説明

発射体を加速させるための推進系

【課題】機械的な作用に対して低い感度を持ち、良好な「自然発射」特性を持ち、かつ同時に高い性能、潜在力を持つ、発射体を加速させるための推進系を提供する。
【解決手段】発射体を加速させるための推進系はセルロースを主成分とし、ニトラミン基材上の結晶性エネルギー担体及び不活性可塑性添加物を含む。ニトラミン化合物は一般的な化学構造式:R-N-NO2(式中、Rは残基である)の構造要素を含む。ニトラミン化合物は1〜35質量%なる範囲、特に5〜25質量%なる範囲の濃度にて存在する。ニトラミン化合物はRDXである。不活性可塑性添加物は水-不溶性のポリオキソ化合物であり、必要ならばカルボキシル基を含む物質と組合せてもよい。表面付近の層では、高い濃度であってもよい。不活性可塑性添加物は1〜5質量%なる範囲の濃度で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトロセルロースを主成分とする、発射体を加速させるための推進系、並びに推進系の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年における、対立する紛争から導かれる、弾薬製造業者にとっての重大な認識は、一般的に使用されている、武器並びに弾薬プラットフォームが、敵の攻撃に対して不十分な防御をもたらすことができるに過ぎないという事実からなっている。これらの新たな脅威のシナリオは、本質的に軽量並びに中量級の装甲車に対する敵の発砲の条件にあり、後者の装甲は、比較的容易に貫通される。この脅威は、また該脅威をもたらす武器が、容易に輸送でき、またその大部分が、未統制の流通状態に置かれていることが分かっているという事実により、更に高められる。このように、中空装薬ジェット(hollow charge jet)、高温金属フラグメント(hot metal fragments)、または弾丸等を含んでいる、弾薬の破裂によって引起される有害な機械的作用に抵抗する能力に関連する改良に対する、明確な需要がある。弾薬の弱点は、実際にシステム自身の結果であるが、推進性の装薬が、強い影響を及ぼすものである。
【0003】
更に、最近の履歴は、熱帯地方における紛争の危険性が、明らかに高まりつつあるものとして、分類する必要があることを示している。熱帯地方における、この種の「地域外(out of area)」の戦闘は、一般的に、推進性の爆薬の化学的な安定性における改善を必要としており、結果としてその取扱い、使用並びに貯蔵中の安全性は、完全に保証されることになる。化学的および熱的な安定性における改良を必要とする更なる例は、100℃を越える温度のピーク(急速自然発射(fast cook-off))を持つ、搬送される弾薬の著しく過酷な熱サイクルとして、あるいは爆薬の爆発に対する抵抗能力(緩慢な自然発射(slow cook-off))として、現代の戦闘機においてみられる。その結果として、耐用寿命並びに「自然発射」温度両者を決定付ける、推進性の爆薬の化学的な安定性は、改善を必要とする、更なる研究活動の領域をなす。
【0004】
従って、数年間に渡り、高い性能、潜在力を持ち、かつ脆弱性(即ち、機械的作用)および「自然発射」(即ち、熱的作用)に関連する改善された性能を持つ、推進性爆薬を製造しようとの目的に沿って、開発が進みつつある。ここで、軍事的な目的で使用すべき推進性爆薬に関しては、出来る限り高いエネルギー密度を持つべきであるが、同時に機械的並びに熱的な作用に関しては、出来る限り低い脆弱性を持つべきであるという課題がある。この要件は、包囲された空間、例えば戦車、装甲部隊輸送機、または軍艦等にとって極めて重要なものである。
極めて高い頻度にて、所謂「低感度の弾薬」(IM)によって、この用件を満たそうとの試みがなされており、この目的のために、新規なLOVA(低脆弱性弾薬(low vulnerability ammunition))型の推進性爆薬が開発された。これらの推進性爆薬は、典型的に60〜80質量%なる範囲の結晶性爆発物質、および約10〜25質量%なる範囲の不活性なまたは強力なバインダを含んでいる。LOVA型推進性爆薬中の、典型的な爆発物質は、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)およびシクロトリメチレントリニトラミン(RDX)である。このLOVA型推進性爆薬は、典型的には合成の不活性なまたは強力な弾性ポリマーバインダからなり、その中に、該問題とする爆発物質の結晶が埋め込まれている。典型的なバインダは、CABおよびHTPB(不活性)およびGAP、ポリ-AMMOおよびポリ-BAMOである。
【0005】
武器に適用するための、推進性爆薬(要するに、TLP)の場合には、「均質(homogeneous)」処方と「複合体(composite)」(不均質)処方との間で区別され、ここで均質処方とは、一塩基性または二塩基性の推進性爆薬を包含する。大規模のIMテストにおいて、不活性バインダに基く、LOVA型推進性爆薬が、熱的な作用(自然発射)の点で、従来の爆薬に比して、幾つかの利点をもたらすことを見出した。これとは対照的に、この種の組成物は、機械的な作用のある事象において、爆発を起こす可能性があることが明らかにされており、この事実が、現時点に至るまでの、この種の組成物の大規模な導入および利用を妨げていた(例えば、L.M. Barrington, オーストラリアンディフェンスフォース(Australian Defence Force) (ADE), DSTO-TR-0097を参照のこと)。
強力な合成バインダを含むLOVA-TLPの一例は、米国特許第6,228,190号に記載されており、そこにおいて、該バインダは、反応性のヒドロキシ末端基を持つ、ニトラトアルキル(nitratoalkyl)-置換アルキルエーテルプレポリマーおよび多価イソシアネート化合物を主成分とする架橋剤からなる。実際的観点から、このような型のバインダで構成される爆薬は、低温において脆く、またその製造は経費を要し、しかも困難であることは、公知である。
【0006】
ポリウレタンを含む弾性バインダを含有するLOVA-TLPは、公知の更なる一群のLOVA-TLPを表し、また様々な出典の中で、特に米国特許第4,925,503号、同第4,923,536号および同第5,468,312号に記載されている。伸張された鎖を持つポリウレタンポリアセタール弾性バインダは、ジヒドロキシ-末端を持つポリアセタール-ホモポリマーと、アルキレンジイソシアネートとの反応、その後の生成するイソシアネート-末端を持つプレポリマーの、ジヒドロキシ-末端を持つポリアセタールコポリマーによる転化、およびこの段階の弾性中間体と有機ポリイソシアネートとの最終的な反応によって得られる。この弾性バインダ系の製造は、多数の合成段階を要するので、そのコストは著しく高い。更に、過去において、得られるLOVA-TLPが、製品の諸特性の所定の均一性を維持することができないという、再現性に係る重大な問題を持つことが明らかにされている。これらの理由から、現在に至るまで、上記の如きLOVA-TLPを、広範な戦地において受け入れることはできなかった。
【0007】
更なる一群のLOVA-TLPは、酢酸セルロースまたはその誘導体(例えば、セルロースアセテートブチレート:CAB)を、該弾性バインダとして使用している。この種の組成物は、様々な出典の中で、特に米国特許第6,984,275号に記載されている。
