説明

発光ユニット

【課題】泡と光とにより画像などを表示できる装置を提供する。
【解決手段】水51を収容する細長い透明な容器11と、容器11の基部プレート13に取り付けられた発光発泡ユニット20とを有する発光ユニット10を提供する。発光発泡ユニット20は、容器11の側壁12a〜12cの内面に沿うように配置された複数のLED30と、複数のLED30の内側に配置された、気体放出用の複数のノズル28とを含む。複数の発光ユニット10を容器11が隣接するように並べて壁状の発光ブロック5を構成し、画像や情報を泡52と照明光35とで表示できるディスプレイ装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、均一性や明瞭性に優れた美しい画像を泡で表現することができるディスプレイ装置を提供することが記載されている。特許文献1のディスプレイ装置は、細長容体を長手方向を上下にして複数並設し、細長容体内に水を収容し、エアを各細長容体の底部から送出する各細長容体に対応するエア供給管に、コントローラで開閉制御されエアポンプから供給されるエアの送出及び送出停止をする電磁弁、送出するエアの流量を所定量に維持可能な流量調整部、逆止弁を送出方向に向かって順に設けると共に、その末端にエアストーンを設け、エアストーンの略外周のフィルターから微細泡を発生して泡による画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−264383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
泡を用い、さらに美しく、および/または多彩な表現を行える装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、液体を収容する細長い透明な容器と、容器の基部に取り付けられた発光発泡ユニットとを有する発光ユニットである。発光発泡ユニットは、容器の側壁の内面に沿うように配置された複数の発光素子と、複数の発光素子の内側に配置された、気体放出用の複数のノズルとを含む。この発光ユニットにおいては、発光発泡ユニットの複数の発光素子から出力される一色または多色の光により容器の側壁を照明できる。それとともに、複数の発光素子からの光を容器の側壁の反射を用いて細長い容器に沿って導くことができる。
【0006】
さらに、容器に沿って導かれた一色または多色の光を、複数のノズルから放出された気体の泡により散乱できる。したがって、この発光ユニットにおいては、容器の側壁の色の変化と、側壁を通した泡の動きと、さらに、泡の動きによる光の変化とにより多彩な表現あるいは表示が可能となる。
【0007】
発光発泡ユニットにおいては、複数の発光素子を種々の色、たとえば、R(赤色)、G(緑色)およびB(青色)の発光素子、典型的にはLEDにより構成し、多色の照明光を、色と時間(タイミング)とを制御して放出することが可能である。また、複数の発光素子を回転するカラーフィルタと同期して制御するなどの他の方法によっても多色の照明光を、色と時間とを制御して放出することが可能である。さらに、複数のノズルから気体を放出するタイミングを制御することにより、発光発泡ユニットから複数の泡を放出するタイミングも制御することが可能である。このため、この発光ユニットの細長い容器に沿って、泡の動きと、照明光の変化とにより、多彩な表現あるいは表示を得ることができる。
【0008】
この発光ユニットにおいて、容器は、透明で中央に開口が設けられた基部プレートを含み、発光発泡ユニットは、基部プレートの開口に差し込まれる凸部と、凸部の周囲で基部プレートの開口をシールするためのフランジ部とを含み、さらに、複数のノズルは凸部に設けられ、複数の発光素子はフランジ部の周囲に基部プレートに対面するように配置されていることが望ましい。発光発泡ユニットの凸部を容器の基部プレートに差し込むだけで発光ユニットを組み立てできる。また、基部プレートに対して発光発泡ユニットを着脱することも可能であり、発光発泡ユニットのメンテナンスが容易である。また、発光発泡ユニットを交換することにより、気体放出用のノズル径や配置を変えて異なるサイズあるいは動きの泡を出力したり、異なるバランスの色の照明光を得たりすることが可能となる。
【0009】
さらに、発光発泡ユニットは、フランジ部を貫通して凸部に至り、凸部の先端に隔壁を形成する円筒状の空洞を含み、複数のノズルは、円筒状の空洞の内周面の延長方向に実質的に沿って形成されていることが望ましい。複数のノズルに気体を供給する経路を、複数のノズルを含めてフランジ部の側から加工することが可能であり、発光発泡ユニットを低コストで提供できる。
【0010】
さらに、円筒状の空洞の先端はドーム型であることが望ましい。円筒状の空洞の先端の、複数のノズルに繋がる部分が全体として膨らんだ気体を溜め易い形状になるので、複数のノズルから放出される気体により安定した泡が生成されやすい。
