説明

発光モジュール装置

【課題】発光モジュール装置において、複数の発光モジュールを個別に制御し、かつ、配線を減らして製造コストを低減する。
【解決手段】発光モジュール装置1は、発光モジュール2に給電する電力線3と、制御信号を生成する信号生成部43とを備える。電力線3は、複数の発光モジュール2に共有され、各発光モジュール2への通電を開閉するスイッチ31、32を有する。信号生成部43は、スイッチ31、32を個別に開閉制御し、その開閉制御には、発光モジュール2を発光させる発光期間と、送信すべき制御信号が有るときには供給電力に制御信号を重畳すると共に、発光モジュール2を消光させる消光期間とが有る。各発光モジュール2への供給電力に制御信号が重畳されるので、発光モジュール2を個別に制御することができる。また、電力線3を通信線に兼用することができ、また、電力線3は複数の発光モジュール2に共有されるので、配線を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光モジュールを備え、それらを個別に制御する発光モジュール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の発光モジュール装置の構成を図6に示す。この発光モジュール装置100においては、発光モジュール101がマトリクス状に配列され、モジュールの隣同士は電力伝送用の接点102により接続され、端の一列には電力線103の終端装置104が取り付けられている。各発光モジュール101は発光量を調整する制御装置(図示せず)を有する。終端装置104が発光モジュール101に給電すると、電力が順次、発光モジュール101に伝送され、これにより、全ての発光モジュール101に電力が供給される(例えば、特許文献1参照)。発光モジュール装置100においては、上記制御装置により発光モジュール101毎に発光量制御を行うことができる。しかしながら、上記制御装置は発光モジュール101毎に設けられているので、製造コストが高くなる虞がある。
【0003】
そこで、この問題を解決するように構成された発光モジュール装置を図7に示す。この発光モジュール装置200は、複数の発光モジュール201の各々の発光量を一括制御するコントロールボックス202を有する。発光モジュール201は供給される電力に応じて発光量が調整される構成であり、コントロールボックス202からは各発光モジュール201に向けて給電用の電力線203が導出されており、コントロールボックス202は発光モジュール201毎に供給電力を制御し、発光量を制御する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、発光モジュール装置200においては、複数の発光モジュール201を個別に制御することができるが、電力線203がスター型に配線されており、発光モジュール201の数の2倍となり、配線が多いので、製造コストが増加する虞があり、製造コストの低減が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−536708号公報
【特許文献2】米国特許第7348738号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、複数の発光モジュールを備えた発光モジュール装置において、発光モジュールを個別に制御することができ、かつ、配線を減らして製造コストを低減することができる発光モジュール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、複数の発光モジュールと、前記発光モジュールにその発光に必要な電力を供給する電力線と、を備えた発光モジュール装置において、前記発光モジュールの設定を行うための制御信号を生成する信号生成部を備え、前記電力線は、前記複数の発光モジュールに共有され、各発光モジュールへの通電を開閉するスイッチを有し、前記信号生成部は、前記スイッチを個別に開閉制御する信号を生成し、その開閉制御には、前記スイッチを閉じて前記発光モジュールを発光させる発光期間と、送信すべき制御信号が有るときには前記スイッチを開閉することにより供給電力に制御信号を重畳すると共に、前記発光モジュールを消光させる消光期間とが有り、前記発光モジュールの各々は、供給電力に重畳された制御信号を読み取り、その読み取った制御信号に基づいて発光モジュールを点灯制御する制御部を有したものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発光モジュール装置において、前記信号生成部によるスイッチの開閉制御には、前記消光期間の替わりとして、送信すべき制御信号が有るときには前