発光材料
【課題】 シリコン超微粒子及びアモルファスカーボンが、それぞれ示すホトルミネセンスより高い発光強度のホトルミネセンスを示す発光材料を提供する。
【解決手段】 発光材料は、シリコン超微粒子を含有するアモルファスカーボンからなる。
【解決手段】 発光材料は、シリコン超微粒子を含有するアモルファスカーボンからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料に関し、特に、ホトルミネセンスを示す発光材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ホトルミネセンスを示す発光材料が知られている。例えば、直径数nm程度のシリコン超微粒子は、可視光領域でホトルミネセンスを示すことが知られている。また、アモルファスカーボンも可視光領域でホトルミネセンスを示すことが知られている。
【0003】
なお、アモルファスカーボンは、主に炭素または炭素及び水素からなる炭素系非晶質材料である。アモルファスカーボンには、ダイヤモンド構造を有するダイヤモンドライクカーボンや、グラファイト構造を有するポリマーライクカーボンなどの相が存在する。この材料は、アモルファス状態であることから、多様な炭素−炭素、または炭素−水素の結合状態を含み、結晶状態の炭素(ダイヤモンドまたはグラファイト)とは、機械的、化学的及び電気的に異なる性質を示す。
【0004】
シリコン超微粒子のホトルミネセンスについては、例えば特許文献1に記載されており、アモルファスカーボンの示すホトルミネセンスについては、例えば特許文献2に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−40348号公報
【特許文献2】特開平5−135876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコン超微粒子やアモルファスカーボンはホトルミネセンスを示すが、その発光強度は弱い。
【0007】
本発明の一目的は、シリコン超微粒子及びアモルファスカーボンが、それぞれ示すホトルミネセンスより高い発光強度のホトルミネセンスを示す発光材料を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、新規な構成を有する発光材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、シリコン超微粒子を含有するアモルファスカーボンからなる発光材料が提供される。
【発明の効果】
【0010】
シリコン超微粒子が単独で示すホトルミネセンス、及びアモルファスカーボンが単独で示すホトルミネセンスより高い発光強度のホトルミネセンスを示す発光材料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照して、本発明の第1の実施例による発光材料の構造について説明する。図1は、第1の実施例による発光材料の模式的な断面図である。支持基板1の上に、シリコンからなる超微粒子Pが堆積したシリコン超微粒子層2が形成されている。シリコン超微粒子層2の上に、シリコン超微粒子層2を覆うように、アモルファスカーボン層3が形成されている。支持基板1は、例えばシリコン基板である。なお、シリコン超微粒子層2をアモルファスカーボン層3が覆う構造体は、シリコン超微粒子を含有するアモルファスカーボンと捉えることもできる。
【0012】
なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、直径100nm以下の粒子を「超微粒子」と呼ぶ。このような直径の粒子は、量子効果により、バルクの物質とは異なる物性を示しやすい。特に、粒子の直径が10nm程度以下になると、量子効果が顕著になる。
【0013】
なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、シリコン超微粒子の表面に、酸化シリコン膜等が形成されているものも、「シリコン超微粒子」と呼ぶ。
【0014】
次に、第1の実施例による発光材料の作製方法について説明する。図2は、図1に示した支持基板1の上に、シリコン超微粒子層2を形成するためのパルスレーザ成膜装置を概略的に示す。真空チャンバ101の内部に、シリコンからなるターゲット102及び支持基板1が配置されている。真空チャンバ101に、水素希釈されたモノシランが導入される。水素希釈されたモノシラン雰囲気中において、ターゲット102に、パルスレーザ光Lを照射する。パルスレーザ光Lにより、ターゲット102の表層が蒸発するとともに、モノシランの分解反応も起こる。ターゲット102の蒸発で生成されたシリコン粒子に、モノシランの分解で生成されたシリコンが付着して、シリコンからなる超微粒子が形成され、シリコン超微粒子が、支持基板1に堆積する。このようにして、シリコン超微粒子層2が形成される。
【0015】
水素希釈されたモノシランのガス流量は、例えば100sccmであり、真空チャンバ101内の圧力は、例えば0.6Torrである。パルスレーザ光Lは、例えばYAGレーザの第3高調波(波長355nm)であり、パルス周期は、例えば10Hzであり、ターゲット102上におけるパルスエネルギ密度は、例えば1J/cm2である。ターゲット102及び支持基板1として、市販のシリコンウエハを用いることができる。支持基板1の温度は、例えば室温である。成膜時間は、例えば30分である。
【0016】
なお、シリコンからなるターゲットにパルスレーザ光を照射してシリコン超微粒子を生成し、シリコン超微粒子を基板に堆積させる方法は、パルスレーザ成膜法として知られている。例えば、電気学会レーザアブレーションとその産業応用調査専門委員会編,「レーザアブレーションとその応用」,コロナ社,p.229−236に、パルスレーザ成膜法に関して記載されている。
