しくは抗原に特異的な、抗体又は他の標的用タンパク質若しくはペプチドのことを指す。当該標的特異的な色素コンジュゲートは、疾病若しくは損傷組織などの病理学的標的又は非病理学的組織の部位におけるそれらの優先的な隔離が生じるまで、循環血液中を比較的自由に移動する。
【0018】
定義
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、特定の組成物又は工程に限定されず、様々に変化させることができることを理解すべきである。明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられている、「1つの(a)(an)」、「当該(the)」などの単数形を意味する用語には、特に明記しない限り、その対象物の複数形が包含される。
【0019】
特に明記しない限り、本願明細書において用いられる全ての専門的用語及び科学用語は、本発明が関連する当業者によって通常用いられている意味と同じ意味を有するものとする。本願明細書に記載の用語を、以下に定義する。
【0020】
本発明の具体的な化合物は、溶媒和の形態(例えば水和形態など)であってもよく、非溶媒和の形態であってもよい。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と同等であり、それらは本発明の範囲内に包含される。本発明の具体的な化合物は、様々な結晶状若しくはアモルファス状の形態で存在してもよい。一般に、全ての物理的な形態が、本発明に包含される用途において同等であり、本発明の範囲内に包含される。
【0021】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、特定の物質(例えば抗原及び免疫原)と結合して非共有結合的に抗体−抗原複合体を形成する、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのタンパク質を意味し、限定されないが、ハイブリドーマ細胞株、ポリクローナル抗体反応を誘発する免疫的処置、化学合成、及び抗体をコードする発現ベクターで形質転換した組換え宿主細胞による抗体産生により得られるタンパク質などが挙げられる。ヒトにおいて、免疫グロブリン抗体はIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMに分類され、また各クラスのメンバーは同じアイソタイプを有すると言われている。ヒトIgA及びIgGアイソタイプは、サブタイプIgA1及びIgA2、並びにIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4に更に詳細に分類される。マウスは通常、ヒトと同じアイソタイプを有するが、IgGアイソタイプはIgG1、lgG2a、lgG2b及びIgG3サブタイプに再分類される。すなわち、本明細書で用いられる用語「抗体」には、(a)使用するあらゆる動物に由来する免疫グロブリン(例えばIgG、IgM、IgE)の様々なクラス又はサブクラス、並びに、(b)マウス、キメラ、ヒト化抗体などのポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体が包含されることが理解されよう。抗体分子には、抗原性決定基(例えばFc領域、κ軽鎖、λ軽鎖、ヒンジ領域など)と反応できるアミノ酸配列の領域が存在する。選択された領域を免疫源として生じさせた抗体は、抗[領域]抗体(例えば抗Fc、抗κ軽鎖、抗λ軽鎖など)と称する。典型的には、高分子で生物体を免疫して、免疫グロブリンタンパク質を発現するリンパ球を活性化させることによって、抗原に対する抗体が産生される。本明細書で用いられる用語「抗体」とはすなわち、抗体結合領域、又はそれと相同性を有するいかなるポリペプチド又はタンパク質も包含され、限定されないが、単鎖Fv分子(scFv)などが挙げられる。単鎖Fv分子において、VH領域とVL領域がペプチドリンカーで結合し、当該2つの領域が抗原結合部位を形成している(Birdら、Science 242,423(1988) and Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,5879(1988))。これらは天然の給源に由来してもよく、又は部分的若しくは全部が合成物であってもよい。
【0022】
本明細書で使用される「抗体断片」という用語は、全長抗体の主要な選択的結合特性が保持されている抗体断片のことを意味する。具体的な断片は従来技術において公知(例えばFab、Fab'及びF(ab')2)である。それらは様々なプロテアーゼによる分解により調製されて、全長抗体のFc断片を欠いているか、あるいは、重鎖コンポーネントを連結するジスルフィド結合の還元的分解により調製されて、全長抗体の「半分子」断片の状態である。かかる断片にはまた、軽鎖可変領域からなる単離された断片、重鎖及び軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、並びに軽鎖及び重鎖可変領域がペプチドリンカーで連結されている組換え単鎖ポリペプチド分子が包含される。結合性を有する断片の他の例としては、(i)VH及びCH1領域からなるFdフラグメント、(ii)VH領域からなるdAbフラグメント(Ward,et al.,Nature 341 ,544(1989))、(iii)単離されたCDR領域、(iv)上記の単鎖Fv分子(scFv)。更に、組換え技術を使用して、抗原−認識特性が保持された任意の断片を作製することもできる。
【0023】
本明細書で使用される「水溶液」という用語は、水を主成分とし、水の溶液特徴が保持されている溶液のことを意味する。水溶液が水以外の溶媒を含有する場合でも、通常水が主な溶媒である。
【0024】
ある抗原が、異常に発現する場合、又は非癌細胞と比較して癌細胞において検出可能な濃度で発現される若しくは存在する場合に、当該抗原は「癌と関連する」という。通常、「癌と関連する」抗原は、癌細胞及び腫瘍において過剰に発現する。
【0025】
「色素コンジュゲート」の用語は、他の担体分子に共有結合又は非共有結合的に結合している、色素分子のことを指し、好ましくは、抗体と当該色素は好ましくは共有結合している。色素コンジュゲートは、単一の共有結合で直接結合してもよく、架橋剤を介して結合又は架橋されてもよい。例えば、1〜20個の非水素原子(C、N、O、S及びPからなる群から選択される)が共有結合して一連の安定な共有結合であり、それを介して、蛍光色素が抗体又は他の部分(例えば化学的な反応基又は生物学的及び非生物学的コンポーネント)に結合される。当該コンジュゲート又はリンカーは、受容体結合モティーフ(例えばビオチン/アビディン)などを含んでもよい。
【0026】
本明細書で用いられる用語「検出可能な反応」とは、シグナルの変化又は発生のことを指す。詳細には、当該シグナルは観察、又は計器による測定によって直接又は間接的に検出可能であり、またその存在又は強度が、試験サンプル中における標的の存在の関数である。典型的には、検出可能な反応は光学的な反応であり、吸収度若しくは蛍光の波長分布パターン若しくは強度の変化、又は光散乱、蛍光量子収量、蛍光の寿命、蛍光分極の変化、又は励起若しくは放出波長の変化、又は上記パラメータの組合せなどが挙げられる。所与のスペクトル特性の検出可能な変化は通常、増加又は減少である。しかしながら、蛍光強度の強化及び/又は蛍光放出又は励起波長の変化をもたらすスペクトル変化も利用できる。
【0027】
本明細書で使用される「フルオロフォア」という用語は、固有に蛍光性である成分のことを意味する。フルオロフォアは、フルオロフォアの可溶性、スペクトル特性又は物理的性質を変化させるために置換してもよい。多数のフルオロフォアが当業者に公知で、クマリン、アクリジン、フラン、ダンシル、シアニン、ピレン、ナフタレン、ベンゾフラン、キノリン、キナゾリノン、インドール、ベンズアゾール、ボラポリアザインダセン、オキサジン及びキサンテン(フルオレセイン、ローダミン、ロザミン及びロードールなど)などが挙げられるが、これらに限定されず、また、他のフルオロフォアに関しては、RICHARD P.HAUGLAND,MOLECULAR PROBES HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS(9th edition,including the CD−ROM,September 2002)に記載されている。本発明の本発明のフルオロフォアは、インビボイメージングとの適合性を有し、組織中で光学的に励起され、一般に約580nm〜約800nm(若しくはそれ以上)の励起波長を示す。
