説明

発券装置

【課題】紙カード同士の貼り付きによる発券トラブルを防止し、紙カードを一枚ずつ確実に排出することが可能な発券装置を提供すること。
【解決手段】一方の面側に印刷が為されると共に他方の面側または上記一方の面側に磁気記録が為されるカード部材101が多数連なるカード連続体100から、カード部材101を切り離し、印刷および磁気記録後に発券を行う発券装置10であり、カード連続体100を搬送するフィーダ30と、カード連続体100の中で、一のカード部材101と他のカード部材101の間で貼り付いている接着部分が形成されている場合に、フィーダ30によりカード連続体100を搬送する際に与えられる引っ張り力を利用して、フィーダ30への搬送途中で該接着部分を剥がす向きの力を与える剥がし機構60と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や自転車等を駐車する駐車場等において発券される発券装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種施設の駐車場には、入場時刻等を記録するカードを発券する発券装置が設置される場合が多い。この発券装置の中には、紙カードを発券するタイプがある。かかる紙カードには、表面側に印刷を行うための印刷層、裏面側または表面側に磁気記録を行うための磁気記録層が設けられているタイプが多い。かかる紙カードを発券させる場合、上述の発券装置のパネル面に設けられている発券ボタンをユーザが押下すると、印刷層へ印刷してユーザに入場時刻を通知すると共に、磁気記録層へ磁気記録を行い、磁気読取装置での入場時刻の読み取りを可能としている。
【0003】
ここで、従来の紙カードを発券するタイプの発券装置としては、図9に示すものがある。この図9に示す発券装置は、収納箱2の内部には、多数の紙カード1がつづら折りで連続している状態で、収納されている。また、紙カード1の先端側は、フィーダ3に装填される。そして、紙カード1の発券が指令されると、フィーダ3では、紙カード1が切り離され、順次カードリーダ・ライタ4側に搬送されると共に、カードリーダ・ライタ4に搬送された分だけ、収納箱2から新たな紙カード1が引き出される。
【0004】
なお、かかる図9に示す発券装置と類似の発券装置としては、特許文献1に開示されているものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−206233号公報(要約、図8等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のように、紙カード1がつづら折りで連続している状態では、隣接する紙カード1が互いに貼り付いてしまう、という問題が生じている。特に、紙カード1が長期に亘って収納箱2の内部に収納されたままでいると、紙カード1同士の境界であって折り曲げられる切取部の付近(折れ曲がり地点)で、貼り付きが多数生じる。
【0007】
この状態を、図10および図11に示す。図10および図11のうち、丸印で囲まれている部分では、紙カード1同士が貼り付いている。ここで、図10では、丸印で囲まれている部分では、重ねられて互いに隣り合う、2つの折れ曲がり地点で貼り付きが発生している。また、図11では、さらにもう1つの折れ曲がり地点(合計3つの折れ曲がり地点)で貼り付きが発生している。
【0008】
この貼り付きの原因は、現在、明確ではいない。しかしながら、紙カード1の磁気記録層は、磁性粉を接着剤を介して固着させており、その接着剤の一部が溶け出すことにより、貼り付きが生じているのではないか、と考えられている。特に、折れ曲がり地点では、紙カード1の境界部分が折り曲げられるため、表面の磁性粉に覆われている接着層が露出する。そして、例えば湿気を帯びる等の環境下では、この接着層が溶け出し、貼り付きが生じる、と考えられている。また、印刷層は、下地をOPニスで覆う構成となっているものもあるが、紙カード1の境界部分では、折り曲げにより、下地が露出する。そのため、例えば湿気を帯びる等の環境下では、接着層と同様に下地が溶け出す等の問題が生じ、貼り付きが生じる、と考えられている。
【0009】
このような紙カード1同士の貼り付きが生じると、フィーダ3やカードリーダ・ライタ4には、紙カード1が複数重ねられた状態で送り込まれる。それにより、フィーダ3やカードリーダ・ライタ4に、紙詰まりを生じさせる場合があり、故障を生じさせかねない。また、カードリーダ・ライタ4では、複数の紙カード1が重ねられた状態で供給されると、紙カード1が一方の面側に印刷が為されると共に他方の面側に磁気記録が為されるカードの場合は、最上部の紙カード1の印刷層には、印刷が実行されていると共に、最下部の紙カード1の磁気記録層には、磁気記録がなされた状態で排出される。つまり、印刷層への印刷と、磁気記録層への磁気記録とが、同一の紙カード1ではなく、別々の紙カード1に為される状態となる。
【0010】
この場合、一般に、ユーザは印刷が為されている紙カード1が正しいものと信じて、精算機に印刷が為された紙カード1を挿入して駐車料金の精算を行おうとする。しかしながら、精算機側では、駐車に関する磁気記録情報を読み取ることができないため、エラーとなり、駐車料金の精算ができない、という問題が生じる。このような問題が発生すると、駐車場管理者が出向いて料金精算に対処しなければならない。その場合、駐車場出口の稼動が止まり、他ユーザの自動車が滞る等の問題が生じる。また、エラーが生じる場合、紙カード1が無駄になる等の問題が生じる。さらに、発券装置等を設置してある施設(例えば各種の商業施設等)に対し、ユーザの不快感が高まるため、ユーザが当該施設に対してリピータとなる確率が減少する等、好ましくない事態を招く。
