説明

発光装置および、これを用いた照明装置

【課題】黒体軌跡からの偏差を低減し、混色光の色再現性を向上させることができる発光装置および、これを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】複数の固体発光素子群Lの点灯制御を行う点灯制御部2と、固体発光素子群Lの各々の目標出力比を設定する色比率設定部3とを備え、点灯制御部2は固体発光素子群L毎に設けられ、複数の固体発光素子群Lのうち固体発光素子群Lr,Lbが照射する光の色度点同士を結んだ直線は黒体軌跡BLと交差しており、複数の点灯制御部2のうち、固体発光素子群Lrの点灯制御を行う点灯制御部2rと、固体発光素子群Lbの点灯制御を行う点灯制御部Lbとを具備し、点灯制御部2r,2bは、固体発光素子群Lr,Lbの出力比が目標出力比と一致するようにフィードバック制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置および、これを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる色度(赤色,緑色,青色)の光を照射する3つの固体発光素子群の点灯制御を行う点灯制御部を固体発光素子群毎に備えた発光装置がある(例えば、特許文献1参照)。この発光装置は、3つの固体発光素子群の出力を個別に制御し、その出力比を制御することで各個体発光素子群による混色光の色度を可変させている。また、混色光の照度(出力)および光の色度を同時に可変し、快適な照明光を得ることができる発光装置もある。
【0003】
従来の発光装置において、点灯制御部は、固体発光素子群に電流を供給する駆動回路と、この駆動回路を制御する制御回路とを備えている。そして、各個体発光素子群による混色光を所望の色度にするために、各個体発光素子群の出力比が目標出力比と一致するように制御する必要がある。そのために、点灯制御部の各々は、固体発光素子群に供給する電流が各々に設定された目標値となるようにフィードバック制御を行っている。それによって、各個体発光素子群の出力比が目標出力比と一致し、混色光が所望の色度となる。
【0004】
例えば、3つの固体発光素子群が照射する光の色度が、図12に示すXYZ表色系のxy色度図上における色座標Pr(赤色),Pg(緑色),Pb(青色)であるとする。この場合、各個体発光素子群の出力比を所定の目標出力比とすることで、混色光の色度を黒体軌跡BL上の色座標P0とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−176984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、各個体発光素子群による混色光を所望の色度にするためには、固体発光素子群の出力比を目標出力比に一致させる必要がある。しかし、駆動回路や制御回路に用いる部品の個体差等によって、固体発光素子群に供給される電流が目標値からずれるおそれがある。それによって、固体発光素子群の出力が変動し、各個体発光素子群の出力比が目標出力比からずれてしまう。それによって、混色光の色度が所望の色度に対して大きくずれ、混色光の色再現性が低下する。
【0007】
特に、黒体軌跡BLからの偏差duv(以降、偏差duvと称す)が大きい場合、所望の色度に対する混色光の色の違いが大きく感じられる。この偏差duvの変動は、黒体軌跡BLを挟んだ色度に位置する色座標Pr(赤色)と色座標Pg(緑色)とを照射する2つの固体発光素子群の出力比における目標出力比に対するバラツキに起因する。
【0008】
図13に示すように、各目標値に対して、赤色が増加方向,緑色が増加方向,青色が減少方向に出力変動が発生した場合、混色光の色座標はP1となる。また、各目標値に対して、赤色が減少方向,緑色が減少方向,青色が増加方向に出力変動が発生した場合、混色光の色座標はP2となる。このように、赤色と緑色とが目標値に対して同一方向に出力変動が発生した場合、赤色と緑色の出力比は目標出力比に対するバラツキが小さい。この場合、混色光の色度の偏差duvは小さく、所望の色度(色座標P0)に対する混色光の色の違いは大きく感じられない。
【0009】
しかし、各目標値に対して、赤色が増加方向,緑色が減少方向,青色が減少方向に出力変動が発生した場合、混色光の色座標はP3となる。また、各目標値に対して、赤色が増加方向,緑色が減少方向,青色が増加方向に出力変動が発生した場合、混色光の色座標はP4となる。また、各目標値に対して、赤色が減少方向,緑色が増加方向,青色が増加方向に出力変動が発生した場合、混色光の色座標はP5となる。また、各目標値に対して、赤色が減少方向,緑色が増加方向,青色が減少方向に出力変動が発生した場合、混色光の色座標はP6となる。このように、赤色と緑色とが目標値に対して異なる方向に出力変動が発生した場合、赤色と緑色の出力比は目標出力比に対するバラツキが大きい。この場合、混色光の色度の偏差duvが大きくなり、所望の色度(色座標P0)に対する混色光の色の違いが大きく感じられる。
【0010】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、黒体軌跡からの偏差を低減し、混色光の色再現性を向上させることができる発光装置および、これを用いた照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発光装置は、互いに異なる色度の光を照射する複数の固体発光素子群の点灯制御を行う点灯制御部と、前記固体発光素子群の各々の目標出力比を設定する色比率設定部とを備え、前記点灯制御部は前記固体発光素子群毎に設けられ、XYZ表色系のxy色度図上において、複数の前記固体発光素子群のうち第1,第2の固体発光素子群が照射する光の色度点同士を結んだ直線は黒体軌跡と交差しており、複数の前記点灯制御部は、前記第1の固体発光素子群の点灯制御を行う第1の点灯制御部と、前記第2の固体発光素子群の点灯制御を行う第2の点灯制御部とを具備し、前記第1,第2の点灯制御部は、前記第1,第2の固体発光素子群の出力比が前記目標出力比と一致するようにフィードバック制御することを特徴とする。
【0012】
この発光装置において、前記第1の点灯制御部は、前記第1の固体発光素子群に電力を供給する第1の駆動回路と、前記第1の駆動回路が前記第1の固体発光素子群に供給する電力を検出する第1の検出部と、前記第1の検出部の検出結果と、所定の第1の基準値とが一致するように前記第1の駆動回路をフィードバック制御する第1の制御回路とで構成され、前記第2の点灯制御部は、前記第2の固体発光素子群に電力を供給する第2の駆動回路と、前記第2の駆動回路が前記第2の固体発光素子群に供給する電力を検出する第2の検出部と、前記第1の検出部の検出結果に基づく第2の基準値と、第2の検出部の検出結果とが一致するように前記第2の駆動回路をフィードバック制御する第2の制御回路とで構成されることが好ましい。
【0013】
この発光装置において、前記第1の基準値を変動させる出力制御部を備えることが好ましい。
【0014】
