説明

発券装置

【課題】ロール紙を収納するロール紙収納部を複数設けた装置本体の大型化を抑え、且つ、ロール紙収納部に対するロール紙の交換や補充にかかる係員の作業性を手詠歌させない発券装置を提供する。
【解決手段】複数のロール紙収納部10には、ロール紙10aの収納方向が平行でないものがある。また、内扉21は、ロール紙収納部10毎に設けている。内扉21は、下端部を回転軸に取り付け、対応するロール紙収納部10におけるロール紙10aの収納方向に回動する。また、外扉20は、複数の内扉の外側に位置し、これらの内扉21を覆う大きさである。また、外扉20も、下端部を回転軸に取り付けている。各内扉21は、外扉20に連結している。したがって、外扉20を開閉することにより、複数の内扉21が開閉できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロール紙を使用して乗車券や、レシート等を発券する発券装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール紙を使用して乗車券や、レシート等を発券する発券装置がある。
【0003】
例えば、鉄道の駅等では、ロール紙を用いて、乗車券を発券する発券装置が利用されている。この発券装置は、本体にセットされているロール紙を発券する乗車券の長さにカットする。このロール紙は、一方の面に磁気シートが貼付されている。発券装置は、発行駅、発行日時、乗車区間等を含む乗車券情報をカットしたロール紙に磁気データで記録する。また、発券装置は、乗車券情報をカットしたロール紙に印字する。
【0004】
この発券装置は、消耗品であるロール紙を使い切ると、新たな乗車券の発券が行えなくなるので、発券動作を停止して、ロール紙がセット(補充)されるのを待たなければならない。乗車券を求めている利用者がいるときに、このような理由で発券動作が停止することは、利用者に対するサービスの低下をまねく。
【0005】
そこで、ロール紙を収納する収納部を2つ備え、ロール紙が2本セットできる発券装置が提案されている(特許文献1参照)。この発券装置は、一方のロール紙を使い切ると、他方のロール紙を用いて発券動作を継続する。駅係員は、乗車券を求めている利用者がいないときに、ロール紙を使い切った収納部に、新たなロール紙をセット(補充)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−187151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ロール紙が2本セットできる従来の発券装置は、2本のロール紙を装置本体の幅方向に平行に並べて収納する構成であった。すなわち、ロール紙を収納する収納部を、装置本体の幅方向に平行に並べて設けた構成であった。
【0008】
駅係員は、使い切ったロール紙を収納していた収納部に対して、ロール紙をセットするとき、この収納部に残っている使い切ったロール紙の紙管を取り出す。このため、駅係員が使い切ったロール紙の紙管を取り出すのに十分な空間、すなわち駅係員が無理なく手を挿入できる空間、を確保しておく必用がある。この空間は、平行に並べて収納する2本のロール紙の間隔を長くすれば、すなわち2つの収納部の間隔を広くすれば、確保できるのであるが、この2本のロール紙の間隔を長くすると装置本体が大型化する(ロール紙を並べている方向の長さが長くなる。)。
【0009】
この発明の目的は、ロール紙を収納するロール紙収納部を複数設けた装置本体の大型化を抑え、且つ、ロール紙収納部に対するロール紙の交換や補充にかかる係員の作業性を手詠歌させない発券装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明にかかる発券装置は、一列に並べた複数のロール紙収納部のいずれかに収納されているロール紙を使用して、乗車券やレシート等を発券する。
【0011】
複数のロール紙収納部には、ロール紙の収納方向が平行でないものがある。また、内扉は、ロール紙収納部毎に設けている。この内扉は、下端部を回転軸に取り付け、対応するロール紙収納部におけるロール紙の収納方向に回動する。
【0012】
また、外扉は、複数の内扉の外側に位置し、これらの内扉を覆う大きさである。また、外扉も、下端部を回転軸に取り付けている。各内扉は、外扉に連結している。したがって、外扉を開閉することにより、複数の内扉が開閉できる。
【0013】
上記構成では、内扉側における隣接する収納部間の間隔を確保しながら、内扉の反対側における隣接するロール紙収納部間の間隔を狭くすることができ、装置本体の大型化が抑えられる。また、内扉側における隣接する収納部間の間隔を確保すことで、ロール紙収納部に対するロール紙の交換や補充にかかる係員の作業性を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、装置本体の大型化を抑え、且つ、ロール紙収納部に対するロール紙の交換や補充にかかる係員の作業性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】発券装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】発券装置の正面図である。
【図3】発券装置の内部構成を示す概略図である。
【図4】発券装置の外扉を開した状態を示す図である。
【図5】外扉、および内扉の回転軸と、ロール紙の収納方向と、の関係を示す図である。
【図6】外扉と、内扉との連結部を示す図である。
【図7】図6の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態である発券装置について説明する。
【0017】
ここでは、乗車券を発券する発券装置を例にして説明する。図1は、発券装置の主要部の構成を示すブロック図である。図2は、この発券装置の正面図である。図3は、この発券装置の内部構成を示す概略図である。
【0018】
発券装置1は、制御部2と、搬送部3と、磁気データ処理部4と、印字処理部5と、カット部6と、操作部7と、表示部8と、を備えている。この発券装置1は、発券する乗車券に対して、乗車券情報を磁気データで記録するとともに、乗車券情報を印字する。
【0019】
制御部2は、発券装置1本体各部の動作を制御する。
【0020】
搬送部3は、媒体搬送路3aに沿って乗車券を搬送する。媒体搬送路3aは、図3に示すように、ロール紙10aを収納するロール紙収納部10と、装置本体前面の発券口11とを結んでいる。また、媒体搬送路3aは、装置本体前面の券挿入口12につながる分岐路等も有する。ロール紙10aは、一方の面(裏面)に磁気シートを貼付したものである。
【0021】
このロール紙収納部10の詳細については後述するが、発券装置1本体の幅方向に2つ並んでいる。すなわち、この発券装置1は、ロール紙10aを2本収納できる構成である。また、ロール紙収納部10毎に、収納されているロール紙10aの先端をカット部6まで引き出す経路が異なる。カット部6と、発券口11との間における媒体搬送路3aは、ロール紙収納部10によらず、共通である。
【0022】
カット部6は、発行する券(乗車券)の長さに応じてロール紙10aをカットする。搬送部3は、カット部6がカットしたロール紙(以下、券と言う場合もある。)を媒体搬送路3aに沿って搬送する。
【0023】
印字処理部5は、媒体搬送路3aに沿って搬送している券の表面(磁気シートを貼付していない面)に、発行する乗車券に応じた文字や記号等(乗車券情報)を印字する。印字処理部5の印字ヘッド5aは、例えばサーマルヘッドであり、媒体搬送路3aに沿って搬送している券の表面に対向する位置に配置している。印字処理部5は、印字を行う際に、印字ヘッド5aを、搬送部3が媒体搬送路3aに沿って搬送している券の表面に押圧する。
【0024】
磁気データ処理部4は、媒体搬送路3aに沿って搬送している券の裏面に貼付している磁気シートに対して、発行する乗車券に応じた磁気データの記録や、記録されている磁気データの読取を行う。磁気データ処理部4は、媒体搬送路3aに沿って搬送される券の裏面に対向する位置に2つの磁気ヘッド4aを配置している。一方が、磁気データの記録に用いる記録用の磁気ヘッド4aであり、他方が磁気データの読取に用いる読取用の磁気ヘッド4aである。磁気データ処理部4は、磁気データを記録する際に、記録用の磁気ヘッド4aを搬送部3が媒体搬送路3aに沿って搬送している券の裏面(磁気シート)に押圧する。また、磁気データ処理部4は、磁気データを読み取る際に、読取用の磁気ヘッド4aを搬送部3が媒体搬送路3aに沿って搬送している券の裏面(磁気シート)に押圧する。
【0025】
操作部7は、発券装置1に対する入力操作を行うキーを有する。表示部8は、装置本体前面に設けた表示器8aにおける表示を制御する。
【0026】
また、図2、および図3に示すように、装置本体正面には、ロール紙収納部10に対して、ロール紙10aの交換や補充を行う際に開閉する外扉20が設けられている。
【0027】
なお、この発券装置1は、駅係員が操作する操作端末と接続され、当該操作端末からの指示にしたがって、乗車券を発券する。また、この発券装置1は、乗車券にパンチ孔を開けるパンチ部や、乗車券を回収する回収部等を備えることもある。ここでは、これらの構成について、説明を省略する。
