説明

発券装置

【課題】ロール紙のカール癖の発生を防止しながら、発券装置の小型化を図る手段を提供する。
【解決手段】軸方向に並列に配置されたロール紙2a、2bを収納するロール紙収納部4を備え、ロール紙2を規定の長さに切断した単券に、所定の視認情報を印字して発行する発券装置1において、一のロール紙2aのロール紙収納部4からの繰出を終えたときに、並列に配置された他のロール紙2bを軸方向に移動させてロール紙2を補充する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のロール紙を軸方向に並列に収納し、乗車券等の単券を発行する発券装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道で用いられる券売機においては、利用者が選択した区間の乗車券を発行する場合、裏面に磁気コーティングが施されたロール紙を乗車券の長さに切断し、切断した単券のおもて面に乗車区間等の視認情報を印字し、裏面に乗車区間等の磁気情報を書込んで自動で発行している。
【0003】
このような券売機は、通常、無人で稼動しているため、ロール紙の補充頻度が高いと保守員等の係員の負担が増大することから、ロール紙は太巻きにされ、例えば乗車券用のロール紙は、外径φ300mm、巻芯径φ120mm、幅57.5mm、重さ約3kgのものが標準的に用いられている。
【0004】
また、乗降客の多い駅舎等においては、ロール紙の補充頻度を更に軽減するために、複数のロール紙を装填することができる発券装置を搭載した券売機が用いられている。
【0005】
このような複数のロール紙を装填した従来の発券装置は、裏面に磁気コーティングが施された2巻のロール紙を、その半径方向に並列に配置し、それぞれのロール紙収納部からの搬送路を、搬送されるロール紙の紙面の直交方向に2段に積層して、単券に切断するカッタ部の手前で合流させ、運用中の補充の手間を軽減している(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、2巻のロール紙を、その軸方向に並列に配置し、それぞれのロール紙収納部からの搬送路を、搬送されるロール紙の幅方向に並設し、補充用のロール紙の搬送路の単券に切断するカッタ部の手前に、S字状搬送路を内蔵した経路変換部を設け、補充用のロール紙の先頭端をS字状にかつ幅方向に移動させて他方のロール紙の搬送路に合流させ、他方のロール紙の用紙切れが発生した後は、補充用のロール紙を用いて自動的に発券を継続させているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−26153号公報(段落0012−0016、第1図)
【特許文献2】特開2007−34408号公報(段落0010−0018、第1図、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、乗降客の多い鉄道の駅舎等においては、利用者サービス向上の観点から券売機が複数設置されるため、釣銭機等も搭載される券売機に用いる発券装置は、できるだけ小型であることが望ましい。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1の技術においては、2巻のロール紙を半径方向に並列に配置し、それぞれのロール紙収納部からの搬送路を、搬送されるロール紙の紙面の直交方向に2段に積層しているため、比較的直径の大きいロール紙を半径方向に並列に配置するための高さ方向および/もしくは奥行方向のスペースや、ロール紙収納部からの搬送路を2段に積層するためのスペースを確保しなければならず、発券装置が大型化し、これが制約となって券売機等の小型化を図ることが困難になるという問題がある。
【0010】
また、特許文献2の技術においては、2巻のロール紙を軸方向に並列に配置しているため、ロール紙を収納するための高さ方向や奥行方向のスペースは1巻分のスペースとなり、ロール紙の幅は外径に比して小さいために幅方向のスペースの増分は最小限に抑えられるので、発券装置の小型化のためには有効であるが、それぞれのロール紙収納部からの搬送路を搬送されるロール紙の幅方向に並設し、一方の搬送路にS字状搬送路を内蔵した経路変換部を設けてカッタ部の手前で他方の搬送路に合流させているため、S字状搬送路を内蔵した経路変換部を設けるスペースを必要とし、発券装置の小型化を図ることが困難になるという問題がある。
【0011】
更に、特許文献2の技術においては、一方の搬送路にS字状搬送路を内蔵した経路変換部を設けて、補充用のロール紙の先頭端をS字状にかつ幅方向に移動させているため、ロール紙がS字状搬送路に一定時間停滞した場合には、ロール紙にS字状搬送路の曲率半径に沿った巻癖や、幅方向の移動に伴う捩れ癖等のカール癖が付き、切断後の単券の搬送においてジャム等の搬送不良が発生する場合があるという問題がある。
【0012】
また、単券にカール癖が付いたまま顧客に発行されると、見栄え品質が低下すると共に、その後の自動改札におけるジャム等の搬送不良の要因になるという問題がある。
【0013】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、カール癖の発生を防止しながら、発券装置の小型化を図る手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、軸方向に並列に配置されたロール紙を収納するロール紙収納部を備え、前記ロール紙を規定の長さに切断した単券に、所定の視認情報を印字して発行する発券装置において、一の前記ロール紙の前記ロール紙収納部からの繰出を終えたときに、前記並列に配置された他のロール紙を軸方向に移動させてロール紙を補充することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
これにより、本発明は、ロール紙から切断した単券にカール癖が発生することを防止しながら、自動的に補充したロール紙によって単券の発行を継続することができると共に、軸方向に配置したロール紙により発券装置の小型化を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の発券装置の側面を示す説明図
【図2】実施例1の発券装置の正面を示す説明図
【図3】実施例1の発券装置を示すブロック図
【図4】実施例1の発券処理を示すフローチャート
【図5】実施例1のロール紙の補充動作を示す説明図
【図6】実施例2の発券装置の側面を示す説明図
【図7】実施例2の発券装置の正面を示す説明図
【図8】実施例2の発券装置を示すブロック図
【図9】実施例2の発券処理を示すフローチャート
【図10】実施例2の分離繰出機構の退避動作を示す説明図
【図11】実施例3の発券装置の側面を示す説明図
【図12】実施例3の発券装置の正面を示す説明図