この発光装置において、前記第1,第2の駆動回路は、前記目標出力比に基づいてオン期間が各々設定された間欠電流を前記第1,第2の固体発光素子群に供給しており、前記第1,第2の検出部は、前記オン期間において前記第1,第2の駆動回路から前記第1,第2の固体発光素子群に供給される電流の振幅値を検出しており、前記第1の制御回路は、前記オン期間において前記第1の固体発光素子群に流れる電流の振幅値が、前記第1の基準値と一致するようにフィードバック制御を行い、前記第2の制御回路は、前記オン期間において前記第2の固体発光素子群に流れる電流の振幅値が、前記オン期間において前記第1の固体発光素子群に流れる電流の振幅値と一致するようにフィードバック制御を行うことが好ましい。
【0015】
この発光装置において、前記第2の基準値は、前記第1の固体発光素子群に対する第2の固体発光素子群の前記目標出力比を前記第1の検出部の検出結果に乗算することで生成されることが好ましい。
【0016】
この発光装置において、前記第1,第2の固体発光素子群の合計出力に対する、前記第1の検出部の検出結果と前記第1の基準値との差の割合を算出する誤差算出部を備え、前記第2の基準値は、前記第1の固体発光素子群に対する前記第2の固体発光素子群の目標出力比を前記誤差算出部の算出結果に乗算し、当該乗算結果と前記目標出力比に応じた第3の基準値とを加算することで生成されることが好ましい。
【0017】
この発光装置において、前記第1,第2の検出部の検出結果を加算することで合計検出結果を生成する加算部と、前記合計検出結果を所定の比率で分割した前記第1,第2の点灯制御部毎に分割検出結果を生成し、当該分割検出結果を前記第1,第2の点灯制御部の各々に出力する分割部とを備え、前記第1,第2の制御回路は、自己に出力された前記分割検出結果が、自己に設定された基準値に一致するようにフィードバック制御することが好ましい。
【0018】
この発光装置において、前記第1,第2の駆動回路は、前記目標出力比に基づいてオン期間が各々設定された間欠電流を前記第1,第2の固体発光素子群に供給しており、前記第1,第2の検出部は、前記オン期間において前記第1,第2の駆動回路から前記第1,第2の固体発光素子群に供給される電流の振幅値を検出しており、前記加算部は、前記オン期間において前記第1,第2の固体発光素子群の各々に流れる電流の振幅値を加算することで前記合計検出結果を生成し、前記分割部は、前記合計検出結果を2で除算することで前記分割検出結果を生成することが好ましい。
【0019】
この発光装置において、前記分割部は、前記合計検出結果を前記目標出力比に基づいて分割することで前記第1,第2の点灯制御部毎に前記分割検出結果を生成し、当該分割検出結果を前記第1,第2の点灯制御部の各々に出力することが好ましい。
【0020】
本発明の照明装置は、互いに異なる色度の光を照射する複数の固体発光素子群の点灯制御を行う点灯制御部と、前記固体発光素子群の各々の目標出力比を設定する色比率設定部とを備え、前記点灯制御部は前記固体発光素子群毎に設けられ、XYZ表色系のxy色度図上において、複数の前記固体発光素子群のうち第1,第2の固体発光素子群が照射する光の色度点同士を結んだ直線は黒体軌跡と交差しており、複数の前記点灯制御部は、前記第1の固体発光素子群の点灯制御を行う第1の点灯制御部と、前記第2の固体発光素子群の点灯制御を行う第2の点灯制御部とを具備し、前記第1,第2の点灯制御部は、前記第1,第2の固体発光素子群の出力比が前記目標出力比と一致するようにフィードバック制御する発光装置と、前記発光装置によって点灯される複数の固体発光素子群と、前記発光装置を収納し、前記複数の固体発光素子群が取り付けられる器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明では、黒体軌跡からの偏差を低減し、混色光の色再現性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1の発光装置のブロック構成図である。
【図2】(a)〜(c)電流の波形図である。
【図3】実施形態2の発光装置のブロック構成図である。
【図4】(a)〜(c)制御信号の波形図である。
【図5】(a)〜(c)制御信号の波形図である。
【図6】誤差増幅器の別構成を示す回路図である。
【図7】実施形態3の発光装置のブロック構成図である。
【図8】(a)(b)制御信号の波形図である。
【図9】実施形態4の発光装置のブロック構成図である。
【図10】実施形態5の発光装置のブロック構成図である。
【図11】(a)実施形態6の照明装置の外観図である。(b)実施形態6の照明装置の下面図である。
【図12】xy色度図である。
【図13】xy色度図の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(実施形態1)
本発明の実施形態1の発光装置1のブロック構成図を図1に示す。
【0025】
本実施形態の発光装置1は、赤色の光を照射する固体発光素子群Lrと、緑色の光を照射する固体発光素子群Lgと、青色の光を照射する固体発光素子群Lbとを所定の出力比で点灯させ、その混色光を照射するものである。固体発光素子群Lr,Lg,Lbは、赤色,緑色,青色の光を照射する固体発光素子(発光ダイオード)が3個直列接続されることで構成されている。なお、固体発光素子群Lr,Lg,Lbを個別に識別しない場合は、固体発光素子群Lと称す。なお、本実施形態の固体発光素子群Lは、3個の固体発光素子が直列接続されることで構成されているが、異なる個数の固体発光素子が直並列接続されることで構成されていてもよい。
【0026】
図12に示すXYZ表色系のxy色度図上において、固体発光素子群Lrが照射する光の色座標はPr,固体発光素子群Lgが照射する光の色座標はPg,固体発光素子群Lbが照射する光の色座標はPbとなる。図12に示すように、色座標Prと色座標Pgとを結ぶ直線は、黒体軌跡BLと交差する。そして、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力比を目標出力比とすることで、混色光の色度が黒体軌跡BL上の色座標P0となる。また、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力比を変動させることで、混色光の色度を黒体軌跡BLに沿って変動させる。なお、固体発光素子群Lrが本願発明の第1の固体発光素子群に相当し、固体発光素子群Lgが本願発明の第2の固体発光素子群に相当する。
【0027】
本実施形態の発光装置1は、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの点灯制御を行う点灯制御部2r,2g,2bと、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの目標出力比を設定する色比率設定部3と、出力制御部4とで構成されている。そして、本実施形態の発光装置1は、点灯制御部2r,2g,2bが固体発光素子群Lr,Lg,Lbに間欠電流を供給し、そのオン期間を制御することで固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力を制御するバースト調光を行う。そして、点灯制御部2r,2g,2bは、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力比が目標出力比となるように制御する。なお、点灯制御部2r,2g,2bは同一構成である。以下、点灯制御部2rに関連する構成には符号の末尾に「r(R)」を付し、点灯制御部2gに関連する構成には符号の末尾に「g(G)」を付し、点灯制御部2bに関連する構成には符号の末尾に「b(B)」を付し、個別に識別しない場合は末尾のアルファベットを省略する。
