説明

発光管および蛍光ランプ

【課題】発光面積を拡大し、光束密度を高めるとともに全光束効率を向上させる。
【解決手段】両端部1d,1eに電極が形成された直線状の発光管1を両端部1d,1eが近接するように略中央部で折り返し、折り返した部分(折り返し部1f)から端部1dまでと、折り返し部1fから端部1eまでをそれぞれ略直線形状とする。折り返し部1fから端部1d,1eの方向に発光管1を2重螺旋状に変形させ、スパイラル部1aを形成し、その内部に両端部1d,1eを通し、2本の直線状の直線部1b,1cを形成する。直線部1bは、スパイラル部1aの内部に屈曲部1gで屈曲されて入り込み、スパイラル部1aの外側に発光管1の端部1dを露出させる。同様に、直線部1cはスパイラル部1aの内部に屈曲部1hで屈曲されて入り込み、スパイラル部1aの外側に発光管1の端部1eが露出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一部に螺旋形状を有する発光管および蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電路を長くするために、螺旋状に形成された発光管を有する蛍光ランプが用いられている。この種の蛍光ランプは、発光管を螺旋状に形成して放電路を長くし、発光面積を拡大しているため、一般の白色熱電球と同一の外形寸法で高出力を得ることができる。
【0003】
また、発光管の両端部のうち、一方の端部から螺旋状に屈曲して螺旋部を形成し、その螺旋部の先端部から一方の端部に向けてその螺旋部のほぼ中心軸を通る直線状の戻り部を形成し、1本の蛇行状の放電路を形成するようにしたものがある。これにより比較的長い放電路が形成され、ランプ効率を改善している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、2本の直管状の発光管を平行に並べ、各々一方の端部の近傍を互いに連通部で連通し、略H字状の管状部材を形成する。そして、この略H字状の管状部材をその長手方向で略二等分するように屈曲して、2つのU字状の管状部材を形成する。さらに、2つのU字状の管状部材の上端の略中央を頂部として、各U字状の管状部材をそれぞれ螺旋状に屈曲させて、2重に重なった螺旋状の螺旋状部を有する発光管を形成するようにしたものがある。
【0005】
或いは、2本の直管状の発光管の各々の一方の端部から螺旋状の管状部材を形成し、その頂部から他方の端部に向かう部分を、螺旋状の管状部材の略中心部を通る直線状の直管部となるようにしたものがある。これにより比較的放電路を長くして所望の光出力を得るとともに、光束立ち上がり特性を改善し、かつ光出力の低下を抑制することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、上部に形成された螺旋形状の螺旋形部および下部に形成された直線形状の一対の2本の短放電路部とからなる発光管と、1本のガラスバルブを屈曲して略U字形状にし、一対の2本の直管状部を有する略U字形状バルブとからなり、略U字形状バルブが上記直線状の一対の2本の短放電路部の間に配置され、直線形状の一対の2本の短放電路部のうちの一方の短放電路部の下部と、略U字形状バルブを構成する一対の2本の直管状部のうちの一方の直管状部の下部とを連結管を介して連通させるようにしたものがある。これにより放電路長を増大させるとともに、輝度ムラを解消している(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−347236号公報
【特許文献2】特開2006−114224号公報
【特許文献3】特開2008−047338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、発光面積を拡大するためには、発光管を螺旋構造にするなどして放電路を長くする必要があるが、放電路を長くすると発光管の体積が増大し、小型化が困難になるという問題があった。
【0009】
また、特許文献1の発明では、螺旋部のほぼ中心軸を通る直線状の戻り部は、1本のみであり、螺旋部内側にはまだ余裕があり、螺旋部内側を十分に活用しているとは言えない。
【0010】
また、特許文献2の発明では、螺旋状に形成された螺旋状部の略中央に2本の直管状の直管部を通すようにしているが、この直管状の直管部の端部はいずれも発光管の電極側とは逆側の端部であり、電極側の2つの端部と合わせて4つの端部を台座に固定しなければならず、構成が複雑になるという問題がある。
【0011】