【0028】
本明細書で使用される「照射」の用語は、本発明の色素コンジュゲートを励起できる、あらゆるエネルギー又は光源(特に近赤外光(NIR)及び可視光)の使用のことを意味する。
【0029】
本明細書で使用される「インビボイメージング」という用語は、生物体の構造的、機能的若しくは生理的状態が、当該生物体を殺す必要なく試験できる方法又は操作のことを意味する。
【0030】
本発明の用語「キット」とは、関連する構成要素をパッケージしたセットのことを指し、典型的には1つ以上の化合物又は組成物を含む。
【0031】
「生体」には、あらゆる動物(例えば生存しているヒト、サル、ネズミ、マウス、イヌ又はネコ)が包含される。
【0032】
本明細書で使用される「微小球体又は微粒子」という用語は、典型的に約0.01〜約10ミクロンの範囲のサイズの、有機若しくは無機材料の粒子のことを意味し、その化学的及び物理的な特性により、このサイズ範囲において機能的に安定な粒子の形成が可能となり、それにより、染色又はNIR色素との結合が良好に行われる。好適な微小球体はポリマー性の有機物粒子であって、それらはブロックコポリマーから構成されてもよい。疾患の状態を光学的にイメージングする際に用いられる幾つかの好適な微小球体が、2006年12月8日に出願のPCT/US2006/第061792号中に記載されており、その全開示内容が本願明細書に記載されているのと同様に、その開示内容を本願明細書に援用する。特に、PCT/US2006/061792のコントラスト試薬のセクションに記載されている組成物は、本願明細書に記載のコンジュゲート用途に用いられる組成物として本発明に包含される。
【0033】
本明細書中で使用される用語「近赤外色素」又は「近赤外リポーター分子」又は「NIR色素」又は「NIRリポーター分子」とは、約580nm〜約800nmの励起波長を有する色素又はリポーター分子のことを意味する。好ましくは、NIR色素は約590nm〜約860nmの範囲で光放出する。大部分の好適なNIR色素は、約680〜約790nmで励起される。好適な色素としては、Alexa Flour660色素、Alexa Flour680色素、Alexa Flour700色素、Alexa Flour750色素及びAlexa Flour790色素が挙げられる。それらは、生体内に存在する内在性物質を励起せずに、選択的に視覚化されうるため、NIR色素は特にインビボイメージングにとり有用である。NIR色素の幾つかは、大きなストークスシフトを示し、それにより、励起波長と放出波長は、少なくとも20、30、40、50、60、70又は80nm隔離される。
【0034】
本明細書で用いられる用語「非侵襲性インビボイメージング」とは、生物体の機能的、構造的又は生理的な状態を、生体の外側(皮膚)若しくは内側(アクセス可能な開口部)の表面の物理的一体性を破壊することを必要とせずに、遠隔操作による身体プロービングによって試験することを可能にする、方法又は手順のことを指す。
【0035】
用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」とは、通常、あらゆる長さのアミノ酸残基のポリマーが包含されるものとして、本願明細書において用いられる。本明細書で用いられる用語「ペプチド」とは、モノマーがアミノ酸であって、それらがアミド結合で結合しているポリマーのことを指し(あるいはポリペプチドと称することもある)。アミノ酸がα−アミノ酸である場合、L−光学異性体又はD−光学異性体が使用可能である。更に、非天然アミノ酸も包含され、例えばβ−アラニン、フェニルグリシン及びホモアルギニンなどが挙げられる。遺伝子でコードされない、通常存在するアミノ酸を本発明において用いてもよい。本発明において使用するアミノ酸の全ては、D−又はL−異性体であってもよい。L−異性体が通常好適である。更に、他のペプチド擬態も、本発明において有用である。一般的なレビューに関しては、Spatola,A.F.,Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins,B.Weinstein,eds.,Marcel Dekker,New York,p.267(1983)を参照のこと。
【0036】
本明細書中で使用される用語「標的抗原」とは、本願明細書に記載されているイメージング方法において、標的となる粒子のことを意味する。好ましくは、当該抗原は、癌の経路に関与するか、又は癌細胞において過剰発現する。特に好適な標的抗原は、CEA(癌胎児抗原)である。
【0037】
インビボイメージング試薬
一般に、本発明の理解を容易にするため、インビボイメージング試薬を最初に詳述し、更にインビボイメージング試薬が適用される様々な種類の方法を詳述し、更に使用方法を例示する。
【0038】
本発明は、標的用担体分子と蛍光リポーター分子を含む、インビボイメージングに適するインビボイメージング試薬、並びに非侵襲性のインビボイメージング方法におけるその使用方法の提供に関する。当該標的用担体分子は、本発明の蛍光色素とコンジュゲートされ、生体内、動物、昆虫又はヒトに導入させた後、比較的自由に循環血液中を移動して標的エピトープと接触し、それによりコンジュゲートされた標的用担体分子の優先的な隔離が生じる。
【0039】
標的用担体分子は、生体中に特定の結合パートナーを有し、循環する血液及びリンパ液内を比較的自由に移動できる、あらゆる生物学的若しくは非生物学的分子であってもよい。特異的な結合パートナーは、非共有結合的に選択的に標的用担体分子と結合する分子である。その例としては、限定はされないが抗体及び抗原が挙げられる。抗体の例としては、限定されないが、抗癌/腫瘍マーカー抗体、器官特異的抗体、組織特異的抗体、細胞種特異的抗体、細胞表面特異的抗体、抗ウイルス抗体、抗バクテリア抗体及び抗病原抗体などが挙げられる。詳細には、これらの抗体は、ある器官、組織又は細胞において特異的に産生される抗原と反応することにより、他の器官、組織又は細胞タイプとは異なる反応性を示す。器官又は組織を特徴づける場合、例えば以下の2種類の特性が挙げられる:(1)第1(又は組織特異性)は、単一の種の特定の器官に特徴的な抗原の存在に起因する特性であり、(2)第2(器官特性)は、他の多くの生物種に存在する同じ器官に特徴的な抗原に起因する特性である。
【0040】
抗癌/腫瘍マーカー抗体:
α2−マクログロブリン
α−フェトプロテイン(AFP)
β2−マイクログロブリン
β−カテニン、
ACTH C末端
ACTH N末端、
ACTR/AIB1
αフェトプロテイン
BCA−225
BCl−2
BRCA2
ブロモデオキシウリジン
CA 125
CA 15−3
CA 19−9
カルシトニン
カルレチニン
カテプシンD
CD15
CD63
CD74
CEA(癌胎児抗原)
絨毛性ゴナドトロピン(β−サブユニット)(βHCG)
クロモグラニンA
c−Kit(CD117)
Cks1
クラスリン抗原
クラウディン−3
クラウディン−4
クラウディン−7
c−Met
c−Myc
IV型コラーゲン
VII型コラーゲン
COX−1
COX−2
サイクリンD1/D2及びD3抗体
サイクリンE
サイトケラチン(酸性)
サイトケラチン(塩基性)
サイトケラチン(HMW)
サイトケラチン18
サイトケラチン19
サイトケラチン20
サイトケラチン5/6
サイトケラチン6
サイトケラチン7
サイトケラチン8
サイトケラチン8/18
E2F−1
E−カドヘリン
EGFr
EGP2(上皮糖タンパク質2)
EMA(上皮膜抗原)
EMMPRIN
エノラーゼ
EphB4受容体
ER(エストロゲン受容体)
EZH2
エズリン
FHIT
ガレクチン−1
ガレクチン−3
GCDFP−15
グリア線維酸性蛋白質
HER2(c−erbB−2)
HER4
HPV初期タンパク質
HPV16後期Iタンパク質
ヒト上皮増殖抗原
ヒト上皮特異的抗原
ヒト乳脂肪球膜
ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG1)
ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG2)