【0011】
本発明の他の態様の1つは、上記の発光ユニットが複数個並べられた発光ブロックと、複数の発光ユニットのそれぞれの発光発泡ユニットの発色および発泡のタイミングを制御する制御ユニットとを有する装置である。複数の発光ユニットの容器は、ストレートな柱あるいは円柱状に並べたり、らせん状に捻って並べたりすることが可能であり、さまざまな形状の発光ブロックを備えた装置を提供できる。
【0012】
発光ブロックの典型的なものは、複数の発光ユニットの容器が壁体を構成するように並べられているものであり、それぞれの容器とその中を上昇する泡とを様々な色の光で照明できる。また、それぞれの容器を上昇する泡により文字や画像を表示することが可能であり、発光ブロックをディスプレイとして使用できる。
【0013】
容器を隣接して配置する発光ブロックにおいては、複数の発光ユニットの容器の側壁の一部が隣接する容器の側壁を兼ねる構成を採用できる。さらに、発光ブロックは、隣接する容器の基部側を連通する第1の連通路と、隣接する容器の先端側の液体領域を連通する第2の連通路とを含むことが望ましい。隣接する容器を連通管として利用できるので、泡の形成および上昇による容器内の液体圧力の変動を抑制でき、泡の上昇速度の変動を抑制できる。また、複数の容器に液体を初期注入するのも容易となる。
【0014】
さらに、第1の連通路の断面積よりも第2の連通路の断面積が大きいことが望ましい。泡が形成される基部の圧力変動が大きいので、第1の連通路の断面積を相対的に小さくすることにより、基部の圧力変動が隣接する容器に及ぶ程度を軽減できる。
【0015】
さらに、制御ユニットは、複数の発光発泡ユニットの発色をそれぞれ制御する複数の発光制御ユニットと、複数の発光発泡ユニットの発泡をそれぞれ制御する複数の発泡制御ユニットとを含み、複数の発光制御ユニットおよび複数の発泡制御ユニットはDMXデータリンクによりデイジーチェイン接続されていることが望ましい。DMX(DMX512−A)は、主に舞台照明や演出機器の制御に用いられる通信プロトコルであり、複数の制御対象機器をデイジーチェイン接続できる。したがって、DMXプロトコルにしたがって機器を制御するコントローラにより、複数の発光発泡ユニットの発色と発泡とを制御でき、発光ブロックの表示あるいは表現を簡易な構成の制御システムで制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ディスプレイ装置1の概要を示す図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は右側面図、図1(c)は平面図である。
【図2】ディスプレイ装置1の正面図であり、異なる表示例を示す。
【図3】ディスプレイ装置1を水平な面で切ったIII−III断面図。
【図4】ディスプレイ装置1を垂直な面で切ったIV−IV断面図。
【図5】ディスプレイ装置1を垂直な面で切ったV−V断面図。
【図6】ディスプレイ装置1の基部プレートを介して発光発泡ユニットを拡大して示す図。
【図7】発光発泡ユニットが基部プレートに取り付けられた様子を一部断面を用いて示す図。
【図8】発光発泡ユニットを展開して示す図。
【図9】発光発泡ユニットの発泡部の構成を示す図であり、図9(a)は発泡部の平面図、図9(b)は発泡部の断面図、図9(c)は発泡部の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、本発明の実施形態の1つであるディスプレイ装置の概要を示している。図1(a)はディスプレイ装置1の正面図であり、図1(b)はディスプレイ装置1の右側面図であり、図1(c)はディスプレイ装置1の平面図である。このディスプレイ装置1は、細長い容器11を含む複数の発光ユニット10が壁面6をなすように並べられた発光ブロック5と、発光ブロック5を支持するベース7とを含む。ベース7には、それぞれの発光ユニット10の細長い容器11を多色光により照明し、容器11に収容される液体(典型的には水)51に気体(典型的には空気)を放出して泡52を形成する発光発泡ユニットが収納されている。発光ブロック5の上端5aはカバー8により覆われており、複数の発光ユニット10の容器11の内部を泡52として上昇した空気を外気に放出するための排気口8aが設けられている。
【0018】