【0028】
本実施形態の色比率設定部3は、マイクロコンピュータ31(以下、マイコン31と略称する)で構成されており、マイコン31には各固体発光素子群Lの目標出力比が設定されている。そして、マイコン31は、この目標出力比に基づいて各点灯制御部2が固体発光素子群Lに供給する電流Iのオン期間を決定し、各点灯制御部2に指示する。そして、各点灯制御部2は、電流Iのオン期間がマイコン31によって指示された値となるように制御した電流Iを各個体発光素子群Lに供給する。
【0029】
次に、点灯制御部2の具体的な構成および制御について説明する。点灯制御部2は、駆動回路21と、制御回路22と、誤差増幅器23と、電流検出部24と、ピーク電流検出部25とで構成されている。
【0030】
駆動回路21は、固体発光素子群Lに電流Iを供給することで、固体発光素子群Lを点灯させる。
【0031】
制御回路22は、駆動回路21を制御することで電流Iを制御する。図2(a)〜(c)に示すように、電流Ir,Ig,Ibはオン期間とオフ期間とを繰り返す間欠電流で構成されている。制御回路22r,22g,22bは、マイコン31からの指示に基づいて、期間T1におけるオン期間Ton1r,Ton1g,Ton1bを制御する。
【0032】
電流検出部24は、駆動回路21から固体発光素子群Lに供給される電流Iを検出し、検出結果をピーク電流検出部25に出力する。
【0033】
ピーク電流検出部25は、電流検出部24の検出結果からオン期間Ton1における電流Iの振幅値(以降、ピーク値Ipと称す)を取得し、このピーク値Ipに応じた検出電圧VIpを生成し、誤差増幅器23に出力する。なお、電流検出部24rとピーク電流検出部25rとが本願発明の第1の検出部に相当し、電流検出部24gとピーク電流検出部25gとが本願発明の第2の検出部に相当する。
【0034】
ここで、点灯制御部2r(第1の点灯制御部)に設けられた誤差増幅器23rの入力端子には、ピーク電流検出部25rと出力制御部4とが接続されており、ピーク電流検出部25rから出力される検出電圧VIprと、出力制御部4から出力される基準電圧Vref(第1の基準値)とが印加される。なお、この基準電圧Vrefは、電流Irのピーク値Iprの目標値に相当する。そして、誤差増幅器23rは、検出電圧VIprと基準電圧Vrefとの差分を制御回路22rに出力する。
【0035】
また、点灯制御部2bに設けられた誤差増幅器23bの入力端子には、ピーク電流検出部25bと出力制御部4とが接続されており、誤差増幅器23rは、検出電圧VIpbと基準電圧Vrefとの差分を制御回路22bに出力する。
【0036】
制御回路22r(第1の制御回路)は、上述したようにマイコン31からの指示に基づいて電流Irのオン期間Ton1rを制御すると共に、誤差増幅器23rの出力に基づいて駆動回路21r(第1の駆動回路)を制御することで電流Irのピーク値Iprのフィードバック制御を行う。同様に、制御回路22bも、電流Ibのオン期間Ton1bを制御すると共に、誤差増幅器23bの出力に基づいて電流Ibのピーク値Ipbのフィードバック制御を行う。
【0037】
また、マイコン31の指示通りに各電流Iのオン期間Ton1を制御したとしても、各電流Ir,Igのピーク値Ipr,Ipgに相対バラツキが発生した場合、各個体発光素子群Lによる混色光の色度の偏差duvが大きくなる。それによって、各固体発光素子群Lによる混色光の色度と所望の色度との違いが大きく感じられる。
【0038】
しかし、本実施形態では、点灯制御部2g(第2の点灯制御部)に設けられた誤差増幅器23gの入力端子には、ピーク電流検出部25gとピーク電流検出部25rとが接続されている。そして、誤差増幅器23gは、ピーク電流検出部25gから出力される検出電圧VIpgと、ピーク電流検出部25rから出力される検出電圧VIprとが印加される。すなわち、検出電圧VIprが電流Igのピーク値Ipgの基準値(目標値)となる。そして、誤差増幅器23gは、検出電圧VIpgと検出電圧VIprとの差分を制御回路22gに出力する。なお、電流検出部24gとピーク電流検出部25gとが本願発明の第2の検出部に相当し、検出電圧VIprが本願発明の第2の基準値に相当する。
【0039】
制御回路22g(第2の制御回路)は、上述したようにマイコン31からの指示に基づいて電流Igのオン期間Ton1gを制御すると共に、誤差増幅器23gの出力に基づいて駆動回路21g(第2の駆動回路)をフィードバック制御する。すなわち、制御回路22gは、電流Igのピーク値Ipgが、電流Irのピーク値Iprに一致するようにフィードバック制御を行う。
【0040】
このように、本実施形態では、黒体軌跡BLを挟んだ色座標Pr,Pgの光を照射する固体発光素子群Lr,Lgのうち、一方(固体発光素子群Lr)の出力を基準として、他方(固体発光素子群Lg)の出力のフィードバック制御を行う。例えば、電流Irのピーク値Iprが増加方向に変動した場合、電流Igのピーク値Ipgも増加方向に変動する。すなわち、目標出力比に対する固体発光素子群Lr,Lgの出力比のバラツキが低減される。それによって、各個体発光素子群Lによる混色光の色度の偏差duvが低減し、色再現性が向上する。
【0041】
なお、本実施形態では点灯制御部2rの出力を基準としているが、点灯制御部2gの出力を基準としてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、出力制御部4が出力する基準電圧Vrefを変動すれば、各電流Iのピーク値Ipが変動する。すなわち、基準電圧Vrefを変動させるのみで、各個体発光素子群Lによる混色光の色温度を維持した状態で、出力を変動させることができるので、混色光の出力調整が容易となる。
【0043】
また、本実施形態では、赤色を照射する固体発光素子群Lr,緑色を照射する固体発光素子群Lg,青色を照射する固体発光素子群Lbによる混色光を照射するように構成しているが、他の色を照射する固体発光素子群Lを用いてもよい。例えば、青色の代わりに高色温度の白色を照射する固体発光素子群Lを用いてもよい。また、三色の固体発光素子群Lによる混色光に限定するものではなく、異なる色数による混色光を照射するように構成してもよい。
【0044】
(実施形態2)
本実施形態の発光装置1のブロック構成図を図3に示す。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0045】
本実施形態の発光装置1は、点灯制御部2r,2g,2bが固体発光素子群Lr,Lg,Lbに直流電流(定常電流)を供給し、その振幅を制御することで固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力を制御する振幅調光を行う。そして、点灯制御部2r,2g,2bは、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力比が目標出力比となるように制御する。