インボルクリン
JAB1
Ki−67
ルイスA抗原
LRP/MVP
主要ヴォールトタンパク質
MAPキナーゼ(ERK1+ERK2)
MART−1(メランA)
MDM2
黒色腫関連抗原
メラノソーム
メタロチオネイン
MGMT
MLH1
MSH2
MSH6
MTA1
MUC1(ムチン1)
MUC2(ムチン2)
MUC5AC
N−カドヘリン
Neu−オンコジーン
窒素酸化物シンターゼ
ヌクレオホスミン/B23
NY−ESO−1
オカルジン(Occludin)
p16
p21(WAF1/Cip1)
p27
p34
P53オンコプロテイン
膵臓小島細胞抗体
PARP
パキシリン
PD−ECGF
P−糖タンパク質(MDR)
リン酸MAPキナーゼ(ERK1+2)
ホスホチロシン
胎盤アルカリホスファターゼ
PR(プロゲステロン受容体)
PRL−3
PRLr
増殖細胞タンパク質Ki−67
pS2
PSA(前立腺特異的抗原)
PsAP(前立腺酸性ホスファターゼ)
PTEN
PTTG−1(下垂体腫瘍トランスフォーミング遺伝子−1)
網膜芽腫遺伝子産物
SCLC(小細胞肺癌、CD56、N−CAM)
シアリルルイスA
SKP2
Smad3
STAT3
TAG−72(CA 72.4)
TdT
テネイシン
チログロブリン
TIMP−2
Topo II
TS(チミジル酸シンターゼ)
TTF−1(甲状腺転写因子1)
uPAR
ヴィリン
ヴィメンチン
Wt1(ウィルム腫瘍)
ZO−1
【0041】
本発明の一実施形態は、NIR色素又はリポーター分子、並びにCEA(癌胎児抗原)と結合する抗体とを含む色素コンジュゲートを含む組成物の提供に関する。
【0042】
インビボイメージングに適合する励起波長である、当業者に公知のあらゆる蛍光色素が、上記の標的特異的な担体分子のNIRリポーター分子として使用可能である。典型的には、当該蛍光色素の励起波長は少なくとも580nmである。タンパク質及びペプチドとのコンジュゲート適すると考えられる多様な長波長蛍光色素は従来技術において公知である(RICHARD P.HAUGLAND,MOLECULAR PROBES HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH PRODUCTS(2002))(上記)。
【0043】
本発明の蛍光色素又はフルオロフォアとは、580nm超の最大吸収を示し、組織中で光学的に励起し、観察されうるあらゆる化学基のことを指す。本発明の色素としては、限定されないが、ピレン、アントラセン、ナフタレン、アクリジン、スチルベン、インドール又はベンズインドール、オキサゾール又はベンゾキサゾール、チアゾール又はベンゾチアゾール、4−アミノ−7−ニトロベンズ−2−オキサ−1、3−ジアゾール(NBD)、カルボシアニン(米国特許出願第09/968401号、第09/969853号及び第11/150596号、及び米国特許第6,403,807号、第6,348,599号、第5,486,616号、第5,268,486号、第5,569,587号、第5,569,766号、第5,627,027号、第6,664,047号、第6,048,982号及び第6,641,798号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)、カルボスチリル、ポルフィリン、サリチレート、アントラニレート、アズレン、ペリレン、ピリジン、キノリン、ボラポリアザインダセン(米国特許第4,774,339号、第5,187,288号、第5,248,782号、第5,274,113号及び第5,433,896号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)、キサンテン(米国特許第6,162,931号、第6,130,101号、第6,229,055号、第6,339,392号、第5,451,343号、及び米国特許出願第09/922333号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)、オキサジン又はベンゾオキサジン、カルバジン(米国特許第4,810,636号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)、フェナレノン、クマリン(米国特許第5,696,157号、第5,459,276号、第5,501,980号及び第5,830,912号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)、ベンゾフラン(米国特許第4,603,209号及び第4,849,362号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)、ベンズフェナレノン(米国特許第4,812,409号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)、並びにそれらの誘導体が挙げられる。本発明では、上記オキサジンには、レゾルフィン(米国特許第5,242,805号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)、アミノオキサジノン、ジアミノオキサジン及びそれらのベンゾ置換アナログが包含される。
【0044】
上記色素がキサンテンである場合、色素は任意にフルオレセイン、ロードール(米国特許第5227487号及び第5442045号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)、ロザミン又はローダミン(米国特許第5,798,276号、第5,846,737号、第5,847,162号、第6,017,712号、第6,025,505号、第6,080,852号、第6,716,979号、第6,562,632号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)。本発明では、上記フルオレセインにはベンゾ−又はジベンゾフルオレセイン、セミナフトフルオレセイン又はナフトフルオレセインが包含される。同様に、本発明ではロードールにはセミナフトローダフロー(seminaphthorhodafluor)(米国特許第4945171号に記載の、あらゆる対応する化合物を含む)が包含される。またフッ化キサンテン色素は過去に、特に有用な蛍光特性を有すると評されている(国際公開第97/39064号及び米国特許第6,162,931号)。
【0045】
一実施形態では、当該色素は、約600nm超の最大発光スペクトルを示す。更なる実施形態では、色素又はフルオロフォアは、約620nm超の最大発光スペクトル、約650nm超の最大発光スペクトル、約700nm超の最大発光スペクトル、約750nm超の最大発光スペクトル又は約800nm超の最大発光スペクトルを有する。1つの方法では、当該色素はシアニン色素である。好適な色素としては、商品名Alexa Flour(登録商標)色素として市販されている色素、又は類似のスペクトルを有する、商品名Cy(登録商標)色素、Atto色素若しくはDy(登録商標)色素として市販されている色素が挙げられる。好適な色素はAlexa Flourであり、AlexaFlour 660色素、Alexa Flour680色素、Alexa Flour700色素、Alexa Flour750色素及びAlexa Flour790色素などが挙げられる。
【0046】
典型的には、当該色素は、1つ以上の芳香族環又は複素環式芳香族環を含んでなり、それらは1つ以上の様々な置換基で任意に置換されてもよく、当該置換基としては、限定されないが、ハロゲン、ニトロ、スルホ、シアノ、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールアルキル、アシル、アリール又はヘテロアリール環、ベンゾ、又は発色団又は公知のフルオロフォアに典型的に存在する他の置換基などが挙げられる。
【0047】