公知技術の該LOVA組成物は、不満足である。というのは、その再現性に関する保障が不十分であり、しかもその製造コストが、比較的高いからである。従って、これらの実際上の用途を見出すことはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、機械的な作用に対して低い感度を持ち、良好な「自然発射」特性を持ち、かつ同時に高い性能、潜在力を持つ、緒言部分において記載した技術分野に属する、推進系を作り出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決策は、請求項1に記載の特長によって定義される。本発明によれば、該推進系は、その基材としてのニトロセルロース、並びにニトラミン基材上の結晶性エネルギー担体を含む。更に、該推進系は、一種または複数の不活性可塑性添加物をも含み、ここで該不活性可塑性添加物の少なくとも一つは、該推進系のマトリックス中に存在し、また該一種のおよび/または他方の不活性可塑性添加物は、該系の表面近傍の帯域において高い濃度を持つ。
【0010】
驚いたことに、比較的少量(例えば、<10質量%)の不活性可塑性添加物を導入することによって、機械的な刺激に対する抵抗性が、大幅に改善された。用途に依存して、複数の、および特に異なる不活性添加物の組合せを導入して、所定の熱力学的な諸特性、例えば出力または温度特性を調節することができる。更に、該不活性可塑性添加物は、本発明によれば、最適な状態で該推進系内に分配される。該系の表面近傍の帯域における該高い濃度は、不活性可塑性添加物の同一の全量に対して、該薬粒マトリックス中のその量を、減じることができるという利点を持つ。このように、該推進系におけるエネルギーに富む物質の割合を高めることができるが、それによって該系の機械的な刺激に対する抵抗性が損なわれることはない。特に有利な異なる不活性可塑性添加物は、該薬粒マトリックス中および該系の表面近傍の帯域において使用される。この種の推進系の該薬粒構造は、特定の用途に適するものとされている(武器システムの、外筒(または銃身)長さ、弾丸質量等に対する、燃焼特性の調節)。
所定の効果を改善、即ち最適化するために、場合によって、追加の少量(通常は、5質量%未満)の、強力な可塑剤、例えばメチル-NENA(CAS-No. 170906-47-0)、エチル-NENA(CAS-No. 85068-73-1)またはブチル-NENA(CAS-No. 82486-82-6)を使用することができる。
【0011】
該新規な添加剤の組合せを含まない、比較としての一塩基性推進系は、如何なるIM特性をも示すことはない。
本発明によるこの推進系の更なる大きな利点は、驚くべきことに、高レベルのエネルギー変換率であり、これは高い砲内弾道学的性能の達成に導く。このように、熱効率、即ち銃口において運動エネルギーに転化される、該TLPエネルギー含量の割合は、全口径(full-caliber)弾薬の場合には、44%までであることが分かっている。小口径のKE弾薬(KE=運動エネルギー)の場合には、即ち装弾筒を持つ弾薬の場合には、その熱効率は36%までであることが分かっている。このことは、従来の一塩基性推進性爆薬と比較すると、匹敵する性能レベルに関して、10%までのエネルギー転化能力における増加に相当する。これは、それ自体、前に述べた砲内弾道学的性能、潜在力における、銃身の腐食を伴うことのない増加を証拠付けるものである。というのは、通常の一塩基性TLPと比較して、火炎温度が、実際の目的に対して、増加しないからである。
【0012】
本発明の推進系は、更に殆ど中立の温度特性によって、区別される。このことは、実際の目的に対して、同一の砲内弾道学的性能データが、広い温度範囲に渡り、火薬床温度に対して独立であることを意味し、このことは、高温並びに低温地帯における使用にとって、極めて望ましい。即ち、例えば空中破裂用途用の、30mmの全口径弾薬に対しては、銃口における弾丸速度が、-32℃から+52℃までの温度範囲に渡り、僅かに12m/秒だけ変動するに過ぎないことが分かっている。該最大の銃口における弾丸速度は、典型的には約21℃にて得られ、また温度が、この値から増加または減少するのに伴い、連続的に減少する。同様な特徴が、ピークガス圧についても見出されている。従来の一塩基性TLPは、典型的に0.5〜1.0m/秒/℃なる範囲の、弾丸速度における直線状の増加を示すので、一塩基性TLPに関しては、この弾丸速度は、同一の温度範囲に渡り、40〜80m/秒なる範囲内で揺らぐ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
前に引用した従来公知のLOVA組成物とは対照的に、本発明による推進系は、根本的に上記の結晶性エネルギー担体を主成分とするものではない。ニトロセルロースの割合は、組成物全質量において、より一層支配的である(>50質量%、特に>60質量%)。このニトロセルロースの使用は、該結晶性エネルギー担体の個々の結晶粒子間の平均の間隔を十分に大きくし、換言すれば、かなりの程度まで、該個々の結晶粒子が、相互に接触しないことを保証している。この結果は、外的な機械的刺激の作用によって、その衝撃のパルスを、該爆薬材料の一つの結晶粒子から、隣接して存在する他の結晶粒子に伝達し得ないという事実である。このことは、この最初に発生した衝撃パルスの、火薬全量に渡る、多重的な増殖、並びに伝達を阻止する。
本発明と、従来技術に係る公知の該LOVA組成物との間の更なる違いは、該燃焼ガス中の水素含有率が、高められていないという事実にある。結晶性のエネルギー単体を含む、該従来技術に係る以前のLOVA組成物と比較すると、高い水素含有率に起因して発生する該銃身の腐食は、このようにして回避される。通常の許容される条件によって規定されるように、何の問題も無しに、数千発の弾丸を発射することができる。
【0014】
ニトロセルロースは、セルロース(コットンリンター、セルロース)のニトロ化によって製造され、また百年以上に渡り、一塩基性、二塩基性および三塩基性の推進性爆薬の製造用の最も重要な基本材料であった。ニトロセルロースは、妥当な価格にて大量に入手することができ、また窒素含有率、分子量および粘度等の、広い範囲に渡る様々な化学的および物理的諸特性を持つものとして与えられている。これらの違いは、ニトロセルロースを、様々な異なる型の推進性爆薬に変換することを可能にする。ニトロセルロースのエネルギー含量は、該窒素含有率によって調節される。該一塩基性の組成物において、ニトロセルロースは、単一のエネルギー担体であり、このことは、他の合成バインダポリマーと比較して、ニトロセルロースのエネルギー密度が、比較的高いことを意味する。
【0015】
本発明の関係において、驚いたことに、IM特性を有する推進系の製造のための、基本的な材料として、ニトロセルロースを使用できることが、今や見出された。一方で、結晶性ニトラミン化合物の、まさに比較的少ない割合での添加によって、予想外のことに、該推進系の化学的な安定性が、ニトラミンを全く含まない推進系の値と比較して、大幅に改善できることを、確立した。このようにして、熱的な刺激に抵抗する能力が、大幅に改善され、その結果として、該自然発射温度における所定の改善を、実現することができる。