【0046】
本実施形態の色比率設定部3は、マイコン31と、基準電圧生成部32r,32g,32bとで構成されている。
【0047】
基準電圧生成部32r,32bは、出力制御部4から出力される制御電圧V1を電源としており、マイコン31から出力される制御信号S1r,S1bに基づいて基準電圧VrefR,VrefBを生成する。図4(a)(c)に示すように、制御信号S1r,S1bはPWM信号で構成されており、マイコン31は、固体発光素子群Lr,Lbの目標出力に基づいて制御信号S1r,S1bのオン期間Ton2r,Ton2bを決定している。したがって、生成される基準電圧VrefR,VrefBは、VrefR=V1×Ton2r/T2、VrefB=V1×Ton2b/T2となる。
【0048】
そして、基準電圧生成部32r,32bは、生成した基準電圧VrefR,VrefBを誤差増幅器23r,23bに出力する。この基準電圧VrefR,VrefBが固体発光素子群Lr,Lbに供給される電流Ir,Ibの振幅の目標値に相当し、基準電圧VrefRが本願発明の第1の基準値に相当する。
【0049】
また、各電流検出部24は、固体発光素子群Lに供給される電流Iの振幅を検出しており、電流Iの振幅に応じた検出電圧VI1を誤差増幅器23に出力している。なお、本実施形態では、電流検出部24rが第1の検出部に相当し、電流検出部24gが第2の検出部に相当する。
【0050】
したがって、誤差増幅器23rの入力端子には、基準電圧生成部32rと電流検出部24rとが接続されており、誤差増幅器23rは、基準電圧VrefRと検出電圧VI1rとの差分を制御回路22rに出力する。同様に、誤差増幅器23bの入力端子には、基準電圧生成部32bと電流検出部24bとが接続されており、誤差増幅器23bは、基準電圧VrefBと検出電圧VI1bとの差分を制御回路22bに出力する。
【0051】
制御回路22r,22bは、誤差増幅器23r,23bの出力に基づき、検出電圧VI1r,VI1bが基準電圧VrefR,VrefBに一致するように電流Ir,Ibの振幅のフィードバック制御を行う。
【0052】
また、本実施形態では、電流検出部24rの出力端子は、増幅器33を介して基準電圧生成部32gに接続されている。増幅器33は、電流検出部24rが出力する検出電圧VIrをK倍に増幅した検出電圧VI2rを生成して基準電圧生成部32gに出力する。
【0053】
基準電圧生成部32gは、抵抗R1g,R2gと、スイッチング素子Q1gと、コンデンサC1gとで構成されている。抵抗R1g,R2gとスイッチング素子Q1gとが直列接続され、抵抗R2gとスイッチング素子Q1gとからなる直列回路と並列にコンデンサC1gが接続されている。抵抗R1gの降圧側が増幅器33の出力端子に接続されており、検出電圧VI2rが印加される。また、スイッチング素子Q1gは、nチャネルMOSFETで構成され、抵抗R2gとグランドとの間に介挿されている。スイッチング素子Q1gのゲートは、マイコン31に接続されており、制御信号S2gに基づいてオン・オフすることで、抵抗R2gとグランドとの間を導通・遮断する。それによって、コンデンサC1gの両端間に、制御信号S3gのオン期間Ton3gに応じて検出電圧VI2rを平滑(分圧)した基準電圧VrefGが生成される。
【0054】
マイコン31からスイッチング素子Q1gに出力される制御信号S2gは、図4(b)に示すようにPWM信号で構成されている。制御信号S2gの期間T3におけるオン期間Ton3gは、目標出力比に基づいて決定される。具体的には、固体発光素子群Lrに対する固体発光素子群Lgの目標出力比が、期間T3に対するオン期間Ton3gとなるように、オン期間Ton3gを決定している。したがって、基準電圧生成部32gで生成される基準電圧VrefGは、VrefG=VI2r×Ton3g/T3となる。この基準電圧VrefGが本願発明の第2の基準値に相当し、固体発光素子群Lgに供給される電流Igの振幅の目標値となる。なお、本実施形態では図4(a)〜(c)に示すように、制御信号S1r,S1bの期間T2と、制御信号S2gの期間T3とを同じ期間にしている。
【0055】
そして、誤差増幅器23gは、基準電圧VrefGと検出電圧VI1gとの差分を制御回路22gに出力する。制御回路22gは、誤差増幅器23gの出力に基づき、検出電圧VI1gが基準電圧VrefGに一致するように電流Igの振幅のフィードバック制御を行う。
【0056】
図5(a)〜(c)に示すように、従来では、制御信号S1r,S1g,S1bを用いて制御電圧V1を平滑(分圧)することで生成した基準電圧VrefR,VrefG,VrefBの比が目標出力比となるように制御していた。しかし、誤差増幅器23のオフセットバラツキや駆動回路21の部品バラツキにより、電流Iの振幅が目標値に対してバラツキが発生する。したがって、各個体発光素子群Lの混色光の色再現性を高めるためには、個体発光素子L毎に出力調整が必要となるため困難であった。
【0057】
しかし、本実施形態では、点灯制御部2rの出力を基準にして、点灯制御部2gの基準電圧VrefGを生成し、電流Igのフィードバック制御を行っている。したがって、点灯制御部2rが出力する電流Irの振幅が目標値(基準電圧VrefR)に対して変動した場合であっても、この変動を考慮した基準電圧VrefGが生成される。それによって、電流Igの振幅が、電流Irと同一方向に変動するので、目標出力比に対する固体発光素子群Lr,Lgの出力比のバラツキが低減される。それによって、各個体発光素子群Lによる混色光の偏差duvが低減し、色再現性が向上する。
【0058】
また、本実施形態では増幅器33を用いて、検出電圧VI1rを増幅した検出電圧VI2rを生成し、この検出電圧VI2rを平滑することで基準電圧VrefGを生成している。したがって、図4(b)の破線に示すように、Ton3gを大きくし、基準電圧VrefGを検出電圧VI1rより大きくすることができ、固体発光素子群Lgの出力を固体発光素子群Lrよりも大きくすることができる。なお、固体発光素子群Lrの目標出力が固体発光素子群Lgの目標出力より常に大きい場合は、増幅器33を省略し、検出電圧VI1rを平滑して基準電圧VrefGを生成するように構成してもよい。
【0059】
また、固体発光素子群Lrの目標出力が固体発光素子群Lgの目標出力より常に大きい場合は、誤差増幅器23を図6に示すように構成してもよい。
【0060】
誤差増幅器23rは、オペアンプ231rとコンデンサC2rと抵抗R3rとで構成されている。オペアンプ231rは、非反転入力端子に基準電圧VrefRが印加され、反転入力端子に抵抗R3rを介して検出電圧VI1rが印加され、反転入力端子と出力端子との間にコンデンサC2が介挿されている。そして、制御回路22rは、オペアンプ231rの出力に基づき、検出電圧VI1rと基準電圧VrefRとが一致するように、電流Irの振幅のフィードバック制御を行う。なお、誤差増幅器23bは、誤差増幅器23rと同一構成であるので、説明は省略する。
【0061】
また、誤差増幅器23gは、オペアンプ231gとコンデンサC2gと抵抗R3g,R4gとで構成されている。オペアンプ231gは、非反転入力端子に検出電圧VI1rが印加され、反転入力端子には、抵抗R3gを介して印加される検出電圧VI1gと、抵抗R4gを介して印加される基準電圧VrefG2とを加算した電圧が印加される。