他の実施形態では、本発明のタンパク質又はペプチドは、蛍光又は光散乱ナノクリスタル(Yguerabide,J.及びYguerabide,EE,2001 J.Cell Biochem Suppl.37:71−81、米国特許第6,214,560号、第6,586,193号及び第6,714,299号)とコンジュゲートしてもよい。これらの蛍光ナノクリスタルは、半導体ナノクリスタル又はドーピングした金属酸化物ナノクリスタルであってもよい。ナノクリスタルは、典型的には、第II−VI族の半導体材料(例えばZnS及びCdSe)、又は第III−V族の半導体材料(例えばGaAs)、第IV族の半導体材料のうちの少なくとも1つ又はそれらの組み合わせから成る核を含む。上記の核の上から一様に半導体を堆積させ(「シェル」を形成させ)て、不導体化することができる。例えば、第II−VI族の半導体核を、第II−VI族の半導体シェルで被覆不導体化できる(例えばZnS又はCdSeの核を、YZから成るシェルで被覆して不導体化できる。式中、YはCd又はZnであり、ZはS又はSeである。)。ナノクリスタルは、水性環境において可溶性であってもよい。半導体ナノクリスタルの魅力的な特徴は、半導体核のサイズを変化させることによって、放出スペクトル範囲を変化させることができるということである。
【0048】
所望のスペクトル特性(典型的には励起波長が少なくとも580nmである)を有する適当な色素を選択した後、公知技術の方法(上記Haugland、MOLECULAR PROBES HANDBOOK(2002))を用いて、当該色素を標的用担体分子とコンジュゲートさせる。好ましくは、コンジュゲートにより共有結合を形成させる操作は、適切な溶媒中で、本発明の反応性化合物と、可溶性であるコンジュゲートしようとする物質が共に可溶性である場合に、単にそれらの反応性化合物を混合する段階を含んでなる。当該反応は好ましくは、室温又はそれ以下で、試薬の追加を行わずに、自発的に進行する。光活性化される反応性化合物を用いる場合は、コンジュゲート反応は、反応混合物を照射して反応性化合物を活性化することにより促進される。非水溶性物質を化学的処理して、所望の化合物コンジュゲートを調製する場合には、好ましくは非プロトン性溶媒(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、酢酸エチル、トルエン又はクロロホルム)中で操作を実施する。水溶性材料における同様の修飾は、即時反応性化合物を用いて、有機溶剤への溶解を可能にすることにより、容易に実施できる。
【0049】
ペプチド又はタンパク質コンジュゲートの調製は、典型的には、最初に室温又はそれ以下の温度で、約1〜10mg/mLの濃度で、水性バッファ中にコンジュゲートされるタンパク質を溶解させる段階を含む。重炭酸バッファ(pH約8.3)が特にスクシンイミジルエステルとの反応に適し、リン酸バッファ(pH7約.2〜8)がチオール反応性官能基との反応に適し、また、炭酸又はホウ酸バッファ(pH約9)がイソチオシアネート及びジクロロトリアジンとの反応に適する。適当な反応性化合物は更に、適切な程度のコンジュゲーションを実施するのに十分な量で、非ヒドロキシル性の溶媒(通常DMSO又はDMF)中に溶解され、更にコンジュゲートされるタンパク質の溶液に添加される。あらゆるタンパク質又は他の成分などの、化合物の適当量は例えば、化合物の量を変化させてタンパク質にアプライし、コンジュゲートを、コンジュゲートしていない化合物からクロマトグラフにより分離精製し、化合物−タンパク質コンジュゲートをその所望の用途において試験することにより、簡便に決定することができる。
【0050】
成分を含む溶液に対する反応性化合物の添加後、混合液を適当な時間(典型的には室温で1時間、氷上で数時間)インキュベートし、過剰な化合物をゲル濾過、透析、HPLC、イオン交換又は疎水性ポリマー上への吸着又は他の適当手段により除去する。化合物−コンジュゲートは、溶液状態で用いるか、又は凍結乾燥する。このようにして、適切なコンジュゲートは、抗体、抗体断片及び他の標的用担体分子から調製できる。
【0051】
生体高分子及び他の高分子量ポリマーなどのポリマーのコンジュゲートは典型的には、従来技術において公知の手段によって調製される(例えば、Brinkleyら、Bioconjugate Chem.,3:2(1992))。これらの実施形態では、1種類の反応部位(多糖類が典型的)を有してもよく、又は複数種の反応部位(例えばアミン、チオール、アルコール、フェノール)(タンパク質が典型的)を有してもよい。標識の選択性は、適当な反応性色素を選択することによって最も良好となる。例えば、チオール選択的試薬(例えばハロアセトアミド又はマレイミド)によるチオールの修飾、又は、活性化エステル、アシルアジド、イソチオシアネート又は3,5−ジクロロ−2,4,6−トリアジンなどのアミン反応性試薬によるアミンの修飾などが挙げられる。また部分的な選択性は、反応条件の慎重な制御によって可能となる。
【0052】
化合物でポリマーを修飾するとき、典型的には、化合物置換の予想される程度に対する、過剰量の化合物を用いる。いかなる残留する未反応の化合物、又は化合物の加水分解物を、透析、クロマトグラフィ又は沈殿によって除去するのが典型的である。残留する、コンジュゲートしていない色素の存在は、薄層クロマトグラフィにより検出することができるが、その場合には、コンジュゲートと色素を、大きく隔離された状態で溶出する溶媒を使用する。通常、全てのケースにおいて、十分な速度におけるコンジュゲートを可能にするため、実際には高い試薬濃度を維持するのが好適である。
【0053】
方法:
本発明は、生存している動物又は人体における標的抗原の非侵襲性インビボイメージング方法の提供に関し、当該方法は、NIR色素又は粒子とコンジュゲートした標的用担体分子を用いることを特徴とする。
【0054】
一実施形態では、以下の段階を含む、生体の標的抗原をイメージング方法の提供に関する:
a)標的用担体分子色素コンジュゲートを提供し、当該コンジュゲートが、NIR色素と、生体中の標的抗原と結合すると考えられる担体分子とを含む段階と、
b)標的用担体分子色素コンジュゲートを生体内に導入し、会合体(contacted body)を形成する段階と、
c)適当な波長で非侵襲的に上記会合体を照射して、被照射体を形成させ、生体の健全性が破壊されない段階と、
d)上記被照射体を観察し、標的抗原をイメージングする段階。
【0055】
更なる態様では、標的用担体分子は、抗癌/腫瘍マーカー(例えば表1で開示したいずれかの抗体)である。1つの方法では、NIR色素とコンジュゲートした抗CEAを用いて、生存するマウスに存在する腫瘍を視覚化する。
【0056】
本発明の他の実施形態では、生体の標的抗原をイメージングする方法の提供に関し、当該方法は、以下の段階を含む:
a)NIR色素と、標的抗原と結合する抗体または抗体断片を含む色素コンジュゲートを準備する段階と、
b)色素コンジュゲートを生体内に導入して会合体を形成する段階と、
c)上記会合体を適当な波長で照射し、被照射体を形成させる段階と、
d)上記被照射体を観察し、標的抗原がイメージングされ、標的抗原が癌と関連するものである段階。
【0057】
好ましい実施形態では、当該標的抗原はCEA(癌胎児抗原)である。あるいは、当該標的抗原は、以下からなる群から選択される:
α2−マクログロブリン、α−フェトプロテイン(AFP)、β2−マイクログロブリン、β−カテニン、ACTH C末端、ACTH N末端、ACTR/AIB1、αフェトプロテイン、BCA−225、Bcl−2、BRCA2、ブロモデオキシウリジン、CA 125、CA 15−3、CA 