説明

発光システムおよび発光指示装置

【課題】 赤外線を用いたシステムであって、様々な演出動作を行うことができる装置およびシステムを提供することを課題とするものである。
【解決手段】
発光指示装置と発光器を有した発光システムであって、前記発光指示装置は制御コードによって変調した赤外線信号を出力する赤外線出力手段を有し、前記発光器は、前記赤外線信号を受信する受信手段と、前記受信手段を介して取得した赤外線信号から前記制御コードを抽出する抽出手段と、可視光を発光する複数色の発光手段と、当該発光手段を駆動制御する制御手段を有し、前記発光指示装置が送信する制御コードには前記発光手段が予め記憶しているIDコードとの一致あるいは不一致の照合が行われる複数個の照合コードが含まれており、当該複数個の照合コードには優先順位が設けられるとともに、当該受信した照合コードの優先順位に応じた制御内容で動作を行うようになっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光システムおよび発光指示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1記載の演出システムが知られている。当該演出システムは、イベントに合わせた所定のタイミングで、赤外信号発光部から赤外信号を発光することによって多数の観客が携帯する各演出具に、赤外信号に含まれる制御信号に基づいて所定の動作を実行させるものである。そして、赤外信号発光部が発光する赤外信号が、家電機器の遠隔制御に用いられるリモートコントロール信号のキャリア周波数に略等しい周波数の赤外線搬送波で制御信号を振幅変調した被変調信号であることによって、家電機器の遠隔制御用のリモートコントロール信号によっても所定の動作を実行させるものとなっている。
【0003】
また、前記演出具は、受信した赤外信号が赤外信号発光部から発光されたものと判別した場合には、その復調信号に含まれるデータコードを内部に記憶しているデータコードと比較し、一致した場合には全ての演出具が所定の動作を実行するものである。したがって、演出具の動作は、観覧エリア内にある全てが同時に行われるので、イベント中の所定のタイミング、例えば、観覧エリアに流される音楽の拍子に合わせたり、司会者のかけ声に合わせて発光ダイオードを同時に点滅させるものとなっている。
イベントの演出としては、上記従来技術のように一斉に全ての演出具に同じ動作を行わせるものもある。しかしながら、全ての演出具が同時に同一動作しかしないというのは、演出が固定化してしまい面白味に欠けるものとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3910513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み発明されたものであって、赤外線を制御用の信号として使用する発光指示装置および発光器を用いたシステムであって、様々な演出動作を行うことができる装置およびシステムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を有する。すなわち、
発光指示装置と発光器を有した発光システムであって、
前記発光指示装置は制御コードによって変調した赤外線信号を出力する赤外線出力手段を有し、
前記発光器は、
前記赤外線信号を受信する受信手段と、
前記受信手段を介して取得した赤外線信号から前記制御コードを抽出する抽出手段と、
可視光を発光する複数色の発光手段と、
当該発光手段を駆動制御する制御手段を有し、
前記発光指示装置が送信する制御コードには前記発光手段が予め記憶しているIDコードとの一致あるいは不一致の照合が行われる複数個の照合コードが含まれており、
当該複数個の照合コードには優先順位が設けられるとともに、当該受信した照合コードの優先順位に応じた制御内容で動作を行うようになっていることを特徴とする。
【0007】
また、上記発光システムであって、前記発光器は、優先順位が最上位の照合コードを受信すると現状の制御内容を記憶するとともに、一時的に若しくは一定時間に限り予め定められた別の制御を行い、当該別の制御の後に、前記記憶した制御内容基づいて動作するようになっていることを特徴とする。
【0008】
また、上記何れかの発光システムであって、前記発光器は、優先順位が最上位の照合コードを受信すると現状の制御内容を記憶した後に発光手段による発光を行い、当該発光の後定められた時間の経過後に発光手段を消灯するようになっていることを特徴とする。
【0009】
また、上記何れかの発光システムであって、少なくとも前記優先順位が最上位となる照合コードを送信可能な発光指示装置と、当該優先順位が最上位となる照合コードを送信しない発光指示装置とを有したことを特徴とする。
【0010】
また、本願発明は上記発光システムに用いる、可視光の発光手段を有した発光器を制御するための発光指示装置であって、
制御コードによって変調した赤外線信号を出力する赤外線出力手段を有するとともに、前記出力される赤外線信号の照射範囲を拡縮する光学的な調整手段を有したことを特徴とする。