記スイッチを開閉することにより供給電力に制御信号を重畳すると共に、前記発光モジュールを発光させる通信期間が有るものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の発光モジュール装置において、前記発光モジュールの制御部は、電力供給が所定期間以上遮断されると、設定がリセットされる構成を有し、前記通信期間は、前記制御部の設定がリセットされ、電力供給が再開された後の所定期間である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光モジュール装置において、前記発光モジュールは、アレイ状又はマトリクス状に配列されており、前記電力線は、前記発光モジュールの各列毎に共有される列電力線と、前記発光モジュールの各行毎に共有される行電力線と、により構成され、前記スイッチは、前記列電力線及び行電力線の各々に設けられ、前記信号生成部は、制御対象の発光モジュールの列と行のそれぞれの前記スイッチを開閉し、該発光モジュールへの供給電力に制御信号を重畳するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、電力線による各発光モジュールへの供給電力に制御信号が重畳され、各発光モジュールはその制御信号を読み取り、制御信号に応じて点灯するので、発光モジュールを個別に制御することができる。また、電力線を通信線に兼用することができ、配線を減らして製造コストを低減することができる。また、電力線は複数の発光モジュールに共有されるので、配線をさらに減らすことができる。しかも、発光モジュールへの電力供給が略無い消光期間に、制御信号が供給電力に重畳されるので、発光モジュールは制御信号を読み取り易く、従って、確実な信号通信に寄与する。
【0012】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と比べ、発光モジュールが消光する期間を減らすことができ、通信による発光量低下を抑えることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、発光モジュールの制御部の設定リセットを通信のスタートトリガとみなすことができ、スタートトリガ検知のために発光モジュールへの供給電力変化を検知する必要がないので、その検知回路を搭載しなくて済み、結果として、構成が簡単となる。
【0014】
請求項4の発明によれば、必要な電力線の数は発光モジュールの列数と行数の合計で済むので、例えば、従来の発光モジュールに電力線をスター型に配線したものに比べ、電力線の数を減らすことができ、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発光モジュール装置の回路図。
【図2】(a)は上記装置の発光モジュールの分解斜視図、(b)はその回路構成図。
【図3】(a)は上記装置の発光モジュールと列スイッチ及び行スイッチ部分の配線図、(b)は上記列スイッチ及び行スイッチの動作チャート。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る発光モジュール装置の列スイッチ及び行スイッチの動作チャート。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る発光モジュール装置の列スイッチ及び行スイッチの動作チャート。
【図6】従来の発光モジュール装置の正面図。
【図7】上記とは別の発光モジュール装置の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発光モジュール装置の構成を示す。この発光モジュール装置1は、複数の発光モジュール2と、各発光モジュール2にその発光に必要な電力を電力線3を用いて供給するモジュール駆動回路4と、を備える。発光モジュール2は、例えば4行4列のマトリクス状に配列される。電力線3は、複数の発光モジュール2に共有される。また、電力線3は、各発光モジュール2への通電を開閉するスイッチ31、32を有する。モジュール駆動回路4は、スイッチ31、32を開閉制御することにより、発光モジュール2の設定を行うための制御信号を供給電力に重畳する。
【0017】
電力線3は、プラス線33とマイナス線34とにより構成されている。プラス線33及びマイナス線34は、それぞれ、モジュール駆動回路4から導出され、分岐している。分岐したプラス線33は、発光モジュール2の各列毎に共有される列電力線33a〜33dとなり、各列の列電力線33a〜33dは、その列の発光モジュール2のプラス電極とバス型に接続されている。分岐したマイナス線34は、発光モジュール2の各行毎に共有される行電力線34a〜34dとなり、各行の行電力線34a〜34dは、その行の発光モジュール2のマイナス電極とバス型に接続されている。