【0062】
基準電圧生成部32gは、基準電圧VrefRを電源としており、マイコン31から出力される制御信号S3gに基づいて基準電圧VrefRを平滑した基準電圧VrefG2を生成する。
【0063】
制御信号S3gはPWM信号で構成されており、目標出力比に基づいてオンデューティが決定される。具体的には、制御信号S3gのオンデューティは、固体発光素子群Lrの目標出力に対する固体発光素子群Lrと固体発光素子群Lgとの目標出力差となるように決定される。固体発光素子群Lr,Lgの目標出力をVrefR,VrefGとした場合、「固体発光素子群Lrの目標出力に対する固体発光素子群Lrと固体発光素子群Lgとの目標出力差」は、(1−VrefG/VrefR)に相当する。したがって、基準電圧生成部32gで生成される基準電圧VrefG2は、VrefG2=VrefR×(1−VrefG/VrefR)となる。
【0064】
そして、制御回路22gは、検出電圧VI1rと、検出電圧VI1g+基準電圧VrefG2とが一致するようにフィードバック制御を行う。すなわち、点灯制御部2rの出力(検出電圧VI1r)から目標出力差である基準電圧VrefG2を減算した値が基準値となり、電流Igの振幅のフィードバック制御を行う。
【0065】
このように、電流Irの振幅を基準にして電流Igの振幅のフィードバック制御を行うので、上記同様の効果があり、目標出力比に対する固体発光素子群Lr,Lgの出力比のバラツキが低減される。それによって、各個体発光素子群Lによる混色光の偏差duvが低減し、色再現性が向上する。
【0066】
(実施形態3)
本実施形態の発光装置1のブロック構成図を図7に示す。なお、実施形態2と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0067】
本実施形態の発光装置1は、点灯制御部2r,2g,2bが固体発光素子群Lr,Lg,Lbに直流電流を供給し、その振幅を制御することで固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力を制御する振幅調光を行う。そして、点灯制御部2r,2g,2bは、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力比が目標出力比となるように制御する。
【0068】
本実施形態の発光装置1は、点灯制御部2r,2g,2bと、色比率設定部3と、出力制御部4と、誤差算出部5と、加算器6とで構成されている。
【0069】
基準電圧生成部32r,32gは、出力制御部4から出力される制御電圧V1を電源としており、マイコン31から出力される制御信号S4r,S4gに基づいて基準電圧VrefR,VrefGを生成する。
【0070】
図8(a)(b)に示すように、制御信号S4r,S4gはPWM信号で構成されており、マイコン31は、目標出力比に基づいて制御信号S4r,S4gのオン期間Ton4r,Ton4gを決定している。具体的には、マイコン31は、期間T4に対するオン期間Ton4r,Ton4gの比が、固体発光素子群Lr,Lgの合計出力に対する固体発光素子群Lr,Lgの出力比となるようにオン期間Ton4r,Ton4gを決定している。すなわち、期間T4が固体発光素子群Lr,Lgの合計出力に相当し、マイコン31は、目標出力比に基づき、Ton4r+Ton4g=T4となるように、オン期間Ton4r,Ton4gを決定している。
【0071】
そして、基準電圧生成部32r,32gは、制御信号S4r,S4gに基づいて出力制御部4から出力される制御電圧V1を平滑(分圧)した基準電圧VrefR,VrefGを生成する。すなわち、制御電圧V1が個体発光素子群Lr,Lgの合計出力に相当し、この制御電圧V1を目標出力比に基づいて、基準電圧VrefR,VrefGに分割している。したがって、この基準電圧VrefR,VrefGは、VrefR=V1×Ton4r/T4,VrefG=V1×Ton4b/T4となる。
【0072】
また、基準電圧生成部32bは、マイコン31の指示に基づき、基準電圧VrefR,VrefG,VrefBの比が、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの目標出力比と一致するように、基準電圧VrefBを生成して誤差増幅器23bに出力している。
【0073】
そして、誤差増幅器23rは、検出電圧VI1rと基準電圧VrefRとの差分を制御回路22rに出力する。制御回路22rは、検出電圧VIrが基準電圧VrefRに一致するように電流Irの振幅のフィードバック制御を行う。同様に、誤差増幅器23bは、検出電圧VI1bと基準電圧VrefBとの差分を制御回路22bに出力する。制御回路22bは、検出電圧VIbが基準電圧VrefBに一致するように電流Ibの振幅のフィードバック制御を行う。
【0074】
誤差増幅器23rのオフセットバラツキや駆動回路21の部品バラツキによって、検出電圧VIrと基準電圧VrefRとに誤差が発生する場合がある。そこで、本実施形態では、この誤差を検出し、目標出力比に基づいて基準電圧VrefGの補正を行う。
【0075】
誤差算出部5は、減算器51と増幅器52と平滑部53とで構成されている。
【0076】
減算器51は、電流検出部24rおよび基準電圧生成部32rが入力端子に接続されており、検出電圧VI1rから基準電圧VrefRを減算した値を増幅器52に出力する。増幅器52は、減算器51の出力を(T4/Ton4r)倍に増幅した誤差電圧VIDを生成して平滑部53に出力する。なお、この誤差電圧VIDが、電流Ir,Igの合計電流に対する誤差に相当する。
【0077】
平滑部53は、フォロア531と、抵抗R5,R6と、コンデンサC3と、スイッチング素子Q2とで構成されている。フォロア531gと抵抗R5,R6とスイッチング素子Q2とが直列接続され、抵抗R6とスイッチング素子Q2とからなる直列回路と並列にコンデンサC3が接続されている。スイッチング素子Q2は、nチャネルMOSFETで構成され、抵抗R6とグランドとの間に介挿されている。スイッチング素子Q2のゲートは、マイコン31に接続されており、制御信号S4gに基づいてオン・オフすることで、抵抗R2とグランドとの間を導通・遮断し、コンデンサC3の両端に生成される誤差電圧VIDgを変動させる。なお、スイッチング素子Q2に出力される制御信号S4gは、基準電圧生成部32gに出力される制御信号S4gと同一である。すなわち、誤差電圧VIDgは、誤差電圧VIDを目標出力比に基づいて分配したものであり、VIDg=VID×Ton4g/T4となる。
【0078】
加算器6は、基準電圧生成部32gおよび平滑部53が入力端子に接続されており、基準電圧VrefGと誤差電圧VIDgとを加算することで基準電圧VrefG3を生成し、誤差増幅器23gに出力する。そして、制御回路22gは、誤差増幅器23gの出力に基づいて、検出電圧VI1gと基準電圧VrefG3とが一致するように、電流Igの振幅のフィードバック制御を行う。なお、本実施形態では、基準電圧VrefGが本願発明の第3の基準値に相当し、基準電圧VrefG3が本願発明の第2の基準値に相当する。