【0011】
また、上記発光指示装置であって、赤外線信号が照射される領域の形状を整形する整形手段を有したことを特徴する。
また、上記発光指示装置であって、発行色を指定する指示手段を有したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る発光システムは、主に多数の観衆がいるコンサート会場等での実施を想定したものであって、発光指示装置を用いた制御により、コンサート等の進行に合わせた統一感のある様々な発光色、点灯・点滅のパターンで観衆が所持するペンライト等の発光器を発光させることを目的としたものである。
発光器を上記のように発光させるにあたり、本発明に係る発光システムでは複数の発光指示装置を用いることができ、かつ制御命令を実行する際の優先順位を設定する照合コードを有している。この優先順位の高い照合コードを用いることによって、他の発光指示装置の制御よりも優先させた内容で発光器を動作させるということができるようになっている。
また、優先順位が高い照合コードを発した制御信号を受信した場合には、少なくとも一定の時間は優先順位が高い照合コードを発した発光指示装置の指示による制御内容で発光器をコントロールできるようになっている。この一定の時間は他の発光指示装置からの信号を受信しても動作をしない、割り込み防止時間としても機能することになるので、確実に意図した発光内容で発光器を点灯・点滅させることができるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る発光指示装置の説明図である。
【図2】本発明に係る発光器の説明図である。
【図3】赤外線信号の内容に関する説明図である。
【図4】本発明に係る発光システムのフローチャートである。
【図5】本発明に係る発光システムを用いた演出例の説明図である。
【図6】本発明に係る他の発光指示装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を実施するための形態について説明する。図1は本発明に係る発光システム1を構成する発光指示装置2の説明図であって、図1(a)は一例としてスポットタイプに構成した発光指示装置2の構成を表した概略ブロック図であり、図1(b)は同発光指示装置2の構造図を表している。
発光指示装置2は、赤外線出力手段として機能する赤外線発光ダイオード(以下「発光手段」という)4と、当該発光手段4の発光制御を行う駆動制御部5を有している。
駆動制御部5は、発光手段4によって赤外線を発光させる駆動回路部を有している。また、駆動制御部5は、発光器3を駆動する制御コードを記憶若しくは生成するとともに、当該制御コードによって前記駆動回路部で発生させた赤外線を変調する変調手段を備えたものとなっている。駆動制御部5で生成された信号は波形増幅・整形手段6を通過した後に発光手段4によって赤外線信号として所定方向に向かって照射されるようになっている。
【0015】
発光指示装置2は、前記各手段の他、電源7、発光手段4による赤外光の発光を指示する操作スイッチ8を有している。なお、発光指示装置には、2種類の態様の装置が用意されている。
一つは図1に示した比較的狭い範囲にのみ赤外光を照射するように構成したスポットタイプのものであり、もう一つはコンサート会場のような広い領域全体を照射するように構成された図6に示す広域タイプである。広範囲タイプの詳細については後述することとし、以下スポットタイプの発光指示装置2を中心に本発明に係る発光システム1を説明する。
【0016】
前述の通り、図1(b)はスポットタイプの発光指示装置2の構造図を表している。一例として、手に持つことができるような筒形の筐体を有した形態に形成したものである。なお、外観形状は当該形状に限定されるものではなく、例えば演劇においては使用する杖等の小道具に仕込んだり、音楽演奏時にはギター等の楽器に取り付けられるような形態を成していてもよいものである。
発光指示装置2は、把持部となる筒状に形成した筐体9内に前述した発光手段4、電源7、操作スイッチ8および駆動制御部5を収容したものである。発光手段4を構成する赤外線発光ダイオードの前部には、発光した赤外光を前方に向かって導くためのレンズ等による光学系手段が設けられている。当該光学系手段には、使用者の操作によって前後方向に移動するように設けられたレンズ10が配置されており、赤外線による照射光の照射範囲を任意に拡大若しくは縮小することができるようになっている。
また、レンズ10の先には、所定形状の透孔を設けた交換可能なフィルター11(11a、11b)を設けている。透孔の形状はハート形、丸形も四角形などの任意の形状であり、赤外光が照射される領域の形状を当該フィルター11の透孔の形状と相似した形状にすることができるものである。
【0017】
次に発光器3について説明する。図2(a)は発光器3の概略ブロック図であり、図2(b)は発光器3の構造図を表している。主な構成として発光器3は、受光手段12、波形取得(波形増幅・整形)手段13、駆動制御部14、発光手段15(15a、15b、15c)、電源16を有している。