【0017】
図3(A)及び図3(B)に、図2を参照して説明した方法で得られたシリコン超微粒子層を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した写真を示す。図2を参照して説明した方法により、図3(A)に示すように、直径10nm前後の超微粒子が形成される。なお、図2を参照して説明した方法では、直径10nm前後より大きい粒子も形成される。例えば図3(B)に示すように、直径100nm前後の粒子も形成される。なお、観察したシリコン超微粒子層は、オゾンによる酸化処理が施され、シリコン超微粒子の表面が酸化されている。
【0018】
図4は、図1に示したシリコン超微粒子層2の上に、アモルファスカーボン層3を形成するためのプラズマCVD装置を概略的に示す。真空チャンバ111の内部に、シリコン超微粒子層2が形成された支持基板1が配置される。真空チャンバ111に、メタンが導入されるとともに、プラズマガン112を介して、ヘリウムプラズマが導入される。ヘリウムプラズマにより、メタンが分解されて、炭素が生成する。生成した炭素が、シリコン超微粒子層2上に堆積する。このようにして、アモルファスカーボン層3が形成される。
【0019】
ヘリウムプラズマは、直流アーク放電で生成することができ、放電電流は、例えば30Aである。ヘリウムプラズマ及びメタンのガス流量は、それぞれ例えば250sccm及び50sccmであり、真空チャンバ111内の圧力は、例えば10mTorrである。支持基板1の温度は、例えば室温である。
【0020】
図2を参照して説明した方法で、支持基板1上にシリコン超微粒子層2を形成し、図4を参照して説明した方法で、シリコン超微粒子層2上にアモルファスカーボン層3を形成することにより、実施例の発光材料が作製される。
【0021】
図5は、上述の方法で作製された発光材料の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を示す。シリコンからなる支持基板上に形成されたシリコン超微粒子層を覆って、アモルファスカーボン層が形成されている。シリコン超微粒子層の表面は、複雑な形状の凹凸を有する。この試料では、シリコン超微粒子層の表面の凹凸形状を反映する程度に、アモルファスカーボン層が薄くシリコン超微粒子層を覆っている。
【0022】
次に、図6を参照し、第1の実施例の発光材料のホトルミネセンス特性について説明する。ホトルミネセンス特性として、波長325nmのHe−Cdレーザを励起光として用い、室温における発光スペクトルを測定した。図6に示すグラフの横軸がnm単位で表した発光波長を示し、縦軸が任意単位で表した発光強度を示す。曲線C1が、第1の実施例の発光材料の発光スペクトルを示す。
【0023】
なお、アモルファスカーボン層及びシリコン超微粒子層は、それぞれ、単独でホトルミネセンスを示す。曲線C2が、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトルを示し、曲線C3がシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルを示す。ただし、グラフにおいて、シリコン超微粒子層の発光スペクトルを示す曲線C3は、実際の発光強度を10倍にした値を示している。
【0024】
なお、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトルは、図4を参照して説明した方法により、シリコン基板上に形成したアモルファスカーボン層に対して測定し、シリコン超微粒子層単独の発光スペクトルは、図2を参照して説明した方法により、シリコン基板上に形成したシリコン超微粒子層に対して測定した。
【0025】
曲線C2に示すように、アモルファスカーボン層は、波長480nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。曲線C3に示すように、シリコン超微粒子層は、波長700nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。
【0026】
曲線C1に示すように、第1の実施例の発光材料は、波長480nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。第1の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度は、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトル及びシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルのピーク強度よりもはるかに高かった。また、第1の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度は、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトル及びシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルを加算した発光スペクトルのピーク強度の6倍程度であった。
【0027】
このように、本願発明者は、アモルファスカーボンにシリコン超微粒子を含有させた発光材料が、アモルファスカーボン及びシリコン超微粒子がそれぞれ単独で示す発光よりはるかに強い発光を示すことを発見した。
【0028】
なお、以下に説明するように、図4を参照して説明した方法で形成されるアモルファスカーボン層のホトルミネセンス特性や赤外吸収スペクトルは、アモルファスカーボン層形成時の支持基板の温度によって大きく変化することがわかった。