更なる利点は、該基本的な材料が、大いに価値があり、また容易に入手でき、しかもその製造法において、如何なる余分な(「特に、奇異な(exotic)」)工程をも必要としないことにある。
【0016】
本発明の推進系は、薬粒形状に形作ることが好ましく、該粒子形状は、例えば円形、円筒状の幾何形状を有し、軸方向に広がる、長手方向の通路(例えば、1通路、または7または19通路)を有している。結果として、このような推進性爆薬は、攪拌することができ(即ち、自由流動性であり)、この事実は、ケーシングの工業的な充填のために重要である。従って、該ケーシングの充填工程中に、該推進性爆薬は、流体と同様にして扱うことができる。大きな弾径を持つ爆薬に対して、この材料は、またストリップの形状をとることができ、あるいは銃身を持つ武器にとって適した、特定の形状に、直接押し出すこともできる。(しかし、固形推進ロケットにおいて使用されている類の、大容量を持つキャストブロックを持ち込む必要はない)。
該円筒状の火薬粒子は、典型的に(本質的ではないが)、L/D=0.25〜L/D=5なる範囲内にある値を持つ、長さ(L)対径(D)の比を持つ。該円形断面を持つ円筒の長さは、例えば0.3〜10mmなる範囲内にあり、またその径は0.3〜10mmなる範囲内にある。
【0017】
円筒形状に代えて、ストリップ形状を使用することも可能である。これらは、典型的にその幅が、その長さよりも大幅に小さく(例えば、少なくとも5倍、または少なくとも10倍)、しかもその部分の厚みが、その幅よりも大幅に小さい(例えば、少なくとも5倍、または少なくとも10倍)形状のものを包含する。(該厚みは、例えば1〜2mmなる範囲にあり、その幅は、10mmまたはそれ以上であり、しかもその長さは、100〜150mmなる範囲内にある)。
同様に考えることができるものは、所謂「付形体(shaped bodies)」、即ち該ケーシングが欠けている、または換言すれば、点火系の背後に位置する該「付形体」によって置換えることのできる、弾薬用の中空円筒形状である。
該結晶性ニトラミン化合物は、好ましくは一般的な化学構造式:R-N-NO2 (R = 残基)で表される構造要素を含む。ここで、該分子全体における、該ニトラミン構造要素の割合は、適度に高いエネルギー含量を達成するために、出来る限り高い値とすべきである。
【0018】
R-O-NO2型のニトラミン化合物に代えて、例えば硝酸エステルを考えることも可能である。しかし、後者は、該ニトラミン化合物よりも、化学的安定性が低い。
該結晶性のニトラミン化合物は、好ましくは1〜35質量%なる範囲の濃度にて導入される。5〜25質量%なる範囲内の濃度が、特に好ましい。該結晶性エネルギー担体に関するより高い質量割合において、該結晶粒子は、統計的な状況においては、相互に極めて近接した状態にあり、またその脆弱性は、急峻な増加を示す。20%までの質量割合において、該脆弱性は、極めて低いレベルを維持する。
該薬粒マトリックス中でおよび/または表面層内で不活性可塑化剤を使用することによって、該結晶性ニトラミン化合物の与えられた質量割合に対する該脆弱性を、幾分下げることができる。その結果、如何なる追加の手段をも使用することなしに、上限(即ち、結晶性ニトラミン約25質量%)において、作業することが可能となる。
【0019】
本発明の文脈において、RDXが、2つの効果をもつことを示した。その第一の例においては、これはエネルギー担体あるいは供給体(公知技術の性質)として作用する。その第二の例において、RDXは、本発明の関係における、該推進系の化学的な安定性を高める(新規な特性)。この安定化特性は、ほぼ1質量%程度から有効となる。その後、該成分の質量割合の増加に伴って、ほんの僅かに増加する。
該ニトラミン化合物が、エネルギー担体として与えられた場合には、該火薬粒子中のその質量割合は、通常10%を越える。安定化のためには、公知技術の材料、例えばアカーディット(Akardit) II等を使用することも可能である。
ヘキソーゲン(RDX、シクロトリメチレントリニトラミン、CAS-# 121-82-4)、オクトーゲン(HMX、テトラメチレンテトラニトラミン、CAS-# 2691-41-0)、ヘキサニトロイソウルツジタン(hexanitroisowurtzitane) (CL-20、CAS-# 14913-74-7)、ニトログアニジン(NIGU、NQ、CAS-# 70-25-7)、N-メチル(metyl)ニトラミン(テトリル(Tetryl)、N-メチル-N,2,4,6-テトラニトロベンゾールアミン、CAS-# 479-45-8)および更にニトロトリアゾロン(NTO、CAS-# 932-64-9)およびトリアミノトリニトロベンゼン(TATB、CAS-# 3058-38-6)が、該結晶性ニトラミン化合物として適したものである。これらの化合物は、個々別々にまたは相互に組合わせて導入することができる。該結晶性ニトラミン化合物は、例えば6μmなる平均粒径を持つRDXである。
【0020】
RDXは、列挙した該結晶性エネルギー担体全ての中で、最も興味深いものである。I-RDXの変種が、伝え聞くところによれば、より低い脆弱性を持つとのことで、提供されているものの、市場に提供されている「低感度の」RDX(RS-RDXに対しては、I-RDXとも呼ばれている)が、本発明の内容における如何なる改善をももたらさないことを確認すべきである。
オクトーゲンは、RDXと比較して、比較的高価である。他のニトラミン化合物(例えば、NIGU等)は、RDXに比して、比較的貧弱な性能を有する。
該不活性な可塑性添加剤(1または複数)(可塑剤)は、基本的に該結晶粒子全体(即ち、該薬粒のマトリックス中)に分配される。ここでは、これらの粒子は、該薬粒のマトリックス中に、多少とも均一に分配され、しかも該火薬粒子の内部におけるよりも、その表面近傍の帯域において、より強力に高濃度化される。該高濃度化は、所定の効果を更に高める。
【0021】
好ましくは、該薬粒のマトリックス中に均一に分配された、該不活性可塑剤は、1.0〜20質量%なる範囲内の濃度を持つ。この濃度は、好ましくは1.0〜10質量%なる範囲内にある。特に、極めて十分な濃度は、1〜5質量%なる範囲内にある。該不活性可塑剤の割合が低い程、該薬粒中のエネルギーに富む物質の割合を高くすることができる。該薬粒のマトリックス中に均一に分配された該可塑剤の割合は、質量%で表した割合で、特に中程度の口径の用途に対して、10%未満とすべきである。
小さな口径を持つ用途に対しては、上記とは対照的に、該可塑剤の質量割合は、確実に15質量%まで高めることができる(該推進性爆薬においては、表面/体積の比について条件付である)。
該薬粒マトリックス中の該不活性可塑剤は、例えば本質的に水-不溶性の有機ポリオキソ化合物、例えば50〜20,000g/モルなる範囲内の分子量を持つ、ポリエステルまたはポリエーテル化合物であり得る。該推進系の表面近傍の帯域において高濃度化された、該不活性可塑剤は、特に実質上水-不溶性の有機化合物(典型的には、カルボキシル基を含有する有機化合物(好ましくは、カンフルおよび/または芳香族樹脂化合物)である)である。
【0022】