また、特許文献3の発明は、螺旋状の発光管とU字形状の発光管とを組み合わせたものであり、螺旋状の発光管の中央に直線状の発光管を通したものではないため、部品点数が多くなり、組み立て工程が複雑になるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、従来の形状や大きさを変えることなく、発光面積を拡大し、光束密度を上げるとともに、全光束効率を高めることができる発光管および蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る発光管は、1本の管から構成される発光管であって、螺旋状に屈曲した管が折り返されて二重螺旋構造を形成する二重螺旋管部と、前記二重螺旋管部の両端部とそれぞれの一端が繋がり、前記二重螺旋構造の内部を通って直線状に延存し、それぞれの他端には電極が形成されている2本の直線状管部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る蛍光ランプは、前記発光管と、前記各直線状管部の電極が形成されている側の端部を固定する固定部と、前記電極に接続され、前記発光管を点灯させる点灯装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発光面積を拡大し、光束密度を上げ、全光束効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の発光管の一実施の形態の構成例を示す正面図である。
【図2】本発明の発光管の一実施の形態の構成例を示す上面図である。
【図3】本発明の発光管の一実施の形態の構成例を示す下面図である。
【図4】本発明の発光管を用いた電球形蛍光ランプ(D形)の構成例を示す正面視の縦断面図である。
【図5】本発明の発光管を用いた電球形蛍光ランプ(A形)の構成例を示す正面視の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る発光管1は、螺旋状に形成されたスパイラル部1aと、スパイラル部1aの内部(螺旋状の発光管1で囲まれた円筒状の空間)を通る直線状の2本の直線部1b,1cとから構成されている。
【0018】
この螺旋状の発光管1は、例えば次のような手順で作成することができる。まず、両端部1d,1eにそれぞれ電極1m,1nが形成された直線状の発光管1を、両端部1d,1eが近接するように略中央部で折り返す。折り返した部分を折り返し部1fとすると、折り返し部1fから端部1dまでと、折り返し部1fから端部1eまではそれぞれ略直線形状となる。
【0019】
次に、折り返し部1fから端部1d,1eの方向に発光管1を、2つの螺旋構造が互いに噛み合わされた2重螺旋状に変形させ、スパイラル部1aを形成する。その後、スパイラル部1aの内部に両端部1d,1eを通し、2本の直線状の直線部1b,1cを形成する。
【0020】
スパイラル部1aの頭頂部1kにおいて、発光管1の直線部1bは、スパイラル部1aの内部に屈曲部1gで屈曲されて入り込み、スパイラル部1aの外側に発光管1の端部1dが露出する。同様に、スパイラル部1aの頭頂部1kにおいて、発光管1の直線部1cは、スパイラル部1aの内部に屈曲部1hで屈曲されて入り込み、スパイラル部1aの外側に発光管1の端部1eが露出する。
【0021】
図2は、図1の発光管1を紙面上方向から見た上面図である。図2に示すように、発光管1のスパイラル部1aの頭頂部1kにおいて発光管1を屈曲部1g,1hで屈曲させ、電極1m,1nが形成されている側の端部1d,1eをそれぞれスパイラル部1aの内部に通し、直線部1b,1cを形成している(図1)。
【0022】
図3は、図1の発光管1を紙面下方向から見た下面図である。図3に示すように、発光管1の折り返し部1fで折り返された発光管1は、折り返し部1fから螺旋状に変形され、屈曲部1g,1h(図2)で屈曲されてスパイラル部1aの内部に通される。そして、発光管1の端部1d,1eがスパイラル部1aの内部の略中央部(図3の紙面上下および左右方向において略中央部)において外側(図3の紙面に対して手前側の方向)に露出している。
【0023】
このように、発光管1は、スパイラル部1aの内部に直線部1b,1cが通され、電極1m,1nが設けられた端部1d,1eがスパイラル部1aの内部の略中央部から外側にそれぞれ露出する構造となっている。従って、発光面積が拡大され、光束密度が改善されて全光束効率が向上するとともに、スパイラル部1aの内部の略中央部にある端部1d,1eで発光管1を固定することが可能となる。
【0024】
また、例えば、次のような手順でも螺旋状の発光管1を作成することができる。まず、両端部1d,1eにそれぞれ電極1m,1nが形成された直線状の発光管1を、両端部1d,1eが近接するように略中央部で折り返す。折り返した部分を折り返し部1fとすると、折り返し部1fから端部1dまでと、折り返し部1fから端部1eまではそれぞれ略直線形状となる。
【0025】
次に、頭頂部1k(図1)に対応する部分から発光管1を屈曲させて、端部1dから折り返し部1fまでの直線部1bと、端部1eから折り返し部1fまでの直線部1cを螺旋構造が互いに噛み合わされた2重螺旋状に取り囲むように変形させる。このような手順によっても螺旋状の発光管1を作成することができる。
【0026】
