説明

発光ダイオードカップ灯

【課題】ネジによって起こる耐電圧テストの失敗を防ぐことができ、組み立ての時間および費用を削減することができる発光ダイオード(LED)カップ灯を提供する。
【解決手段】発光ダイオード(LED)カップ灯は、基部と、基板と、LED光源と、固定構造体とを含む。基部は、フレームと、キャリアとを含む。フレームは、キャリアの周辺を囲むようにして、キャリアの周辺と接続している。キャリアは、スルーホールを有する。基板は、基部のキャリアに配置される。LED光源は、基板に配置される。固定構造体は基板を押して、基部のキャリアの底面とスルーホールを介して係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にカップ灯に関し、特に、発光ダイオード(LED)カップ灯(cup lamp)に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2011年4月15日付で出願された台湾特許出願第100113251号の利益を主張し、その主題を参照により本明細書中に援用する。
【背景技術】
【0003】
一般に、LED灯は高い発光効率、長い寿命、低電力消費、低汚染という特徴を有する。そのため、環境保全の意識が高まるにつれ、LED灯は極めて一般的に、広く適用されてきている。以下に、LED灯の構造について説明する。ほとんどのLED灯は、金属の基部と、通常ネジを用いて金属の基部に固定されたLED光源モジュールとを含む。
【0004】
しかし、耐電圧テスト(Hi−Pot test)が行われると、LED光源モジュールに最も近いネジは、LED光源モジュールに印加された電圧を金属の基部に通してしまうおそれがあるものであった。換言すると、実際にLED灯が使用された場合、LED灯は短絡状態を引き起こしやすく、使用者に危険なショックを与えてしまうおそれがある。
【0005】
また、ネジを用いてLED光源モジュールを金属の基部に固定すると、LED光源モジュールの組み立て時間と費用は比較的増加してしまう。そのため、この産業において、ネジによって引き起こされる耐電圧テストの不適合を防ぎ、組み立て時間と費用を削減することのできるLED灯を提供することが、重要な課題となっている。
【0006】
特許文献1(発光ダイオード構造)は、発光ダイオード構造がシリコン基板、導電層、および発光ダイオードを有することを開示している。シリコン基板の上面は放物体様のカップ構造を有し、カップ構造の底部は、シリコン基板を貫通する複数のスルーホールを有する。導電層はスルーホールを埋めて、スルーホールから突き出る。発光ダイオードは、スルーホールから突き出る導電層の上部に配置され、カップ構造の焦点に位置する。
【0007】
特許文献2(発光ダイオードパッケージ)は、熱放出に優れ、製造が容易な発光ダイオードパッケージを開示している。発光ダイオードパッケージにおいて、アルミニウム基板はその上部に形成された反射コップ(reflective cup)を有する。少なくとも一つの発光ダイオードチップ(a light emitting diode chip)が、反射コップの底面に配置されている。アルミニウム陽極酸化膜はアルミニウム基板を貫通し、反射コップの底面を複数の基板電極に分離する。ここで、少なくとも一つの基板電極がアルミニウム陽極酸化膜に囲われている。また、基板電極はそれぞれ、発光ダイオードチップに連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,821,094号
【特許文献2】米国特許第7,566,912号
【発明の概要】
【0009】
本発明は、ネジによって引き起こされる耐電圧テストの不適合を防ぎ、組み立て時間と費用を効率的に削減するために、基板および発光ダイオード(LED)光源が、基部に係合する固定構造体に固定されたLEDカップ灯を提供することを目的とする。
【0010】
本発明によれば、発光ダイオード(LED)カップ灯が提供される。LEDカップ灯は、基部と、基板と、LED光源と、固定構造体とを含む。基部は、フレームと、キャリアとを含む。フレームは、キャリアの周辺を囲むように連結する。キャリアは、スルーホールを有する。基板は、基部のキャリアに配置される。LED光源は基板に配置される。固定構造体は基板を押し、スルーホールを通して、基部のキャリアの底面と係合する。
【0011】
本発明の上記および他の態様は、下記の、好ましいがこれに限定されない実施形態の詳細な説明において、よりよく理解されるであろう。下記の説明は、添付の図面を参照して行う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の実施形態の一つに係るLEDカップ灯の組立図である。
【図1B】本発明の実施形態の一つに係るLEDカップ灯の分解図である。
【図2】図1Aに示されるLEDカップ灯の上面図である。
【図3A】図2における切断線3A−3Aに沿ったLEDカップ灯の断面図である。
【図3B】図2における切断線3B−3Bに沿ったLEDカップ灯の断面図である。