該可塑剤は、実質上水-不溶性であるから、押出工程のための、火薬ケーキ中に含まれる、残留する溶媒(例えば、アルコール、ジエチルエーテルまたは酢酸エチル)を洗い流すために、該火薬を、その製造工程中に、水洗することができる。該水-不溶性の可塑剤は、この工程中、該火薬粒子中に残される。あるいはまた、該溶媒は、風乾によって除去することも可能である。従って、該可塑剤が水-不溶性である必要はない。
100〜20,000g/モルなる範囲内の分子量を持つ、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステルまたはフタール酸エステル(あるいはこれらの水和された、シクロヘキシル誘導体)は、それ自体特別に適していることが明らかにされている。
プラスチック工業(例えば、可塑剤ハンドブック(Handbook of Plasticizers), ISBN 1-895198-29-1を参照のこと)において、ニトロセルロース用の良好なゲル化剤である、極めて広範囲に渡る可塑剤が知られている。
【0023】
該火薬粒子の表面近傍の帯域に導入される、可塑性添加物としては、100〜5,000g/Iなる範囲内の分子量を持ち、カルボキシル基を含む有機化合物が好ましい。該粒子全体におけるその質量割合は、好ましくは10質量%以下、特に6質量%未満である。しかしながら、該推進系の表面近傍の帯域に局在し、15質量%以下の、該不活性可塑剤濃度を持つ領域も適している。
しかし、良好な結果は、中程度の口径に対しては、1〜2質量%なる範囲によって達成される。しかし、1.0質量%未満では、不十分な効果のみが達成できた。
該推進系の表面近傍の帯域に局在する、該不活性可塑性添加物は、好ましくはカンフル(CAS-# 76-22-2)である。同様に芳香族ウレア誘導体、例えばジエチルジフェニルウレア(CAS-# 85-98-3)、ジメチルジフェニルウレア(CAS-# 611-92-7)、エチルジフェニルカルバメート(CAS-# 603-52-1)、N-メチル-N-フェニルウレタン(CAS-# 2621-79-6)またはエステル化合物、例えばジエチルフタレート(CAS-# 84-66-2)、ジブチルフタレート(CAS-# 84-74-2)、ジアミルフタレート(CAS-# 131-18-0)、ジ-n-プロピルアジペート(CAS-# 106-19-4)、あるいは該火薬粒子マトリックス中に均一に分配されているものと類似の化合物を考えることも可能である。
【0024】
該不活性な可塑化添加物の例は、アセチルトリエチルシトレート(CAS-#: 77-89-4)、トリエチルシトレート(CAS-#: 77-93-0)、トリ-n-ブチルシトレート(CAS-#: 77-94-1)、トリブチルアセチルシトレート(77-90-7)、アセチルトリ-n-ブチルシトレート(CAS-#: 77-90-7)、アセチルトリ-n-ヘキシルシトレート(CAS-#: 24817-92-3)、n-ブチリルトリ-n-ヘキシルシトレート(CAS-#: 82469-79-2)、ジ-n-ブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート(CAS-# 6938-94-9)、ジイソブチルアジペート(CAS-# 141-04-8)、ジエチルヘキシルアジペート(CAS-# 103-23-1)、ノニルウンデシルアジペート、n-デシル-n-オクチルアジペート(CAS-# 110-29-2)、ジブトキシエトキシエチルアジペート、ジメチルアジペート(CAS-#: 627-93-0)、ヘキシルオクチルデシルアジペート、ジイソノニルアジペート(CAS-#: 33703-08-1)、ジ-n-ブチルセバケート(CAS-#: 109-43-3)、ジオクチルセバケート(CAS-#: 122-62-3)、ジメチルセバケート(CAS-#: 106-79-6)、ジ-n-ブチルフタレート(CAS-#: 84-74-2)、ジ-n-ヘキシルフタレート(CAS-#: 84-75-3)、ジノニルウンデシルフタレート(CAS-Nr: 111381-91-0)、ノニルウンデシルフタレート(685-15-43-5)、支配的に直鎖C4-C11-アルキルフタレートの混合物(CAS4: 85507-79-5、111381-91-0、68515-45-7、68515-44-6、68515-43-5、111381-89-6、111381-90-9、28553-12-0)、ジオクチルテレフタレート(CAS-#: 6422-86-2)、ジオクチルイソフタレート(CAS-#: 137-89-3)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(CAS-#: 166412-78-8)、ジブチルマレエート(CAS-#: 105-76-0)、ジノニルマレエート(CAS-#: 2787-64-6)、ジイソオクチルマレエート(CAS-#: 1330-76-3)、ジブチルフマレート(CAS-#: 105-75-9)、ジノニルフマレート(CAS-#: 2787-63-5)、ジメチルセバケート(CAS-#: 106-79-6)、ジブチルセバケート(CAS-#: 109-43-3)、ジイソオクチルセバケート(CAS-#: 27214-90-0)、ジブチルアゼレート(CAS-#: 2917-73-9)、ジエチレングリコールジベンゾエート(CAS-#: 120-55-8)、トリオクチルトリメリテート(trimelliate)(CAS-#: 89-04-3)、トリオクチルホスフェート(CAS-#: 78-42-2)、ブチルステアレート(CAS-#: 123-95-5)、グリセロールトリアセテート(CAS-#: 102-76-1)、エポキシ化(epoxied)大豆油(CAS-#: 8013-07-8)、エポキシ化(epoxied)アマニ油(CAS-#: 8016-11-3)である。
【0025】
該不活性可塑性添加物は、またしばしば以下のような商品名の下で市販されている。例えば、BASF社からのヘキサモールディンチ(Hexamoll Dinch)、USA、ノースカロライナ州グリーンズボロの、ライリー-モルフレックス(Reilly-Morflex)社から入手できる、A-2、A-4、A-6、C-2、C-4、C6、B-6を包含する、シトロフレックス(Citroflex)変種、USA、イリノイ州シカゴのC.P. ホール(Hall)社から入手できる、G25、G30、G51、G54、G57、G59を包含する、パラプレックス(Paraplex)変種、USA、オハイオ州クリーブランドのフェロコーポレーション(Ferro Corporation)社から入手できるサンチサイザー(Santicizer)変種261、278、ドイツ国のBASF社から入手できるパラチノール(Palatinol)変種を包含する。
【0026】
該火薬粒子表面近傍の帯域に局在化されている、該可塑化添加物は、特に数100μmという侵入深さを持つ。この侵入深さ(即ち、該添加物の少なくとも95質量%が、見出される深さ)は、例えば最大400μmである。このようにして、最大の効果を、最低の量によって達成し得る。即ち、該薬粒体積は、必要以上に多くの不活性な物質を含むことがなく、これは、火薬の指定された量に対して、有力な物質の最大量を与える。100〜300μmなる範囲の侵入深さが、使用するのに好ましい。
本発明による該推進系は、小さなおよび中程度の口径の弾薬にとって極めて適しており、即ち該火薬粒子は、20mmなる最大の幾何学的寸法を有する。