受光手段12は、フォトダイオード等の受光素子によって形成されたものであり、前記発光手段4が出力した赤外光(赤外線信号)を受光することができるものである。波形取得(波形増幅・整形)手段13は、受光手段12によって受光された赤外光を所定レベルの電圧となるように調整するとともに波形を整形し、変調された信号から制御コードを抽出する抽出手段として機能するものとなっている。
【0018】
駆動制御部14は、発光器3が有する電気的な各手段を制御するものであって、主として前記制御コードに基づき、発光手段15を発光させる駆動制御を行う手段となっている。発光手段15は、可視光を発光するLED等の光源によって形成されたものであり、本実施の形態ではそれぞれ赤・青・緑の光を発光するLED(15a、15b、15c)によって構成されている。
【0019】
次に、制御コードについて説明する。制御コードは、発光指示装置2によって送信される赤外線信号に含まれている。赤外線信号に含まれる制御コードの一例を図3に示す。図3の上段は赤外線信号に含まれる制御コードの一例、第2段目はリーダーコードおよびコードAの部分を時間軸方向に拡大した説明図、第3段目は第2段目に示したリーダーコードとコードAをさらに時間軸方向に拡大した説明図、第4段目は発光される赤外線信号の最小パルス幅を表している。
図3に示す通り、赤外線信号には制御コードとして、リーダーコードおよびコードA〜G等として示した7つのコードおよびストップビットが含まれている。リーダーコードとストップビットは、制御コードの始まりと終わりを認識させるコードであり、当該リーダーコードとストップビットの間に配置された各コードが、発光器3を駆動する制御命令となるものである。
【0020】
コードAはカスタムコードである。当該コードは、自社(メーカー)の製品であることを判別するメーカー固有の照合コードとなっている。当該照合コードは発光器3が記憶しているコードの一致・不一致を検証するためのものであり、一致した場合にのみ発光器3が他の制御コードを命令として受け付けるようにするものである。また、生産時期などの管理も兼ねたコードとなっている。
【0021】
コードBはピンポイントコードである。当該コードは、発光指示装置2の種別を表す照合コードとなっており、発光器3が有するIDコードとの一致・不一致を判別するものとなっている。
本実施の形態では、比較的狭い範囲にのみ赤外光を照射するように構成したスポットタイプのものと、広い領域全体を照射するように構成された広域タイプの発光指示装置が用意されている。当該コードによって、赤外線信号がどちらの装置から発信されているのかを判別できるようになっており、スポットタイプのIDコードを認識することによって広域タイプの発光指示装置では行うことができない特定の制御を行わせるために設けられたものである。
【0022】
コードC〜EはハードIDコードである。当該コードは、必要に応じて発光器3内のメモリに予め記憶させておくコードであり、発信されたコードC〜Eとの一致、不一致を照合するためのコードである。一致した場合には特定の動作モードに切り替える、特定の制御信号を無視あるいは実行する等の個別の制御を行えるようにするものである。例えば、発光器3をクライアントやタレント違いその他の用途によって使い分けができるように割り振られたコードとしたり、端末IDと同様に同じハードIDコードを受光した場合に発光や調光の制御データの指示に従いLEDを発光させるという使い方ができるようになっている。
コードF〜Gは発光、調光制御コードである。発光器3に搭載されている3色のLED15a、15b、15cの発光スピードを制御するコードであり、発光と消灯信号の繰り返しで制御するようになっている。
【0023】
次に、図4に示したフローチャートを用いて、赤外線信号を受信した発光器3の主な動作について説明する。
発光器3の電源スイッチを入れると、無信号時に動作するように記憶されている発光パターンでLED15a、15b、15cを点灯あるいは点滅させるとともに(S1)、受光手段12によって赤外線信号を受信可能な状態にする。
赤外線信号を受信すると、波形取得手段13によって制御コードを抽出し、駆動制御部14が信号に含まれるコードAが発光器3が記憶している識別情報に含まれる照合コードと一致しているか否かを判定する(S2)。当該照合コードには、発光指示装置2が出力するコードAおよびコードC〜Eが含まれる。判定の結果、抽出した制御コードにコードAが含まれていない場合(発光器3が記憶している識別情報と一致しない)には、再び赤外線信号の受信可能な状態(S1)に戻り、コードAが発光器3が記憶している識別情報と一致した場合には次のステップとしてコードBの内容を判定する(S4)。
【0024】
コードBは、本実施の形態では「1」あるいは「0(1以外)」の何れかを示すコードとなっており、「1」の場合には発光指示装置2が「スポットタイプ」のものであり、「1以外」のコードである場合には「スポットタイプ」以外(本実施の形態では「広域タイプ」)のタイプであると判断する。