【0011】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、紙カード同士の貼り付きによる発券トラブルを防止し、紙カードを一枚ずつ確実に排出することが可能な発券装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、一方の面側に印刷が為されると共に他方の面側に磁気記録が為されるカード部材が多数連なるカード連続体から、カード部材を切り離し、印刷および磁気記録後に発券を行う発券装置において、カード連続体を搬送するフィーダと、カード連続体の中で、一のカード部材と他のカード部材の間で貼り付いている接着部分が形成されている場合に、フィーダによりカード連続体を搬送する際に与えられる引っ張り力を利用して、フィーダへの搬送途中で該接着部分を剥がす向きの力を与える剥がし機構と、を具備するものである。
【0013】
このように構成した場合には、カード連続体の中で、カード部材同士の間で接着部分が形成されていても、剥がし機構において、フィーダでのカード連続体の搬送の際に与えられる引張り力を利用して、接着部分が剥がされる。そのため、複数のカード部材が貼り付いたままで、フィーダ側に供給されるのが防止されるため、当該フィーダで紙詰まりが発生するのを防止することが可能となる。また、フィーダからカードリーダ・ライタに複数のカード部材が重ねられた状態で供給されると、カード部材が一方の面側に印刷が為されると共に他方の面側に磁気記録が為されるカードの場合は、印刷と磁気記録とが別々のカード部材に為されるという事態が生じるが、上述の剥がし機構を具備することにより、かかる事態が生じるのを良好に防止することが可能となる。つまり、印刷が為されているカード部材が正しいものと信じて、精算する際に、磁気記録が当該カード部材に為されていないことによる、精算機でのエラーを防止することが可能となる。
【0014】
さらに、剥がし機構では、フィーダの引っ張り力を利用するのみであり、カード部材が湿気で貼り付くのを防ぐための別途の乾燥機等を設けずに済むため、乾燥機等を設ける場合と比較して、生産段階でのコストを低減することが可能となると共に、発券装置のランニングコストも低減することが可能となる。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、カード部材は、他のカード部材に対して連結部を介して連結してカード連続体を構成していて、カード連続体は、連結部を所定の個数ごとに折り曲げることにより、つづら折りの状態で収納手段の内部に収納されていると共に、剥がし機構は、カード連続体を迂回させる迂回手段を具備すると共に、この迂回手段に沿ってカード連続体を搬送すると、カード部材が撓まされ、この撓みによって、接着部分が剥がされるものである。
【0016】
このように構成した場合には、迂回手段に沿ってカード連続体を搬送すると、当該迂回手段によって迂回させられるカード部材が撓ませられる。ここで、接着部分は、特に連結部が存在する折り曲げの境界部分で多発している。このため、カード連続体がフィーダによって搬送させられると、接着部分のうち送りの先端側に位置しているカード部材が撓ませられる。このとき、接着部材のうち送りの後端側に位置しているカード部材も撓ませられようとする。しかしながら、接着部材のうち送りの後端側に位置しているカード部材を撓ませる場合、撓み量に応じて接着部分には反力が生じる。しかも、多数のカード部材が重ねられて貼り付いている場合、そのカード部材の枚数分だけ、撓みによる反力が大きくなる。このため、迂回手段に沿ってカード部材を迂回させ、送りの先端側に位置するカード部材を撓ませるだけで、接着部分を剥がすことが可能となる。
【0017】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、迂回手段は、複数のポール部材を具備し、これらポール部材は、その外周面にカード部材を倣わせると共に、複数のポール部材は、カード部材に折り目を生じさせないと共に、外周面に倣わせる場合に接着部分を剥がすのに適した撓み力を与えるだけの直径を有しているものである。
【0018】
このように構成した場合には、迂回手段は、複数のポール部材から構成されているので、カード連続の搬送時に、カード部材はポール部材の外周面に倣うため、カード部材を撓ませることが可能となる。特に、ポール部材は、外周面にカード部材を倣わせる場合に、接着部分を剥がすのに適した撓み力を与えるだけの直径を有している。それにより、接着部材のうち送りの先端側に位置するカード部材を撓ませると、接着部材のうち送りの後端側に位置するカード部材から与えられる撓みの反力によって、接着部分を剥がすことが可能となる。また、ポール部材は、カード部材に折り目を生じさせない程度の直径を有しているため、カード部材に折り目が生じて以後の搬送に支障が生じたり、磁気記録が不完全になったり、発券されるカード部材が折れているのでユーザが受け取るカード部材の体裁が悪い等の不具合を防止することが可能となる。
【0019】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、迂回手段の入口部分には、カード部材の撓みの後端側を抑えて撓みを確実に生じさせるためのガイド壁が設けられているものである。
【0020】
このように構成した場合には、ガイド壁によって、カード部材の撓みの後端側が抑えられる。それにより、カード部材を良好に撓ませることが可能となり、接着部分を良好に剥がすことが可能となる。
【0021】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、ガイド壁とポール部材との間の間隔は、カード部材の搬送方向における長さ寸法よりも小さく設けられているものである。このように構成した場合には、カード連続体を搬送すると、搬送時の引っ張り力によって、カード部材がポール部材の外周面に倣って撓もうとする。このとき、ガイド壁とポール部材との間の間隔が、カード部材の搬送方向における長さ寸法よりも小さいため、撓ませられるカード部材の後端側がガイド壁につっかえる。それにより、カード部材をポール部材の外周面に沿って、確実に撓ませることが可能となる。