【0027】
本発明による推進性爆薬の幾何学的寸法は、主として口径範囲によって決定される。従って、小口径用途(約5.56〜約20mmなる範囲の口径)用の該火薬粒子は、一方では、約0.5〜3mmなる範囲の径を持つ円筒形の幾何形状を示すことができ、ここで火薬粒子の長さは、典型的に各粒子径の値の、約0.5〜2.0倍である。その上、円筒状の火薬は、その軸方向に広がる、長手方向の通路を含み、結果として燃焼特性に影響を与えることができる。実際に、1、7および19ホールを持つ幾何形状は、特に適していることが明らかにされており、そこで該ホールのある帯域の径は、典型的に0.05〜0.5mmなる範囲内にある。
中程度の口径(20mm〜約50mmなる範囲の口径)の弾薬に関しては、約1.0〜10mmなる範囲の径を持つ、該円筒状粒子の幾何形状が、実験によって適当であることが明らかにされており、ここで該火薬粒子の長さは、典型的に各粒子径の値の、約0.5〜2.0倍である。その燃焼特性を調節するために、その軸方向に連続する、多数の長手方向の通路が、通常該火薬粒子中に含まれている。1、7および19個の長手方向の通路が、特に適していることが立証されており、その径は、典型的に0.05〜0.5mmなる範囲にある。
【0028】
大口径用途(60mm〜約155mmなる範囲の口径)の弾薬に関しては、約3〜25mmなる範囲の径を持つ、該円筒状の薬粒幾何形状が、実験によって適当であることが明らかにされており、ここで該火薬粒子の長さは、典型的に各粒子径の値の、約0.5〜2倍なる範囲内にある。その燃焼特性を調節するために、その軸方向に広がる、多数の長さ方向の通路が、通常該火薬粒子中に含まれている。7、19および51個の長手方向の通路が、特に適していることが、明らかにされており、その径は、典型的に0.05〜0.5mmなる範囲にある。更に、大口径用途に関連して、所謂ストリップ状の火薬も、適当であることが立証されている。その断面は、典型的に矩形であり、0.5〜5mmなる範囲の肉厚、および3.0〜20mmなる範囲の幅を持つ。その長さは、典型的に5〜50cmなる範囲内にある。
本発明による推進系は、また所謂付形体として生成することも可能である。ここで、該推進系は、付随的にケーシングの機能を備え、また所謂ケースレス弾薬において使用する。考え得る応用領域は、4.6〜155mmなる口径範囲内にあり、ここでこの種の付形体の幾何形状は、問題とする用途に適合される。
【0029】
本発明による推進系の製造手順は、溶媒を含み、かつニトラミン基材上の結晶性エネルギー担体およびニトロセルロースで作られた火薬ケーキに、押出プレス内で圧力を印加することにより、または押出しによって、未加工の薬粒を製造することを、特徴とする。
本発明による、ニトラミン基材上の結晶性エネルギー担体と、バインダが主としてニトロセルロースからなっている、薬粒マトリックスおよび表面近傍の帯域中の、一種または複数の不活性添加物との組合せから得られる、該推進系は、既存の製造設備で製造することができる。この固体組成物の成分は、例えば溶媒混合物で含浸することができる。この得られる混練ケーキは、混練機内で練られ、引続きプレス内で所定の幾何形状に押出すことができる。該所定の推進系の所定形状への成形は、湿潤、乾燥および所定長さを持つ薬粒への細断によって完了することができる。該ゲル化したニトロセルロース薬粒マトリックスとの結合性を改善し、かつ結果的に所定の効果を最適化するために、該結晶性のニトラミン化合物を、適当な予備処理に付すことができる。この新規な推進系の嵩密度は、高いものであり、またその幾何学的な形状に依存して、1060g/lを越えるものであり得、この値は、高い砲内弾道学的性能を達成するために重要である。
【0030】
好ましくは、少なくとも60質量%のニトロセルロースを含む、未加工の薬粒を与える、火薬ケーキを使用する。ここで、該ニトロセルロースの窒素含有率は、11〜13.5質量%なる範囲内にある。
該ニトロセルロースの窒素含有率が、12.6〜13.25質量%なる範囲内にあり、該マトリックス中に均一に分散された該不活性可塑剤が、ポリエステル化合物(好ましくは、2〜10エステル基/分子を持つポリエステル化合物、例えば100〜5,000g/モルなる範囲内の分子量を持つシトレート、フタレート、セバケート(sebacinates)またはアジペート)であり、かつ該推進系の表面近傍の帯域において高濃度化されている該不活性可塑剤が、酸素原子を含み、また100〜5,000g/モルなる範囲内の分子量を持つ、有機物質であることが、特に好ましい。これら全ての内で最も適したものは、カンフルである。
【0031】
本発明による該火薬に関しては、勿論、公知の更なる添加物を使用することも可能である。安定性を高めるために、例えば重炭酸ナトリウム(CAS-#: 144-55-8)、炭酸カルシウム(CAS-#: 471-34-1)、酸化マグネシウム(CAS-#: 1309-48-4)、アカーディット(Akardit) II(CAS-#: 724-18-5)、セントラリット(Centralit) 1 (CAS-#: 90-93-7)、セントラリットII(CAS-#: 611-92-7)、2-ニトロジフェニルアミン(CAS-#: 836-30-6)およびジフェニルアミン(CAS-#: 122-39-4)を使用することができ;銃身保護のためには、例えば酸化マグネシウム(CAS-#: 1303-48-4)、三酸化モリブデン(CAS-30 #: 1313-27-5)、珪酸マグネシウム(CAS-#: 14807-96-6)、炭酸カルシウム(CAS-#: 471-34-1)または二酸化チタン(CAS-#: 13463-67-7)、三酸化タングステン(CAS-#: 1314-35-8)を使用することができ;また銃口の白熱を減衰するためには、例えばシュウ酸ナトリウム(CAS-#: 62-76-0)、カリウムバイタレート(bitarate)(CAS-#: 868-14-4)、重炭酸ナトリウム(CAS-#: 144-55-8)、重炭酸カリウム(CAS-#: 298-14-6)、シュウ酸ナトリウム(CAS-#: 62-76-0)、硫酸カリウム(CAS-#: 7778-80-5)、または硝酸カリウム(CAS-#: 7757-79-1)を使用することができる。更に、該未加工の火薬は、例えばその着火特性を改善し、またその燃焼特性を調節するために、更なる公知の添加物を含むことができる。
【実施例】
【0032】
本発明の、更なる有利な態様およびその特徴の組合せは、以下の詳細な説明、および本件発明の特許請求の範囲から、捜し求められる。
以下の例示的な例に関連して、述べられるあらゆる添加物は、未加工の薬粒の製造中に、該火薬ケーキに添加される。即ち、該添加剤は、該マトリックス中に均等に分配される。該未加工の薬粒におけるこれら添加物の全量は、該ニトロセルロースに対して、0〜10質量%なる範囲、好ましくは2〜7質量%なる範囲内にある。本発明の推進系の製造は、特に以下の加工工程:「溶媒と共に混練する工程」、「金型を通した押出し工程」、「乾燥」および「仕上げ処理工程」(表面処理)を含む。該マトリックスに対する結合性を改善するためには、予備処理に付す必要があり得る、該結晶性のニトラミン化合物および該マトリックス中に均一に分散される該不活性可塑剤は、該混練中の塊状物に添加される。該推進系の表面近傍の帯域に局在化されている該不活性可塑剤は、「未加工の薬粒(green grain)」の、水性エマルションによる含浸によって、あるいは表面処理工程(仕上げ工程)中に、グラファイト等の更なる添加物と共に導入される。