【図13】実施例3の発券処理を示すフローチャート
【図14】実施例4の発券装置の側面を示す説明図
【図15】実施例4の発券装置の正面を示す説明図
【図16】実施例4の発券装置を示すブロック図
【図17】実施例4の発券処理を示すフローチャート
【図18】実施例4のロール紙の補充動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明による発券装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1、図2において、1は発券装置である。本実施例では、鉄道で用いられる券売機に搭載される発券装置であって、単券発行用紙としてのロール紙2の補充頻度を軽減するために、軸方向に並列に配置した複数(本実施例では2巻)のロール紙2が装填される。
【0019】
ロール紙2a、2bは、裏面に磁気コーティングが施された長尺の紙帯を円筒状の巻芯3a、3bを中心として巻付けて形成され、乗車券、定期券、指定券等を発行する際にそれぞれの規定の長さに切断して用いられ、ロール紙2bは、現在用いているロール紙2a(現用のロール紙2ともいう。)がなくなったときの補充用として用いられる。
【0020】
本実施例のロール紙2は、乗車券等用として標準的に用いられているものであって、具体的には外径φ300mm、巻芯3の径φ120mm、幅57.5mm、重さ約3kgのロール紙である。なお、幅方向はロール紙2の軸方向と同一方向である。
【0021】
4はロール紙収納部であり、軸方向に並列に配置されたロール紙2a、2bを囲う有底の枠体であって、その底面にロール紙2a、2bを直接載置して収納する収納部であって、後述するロール紙移動機構30により、図2に示す原位置から、補充用のロール紙2bを現用のロール紙2aの方向へ移動させる方向(図2に示す矢印参照)、つまりロール紙2の軸方向に移動可能に構成されている。
【0022】
6はロール紙搬送路であり、ロール紙収納部4から、ロール紙2の先頭部分を規定の長さに切断するカッタ部7までの間を接続する搬送路であって、搬送ローラ8a、8b等により構成され、駆動部9(図3参照)に設けられた駆動ベルト、ギア列、モータ等の駆動機構により正逆方向に駆動される。
【0023】
10は搬送監視センサであり、ロール紙搬送路6を挟んで発光部と受光部とを対向配置した光学式センサであって、発光部からの光を搬送中のロール紙2が遮ったことを受光部で検出して、正搬送方向(ロール紙収納部4からスタッカ11の方向へロール紙2や単券を搬送する方向をいう。)に搬送されるロール紙2の先頭端および後尾端を検出する機能を有しており、ロール紙搬送路6の搬送ローラ8bの上流側に配置され、ロール紙搬送路6を搬送されるロール紙2の搬送状態を監視する。
【0024】
12は単券搬送路であり、ロール紙搬送路6の正搬送方向の最下流部に配置されたカッタ部7で規定の長さに切断された単券を搬送する搬送路であって、カッタ部7から、発行する単券(本実施例では、乗車券等)を集積する発券装置1の正面に設けられたスタッカ11までの間を接続する搬送路であって、カッタ部7から正搬送方向に沿って、単券のおもて面に所定の視認情報(本実施例では、乗車区間等)を印字する印字部14、単券の裏面に所定の磁気情報(本実施例では、乗車区間等)を書込む磁気情報書込部15、磁気情報書込部15で書込まれた磁気情報が正しく書込まれているかを確認する磁気情報読取部16が順に配置されている。
【0025】
17は券挿入部であり、発券装置1や他の発券装置で発行された単券に追加処理を行う場合にその単券を挿入する部位である。
【0026】
20は分離繰出機構であり、ロール紙収納部4に装填されたロール紙2の外周面を支持すると共にロール紙2を繰出回転方向(図1において、反時計方向)およびその逆方向に回転させる支持ローラ21a、21b、繰出回転方向に回転しているロール紙2の外周面上に摺接して外周面からロール紙2の先頭端を分離する分離爪22、分離爪22で分離された先頭端をロール紙搬送路6の搬送ローラ8aに導く一対のガイド板23等で構成されており、繰出位置(図2に示す、分離繰出機構20の支持ローラ21に支持されたロール紙2aの位置をいう。)に停止したロール紙2を、支持ローラ21で繰出回転方向に回転させ、その先頭端を分離爪22で分離してロール紙搬送路6へ自動的に繰出す機能を有している。
【0027】
本実施例の支持ローラ21aは、駆動部9に設けられたモータ等により正逆方向に回転駆動される駆動ローラであり、支持ローラ21bはロール紙2の回転に伴って回転する従動ローラである。
【0028】
30はロール紙移動機構であり、ロール紙収納部4のロール紙2の軸方向に沿った両側に設けられた往復移動可能に構成されたスライドレール31、駆動部9に設けられた移動モータ32により正逆方向に回転駆動される駆動プーリ33aと従動プーリ33bの間に掛渡された歯付ベルト等からなる移動ベルト34、ロール紙収納部4を移動ベルト34に固定する固定具35等により構成され、現用のロール紙2aの繰出が終了したときに、移動モータ32により駆動プーリ33aを回転駆動して、移動ベルト34、固定具35を介してロール紙収納部4を原位置(図2に示す、ロール紙2aを分離繰出機構20の支持ローラ21上に停止させた位置をいう。)から軸方向(図2に示す矢印方向)に移動させ、補充用のロール紙2bを繰出位置に停止させると共に、新たな2巻のロール紙2の装填時にロール紙収納部4を逆方向へ移動させて原位置へ戻す機能を有している。
【0029】
37はロール紙検出センサであり、ロール紙収納部4に装填された2巻のロール紙2を挟んで発光部と受光部とをロール紙2の軸方向に対向配置した光学式センサであって、発光部からの光をロール紙2が遮ったことを受光部で検出して、ロール紙収納部4に収納されたロール紙2の存否を検出する機能を有している。
【0030】
38は開閉扉であり、ロール紙2を装填するとき等に開閉する保守用の扉であって、開閉扉38の開閉を検出する開閉検出センサ38a(図3参照)が設けられている。
【0031】
本実施例では、発券装置1の筐体の正面板、つまりスタッカ11が設けられた正面板が開閉可能に構成された開閉扉38として機能する。
【0032】
上記した各部位は、ロール紙券発行アセンブリとして図示しないスライド機構上に設置された1つのアセンブリフレーム(図示省略)内に組込まれており、開閉扉38を開放することによって、ロール紙券発行アセンブリの全体が正面側に引出せるように構成されている。
【0033】
なお、上記したロール紙収納部4を除く部位は、アセンブリフレームに固定されているが、ロール紙移動機構30のスライドレール31は、アセンブリフレームとロール紙収納部4との間に配置されており、ロール紙収納部4はアセンブリフレームに対して相対移動可能に構成されている。
【0034】