【0079】
このように、本実施形態では、検出電圧VI1rと基準電圧VrefRとの誤差を検出し、この誤差を基準にして基準電圧VrefGを補正することで、基準電圧VrefG3を生成している。そして、基準電圧VrefG3を基準にしてフィードバック制御を行っている。すなわち、点灯制御部2rの出力誤差を反映した基準電圧VrefG3を基準値として電流Igの振幅のフィードバック制御を行う。それによって、電流Irの振幅の誤差方向と同一方向に電流Ibの振幅が変動するので、目標出力比に対する固体発光素子群Lr,Lgの出力比のバラツキが低減される。それによって、各個体発光素子群Lによる混色光の偏差duvが低減し、色再現性が向上する。
【0080】
(実施形態4)
本発明の実施形態4の発光装置1のブロック構成図を図9に示す。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0081】
本実施形態の発光装置1は、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの点灯制御を行う点灯制御部2r,2g,2bと、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの目標出力比を設定する色比率設定部3と、出力制御部4と、加算部7と、分割部8とで構成されている。そして、本実施形態の発光装置1は、点灯制御部2r,2g,2bが固体発光素子群Lr,Lg,Lbに間欠電流を供給し、そのオン期間を制御することで固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力を制御するバースト調光を行う。そして、点灯制御部2r,2g,2bは、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力比が目標出力比となるように制御する。
【0082】
本実施形態の色比率設定部3は、マイコン31で構成されており、マイコン31には各固体発光素子群Lの目標出力比が設定されている。そして、マイコン31は、この目標出力比に基づいて各点灯制御部2が固体発光素子群Lに供給する電流Iのオン期間を決定し各点灯制御部2に指示する。そして、各点灯制御部2は、電流Iのオン期間がマイコン31によって指示された値となるように制御した電流Iを個体発光素子群Lに供給する。なお、本実施形態では、点灯制御部2rが本願発明の第1の点灯制御部に相当し、点灯制御部2gが本願発明の第2の点灯制御部に相当する。
【0083】
次に、点灯制御部2の具体的な構成および制御について説明する。点灯制御部2は、駆動回路21と、制御回路22と、誤差増幅器23と、電流検出部24と、ピーク電流検出部25とで構成されている。
【0084】
駆動回路21は、固体発光素子群Lに電流Iを供給することで、固体発光素子群Lを点灯させる。なお、本実施形態では、駆動回路21rが本願発明の第1の駆動回路に相当し、駆動回路21gが本願発明の第2の駆動回路に相当する。
【0085】
制御回路22は、駆動回路21を制御することで電流Iを制御する。図2(a)〜(c)に示すように、電流Ir,Ig,Ibはオン期間とオフ期間とを繰り返す間欠電流で構成されている。制御回路22r,22g,22bは、マイコン31からの指示に基づいて、期間T1におけるオン期間Ton1r,Ton1g,Ton1bを制御する。なお、本実施形態では、制御回路22rが本願発明の第1の制御回路に相当し、制御回路22gが本願発明の第2の制御回路に相当する。
【0086】
電流検出部24は、駆動回路21から固体発光素子群Lに供給される電流Iを検出し、検出結果をピーク電流検出部25に出力する。
【0087】
ピーク電流検出部25は、電流検出部24の検出結果からオン期間Ton1における電流Iの振幅値(以降、ピーク値Ipと称す)を取得し、このピーク値Ipに応じた検出電圧VIpを生成して加算部7に出力する。なお、本実施形態では、電流検出部24rとピーク電流検出部25rとが本願発明の第1の検出部に相当し、電流検出部24gとピーク電流検出部25gとが本願発明の第2の検出部に相当する。
【0088】
加算部7は、ピーク電流検出部25r,25gから出力される検出電圧VIpr,VIpgを加算した合計検出電圧VIpt(=VIpr+VIpg)を生成して分割部8に出力する。
【0089】
本実施形態の分割部8は、分圧器81で構成されており、加算部7から出力される合計検出電圧VIptを2等分する。すなわち、分圧器81は、検出電圧VIpr,VIpgの平均値である平均検出電圧VIpa(-=(VIpr+VIpg)/2)を生成する。そして、分圧器81は、生成した平均検出電圧VIpaを、誤差増幅器23r,23gに出力する。なお、平均検出電圧VIpaが、本願発明の分割検出結果に相当する。
【0090】
誤差増幅器23r,23gの入力端子は、分圧器81と出力制御部4とが接続されており、分圧器81から出力される平均検出電圧VIpaと、出力制御部4から出力される基準電圧Vrefとの差分を制御回路22r,22gに出力する。また、誤差増幅器23bの入力端子は、ピーク電流検出部25bと出力制御部4とが接続されており、検出電圧VIpbと基準電圧Vrefとの差分を制御回路22bに出力する。
【0091】
各制御回路22は、上述したようにマイコン31からの指示に基づいて電流Iのオン期間Ton1を制御すると共に、誤差増幅器23の出力に基づいて電流Iのピーク値Ipのフィードバック制御を行う。
【0092】
マイコン31の指示通りに各電流Iのオン期間Ton1を制御したとしても、電流Ir,Igのピーク値Ipr,Ipgに相対バラツキが発生した場合、固体発光素子群Lr,Lgの出力比が目標出力比に対してずれてしまう。それによって、各固体発光素子群Lによる混色光の偏差duvが大きくなってしまう。
【0093】
しかし、本実施形態では、電流Ir,Igのピーク値Ipr,Ipgの平均値(平均検出電圧VIpa)を検出結果として、点灯制御部2r,2gが電流Ir,Igのピーク値Ipr,Ipgのフィードバック制御を行う。すなわち、電流Ir,Igのピーク値Ipr,Ipgの平均値が基準電圧Vrefとなるように制御されるので、電流Ir,Igのピーク値Ipr,Ipgの相対バラツキが低減する。それによって、各個体発光素子群Lによる混色光の偏差duvが低減し、色再現性が向上する。
【0094】
さらに、平均検出電圧VIpaを検出結果として、電流Ir,Ibのピーク値Ipr,Ipbのフィードバック制御を行うことで、基準電圧Vrefに対する電流Ir,Ibのピーク値Ipr,Ipbのバラツキが均一化される。
【0095】
また、本実施形態では、出力制御部4が出力する基準電圧Vrefを変動すれば、フィードバック制御によって各電流Iのピーク値Ipが変動する。すなわち、基準電圧Vrefを変動させるのみで、各個体発光素子群Lによる混色光の色度を維持した状態で、出力を変動させることができるので、混色光の出力調整が容易となる。
【0096】
なお、本実施形態では、点灯制御部2r,2gに誤差増幅器23r,23gを設けているが、誤差増幅器23を1つにし、平均検出電圧VIpaと基準電圧Vrefと差分制御回路22r,22gに出力するように構成してもよい。それによって、誤差増幅器23の数を減らすことができ、構成を簡略化することができる。