【0018】
スイッチ31は列電力線33a〜33dの各々に、また、スイッチ32は行電力線34a〜34dの各々に設けられている。スイッチ31、32は、スイッチング動作により、列電力線33a〜33d、行電力線34a〜34dを導通又は非導通状態とし、これにより、各列、各行の発光モジュール2への電力供給とその停止とを切り換える。スイッチ31、32は、FET又はIGBT等のスイッチング素子により構成される。ここで、列電力線33a〜33dの各々に設けられたスイッチ31を列スイッチ31a〜31dといい、行電力線34a〜34dの各々に設けられたスイッチ32を行スイッチ32a〜32dという。
【0019】
モジュール駆動回路4は、スイッチ31、32を個別に開閉制御する制御回路41と、外部電源から受電し、発光モジュール2及び制御回路41に電力を適当な値に調整して供給する電力調整回路42とを有する。制御回路41は、スイッチ31、32を開閉制御する開閉信号を生成する信号生成部43と、信号生成部43により生成された開閉信号に基づいてスイッチ31、32を開閉制御するスイッチ制御部44とを有する。信号生成部43は上記制御信号を生成する。信号生成部43によるスイッチ31、32の開閉制御には、スイッチ31、32を閉じて発光モジュール2を発光させる発光期間と、送信すべき制御信号が有るときにはスイッチ31、32を開閉することにより供給電力に制御信号を重畳すると共に、発光モジュール2を消光させる消光期間とが有る。
【0020】
上記制御信号は、PWM信号又はディジタルデータ信号であり、発光モジュール2の点灯/消灯、調光比、又はフェードイン/アウト動作若しくは点滅スピード等の動作パターン等を指定する情報を含む。信号生成部43は、スイッチ制御部44を用いてスイッチ31、32のスイッチング動作を制御し、電力線3への電力供給及び通信を制御する。モジュール駆動回路4は、電力供給のため、電流源として発光モジュール2に電流を供給していても、又は電圧源として電圧を印加していてもよい。
【0021】
図2(a)(b)は、発光モジュール2の構成を示す。発光モジュール2は、有機ELパネル21と、電力線3(図1参照)からの供給電力に応じて有機ELパネル21への供給電流を制御する電流制御部22(制御部)と、電流制御部22に設けられ、電力線3のプラス線33とマイナス線34とがそれぞれ接続されるコネクタ23、24と、これらを収容する略箱状のケース25及びその蓋体26とを有する。電流制御部22からは有機ELパネル21に配線22aが延びている。電流制御部22は、供給電力に重畳された制御信号を読み取る読取回路を有し、その読み取った制御信号に基づいて有機ELパネル21への供給電流を制御し、有機ELパネル21を点灯/調光制御する。ケース25には、有機ELパネル21による光を放射する光放射口25aと、コネクタ23、24を露出させる孔25b、25cが形成されている。
【0022】
有機ELパネル21は、基板21a上に陽極21b、発光層21c及び陰極21dがこの順に積層されて成る。電流制御部22は、有機ELパネル21への供給電流の波高値を略一定に保つ定電流回路と、その波高値が略一定とされた供給電流をPWM/PFM制御し、有機ELパネル21の発光状態を制御するCPUと、上記定電流回路及びCPUが実装される基板とを有する。定電流回路は、供給電流の波高値を、有機ELパネル21が発光に必要な電流値と略等しくする。定電流回路は、シリーズレギュレータ又はスイッチングレギュレータ等を有するDC−DCコンバータ、若しくは定電流ダイオード等により構成することができる。CPUは、電力線3からの供給電力に重畳された制御信号を復調し、有機ELパネル21の発光状態が制御信号による指定状態となるようにPWM/PFM制御を行う。
【0023】
電流制御部22のCPUは、C−MOSを用いた半導体回路により構成することができる。このような半導体回路においては、電力供給が遮断されても、回路の時定数による動作遅延に起因して所定時間は回路が動作し、有機ELパネル21の設定を維持することができる。しかしながら、その所定時間が経過すると、回路は動作を停止し、有機ELパネル21の設定がリセットされ、デフォルトとなる。そこで、電流制御部22には、電力供給遮断後のCPUの動作期間を延ばすためのコンデンサが設けられている。なお、電流制御部22には、有機ELパネル21の設定を格納するメモリが設けられていてもよい。この場合、CPUはリセットされたとしても、そのメモリから設定を読み出し、その設定を有機ELパネル21に反映させる。
【0024】
次に、信号生成部43による列スイッチ31a〜31d及び行スイッチ32a〜32dの開閉制御について図3(a)(b)を参照して説明する。ここで、図3(a)の1列目で1行目の発光モジュール2(以下、発光モジュール2Aという)を制御対象、すなわち、制御信号の送信対象とする。
【0025】
図3(b)に示されるように、列スイッチ31a〜31d及び行スイッチ32a〜32dの開閉制御においては、発光モジュール2Aを含む全ての発光モジュール2に対して、その発光に必要な電力を供給する発光期間T1と、消光させる消光期間T2とが有る。消光期間T2に制御信号が供給電力に重畳される。各発光モジュール2の発光期間T1と消光期間T2とは、他の発光モジュール2との間で、開始及び終了タイミングが略同じであるが、それらは、発光モジュール2毎に異なっていてもよい。発光期間T1と消光期間T2とは信号生成部43に予め設定されている。
【0026】
発光期間T1においては、各発光モジュール2の列スイッチ31a〜31d及び行スイッチ32a〜32dが閉状態となり、電力が供給され、各発光モジュール2は発光する。発光期間T1に制御信号が電力に重畳されることはない。
【0027】
消光期間T2においては、その開始時に、列スイッチ31a〜31d及び行スイッチ32a〜32dが開状態となり、電力供給が停止する。発光モジュール2Aを除く各発光モジュール2には、送信すべき制御信号がないので、それら発光モジュール2の列スイッチ31b〜31d及び行スイッチ32b〜32dは開状態を維持し、電力供給は停止し、発光モジュール2は消光状態となる。
【0028】
発光モジュール2Aには、送信すべき制御信号があるので、発光モジュール2Aの列スイッチ31a及び行スイッチ32aは制御信号に応じて開閉され、これにより、発光モジュール2Aへの電力供給が導通、停止して、供給電力に制御信号が重畳される。列スイッチ31a及び行スイッチ32aは、消光期間T2が始まると、開状態になって電力供給を停止させ、その後、それらは略同時に閉状態となる。制御信号を供給電力に重畳する間、それらの一方は閉状態を維持し、他方が制御信号に応じてスイッチング動作する。これにより、供給電力が変調される。
【0029】
上記図3(a)(b)においては、発光モジュール2Aのみに制御信号を送信する例を示したが、他の発光モジュール2にも制御信号が送信される。その送信方法は発光モジュール2Aに対する方法と同様である。発光期間T1と消光期間T2とは交互に時間的に連続して繰り返される。消光期間T2の周期及び発光期間T1と消光期間T2の比率は、消光期間T2に起因する光出力変化を人が視認できないように設定されており、消光期間T2の周期は、数百ヘルツ以上、例えば略150[Hz]以上であることが望ましい。消光期間T2の周波数は例えば200[Hz]、消光期間T2と発光期間T1の割合は例えば1:9に設定され、消光期間T2は500[μs]程度とされる。この場合、制御信号として10[kHz]のPWM信号(周期100[μs])を用いて通信することができる。
【0030】
制御信号の送信は、消光期間T2毎に、1消光期間T2内につき、1個の発光モジュールに対してなされる。また、制御信号は、発光モジュール2の配列順に、例えば、1行目から4行目まで、各行毎に1列目から4列目の順に順次、送信される。制御信号の送信方式は、上記に限定されず、制御信号は1消光期間T2内に複数個の発光モジュール2に送信されてもよいし、消光期間T2毎に送信されず、必要に応じて送信されてもよいし、発光モジュール2の配列順ではなく、ランダムに送信されても構わない。また、同一列又は同一行の複数個の発光モジュール2に対して略同時に制御信号が送信されてもよい。
【0031】
発光モジュール2Aを含む各発光モジュール2の電流制御部22は、発光期間T1終了後に電力供給が停止することで、消光期間T2の開始を検知する。そして、電流制御部2は、消光期間T2内に生じる電力供給再開とその停止とを制御信号として検知し、制御対象であることを認識する。電流制御部2は制御信号の内容を次の発光期間T1以降に反映する。各発光モジュール2の電流制御部22に設けられる上述のコンデンサの静電容量は、電力供給停止後の電流制御部22の動作期間が消光期間T2よりも長くなるように構成されており、消光期間T2中に有機ELパネル21の設定がデフォルトとなることを防止する。
【0032】