【図4】図1Aに示される固定構造体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1A、図1B、図2、図3A、図3B、図4を参照されたし。図1Aおよび1Bは、それぞれ、本発明の実施形態の一つに係るLEDカップ灯の組立図および分解図である。図2は、図1Aに示されるLEDカップ灯の上面図である。図3Aおよび図3Bは、それぞれ、図2における切断線3A−3Aおよび3B−3Bに沿ったLEDカップ灯の断面図である。図4は、図1Aに示される固定構造体の透視図である。
【0014】
図1Aに示されるように、LEDカップ灯100は、基部102と、基板103と、LED光源104と、固定構造体105とを含む。
【0015】
図1B、図2、図3A、図3Bに示されるように、基部102は、フレーム1021と、キャリア1022とを含む。フレーム1021は、キャリア1022の周辺を囲むように、キャリア1022の周辺と連結する。キャリア1022は、スルーホール1022pを有する。基板103は、基部102のキャリア1022に配置される。LED光源104は、基板103に配置される。固定構造体105は、基板103を押し、スルーホール1022pを介して、基部102のキャリア1022の底面1022sと係合される(図3B参照)。
【0016】
本実施形態において、固定構造体105は、プレッシャープレート1051およびフック1052を有する。プレッシャープレート1051は、基板103を押す。フック1052はプレッシャープレート1051に連結され、プレッシャープレート1051からスルーホール1022pを通って貫通し、キャリア1022の底面1022sと係合する(図3B参照)。本実施形態のフレーム1021は、スルーホール1022pと接続してフック1052を受け止める収容部(accommodating slot)1021rを含む。
【0017】
以下、固定構造体105と基板103の構成の関係について、さらに詳細に説明する。基板103は、第一の基板1031と、第二の基板1032とを含む。第一の基板1031は、基部102のキャリア1022に配置される。第二の基板1032は、第一の基板1031に配置される。LED光源104は、第二の基板1032に組み込まれる。プレッシャープレート1051は、第一の基板1031を押し、第二の基板1032の周辺を囲む。すなわち、プレッシャープレート1051は、中心に穴の開いた環の構造をしており、プレッシャープレート1051が第一の基板1031を押したときに、第二の基板1032をプレッシャープレート1051の中心の穴から露出させる。したがって、LED光源104によって発せられる光は、固定構造体105によって遮られることはない。そのため、固定構造体105は、LED光源104からの光の利用を維持しながら、基板103およびLED光源104をしっかりと固定することができる。
【0018】
図1Bおよび図2に示されるように、固定構造体105が自由に回転することのないよう、固定構造体105を基板103に固定するために、本実施形態に係る第二の基板1032の外側壁は、突出部1031aを有し、また、プレッシャープレート1051の内側壁は、ノッチ(notch)1051rを有する。突出部1031aは、ノッチ1051rに収容されて、固定構造体105と基板103が相対的に回転するのを防ぐ。
【0019】
図1B、図3A、図4に示されるように、LED光源104に電源を供給するために、本実施形態の基板103はさらに、2つの電気パッド1033と、2つのワイヤ1034とを含む。2つの電気パッド1033は、例えば、正(陽)極の電気パッドと、負(陰)極の電気パッドである。2つの電気パッド1033は、第一の基板1031に配置されて、LED光源104に電気的に接続する。各ワイヤ1034の一端は、対応する電気パッド1033に接続している。各ワイヤ1034の一端は、対応する電気パッド1033とはんだ付けによって結合しているので、例えば、固められたはんだが電気パッド1033から突出してもよい。プレッシャープレート1051が直接第一の基板1031を押すことができるように、本実施形態に係るプレッシャープレート1051の底面は、2つの凹部1051pを有している。2つの凹部1051pはそれぞれ、2つの電気パッド1033の位置に対応している。各ワイヤ1034の一端は、対応する凹部1051pに位置するので、プレッシャープレート1051の底面の多くの部分が第一の基板1031を押して、確固たる固定を達成するという効果がある。
【0020】
図1Bおよび図4に示されるように、本実施形態に係る固定構造体105は、4つのフック1052を含んでおり、それぞれ隣り合う2つのフック1052が一組となって、2対に分かれる。隣り合う2つのフック1052は、反対方向に向いたカギ部1052を有する。そのため、固定構造体105は安定性と構造的強度の両方を満足させることができる。本実施形態では、4つのフック1052はプレッシャープレート1051の周辺に配置され、隣り合う2つのフック1052のカギ部1052aは反対方向を向いているが、当業者であれば、フック1052の位置および数、ならびにフック1052のカギ部1052aの向きは、本実施形態の例に限定されないことを理解するであろう。
【0021】