19−9、カルシトニン、カルレチニン、カテプシンD、CD15、CD63、CD74、CEA(癌胎児抗原)、絨毛性ゴナドトロピン(β−サブユニット)(βHCG)、クロモグラニンA、c−Kit(CD117)、Cks1、クラスリン抗原、クラウディン−3、クラウディン−4、クラウディン−7、c−Met、c−Myc、IV型コラーゲン、VII型コラーゲン、COX−1、COX−2、サイクリンD1/D2及びD3、サイクリンE、サイトケラチン(酸性)若しくはサイトケラチン(塩基性)、サイトケラチン(HMW)、サイトケラチン18、サイトケラチン19、サイトケラチン20、サイトケラチン5/6、サイトケラチン6、サイトケラチン7、サイトケラチン8、サイトケラチン8/18、E2F−1、E−カドヘリン、EGFr、EGP2(上皮糖タンパク質2)、EMA(上皮膜抗原)、EMMPRIN、エノラーゼ、EphB4受容体、ER(エストロゲン受容体)、EZH2、エズリン、FHIT、ガレクチン−1、ガレクチン−3、GCDFP−15、グリア線維酸性蛋白質、HER2(c−erbB−2)、HER4、HPV初期タンパク質、HPV16後期Iタンパク質、ヒト上皮増殖抗原、ヒト上皮特異的抗原、ヒト乳脂肪球膜、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG1)、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG2)、インボルクリン、JAB1、Ki−67、ルイスA抗原、LRP/MVP、主要ヴォールトタンパク質、MAPキナーゼ(ERK1+ERK2)、MART−1(メランA)、MDM2、黒色腫関連抗原、メラノソーム、メタロチオネイン、MGMT、MLH1、MSH2、MSH6、MTA1、MUC1(ムチン1)、MUC2(ムチン2)、MUC5AC、N−カドヘリン、Neu−オンコジーン、窒素酸化物シンターゼ、ヌクレオホスミン/B23、NY−ESO−1、オカルジン(Occludin)、p16、p21(WAF1/Cip1)、p27、p34、P53オンコプロテイン、膵臓小島細胞抗体、PARP、パキシリン、PD−ECGF、P−糖タンパク質(MDR)、リン酸MAPキナーゼ(ERK1+2)、ホスホチロシン、胎盤アルカリホスファターゼ、PR(プロゲステロン受容体)、PRL−3、PRLr、増殖細胞タンパク質Ki−67、pS2、PSA(前立腺特異的抗原)、PsAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、PTEN、PTTG−1(下垂体腫瘍トランスフォーミング遺伝子−1)、網膜芽腫遺伝子産物、SCLC(小細胞肺癌、CD56、N−CAM)、シアリルルイスA、SKP2、Smad3、STAT3、TAG−72(CA 72.4)、TdT、テネイシン、チログロブリン、TIMP−2、Topo II、TS(チミジル酸シンターゼ)、TTF−1(甲状腺転写因子1)、uPAR、ヴィリン、ヴィメンチン、Wt1(ウィルム腫瘍)、およびZO−1。
【0058】
更なる態様では、生体の健全性が破壊されないように、上記の生体内への導入段階は非侵襲性である。
【0059】
他の実施形態では、NIR色素は約580nm〜約800nmの励起波長を有する。より詳細には、NIR色素は約660nm〜約790nmの励起波長を有する。他の実施形態では、NIR色素は約600nm〜約850nmの放出波長を有する。
【0060】
他の実施形態では、NIR色素は、ピレン、アントラセン、ナフタレン、アクリジン、スチルベン、インドール又はベンズインドール、オキサゾール又はベンゾキサゾール、チアゾール又はベンゾチアゾール、4−アミノ−7−ニトロベンズ−2−オキサ−1、3−ジアゾール(NBD)、カルボシアニン、カルボスチリル、ポルフィリン、サリチレート、アントラニレート、アズレン、ペリレン、ピリジン、キノリン、ボラポリアザインダセン、キサンテン、オキサジン、ベンゾオキサジン、レゾルフィン、カルバジン、フェナレノン、クマリン、ベンゾフラン、ベンズフェナレノン及びその誘導体からなる群から選択される。あるいは、NIR色素は半導体ナノクリスタルである。
【0061】
他の実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。より詳細には、抗体はCEA(癌胎児抗原)に特異的である。
【0062】
他の実施形態では、生体とはヒト以外の脊椎動物である。より詳細には、生体とはマウス又はラットである。あるいは、生体とはヒトである。
【0063】
他の実施形態では、癌とは子宮頸癌、睾丸腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、結腸直腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、腎臓細胞癌、肝癌、胆管癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨性肉腫、骨原性肉種、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、横紋肉腫、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢腺癌、髄様癌、気管支癌、絨毛膜癌腫、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、星状細胞腫、カポジ肉腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起細胞腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、骨髄腫、リンパ腫又は白血病である。
【0064】
他の実施形態では、上記の導入段階は、生体内に色素コンジュゲートを非経口投与することを含む。より詳細には、当該導入段階は静脈注射である。
【0065】
他の実施形態では、色素コンジュゲートと標的抗原を十分接触させるために、会合体を十分な時間インキュベートする段階を更に含む。より詳細には、上記の時間は少なくとも90分である。
【0066】
他の実施形態では、以下の段階を更に含む:
コンピュータプロセッサに被照射体を表すデータを送信する段階と、コンピュータプロセッサでデータを分析し、標的抗原の存在、量又は位置を示している結果を決定する段階。
【0067】
他の実施形態では、上記の結果を視覚的に示すディスプレイ装置又はプリントアウトを更に含む。
【0068】
他の実施形態では、生体中の腫瘍を同定する方法の提供に関し、当該方法は以下の段階を含む:
a)NIR色素と、標的抗原と結合する抗体を含む色素コンジュゲートを準備する段階と、
b)色素コンジュゲートを生体内に導入して会合体を形成する段階と、
c)上記会合体を適当な波長で照射し、被照射体を形成させる段階と、
d)上記被照射体を観察し、腫瘍が同定され、当該標的抗原が癌と関連するものである段階。
【0069】
本発明の他の実施形態では、生体中の癌に関連する標的抗原のイメージング用の、色素コンジュゲートの製造方法の提供に関し、当該方法では、当該色素コンジュゲートが、NIR色素と、標的抗原と結合する抗体とを含むことを特徴とする。他の実施形態では、当該標的抗原はCEA(癌胎児抗原)である。
【0070】
標的用色素コンジュゲートは、限定されないが、経口的、又は静脈中などの、生体内への導入方法として公知のあらゆる手段によって導入することができる。1つの方法では、標的用担体分子色素コンジュゲートは、静脈(例えばマウス又はラットの尾部静脈)に注射針を介して注入することにより、生体内に導入することができる。循環系に導入された後、標的抗原に遭遇するまで、標的用担体分子色素コンジュゲートは比較的自由に移動し、通常の生体内プロセスにより排出されるまで、当該コンジュゲートは非共有結合的に標的と会合し、生体の特定の部分に局在化する。
【0071】
標的用担体分子色素コンジュゲートを生体内に導入した後、任意のタイミングで、生体を照射することができる。1つの態様では、導入から15分、30分、90分、2時間、6時間、24時間、48時間、3日、4日、7日又はそれ以上の時間が経過した後、生体を照射する。照射及び視覚化において使用する機器は、非インビボイメージング用として公知のいかなる手段であってもよい。
【0072】
キット
本発明の標的用担体分子色素コンジュゲートは、有利な特性を有し、かつ簡便に即時使用できるため、特に非侵襲性のインビボイメージング用のキットのコンポーネントとして使用するのが有用である。一実施形態では、当該キットは、インビボイメージング用の即時使用用の標的用担体分子色素コンジュゲート、及び取り扱い説明書を含む。他の実施形態では、当該キットは、反応性のNIRリポーター分子、色素又は粒子と、標的用担体分子と、標的用担体分子と反応性リポーター分子とをコンジュゲートするための取り扱い説明書、及びインビボイメージングについての取り扱い説明書を含む。更に別の実施形態では、当該キットは、反応性リポーター分子、標的用担体分子と反応性リポーター分子とをコンジュゲートするための取り扱い説明書、及びインビボイメージング用の際の取り扱い説明書を含む。
【0073】
1つの具体的実施形態では、以下を含む、生体内の標的抗原のイメージング用キットの提供に関する:
a)NIR色素と、癌と関連する標的抗原と結合する抗体とを含む色素コンジュゲートと、
b)標的抗原のイメージングについての取り扱い説明書。
【0074】
より詳細には、当該キットは、ニードル、イメージングソフトウェア、試薬、バッファ、希釈剤、賦形剤、更なる色素又は抗体のうちの1つ以上を更に含む。好ましいキットの実施形態では、当該標的抗原はCEA(癌胎児抗原)である