典型的な発光ユニット10の容器11は、前後の透明なアクリル製の側壁12aおよび12bと、間仕切りとなる側壁12cにより四方が囲まれており、水平方向の断面が四角形の空間が内部に形成され、その空間が上下方向に延びている。したがって、容器11は細長い筒(角筒)状であり、内部に液体51を収納できるようになっている。このディスプレイ装置1の発光ブロック5は、一列に隣接するように並べられた16本の容器11を備えており、隣接する容器11の側壁(間仕切り壁)12cは共通のアクリル板により構成されている。したがって、この発光ブロック5においては、壁状の水槽を複数枚のアクリル板で区切ることにより複数の容器11を形成している。それぞれの容器11のサイズの一例は、液体を収容する内部の断面が一辺34mmの正方形、上下方向の長さが1000mmである。水圧の係る発光ブロック5の前後の壁(側壁)12aおよび12bと、左右の側壁12dとは厚さが5−6mmの透明なアクリル板であり、間仕切りとなる側壁12cは厚さが3−4mmの透明なアクリル板である。
【0019】
上記の各値は一例であり、17本以上あるいは15本以下の容器11により発光ブロック5を構成してもよい。各容器11のサイズも上記に限定されない。また、複数の発光ブロック5あるいは複数のディスプレイ装置1によりさらに大きな壁面を構成することも可能である。側壁12a〜12dを構成する材料も透明であればアクリル板に限定されず、ガラス板であってもよい。容器11の内面に泡が付着するのを抑制し、泡切れを良くするためには、少量の界面活性剤などの成分を含む水溶液を液体51として収容することも有効である。
【0020】
このディスプレイ装置1は、泡52を形成する気体を供給する空気源、たとえば、コンプレッサー60と、照明用の電力およびディスプレイ装置1を制御する信号を供給する制御コンソール70とを接続することにより、発光ブロック5を、泡52と照明光の色とにより、様々な状態に演出できる。たとえば、図1においては、発光ブロック5のすべての容器11に泡52を継続的に導入し、容器11の内面をさまざまな色で照明することにより、発光ブロック5を、虹色に光輝く壁面として使用できる。
【0021】
また、図2に示すように、それぞれの容器11に泡52を導入するタイミングと量とを制御することにより発光ブロック5に一色または多色で輝く画像や文字を描くことも可能である。
【0022】
図3ないし図7に、ディスプレイ装置1のさらに詳しい構成を断面図および拡大図により示している。図3は、発光ブロック5を水平な面で切った断面図であり、発光ブロック5を構成する各発光ユニット10の容器11の基部(基端、底板)を構成する基部プレート13が見えている。基部プレート13も透明なアクリル板であり、中央に開口14が設けられている。
【0023】
図4は、発光ブロック5およびベース7を発光ブロック5の幅方向に沿った垂直な面で切った断面図である。ベース7には、それぞれの発光ユニット10の発光発泡ユニット20が収納されており、それぞれの発光発泡ユニット20は、それぞれの発光ユニット10の基部プレート13の開口14に装着されている。ベース7には、さらに、複数の発光ユニット10のそれぞれの発光発泡ユニット20の発色および発泡のタイミングを制御する制御ユニット80が収納されている。
【0024】
図5は、発光ブロック5およびベース7を発光ブロック5の厚さ方向(幅方向に直交する方向)に沿った垂直な面で切った断面図である。それぞれの発光ユニット10の容器11を構成する側壁のうち、隣接する容器11との間の間仕切り側壁12cに、隣接する容器同士を連通する第1の連通路18と、第2の連通路19とが形成されている。第1の連通路18は、容器11の基部側、すなわち、基部プレート13の直上に設けられている。第2の連通路19は、容器11の上端17の近傍であって、液体51が満たされる上限に近い位置に設けられている。このディスプレイ装置1においては、第2の連通路19は、直径が14−16mm程度の孔であり、第1の連通路18は直径が4−6mm程度の孔である。
【0025】
これらの連通路18および19は、容器11の内部の液体51の圧力変動を抑制するためのものである。たとえば、容器(セル)11に泡52を噴出させると液体51の体積が増量する。このため、容器11の上側に、第2の連通路19を設けて、隣接する容器11に液体51を流している。下側の連通路18は、容器11毎に加わる圧力を分散させ、圧力を均一化にするために有用である。また、この下側の第1の連通路18により下側で複数の容器11が液体的につながるので、発光ブロック5を構成する複数の容器11に液体51を注入したり排出したりするためにも有効である。ただし、泡52が噴出するときに隣の容器11の圧力が急激に変動するので、その圧力が第1の連通路18により隣接する容器11にただちに伝搬すると隣接する容器11内を上昇する泡52のパターンが乱れる要因となる。このため、下側の第1の連通路18の口径(断面積)を小さくして圧力変動の伝搬速度を抑制している。
【0026】
これらの連通路18および19により、隣接する容器11を通じて、自らの容器11の内部の上下において液体51の流通が確保され、容器11の内部の圧力変動が抑制される。したがって、大量の泡52が容器11に放出されたときも容器11の内圧の変動は抑制され、泡51を容器11に沿って均一な速度でスムーズに上昇させることが可能となる。
【0027】
図6に、容器11の透明な基部プレート(底板)13を通して、それぞれの発光発泡ユニット20を上方から見た様子を示している。図7に、基部プレート13に発光発泡ユニット20が取り付けられた様子を部分的な断面図により示している。また、図8に、発光発泡ユニット20を発泡部21と発光部22とに展開した状態を示している。
【0028】
発光発泡ユニット20は、発泡部21と、発泡部21の周囲に取り付けられた発光部22とを含む。発泡部21は、ポリカーボネートなどの樹脂により形成された円筒状のプラグであり、中央部分が周囲24に対して上方に付き出た凸部23となっており、凸部23の周囲には雄ねじ25が形成されている。基部プレート13の中央の開口14には発泡部21の雄ねじ25に対応した雌ねじ15が形成されている。このため、基部プレート13の開口14に発泡部21の凸部23を差し込む(ねじ込む)ことにより、基部プレート13に発光発泡ユニット20を取り付けることができる。逆に、基部プレート13から発光発泡ユニット20を取り外すことも可能である。
【0029】
発光発泡ユニット20の凸部23を基部プレート13に差し込むと、発泡部21の凸部23の周囲(フランジ部)24がパッキン(Oリング)29を挟んで基部プレート13に密着する。したがって、基部プレート13の開口14に発光発泡ユニット20を取り付けることにより、開口14を発泡部21の凸部23と、フランジ部24とによりシールできる。このため、発光発泡ユニット20を基部プレート13の下側から取り付けるだけで発光発泡ユニット20の取り付けは完了し、さらに、発泡部21の上端(凸部23の上端)23aを基部プレート13の上面に合わせることもきわめて容易である。
【0030】
凸部23の上端(上面)23aには3つの気体放出用のノズル28が形成されている。それぞれのノズル28から空気を吹き出すことにより容器11の内部に複数の泡52を導入できる。したがって、この発光ユニット10においては、基部プレート13の上から泡52を立ち上らせることができる。
【0031】
発光部22は、複数のLED30と、これらのLED30を支持するとともに電気的に接続する基板31とを含む。基板31は、容器11の断面と同じ程度のサイズ、すなわち、本例においては34mm角の正方形またはそれに内接する円盤状であり、周囲に複数のLED30がリング状に並べられ、中央に発泡部21を通す開口が設けられている。したがって、発光部22と発泡部21とにより発光発泡ユニット20を組み立てると、ノズル28を備えた凸部23の周囲に複数のLED30が並ぶ。さらに、発光発泡ユニット20を基部プレート13の開口14に装着すると、複数のLED30は、容器11の側壁12a、12bおよび12cの内面に沿うように配置される。複数のLED30は、複数の赤色(R)LEDと、複数の緑色(G)LEDと、複数の青色(B)LEDとを含み、適切なバランスで側壁12a、12bおよび12cの内面に沿うように基板31に取り付けられている。すなわち、R、GおよびBの各色を発光するLED(発光素子)30の数は、カラーバランスに基づいて選択され、発光発泡ユニット20には、各側壁12a、12bおよび12cを各色のLED30でバランス良く照明できるように配置されている。
【0032】
容器11に収容される液体(典型的には水または水溶液)51の屈折率に対して、ガラスあるいはアクリルなどの透明な側壁12a、12b、12cおよび12d(以降では代表して12a)の屈折率は一般に大きい。たとえば、水の屈折率は1.33前後であり、アクリルの屈折率は1.45前後である。したがって、容器11内の液体51を照明する光35は側壁12aの内面で全反射しない。しかしながら、照明光35の側壁12aの内面に対する入射角を大きくすることにより、側壁12aの内面における反射率を高めることができる。それとともに、側壁12aから漏れ出る光により側壁12aを色づけることができ、細長い容器11に沿って照明光35を効率よく導くことができる。
【0033】
図7に示すように、この発光ユニット10においては、容器11の基部プレート13に発光発泡ユニット20を取り付けると、側壁12aの内面に沿うように複数のLED(発光素子)30が配置される。したがって、透明な基部プレート13を通して、複数のLED30からの照明光35が側壁12aの内面に対して入射角の大きな状態で照射される。このため、基部プレート13からの照明光35により側壁12aを照らすとともに、照明光35を細長い容器11に沿って効率的に上方へ導くことができる。
【0034】
発光発泡ユニット20において、複数のノズル28は、複数のLED30の内側に配置されている。複数のノズル28から気体が放出されると複数の泡52がほぼ同時に形成され、これらの複数の泡52は急激に体積が大きくなるので容器11の中心に集中せず、側壁12aなどの近傍まで広がった状態で上昇する。さらに、泡52を形成する気体(典型的には空気)の屈折率は1.0であり、液体(水あるいは水溶液)51の屈折率よりも小さい。したがって、照明光35の泡52の表面に対する入射角度によっては、泡52は照明光35を全反射する。したがって、発光発泡ユニット20から放出された複数の泡52は、発光発泡ユニット20から出力され、細長い容器11に沿って進む照明光35を効率よく種々の方向に反射する散乱体となる。このため、容器11を上昇する泡52を、照明光35に周囲より照らすことができ、泡52を光輝かせながら細長い容器11に沿って上昇させることができる。
【0035】
ディスプレイ装置1の発光ブロック5を構成する複数の発光ユニット10において、それぞれの発光ユニット10の容器11を上昇する泡52を出力するタイミングと、容器11および泡52を照明する光35の色、強弱およびタイミングとは個別に、独立して制御できる。したがって、発光ブロック5においては、複数の発光ユニット10のそれぞれの表現が泡52と光35とにより独立して多彩に変化する。このため、発光ブロック5により多種多様な色、光、模様、画像などを表示(表現)できる。
【0036】
発光発泡ユニット20の発色および発泡のタイミングを制御する制御ユニット80は、複数の発光発泡ユニット20のそれぞれを制御するコントロールボックス85を含む。それぞれのコントロールボックス85は、対応する発光発泡ユニット20の発色を制御する発光制御ユニット82と、対応する発光発泡ユニット20の発泡を制御する発泡制御ユニット81と、DMX規格に対応したコネクタ83とを含む。したがって、複数のコントロールボックス85をDMX規格に対応したリンクケーブル86によりデイジーチェイン接続することができ、それぞれのコントロールボックス85に収納された発光制御ユニット82および発泡制御ユニット81をDMXデータリンクにより接続できる。
【0037】
発光制御ユニット82は、発光部22の基板31に接続されており、発光部22の各LED30に電力を供給し、各LED30を所望のタイミングで点灯させる。したがって、発光制御ユニット82により、それぞれの容器11が照明される色とタイミングと強度とを制御できる。発泡制御ユニット81は、コンプレッサー60から発泡部21に供給される圧縮空気をオンオフできるコントロールバルブ(典型的にはソレノイドバルブ)87に接続されている。したがって、発泡制御ユニット81により、コントロールバルブ87を所望のタイミングでオンオフし、発泡部21のノズル28から出力される気体の量およびタイミングを制御することにより、容器11の内部を立ち上る泡52の大小とタイミングとを制御できる。
【0038】
リンクケーブル86は、DMX規格に適合した照明用の制御コンソール70に接続されている。したがって、発光ブロック5を構成する各発光ユニット10の泡52の出力のタイミングと、各発光ユニット10を照明する色、タイミング、強度などを、従来の照明用の制御コンソール70により自在に制御したり、それらのタイミングや強度を含めたパターンをプログラミングできる。このため、発光ブロック5の表示をきわめて容易に制御でき、様々な模様、情報、画像などを発光ブロック5にディスプレイできる。
【0039】
図9に、発光発泡ユニット20の発泡部21の構造を示している。図9(b)において、断面図で示すように、発泡部21は、フランジ部24を貫通して凸部23に至り、凸部23の先端23aに隔壁23wを形成する円筒状の空洞27を含む。図9(a)に示すように、3つのノズル28は、円筒状の空洞27の内周面27cの延長方向の隔壁23wを貫通するように、等角度間隔で形成されている。したがって、これらのノズル28は空洞27の内周面27cに実質的に沿ってその延長方向に形成されている。このため、図9(c)に示すように、3つのノズル28は、発泡部21の裏面側21bから空洞27を通って穴開けできるようになっており、空洞27も含めて発泡部21の穴あけ加工はすべて裏面側21bから処理できる。したがって、低コストで発泡部21を提供できる。
【0040】
さらに、円筒状の空洞27の先端27aはドーム型に加工され、その周囲からノズル28が延びている。したがって、それぞれのノズル28の基部に空気溜まりがある状態になり、3つのノズル28から略均等に空気を放出できる。このため、エアストーンなどを用いなくても、樹脂により製造された発泡部21により所望の大きさの複数の泡52を容器11の中にほぼ均等に形成できる。
【0041】