【0033】
実施例1
60℃なる温度に加熱した、7-ホールをもつ未加工の火薬5kgを、固形分比率として、25質量%のRDX、1.8質量%のアカーディット(Akardit)-II、0.4質量%の硫酸カルシウム、0.2質量%の石灰(酸化カルシウム)、0.1質量%の酸化マンガン、1.5質量%のフタール酸エステル(これは、主として、平均分子量450g/モルおよび73mPa*sなる20℃における平均動粘度を有する、直鎖状のC9-C11アルコールから構成される)および窒素含有率13.20質量%のニトロセルロース(100%まで補充)から調合した火薬ケーキを、溶媒で湿潤した火薬ケーキに加工し、次いでこのケーキを金型を通して加圧成型する(即ち、押出す)方法に従って、製造した。この押出された薬粒は、2.53mmなる外径、3.08mmなる長さ、0.53mmなる肉厚、および0.12mmなるホール径を有していた。このようにして製造した、該未加工の火薬を、60℃に予備過熱された、約50Lなる内部容積を持つ、銅製の研磨ドラムに入れた。
次に、7.5gの粉末形状にあるグラファイト(0.15質量%)を、該火薬塊に添加し、次いで225mlのエタノールに分散させたカンフル200gを含む溶液を添加した。次いで、この反応を、回転速度24rpmにて、2時間行い、その間に、開放された前部の開口を介して、該溶媒を徐々に蒸発させた。次に、該火薬を、該研磨ドラムから取り出し、かつ60℃にて24時間乾燥させた。
【0034】
このようにして得られた塊状の火薬は、以下のような諸特性を有していた:
物性:嵩密度= 1024 g/L; 熱含量= 3580 J/g;
化学的安定性:爆発的燃焼(爆燃)温度= 179℃;熱流熱量測定値(STANAG 4582):12 J/gまたは14.4μW(STANAG 4582に従う要件:5 J/gからの最大発熱量:<114μW)。
図1は、弾丸の衝撃を受けた際の脆弱性が、タイプ(Type) Vの反応(燃焼)に導くことを示している。
図2は、高温のフラグメントによる衝撃を受けた際の結果を示すものである。図3は、中空装薬ジェットを用いた、衝撃の結果を示す。何れの場合においても、タイプVの反応(燃焼)が見られることを確認すべきである。該弾薬は、一体性を維持するが、該火薬は、燃え尽きる。
砲内弾道学的性能
:発射体質量405g、30mm×173mmなるケーシングを備えた、30mmの全口径弾薬、30mmブッシュマスタ(Bushmaster) II圧力チェックユニット(MANN 銃身)、銃身から出た後の2mおよび5mにおける光学的速度測定、キスラー(Kistler) 6215ピエゾ電気式圧力測定。
一塩基性の比較用火薬:長さ=2.17mm、径=2.29mm、肉厚=0.5mm、ホール径=0.11mm、エネルギー含量:3403 J/g、嵩密度=1039g/L。
【0035】
【表1】

【0036】
上記表の結果から、本発明による推進性爆薬は、平坦な温度プロフィールを持っていることを理解することができる。-32℃〜+52℃なる範囲に渡る、12 m/sという速度変化は、小さいものである。従来技術(一塩基性の比較用火薬)と比較して、弾丸速度は、30 m/sだけ高い。更に、ピークガス圧は低く、このことは、許容されるガス圧を最適に利用しつつ、より高い速度(約+50 m/s)の達成を可能とする。
実施例2
実施例1と同様に、5.49mmなる外径、13.60mmなる長さ、0.43mmなるホール径および1.05mmなる肉厚を有する、7-ホールをもつ未加工の火薬を製造した。このものは、固形分比率として、10質量%のRDX、2.0質量%のアカーディット(Akardit)-II、2.0質量%の硫酸カリウム、5.0質量%のフタール酸エステル(これは、主として、平均分子量450g/モルおよび73mPa*sなる平均動粘度(20℃)を有する、直鎖状のC9-C11アルコールから構成される)および窒素含有率12.6質量%のニトロセルロース(100%まで補充)から構成され、その製造は、上記のように、溶媒で湿潤した混練ケーキを、金型を通して加圧成型することによって行った。このようにして得られた火薬は、以下のような諸特性を有していた:
【0037】
物性:嵩密度= 855 g/L; 熱含量= 3190 J/g;
化学的安定性:爆発的燃焼(爆燃)温度= 178℃;熱流熱量測定値(STANAG 4582):7.8 J/gまたは8μW(STANAG 4582に従う要件:5 J/gからの最大発熱量:<114μW);安定性テスト132℃ TL:2.75 mL NaOH。
脆弱性1:テスト:35mm組合せテスト(ドイツ国、ウンターラスの、ラインメタル(Rheinmetall)社から入手);中空装薬ジェットの作用:反応タイプV(燃焼);高温フラグメントの作用:反応タイプV(燃焼)。
【0038】
実施例3
実施例1における製造と同様に、2.05mmなる外径、2.30mmなる長さ、0.13mmなるホール径および0.41mmなる肉厚を有する、7-ホールをもつ未加工の火薬を製造した。このものは、固形分比率として、25質量%のRDX、1.5質量%のアカーディット(Akardit)-II、0.4質量%の硫酸カリウム、2.5質量%のフタール酸エステル(これは、主として、平均分子量450g/モルおよび73mPa*sなる平均動粘度(20℃)を有する、直鎖状のC9-C11アルコールから構成される)および窒素含有率13.2質量%のニトロセルロース(100%まで補充)から構成され、その製造は、上記のように、溶媒で湿潤した混練ケーキを、金型を通して加圧成型することによって行った。実施例1と同様に、5kgのこの未加工の火薬を、研磨ドラム中で、60℃にて、10gのグラファイト(0.2質量%)および125gのカンフル(2.5質量%)と共に、180mLのエタノールに溶解した。得られたこの火薬は、以下のような諸特性を有していた:
【0039】
物性:嵩密度= 1042 g/L; 熱含量= 3808 J/g;
化学的安定性:爆発的燃焼(爆燃)温度= 178℃;安定性テスト132℃ TL:5.52 mL NaOH。
図4は、35mmスチールケーシング内の弾丸の、衝撃を受けた後の弾薬を示す:タイプ(Type) Vの反応(燃焼)が存在する。
砲内弾道学的性能:エネルギー含量:3824 J/g;
:発射体質量129g(M919)、25mm×137mmなるケーシングを備えた、25mmAPFSDS-Tダーツ弾薬、25mmブッシュマスタ(Bushmaster) M242圧力チェックユニット(MANN 銃身)、銃身から出た後の4.2mおよび14.9mにおける光学的速度測定、キスラー(Kistler) 6215ピエゾ電気式圧力測定。装填質量=100.0g。
比較の目的で、M919弾薬の製造に使用した、該推進性爆薬(エネルギー含量:3956 J/g)を、同時に、101.0gなる装填量において発射させた。
【0040】
【表2】

【0041】