【0075】
実施例
本発明の実施を例示するため、以下に実施例を記載する。それらは、本発明の全範囲を限定若しくは定義することを目的とするものではない。
【0076】
実施例1:
モノクローナル抗体の調製:抗CEA AlexaFlour(登録商標)680
マウスモノクローナル抗体、抗癌胎児抗原(CEA)抗体:クローンCol−1(MPX18−0057、インビトロゲン社、カールズバッド、CA)を、SAIVI(商標) Alexa Flour(登録商標)680 Antibody/Protein 1mgラベリングキット(S30039、インビトロゲン社、ユージン、OR)の手順に従い、Alexa Flour(登録商標)680色素とコンジュゲートした。簡潔には、2mg/mlの抗体タンパク質/PBS 500μlを、50μlの1M重炭酸ナトリウム(pH8.3)及び45μlの15mM リジンと混合した。この混合物を、96μgの凍結乾燥されたAlexa Flour680 カルボン酸、スクシニミジルエステル)を含む反応チューブに添加した。反応性色素を溶解させ、十分混合し、反応液を室温(18〜20℃)で、光保護下で60分間インキュベートした。色素−抗体のコンジュゲートを限外濾過クロマトグラフィにより精製した。標識の度合い(フルオロフォア(モル)/抗体(モル))(スペクトル分析により測定)は2.1であった。
【0077】
色素−抗体コンジュゲートを1mg/mlに調整し、ELF(登録商標)スピンフィルタ(0.2μのポアサイズ)(E6606、インビトロゲン社、ユージン、OR)で濾過し、更に70%のエチルアルコールを用いた公知の濾過方法によって洗浄した。
【0078】
実施例2:
モノクローナル抗体の調製:抗CEA Alexa Flour(登録商標)750
マウスモノクローナル抗体、抗癌胎児抗原(CEA)抗体:クローンCol−1(MPX18−0057、インビトロゲン社、カールズバッド、CA)を、SAIVI(商標) Alexa Flour(登録商標)750 Antibody/Protein 1mgラベリングキット(S30040、インビトロゲン社、ユージン、OR)の手順に従い、Alexa Flour(登録商標)750色素とコンジュゲートした。簡潔には、2mg/mlの抗体タンパク質/PBS 500μlを、50μlの1M重炭酸ナトリウム(pH8.3)及び40μlの15mM リジンと混合した。この混合物を、90μgの凍結乾燥されたAlexa Flour750 カルボン酸、スクシニミジルエステル)を含む反応チューブに添加した。反応性色素を溶解させ、十分混合し、反応液を室温(18〜20℃)で、光保護下で60分間インキュベートした。色素−抗体のコンジュゲートを限外濾過クロマトグラフィにより精製した。標識の度合い(フルオロフォア(モル)/抗体(モル))(スペクトル分析により測定)は1.6であった。
【0079】
色素−抗体コンジュゲートを1mg/mlに調整し、ELF(登録商標)スピンフィルタ(0.2μのポアサイズ)(E6606、インビトロゲン社、ユージン、OR)で濾過し、更に70%のエチルアルコールを用いた公知の濾過方法によって洗浄した。
【0080】
本願明細書に記載されているモノクローナル抗体:COL−1は、通常の組織には存在しない、上皮(特に消化管、胸部、肺及び膀胱)の癌において発現するCEA上に存在するある特定のエピトープを認識する(Murarao R,Wunderlich D,Thor A,Lundy P,Noguchi P,Cunningham R,Schlom J.Definition by monoclonal antibodies of a repertoire of epitopes on carcinoembryonic antigen differentially expressed in human colon carcinomas versus normal adult tissues.Cancer Res.1985; 45: 5769−5780;Zimmermann W,Weber B,Ortlieb B,Rudert F,Schempp W,Fiebig HH,Shively JE,von Kleist S,Thompson JA Chromosomal localization of the carcinoembryonic antigen gene family and differential expression in various tumors.Cancer Res.1988; 48: 2550−2554;Shi ZR,Tacha D,Itzkowitz SH Monoclonal antibody COL−1 reacts with restricted epitopes on carcinoembryonic antigen: an immunohistochemical study.J.Histochem.Cytochem.1994;42: 1212−1219)。
【0081】
実施例3:
モノクローナル抗体の調製:抗CEA Alexa Flour(登録商標)790
マウスモノクローナル抗体、抗癌胎児抗原(CEA)抗体:クローンCol−1(MPX18−0057、インビトロゲン社、カールズバッド、CA)を、上記実施例2のSAIVI(商標)Alexa Fluor(登録商標)色素抗体/タンパク質ラベリングキットと同様の手順に従い、Alexa Flour(登録商標)790色素とコンジュゲートした。簡潔には、2mg/mlの抗体タンパク質/PBS 500μlを、50μlの1M重炭酸ナトリウム(pH8.3)及び40μlの15mM リジンと混合した。この混合物を、125μgの凍結乾燥されたAlexa Flour790 カルボン酸、スクシニミジルエステル)を含む反応チューブに添加した。反応性色素を溶解させ、十分混合し、反応液を室温(18〜20℃)で、光保護下で60分間インキュベートした。色素−抗体のコンジュゲートを限外濾過クロマトグラフィにより精製した。標識の度合い(フルオロフォア(モル)/抗体(モル))(スペクトル分析により測定)は1.6であった。
【0082】
色素−抗体コンジュゲートを1mg/mlに調整し、ELF(登録商標)スピンフィルタ(0.2μのポアサイズ)(E6606、インビトロゲン社、ユージン、OR)で濾過し、更に70%のエチルアルコールを用いた公知の濾過方法によって洗浄した。
【0083】
実施例4:
マウス個体全体における、抗CEA抗体−Alexa Flour750コンジュゲートを用いた、LS174Tヒト結腸腺癌腫瘍の可視化
1匹の雌の胸腺欠損nu/nuマウスに、100万個のLS174Tヒト結腸直腸腺癌細胞(ATCC CL−188)を皮下注射した。腫瘍が直径1cmに達し、血管新生が観察されたとき、マウスに抗CEA抗体−Alexa Flour750色素コンジュゲートを注射し、腫瘍を視覚化した。抗CEA抗体−Alexa Flour750色素コンジュゲートは、実施例2に従って調製し、1.1mg/mlの最終タンパク質濃度及び1.6のDOLで用いた。抗CEA抗体−Alexa Flour 750の色素コンジュゲート50μgを、尾部静脈を経て静注によりマウスに注射した。マウスへの注入後、15分、30分、90分、2時間、6時間、24時間、48時間、3日、4日及び7日において、CRi Maestro Imaging System(Ex:740nm、Em:790−950nm)でイメージングした。CEA−抗体コンジュゲートは腫瘍塊の位置に局所化し、マウスの全身において観察された(図1)。肝臓又は他の器官では、検出可能な程度での蓄積が見られなかった。
【0084】
実施例5:
マウス個体全体における、抗CEA抗体−Alexa Flour750コンジュゲートを用いた、LS174Tヒト結腸腺癌腫瘍の時間経過における可視化