このように、このディスプレイ装置1は、画像や文字などの情報を、複数の発光ユニット10のそれぞれを上昇する泡52と照明光35との組み合わせで発光ブロック5に表示できる。画像や文字に限らず、発光ブロック5においては、泡52と、照明光35とにより様々な表示、表現または演出が可能である。このため、このディスプレイ装置1は、舞台装置、照明、画像表示装置、情報の表示装置および伝達装置などの多種多様な目的で使用できる。
【0042】
このディスプレイ装置1は、一枚の壁面を形成するように複数の発光ユニット10を並べているが、複数の発光ユニット10を柱あるいは円柱をなすように並べることも可能である。また、波打つような形状の複数の発光ユニット10を並べて壁のような発光ブロック5を構成することも可能である。複数の発光ユニット10をらせん状に並べて束ねて柱状の発光ブロック5を構成することも可能であり、ディスプレイ装置1の形状は上記に限定されない。
【0043】
また、上記の発光部22の発光素子はLEDを採用しているが、有機EL、半導体レーザーなどの他の発光素子あるいは発光デバイスを使用することも可能である。また、照明を制御するために現在多用されているDMXリンクは、ディスプレイ装置1の制御システムとして好適であるが、データリンク方法はDMXに限定されず、有線LANあるいは無線LANや、他のプロトコルによる通信方式のデータリンクを採用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ディスプレイ装置、 5 発光ブロック
10 発光ユニット、 11 容器、 12a、12b、12c、12d 側壁
20 発光発泡ユニット、 21 発泡部、 22 発光部
30 LED、 80 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する細長い透明な容器と、
前記容器の基部に取り付けられた発光発泡ユニットとを有し、
前記発光発泡ユニットは、前記容器の側壁の内面に沿うように配置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の内側に配置された、気体放出用の複数のノズルとを含む、発光ユニット。
【請求項2】
請求項1において、前記容器は、透明で中央に開口が設けられた基部プレートを含み、
前記発光発泡ユニットは、前記基部プレートの開口に差し込まれる凸部と、前記凸部の周囲で前記基部プレートの開口をシールするためのフランジ部とを含み、前記複数のノズルは、前記凸部に設けられ、前記複数の発光素子は、前記フランジ部の周囲に前記基部プレートに対面するように配置されている、発光ユニット。
【請求項3】
請求項2において、前記発光発泡ユニットは、前記フランジ部を貫通して前記凸部に至り、前記凸部の先端に隔壁を形成する円筒状の空洞を含み、前記複数のノズルは、前記円筒状の空洞の内周面の延長方向に実質的に沿って形成されている、発光ユニット。
【請求項4】
請求項3において、前記円筒状の空洞の先端はドーム型である、発光ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の発光ユニットが複数個並べられた発光ブロックと、
前記複数の発光ユニットのそれぞれの発光発泡ユニットの発色および発泡のタイミングを制御する制御ユニットとを有する装置。
【請求項6】
請求項5において、前記発光ブロックでは、前記複数の発光ユニットの前記容器が壁体を構成するように並べられている、装置。
【請求項7】
請求項5または6において、前記発光ブロックでは、前記複数の発光ユニットの前記容器の側壁の一部が隣接する容器の側壁を兼ねている、装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかにおいて、前記発光ブロックは、隣接する前記容器の基部側を連通する第1の連通路と、前記隣接する容器の先端側の液体領域を連通する第2の連通路とを含む、装置。
【請求項9】
請求項8において、前記第1の連通路の断面積よりも前記第2の連通路の断面積が大きい、装置。
【請求項10】
請求項5ないし9のいずれかにおいて、前記制御ユニットは、複数の前記発光発泡ユニットの発色をそれぞれ制御する複数の発光制御ユニットと、前記複数の発光発泡ユニットの発泡をそれぞれ制御する複数の発泡制御ユニットとを含み、前記複数の発光制御ユニットおよび前記複数の発泡制御ユニットはDMXデータリンクによりデイジーチェイン接続されている、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−39235(P2011−39235A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185843(P2009−185843)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(505135380)株式会社ラパンクリエイト (4)
【Fターム(参考)】