続いて、発光管1を用いた電球形蛍光ランプ(D形)10について、図4を参照して説明する。図4に示すように、電球形蛍光ランプ(D形)10は、口金13と、この口金13に固定されたカバー12と、カバー12内に固定されたホルダ11と、ホルダ11に支持された発光管1と、カバー12内に設けられた点灯装置14等からなる。
【0027】
ホルダ11には、直線部1bおよび直線部1cを挿入するための挿通孔15が設けられ、発光管1を固定する。直線部1b,1cは、それぞれスパイラル部1aの内部を通るので、挿通孔15は、ホルダ11の中央に形成することができる。挿通孔15に挿通された直線部1bの端部1dに形成された電極1mおよび直線部1cの端部1eに形成された電極1nは、それぞれ点灯装置14に接続される。
【0028】
点灯装置14から、端部1dに形成された電極1mおよび端部1eに形成された電極1nに電力が供給されると、発光管1が発光する。発光管1は、螺旋状のスパイラル部1aの内部に2本の直線部1b,1cが配置された形状となっており、スパイラル部1a、直線部1b,1cがそれぞれ発光し、発光面積が拡大されている。これにより、光束密度を高めるとともに、全光束効率を向上させることができる。
【0029】
続いて、発光管1を用いた電球形蛍光ランプ(A形)20について、図5を参照して説明する。図5に示すように、電球形蛍光ランプ(A形)20は、図4に示した電球形蛍光ランプ(D形)10に、発光管1を覆うグローブ21を新たに追加した構成となっている。
【0030】
グローブ21は、透明または光拡散性を有する乳白色のガラスまたは合成樹脂等からなり、開口部がホルダ11に固定され、発光管1を覆い発光管1を保護する。
【0031】
図5に示した電球形蛍光ランプ(A形)20においても、図4に示した電球形蛍光ランプ(D形)10の場合と同様に、点灯装置14から、端部1dに形成された電極1mおよび端部1eに形成された電極1nに電力が供給されると、発光管1が発光する。発光管1は、螺旋状のスパイラル部1aの内部に2本の直線部1b,1cが配置された形状となっており、スパイラル部1a、直線部1b,1cがそれぞれ発光し、発光面積が拡大されている。これにより、光束密度を高めるとともに、全光束効率を向上させることができる。
【0032】
さらに、図5に示した電球形蛍光ランプ(A形)20では、グローブ21が発光管1を覆っているので、発光管1を保護することができる。また、発光管1が露出していないため、人が発光管1に直接触れることによる火傷等の事故、発光管1が破損することによる事故等の発生を防止することができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0034】
例えば、上記実施の形態では、本発明をA形とD形の電球形蛍光ランプにそれぞれ適用する場合について説明したが、G形等その他の電球形蛍光ランプにも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 発光管
1a スパイラル部
1k 頭頂部
1b,1c 直線部
1d,1e 端部
1f 折り返し部
1g,1h 屈曲部
1m,1n 電極
10 電球形蛍光ランプ(D形)
11 ホルダ
12 カバー
13 口金
14 点灯装置
15 挿通孔
20 電球形蛍光ランプ(A形)
21 グローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の管から構成される発光管であって、
螺旋状に屈曲した管が折り返されて二重螺旋構造を形成する二重螺旋管部と、
前記二重螺旋管部の両端部とそれぞれの一端が繋がり、前記二重螺旋構造の内部を通って直線状に延存し、それぞれの他端には電極が形成されている2本の直線状管部と、
を備えることを特徴とする発光管。
【請求項2】
前記二重螺旋管部は、
螺旋状に屈曲した第1の螺旋部と、
前記第1の螺旋部の端部と一端が繋がり、折り返しが形成される折り返し部と、
前記折り返し部の他端と繋がり、螺旋状に屈曲した第2の螺旋部と、を備え、
前記第1の螺旋部と前記第2の螺旋部は、互いの螺旋構造が噛み合わされた2重螺旋構造を形成している、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光管。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光管と、
前記各直線状管部の電極が形成されている側の端部を固定する固定部と、
前記電極に接続され、前記発光管を点灯させる点灯装置と、
を備えることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項4】
前記発光管を覆うグローブをさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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