実施例4にて説明したように、1匹の雌の胸腺欠損nu/nuマウスに、100万個のLS174Tヒト結腸直腸腺癌細胞(ATCC CL−188)を皮下注射した。腫瘍が直径1cmに達し、血管新生が観察されたとき、マウスに抗CEA抗体−Alexa Flour750色素コンジュゲートを注射し、腫瘍を視覚化した。抗CEA抗体−Alexa Flour750色素コンジュゲートは、実施例2に従って調製し、1.1mg/mlの最終タンパク質濃度及び1.6のDOLで用いた。抗CEA抗体−Alexa Flour 750の色素コンジュゲート50μgを、尾部静脈を経て静注によりマウスに注射した。マウスへの注入後、1時間、2時間、6時間、24時間、48時間、3日、6日、7日及び8日において、CRi Maestro Imaging System(Ex:735nm、Em:790−950nm)でイメージングした。CEA−抗体コンジュゲートは腫瘍塊の位置に局所化し、マウスの全身において観察された。肝臓又は他の器官では、検出可能な程度での蓄積が見られなかった。
【0085】
図2は、CEA抗体−Alexa Flour750コンジュゲートによる、時間経過における腫瘍のラベリングを示す。シグナルは、腫瘍における平均標識強度を指し、バックグラウンドは、腫瘍に隣接する、マウス生体のシグナルのことを指す。
【0086】
実施例6:
マウス個体全体における、抗CEA抗体−Alexa Flour790色素コンジュゲートを用いた、LS174Tヒト結腸腺癌腫瘍の可視化
1匹の雌の胸腺欠損nu/nuマウスに、100万個のLS174Tヒト結腸直腸腺癌細胞(ATCC CL−188)を皮下注射した。第2の雌の胸腺欠損nu/nuマウスに、100万個のSW620ヒト結腸直腸腺癌細胞(ATCC CCL−227)を皮下注射した。LS174Tは高いCEA産生レベル(1944ng/100万細胞/10日(ATCC))であり、一方SW620は低いCEA産生レベル(0.15ng/100万細胞/10日(ATCC))であり、ネガティブコントロールとして利用できる。腫瘍多数が直径5mmに達したとき、マウスに抗CEA抗体−Alexa Flour790色素コンジュゲートを注射し、腫瘍を視覚化した。抗CEA抗体−Alexa Flour790色素コンジュゲートは、実施例3に従って調製し、1.1mg/mlの最終タンパク質濃度及び1.6のDOLで用いた。抗CEA抗体−Alexa Flour 790の色素コンジュゲート50μgを、尾部静脈を経て静注によりマウスに注射した。マウスへの注入後、30分、1時間、2時間、24時間、48時間、6日、7日、8日、9日及び10日において、CRi Maestro Imaging System(Ex:740nm、Em:790−950nm)でイメージングした。
【0087】
抗CEA抗体−色素コンジュゲートはLS174T腫瘍塊の位置に局所化したが、SW620腫瘍を標識しなかった(図3)。すなわち、抗CEA抗体−色素コンジュゲートは腫瘍のCEAを標的としており、マーカーが非特異的に取り込まれたためではないことが示された。肝臓又は他の器官では、検出可能な程度での蓄積が見られなかった。
【0088】
実施例7:
多重:脈管+腫瘍マーカー
LS174Tヒト結腸腺癌異種移植片を有する胸腺欠損nu/nuマウスに、実施例5にて説明したように、50μgの抗CEA抗体−Alexa Flour750色素コンジュゲートを、静脈注射した。上記抗体は、SAIVI Alexa Flour(登録商標)750 Antibody/Protein ラベリングキット(カタログNo.S30040)を使用して調製した。抗CEA抗体コンジュゲートの注入の9日後、上記動物に、腫瘍脈管構造を強調するために、静脈内にSAIVI(商標)Alexa Flour(登録商標)680の注射可能な造影剤ヒト血清トランスフェリン(カタログNo.S34790)を注射した。
【0089】
動物は、CRi Maestroシステム(687nmの励起、及び740−950nmの放出波長領域)を使用して、トランスフェリンの静脈注射の60分後にイメージングした。3つの異なる蛍光源を示し、Nuance(商標)Softwareを使用した結果、イメージキューブがスペクトルにおいて混合していないことを示す。トランスフェリン(緑)、CEA抗原(赤)及び腸内容物(青)のシグナルが明確に分離されていた。図4を参照。
【0090】
実施例において使用した試薬は、市販品であってもよく、又は従来技術において公知の市販の装置、方法又は試薬を使用して、調製してもよい。上記の実施例は、様々な本発明の態様及び本発明の方法の実施を例示するものである。しかしながら、上記の実施例は、本発明の様々な実施形態を網羅的に説明することを目的とするものではない。すなわち、上記の本発明に関する理解を明確にするために、図と実施例とを挙げて詳細に記載したに過ぎず、当業者であれば、添付の特許請求の範囲の技術的範囲から逸脱することなく、多くの変更及び修飾を実施できることを想起するであろう。
【0091】
上記の引例全ては、あたかも全開示内容が本願明細書に記載されているかのように、本願明細書に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】CEA Ab−Alexa Flour750コンジュゲートで標識し、CRi Maestro Imaging System(Ex:740nm、Em:790〜950nm)によりイメージングした腫瘍を示す。
【図2】CEA Ab−Alexa Flour750コンジュゲートによる腫瘍の標識のタイムコースを示す。シグナルは腫瘍における標識の平均強度を指し、バックグラウンドは腫瘍に隣接するマウス生体のシグナルのことを指す。
【図3】CEA Ab−Alexa Flour750コンジュゲートを用い、CRi Maestro Imaging System(Ex:740nm、Em:790〜950nm)でイメージングした際の、腫瘍マーカーの特異性を示す。左:CEA+LS174T腫瘍を有するnu/nuマウス。右:CEA−SW620腫瘍を有するnu/nuマウス。
【図4】3つの異なる蛍光源を示し、Nuance(商標)Softwareを使用した結果、イメージキューブがスペクトルにおいて混合していないことを示す。トランスフェリン、腫瘍抗原及び腸内容物のシグナルが明確に分離されていることを示す(図4A)。カラーダイアグラムにおいて、トランスフェリンが緑シグナルとして示され、腫瘍抗原が赤シグナルとして示され、腸内容物が青シグナルとして示されている。図4Bは、抗CEA色素コンジュゲートのみによるシグナルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の標的抗原のイメージング方法であって、
a)NIR色素と、標的抗原と結合する抗体を含む色素コンジュゲートを準備する段階と、
b)前記色素コンジュゲートを生体内に導入して会合体(contacted body)を形成する段階と、
c)前記会合体を適当な波長で照射し、被照射体を形成させる段階と、
d)前記被照射体を観察し、標的抗原がイメージングされ、当該標的抗原が癌と関連するものである段階とを含む、
方法。
【請求項2】
前記標的抗原がCEA(癌胎児抗原)である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記標的抗原が、以下からなる群から選択される、請求項1記載の方法:
α2−マクログロブリン、α−フェトプロテイン(AFP)、β2−マイクログロブリン、β−カテニン、ACTH C末端、ACTH N末端、ACTR/AIB1、αフェトプロテイン、BCA−225、Bcl−2、BRCA2、ブロモデオキシウリジン、CA 125、CA 15−3、CA 19−9、カルシトニン、カルレチニン、カテプシンD、CD15、CD63、CD74、CEA(癌胎児抗原)、絨毛性ゴナドトロピン(β−サブユニット)(βHCG)、クロモグラニンA、c−Kit(CD117)、Cks1、クラスリン抗原、クラウディン−3、クラウディン−4、クラウディン−7、c−Met、c−Myc、IV型コラーゲン、VII型コラーゲン、COX−1、COX−2、サイクリンD1/D2及びD3、サイクリンE、サイトケラチン(酸性)若しくはサイトケラチン(塩基性)、サイトケラチン(HMW)、サイトケラチン18、サイトケラチン19、サイトケラチン20、サイトケラチン5/6、サイトケラチン6、サイトケラチン7、サイトケラチン8、サイトケラチン8/18、E2F−1、E−カドヘリン、EGFr、EGP2(上皮糖タンパク質2)、EMA(上皮膜抗原)、EMMPRIN、エノラーゼ、EphB4受容体、ER(エストロゲン受容体)、EZH2、エズリン、FHIT、ガレクチン−1、ガレクチン−3、GCDFP−15、グリア線維酸性蛋白質、HER2(c−erbB−2)、HER4、HPV初期タンパク質、HPV16後期Iタンパク質、ヒト上皮増殖抗原、ヒト上皮特異的抗原、ヒト乳脂肪球膜、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG1)、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG2)、インボルクリン、JAB1、Ki−67、ルイスA抗原、LRP/MVP、主要ヴォールトタンパク質、MAPキナーゼ(ERK1+ERK2)、MART−1(メランA)、MDM2、黒色腫関連抗原、メラノソーム、メタロチオネイン、MGMT、MLH1、MSH2、MSH6、MTA1、MUC1(ムチン1)、MUC2(ムチン2)、MUC5AC、N−カドヘリン、Neu−オンコジーン、窒素酸化物シンターゼ、ヌクレオホスミン/B23、NY−ESO−1、オカルジン(Occludin)、p16、p21(WAF1/Cip1)、p27、p34、P53オンコプロテイン、膵臓小島細胞抗体、PARP、パキシリン、PD−ECGF、P−糖タンパク質(MDR)、リン酸MAPキナーゼ(ERK1+2)、ホスホチロシン、胎盤アルカリホスファターゼ、PR(プロゲステロン受容体)、PRL−3、PRLr、増殖細胞タンパク質Ki−67、pS2、PSA(前立腺特異的抗原)、PsAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、PTEN、PTTG−1(下垂体腫瘍トランスフォーミング遺伝子−1)、網膜芽腫遺伝子産物、SCLC(小細胞肺癌、CD56、N−CAM)、シアリルルイスA、SKP2、Smad3、STAT3、TAG−72(CA 72.4)、TdT、テネイシン、チログロブリン、TIMP−2、Topo II、TS(チミジル酸シンターゼ)、TTF−1(甲状腺転写因子1)、uPAR、ヴィリン、ヴィメンチン、Wt1(ウィルム腫瘍)、及びZO−1。
【請求項4】
生体の健全性が破壊されないように、前記導入段階が非侵襲性である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記NIR色素が約580nm〜約800nmの励起波長を有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記NIR色素が約660nm〜約790nmの励起波長を有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記NIR色素が、以下からなる群から選択される、請求項1記載の方法:
ピレン、アントラセン、ナフタレン、アクリジン、スチルベン、インドール又はベンズインドール、オキサゾール又はベンゾキサゾール、チアゾール又はベンゾチアゾール、4−アミノ−7−ニトロベンズ−2−オキサ−1、3−ジアゾール(NBD)、カルボシアニン、カルボスチリル、ポルフィリン、サリチレート、アントラニレート、アズレン、ペリレン、ピリジン、キノリン、ボラポリアザインダセン、キサンテン、オキサジン、ベンゾオキサジン、レゾルフィン、カルバジン、フェナレノン、クマリン、ベンゾフラン、ベンズフェナレノン及びその誘導体。
【請求項8】
前記NIR色素が半導体ナノクリスタルである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記NIR色素が、微小球体中に含浸されているか、又は、微小球体と結合している、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記生体がヒト以外の脊椎動物である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記生体がマウス又はネズミである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記生体がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記癌が、子宮頸癌、睾丸腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、結腸直腸癌、膵癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、腎臓細胞癌、肝癌、胆管癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨性肉腫、骨原性肉種、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、横紋肉腫、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢腺癌、髄様癌、気管支癌、絨毛膜癌腫、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、星状細胞腫、カポジ肉腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起細胞腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、骨髄腫、リンパ腫又は白血病である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記導入段階が、生体内への色素コンジュゲートの非経口投与を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
色素コンジュゲートと標的抗原を十分接触させるために十分な時間、会合体をインキュベートする段階を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記時間が少なくとも90分間の時間である、請求項1記載の方法。
【請求項18】
コンピュータプロセッサに被照射体を表すデータを送信する段階と、
コンピュータプロセッサでデータを分析し、標的抗原の存在、量又は位置を示している結果を決定する段階を更に含む、
請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記結果を視覚的に示すディスプレイ装置又はプリントアウトを更に含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
生体中の腫瘍の同定方法であって、
a)NIR色素と、標的抗原と結合する抗体を含む色素コンジュゲートを準備する段階と、
b)前記色素コンジュゲートを生体内に導入して会合体を形成する段階と、
c)前記会合体を適当な波長で照射し、被照射体を形成させる段階と、
d)前記被照射体を観察し、腫瘍が同定され、当該標的抗原が癌と関連するものである段階とを含む、
方法。
【請求項21】
生体中の癌に関連する標的抗原のイメージング用の、色素コンジュゲートの製造方法であって、
前記色素コンジュゲートが、NIR色素と、標的抗原と結合する抗体とを含む、
方法。
【請求項22】
前記標的抗原がCEA(癌胎児抗原)である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
生体内の標的抗原のイメージング用キットであって、
a)NIR色素と、癌と関連する標的抗原と結合する抗体とを含む色素コンジュゲートと、
b)標的抗原のイメージングについての取り扱い説明書を含む、
キット。
【請求項24】
更にニードル、イメージングソフトウェア、試薬、バッファ、希釈剤、賦形剤、更なる色素又は抗体のうちの1つ以上を含む、請求項23記載のキット。
【請求項25】
前記標的抗原がCEA(癌胎児抗原)である、請求項23記載のキット。
【請求項26】
NIR色素と、CEA(癌胎児抗原)と結合する抗体とを含む色素コンジュゲートを含む組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−531332(P2009−531332A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501760(P2009−501760)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/064853
【国際公開番号】WO2007/109809
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(502221282)ライフ テクノロジーズ コーポレーション (113)
【Fターム(参考)】