【0097】
(実施形態5)
本実施形態の発光装置1のブロック構成図を図10に示す。なお、実施形態4と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0098】
本実施形態の発光装置1は、点灯制御部2r,2g,2bが固体発光素子群Lr,Lg,Lbに直流電流(定常電流)を供給し、その振幅を制御することで固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力を制御する振幅調光を行う。そして、点灯制御部2r,2g,2bは、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの出力比が目標出力比となるように制御する。
【0099】
本実施形態の色比率設定部3は、マイコン31と、基準電圧生成部32r,32g,32bとで構成されている。
【0100】
基準電圧生成部32r,32gは、出力制御部4から出力される制御電圧V1を電源としており、マイコン31から出力される制御信号S1r,S1gに基づいて基準電圧VrefR,VrefGを生成する。
【0101】
図8(a)(b)に示すように、制御信号S4r,S4gはPWM信号で構成されており、マイコン31は、目標出力比に基づいて制御信号S4r,S4gのオン期間Ton4r,Ton4gを決定している。具体的には、マイコン31は、期間T4が各個体発光素子群Lの合計出力に相当し、オン期間Ton4r,Ton4gの比が、固体発光素子群Lr,Lgの目標出力比となるようにオン期間Ton4r,Ton4gを決定している。したがって、Ton4r+Ton4g=T4となる。
【0102】
そして、基準電圧生成部32r,32gは、制御信号S4を用いて制御電圧V1を平滑(分圧)した基準電圧VrefR,VrefBを生成する。この基準電圧VrefR,VrefGは、VrefR=V1×Ton4r/T4,VrefG=V1×Ton4g/T4となる。
【0103】
そして、基準電圧生成部32r,32gは、生成した基準電圧VrefR,VrefGを誤差増幅器23r,23gに出力する。すなわち、制御電圧V1が個体発光素子群Lr,Lgの合計出力に相当し、この制御電圧V1を固体発光素子群Lr,Lgの目標出力比で分割することで基準電圧VrefR,VrefGを生成している。したがって、基準電圧VrefR,VrefGの比が、固体発光素子群Lr,Lgの目標出力比に一致する。
【0104】
また、基準電圧生成部32bは、マイコン31の指示に基づき、基準電圧VrefR,VrefG,VrefBの比が、固体発光素子群Lr,Lg,Lbの目標出力比と一致するように、基準電圧VrefBを生成して誤差増幅器23bに出力している。
【0105】
なお、この基準電圧VrefR,VrefG,VrefBが、固体発光素子群Lr,Lg,Lbに供給される電流Ir,Ig,Ibの振幅の目標値となる。
【0106】
また、本実施形態の分割部8は、平滑部82r,82gで構成されており、各々が加算部7の出力端子に接続されている。加算部7の入力端子は、電流検出部24r,24gが接続されており、電流検出部24r,24gが検出した検出電圧VI1r,VI1gが入力される。この検出電圧VI1r,VI1gは、電流Ir,Igの振幅値に相当する。なお、本実施形態では、電流検出部24rが本願発明の第1の検出部に相当し、電流検出部24gが本願発明の第2の検出部に相当する。そして、加算部7は、検出電圧VI1r,VI1gを加算した合計検出電圧VItを生成して、平滑部82r,82gに出力する。
【0107】
各平滑部82は、フォロア821と抵抗R7,R8とコンデンサC4とスイッチング素子Q3とで構成されている。フォロア821と抵抗R7,R8とスイッチング素子Q3とが直列接続され、抵抗R8とスイッチング素子Q3とからなる直列回路と並列にコンデンサC4が接続されている。フォロア821の入力端子は、加算部7に接続されており、合計検出電圧VItが印加される。また、スイッチング素子Q3は、nチャネルMOSFETで構成され、抵抗R8とグランドとの間に介挿されている。スイッチング素子Q3のゲートは、マイコン31に接続されており、制御信号S4に基づいてオン・オフすることで、抵抗R8とグランドとの間を導通・遮断する。それによって、コンデンサC4の両端間に、制御信号S4の期間T4に対するオン期間Ton4に応じて合計検出電圧VItを平滑(分圧)した検出電圧VI2が生成される。すなわち、平滑部82rは検出電圧VI2r(=VIt×Ton4r/T4)を生成し、平滑部82gは検出電圧VI2g(=VIt×Ton4g/T4)を生成する。
【0108】
また、マイコン31からスイッチング素子Q4に出力される制御信号S4は、上述したマイコン31から基準電圧生成部32に出力される制御信号S1と同一である。すなわち、平滑部82r,82gは、制御信号S4r,S4gを用いて合計検出電圧VItを目標出力比で分割することで点灯制御部2r,2g毎に検出電圧VI2r,VI2gを生成している。したがって、検出電圧VI2r,VI2gの比は、固体発光素子群Lr,Lgの目標出力比に一致する。そして、平滑部82r,82gは、生成した検出電圧VI2r,VI2gを誤差増幅器23r,23gに出力する。なお、検出電圧VI2r,VI2gが本願発明の分割検出結果に相当する。
【0109】
誤差増幅器23r,23gは、基準電圧VrefR,VrefGと、検出電圧VI2r,VI2gとの差分を制御回路22r,22gに出力する。また、誤差増幅器23bは、基準電圧VrefBと検出電圧VI1bとの差分を制御回路22bに出力する。
【0110】
制御回路22r,22gは、検出電圧VI2r,VI2gが基準電圧VrefR,VrefGと一致するように、電流Ir,Igの振幅のフィードバック制御を行う。また、制御回路22bは、検出電圧VI1bが基準電圧VrefBと一致するように、電流Ibの振幅のフィードバック制御を行う。
【0111】
このように、本実施形態では、個体発光素子群Lr,Lgの出力の合計(合計検出電圧VIt)を目標出力比で分割した検出電圧VI2r,VI2gを検出結果としてフィードバック制御している。合計検出電圧VItには、目標値(基準電圧VrefR,VrefG)に対する検出電圧VI1r,VI1gの誤差が含まれており、合計検出電圧VItを分割することによって誤差も分割される。すなわち、検出電圧VI2r,VI2gは、目標値(基準電圧VrefR,VrefG)に対する検出電圧VI1r,VI1gの誤差を平均化した値が含まれている。そして、この検出電圧VI2r,VI2gが基準電圧VrefR,VrefGに一致するようにフィードバック制御を行うことで、基準電圧VrefR,VrefGの比に対する検出電圧VI1r,VI1gの比のバラツキが低減される。それによって、各個体発光素子群Lによる混色光の偏差duvが低減し、色再現性が向上する。
【0112】
さらに、検出電圧VI2r,VI2gを用いてフィードバック制御することで、基準電圧VrefR,VrefGに対する検出電圧VI1r,VI1gのバラツキを均一化することができる。
【0113】