図1B、図3A、図3Bに示されるように、LEDカップ灯100は、基板103と基部102の キャリア1022との間に配置される熱伝導絶縁層107を含む。熱伝導絶縁層107は、LED光源104から発生する熱を基部102へと移動して消散させるための、熱移動媒介として使われてもよい。また、安全規則(general safety project)では、LED光源104の電気は、利用者が電気によって負傷することのないよう、基部102に伝わってはならないと定められている。そのため、本実施形態における熱伝導絶縁層107は、当該安全規則に沿った絶縁材料を使用している。
【0022】
本実施形態では、基部102は、例えば、金属、プラスティック、複合材料で形成されることとしてよい。また、固定構造体105は、例えば、金属、プラスティック、複合材料で形成されることとしてよい。従来、ほとんどのLED光源モジュールにおいては、LED光源モジュールを金属の基部に固定するために、ネジが使用されている。耐電圧テストにおいてLED光源モジュールに印加される電圧は、LED光源モジュールに最も近いネジを介して、金属の基部に移動されがちである。そのため、短絡状態が起こりやすく、使用者に危険なショックを与えてしまう恐れがある。本実施形態では、基部102は金属でできており、固定構造体105はプラスティックでできている。固定構造体105がプラスティックにより形成され、基板103とLED光源104とを固定することができるため、本実施形態は、ネジを使用した従来技術より安全であり、かつ耐電圧テストをパスすることができる。
【0023】
本発明の実施形態に係るLEDカップ灯は、基板とLED光源とを係合して固定するために、固定構造体を使用している。そのため、従来のネジによって起こる耐電圧テストの失敗を防ぐことができ、組み立ての時間および費用を削減することができる。
【0024】
本発明は、好ましい実施の形態を例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な変形例、類似の構成、手順を含む。よって、添付の特許請求の範囲は、そのような様々な変形例、類似の構成、手順を含むように、最も広い解釈をなされるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、スルーホールを有するキャリアと、を含む基部と、
前記基部の前記キャリアに配置された基板と、
前記基板に配置された発光ダイオード(LED)光源と、
前記基板を押し、前記基部の前記キャリアの底面と前記スルーホールを通して係合する固定構造体と、を含み、
前記フレームは、前記キャリアの周辺を囲むように、前記キャリアの周辺と連結する、発光ダイオード(LED)カップ灯。
【請求項2】
前記固定構造体は、
前記基板を押すプレッシャープレートと、
前記プレッシャープレートと連結され、前記スルーホールを通って前記プレッシャープレートから伸びて、前記キャリアの前記底面と係合するフックと、を含む、
請求項1に記載のLEDカップ灯。
【請求項3】
前記基板は、
前記基部の前記キャリアに配置された第一の基板と、
前記第一の基板に配置された第二の基板と、を含み、
前記LED光源は前記第二の基板に組み込まれ、前記プレッシャープレートは前記第一の基板を押し、前記第二の基板の周辺を囲む、
請求項2に記載のLEDカップ灯。
【請求項4】
前記第二の基板の外側壁は突出部を有し、前記プレッシャープレートの内側壁はノッチを有し、前記突出部は前記ノッチに収容される、
請求項3に記載のLEDカップ灯。
【請求項5】
前記プレッシャープレートの底面は凹部を有し、
前記基板は、
前記第一の基板上の、前記凹部の位置に対応する位置に配置された電気パッドと、
前記凹部に配置される、前記電気パッドに接続する一端を有するワイヤと、を含む、
請求項3に記載のLEDカップ灯。
【請求項6】
前記フレームは、前記スルーホールとつながって前記フックを収容する収容部を有する、
請求項2に記載のLEDカップ灯。
【請求項7】
前記固定構造体は、2つのフックを含む、
請求項2に記載のLEDカップ灯。
【請求項8】
前記2つのフックのカギ部は、反対方向を向いている、
請求項7に記載のLEDカップ灯。
【請求項9】
前記基部は、金属、プラスティック、または複合材料で形成されている、
請求項1に記載のLEDカップ灯。
【請求項10】
前記固定構造体は、金属、プラスティック、または複合材料で形成されている、
請求項1に記載のLEDカップ灯。
【請求項11】
前記基板と、前記基部の前記キャリアと、の間に、熱伝導絶縁層をさらに含む、
請求項1に記載のLEDカップ灯。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−227143(P2012−227143A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−92205(P2012−92205)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(310014779)隆達電子股▲ふん▼有限公司 (9)
【Fターム(参考)】