「コードB=1」である場合には、現在の発光色・調光値を駆動制御部14内の記憶領域に保存(S5)した後、発行色制御コードであるコードGによって指定された内容でLED(15a、15b、15c)を発光させる(S6)。そして、この発光と同時にタイマを0.5秒にセットし(S7)、当該タイマによる設定時間をカウントし、セットした時間の経過とともに前記ステップS5で保存した発光色・調光値に基づいて各LEDを発光させる(S9)。そして、当該ステップS9の後、再び赤外線信号の受信可能な状態(S1)に戻る。
【0025】
本実施の形態では、上記0.5秒にセットされたタイマ時間は予め発光器3に記憶された固定データとなっている。このタイマが有効になっている一定時間については、コードB=1とともに送信された他の制御コードに基づいた内容で発光が行われる。そして、この時間は発光指示装置から制御信号が送信されていても割り込みを許容しないようになっている。
なお、上記タイマ時間は固定値として設定されたものとなっているが、発光器に調節手段を設け任意の時間に設定できるようにしても差し支えないものである。また、上記制御コード「コードB=1」の送信とともに発光指示装置からタイマ時間を設定する信号を送信し、当該送信された設定時間に伴ったタイマ動作をさせてもよいものである。
【0026】
前記「コードB=1」の検出(S4)によってステップS6で設定された発光色・調光値による発光を行ってから、「コードB=1」の検出前の状態に戻るまでの処理(S8)は、実際には複雑な処理になっているが、図4では要約した内容を示している。当該ステップS8で行っているのは、「コードB=1」に伴って行われた発光を終了させるまでの処理であり、発光器3が連続的に「コードB=1」を受信可能な状態であったり、断続的に受信可能な状態であったり、赤外線信号を全く検出できない状態になった場合などの種々の条件に対応した処理を行っている。そして、当該処理(S8)は、図5に示したような演出を行うための処理である。
図5は、一例としてコンサート会場における個々に発光器3を手に持った観衆を表しており、図5(a)は各人が所有している発光器3が全て同じ発行色、調光値で発光している状態若しくは消灯状態である場合を表している。この状態は、通常、広域タイプの発光指示装置によって会場全体に制御信号を送信した結果得られるものである。
図5(a)の状態において、「スポットタイプ」の発光指示装置2によって観衆を照射すると、制御信号は図5(b)に示すように一部の領域Wにのみに到達する。そうすると会場に分散している発光器3が、「スポットタイプ」発光指示装置2から赤外線信号の受信しているものと受信していないものに別れ、領域Wに存在する発光器3のみが「スポットタイプ」の発光指示装置2による制御コードによって所定の発光を行う。そして、上記の例では赤外線信号の受信したのち発光器3は0.5秒間だけ所定の色で発光した後に、発光前の状態に戻るようになっている。
【0027】
そして、発光指示装置2が赤外線信号を照射する領域Wを連続的に移動させると、領域Wの移動に伴ってその領域に存在する発光器3が順次所定の色で発光し、0.5秒後に元の状態に戻る。これが演出的にどのように表現されるかというと、発光指示装置2が示した領域が発光器3の発光によってスポットライトを浴びたように明るくなり、領域Wの移動に伴って、尾を引くように領域Wの移動した後も僅かな時間だけ残像のような発光した後に消灯若しくは元の発光状態にすることができるものである。
【0028】
また、コードBは、発光器3の個体情報(ハードID)を表すコードC〜Eの有無に優先するものであって、ハードIDが異なる複数種類の発光器3が存在している場合であっても、コードB=1であると判定することによってハードIDの一致・不一致にかかわらず「スポットタイプ」の発光指示装置2が発信する信号に対して優先的に従うようになっている。コードBは他の制御コードに優先して実行される最優先コードとなっている。
【0029】
前記ステップS4で「コードB=1」ではない場合には、次に「コードC=1」(発光器3のハードIDがコードCと同一)であるか否かが判定され(S10)、「コードC=1」である場合にはコードGの値に合った色を点灯するとともに、コードFの内容応じた調光を行う(S11)。
コードFは3bitのデータであって8段階(消灯〜最大照度での点灯)で明るさを指定できるようになっている。また、コードGも3bitデータであって3色のLEDを調光して8種類(レッド、グリーン、ブルー、イエロー、シアン、マセンタ、ホワイト、ブラック(消灯))の色を発光できるようになっている。
【0030】
前記ステップS10において「コードC=1」でない場合には、さらに他のハードIDと一致するか否かを判定するため、発光器3のハードIDが「コードD」と一致するか否かの判定(S12)、発光器3のハードIDが「コードE」と一致するか否かの判定(S13)を行う。
なお、当該フローチャートには示していないが、「コードD」あるいは「コードE」の一致に伴って実行される処理を適宜設けることができるようになっており、当該処理が終わると赤外線信号の受信可能状態(S2)に戻るようになっている。