また、本実施形態では、出力制御部4が出力する制御電圧V1を変動させるのみで、基準電圧VrefR,VrefG,VrefBの値が比率(目標出力比)を維持した状態で変動する。すなわち、制御電圧V1を変動させるのみで、各個体発光素子群Lによる混色光の色度を維持した状態で、出力のみを変動させることができるので、混色光の出力調整が容易となる。
【0114】
(実施形態6)
本実施形態の照明装置10の外観図を図11(a)(b)に示す。
【0115】
本実施形態の照明装置10は、ダウンライトで構成されており、筒状の器具本体11の内部に実施形態1〜6のうちいずれか1つの発光装置1を収納している。また、図11(b)に示すように、器具本体11の内部に設けられた実装基板12に、複数の固体発光素子が実装されることで、固体発光素子群Lr,Lg,Lbを構成しており、固体発光素子群Lr,Lg,Lbは発光装置1によって点灯制御される。また、器具本体11の開口を覆うように透光パネル13が設けられ、固体発光素子群Lr,Lg,Lbによる混色光を、透光パネル13を介して外部に照射する。
【0116】
本実施形態の照明装置10は、実施形態1〜6のうちいずれか1つの発光装置1を備えているので、上記同様の効果を得ることができ、目標出力比に対する固体発光素子群Lr,Lgの比のバラツキが低減される。それによって、各個体発光素子群Lによる混色光の偏差duvが低減し、色再現性が向上する。
【符号の説明】
【0117】
1 発光装置
2 点灯制御部
3 色比率設定部
4 出力制御部
21 駆動回路
22 制御回路
23 誤差増幅器
24 電流検出部
25 ピーク電流検出部
31 マイコン
L 固体発光素子群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる色度の光を照射する複数の固体発光素子群の点灯制御を行う点灯制御部と、
前記固体発光素子群の各々の目標出力比を設定する色比率設定部とを備え、
前記点灯制御部は前記固体発光素子群毎に設けられ、
XYZ表色系のxy色度図上において、複数の前記固体発光素子群のうち第1,第2の固体発光素子群が照射する光の色度点同士を結んだ直線は黒体軌跡と交差しており、
複数の前記点灯制御部は、前記第1の固体発光素子群の点灯制御を行う第1の点灯制御部と、前記第2の固体発光素子群の点灯制御を行う第2の点灯制御部とを具備し、
前記第1,第2の点灯制御部は、前記第1,第2の固体発光素子群の出力比が前記目標出力比と一致するようにフィードバック制御することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の点灯制御部は、
前記第1の固体発光素子群に電力を供給する第1の駆動回路と、
前記第1の駆動回路が前記第1の固体発光素子群に供給する電力を検出する第1の検出部と、
前記第1の検出部の検出結果と、所定の第1の基準値とが一致するように前記第1の駆動回路をフィードバック制御する第1の制御回路とで構成され、
前記第2の点灯制御部は、
前記第2の固体発光素子群に電力を供給する第2の駆動回路と、
前記第2の駆動回路が前記第2の固体発光素子群に供給する電力を検出する第2の検出部と、
前記第1の検出部の検出結果に基づく第2の基準値と、第2の検出部の検出結果とが一致するように前記第2の駆動回路をフィードバック制御する第2の制御回路とで構成されることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の基準値を変動させる出力制御部を備えることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1,第2の駆動回路は、前記目標出力比に基づいてオン期間が各々設定された間欠電流を前記第1,第2の固体発光素子群に供給しており、
前記第1,第2の検出部は、前記オン期間において前記第1,第2の駆動回路から前記第1,第2の固体発光素子群に供給される電流の振幅値を検出しており、
前記第1の制御回路は、前記オン期間において前記第1の固体発光素子群に流れる電流の振幅値が、前記第1の基準値と一致するようにフィードバック制御を行い、
前記第2の制御回路は、前記オン期間において前記第2の固体発光素子群に流れる電流の振幅値が、前記オン期間において前記第1の固体発光素子群に流れる電流の振幅値と一致するようにフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項2または3記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2の基準値は、前記第1の固体発光素子群に対する第2の固体発光素子群の前記目標出力比を前記第1の検出部の検出結果に乗算することで生成されることを特徴とする請求項2または3記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1,第2の固体発光素子群の合計出力に対する、前記第1の検出部の検出結果と前記第1の基準値との差の割合を算出する誤差算出部を備え、
前記第2の基準値は、前記第1の固体発光素子群に対する前記第2の固体発光素子群の目標出力比を前記誤差算出部の算出結果に乗算し、当該乗算結果と前記目標出力比に応じた第3の基準値とを加算することで生成されることを特徴とする請求項2または3記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1,第2の検出部の検出結果を加算することで合計検出結果を生成する加算部と、
前記合計検出結果を所定の比率で分割した前記第1,第2の点灯制御部毎に分割検出結果を生成し、当該分割検出結果を前記第1,第2の点灯制御部の各々に出力する分割部とを備え、
前記第1,第2の制御回路は、自己に出力された前記分割検出結果が、自己に設定された基準値に一致するようにフィードバック制御することを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1,第2の駆動回路は、前記目標出力比に基づいてオン期間が各々設定された間欠電流を前記第1,第2の固体発光素子群に供給しており、
前記第1,第2の検出部は、前記オン期間において前記第1,第2の駆動回路から前記第1,第2の固体発光素子群に供給される電流の振幅値を検出しており、
前記加算部は、前記オン期間において前記第1,第2の固体発光素子群の各々に流れる電流の振幅値を加算することで前記合計検出結果を生成し、
前記分割部は、前記合計検出結果を2で除算することで前記分割検出結果を生成することを特徴とする請求項7記載の発光装置。
【請求項9】
前記分割部は、前記合計検出結果を前記目標出力比に基づいて分割することで前記第1,第2の点灯制御部毎に前記分割検出結果を生成し、当該分割検出結果を前記第1,第2の点灯制御部の各々に出力することを特徴とする請求項7記載の発光装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置によって点灯される複数の固体発光素子群と、
前記発光装置を収納し、前記複数の固体発光素子群が取り付けられる器具本体とを備えることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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