【0029】
図7(A)は、アモルファスカーボン層形成時の支持基板の温度が相異なる3つの試料に対するホトルミネセンス特性の測定結果を示すグラフである。図6を参照して説明した測定と同様にして、発光スペクトルを測定した。曲線C2a〜C2cがそれぞれ、支持基板の温度を室温、200℃、500℃として形成したアモルファスカーボン層の発光スペクトルを示す。
【0030】
曲線C2aに示すように、基板温度を室温として形成したアモルファスカーボン層は、波長480nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。曲線C2bに示すように、基板温度を200℃として形成したアモルファスカーボン層は、波長570nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。曲線C2cに示すように、基板温度を500℃として形成したアモルファスカーボン層は、ホトルミネセンスをほとんど示さなかった。なお、図6に発光スペクトルを示したアモルファスカーボン層は、基板温度を室温として形成したものである。
【0031】
図7(B)は、アモルファスカーボン層形成時の支持基板の温度が相異なる3つの試料に対する赤外吸収スペクトルの測定結果を示すグラフである。グラフの横軸がcm−1単位で表した波数を示し、縦軸が任意単位で表した赤外吸収の強度を示す。曲線C12a〜C12cがそれぞれ、支持基板の温度を室温、200℃、500℃として形成したアモルファスカーボン層の赤外吸収スペクトルを示す。
【0032】
曲線C12a及びC12bに示すように、基板温度を室温及び200℃として形成したアモルファスカーボン層は、波数2900cm−1付近に炭素と水素との結合を示すピークを持つ。この水素は、メタンに由来すると考えられる。一方、曲線C12cに示すように、基板温度を500℃として形成したアモルファスカーボン層は、炭素と水素との結合を示すピークを持たない。基板温度を500℃とした場合は、水素がアモルファスカーボン層に取り込まれないと考えられる。
【0033】
以上説明したホトルミネセンス特性及び赤外吸収スペクトルの測定結果から考察すると、アモルファスカーボン中に存在する炭素と水素との結合が、アモルファスカーボンのホトルミネセンスを強めている可能性がある。
【0034】
なお、以下に説明するように、第1の実施例による発光材料のホトルミネセンス特性も、アモルファスカーボン層3の形成時の支持基板1の温度によって大きく変化することがわかった。
【0035】
図8は、アモルファスカーボン層3の形成時の支持基板1の温度が相異なる3つの試料に対するホトルミネセンス特性の測定結果を示すグラフである。図6を参照して説明した測定と同様にして、発光スペクトルを測定した。曲線C1a〜C1cがそれぞれ、支持基板1の温度を室温、200℃、500℃としてアモルファスカーボン層3を形成した発光材料の発光スペクトルを示す。曲線C1a及びC1bに示すように、支持基板1を室温及び200℃としてアモルファスカーボン層3を形成した発光材料が良好な発光を示すのに対し、曲線C1cに示すように、支持基板1を500℃としてアモルファスカーボン層3を形成した発光材料は、発光が著しく弱い。なお、図6に発光スペクトルを示した実施例の発光材料は、支持基板1を室温としてアモルファスカーボン層3を形成したものである。
【0036】
次に、第2の実施例による発光材料について説明する。図9は、第2の実施例による発光材料の模式的な断面図である。支持基板1の上に、図2を参照した方法でシリコン超微粒子層を形成する。次に、形成されたシリコン超微粒子層を、オゾンに例えば1時間晒して、シリコン超微粒子Pの表面に酸化シリコン膜Mが形成されたシリコン超微粒子層2aを形成する。次に、シリコン超微粒子層2aの上に、図4を参照した方法で、アモルファスカーボン層3aを形成することにより、第2の実施例の発光材料が作製される。
【0037】
オゾンによる酸化処理を施したシリコン超微粒子層と、オゾンによる酸化処理を施さないシリコン超微粒子層とについて、赤外吸収スペクトルを測定した。
【0038】
図10(A)の曲線C15及びC13が、それぞれ、酸化処理を施したシリコン超微粒子層及び酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルを示す。グラフの横軸がcm−1単位で表した波数を示し、縦軸が任意単位で表した赤外吸収の強度を示す。
【0039】
なお、酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルは、図2を参照した方法で形成したシリコン超微粒子層を、大気中に取り出した後すみやかに(例えば1〜2時間以内に)測定したものである。
【0040】
酸化処理を施したシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルは、波数1100cm−1付近にシリコンと酸素との結合を示す高いピークを持つ。酸化処理により、シリコン超微粒子の少なくとも表層に酸化シリコンが形成されたと考えられる。なお、酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルも、酸化処理を施したものに比べると非常に低いが、シリコンと酸素との結合を示すピークを持つ。シリコン超微粒子が大気中の酸素によりやや酸化されたと考えられる。
【0041】
酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルは、波数2100cm−1付近にシリコンと水素との結合を示すピークを持つ。この水素は、水素希釈されたモノシランガスに由来すると考えられる。一方、酸化処理を施したシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルは、シリコンと水素との結合を示すピークを持たない。酸化処理により、シリコン超微粒子層から水素が排除されたと考えられる。