【0028】
ここで、この発券装置1の発券動作について簡単に説明しておく。
【0029】
発券装置1は、操作端末から乗車券の発券が指示されると、搬送部3がロール紙10aを引き出し、引き出したロール紙10aをカット部6で発券する乗車券に応じた長さにカットする。搬送部3は、カット部6でカットされた乗車券(ロール紙10a)を印字ヘッド5a、磁気ヘッド4aを経由して発券口11へ搬送する。印字処理部5は、カット部6でカットされた乗車券の表面に印字ヘッド5aを押圧し、乗車券情報にかかる文字や記号を発券する乗車券に印字する。また、磁気データ処理部4は、カット部6でカットされた乗車券の裏面に磁気ヘッド4aを押圧し、乗車券情報を発券する乗車券に磁気データで記録する。搬送部3は、印字処理部5が乗車券情報を印字し、磁気データ処理部4が乗車券情報を磁気データで記録した乗車券を発券口11に放出する。発券装置1は、搬送部3が乗車券を発券口11に放出すると、今回の乗車券の発券動作を終了する。
【0030】
なお、搬送部3は、ロール紙10aをカット部6で発券する乗車券に応じた長さにカットすると、ロール紙10aの引き出しを停止する。
【0031】
この発券装置1は、一方のロール紙収納部10に収納しているロール紙10aを使い切ると、他方のロール紙収納部10に収納しているロール紙10aを使用して、乗車券の発券を継続する。
【0032】
次に、ロール紙収納部10について、詳細に説明する。
【0033】
図4は、発券装置の外扉を開した状態を示す図である。発券装置1は、上述したように、2つのロール紙収納部10を備えている。2つのロール紙収納部10は、発券装置1本体の幅方向に並んでいる。
【0034】
2つのロール紙収納部10は、図5に示すように、ロール紙10aの収納方向が平行でない。具体的には、2つのロール紙収納部10は、装置本体正面側(外扉20側)が広く、装置本体奥側が狭くなる八の字形状である。より具体的には、装置本体右側のロール紙収納部10は、ロール紙10aの収納方向を装置本体正面に対して左側に2°傾け、装置本体左側のロール紙収納部10は、ロール紙10aの収納方向を装置本体正面に対して右側に2°傾けている。したがって、2つのロール紙収納部10に収納されているロール紙10aの間隔は、本体正面に近い位置ほど広くなる。
【0035】
したがって、使い切ったロール紙10aを収納していたロール紙収納部10に対して、ロール紙10aをセットするときに、このロール紙収納部10に残っている使い切ったロール紙10aの紙管を取り出すのに十分な空間、すなわち駅係員が無理なく手を挿入できる空間、が確保できる。また、ロール紙収納部10の奥側では、2つのロール紙収納部10間の間隔を狭くなるので、装置本体の大型化が抑えられる。
【0036】
ここでは、2つのロール紙収納部10の両方が、装置本体正面に対してロール紙10aの収納方向が垂直でない場合を例にしているが、一方については、装置本体正面に対してロール紙10aの収納方向を垂直な方向にしてもよい。
【0037】
ロール紙収納部10毎に、内扉21を設けている。この内扉21は、外扉20に連結している。
【0038】
内扉21の回転軸は、対応するロール紙収納部10のロール紙10aの収納方向に対して垂直である。すなわち、各内扉21は、対応するロール紙収納部10のロール紙10aの収納方向に回動する。2つの内扉21の回転軸は、平行ではない。
【0039】
一方、外扉20の回転軸は、装置本体正面に平行である。また、外扉20は、2つの内扉21の全体を覆う大きさである。
【0040】
外扉20、および内扉21の回転軸は、図示するように、下端部に位置する。
【0041】
また、内扉21は、ロール紙収納部10に収納するロール紙10aを保持するように、両側部をロール紙収納部10側に折り返している。この折り返している両側部の幅は、収納するロール紙10aの幅よりも少し広い。すなわち、内扉21は、ロール紙収納部10側にロール紙10aを保持する保持部を備えた形状である。また、この保持部は、内扉21を開状態から、閉状態に移行させたとき、保持しているロール紙10aが両側部の折り返しに沿って滑る。このロール紙10aが滑る方向は、上述したように、内扉21が対応するロール紙収納部10のロール紙10aの収納方向に回動することから、対応するロール紙収納部10のロール紙10aの収納方向である。したがって、係員は、ロール紙収納部10にロール紙10aをセットするとき、開した内扉21にロール紙10aを保持させ、この内扉21を閉する(後述するように連結している外扉20を閉する。)ことにより行える。
【0042】