また、本実施例のロール紙搬送路6と単券搬送路12とで構成される搬送経路は1本であり、この搬送経路にロール紙2を繰出す分離繰出機構20、および搬送経路に設けられている搬送監視センサ10、カッタ部7、印字部14、磁気情報書込部15、磁気情報読取部16もそれぞれ1つである。
【0035】
図3において、41は発券装置1の制御部であり、信号線等の信号回線42を介して上位装置43(本実施例では、乗車券等の券売機)の図示しない主制御部に接続しており、上位装置43との相互通信を制御すると共に、発券装置1内の各部を制御して、発券処理やロール紙補充処理等を実行する機能を有している。
【0036】
45は発券装置1の記憶部であり、制御部41が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部41による処理結果等が格納される。
【0037】
この記憶部45には、上位装置43から送信された発券指令に添付された単券種別(本実施例では、乗車券)を基に、ロール紙2を規定の長さに切断してその単券に所定の視認情報や磁気情報を書込んで利用者に発行する機能を有する発券処理プログラムや、現用のロール紙2aのロール紙収納部4からの繰出が終了したときに、補充用のロール紙2bを繰出位置へ移動させ、そのロール紙2bの先頭端を自動で繰出して発券待機位置(後述)に待機させる機能を有するロール紙補充処理プログラム等からなる業務実行プログラムが予め格納されており、制御部41が実行する業務実行プログラムのステップにより本実施例の発券装置1の各機能手段が形成される。
【0038】
以下に、図4にSで示すステップに従って、本実施例の発券処理およびロール紙補充処理について説明する。
【0039】
S1:ロール紙収納部4にロール紙2が収納されていない場合、係員は発券装置1の開閉扉38を開放し、ロール紙券発行アセンブリを発券装置1の筐体から引出して原位置に停止しているロール紙収納部4内の繰出位置に現用とするロール紙2aを、その軸方向の背後に補充用とするロール紙2bを装填し、その状態でロール紙券発行アセンブリを、発券装置1の筐体内へ押込んで開閉扉38を閉鎖する。発券装置1の制御部41は、開閉扉38に設けた開閉検出センサ38aが開閉扉38の閉鎖を検出したときにステップS2へ移行する。
【0040】
S2:制御部41、繰出位置に停止しているロール紙2aの先頭端の分離繰出動作を行う。
【0041】
すなわち、制御部41は、支持ローラ21aによってロール紙2aを繰出回転方向に回転させ、その先頭端を分離爪22で分離し、分離した先頭端をガイド板23により、ガイド板23の出口直後に配置されているロール紙搬送路6の搬送ローラ8aへ導いて搬送ローラ8aに挟持させる。これにより現用ロール紙2aの先頭端が自動的にロール紙搬送路6へ繰出される。
【0042】
S3:ロール紙2aの先頭端を搬送ローラ8aに挟持させた制御部41は、繰出したロール紙2aをロール紙搬送路6により搬送し、搬送監視センサ10が先頭端を検出した後に所定の距離搬送して搬送ローラ8bに挟持させた状態で停止させる(この搬送ローラ8bが分離繰出後のロール紙2の先頭端を挟持して停止させた位置を、発券待機位置という。)。
【0043】
S4:制御部41は、ロール紙搬送路6の搬送監視センサ10が現用ロール紙2(本段階ではロール紙2a)の後尾端を検出するのを待って待機しており、搬送監視センサ10がロール紙2の後尾端を検出したときに、現用ロール紙2の繰出終了を判定し、ロール紙補充処理を実行するためにステップS14へ移行する。搬送監視センサ10がロール紙2の後尾端を検出しない場合、つまりロール紙搬送路6を搬送されるロール紙2を検出し続けている場合はステップS5へ移行する。
【0044】
S5:制御部41は、上位装置43からの信号回線42を介した発券指令の着信を待って待機しており、発券指令を受信したときに発券処理の実行を判定してステップS6へ移行する。発券指令を受信しない場合は、ステップS4へ戻ってステップS4、S5による待機を継続する。
【0045】
S6:発券指令を受信した制御部41は、ロール紙2(本段階ではロール紙2a)の先頭端が発券待機位置にある場合は、ロール紙搬送路6によってカッタ部7まで搬送した先頭端を、ロール紙2による発券処理の継続中である場合は、カッタ部7に位置している切断後の先頭端を、発券指令に添付された単券種別を基に、ロール紙搬送路6によって先頭端を発行すべき単券種別(本実施例では、乗車券)の規定の長さ分搬送し、その先頭部分をカッタ部7によって切断して発行に用いる単券を形成する。
【0046】
S7:規定の長さの単券を形成した制御部41は、その単券を単券搬送路12により印字部14へ搬送し、単券のおもて面に所定の視認情報(本実施例では、乗車区間等)を印字する。
【0047】
S8:単券に視認情報を印字した制御部41は、印字を終えた単券を単券搬送路12により磁気情報書込部15へ搬送し、単券の裏面の磁気コーティング部に所定の磁気情報(本実施例では、乗車区間等)を書込む。
【0048】
S9:単券に磁気情報を書込んだ制御部41は、その単券を単券搬送路12により磁気情報読取部16へ搬送し、磁気情報書込部15で書込まれた磁気情報を読取り、読取った磁気情報が正しい場合はステップS10へ移行する。読取った磁気情報に誤りが存在する場合はステップS12へ移行する。
【0049】
S10:磁気情報が正しく書込まれていることを認識した制御部41は、その単券を単券搬送路12によりスタッカ11へ搬送して排出集積し、利用者が選択した単券種別の単券を発行し、1枚の単券の発券処理を終了させてステップS11へ移行する。
【0050】
S11:制御部41は、発券装置1へ供給されている電力の状態を確認し、電源が遮断されている場合は全ての処理を終了させる。電力の供給が継続している場合は、ステップS4へ戻り、発券処理およびロール紙補充処理の実行を継続する。
【0051】
S12:上記ステップS9において、磁気情報に誤りが存在することを認識した制御部41は、書込異常が発生した旨の異常発生通知を、信号回線42を介して上位装置43へ送信してステップS13へ移行する。異常発生通知を受信した上位装置43は、警報等により書込異常の発生を係員に報知する。
【0052】
S13:書込異常の発生を報知した制御部41は、係員による復旧作業の終了を待って待機しており、開閉検出センサ38aが開閉扉38の開放を検出し続けていることにより復旧作業中と認識した場合は前記の待機を継続する。開閉検出センサ38aが開閉扉38の閉鎖を検出したことにより装置の復旧を認識した場合は、接続子Aを介してステップS4へ戻り、発券処理およびロール紙補充処理の実行を継続する。
【0053】
この場合に、ステップS5において、上位装置43から発行しようとした単券の再発行のための発券指令を受信した場合は、上記ステップS6〜S10による発券処理を実行し、利用者が選択した単券種別の単券を再発行する。
【0054】