【0022】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、複数のポール部材の外周面に走行抵抗部が設けられていて、この走行抵抗部にカード部材が接触する状態で、フィーダによりカード連続体が搬送されると、カード部材には、接着部分を剥がすだけのバックテンションが与えられるものである。
【0023】
このように構成した場合には、カード部材をポール部材の外周面に倣わせて、搬送させると、カード連続体には、それぞれのポール部材の外周面に存在する走行抵抗部によって、走行抵抗が生じる。ここで、走行抵抗は、搬送方向に沿ってポール部材を経過するごとに大きくなる。そのため、この走行抵抗が、カード連続体にバックテンションとして作用する。それにより、ポール部材の外周面に沿って倣わせる等しても接着部分が剥がれなかった場合に、当該バックテンションの作用によって、接着部分を剥がすことが可能となる。
【0024】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、ポール部材は、2つ設けられていると共に、カード部材が待機状態にある場合、該カード部材の搬送方向における一端側は、一のポール部材の外周面に位置すると共に、該カード部材の搬送方向における他端側は、他のポール部材の外周面に位置するものである。
【0025】
このように構成した場合には、発券が為されない待機状態では、カード部材の一端側は一のポール部材の外周面に位置し、さらにカード部材の他端側は、他のポール部材の外周面に位置することから、カード部材の一端側と他端側の間は、いずれのポール部材の外周面にも接触しない状態となる。このため、発券が為されない待機状態では、カード部材の全体が外周面に倣うのを防ぐことができ、長時間カード部材が曲げられた状態で待機することによる、カード部材に曲がりクセがつくのを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、紙カード同士の貼り付きによる発券トラブルを防止することが可能となる。そのため、紙カードを一枚ずつ、確実に排出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態に係る発券装置10について、図1から図8に基づいて説明する。
【0028】
本実施の形態における発券装置10は、図3に示すような紙カード101に対して、印刷および磁気記録を行った後に、発券を行う装置である。かかる紙カード101は、カード部材に対応している。
【0029】
この紙カード101は、印刷層102と磁気記録層103とを有しており(図4参照)、これら印刷層102と磁気記録層103とが一方の面側または他方の面側に、それぞれ露出している。これらのうち、印刷層102は、印刷が施される部分である。この印刷層102は、例えば感熱記録フィルム等から構成されており、例えばサーマルヘッドまたはレーザ等の記録手段により、この印刷層102に所定の文字や絵柄を施すことが可能となっている。また、磁気記録層103は、磁性粉末を、バインダー等の接着剤によりカード基材に付着させている。そして、この磁気記録層103には、磁気情報を記録可能となっている。
【0030】
なお、紙カード101には、印刷層102および磁気記録層103以外に、不図示のカード基材と接着層等を有している。カード基材は、例えば紙や樹脂を材質として形成されている。また、接着層は、印刷層102をカード基材に貼り付けるための部分である。また、印刷層102の表面には、OPニス等が塗布されているものもある。また、上述のカード基材に対して、接着層の他に、発色薬品等が塗布されるタイプを用いても良い。
【0031】
また、本実施の形態では、紙カード101には、短手方向に沿う側縁部分に連結部104を具備している。連結部104は、本実施の形態では、それぞれの側縁部分に2つずつ設けられている。そして、この連結部104を介して、一の紙カード101に対して他の紙カード101が連結された状態となっている。この連結部104は、紙カード101の発券時には、切断される部分であると共に、収納箱110への収納時等には、折り曲げられる部分である。なお、以下の説明では、図2に示すような紙カード101が多数連結された状態のものを、カード連続体100とする。
【0032】
また、カード連続体100は、本実施の形態では、カード連続体100の連結部104が、1つおきに、つづら折り状に折り曲げられるように設けられている(図4参照)。そのため、紙カード101は、1つおきに、くの字を為すように折り曲げられて、向きを変えるように設けられている。なお、紙カード101は、1つおきに折り曲げられる以外に、例えば2つおきに折り曲げられる等、別途の態様で折り曲げられていても良い。
【0033】
また、上述のカード連続体100は、図4に示すようなつづら折りの状態で、図4に示すような収納箱110に収納されている。この収納箱110は、その外観が長尺状の箱状体となっている。また、収納箱110のうち、最も面積の小さい側面(長手方向の両端に位置している側面)は、上述の紙カード101を1つおきに折り曲げた状態で良好に収納可能とするために、側面は該2つの紙カード101が連続しているよりも若干大きく設けられている。また、側面のうち一方側は開放している開放部分となっていて、この開放部分から紙カード101が順次フィーダ30に送り込まれる。なお、本実施の形態では、紙カード101が途切れて供給されなくなるのを防止するために、紙カード101が収納されている収納箱110は2つ設けられている。
【0034】
また、図1および図2等に示すように、上述の紙カード101に印刷および磁気記録を行う発券装置10は、筐体部20と、フィーダ30と、カードリーダ・ライタ40と、制御ユニット50と、剥がし機構60と、を主要な構成要素としている。
【0035】
これらのうち、図1に示す筐体部20は、フィーダ30等、機構の全体を覆う部分である。この筐体部20には、その側面から開閉可能な開閉扉(不図示)が設けられており、当該開閉扉を開放させることにより、収納箱110に収納されたカード連続体100を補充することを可能としていると共に、発券装置10の内部の保守・点検を可能としている。また、筐体部20のうち、ユーザに対する表面には、インターフェース21が設けられている。インターフェース21には、不図示の発券ボタンと、カード取出し口22とが設けられている。これらのうち、発券ボタンは、紙カード101の発券を希望するユーザが押下する部分である。また、カード取出し口22は、印刷および磁気記録が為された紙カード101を取り出すための部分である。
【0036】
また、フィーダ30は、図2および図5等に示すように、その内部に分離カッター31、搬送ユニット32、フォトセンサ33等を具備している。これらのうち、分離カッター31は、カード連続体100から、個別の紙カード101を分離するための手段である。また、搬送ユニット32は、搬送ローラ32aと紙送りモータ32bとを具備しており、分離カッター31によって分離された紙カード101を、カードリーダ・ライタ40側に送り込んだり、フィーダ30内に分離された紙カード101をストックしたりする。また、フォトセンサ33は、フィーダ30内に複数設けられており、紙カード101の有無を検出する。
【0037】
なお、本実施の形態では、上述した2つの収納箱110から、それぞれ紙カード101が供給されている。ここで、一方のカード連続体100と他方のカード連続体100とが搬送される通路は、合流点Aで合流される。しかしながら、例えば一方のカード連続体100から紙カード101が供給されている限り、他方のカード連続体100を搬送するための搬送ユニット32は駆動されない。それにより、他方のカード連続体100は、合流点Aに供給されずに、待機状態となる。
【0038】
なお、一方のカード連続体100または他方のカード連続体100のいずれかが無くなると、その時点で、合流点Aに供給される紙カード101が、他方のカード連続体100または一方のカード連続体100に切り替わる。そして、この間に、一方のカード連続体100が無くなった旨を、報知手段によって発券装置10の設置者側に通知するようにするのが好ましい。この報知手段としては、インターフェース21にランプを設けたり、通信手段を備える場合には、通信手段を介して設置者に通知する等の手段がある。また、発券装置10を管理している管理者は、一方のカード連続体100または他方のカード連続体100のいずれかが無くなると、一方のカード連続体100または他方のカード連続体100を収納している収納箱110を、筐体部20の内部の設置箇所に設置する。
【0039】
また、図2等に示すように、カードリーダ・ライタ40は、搬送ユニット41と、フォトセンサ42と、印刷ユニット43と、磁気記録ユニット44とを具備している。これらのうち、搬送ユニット41は、上述の搬送ユニット32と同様に、紙カード101を搬送する。なお、この搬送ユニット41も、上述の搬送ユニット32と同様に、搬送ローラ41aと紙送りモータ41bとを具備している。
【0040】
また、フォトセンサ42も、上述のフォトセンサ33と同様に紙カード101の有無を検出する。また、印刷ユニット43は、紙カード101の印刷層102と対向していて、該印刷層102に、駐車に関する情報(例えば、車両が入庫された日時、管理情報等)を記録する。また、磁気記録ユニット44は、紙カード101の磁気記録層103と対向していて、該磁気記録層103に駐車に関する磁気情報を記録する。
【0041】
また、筐体部20の内部には、制御ユニット50が設けられている(図2参照)。制御ユニット50は、発券ボタンの押下に伴って、フォトセンサ33等で紙カード101を検出しながら、紙送りモータ32b,41b、印刷ユニット43および磁気記録ユニット44等に制御指令を与え、これらを制御駆動する。なお、かかる制御ユニット50は、CPU、ROM、RAM等を具備しており、ROM等に記憶されている所定のプログラムを読み出し、当該プログラムに従って、紙送りモータ32b,41b、印刷ユニット43および磁気記録ユニット44等を制御している。
【0042】
また、図1、図2等に示すように、筐体部20には、剥がし機構60が設けられている。剥がし機構60は、第1ポール61と、第2ポール62と、ガイド壁63と、を具備している。これらのうち、第1ポール61および第2ポール62は、例えば樹脂を材質とする円柱状部材であり、筐体部20に固定されるプレート体20aに取り付けられている(図6参照)。これら第1ポール61と第2ポール62とは、迂回手段を構成しており、カード連続体100の搬送経路は、フィーダ30への最短距離とはならず、第1ポール61の外周面および第2ポール62の外周面に倣うことにより、迂回している。また、これら第1ポール61および第2ポール62は、その高さ寸法が、紙カード101の短手方向の長さ寸法よりも大きくなるように設けられている。
【0043】
なお、本実施の形態では、カード連続体100を収納する収納箱110は、筐体部20の内部に2つ設置されるため、剥がし機構60も2つ設けられている。しかしながら、収納箱110が1つ、または3つ以上設置される場合には、剥がし機構60は、設置される収納箱110の個数に対応させて設けるようにするのが好ましい。また、収納箱110の個数よりも、剥がし機構60の個数が少ない等、個数の不一致が生じていても良い。
【0044】
また、第1ポール61と第2ポール62は、貼り付きが生じている紙カード101が該第1ポール61または第2ポール62の外周に倣う場合に、紙カード101が互いに剥がれるように設けられている。すなわち、紙カード101を曲げる(撓ませる)と、撓み量が増大するにつれて、紙カード101が元の撓みのない状態に戻ろうとする反力が増大する。そして、この反力が、想定される貼り付きの強さよりも大きくなるように、第1ポール61および第2ポール62の直径が設定されている。
【0045】
なお、紙カード101の撓みに抗する反力を大きくするためには、第1ポール61および第2ポール62の直径を小さくすれば良い。しかしながら、第1ポール61および第2ポール62の直径を小さくし過ぎると、該第1ポール61および第2ポール62に紙カード101を倣わせた場合に、紙カード101が折り目がつく等の不具合が生じる。そのため、第1ポール61および第2ポール62の直径の下限は、紙カード101に折り目がつかない程度に設定されている。なお、本実施の形態では、第1ポール61および第2ポール62の寸法は、略40mm程度に設定されている。しかしながら、本実施の形態で用いられる紙カード101を使用する場合、第1ポール61および第2ポール62の直径としては、20mm〜60mm程度の間であれば良い。なお、上述の第1ポール61および第2ポール62の直径は、紙カード101の材質や厚さに応じて種々変更可能である。
【0046】
また、第1ポール61および第2ポール62の外周面は、紙カード101に対して、所定の摩擦力(走行抵抗)を生じさせるように設けられている。この摩擦力は、後述するようにカード連続体100の搬送時に、貼り付きが生じている部分(図7、図8における接着部分B)を剥がすためのバックテンションを作用させるためのものである。このとき、第1ポール61および第2ポール62で生じる摩擦力が、接着部分で想定される接着力よりも大きくなるように、第1ポール61および第2ポール62の摩擦係数が設定されている。このため、第1ポール61および第2ポール62側から接着部分Bに付与されるバックテンションにより、接着部分Bは剥がれ、紙カード101の貼り付きが解消される。
【0047】
ここで、第1ポール61および第2ポール62で生じる摩擦力が、あまり大きくなり過ぎると、フィーダ30による搬送ができなくなるか、または連結部104が破断してしまう。ここで、連結部104が破断した場合、カード連続体100は、フィーダ30へ送られる手前の部位で切断部位を有するため、連続性を失い、破断部位よりも後端側の部位を、管理者が再びフィーダ30に装填する等の手間が生じる。このような事態が生じるのを防ぐため、第1ポール61および第2ポール62の表面の摩擦係数は、上述の破断が生じるのを防止する程度の大きさに設定されている。なお、第1ポール61および第2ポール62の外周面は、かかるバックテンション(走行抵抗)を付与するための、走行抵抗部として機能している。
【0048】
また、図7および図8に示すように、第1ポール61は、ガイド壁63に近接して設けられている。なお、図1において左側のガイド壁63は、本実施の形態では、筐体部20の正面側に位置する壁部を利用して構成されている。ここで、本実施の形態では、第1ポール61の外周面とガイド壁63との間の距離Lは、紙カード101の長手方向の長さ寸法よりも小さく設けられている。すなわち、紙カード101の搬送時には、図7に示すように、紙カード101には、第1ポール61よりも紙送りの先端側から図7中右側に向かう引っ張り力Fが作用する。このとき、紙カード101の紙送りの後端側の端部が、ガイド壁63にぶつかると、紙カード101には撓みが生じる。そして、かかる撓みの発生により、紙カード101同士の貼り付きが解消されるように、距離Lが設定されている。
【0049】
なお、距離Lは、紙カード101の長手方向の長さ寸法よりも小さく設けられるのが好ましい。ここで、本実施の形態では、図4に示すように、紙カード101は1つおきに、折り曲げが為されるように設けられている。この場合には、距離Lは、紙カード101の2つ分の長さ寸法よりも小さく設けるようにすれば良い。
【0050】
また、第1ポール61には、第2ポール62が近接して設けられている。この第2ポール62は、第1ポール61よりもガイド壁63から離間する部位に位置している。すなわち、第2ポール62の外周面とガイド壁63との間の距離Pは、上述の距離Lよりも大きくなるように設けられている。しかも、ガイド壁63に直交すると共に第1ポール61の中心を通る法線と、ガイド壁63に直交すると共に第2ポール62の中心を通る法線とは、距離Qだけ離間している。なお、本実施の形態では、第1ポール61の中心部と第2ポール62の中心部とを結ぶ直線と上述の法線とが為す角度θは、略45度となっている。しかしながら、角度θは、略45度には限られず、適宜の値を採用することが可能である。
【0051】
また、第1ポール61の外周面と第2ポール62の外周面との間には、距離Sの隙間が存在している(図7参照)。この距離Sは、紙カード101の厚み寸法より十分に大きく設けられていて、該紙カード101の送りを妨げないように設けられている。また、本実施の形態では、距離Sは、第1ポール61および第2ポール62の半径よりも小さくなるように設けられている。
【0052】
また、第1ポール61と第2ポール62とが側壁に取り付けられている位置は、紙カード101の発券が為されない待機状態において、紙カード101が曲がってしまう、いわゆる「くせ」がつくのを最小限にすることができる位置に設定されている。かかる「くせ」を抑えるために、待機状態における紙カード101が、紙送り方向の先端側(連結部104付近)が第2ポール62の外周面に位置すると共に、紙送り方向の後端側(連結部104付近)が第1ポール61の外周面に位置するように、プレート体20aに対する第1ポール61および第2ポール62の取り付け位置が設定されている。
【0053】
なお、第2ポール62に対する紙カード101が接触する領域の中間部分に、紙カード101の紙送り方向の先端側が位置するようにするのが好ましい。また、紙カード101の紙送り方向の先端側のみが、第2ポール62の外周面に位置するようにして、紙カード101の紙送り方向の後端側は、第1ポール61の外周面に位置しないように設定しても良い。
【0054】
以上のような構成を有する発券装置10の作用について、図7および図8に基づいて説明する。
【0055】
<ケースA>
紙カード101の下流側の先端部がフィーダ30の内部に差し込まれている、発券可能な状態では、ユーザが発券ボタンを押下する度に紙カード101が順次発券されていく。このとき、正常な状態では、紙カード101は、フィーダ30から一枚ずつカードリーダ・ライタ40に送り込まれる。そして、表面の印刷層102に印刷が為されると共に、裏面の磁気記録層103に磁気情報が記録された状態で、カード取出し口22から発券される。
【0056】
ここで、図7、図8および従来図である図10、図11に示すように、紙カード101には、貼り付き(図7および図8に示す接着部分B)が生じる場合がある。この原因としては、例えば長期に亘って発券が為されず、湿気を帯びた状態で紙カード101が放置されると、隣接する紙カード101同士が貼り付き、それによって接着部分Bが形成されると考えられている。この接着部分Bは、折り曲げが為されて接着層が外部に露出する状態となる連結部104付近で、特に多数形成されている。そして、かかる接着部分Bが形成されている部位では、複数の紙カード101が、つづら折りを為す状態で重ねられたまま、搬送される。
【0057】
ここで、カード連続体100には、フィーダ30から引張り力が与えられている。このため、接着部分Bには、紙送りの先端側から順次、第1ポール61の外周面に強制的に倣う力が、与えられる。すなわち、紙送りの先端側の紙カード101(以下、紙カード101aとする。)は、第1ポール61の外周面に強制的に倣うように撓まされる。このとき、紙カード101aは、隣り合って重ねられている紙カード101(以下、紙カード101bとする。)と貼り付いているため、紙カード101aと紙カード101bとの間の接着力に応じて、紙カード101aのみならず、紙カード101bおよびこの紙カード101から折り曲げられている紙カード101cをも撓ませようとする。
【0058】
なお、この状態では、ガイド壁63の存在により、つづら折りを為している紙カード101の紙送りの後端側は、該ガイド壁63につっかえる。それにより、紙カード101aの紙送りの後端側が、図7において時計回りに回転しようとするのが阻止される。それにより、紙カード101aは、第1ポール61の外周面に強制的に倣うように、撓まされる。
【0059】
ここで、接着部分Bは、連結部104の折り曲げ部分であり、非常に小さな面積で貼り付いているのが通常である。そのため、接着部分Bの接着力は、2枚の紙カード101を撓ませる力よりも小さいのが通常である。そのため、紙カード101aが第1ポール61に沿って強制的に撓ませられると、紙カード101aが紙カード101bから剥がれる。以下、紙送りの後端側の紙カード101で貼り付きが生じている場合でも、同様にして剥がされる。
【0060】
<ケースB>
上述のケースAを経過すると、紙カード101の貼り付きが解消される場合がほとんどである。しかしながら、稀に、第1ポール61を通過してもなお、紙カード101の貼り付きが解消されない場合がある。ここで、接着部分Bは、第1ポール61を通過した後に、第2ポール62の外周面に沿わされる。すると、紙カード101の撓みの向きが逆向きになるため、そのときの力の変化によって、紙カード101の貼り付きを解消する力が与えられる。
【0061】
ここで、稀に、第2ポール62を通過してもなお、紙カード101の貼り付きが解消されない場合がある。このとき、図8に示すように、第1ポール61の外周面と第2ポール62の外周面には、紙カード101が倣う状態となっている。この場合、紙カード101は、第2ポール62の外周面から所定の摩擦力を受けながら、フィーダ30から引張り力を受ける。また、紙送りの後端側の紙カード101は、第1ポール61の外周面に接触する状態となっている。このため、接着部分Bには、フィーダ30側から引張り力が加えられると共に、第2ポール62および第1ポール61側からは、摩擦力による引張り力(バックテンション)が加えられる。
【0062】
特に、バックテンションは、紙送り方向に沿って紙カード101が送られる場合に、第2ポール62を経過している方が、第1ポール61のみを経過している方よりも、強くなる。そのため、接着部分Bには、第2ポール62を経過する時点で、強いバックテンションが作用し、それによって接着部分Bは剥がれ、紙カード101の貼り付きが解消される。
【0063】
このような構成の発券装置10によれば、フィーダ30でのカード連続体100の搬送の際に与えられる引張り力を利用して、剥がし機構60において接着部分Bが剥がされる。そのため、複数の紙カード101が貼り付いたままで、フィーダ30側に供給されるのが防止されるため、当該フィーダ30で紙詰まりが発生するのを防止することが可能となる。そのため、発券装置10で紙詰まり等を原因とする故障が生じるのを低減することが可能となる。
【0064】
また、フィーダ30からカードリーダ・ライタ40に複数の紙カード101が重ねられた状態で供給されると、印刷と磁気記録とが別々の紙カード101に為されるという事態が生じる。しかしながら、上述の剥がし機構60を具備することにより、かかる事態が生じるのを良好に防止することが可能となる。つまり、複数の紙カード101がカード取出し口22から排出されると、ユーザは、通常、印刷が為されている紙カード101が正しいものと信じて、精算機に投入する。このとき、印刷が為されている紙カード101には、磁気記録が為されていないため、精算機でエラーとなるが、上述の剥がし機構60を具備することにより、そのような事態が生じるのを防止することが可能となる。
【0065】
さらに、剥がし機構60では、フィーダ30の引っ張り力を利用するのみであり、紙カード101が湿気で貼り付くのを防ぐための別途の乾燥機等を設けていない。このため、乾燥機等を設ける場合と比較して、生産段階でのコストを低減することが可能となる。加えて、乾燥機等を設ける場合には、当該乾燥機等を駆動するために常時または間欠的に電力を必要とするが、本発明では、そのような電力を必要としない。そのため、発券装置10のランニングコストも低減することが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態では、カード連続体100は、第1ポール61および第2ポール62により、迂回させられていて、これら第1ポール61および第2ポール62に沿ってカード連続体100を搬送すると、紙カード101が撓まされる。ここで、接着部分Bは、特に連結部104が存在する折り曲げの境界部分で多発している。このため、カード連続体100がフィーダ30によって搬送させられると、接着部分Bのうち紙送りの先端側に位置している紙カード101aが撓ませられる。このとき、紙カード101aの撓みに伴って、紙カード101bも撓ませられようとする。しかしながら、紙カード101bを撓ませる場合、撓み量に応じて接着部分Bには反力が生じる。しかも、図7に示す紙カード101c等、多数の紙カード101cが重ねられて貼り付いている場合、その紙カード101c等の枚数分だけ、撓みによる反力が大きくなる。このため、第1ポール61および第2ポール62に沿って紙カード101を迂回させ、紙カード101aを撓ませるだけで、接着部分Bを剥がすことが可能となる。
【0067】
さらに、本実施の形態では、迂回手段としては、第1ポール61および第2ポール62を用いている。このため、フィーダ30の搬送力により、カード連続体100を搬送する場合、紙カード101は第1ポール61および第2ポール62の外周面に倣うため、紙カード101を良好に撓ませることが可能となる。
【0068】
ここで、第1ポール61および第2ポール62は、その外周面に紙カード101を倣わせる場合に、接着部分Bを剥がすのに適した撓み力を与えるだけの直径を有している。それにより、送りの先端側に位置する紙カード101aを撓ませると、送りの後端側に位置する紙カード101b,101cから与えられる撓みの反力によって、接着部分Bを剥がすことが可能となる。また、第1ポール61および第2ポール62は、紙カード101に折り目を生じさせない程度の直径を有しているため、紙カード101に折り目が生じて以後の搬送に支障が生じたり、磁気記録が不完全になったり、発券される紙カード101が折れているのでユーザが受け取る紙カード101の体裁が悪い等の不具合を防止することが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態では、剥がし機構60は、ガイド壁63を具備している。このため、第1ポール61に紙カード101が倣う場合、ガイド壁63によって、紙カード101の撓みの後端側が抑えられる。それにより、紙カード101を良好に撓ませることが可能となり、接着部分Bを良好に剥がすことが可能となる。
【0070】
さらに、本実施の形態では、第1ポール61とガイド壁63との間の距離Lは、紙カード101の搬送方向における長さ寸法よりも小さく設けられている。このため、紙カード101が第1ポール61の外周面に倣って撓もうとするとき、撓ませられる紙カード101aの後端側がガイド壁63につっかえる。それにより、紙カード101aを第1ポール61の外周面に沿って、確実に撓ませることが可能となり、接着部分Bを良好に剥がすことが可能となる。
【0071】
また、第1ポール61および第2ポール62の外周面は、走行抵抗部として機能する。このため、紙カード101を第1ポール61および第2ポール62の外周面に倣わせて搬送させると、カード連続体100には、バックテンションが生じる。そのため、このバックテンションの作用により、第1ポール61の外周面に沿って倣わせる等しても接着部分Bが剥がれなかった場合でも、接着部分Bを剥がすことが可能となる。
【0072】
さらに、本実施の形態では、紙カード101が発券されない待機状態にある場合、紙カード101の紙送り方向における先端側は、第2ポール62の外周面に位置すると共に、紙カード101の紙送り方向における後端側は、第1ポール61の外周面に位置している。このため、発券が為されない紙カード101の待機状態では、紙カード101の紙送り方向における先端側と後端側の間の部位は、第1ポール61および第2ポール62のいずれの外周面にも接触しない状態となる。それにより、紙カード101の発券が為されない待機状態では、紙カード101の全体が外周面に倣うのを防ぐことができ、長時間紙カード101が曲げられた状態で待機することによる、紙カード101に曲がりクセがつく等の不具合を低減することが可能となる。
【0073】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は、これら以外にも、種々変形可能となっている。以下、それについて説明する。
【0074】
上述の実施の形態においては、剥がし機構60は、第1ポール61、第2ポール62およびガイド壁63を具備している。しかしながら、剥がし機構は、これら以外の構成を採用しても良い。例えば、紙カード101の厚みをレバー等を介してメカ的に検出する機構を設けると共に、貼り付きが生じる等の原因により紙カード101の厚みが異常である場合には、レバーの回動に伴って、偏心カムが回動する。そして、この偏心カムにより、厚みが異常である部分よりも紙送りの後端側の紙カード101を挟み込むようにして、図8に示す状態と同様にバックテンションを掛けるようにする。このような剥がし機構を設けるようにしても、上述の実施の形態と同様に、接着部分を剥がすことが可能となる。
【0075】
また、上述の実施の形態では、剥がし機構60は、ガイド壁63を設ける構成を採用している。しかしながら、剥がし機構60は、ガイド壁63を具備しない構成を採用しても良い。
【0076】
また、上述の実施の形態においては、迂回手段は、第1ポール61および第2ポール62を具備している。しかしながら、迂回手段は、これら以外の構成を採用しても良く、例えば非回転の第1ポール61および第2ポール62に代えて、搬送ローラ32a等の如きローラを用いるようにしても良い。なお、ローラを用いる場合、紙カード101を撓ませる効果はあるものの、走行抵抗が低減されるため、バックテンション付与の効果は、さほど存在しなくなる。
【0077】
さらに、上述の実施の形態では、紙カード101をカード部材として説明している。しかしながら、カード部材は、紙カード101には限られない。例えば、カード基材を樹脂等とする樹脂製のカードを、カード部材としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の発券装置は、駐車場等の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態に係る発券装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図1の発券装置の全体構成の概略を示すブロック図である。
【図3】図1の発券装置で用いられる紙カードの形状を示す平面図である。
【図4】図1の発券装置で用いられるカード連続体および収納箱の構成を示す斜視図である。
【図5】図1の発券装置のうち、フィーダおよびカードリーダ・ライタ付近の概略を示す側面図である。
【図6】図1の発券装置のうち、剥がし機構の構成を一部分解して示す斜視図である。
【図7】図1の発券装置において、紙カードを第1ポールに沿って撓ませて、接着部分を剥がす様子を示す模式図である。
【図8】図1の発券装置において、接着部分が第2ポールを経過した後に、当該貼り付き部分にバックテンションを作用させて、接着部分を剥がす様子を示す模式図である。
【図9】従来の発券装置の概略構成を示す側面図である。
【図10】従来の発券装置において、重なり合う2つの折れ曲がり地点で貼り付きが生じている状態を示す模式図である。
【図11】従来の発券装置において、重なり合う3つの折れ曲がり地点で貼り付きが生じている状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0080】
10…発券装置
20…筐体部
30…フィーダ
40…カードリーダ・ライタ
50…制御ユニット
60…剥がし機構
61…第1ポール(迂回手段の一部、およびポール部材の一部に対応)
62…第2ポール(迂回手段の一部、およびポール部材の一部に対応)
63…ガイド壁
100…カード連続体
101…紙カード(カード部材に対応)
104…連結部
110…収納箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面側に印刷が為されると共に他方の面側または上記一方の面側に磁気記録が為されるカード部材が多数連なるカード連続体から、上記カード部材を切り離し、印刷および磁気記録後に発券を行う発券装置において、
上記カード連続体を搬送するフィーダと、
上記カード連続体の中で、一の上記カード部材と他の上記カード部材の間で貼り付いている接着部分が形成されている場合に、上記フィーダにより上記カード連続体を搬送する際に与えられる引っ張り力を利用して、上記フィーダへの搬送途中で該接着部分を剥がす向きの力を与える剥がし機構と、
を具備することを特徴とする発券装置。
【請求項2】
前記カード部材は、他の前記カード部材に対して連結部を介して連結して前記カード連続体を構成していて、
前記カード連続体は、上記連結部を所定の個数ごとに折り曲げることにより、つづら折りの状態で収納手段の内部に収納されていると共に、
前記剥がし機構は、
前記カード連続体を迂回させる迂回手段を具備すると共に、
この迂回手段に沿って前記カード連続体を搬送すると、前記カード部材が撓まされ、この撓みによって、前記接着部分が剥がされる、
ことを特徴とする請求項1記載の発券装置。
【請求項3】
前記迂回手段は、複数のポール部材を具備し、これらポール部材は、その外周面に前記カード部材を倣わせると共に、
複数の上記ポール部材は、
前記カード部材に折り目を生じさせないと共に、外周面に倣わせる場合に前記接着部分を剥がすのに適した撓み力を与えるだけの直径を有している、
ことを特徴とする請求項2記載の発券装置。
【請求項4】
前記迂回手段の入口部分には、
前記カード部材の撓みの後端側を抑えて撓みを確実に生じさせるためのガイド壁が設けられている、
ことを特徴とする請求項3記載の発券装置。
【請求項5】
前記ガイド壁と前記ポール部材との間の間隔は、前記カード部材の搬送方向における長さ寸法よりも小さく設けられていることを特徴とする請求項4記載の発券装置。
【請求項6】
複数の前記ポール部材の外周面に走行抵抗部が設けられていて、
この走行抵抗部に前記カード部材が接触する状態で、前記フィーダにより前記カード連続体が搬送されると、前記カード部材には、前記接着部分を剥がすだけのバックテンションが与えられる、
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の発券装置。
【請求項7】
前記ポール部材は、2つ設けられていると共に、
前記カード部材が待機状態にある場合、該カード部材の搬送方向における一端側は、一の前記ポール部材の外周面に位置すると共に、該カード部材の搬送方向における他端側は、他の前記ポール部材の外周面に位置する、
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の発券装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−219698(P2007−219698A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37755(P2006−37755)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(503253079)株式会社サニカ (20)
【Fターム(参考)】