上述したように、各内扉21は、外扉20に連結されている。したがって、外扉20を開閉することにより、各内扉21の開閉が行える。ここで、外扉20と、内扉21との連結について説明する。
【0043】
各内扉21は、上端部で外扉20に連結している。図6は、外扉と、内扉との連結部分の拡大図である。また、図7は、図6において破線で囲んだ部分の拡大図である。図6、および図7に示すように、内扉21は、折り返して立設させた両側部に、長穴21aを形成している。また、外扉20は、内扉21の長穴21a毎に、その長穴21aに挿入するピン20aを取り付けている。
【0044】
上述したように、内扉21と外扉20とは、回転軸の位置、および傾きが異なっている。したがって、外扉20と、内扉21との相対的な位置関係が開閉時に変化する。具体的には、外扉20と、内扉21との相対的な位置関係は、外扉20の回転軸に対する垂直方向、および水平方向に変化する。
【0045】
上述したように、内扉21の長穴21aにピン20aを挿入して連結する構成である。したがって、連結した外扉20、および内扉21の開閉時に、外扉20と内扉21との相対的な位置関係の変化に応じて、ピン20aが内扉21に設けた長穴21aに沿ってスライドする。また、ピン20aにカラー25を嵌め、このカラー25が回転することにより、内扉21が外扉20に対してスムーズにスライドするようにしている。このカラー25の脱落防止のために、ピン20aの先端にEリング26を取り付けている。
【0046】
また、ピン20aは、その長さを、内扉21が外扉20の回転軸に対して水平方向に変化する変化量よりも長くしている。したがって、開閉時に、ピン20aが長穴21aから抜けることもない。
【0047】
さらに、内扉21は、開閉時に、その両側で、外扉20に対する相対的な位置の変化が異なることから、両側の長穴21aについては、その形状を異ならせている。
【0048】
また、内扉21の長穴21aの先に切り欠きを設けているので、この切り欠きを利用して、外扉20のピン20aを、内扉21の長穴21aから簡単に抜くことができる。したがって、組立てや、保守にかかる作業性も十分に確保できる。
【0049】
また、この発券装置1は、外扉20を開することによって、内扉21も開することができるので、ロール紙10aの交換や、補充にかかる作業性を低下させることもない。
【0050】
なお、ここでは、内扉21は、両側部において外扉20と連結する構成としたが、一方の側部においてのみ外扉20と連結する構成であってもよい。
【0051】
また、ロール紙収納部10は、2つに限らず、2つ以上であってもよい。内扉21は、上述したように、ロール紙収納部10毎に設ける。
【0052】
また、本願発明は、乗車券を発券する装置だけでなく、ロール紙を使用してレシート等を発券する装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…発券装置
10…ロール紙収納部
10a…ロール紙
20…外扉
20a…ピン
21…各内扉
21…内扉
21a…長穴
25…カラー
26…リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に並べた複数のロール紙収納部のいずれかに収納されているロール紙を使用して、発券する発券装置において、
複数の前記ロール紙収納部には、ロール紙の収納方向が平行でないものがあり、
前記ロール紙収納部毎に設けた複数の内扉と、
複数の前記内扉の外側に位置し、これらの内扉を覆う大きさの外扉と、を備え、
前記内扉は、下端部を回転軸に取り付け、対応するロール紙収納部におけるロール紙の収納方向に回動し、
前記外扉は、下端部を回転軸に取り付け、
さらに、前記内扉は、前記外扉に連結している、発券装置。
【請求項2】
前記外扉の回転軸は、装置本体の幅方向に平行な軸である、請求項1に記載の発券装置。
【請求項3】
前記内扉は、両側部を前記ロール紙収納部側に折り返して立設させている、請求項1、または2に記載の発券装置。
【請求項4】
前記内扉は、前記外扉に固定した連結ピンを挿入する長穴を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の発券装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−79248(P2012−79248A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226281(P2010−226281)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】