S14:上記ステップS4において、搬送監視センサ10がロール紙2の後尾端を検出したことにより現用ロール紙2の繰出終了を判定した制御部41は、ロール紙補充処理を実行するために、ロール紙検出センサ37からの出力を確認し、ロール紙検出センサ37が補充用のロール紙2bの存在を検出している場合はステップS17へ移行する。ロール紙検出センサ37がロール紙2の存在を検出していない場合、つまりロール紙収納部4に装填された2巻のロール紙2の繰出が終了している場合はステップS15へ移行する。
【0055】
なお、本実施例の発券装置1では、ロール紙2の後尾端が搬送監視センサ10を通過した後、予め設定された一定枚数の単券を発行した後に当該ロール紙2による単券の発行を停止するように設定されている。
【0056】
S15:装填された2巻のロール紙2の繰出が終了したことを認識した制御部41は、ロール紙収納部4の用紙切れを認識し、用紙切れが発生した旨の用紙切れ発生通知を、信号回線42を介して上位装置43へ送信してステップS16へ移行する。用紙切れ発生通知を受信した上位装置43は、警報等によりロール紙収納部4における用紙切れの発生を係員に報知する。
【0057】
用紙切れの報知を受けた係員は、開閉扉38を開放し、ロール紙券発行アセンブリを引出して残置された巻芯3a、3bを除去し、上記ステップS1と同様にして、係員はロール紙2a、2bをロール紙収納部4に装填し、その状態でロール紙券発行アセンブリを、発券装置1の筐体内へ押込んで開閉扉38を閉鎖する。
【0058】
S16:用紙切れの発生を報知した制御部41は、係員による装填作業の終了を待って待機しており、開閉検出センサ38aが開閉扉38の開放を検出し続けていることにより装填作業中と認識した場合は前記の待機を継続する。
【0059】
開閉検出センサ38aが開閉扉38の閉鎖を検出したことによりロール紙2の装填終了を認識した場合は、2巻のロール紙が装填されたロール紙収容部4をロール紙移動機構30により原位置へ戻し、接続子Bを介してステップS2へ戻り、そのロール紙2aの先頭端の分離繰出動作を行い、ステップS3以降の処理を継続する。
【0060】
S17:上記ステップS14において、補充用のロール紙2bの存在を認識した制御部41は、繰出を終えた現用ロール紙2aの背後に装填されている補充用のロール紙2bを支持ローラ21a、21b上の繰出位置へ移動させる。
【0061】
すなわち、制御部41は、駆動部9の移動モータ32により駆動プーリ33aを回転駆動し、移動ベルト34と従動プーリ33bを回転させて、固定具35により移動ベルト34に固定されているロール紙収納部4を原位置から繰出位置の方向へ軸方向に移動させ、図5に示すように、ロール紙収納部4内に収納されたロール紙2bが支持ローラ21上の繰出位置へ移動したときに移動モータ32を停止させ、補充用のロール紙2bを繰出位置に停止させる。このとき、ロール紙収納部4に収納されていた繰出を終えたロール紙2aの巻芯3aは底面上にそのまま残置される。
【0062】
そして、制御部41は、繰出位置に停止させた補充用のロール紙2bを現用ロール紙2とするために、ロール紙収容部4を現在の位置に停止させたまま接続子Bを介してステップS2へ戻り、そのロール紙2の先頭端の分離繰出動作を行い、ステップS3以降の処理を継続する。
【0063】
このように、本実施例の発券装置1においては、2巻のロール紙2を軸方向に配置して収納するロール紙収納部4を設けると共に、そのロール紙収納部4を軸方向に移動させるロール紙移動機構30を設け、1巻目の現用のロール紙2aのロール紙収納部4からの繰出終了後に、ロール紙収納部4をロール紙移動機構30により軸方向に移動させて2巻目の補充用のロール紙2bを繰出位置へ移動させて停止させるようにしたので、ロール紙2から切断した単券にカール癖を残すことなく、1巻目のロール紙2の繰出が終了した後に、2巻目のロール紙2による単券の発行を自動的に継続することができ、ロール紙2の補充頻度を減少させて係員の負担を軽減することができると共に、ロール紙収納のためのスペースの増分を最小限に抑制して発券装置1の小型化を図ることができる。
【0064】
また、本実施例のロール紙補充処理においては、2巻目の補充用のロール紙2bの後尾端が搬送監視センサ10を通過した後の、繰出を終えた2巻目のロール紙2bによる一定枚数の単券の発券中に、補充用のロール紙2が存在しない場合は、係員に用紙切れの報知を行うので、2巻目のロール紙2bが完全になくなる前に、新たな2巻のロール紙2のロール紙収納部4への装填を2巻目のロール紙2bによる一定枚数の発券中に並行して行うことが可能になり、係員は利用者の混雑状況や業務の合間を見計らって使い終わった巻芯3の除去と新たな2巻のロール紙2の装填を行うことができ、係員の負担を軽減することができると共に、新たなロール紙2を装填するタイミングを柔軟にして発券装置1の稼動効率を向上させることができる。
【0065】
以上説明したように、本実施例では、軸方向に並列に配置された2巻のロール紙を収納するロール紙収納部に、ロール紙の先頭端を分離して繰出す1つの分離繰出機構を設けると共に、分離繰出機構から繰出されたロール紙を搬送する1つのロール紙搬送路を設け、一のロール紙のロール紙収納部からの繰出を終えたときに、その背後に配置された他のロール紙を軸方向に移動させ、分離繰出機構上に停止させてロール紙を補充するようにしたことによって、ロール紙から切断した単券にカール癖が発生することを防止しながら、自動的に補充したロール紙によって単券の発行を継続することができると共に、軸方向に配置した2巻のロール紙により発券装置の小型化を図ることができる。
【実施例2】
【0066】
以下に、図6ないし図10を用いて本実施例の発券装置について説明する。なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
本実施例の分離繰出機構20は、図6に示すように、補充用のロール紙2bを軸方向に移動させるときに、分離繰出機構20の支持ローラ21をロール紙2bの外周面から退避させる退避機構50に取付けられている。
【0068】
これは、補充用のロール紙2bを繰出位置へ移動させるときに、ロール紙2bの軸芯とロール紙2aの軸芯との芯ずれが許容範囲を超えていたこと等の理由で、ロール紙2bの外周面と支持ローラ21とが衝突する場合があり、ロール紙2bと支持ローラ21とが衝突すると、最外周のロール紙2bをめくりあげたり、傷をつけたりといった損傷が生ずる場合があり、このロール紙2bと支持ローラ21との衝突を防止して、ロール紙2bの損傷を防止するとともに、ロール紙2bの移動不良に伴う発券装置1の稼動停止といった不具合を防止するためである。
【0069】
本実施例の退避機構50は、図6、図7に示すように、図示しないロール紙券発行アセンブリに取付けられた回動支点51に回動可能に支持された駆動リンク52、駆動リンク52の一端と分離繰出機構20を収容した収容カバー53の底部との間を連結する連結リンク54、駆動リンク52の回動支点51を挟んだ反対側の他端を図6において上下方向に駆動するアクチュエータとしての電磁弁55等で構成され、電磁弁55に通電し吸引動作をさせることによって、駆動リンク52が回動支点51を中心に回動し、連結リンク54を介して分離繰出機構20をロール紙2の外周面から離間する方向に移動させ、分離繰出機構20の支持ローラ21と分離爪22を、軸方向に移動するロール紙2bの外周面に接触しない位置(退避位置という。)に退避させる機能を有している。
【0070】
なお、退避機構50により分離集積機構20を退避させたときは、支持ローラ21、分離爪22、一対のガイド板23が収容カバー53とともに退避位置へ移動し、本実施例では、支持ローラ21と分離爪22をロール紙収納部4の底面から突出しない位置まで退避させている(図10参照)。
【0071】
本実施例の発券装置1の記憶部45には、上記実施例1と同様の発券処理プログラムや、現用のロール紙2aのロール紙収納部4からの繰出が終了したときに、分離繰出機構20を退避させ、その後に補充用のロール紙2bを繰出位置に移動させ、そのロール紙2bの先頭端を自動で繰出して発券待機位置に待機させる機能を有するロール紙補充処理プログラム等からなる業務実行プログラムが予め格納されており、制御部41が実行する業務実行プログラムのステップにより本実施例の発券装置1の各機能手段が形成される。
【0072】
以下に、図9にSAで示すステップに従って、本実施例の発券処理およびロール紙補充処理について説明する。
【0073】
SA1:ロール紙収納部4にロール紙2が収納されていない場合、係員は発券装置1の開閉扉38を開放し、上記実施例1のステップS1と同様にして、原位置に停止しているロール紙収納部4内の繰出位置に現用とするロール紙2aを、その軸方向の背後に補充用とするロール紙2bを装填し、その状態でロール紙券発行アセンブリを、発券装置1の筐体内へ押込んで開閉扉38を閉鎖する。
【0074】
この場合に、発券装置1の制御部41は、開閉検出センサ38aからの開閉扉38の開放、閉鎖の検出出力に関らず、退避機構50の電磁弁55を非通電状態として分離繰出機構20を、支持ローラ21によりロール紙2を支持する位置(ロール紙支持位置という。)で停止させたままとし、開閉検出センサ38aが開閉扉38の閉鎖を検出したときに、退避機構50の電磁弁55を非通電状態とし分離繰出機構20をロール紙支持位置に停止させたままの状態でステップSA2へ移行する。
【0075】
その後のステップSA2〜SA16の作動は、上記実施例1のステップS2〜S16の作動と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
SA17:ステップSA14において、補充用のロール紙2bの存在を認識した制御部41は、図10に示すように、退避機構50の電磁弁55に通電して、そのプランジャを吸引し、駆動リンク52を回動支点51を中心に回動させ、連結リンク54を介して分離繰出機構20を退避位置に退避させてステップSA18へ移行する。これにより、補充用のロール紙2bを繰出位置へ移動させるときに、ロール紙2bの外周面と支持ローラ21との衝突を防止することができる。
【0077】
SA18:分離繰出機構20を退避させた制御部41は、上記実施例1のステップS17と同様にして、繰出を終えた現用ロール紙2aの背後に装填されている補充用のロール紙2bを分離繰出機構20がロール紙支持位置に位置していたならば、支持ローラ21上となるロール紙2の繰出位置へ移動させる。
【0078】
そして、制御部41は、退避機構50の電磁弁55に非通電にして、そのプランジャを図示しないバネ部材により突出させ、駆動リンク52を回動支点51を中心に回動させ、分離繰出機構20を退避位置からロール紙支持位置に移動させて繰出位置に停止させた補充用のロール紙2bの外周面を支持ローラ21により支持させ、補充用のロール紙2bを現用ロール紙2とするために、ロール紙収容部4を現在の位置に停止させたまま接続子Dを介してステップSA2へ戻り、そのロール紙2の先頭端の分離繰出動作を行い、ステップSA3以降の処理を継続する。
【0079】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、現用のロール紙のロール紙収納部からの繰出終了時において、補充用のロール紙を軸方向に移動させるときに、分離繰出機構をロール紙の外周面から退避させるようにしたことによって、補充用のロール紙を支持ローラに衝突させずに円滑に移動させることができ、ロール紙の損傷を防止することができると共に、ロール紙の移動不良に伴う稼動停止を防止して、発券装置の稼動効率を向上させることができる。
【実施例3】
【0080】
以下に、図11ないし図13を用いて本実施例の発券装置について説明する。なお、上記実施例1、実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0081】
本実施例の分離繰出機構20は、図11、図12に示すように、補充用のロール紙2bを軸方向に移動させるときに、上記実施例2と同様に分離繰出機構20を退避位置へ退避させる退避機構50に取付けられており、その支持ローラ21a、21bのロール紙2の移動方向(図12に示す矢印の方向)の上流側に、支持ローラ21に向かって拡大するテーパ面を有する直円錐からなるガイド部58が設けられている。
【0082】
このガイド部58は、ロール紙2bが接触したときに抵抗なく円滑に滑るような材料、例えばポリアセタール樹脂で形成され、支持ローラ21に固定されて支持ローラ21とともに回転する。
【0083】
なお、ガイド部58の形状は、直円錐に限らず、上面の円の中心と下面の円の中心とを同軸上に配置した円錐台形状であってもよい。
【0084】
本実施例の発券装置1の記憶部45には、上記実施例2と同様の発券処理プログラムや、ロール紙補充処理プログラム等からなる業務実行プログラムが予め格納されており、制御部41が実行する業務実行プログラムのステップにより本実施例の発券装置1の各機能手段が形成される。
【0085】
以下に、図13にSBで示すステップに従って、本実施例の発券処理およびロール紙補充処理について説明する。
【0086】
本実施例のステップSB1〜SB18の作動は、上記実施例2のステップSA1〜SA18の作動と同様であるので、その説明を省略する。
【0087】
この場合に、本実施例の支持ローラ21には、ロール紙2の移動方向の上流側にテーパ面を有するガイド部58が設けられているので、ステップSB17において、退避機構50により分離繰出機構20を退避位置に退避させるときの移動量は、上記実施例2より少なくて足り、ロール紙収納部4に収納された補充用のロール紙2bの、ロール紙収納部4の底面と平行な半径方向の隙間の最大値に相当する半径方向の移動があったとしても、軸方向に移動させるロール紙2bの外周面がガイド部58のテーパ面に確実に接触する移動量であればよい。
【0088】
また、補充用のロール紙2bが、半径方向の隙間の最大値に相当する半径方向の移動をしたとしても、軸方向に移動させるロール紙2bの外周面がガイド部58のテーパ面に確実に接触するのであれば、退避機構50を省略するようにしてもよい。
【0089】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、支持ローラのロール紙の移動方向の上流側に支持ローラに向かって拡大するテーパ面を有するガイド部を設けたことによって、補充用のロール紙が支持ローラに衝突する位置にあってもロール紙の外周面を円滑に支持ローラに導くことができ、ロール紙の損傷を防止することができると共に、ロール紙の移動不良に伴う稼動停止を防止して、発券装置の稼動効率を向上させることができる他、退避機構の移動量を最少にして発券装置の更なる小型化を図ることができると共に、処理時間の短縮化を図ることができる。
【実施例4】
【0090】
以下に、図14ないし図18を用いて本実施例の発券装置について説明する。なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0091】
本実施例のロール紙収納部60の底面は、図示しないアセンブリフレームに固定され、その底面には、図14、図15に示すように、ロール紙2aの装填側、つまり分離繰出機構20側の底面を低くした下段部61aと、補充用のロール紙2bの装填側の底面を下段部61aより高くした上段部61bとからなるロール紙2の軸方向に設けられた段差が形成され、その下段部61aには、分離繰出機構20からロール紙2の1巻の幅に相当する程度の長さをロール紙2の移動方向に延在させた延在部62が形成されており、下段部61aの分離繰出機構20上、つまり繰出位置にロール紙2aを、上段部61bにロール紙2bを直接載置して軸方向に2巻並べて収納すると共に、下段部61aの延在部62は繰出を終えた現用ロール紙2aの巻芯3aの収容部として機能するよう構成されている。
【0092】
64はロール紙収納部60のロール紙移動板であり、軸方向に並列に配置されたロール紙2a、2bを囲う無底の枠体であって、ロール紙移動機構30の固定具35により移動ベルト34に固定されており、補充用のロール紙2bを、原位置(図15に示す、ロール紙2aを分離繰出機構20の支持ローラ21上に停止させた位置をいう。)から段差を越えて軸方向に移動させて繰出位置(図15に示す、分離繰出機構20の支持ローラ21に支持されたロール紙2aの位置をいう。)に停止させると共に、繰出を終えた現用ロール紙2aの巻芯3aをロール紙2の移動方向に移動させる機能を有している。
【0093】
66は巻芯検出センサであり、ロール紙収納部60の底面の下段部61aの延在部62に載置された繰出を終えた現用ロール紙2aの巻芯3aを挟んで発光部と受光部とを底面と平行な巻芯3aの半径方向に対向配置した光学式センサであって、発光部からの光を巻芯3aが遮ったことを受光部で検出して、延在部62に載置された巻芯3aの存否を検出する機能を有している。
【0094】
なお、本実施例のロール紙移動板64を構成するロール紙2の軸方向に沿った両側の側板には、巻芯検出センサ66の光軸を通過させる長穴がそれぞれ形成されている。
【0095】
図16において、67はロール紙補給依頼報知手段としての補給ランプであり、LED(Light Emitting Diode)等の発光源を備えており、繰出を終えた現用ロール紙2aの巻芯3aが延在部62に載置されたとき、つまり補充用のロール紙2bがロール紙移動板64に押されて繰出位置へ移動し、そのロール紙2bに押された巻芯3aが延在部62上に移動して停止したときに点灯して、係員等に不足した補充用のロール紙2の補給依頼を報知する機能を有している。
【0096】
本実施例の発券装置1の記憶部45には、上記実施例1と同様の発券処理プログラムやロール紙補充処理プログラム、および現用のロール紙2aのロール紙収納部4からの繰出が終了し、補充用のロール紙2bを繰出位置に移動させたときに、不足した補充用のロール紙2の補給依頼を補給ランプ67の点灯によって報知し、それに伴う補充用のロール紙2の補給を受付ける機能を有するロール紙補給処理プログラム等からなる業務実行プログラムが予め格納されており、制御部41が実行する業務実行プログラムのステップにより本実施例の発券装置1の各機能手段が形成される。
【0097】
以下に、図17にSCで示すステップに従って、本実施例の発券処理、ロール紙補充処理、およびロール紙補給処理について説明する。
【0098】
SC1:ロール紙収納部60にロール紙2が収納されていない場合、係員は発券装置1の開閉扉38を開放し、上記実施例1のステップS1と同様にして、原位置に停止しているロール紙収納部60のロール紙移動板64内の繰出位置に現用とするロール紙2aを、その軸方向の背後の上段部61b上に補充用とするロール紙2bを装填し、その状態でロール紙券発行アセンブリを、発券装置1の筐体内へ押込んで開閉扉38を閉鎖する。発券装置1の制御部41は、開閉扉38に設けた開閉検出センサ38aが開閉扉38の閉鎖を検出したときにステップSC2へ移行する。
【0099】
その後のステップSC2、SC3の作動は、上記実施例1のステップS2、S3の作動と同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
SC4:発券装置1の制御部41は、ロール紙搬送路6の搬送監視センサ10が現用ロール紙2の後尾端を検出するのを待って待機しており、搬送監視センサ10がロール紙2の後尾端を検出したときに、現用ロール紙2の繰出終了を判定し、ロール紙補充処理を実行するために、接続子Hを介してステップSC18へ移行する。搬送監視センサ10がロール紙2の後尾端を検出しない場合、つまりロール紙搬送路6を搬送されるロール紙2を検出し続けている場合は、ステップSC5へ移行する。
【0101】
SC5:発券装置1の制御部41は、開閉検出センサ38aが開閉扉38の開放を検出するのを待って待機しており、開閉検出センサ38aが開閉扉38の開放を検出したときに、ロール紙補給処理の実行を判定してステップSC15へ移行する。開閉検出センサ38aが開閉扉38の閉鎖を検出し続けている場合はステップSC6へ移行する。
【0102】
なお、この開閉扉38の開放は、後述するステップSC22において点灯させた補給ランプ67により、係員等が補充用のロール紙2の補給を認知し、係員が利用者の混雑状況や業務の合間を見計らって使い終わった巻芯3aの除去と新たな補充用のロール紙2の装填を行うために行うものである。
【0103】
その後のステップSC6〜SC14の作動は、上記実施例1のステップS5〜S13の作動と同様であるので、その説明を省略する。
【0104】
SC15:上記ステップSC5において、開閉扉38の開放を認識したことによりロール紙補給処理の実行を判定した制御部41は、係員によるロール紙収納部60の延在部62に残置された繰出を終えた現用ロール紙2aの巻芯3aの除去を、巻芯検出センサ66が検出するのを待って待機しており、巻芯検出センサ66が巻芯3aの除去を検出したときに、ステップSC16へ移行する。巻芯検出センサ66が巻芯3aを検出し続けている場合は、前記の待機を継続する。
【0105】
SC16:巻芯検出センサ66により巻芯3aの除去を認識した制御部41は、ロール紙移動機構30の移動モータ32を回転駆動して、ロール紙移動板64を原位置の方向に移動させ、ロール紙移動板64を原位置に戻してステップSC17へ移行する。
【0106】
係員は、原位置に戻ったロール紙移動板64の、空間となっている上段部61b上に新たな補充用のロール紙2を装填し、その状態でロール紙券発行アセンブリを、発券装置1の筐体内へ押込んで開閉扉38を閉鎖する。
【0107】
このように、本実施例のロール紙収納部60は、繰出を終えた現用ロール紙2aの巻芯3aを取出す位置、および新たに補給する補充用のロール紙2を装填する位置が、常に一定となり、係員の補給作業における操作性を向上させることができる。
【0108】
また、本実施例のロール紙移動機構30には、図示しないトルクリミッタが設けられており、ロール紙移動板64の移動時に、係員が手や指を挟んでも一定以上の力が加わらないため係員が負傷することはなく、補給作業の係員の安全に対する十分な配慮がなされている。
【0109】
SC17:ロール紙移動板64を原位置に戻した制御部41は、新たな補充用のロール紙2の補給を終えた係員が、開閉扉38を閉鎖するのを待って待機しており、開閉検出センサ38aが開閉扉38の開放を検出し続けている場合は前記の待機を継続する。開閉検出センサ38aが開閉扉38の閉鎖を検出したときは、接続子Gを介してステップSC4へ戻り、発券処理、ロール紙補充処理およびロール紙補給処理の実行を継続する。
【0110】
SC18:上記ステップSC4において、現用ロール紙2の繰出終了を判定し、接続子Hを介して移行した制御部41は、ロール紙補充処理を実行するために、ロール紙検出センサ37からの出力を確認し、ロール紙検出センサ37が補充用のロール紙2bの存在を検出している場合はステップSC21へ移行する。ロール紙検出センサ37がロール紙2の存在を検出していない場合、つまりロール紙収納部4に装填された2巻のロール紙2の繰出が終了している場合はステップSC19へ移行する。
【0111】
その後のステップSC19、SC20の作動は、上記実施例1のステップS15、S16の作動と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】
SC21:上記ステップSC18において、補充用のロール紙2bの存在を認識した制御部41は、繰出を終えた現用ロール紙2aの背後の上断面21bに装填されている補充用のロール紙2bを下断面21aの支持ローラ21a、21b上の繰出位置へ段差を越えて移動させる。
【0113】
すなわち、制御部41は、駆動部9の移動モータ32により駆動プーリ33aを回転駆動し、移動ベルト34と従動プーリ33bを回転させて、固定具35により移動ベルト34に固定されているロール紙移動板64を原位置から繰出位置の方向へ軸方向に移動させ、図18に示すように、ロール紙移動板64内に収納されたロール紙2bが支持ローラ21上の繰出位置へ移動したときに移動モータ32を停止させ、補充用のロール紙2bを繰出位置に停止させる。このとき、繰出を終えたロール紙2aの巻芯3aは補充用のロール紙2bに押されて延在部62上へ移動し、巻芯3aが延在部62上に移動したときに、巻芯検出センサ66によって延在部62上の巻芯3aが検出される。なお、延在部62上の巻芯3aはそのまま残置される。
【0114】
SC22:巻芯検出センサ66によって延在部62上の巻芯3aの存在を認識した制御部41は、新たな補充用のロール紙2の補給依頼を報知するために、補給ランプ67を点灯させ、繰出位置に停止させた補充用のロール紙2bを現用ロール紙2とするために、ロール紙移動板64を現在の位置に停止させたまま接続子Kを介してステップSC2へ戻り、そのロール紙2の先頭端の分離繰出動作を行い、ステップSC3以降の処理を継続する。
【0115】
このように、本実施例の発券装置1においては、ロール紙収納部60の底面に、上段部61b、下段部61aからなる段差を設けてアセンブリフレームに固定し、その上段部61bに載置されたロール紙2bと下段部61aに載置されたロール紙2aを軸方向に配置して収納すると共にロール紙2bを軸方向に移動させるロール紙移動板64を設け、1巻目の現用のロール紙2aのロール紙収納部60からの繰出終了後に、ロール紙移動板64をロール紙移動機構30により移動させて2巻目の補充用のロール紙2bを底面の段差を越えて繰出位置へ移動させて停止させるようにしたので、ロール紙収納部60の底面に設けた段差により、補充用のロール紙2bを支持ローラに衝突させずに円滑に移動させることができ、ロール紙2bの損傷を防止することができると共に、ロール紙2から切断した単券にカール癖を残すことなく、1巻目のロール紙2の繰出が終了した後に、2巻目のロール紙2による単券の発行を自動的に継続することができる他、ロール紙の移動不良に伴う稼動停止を防止して、発券装置1の稼動効率を向上させることができると共に、ロール紙収納のためのスペースの増分を最小限に抑制して発券装置の小型化を図ることができる。
【0116】
また、本実施例のロール紙補給処理においては、1巻目のロール紙2の繰出を終えた後に、補給ランプ67を点灯させて新たな補充用のロール紙2の補給を報知し、2巻目のロール紙2による単券の発券中に、新たな補充用のロール紙2の補給を受付けるので、係員は2巻目のロール紙2が完全になくなる前に、新たな補充用のロール紙2の補給を2巻目のロール紙2による発券中に並行して行うことが可能になり、係員は利用者の混雑状況や業務の合間を見計らって使い終わった巻芯3の除去と新たなロール紙2の装填を行うことができ、係員の負担を軽減することができると共に、新たなロール紙2を装填するタイミングをより柔軟にして発券装置1の稼動効率を更に向上させることができる。
【0117】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、ロール紙収納部の底面に、補充用のロール紙の装填側の底面からなる上段部と分離繰出機構側の底面を上段部より低くした下段部とからなる段差を設けると共に、ロール紙収納部に上段部上に装填された補充用のロール紙を底面の段差を越えて軸方向に移動させるロール紙移動板を設けたことによって、ロール紙収納部の底面に設けた段差により、補充用のロール紙を支持ローラに衝突させずに円滑に移動させることができ、ロール紙の損傷を防止することができると共に、ロール紙から切断した単券にカール癖を残すことなく、1巻目のロール紙2の繰出が終了した後に、2巻目のロール紙2による単券の発行を自動的に継続することができる他、ロール紙収納のためのスペースの増分を最小限に抑制して発券装置の小型化を図ることができる。
【0118】
なお、上記各実施例においては、2巻のロール紙はロール紙収納部の底面に直接載置して装填するとして説明したが、ロール紙収納部に円筒状の巻芯を挿通する軸を設けその軸に2巻のロール紙のそれぞれの巻芯を挿通させて装填するようにしてもよい。
【0119】
また、上記各実施例においては、分離繰出後のロール紙の先頭端の発券待機位置は、搬送監視センサの正搬送方向の下流側に設けられた搬送ローラがロール紙の先頭端を挟持して停止させた位置として説明したが、ロール紙の先頭端が搬送監視センサを通過した直後にロール紙搬送路による搬送を停止させ、その搬送監視センサの直後の位置を発券待機位置としてもよい。
【0120】
更に、上記各実施例においては、上位装置は鉄道で用いられる乗車券等の券売機であるとして説明したが、上位装置は前記に限らず、航空券の券売機や飲食業で用いられる食券の券売機等であってもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 発券装置
2、2a、2b ロール紙
3、3a、3b 巻芯
4、60 ロール紙収納部
6 ロール紙搬送路
7 カッタ部
8a、8b 搬送ローラ
9 駆動部
10 搬送監視センサ
11 スタッカ
12 単券搬送路
14 印字部
15 磁気情報書込部
16 磁気情報読取部
17 券挿入部
20 分離繰出機構
21、21a、21b 支持ローラ
22 分離爪
23 ガイド板
30 ロール紙移動機構
31 スライドレール
32 移動モータ
33a 駆動プーリ
33b 従動プーリ
34 移動ベルト
35 固定具
37 ロール紙検出センサ
38 開閉扉
38 開閉検出センサ
41 制御部
42 信号回線
43 上位装置
45 記憶部
50 退避機構
51 回動支点
52 駆動リンク
53 収容カバー
54 連結リンク
55 電磁弁
58 ガイド部
61a 下段部
61b 上段部
62 延在部
64 ロール紙移動板
66 巻芯検出センサ
67 補給ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に並列に配置されたロール紙を収納するロール紙収納部を備え、前記ロール紙を規定の長さに切断した単券に、所定の視認情報を印字して発行する発券装置において、
一の前記ロール紙の前記ロール紙収納部からの繰出を終えたときに、前記並列に配置された他のロール紙を軸方向に移動させてロール紙を補充することを特徴とする発券装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ロール紙収納部に収納されたロール紙の先頭端を分離して繰出す、1つの分離繰出機構と、前記分離繰出機構から繰出されたロール紙を搬送する、1つのロール紙搬送路とを設け、
前記一のロール紙の前記ロール紙収納部からの繰出を終えたときに、前記他のロール紙を軸方向に移動させて、前記分離繰出機構上に停止させることを特徴とする発券装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記分離繰出機構に、前記ロール紙の外周面を支持する支持ローラを設け、
前記支持ローラのロール紙の移動方向の上流側に、前記支持ローラに向かって拡大するテーパ面を有するガイド部を設けたことを特徴とする発券装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記他のロール紙を軸方向に移動させるときに、前記分離繰出機構を前記ロール紙の外周面から退避させることを特徴とする発券装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記他のロール紙を軸方向に移動させるときに、前記ロール紙収納部を軸方向に移動させて前記他のロール紙を移動させることを特徴とする発券装置。
【請求項6】
請求項2において、
前記ロール紙収納部の底面に、前記他のロール紙の装填側の底面からなる上段部と前記分離繰出機構側の底面を前記上段部より低くした下段部とからなる段差を設けると共に、前記ロール紙収納部に、前記上段部上に装填された他のロール紙を前記段差を越えて軸方向に移動させるロール紙移動板を設けたことを特徴とする発券装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記下段部に、前記分離繰出機構からロール紙の移動方向に延在させた延在部を設けると共に、前記延在部上の繰出を終えた前記一のロール紙の巻芯を検出する巻芯検出センサを設け、
前記巻芯検出センサが、前記延在部上の前記巻芯を検出したときに、不足した補充用のロール紙の補給依頼を報知し、前記他のロール紙による単券の発行中に、補充用の新たなロール紙の装填を行うことを特徴とする発券装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記補充用の新たなロール紙の補給をするときに、前記ロール紙移動板を原位置へ戻すことを特徴とする発券装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一項において、
前記ロール紙搬送路の、ロール紙の正搬送方向の最下流部に、前記ロール紙の先頭部分を規定の長さに切断するカッタ部を設けると共に、前記ロール紙搬送路の前記分離繰出機構と前記カッタ部との間に、前記ロール紙搬送路を搬送されるロール紙を検出する搬送監視センサを設け、
前記搬送監視センサが、前記一のロール紙の後尾端を検出したときに、前記一のロール紙の前記ロール紙収納部からの繰出を終えたと判定することを特徴とする発券装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記搬送監視センサが、前記他のロール紙の後尾端を検出したときに、前記ロール紙収納部の用紙切れを報知し、前記他のロール紙による単券の発行中に、新たな複数のロール紙の装填を行うことを特徴とする発券装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−221715(P2011−221715A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88936(P2010−88936)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】