上記のように構成された本実施形態の発光モジュール装置1においては、電力線3による各発光モジュール2への供給電力に制御信号が重畳され、各発光モジュール2はその制御信号を読み取り、制御信号に応じて点灯するので、発光モジュール2を個別に制御することができる。また、電力線3を、制御信号を送信するための通信線に兼用することができ、配線を減らすことができ、従って、製造コストを低減することができる。また、電力線3は複数の発光モジュール2に共有されるので、配線をさらに減らすことができる。しかも、発光モジュール2への電力供給が略無い消光期間T2に、制御信号が供給電力に重畳されるので、発光モジュール2は制御信号を読み取り易く、従って、確実な信号通信に寄与する。
【0033】
また、必要な電力線3の数は発光モジュール2の列数と行数の合計で済むので、例えば、従来のように発光モジュールに電力線をスター型に配線したことにより電力線の数が発光モジュールの2倍となる場合と比べ、電力線3の数を減らすことができ、製造コストの低減を図ることができる。また、電力線3の数が少なくて済むので、配線の自由度が高まる。
【0034】
また、発光モジュール2に個体識別のためのIDを付与する必要がなく、IDを記憶するメモリを発光モジュール2に持たせる必要がないので、製造コストの低減を図ることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る発光モジュール装置について説明する。この発光モジュール装置の構成は上記第1の実施形態と同じであるので、図1を流用して説明する。本実施形態においては、信号生成部43による発光モジュール2への通信制御方法が、上記第1の実施形態と異なる。
【0036】
図4は、本実施形態における信号生成部43により開閉制御される列スイッチ31a〜31d及び行スイッチ32a〜32dのスイッチング動作を示す。同図においては、発光モジュール2A(上記図3(a)参照)のみを制御信号の送信対象としている。この開閉制御には、上記第1の実施形態の消光期間T2の替わりとして、送信すべき制御信号が有るときには供給電力に制御信号を重畳すると共に、発光モジュールを発光させる通信期間T3が有る。
【0037】
通信期間T3において、発光モジュール2Aを除く発光モジュール2については、送信すべき制御信号がないので、それらの列スイッチ31b〜31d及び行スイッチ32b〜32dは閉状態を維持し、電力供給が継続され、発光状態が続く。
【0038】
発光モジュール2Aについては、その列スイッチ31aと行スイッチ32aの一方が閉状態から開状態となって、電力供給を所定時間だけ停止させ、その後、閉状態に戻り、この供給電力変化が通信のスタートトリガ信号となる。その後、他方が、通信期間T3内に制御信号に応じて開閉し、これにより、発光モジュール2Aへの電力供給が停止、再開し、供給電力に制御信号が重畳される。
【0039】
発光モジュール2Aを含む各発光モジュール2の電流制御部22は、電力供給が遮断され、所定時間経過後に再開すると、スタートトリガ信号を受信したとみなす。そして、電流制御部22は、スタートトリガ信号の受信後、通信期間T3内に供給停止と供給再開とを検知したとき、それらを制御信号と認識し、それらを検知しなかったとき、受信したスタートトリガ信号を消去する。スタートトリガ信号における電力供給停止期間は、その停止後の電流制御部22の動作期間よりも短く設定されている。
【0040】
本実施形態においては、上記第1の実施形態と比べ、発光モジュール2が消光する期間を減らすことができ、通信による発光量低下を抑えることができる。
【0041】
(第2の実施形態の一変形例)
上記第2の実施形態の一変形例に係る発光モジュール装置について説明する。この発光モジュール装置の構成は上記第1の実施形態と同じであるので、図1及び図2を流用して説明する。本変形例においては、発光モジュール2の電流制御部22は、電力供給停止後の動作時間を延長するためのコンデンサを備えておらず、電力供給が所定期間以上停止されると、設定がリセットされる構成を有する。
【0042】
図5は、本変形例における信号生成部43により開閉制御される列スイッチ31a〜31d及び行スイッチ32a〜32dのスイッチング動作を示す。同図においては、発光モジュール2A(上記図3(a)参照)のみを制御信号の送信対象としている。
【0043】
発光モジュール2Aに対しては、その列スイッチ31aと行スイッチ32aの一方が閉状態から開状態となり、開状態が所定時間T4だけ継続し、その間、電力供給が遮断され、その後、閉状態に戻り、電力供給が再開する。所定時間T4は、電力供給停止後の電流制御部22の動作時間よりも長く設定されている。従って、所定期間T4の経過後、有機ELパネル21に対する電流制御部22の設定はリセットされる。通信期間T3は、電流制御部22の設定がリセットされ、電力供給が再開された後の所定期間である。
【0044】
発光モジュール2Aを含む各発光モジュール2の電流制御部22は、設定がリセットされた後、通信期間T3内に供給遮断と供給再開とを検知したとき、それらを制御信号と認識し、その制御信号に基づいて動作する。電流制御部22は、通信期間T3内に制御信号を検知しなかったとき、既定の動作を行い、又はメモリに格納したリセット前までの設定で有機ELパネル21を動作させる。
【0045】
本変形例においては、発光モジュール2の電流制御部22の設定リセットを通信のスタートトリガとみなすことができ、スタートトリガ検知のために発光モジュール2への供給電力変化を検知する必要がないので、その検知回路を搭載しなくて済み、結果として、構成が簡単なものとなる。また、発光モジュール2の設定をリセットしてから、再設定することができるので、設定を確実なものとすることができる。
【0046】
なお、本発明は、上記の各種実施形態及び変形例の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、発光モジュール2はアレイ状に配列されていてもよい。また、発光モジュール2の発光体は、発光モジュール、白熱電球又は蛍光灯でもよく、信号通信により動作を制御可能な発光体であればよい。また、制御信号は、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の非同期式シリアル通信回路により生成されたデジタル伝送データであっても、アナログ値であっても構わない。また、スイッチ31、32は制御回路41に搭載されていてもよい。また、プラス線33が行電力線であり、マイナス線34が列電力線であってもよい。また、電力調整回路42が設けられず、発光モジュール2又は制御回路41は外部電源から直接に給電されていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 発光モジュール装置
2 発光モジュール
3 電力線
31、32 スイッチ
31a〜31d 列スイッチ
32a〜32d 行スイッチ
33a〜33d 列電力線
34a〜34d 行電力線
43 信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光モジュールと、前記発光モジュールにその発光に必要な電力を供給する電力線と、を備えた発光モジュール装置において、
前記発光モジュールの設定を行うための制御信号を生成する信号生成部を備え、
前記電力線は、前記複数の発光モジュールに共有され、各発光モジュールへの通電を開閉するスイッチを有し、
前記信号生成部は、前記スイッチを個別に開閉制御する信号を生成し、その開閉制御には、前記スイッチを閉じて前記発光モジュールを発光させる発光期間と、送信すべき制御信号が有るときには前記スイッチを開閉することにより供給電力に制御信号を重畳すると共に、前記発光モジュールを消光させる消光期間とが有り、
前記発光モジュールの各々は、供給電力に重畳された制御信号を読み取り、その読み取った制御信号に基づいて発光モジュールを点灯制御する制御部を有したことを特徴とする発光モジュール装置。
【請求項2】
前記信号生成部によるスイッチの開閉制御には、前記消光期間の替わりとして、送信すべき制御信号が有るときには前記スイッチを開閉することにより供給電力に制御信号を重畳すると共に、前記発光モジュールを発光させる通信期間が有ることを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール装置。
【請求項3】
前記発光モジュールの制御部は、電力供給が所定期間以上遮断されると、設定がリセットされる構成を有し、
前記通信期間は、前記制御部の設定がリセットされ、電力供給が再開された後の所定期間であることを特徴とする請求項2に記載の発光モジュール装置。
【請求項4】
前記発光モジュールは、アレイ状又はマトリクス状に配列されており、
前記電力線は、前記発光モジュールの各列毎に共有される列電力線と、前記発光モジュールの各行毎に共有される行電力線と、により構成され、
前記スイッチは、前記列電力線及び行電力線の各々に設けられ、
前記信号生成部は、制御対象の発光モジュールの列と行のそれぞれの前記スイッチを開閉し、該発光モジュールへの供給電力に制御信号を重畳することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光モジュール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−71310(P2011−71310A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221012(P2009−221012)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】