21℃における弾丸速度が、より低いエネルギー含量およびより小さな装填量にも拘らず、使用した参考用の火薬に対する値よりも5 m/sだけ高いことを理解することができる。低温での状況において、VおよびPmaxにおける低下は、明らかにより小さいものであり、言い換えれば製品の温度特性が有利である。更に、全温度範囲に渡る、作用時間(action time)および熱効率(エネルギー転化率)は、明らかにより良好なものであり、これは、実際には大きな利点(残渣を出さない燃焼、良好な標的攻撃フォーメーション)strike formation))へと導く。
該弾薬の作用時間は、より短く、即ちその燃焼過程は、より迅速に進行する。その速度は、僅かに1425 m/sである代わりに、1430 m/sである。特に強調すべきことは、比較対象の32.7%に対して、34.5%という、より良好なエネルギー利用率である。
このテストは、130 J/gというより低いエネルギー含量にも拘らず、従来技術に従う比較例と比較して、より低いガス圧の下で、顕著な性能が得られることを示している。
【0042】
実施例4
実施例1と同様に、2.32mmなる外径、2.62mmなる長さ、0.14mmなるホール径および0.47mmなる肉厚を有する、7-ホールをもつ未加工の火薬を製造した。このものは、固形分比率として、25質量%のRDX、1.5質量%のアカーディット(Akardit)-II、0.4質量%の硫酸カリウム、2.0質量%のフタール酸エステル(これは、主として、平均分子量450g/モルおよび73mPa*sなる平均動粘度(20℃)を有する、直鎖状のC9-C11アルコールから構成される)および窒素含有率13.2質量%のニトロセルロース(100%まで補充)から構成され、その製造は、上記のように、溶媒で湿潤した混練ケーキを、金型を通して加圧成型することによって行った。実施例1と同様に、5kgのこの未加工の火薬を、研磨ドラム中で、60℃にて、12.5gのグラファイト(0.25質量%)および100gのカンフル(2.0質量%)と共に、170mLのエタノールに溶解した。得られたこの火薬は、以下のような諸特性を有していた:
【0043】
物性:嵩密度= 1051 g/L; 熱含量= 3900 J/g;
砲内弾道学的性能:発射体質量205g、25mm×137mmなるケーシングを備えた、25mmの全口径弾薬における性能、25mmブッシュマスタ(Bushmaster) M242圧力チェックユニット(MANN 銃身)、銃身から出た後の12.5mおよび17.2mにおける光学的速度測定、キスラー(Kistler) 6215ピエゾ電気式圧力測定。装填量は92.0gであり、これは、充填密度0.939に相当する。
+21℃:vo=410 MPa(4095 bar)において1151 m/s;作用時間t4=3.55 ms;
+50℃:vo=414 MPa(4136 bar)において1154 m/s;作用時間t4=3.50 ms;
+71℃:vo=428 MPa(4275 bar)において1158 m/s;作用時間t4=3.43 ms;
-54℃:vo=408 MPa(4084 bar)において1150 m/s;作用時間t4=3.56 ms。
+21℃における弾丸速度は、通常の一塩基性TLCの値よりも、約70 m/s高い。更に、温度特性は、-54℃〜+71℃なる範囲の、極めて広い温度範囲に渡って、極めて均一であり、またこの新規な型の火薬の、驚嘆すべき速やかな熱変換を示す証拠として機能している。+21℃において、その熱効率は40%である。即ち、この新規な型の火薬の内部エネルギーは、極めて良好に変換されている。
【0044】
実施例5
実施例1と同様に、5.56mmなる外径、13.59mmなる長さ、0.48mmなるホール径および1.03mmなる肉厚を有する、7-ホールをもつ未加工の火薬を製造した。このものは、固形分比率として、15質量%のRDX、2.0質量%のアカーディット(Akardit)-II、2.0質量%の硫酸カリウム、2.5質量%のフタール酸エステル(これは、主として、平均分子量450g/モルおよび73mPa*sなる平均動粘度(20℃)を有する、直鎖状のC9-C11アルコールから構成される)および窒素含有率12.6質量%のニトロセルロース(100%まで補充)から構成され、その製造は、上記のように、溶媒で湿潤した混練ケーキを、金型を通して加圧成型することによって行った。実施例1と同様に、5kgのこの未加工の火薬を、研磨ドラム中で、60℃にて、10gのグラファイト(0.2質量%)および150gのカンフル(3.0質量%)と共に、200mLのエタノールに溶解した。得られたこの火薬は、以下のような諸特性を有していた:
【0045】
物性:嵩密度= 916 g/L; 熱含量= 3255 J/g;
化学的安定性:爆発的燃焼(爆燃)温度= 179℃;熱流熱量測定値(STANAG 4582):12.1 J/gまたは14μW(STANAG 4582に従う要件:5 J/gからの最大発熱量:<114μW);
脆弱性1:テスト:35mm組合せテスト(ドイツ国、ウンターラスの、ラインメタル(Rheinmetall)社から入手);中空装薬ジェットの作用:反応タイプA (V、燃焼);高温フラグメントの作用:反応タイプA (V、燃焼)。
脆弱性2:テスト:UNスチールチューブ内での弾丸衝撃テスト:反応タイプV(燃焼)。
【0046】
以上をまとめると、ニトラミン基剤上の結晶性エネルギー担体および不活性可塑性添加物を含有する、本発明による、ニトロセルロースを含有する推進性爆薬は、5.56mm(小口径)から約155mm(中乃至大口径、迫撃砲)までの口径範囲において、問題とする発射体の加速のために、広い範囲に渡って使用できることを確認すべきである。この新規な推進系は、高い弾道学的性能を持ち、従って高性能を要する各種用途、例えばKE弾薬(ダート弾薬)、または全口径用途(空中破裂、戦車内の弾薬、ミサイル発射機、および航空機)における用途をも有する。
薬粒マトリックス(=バインダ)の主構成成分としての、ニトロセルロースの利用は、様々な利点を与えてくれる。というのは、この原料物質が、自由に入手でき、再生可能であり、またコスト的に有効であり、更に本発明の推進性爆薬の製造が、既存の生産設備において、確立された方法を用いて行うことができ、また該製品の性質に関してより良好な再現性(高いレベルの均一性)を与えることができるからである。
【0047】
該マトリックスにおける比較的大量のニトロセルロースの使用は、特に<0℃なる温度の低温状況における、機械的諸特性に対して正の効果を持つ。結晶性エネルギー担体の高い充填密度を持つ、プラスチック結合されたLOVA-TLPの該機械的諸特性は、それ程良好ではなく、即ちこれらの型のTLPは、比較的不安定であり、あるいは時間の経過に伴って不安定になる。機械的な作用を持つ事象、例えば発火シーケンス(firing sequence)中に起きる事象、あるいは該弾薬の敵による砲撃の結果として起きる事象において、これらの型の火薬粒子が、分解する可能性があり、これが危険な圧力上昇を招き、あるいは起爆的な反応を引起す恐れがある。本発明においては、保護すべきこれら新規なIM-TLPは、低温における不安定な挙動に関して、幾つかの利点を示す。弾薬射撃中の危険な圧力上昇および高温フラグメント、弾丸または中空装薬ジェットによる、該弾薬の敵による砲撃の事象における該弾薬の起爆的な反応は、このようにして効果的に排除される。
【0048】