また、上記処理において、何れのハードIDもコードC〜コードEと一致しない場合には、赤外線信号の受信可能状態(S2)に戻る。
【0031】
大きなコンサート会場では、発光器3を所持した観衆が広範囲に分布しているので、観衆が所持している全て発光器3を同期させて発光させる場合には「広域タイプ」の発光指示装置を用いる。図6(a)は、当該「広域タイプ」の発光指示装置の操作を行うコントローラー20のパネル面を表している。図6(b)に示すように、「広域タイプ」の発光指示装置は、赤外線発光用のLEDを多数個搭載した投光器30と、当該投光器30を制御コントロールするコントローラー20、駆動制御部28および波形増幅・整形手段29によって構成されている。また、必要に応じて一台のコントローラーに複数台の投光器を接続して使用する場合もある。
【0032】
コントローラー20のパネル面には、一例として電源スイッチ21、ID設定ダイヤル22、スポットモードのON/OFFスイッチ23、調光ボリウム24、点滅スピード調整ボリウム25、発行色の指示スイッチ26(26a、26b、26c、26d、26e、26f、26g、26h)、消灯スイッチ27が設けられている。
ID設定ダイヤル22は、前述したコードC〜コードEのようなハードIDを設定する際に使用するID設定手段である。「広域タイプ」の発光指示装置は、上記コントローラー20の各スイッチ等を用いて、発光器3における発光色の選択、発光色の調光、明るさの調節、消灯、点滅速度の調節等の設定を行い、これらを制御信号として生成した後に所定の赤外線信号を生成し大型の投光器30を介して出力させるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、コンサート会場などで観衆が所持するペンライトの発光を制御することによって演出効果を生じさせるような演出システム等に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 発光システム
2 発光指示装置
3 発光器
4 発光手段
5 駆動制御部
6 波形増幅・整形手段
7 電源
8 操作スイッチ
9 筐体
10 レンズ
11(11a、11b) フィルター
12 受光手段
13 波形取得(波形増幅・整形)手段
14 駆動制御部
15(15a、15b、15c) 発光手段
16 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光指示装置と発光器を有した発光システムであって、
前記発光指示装置は制御コードによって変調した赤外線信号を出力する赤外線出力手段を有し、
前記発光器は、
前記赤外線信号を受信する受信手段と、
前記受信手段を介して取得した赤外線信号から前記制御コードを抽出する抽出手段と、
可視光を発光する複数色の発光手段と、
当該発光手段を駆動制御する制御手段を有し、
前記発光指示装置が送信する制御コードには前記発光手段が予め記憶しているIDコードとの一致あるいは不一致の照合が行われる複数個の照合コードが含まれており、
当該複数個の照合コードには優先順位が設けられるとともに、当該受信した照合コードの優先順位に応じた制御内容で動作を行うようになっていることを特徴とする発光システム。
【請求項2】
前記発光器は、優先順位が最上位の照合コードを受信すると現状の制御内容を記憶するとともに、一時的に若しくは一定時間に限り予め定められた別の制御を行い、当該別の制御の後に、前記記憶した制御内容基づいて動作するようになっていることを特徴とする請求項1記載の発光システム。
【請求項3】
前記発光器は、優先順位が最上位の照合コードを受信すると現状の制御内容を記憶した後に発光手段による発光を行い、当該発光の後定められた時間の経過後に発光手段を消灯するようになっていることを特徴する請求項1または2記載の発光システム。
【請求項4】
少なくとも前記優先順位が最上位となる照合コードを送信可能な発光指示装置と、当該優先順位が最上位となる照合コードを送信しない発光指示装置とを有したことを特徴する請求項1乃至3の何れか一項記載の発光システム。
【請求項5】
可視光の発光手段を有した発光器を制御するための発光指示装置であって、
制御コードによって変調した赤外線信号を出力する赤外線出力手段を有するとともに、前記出力される赤外線信号の照射範囲を拡縮する光学的な調整手段を有したことを特徴する発光指示装置。
【請求項6】
赤外線信号が照射される領域の形状を整形する整形手段を有していることを特徴する請求項5記載の発光指示装置。
【請求項7】
発行色を指定する指示手段を有していることを特徴する請求項5または6記載の発光指示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−164439(P2012−164439A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22053(P2011−22053)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(596035455)株式会社クワガタ (2)
【Fターム(参考)】