【0042】
なお、第1の実施例の発光材料のシリコン超微粒子層2は、この測定における酸化処理を施さないシリコン超微粒子層に対応し、第2の実施例の発光材料のシリコン超微粒子層2aは、この測定における酸化処理を施したシリコン超微粒子層に対応する。
【0043】
図10(B)の曲線C5a及びC3aが、それぞれ、酸化処理を施したシリコン超微粒子層及び酸化処理を施さないシリコン超微粒子層のホトルミネセンスの発光スペクトルを示す。酸化処理により、シリコン超微粒子層の発光のピーク波長が変化する。
【0044】
次に、再び図6を参照し、第2の実施例の発光材料のホトルミネセンス特性について説明する。曲線C4が、第2の実施例の発光材料の発光スペクトルを示し、曲線C5が、酸化処理を施したシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルを示す。ただし、グラフにおいて、酸化処理を施したシリコン超微粒子の発光スペクトルを示す曲線C5は、実際の発光強度を10倍にした値を示している。
【0045】
曲線C5に示すように、酸化処理を施したシリコン超微粒子は、波長450nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。なお、図6の曲線C5に示す酸化処理を施したシリコン超微粒子の発光スペクトルと、図10(B)の曲線C5aに示すそれとでは、ピーク波長が大きく異なるが、酸化処理を施したシリコン超微粒子の発光スペクトルのピーク波長は、試料毎に大きく変動する傾向がある。
【0046】
曲線C4に示すように、第2の実施例の発光材料は、波長500nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。第2の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度は、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトル、及び、酸化処理を施したシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルのピーク強度よりもはるかに高かった。第2の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度は、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトル、及び、酸化処理を施したシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルを加算した発光スペクトルのピーク強度の19倍程度であった。
【0047】
また、第2の実施例の発光材料の発光スペクトルのビーク強度は、第1の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度の3倍程度であった。
【0048】
このように、本願発明者は、アモルファスカーボンに、酸化処理を施したシリコン超微粒子を含有させた発光材料が、アモルファスカーボン及び酸化処理を施したシリコン超微粒子がそれぞれ単独で示す発光よりもはるかに強い発光を示すことを発見した。さらに、アモルファスカーボンに、酸化処理を施したシリコン超微粒子を含有させた発光材料が、アモルファスカーボンに、酸化処理を施さないシリコン超微粒子を含有させた発光材料よりも強い発光を示すことを発見した。
【0049】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施例による発光材料の断面図である。
【図2】シリコン超微粒子層を形成するためのパルスレーザ成膜装置を示す概略図である。
【図3】図3(A)及び図3(B)は、シリコン超微粒子層を観察した電子顕微鏡写真である。
【図4】アモルファスカーボン層を形成するためのプラズマCVD装置の概略図を示す。
【図5】実施例による発光材料の断面を観察した電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例による発光材料のホトルミネセンス特性を示すグラフである。
【図7】図7(A)は、温度条件を変えて形成したアモルファスカーボン層のホトルミネセンス特性を示すグラフであり、図7(B)は、温度条件を変えて形成したアモルファスカーボン層の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。
【図8】アモルファスカーボン層形成の温度条件を変えて作製した第1の実施例の発光材料のホトルミネセンス特性を示すグラフである。
【図9】第2の実施例による発光材料の断面図である。
【図10】図10(A)は、酸化処理を施したシリコン超微粒子層及び酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルを示すグラフであり、図10(B)は、酸化処理を施したシリコン超微粒子層及び酸化処理を施さないシリコン超微粒子層のホトルミネセンス特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0051】
1 支持基板
P シリコン超微粒子
2 シリコン超微粒子層
3 アモルファスカーボン層
M 酸化シリコン膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料に関し、特に、ホトルミネセンスを示す発光材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ホトルミネセンスを示す発光材料が知られている。例えば、直径数nm程度のシリコン超微粒子は、可視光領域でホトルミネセンスを示すことが知られている。また、アモルファスカーボンも可視光領域でホトルミネセンスを示すことが知られている。
【0003】
なお、アモルファスカーボンは、主に炭素または炭素及び水素からなる炭素系非晶質材料である。アモルファスカーボンには、ダイヤモンド構造を有するダイヤモンドライクカーボンや、グラファイト構造を有するポリマーライクカーボンなどの相が存在する。この材料は、アモルファス状態であることから、多様な炭素−炭素、または炭素−水素の結合状態を含み、結晶状態の炭素(ダイヤモンドまたはグラファイト)とは、機械的、化学的及び電気的に異なる性質を示す。
【0004】
シリコン超微粒子のホトルミネセンスについては、例えば特許文献1に記載されており、アモルファスカーボンの示すホトルミネセンスについては、例えば特許文献2に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−40348号公報
【特許文献2】特開平5−135876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコン超微粒子やアモルファスカーボンはホトルミネセンスを示すが、その発光強度は弱い。
【0007】
本発明の一目的は、シリコン超微粒子及びアモルファスカーボンが、それぞれ示すホトルミネセンスより高い発光強度のホトルミネセンスを示す発光材料を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、新規な構成を有する発光材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、シリコン超微粒子を含有するアモルファスカーボンからなる発光材料が提供される。
【発明の効果】
【0010】
シリコン超微粒子が単独で示すホトルミネセンス、及びアモルファスカーボンが単独で示すホトルミネセンスより高い発光強度のホトルミネセンスを示す発光材料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照して、本発明の第1の実施例による発光材料の構造について説明する。図1は、第1の実施例による発光材料の模式的な断面図である。支持基板1の上に、シリコンからなる超微粒子Pが堆積したシリコン超微粒子層2が形成されている。シリコン超微粒子層2の上に、シリコン超微粒子層2を覆うように、アモルファスカーボン層3が形成されている。支持基板1は、例えばシリコン基板である。なお、シリコン超微粒子層2をアモルファスカーボン層3が覆う構造体は、シリコン超微粒子を含有するアモルファスカーボンと捉えることもできる。
【0012】
なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、直径100nm以下の粒子を「超微粒子」と呼ぶ。このような直径の粒子は、量子効果により、バルクの物質とは異なる物性を示しやすい。特に、粒子の直径が10nm程度以下になると、量子効果が顕著になる。
【0013】
なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、シリコン超微粒子の表面に、酸化シリコン膜等が形成されているものも、「シリコン超微粒子」と呼ぶ。
【0014】
次に、第1の実施例による発光材料の作製方法について説明する。図2は、図1に示した支持基板1の上に、シリコン超微粒子層2を形成するためのパルスレーザ成膜装置を概略的に示す。真空チャンバ101の内部に、シリコンからなるターゲット102及び支持基板1が配置されている。真空チャンバ101に、水素希釈されたモノシランが導入される。水素希釈されたモノシラン雰囲気中において、ターゲット102に、パルスレーザ光Lを照射する。パルスレーザ光Lにより、ターゲット102の表層が蒸発するとともに、モノシランの分解反応も起こる。ターゲット102の蒸発で生成されたシリコン粒子に、モノシランの分解で生成されたシリコンが付着して、シリコンからなる超微粒子が形成され、シリコン超微粒子が、支持基板1に堆積する。このようにして、シリコン超微粒子層2が形成される。
【0015】
水素希釈されたモノシランのガス流量は、例えば100sccmであり、真空チャンバ101内の圧力は、例えば0.6Torrである。パルスレーザ光Lは、例えばYAGレーザの第3高調波(波長355nm)であり、パルス周期は、例えば10Hzであり、ターゲット102上におけるパルスエネルギ密度は、例えば1J/cm2である。ターゲット102及び支持基板1として、市販のシリコンウエハを用いることができる。支持基板1の温度は、例えば室温である。成膜時間は、例えば30分である。
【0016】
なお、シリコンからなるターゲットにパルスレーザ光を照射してシリコン超微粒子を生成し、シリコン超微粒子を基板に堆積させる方法は、パルスレーザ成膜法として知られている。例えば、電気学会レーザアブレーションとその産業応用調査専門委員会編,「レーザアブレーションとその応用」,コロナ社,p.229−236に、パルスレーザ成膜法に関して記載されている。
【0017】
図3(A)及び図3(B)に、図2を参照して説明した方法で得られたシリコン超微粒子層を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した写真を示す。図2を参照して説明した方法により、図3(A)に示すように、直径10nm前後の超微粒子が形成される。なお、図2を参照して説明した方法では、直径10nm前後より大きい粒子も形成される。例えば図3(B)に示すように、直径100nm前後の粒子も形成される。なお、観察したシリコン超微粒子層は、オゾンによる酸化処理が施され、シリコン超微粒子の表面が酸化されている。
【0018】
図4は、図1に示したシリコン超微粒子層2の上に、アモルファスカーボン層3を形成するためのプラズマCVD装置を概略的に示す。真空チャンバ111の内部に、シリコン超微粒子層2が形成された支持基板1が配置される。真空チャンバ111に、メタンが導入されるとともに、プラズマガン112を介して、ヘリウムプラズマが導入される。ヘリウムプラズマにより、メタンが分解されて、炭素が生成する。生成した炭素が、シリコン超微粒子層2上に堆積する。このようにして、アモルファスカーボン層3が形成される。
【0019】
ヘリウムプラズマは、直流アーク放電で生成することができ、放電電流は、例えば30Aである。ヘリウムプラズマ及びメタンのガス流量は、それぞれ例えば250sccm及び50sccmであり、真空チャンバ111内の圧力は、例えば10mTorrである。支持基板1の温度は、例えば室温である。
【0020】
図2を参照して説明した方法で、支持基板1上にシリコン超微粒子層2を形成し、図4を参照して説明した方法で、シリコン超微粒子層2上にアモルファスカーボン層3を形成することにより、実施例の発光材料が作製される。
【0021】
図5は、上述の方法で作製された発光材料の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を示す。シリコンからなる支持基板上に形成されたシリコン超微粒子層を覆って、アモルファスカーボン層が形成されている。シリコン超微粒子層の表面は、複雑な形状の凹凸を有する。この試料では、シリコン超微粒子層の表面の凹凸形状を反映する程度に、アモルファスカーボン層が薄くシリコン超微粒子層を覆っている。
【0022】
次に、図6を参照し、第1の実施例の発光材料のホトルミネセンス特性について説明する。ホトルミネセンス特性として、波長325nmのHe−Cdレーザを励起光として用い、室温における発光スペクトルを測定した。図6に示すグラフの横軸がnm単位で表した発光波長を示し、縦軸が任意単位で表した発光強度を示す。曲線C1が、第1の実施例の発光材料の発光スペクトルを示す。
【0023】
なお、アモルファスカーボン層及びシリコン超微粒子層は、それぞれ、単独でホトルミネセンスを示す。曲線C2が、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトルを示し、曲線C3がシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルを示す。ただし、グラフにおいて、シリコン超微粒子層の発光スペクトルを示す曲線C3は、実際の発光強度を10倍にした値を示している。
【0024】
なお、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトルは、図4を参照して説明した方法により、シリコン基板上に形成したアモルファスカーボン層に対して測定し、シリコン超微粒子層単独の発光スペクトルは、図2を参照して説明した方法により、シリコン基板上に形成したシリコン超微粒子層に対して測定した。
【0025】
曲線C2に示すように、アモルファスカーボン層は、波長480nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。曲線C3に示すように、シリコン超微粒子層は、波長700nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。
【0026】
曲線C1に示すように、第1の実施例の発光材料は、波長480nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。第1の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度は、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトル及びシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルのピーク強度よりもはるかに高かった。また、第1の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度は、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトル及びシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルを加算した発光スペクトルのピーク強度の6倍程度であった。
【0027】
このように、本願発明者は、アモルファスカーボンにシリコン超微粒子を含有させた発光材料が、アモルファスカーボン及びシリコン超微粒子がそれぞれ単独で示す発光よりはるかに強い発光を示すことを発見した。
【0028】
なお、以下に説明するように、図4を参照して説明した方法で形成されるアモルファスカーボン層のホトルミネセンス特性や赤外吸収スペクトルは、アモルファスカーボン層形成時の支持基板の温度によって大きく変化することがわかった。
【0029】
図7(A)は、アモルファスカーボン層形成時の支持基板の温度が相異なる3つの試料に対するホトルミネセンス特性の測定結果を示すグラフである。図6を参照して説明した測定と同様にして、発光スペクトルを測定した。曲線C2a〜C2cがそれぞれ、支持基板の温度を室温、200℃、500℃として形成したアモルファスカーボン層の発光スペクトルを示す。
【0030】
曲線C2aに示すように、基板温度を室温として形成したアモルファスカーボン層は、波長480nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。曲線C2bに示すように、基板温度を200℃として形成したアモルファスカーボン層は、波長570nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。曲線C2cに示すように、基板温度を500℃として形成したアモルファスカーボン層は、ホトルミネセンスをほとんど示さなかった。なお、図6に発光スペクトルを示したアモルファスカーボン層は、基板温度を室温として形成したものである。
【0031】
図7(B)は、アモルファスカーボン層形成時の支持基板の温度が相異なる3つの試料に対する赤外吸収スペクトルの測定結果を示すグラフである。グラフの横軸がcm−1単位で表した波数を示し、縦軸が任意単位で表した赤外吸収の強度を示す。曲線C12a〜C12cがそれぞれ、支持基板の温度を室温、200℃、500℃として形成したアモルファスカーボン層の赤外吸収スペクトルを示す。
【0032】
曲線C12a及びC12bに示すように、基板温度を室温及び200℃として形成したアモルファスカーボン層は、波数2900cm−1付近に炭素と水素との結合を示すピークを持つ。この水素は、メタンに由来すると考えられる。一方、曲線C12cに示すように、基板温度を500℃として形成したアモルファスカーボン層は、炭素と水素との結合を示すピークを持たない。基板温度を500℃とした場合は、水素がアモルファスカーボン層に取り込まれないと考えられる。
【0033】
以上説明したホトルミネセンス特性及び赤外吸収スペクトルの測定結果から考察すると、アモルファスカーボン中に存在する炭素と水素との結合が、アモルファスカーボンのホトルミネセンスを強めている可能性がある。
【0034】
なお、以下に説明するように、第1の実施例による発光材料のホトルミネセンス特性も、アモルファスカーボン層3の形成時の支持基板1の温度によって大きく変化することがわかった。
【0035】
図8は、アモルファスカーボン層3の形成時の支持基板1の温度が相異なる3つの試料に対するホトルミネセンス特性の測定結果を示すグラフである。図6を参照して説明した測定と同様にして、発光スペクトルを測定した。曲線C1a〜C1cがそれぞれ、支持基板1の温度を室温、200℃、500℃としてアモルファスカーボン層3を形成した発光材料の発光スペクトルを示す。曲線C1a及びC1bに示すように、支持基板1を室温及び200℃としてアモルファスカーボン層3を形成した発光材料が良好な発光を示すのに対し、曲線C1cに示すように、支持基板1を500℃としてアモルファスカーボン層3を形成した発光材料は、発光が著しく弱い。なお、図6に発光スペクトルを示した実施例の発光材料は、支持基板1を室温としてアモルファスカーボン層3を形成したものである。
【0036】
次に、第2の実施例による発光材料について説明する。図9は、第2の実施例による発光材料の模式的な断面図である。支持基板1の上に、図2を参照した方法でシリコン超微粒子層を形成する。次に、形成されたシリコン超微粒子層を、オゾンに例えば1時間晒して、シリコン超微粒子Pの表面に酸化シリコン膜Mが形成されたシリコン超微粒子層2aを形成する。次に、シリコン超微粒子層2aの上に、図4を参照した方法で、アモルファスカーボン層3aを形成することにより、第2の実施例の発光材料が作製される。
【0037】
オゾンによる酸化処理を施したシリコン超微粒子層と、オゾンによる酸化処理を施さないシリコン超微粒子層とについて、赤外吸収スペクトルを測定した。
【0038】
図10(A)の曲線C15及びC13が、それぞれ、酸化処理を施したシリコン超微粒子層及び酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルを示す。グラフの横軸がcm−1単位で表した波数を示し、縦軸が任意単位で表した赤外吸収の強度を示す。
【0039】
なお、酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルは、図2を参照した方法で形成したシリコン超微粒子層を、大気中に取り出した後すみやかに(例えば1〜2時間以内に)測定したものである。
【0040】
酸化処理を施したシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルは、波数1100cm−1付近にシリコンと酸素との結合を示す高いピークを持つ。酸化処理により、シリコン超微粒子の少なくとも表層に酸化シリコンが形成されたと考えられる。なお、酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルも、酸化処理を施したものに比べると非常に低いが、シリコンと酸素との結合を示すピークを持つ。シリコン超微粒子が大気中の酸素によりやや酸化されたと考えられる。
【0041】
酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルは、波数2100cm−1付近にシリコンと水素との結合を示すピークを持つ。この水素は、水素希釈されたモノシランガスに由来すると考えられる。一方、酸化処理を施したシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルは、シリコンと水素との結合を示すピークを持たない。酸化処理により、シリコン超微粒子層から水素が排除されたと考えられる。
【0042】
なお、第1の実施例の発光材料のシリコン超微粒子層2は、この測定における酸化処理を施さないシリコン超微粒子層に対応し、第2の実施例の発光材料のシリコン超微粒子層2aは、この測定における酸化処理を施したシリコン超微粒子層に対応する。
【0043】
図10(B)の曲線C5a及びC3aが、それぞれ、酸化処理を施したシリコン超微粒子層及び酸化処理を施さないシリコン超微粒子層のホトルミネセンスの発光スペクトルを示す。酸化処理により、シリコン超微粒子層の発光のピーク波長が変化する。
【0044】
次に、再び図6を参照し、第2の実施例の発光材料のホトルミネセンス特性について説明する。曲線C4が、第2の実施例の発光材料の発光スペクトルを示し、曲線C5が、酸化処理を施したシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルを示す。ただし、グラフにおいて、酸化処理を施したシリコン超微粒子の発光スペクトルを示す曲線C5は、実際の発光強度を10倍にした値を示している。
【0045】
曲線C5に示すように、酸化処理を施したシリコン超微粒子は、波長450nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。なお、図6の曲線C5に示す酸化処理を施したシリコン超微粒子の発光スペクトルと、図10(B)の曲線C5aに示すそれとでは、ピーク波長が大きく異なるが、酸化処理を施したシリコン超微粒子の発光スペクトルのピーク波長は、試料毎に大きく変動する傾向がある。
【0046】
曲線C4に示すように、第2の実施例の発光材料は、波長500nm付近にピークを持つホトルミネセンスを示した。第2の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度は、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトル、及び、酸化処理を施したシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルのピーク強度よりもはるかに高かった。第2の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度は、アモルファスカーボン層単独の発光スペクトル、及び、酸化処理を施したシリコン超微粒子層単独の発光スペクトルを加算した発光スペクトルのピーク強度の19倍程度であった。
【0047】
また、第2の実施例の発光材料の発光スペクトルのビーク強度は、第1の実施例の発光材料の発光スペクトルのピーク強度の3倍程度であった。
【0048】
このように、本願発明者は、アモルファスカーボンに、酸化処理を施したシリコン超微粒子を含有させた発光材料が、アモルファスカーボン及び酸化処理を施したシリコン超微粒子がそれぞれ単独で示す発光よりもはるかに強い発光を示すことを発見した。さらに、アモルファスカーボンに、酸化処理を施したシリコン超微粒子を含有させた発光材料が、アモルファスカーボンに、酸化処理を施さないシリコン超微粒子を含有させた発光材料よりも強い発光を示すことを発見した。
【0049】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施例による発光材料の断面図である。
【図2】シリコン超微粒子層を形成するためのパルスレーザ成膜装置を示す概略図である。
【図3】図3(A)及び図3(B)は、シリコン超微粒子層を観察した電子顕微鏡写真である。
【図4】アモルファスカーボン層を形成するためのプラズマCVD装置の概略図を示す。
【図5】実施例による発光材料の断面を観察した電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例による発光材料のホトルミネセンス特性を示すグラフである。
【図7】図7(A)は、温度条件を変えて形成したアモルファスカーボン層のホトルミネセンス特性を示すグラフであり、図7(B)は、温度条件を変えて形成したアモルファスカーボン層の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。
【図8】アモルファスカーボン層形成の温度条件を変えて作製した第1の実施例の発光材料のホトルミネセンス特性を示すグラフである。
【図9】第2の実施例による発光材料の断面図である。
【図10】図10(A)は、酸化処理を施したシリコン超微粒子層及び酸化処理を施さないシリコン超微粒子層の赤外吸収スペクトルを示すグラフであり、図10(B)は、酸化処理を施したシリコン超微粒子層及び酸化処理を施さないシリコン超微粒子層のホトルミネセンス特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0051】
1 支持基板
P シリコン超微粒子
2 シリコン超微粒子層
3 アモルファスカーボン層
M 酸化シリコン膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン超微粒子を含有するアモルファスカーボンからなる発光材料。
【請求項2】
前記シリコン超微粒子の表面に酸化シリコン膜が形成されている請求項1に記載の発光材料。
【請求項1】
シリコン超微粒子を含有するアモルファスカーボンからなる発光材料。
【請求項2】
前記シリコン超微粒子の表面に酸化シリコン膜が形成されている請求項1に記載の発光材料。
【図1】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図3】
【図5】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図3】
【図5】
【公開番号】特開2006−143861(P2006−143861A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334808(P2004−334808)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]