本発明の新規なIM推進系は、従来の一塩基性TLP、および自然発射抵抗性(高温における貯蔵性)に関する改良に反映されている、ニトログリセリンを含有する、二塩基性および三塩基性TLPと比較して、良好な化学的安定性を示す。これは、高い熱負荷のピークを持つ航空機用爆薬用途にとって、あるいは熱帯地方において該弾薬を使用するために、大きな利点となる。
この新規なIM推進系は、その化学的エネルギー含量(熱含量)が、高い転化率にて、推進性発射体の発射運動エネルギーに転化することができるという事実によって、区別される。小口径型の弾薬において、その効率は36%までであり、一方で該武器系の要件を維持しており、また事実高速度レベルにおいては、例えばEP 1,164,116 BIにより公知のTLP (EITM-TLP)によって、以前においてのみ達成されたに過ぎない(即ち、従来の一塩基性TLPに対する値よりも約50m/s大きい)。全口径用途においては、44%までの効率が達成され、一方で該武器系の要件を維持している(比較:EITM-TLPに関して39%)。
【0049】
本発明による新規なIM推進系は、一般に極めて中性、中立的な温度特性によって区別され、この特性は、層状の構造によって達成され、また制御可能な様式で使用することができる。このことは、高温および低温における、ピークガス圧および弾丸速度の値が、21℃において発射された際の値に比して、比較的僅かにずれるに過ぎないことを意味する。これは、該弾薬が、全温度範囲に渡り、周囲温度とは無関係に、発射できるという効果を有し、実際上同一の砲内弾道学的性能データを示す。EITM-TLPにより既に公知のこの挙動は、最初の命中確率、該装置に条件付けされた性能保留および設計の容易性の利用に関して、幾つかの利点をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】中空装薬ジェットの作用後の弾薬を示す図である。
【図2】高温フラグメントの作用後の弾薬を示す図である。
【図3】中空装薬ジェットの作用後の弾薬を示す図である。
【図4】35mmのスチールケーシングにおける弾丸の衝撃を受けた後の、弾薬を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトロセルロースを主成分とする、発射体を加速させるための推進系であって、該系が、ニトラミン基材上の結晶性エネルギー担体および1または複数の不活性可塑性添加物を含み、該不活性可塑性添加物の少なくとも一つが、該推進系のマトリックス中に、本質的に均一に分散された状態で存在し、かつ該一方のおよび/または他方の不活性可塑性添加物が、表面近傍の帯域において高い濃度をもつことを特徴とする、上記発射体の推進系。
【請求項2】
該系が、円形、円筒状の幾何形状を持ち、かつ軸方向に広がる長手方向の通路を持つ、粒子からなる、請求項1記載の推進系。
【請求項3】
該ニトラミン基材上の該結晶性エネルギー担体が、一般的な化学構造式:R-N-NO2で表されるニトラミン化合物を含み、該一般式においてRは、残基である、請求項1または2記載の推進系。
【請求項4】
該ニトラミン化合物が、1〜35質量%なる範囲、特に5〜25質量%なる範囲の濃度にて存在する、請求項3記載の推進系。
【請求項5】
該ニトラミン化合物がRDXである、請求項3または4記載の推進系。
【請求項6】
該不活性可塑性添加物が、0.5〜20質量%なる範囲、特に1〜5質量%なる範囲の濃度を持つ、請求項1または5記載の推進系。
【請求項7】
該不活性可塑性添加物が、本質的に水-不溶性の有機ポリオキソ化合物、特に50〜20,000g/モルなる範囲の分子量を持つ、ポリエステルまたはポリエーテルである、請求項1〜6の何れか1項に記載の推進系。
【請求項8】
該不活性可塑性添加物が、100〜20,000g/モルなる範囲の分子量を持つ、水-不溶性のクエン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステルまたはフタル酸エステルおよび/またはこれらの水和されたシクロヘキシル誘導体を含む、請求項7記載の推進系。
【請求項9】
該表面近傍の帯域における該不活性可塑性添加物が、10質量%以下なる、特に6質量%未満なる、全粒子中の質量割合を有する、請求項1または8の何れか1項に記載の推進系。
【請求項10】
該不活性可塑性添加物が、100-5000g/モルなる範囲内の分子量を持ち、カルボキシル基を含む有機化合物である、請求項1〜9の何れか1項に記載の推進系。
【請求項11】
該表面近傍の帯域における該不活性可塑性添加物が、本質的にカンフルである、請求項10記載の推進系。
【請求項12】
該表面近傍の帯域における該不活性可塑性添加物の該高い濃度が、400μmなる最大侵入深さに制限されている、請求項1または11記載の推進系。
【請求項13】
該推進系が、20mmなる最大の幾何学的寸法を持つ薬粒からなる、請求項1〜12の何れか1項に記載の推進系。
【請求項14】
ニトロセルロースを主成分とする、発射体を加速させるための推進系であって、該推進系が、ニトラミン基材上の結晶性エネルギー担体および1または複数の不活性可塑性添加物を含み、該不活性可塑性添加物の少なくとも一つが、該推進系のマトリックス中に、本質的に均一に分散された状態で存在し、かつ該一方のおよび/または他方の不活性可塑性添加物が、表面近傍の帯域において高い濃度をもち、該推進系マトリックス中の該不活性可塑性添加物が、1,2-ベンゼンジカルボン酸と、炭素原子数1〜11の2種のアルコールとから生成された、フタル酸エステルであることを特徴とする、上記発射体の推進系。
【請求項15】
ニトロセルロースを主成分とする、発射体を加速させるための推進系であって、該推進系がRDXおよび1または複数の不活性可塑性添加物を含み、該不活性可塑性添加物の少なくとも一つが、該推進系のマトリックス中に、本質的に均一に分散された状態で存在し、かつ該一方のおよび/または他方の不活性可塑性添加物が、表面近傍の帯域において高い濃度をもち、該推進系マトリックス中の該不活性可塑性添加物が、1,2-ベンゼンジカルボン酸と、炭素原子数1〜11の2種のアルコールとから生成された、フタル酸エステルであることを特徴とする、上記発射体の推進系。
【請求項16】
ニトロセルロースを主成分とする推進系を製造する方法であって、溶媒を含む火薬ケーキを、ニトロセルロース基材、およびニトラミン基材上の結晶性エネルギー担体および1または複数の不活性可塑性添加物を主成分として製造し、該溶媒を含む火薬ケーキの押出しによって、未加工薬粒を製造し、次に該表面近傍の帯域における該不活性可塑性添加物が、10質量%以下なる、特に6質量%未満なる、質量割合を持つように、該未加工薬粒を、不活性可塑性添加物によって表面処理することを特徴とする、上記製法。
【請求項17】
該火薬ケーキが、少なくとも60質量%のニトロセルロースを含み、該ニトロセルロースの窒素含有率が、11〜13.5質量%なる範囲内にある、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
該未加工薬粒の該表面処理が、該未加工薬粒を、水性エマルション中に浸漬することにより、不活性化組成添加剤を用いて行われる、請求項14又は15記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate