発汗抑制具および刺激部材
【課題】効果的に発汗を抑制することができる発汗抑制具を提供する。
【解決手段】発汗抑制具10は、発汗を抑制するツボを押圧して刺激する刺激部材2と、人体の上半身の前面部におけるツボの位置に刺激部材2を維持するブラジャ部材1と、を含む。刺激部材2が胸保護部3側における肩紐部5の内側、すなわち人体側に設けられていることにより、女性は一般的なブラジャを装着するように発汗抑制具10を装着すると、肩紐部5に設けられた刺激部材2が前面部のツボの位置で維持される。従って、刺激部材2が前面部のツボを刺激するため、効果的に発汗を抑制させることができる。
【解決手段】発汗抑制具10は、発汗を抑制するツボを押圧して刺激する刺激部材2と、人体の上半身の前面部におけるツボの位置に刺激部材2を維持するブラジャ部材1と、を含む。刺激部材2が胸保護部3側における肩紐部5の内側、すなわち人体側に設けられていることにより、女性は一般的なブラジャを装着するように発汗抑制具10を装着すると、肩紐部5に設けられた刺激部材2が前面部のツボの位置で維持される。従って、刺激部材2が前面部のツボを刺激するため、効果的に発汗を抑制させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体の発汗を抑制するツボを刺激する発汗抑制具および刺激部材に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の体側部(両脇の下)には発汗を抑制するツボ(以下「体側部のツボ」という)があり、従来からそのツボを刺激する器具は存在する。たとえば、下記特許文献1には、人体の胸部よりも上の部分の発汗を抑える発汗抑制具が開示されている。特許文献1によれば、バンド、帯、紐などの締着具、または、ブラジャの脇の下の紐部に引っかけるように取り付けられた押圧体が、体側部のツボを押圧することで発汗を抑制している。また、下記特許文献2には、顔面にかく汗を防止するとともに、化粧くずれも防止する発汗防止具および発汗防止具付下着が開示されている。特許文献2によれば、発汗防止具の突起が体側部のツボに接する状態にして面ファスナで女性用のブラジャの横紐に装着させるか、または、体側部のツボに粘着テープで発汗防止具を貼りつける発汗防止具、あるいは、女性用ブラジャの両側の脇の下の内側部分に設けられた突起が体側部のツボに接するように構成された発汗防止具付下着によって、上半身の発汗を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−149929号公報
【特許文献2】特開平9−103463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人体の上半身には、特許文献1および2で開示される体側部のツボの他に、人体の前面部にも発汗を抑制するツボ(以下「前面部のツボ」という)が存在する。前面部のツボは、個人差はあるが、高さは鎖骨と乳首との間で、幅は両脇の間を占める領域辺りに存在しており、一般的に知られている。また、前面部のツボを刺激する方が、体側部のツボを押圧するよりも、発汗を抑制する効果は高い。
【0005】
しかしながら、特許文献1および2においては、体側部のツボを押圧するのみであったため、従来の発汗抑制具では発汗を抑制するには不十分であった。
【0006】
この発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであり、効果的に発汗を抑制することができる発汗抑制具および刺激部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る発汗抑制具は、発汗を抑制するツボを刺激する刺激部材と、人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置に刺激部材を維持する位置維持手段と、を含む。
【0008】
好ましくは、位置維持手段は、上半身に着用される衣服と略同様の形状を有する。
【0009】
さらに好ましくは、位置維持手段は、帯状部材である。
【0010】
さらに好ましくは、刺激部材は、位置維持手段に脱着自在である。
【0011】
この発明の他の局面において、刺激部材は、人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置に設けられ、発汗を抑制するツボを刺激する。
【発明の効果】
【0012】
発汗を抑制するツボを刺激する刺激部材を、人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置で維持するため、前面部のツボを刺激して、効果的に発汗を抑制することのできる発汗抑制具および刺激部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】人体の上半身を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態におけるブラジャ型の発汗抑制具を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図3】ブラジャ部材を説明するための概略斜視図である。
【図4】発汗抑制具に設けられる刺激部材を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のIVB−IVBにおける矢視図である。
【図5】女性が装着した場合の発汗抑制具を示す正面図である。
【図6】刺激部材の変形例を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIB−VIBにおける矢視図であり、(C)は(A)のVIC−VICにおける矢視図である。
【図7】刺激部材の他の変形例を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIIB−VIIBにおける矢視図であり、(C)は(A)のVIIC−VIICにおける矢視図である。
【図8】刺激部材のさらに他の変形例を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIIIB−VIIIBにおける矢視図である。
【図9】第1の実施形態の発汗抑制具における変形例を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図10】第1の実施形態の発汗抑制具における他の変形例に示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図11】第1の実施形態の発汗抑制具におけるさらに他の変形例を示す概略図である。(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図であり、(C)は(B)において丸で囲んだ部分XICの拡大図である。
【図12】第1の実施形態の発汗抑制具におけるさらに他の変形例を示す図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図13】第1の実施形態の発汗抑制具におけるさらに他の変形例であるティーシャツ型の発汗抑制具を示す正面図である。
【図14】第1の実施形態の発汗抑制具におけるさらに他の変形例である細帯型の発汗抑制具を示す正面図である。
【図15】細帯型の発汗抑制具における変形例を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)において丸で囲んだ部分XVBの拡大図である。
【図16】第2の実施形態における刺激部材が市販のブラジャに取り付けられた状態を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図17】第2の実施形態における刺激部材を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のXVIIB−XVIIBにおける矢視図であり、(C)は、第1基台および第2基台における接続の関係を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。まず、人体の上半身の前面部における発汗を抑制するツボについて説明する。図1は、人体の上半身を示す正面図である。図1を参照して、一点鎖線で囲まれる領域Rは、人体の上半身の前面部における発汗を抑制するツボが存在する領域を示し、破線は人体の上半身を仮想的に示している。領域R(所定の位置)は、高さが鎖骨と乳首との間で、幅が両脇の間に囲まれる範囲内に含まれる。すなわち、図1で示される領域R内に存在する前面部のツボを刺激することにより、発汗が抑制される。また、前面部のツボは、上記でも説明したように、発汗を抑制する効果が高いため、たとえば、前面部のツボを軽く押圧したり、前面部のツボにわずかな磁気を与える程度の刺激で十分に効果が得られる。
【0015】
以下に、上記の領域R内に存在する前面部のツボを刺激して発汗を抑制する発汗抑制具の具体的な実施形態について説明する。
【0016】
(1)第1の実施形態
第1の実施形態について説明する。この実施形態においては、まず、女性用の上半身において装着されるブラジャ型の発汗抑制具について説明する。図2はブラジャ型の発汗抑制具を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。図2(A)および(B)を参照して、発汗抑制具10は、女性の胸を保護するブラジャ部材1と、ブラジャ部材1の内側(すなわち、人体側)に設けられ、発汗を抑制するツボを押圧して刺激する刺激部材(押圧刺激部材)2とを含む。
【0017】
まず、ブラジャ部材1について説明する。図3はブラジャ部材1を説明するための概略斜視図である。図3を参照して、ブラジャ部材1は、図3中では白抜きで示された、上半身の前面部における女性の両胸を保護する胸保護部3と、図3中ではドット柄で示された、胸保護部3における左右の両下端部と接続され、女性の胸よりやや下の位置で上半身を1周し、背後に設けられたホック6(図2(B)参照)により締め付けが固定されて、ブラジャ部材1が上半身に対してずれないようにする胸回り紐部4と、図3中では斜線で示された、上半身の前面部において左右の各胸保護部3の上端部と接続され、女性の肩を上方を通って背後に延在し、背後で胸回り紐部4と接続される肩紐部5と、を含む。すなわち、ブラジャ部材1は一般的なブラジャと略同様の形状を有する。
【0018】
次に、刺激部材2について説明する。図4は発汗抑制具10に設けられる刺激部材2を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のIVB−IVBにおける矢視図である。図4(A)および(B)を参照して、刺激部材2は、シリコンゴムからなる略矩形状の基台11と、基台11の一方面に設けられ、シリコンゴムからなる略半球体の形状を有する複数の突起部12と、を含む。基台11からの突起部12の高さは3〜10mmであるのが好ましい。なお、刺激部材2の大きさ(基台11の面積など)については、後述する位置維持手段に応じて適切な大きさに特定されるのが好ましい。
【0019】
再び図2(A)および(B)を参照して、発汗抑制具10は、具体的には、胸保護部3側における肩紐部5の内側に刺激部材2を有している。従って、発汗抑制具10が装着されると、装着された状態における刺激部材2の位置は維持される。すなわち、ブラジャ部材1は、位置維持手段として作用する。
【0020】
次に、発汗抑制具10の作用について説明する。図5は女性が装着した場合の発汗抑制具10を示す正面図である。図5を参照して、刺激部材2が胸保護部3側における肩紐部5の内側、すなわち人体側に設けられていることにより、女性は一般的なブラジャを装着するように発汗抑制具10を装着すると、肩紐部5に設けられた刺激部材2が領域R内における前面部のツボの位置で維持される。従って、刺激部材2が前面部のツボを押圧して刺激するため、効果的に発汗を抑制させることができる。
【0021】
なお、この実施形態における刺激部材2の形状を、図4を用いて説明したが、これに限ることはなく、刺激部材は突起部を有していればよく、突起部の形状や突起部の数は任意である。以下、図6〜図8を用いて刺激部材の例をいくつか説明する。
【0022】
図6は発汗抑制具に設けられる刺激部材20を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIB−VIBにおける矢視図であり、(C)は(A)のVIC−VICにおける矢視図である。図6を参照して、刺激部材20は、側面から見た形状(図6(B)参照)および正面から見た形状(図6(C)参照)が略台形の形状である突起部22を基台21上に有し、突起部22が人体の表面に対して面で接触するようにして前面部のツボを刺激する。
【0023】
図7は発汗抑制具に設けられる刺激部材23を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIIB−VIIBにおける矢視図であり、(C)は(A)のVIIC−VIICにおける矢視図である。図7を参照して、刺激部材23は、側面から見た形状(図7(B)参照)および正面から見た形状(図7(C)参照)からもわかるように先端部が尖っている突起部25を基台24上に有し、突起部25が人体の表面に対して点で接触するようにして前面部のツボを刺激する。このとき、突起部25は人体に接しても傷つけることのない素材であるのが好ましい。
【0024】
図8は発汗抑制具に設けられる刺激部材26を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIIIB−VIIIBにおける矢視図である。図8を参照して、刺激部材26は、正面から見た形状(図8(B)参照)が略三角形である突起部28を基台27上に有し、突起部28が人体の表面に対して線で接触するようにして前面部のツボを刺激する。
【0025】
なお、刺激部材は、突起部が前面部のツボに対して、面、線、または点で接触するような形状を有するものであればよい。また、刺激部材の突起部が前面部のツボに対して、面、線または点で接触する形状を複合的に有する形状でもよい。
【0026】
なお、この実施形態においては、刺激部材2を胸保護部3側における肩紐部5の内側の位置で維持する場合について説明したが、これに限ることなく、領域R内で刺激部材2の位置が維持されれば、ブラジャ部材1において肩紐部5ではない他の部分であってもよい。たとえば、胸保護部3を位置維持手段としてもよい。また、肩紐部5と胸保護部3とが接続する部分の近傍における肩紐部5の幅は広い方がよい。具体的には、肩紐部5の幅が約15mm以上であるのが好ましい。刺激部材2を固定する範囲が広くなるため、より領域Rにおける個人差への適用能力が向上するからである。また、より大きい刺激部材2を設けることが可能となるからである。
【0027】
次に、この実施形態の変形例について説明する。図9はこの変形例における発汗抑制具30を示す概略図である。(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。なお、発汗抑制具30は、上記の実施形態で説明した発汗抑制具10と基本構成が同様のため、相違点について以下に説明する。
【0028】
図9(A)および(B)を参照して、発汗抑制具30における肩紐部34は、背後部分が幅広な形状を有し、背面において胸回り紐部33と一体的に構成されている。すなわち、発汗抑制具30はタンクトップのような形状を有する。発汗抑制具30は、装着する人の背後部分における下端部の中央に設けられたホック36を有し、これにより、発汗抑制具30が上半身に対してずれないよう留められる。また、刺激部材35は、上記で説明した図6に示される刺激部材20と同様のものが用いられ、胸保護部32側の各肩紐部34の内側に設けられている。従って、上記した前面部のツボが存在する領域R内に位置するように、刺激部材35の位置が維持される。
【0029】
この変形例によれば、肩紐部34の内側に設けられた刺激部材35が上半身の前面部におけるツボの位置で維持されるため、押圧により前面部のツボを刺激して効果的に発汗を抑制させることができる。また、タンクトップのような形状を有していることより、発汗抑制具30が上半身に対して安定して維持されるため、結果として、刺激部材35の位置がずれることなく確実に前面部のツボを刺激することができる。
【0030】
なお、この変形例において、発汗抑制具30は背後部分に設けられたホック36により留められる場合について説明したが、背後部分の略全面が一体的に構成される、いわゆるタンクトップと略同様の形状にして、発汗抑制具30を頭からかぶって装着するような構成にしてもよい。こうすることにより、ホック36を留める手間がかからない。
【0031】
次に、この実施形態の他の変形例について説明する。図10は、この変形例における、いわゆるビュスチェのような形状を有する発汗抑制具40を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【0032】
図10(A)および(B)を参照して、発汗抑制具40は、左右の両胸保護部41と、発汗抑制具40を装着する人の鎖骨よりやや下辺りまでを含む上半身の前面部を略全範囲で覆い、さらに腰から両脇の下までの範囲を覆いながら背面に延在して、背後においてホック42により留められる衣服部43と、前面部のツボがある位置における衣服部43の内側(人体側)であって、下部としては左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から、上部としては鎖骨よりやや下辺りの衣服部43が延在する位置までの範囲を覆うように設けられ、人体側に突起部を有する略扇状の刺激部材29と、を含む。
【0033】
ここで説明する発汗抑制具40においては、下部としては衣服部43における左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から、上部としては鎖骨よりやや下辺りの位置までを覆う範囲にある衣服部43の一部分を利用して刺激部材29の位置を維持する。
【0034】
この変形例によれば、左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から、鎖骨よりやや下辺りの位置までを覆う範囲に刺激部材29を設けることにより、前面部のツボの位置で刺激部材29が維持されるため、ブラジャ部材の肩紐部によってかかる肩への負担がないうえに、効果的に発汗を抑制させることができる。
【0035】
なお、この変形例においては、左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から鎖骨よりやや下辺りの位置までを覆う範囲に刺激部材29を設ける場合について説明したが、これに限ることなく、前面部のツボが存在する位置(たとえば、左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から鎖骨よりやや下辺りの位置までを覆う範囲内)において部分的に刺激部材を設けるようにしてもよい。
【0036】
次に、この実施形態のさらに他の変形例について説明する。この変形例においては、ブラジャ部材と接続される帯状部材に刺激部材を固定してなる発汗抑制具について説明する。図11はこの変形例における発汗抑制具60を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。図11(A)および(B)を参照して、発汗抑制具60は、上記で説明したブラジャ部材61と、ブラジャ部材61の背面側(ここでは、両肩紐部62と胸回り紐部63との接続部分64aおよび接続部分64bの近傍)において接続され、接続部分64aと接続部分64bとを繋いで前面部のツボの存在する位置(領域R)上を通るように設けられる、帯状の固定ベルト65と、固定ベルト65において発汗抑制具60の装着者の前面部のツボが存在する位置に設けられ、上記の実施形態で説明した、人体側に突起部を有する2つの刺激部材52と、を含む。なお、刺激部材52は、固定ベルト65により、前面部のツボの存在する位置で維持される。また、刺激部材52は、縫いつけや面ファスナなどの公知の手段を用いて、固定ベルト65上の任意の位置で固定が可能に構成されている。
【0037】
ここで、固定ベルト65について説明する。図11(C)は、図11(B)において丸で囲んだ部分XICの拡大図である。図11(A)〜(C)を参照して、固定ベルト65は、一方端側がブラジャ部材61の接続部分64bの近傍に接続され、他方端側の先端部のループ部67により環状の第1調整部材66aを保持する第1ベルト部62aと、一方端側がブラジャ部材61の接続部分64aの近傍に接続され、他方端側が先端部を第1調整部材66aの環を通して折り返し第2調整部材66bで固定する第2ベルト62bと、を含む。この構成により、第2調整部材66bと接続部分64aとの間の長さを調整することで、無段階で固定ベルト65の長さを調整することができる。従って、前面部のツボが存在する位置における個人差や、胸囲における個人差などへの適用能力が向上する。また、固定ベルト65の長さを長くすることで刺激部材52の押圧する力を弱めたり、固定ベルト65の長さを短くすることで刺激部材52の押圧する力を強めたりすることができる。なお、このとき、第1調整部材66a、第2調整部材66b、および第1調整部材66aと第2調整部材66bとの間にある第2ベルト部62bの折り返し部分は、固定ベルト65の長さを無段階で調整する調整部66として作用する。
【0038】
再び図11(A)および(B)を参照して、この変形例によれば、固定ベルト65における前面部のツボの位置で刺激部材52を維持するため、たとえば、両肩紐部62よりも人体の中心側においても、押圧により前面部のツボを刺激して効果的に発汗を抑制させることができる。
【0039】
なお、この変形例において説明した調整部66に限ることなく、その他の公知の調整手段を用いてもよい。たとえば、固定ベルト65に面ファスナを設けて、固定ベルト65の長さを調整してもよい。
【0040】
なお、この変形例における発汗抑制具60は調整部66を有する場合について、調整部66を有さなくてもよい。
【0041】
なお、この変形例においては、刺激部材52が2つの場合について説明したが、これに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0042】
次に、この実施形態のさらに他の変形例について説明する。この変形例においては、ブラジャ部材と接続される帯状部材に刺激部材を固定してなる発汗抑制具の他の例について説明する。図12は、この実施形態における他の変形例を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。図12(A)および(B)を参照して、発汗抑制具70は、ブラジャ部材71(肩紐部72および胸保護部73を含む)と、ブラジャ部材71の前面側(ここでは、左右の各肩紐部72と胸保護部73との接続部分74aおよび接続部分74bの近傍)において接続され、接続部分74aおよび接続部分74bのそれぞれから延在して喉元辺りで結合し、首回りを1周して首の後ろで結ばれることで固定される帯状のホールターネックベルト部75と、接続部分74aおよび接続部分74bとホールターネックベルト部75の喉元辺りにおける結合部分75aとの間であって、装着者の前面部のツボが存在する位置において各々1つずつ設けられた、上記の実施形態で説明した、人体側に突起部を有する刺激部材77と、を含む。このとき、刺激部材77の位置は、ホールターネックベルト部75により、前面部のツボのある位置で維持される。また、刺激部材77は、縫いつけや面ファスナなどの公知の手段を用いて、ホールターネックベルト部75の任意の位置で固定が可能に構成されている。
【0043】
この変形例によれば、ブラジャ部材71の前面に接続されたホールターネックベルト部75に刺激部材77を固定することにより、前面部のツボの位置で刺激部材77が維持されるため、押圧により前面部のツボを刺激して効果的に発汗を抑制することができるとともに、刺激部材77を結合部分75a、接続部分74aおよび接続部分74bの3点からなる三角形の辺上に固定するため、刺激部材77の位置のずれを低減させることができる。
【0044】
次に、この実施形態のさらに他の変形例について説明する。これまでに説明した発汗抑制具はすべて、女性の下着(ブラジャ型やビュスチェ型など)と略同様の形状を有する場合について説明したが、この変形例においては、その他の上半身に着用される衣服と略同様の形状をする発汗抑制具について説明する。図13はいわゆるティーシャツの形状を有するものを位置維持手段としたティーシャツ型の発汗抑制具を示す正面図である。図13中において、一点鎖線は前面部のツボの存在する位置(領域R)を示し、斜線部は刺激部材が設けられている位置を示し、破線は発汗抑制具を装着した人の上半身を仮想的に示している。図13を参照して、このティーシャツ型の発汗抑制具80は、一般的なティーシャツと略同様の形状を有するティーシャツ部材81と、ティーシャツ部材81の前身頃の内側(すなわち、人体側)であり、前面部のツボが存在する位置に設けられ、図4で示される刺激部材2における基台および突起部と同様の構成を有し、さらに前面部のツボの存在する位置を略全範囲で覆う大きさ(面積)を有する、人体側に突起部が設けられた刺激部材82と、を含む。このとき、刺激部材82の位置は、ティーシャツ部材81により前面部のツボのある位置で維持される。
【0045】
この変形例によれば、男女のいずれにおいても発汗抑制具80を使用することができるようになる。
【0046】
なお、上記の変形例において、位置維持手段はティーシャツの形状を有する場合について説明したが、これに限ることなく、シャツ、ランニングシャツ、トレーナなど、上半身における任意の衣服と略同様の形状を有するものでもよい。
【0047】
次に、この実施形態のさらに他の変形例について説明する。この変形例においては、刺激部材を前面部のツボの位置で維持するように帯状部材を胸の周りに巻きつける場合について説明する。図14は、胸の周りに巻きつけられる帯状部材を位置維持手段とした細帯型の発汗抑制具90を示す正面図である。図14中における一点鎖線、斜線部、および破線は、図13と同様のものを示す。この細帯型の発汗抑制具90は、胸の周りに巻きつけられる細帯91と、細帯91の前面部の内側(人体側)であり、前面部のツボが存在する位置に設けられ、図4で示される刺激部材2における基台および突起部と同様の構成を有し、さらに前面部のツボの存在する位置(領域R)を略全範囲で覆う大きさ(面積)を有する、人体側に突起部が設けられた刺激部材92と、を含む。また、刺激部材92の位置は、細帯91により、前面部のツボのある位置で維持されている。
【0048】
この変形例によれば、前面部のツボのある位置を通る細帯91で刺激部材92を維持することにより、細帯91の幅に基づいた広い範囲で前面部のツボを刺激するため、より効果的に発汗を抑制することが可能となる。なお、この細帯91は、弾性素材であるのが好ましい。また、細帯91は、細帯91の長さを無段階で調整できる調整部を設けてもよい。
【0049】
また、上記細帯型の発汗抑制具90の他の変形例について説明する。この変形例においては、前面部のツボを部分的に刺激する場合について説明する。図15はこの変形例における細帯型の発汗抑制具100を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)において丸で囲んだ部分XVBの拡大図である。図15(A)および(B)を参照して、発汗抑制具100は、前面部のツボが存在する位置上を通るように胸の周りに巻きつけられる細帯101と、細帯101において発汗抑制具100の装着者の前面部のツボが存在する位置に設けられる、図11で説明した発汗抑制具60に設けられた刺激部材と同様の2つの刺激部材102と、を含む。刺激部材102の位置は、細帯101に縫いつけや面ファスナなどの公知の手段により固定されることで維持されている。また、この細帯101は、細帯101のいずれかの位置において設けられ、人体に巻きつけられる細帯101の長さを無段階で調整させる、図11を用いて説明した調整部66を含む。
【0050】
この変形例によれば、細帯101が通る所望の位置において部分的に刺激部材102を維持するため、発汗抑制具100の装着者の所望する部分に刺激を与えることができるとともに、発汗抑制具100としての構成を小さくすることができる。なお、刺激部材102は、2つに限らず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、細帯101は、弾性素材で構成されているのが好ましい。
【0051】
なお、この変形例において、位置維持手段に帯状の細帯101を用いる場合について説明したが、これに限ることなく、断面形状が略円形状をなす紐状部材を用いてもよい。この場合、刺激部材は紐状部材に位置を維持させるために、紐状部材を貫通させる貫通孔を有するようにする。こうすることにより、紐状部材であれば、細帯のようにねじれることがなくなる。また、さらに、刺激部材は貫通孔と同一の方向に延在する円柱形状を有するようにしてもよい。こうすることにより、たとえば、円柱形状の刺激部材の側面部分の全面に、人体に面で接触、線で接触、点で接触するような突起部を不規則に設けた場合、刺激部材が紐状部材を中心に回転して、前面部のツボに対して様々な種類の刺激を与えることができるため、より効果的に発汗を刺激することができる。なお、刺激部材の側面部分において、突起部を全面に設けるのではなく、一部に設けてもよい。また、突起部の形状も任意である。また、刺激部材の形状は円柱形状に限ることなく多角柱でもよい。
【0052】
なお、第1の実施形態においては、基台および突起部がシリコンゴムである場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、他の可撓性の素材でもよいし、プラスチック製、金属製などの硬質性の素材でもよい。また、基台と突起部とは同一の素材でなくてもよい。
【0053】
なお、第1の実施形態において、刺激部材は突起部を基台上に有する場合について説明したが、これに限ることなく、基台を有さずに位置維持手段に直接突起部を形成させて刺激部材としてもよい。たとえば、ブラジャ部材の肩紐部の内側部分に直接突起部を設けてもよい。
【0054】
なお、第1の実施形態における刺激部材は、各発汗抑制具の位置維持手段に固定される場合について説明したが、これに限ることなく、刺激部材は位置維持手段に対して脱着自在であってもよい。たとえば、図2に示される発汗抑制具10においては、肩紐部5と刺激部材2とを両面テープにより固定する。こうすることにより、貼りつけた両面テープをはがして発汗抑制具10の装着者の所望の位置に刺激部材2を貼り直すことができる。また、装着者の体形が変化した場合でも、体形の変化に応じて刺激部材2の位置を変更させることができる。その他の刺激部材を脱着自在にする手段については、たとえば、位置維持手段および刺激部材の両者間において面ファスナを設けてもよいし、位置維持手段に縫いつけで刺激部材を設けてもよい。なお、発汗抑制具10以外の発汗抑制具についても同様である。
【0055】
(2)第2の実施形態
次に、第2の実施形態について説明する。この実施形態においては、刺激部材が人体の上半身に着用される市販の衣服に脱着可能に構成され、衣服の前面部のみにおける所定の位置に設けられて、発汗を抑制するツボを刺激する場合について説明する。図16はこの実施形態における刺激部材が市販のブラジャ51に取り付けられた状態を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。図16(A)および(B)を参照して、刺激部材58は人体側に突起部を有するように脱着可能に構成され、市販のブラジャ51の胸保護部側の肩紐51aに取り付けられている。このとき、刺激部材58は前面部のツボが存在する位置に合わせて取り付けられている。
【0056】
ここで刺激部材58について説明する。図17は刺激部材58を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のXVIIB−XVIIBにおける矢視図である。図17(A)および(B)を参照して、刺激部材58は、両者が同一の大きさを有する2層構造であり、プラスチックなどの硬質の素材からなる略矩形状の第1基台53および第2基台54と、第1基台53において第2基台54とは異なる側の面に設けられ、シリコンゴムからなる略半球体の形状を有する複数の突起部55と、を含む。図17(C)は、第1基台53および第2基台54における接続の関係を示す概略斜視図である。また、図17(C)中の破線は、帯状のもの(ここでは、市販のブラジャの肩紐51aとする)が第2基台54上に載置されている状態を示す。図17(C)を参照して、第1基台53および第2基台54は、一方側の長辺56で接続されている。これにより、図17(C)中の矢印が示すように、第1基台53および第2基台54は、一方側の長辺56を中心として開閉可能である。また、第1基台53および第2基台54は、閉じられることにより、載置されたブラジャの肩紐51aを挟み込んだ状態で固定される。ここでの固定には、面ファスナが用いられる。面ファスナは、第1基台53および第2基台54において対向する両面の全面に設けられ、第1基台53および第2基台54が閉じられることにより接着する。従って、ブラジャの肩紐51aが載置されている場合、肩紐51aが載置されている部分とは異なる部分(すなわち、第1基台53および第2基台54に設けられた面ファスナが直接接触する部分)において接着するため、肩紐51aを挟み込んだ状態で第1基台53および第2基台54が固定される。すなわち、刺激部材58はブラジャの肩紐51aに固着する。一方、第1基台53および第2基台54が開かれることにより、面ファスナの接着が解除され、刺激部材58は肩紐51aから外れる。このようにして、刺激部材58は帯状のものに脱着する。なお、この場合、第1基台53および第2基台54の幅(短辺の長さ)は、肩紐51aの幅より広い。
【0057】
再び図16(A)および(B)を参照して、この実施形態によれば、刺激部材58が市販のブラジャ51に脱着可能であることにより、発汗を抑制したいときに刺激部材58を市販のブラジャに51に取り付けることで、効果的に発汗を抑制させることができる。
【0058】
なお、この実施形態において、第1基台53および第2基台54の接続は、一方側の長辺56で接続されている場合について説明したが、これに限ることなく、短辺側でもよい。
【0059】
なお、この実施形態において、刺激部材58を肩紐51a(帯状のもの)に固定する手段は面ファスナである場合について説明したが、これに限ることなく、その他の公知の手段で刺激部材58を固定してもよい。たとえば、磁石を用いて、磁石による引力で刺激部材58を固定するようにしてもよい。
【0060】
なお、この実施形態においては、刺激部材58を肩紐51aに固定する場合について説明したが、これに限ることなく、前面部のツボのある領域内で刺激部材58の位置が維持されれば、肩紐部51aではないその他の部分に刺激部材58を固定してもよい。また、市販のブラジャに限ることなく、ティーシャツ、タンクトップ、シャツ、トレーナなど、上半身における任意の衣服に着脱して固定するようにしてもよい。
【0061】
なお、この実施形態においては、上記したような刺激部材を用いる場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、第1の実施形態で説明した刺激部材が、市販の衣服の前面部のツボの位置で維持されるように脱着し得る構成を有するようにしてもよい。
【0062】
なお、第1および第2の実施形態において、基台を有する刺激部材の基台の形状は略矩形状である場合について説明したが、これに限ることなく、他の多角形状でもよいし、円形状でもよい。
【0063】
なお、この実施形態においては、突起部がシリコンゴムである場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、他の可撓性の素材でもよいし、プラスチック製、金属製などの硬質性の素材でもよい。また、基台と突起部とは同一の素材でなくてもよい。
【0064】
なお、第1および第2の実施形態において、発汗抑制具を装着した場合および市販の衣服に刺激部材を取り付けた場合の刺激部材の押圧力を向上させるために、さらに別に用意した帯状のものを、装着された発汗抑制具の刺激部材および市販の衣服に取り付けられた刺激部材の上から抑えるように人体に巻きつけてもよい。こうすることにより、より効果的に発汗を抑制することができる。
【0065】
なお、第1および第2の実施形態において、刺激部材は押圧の力を利用して前面部のツボを刺激する刺激部材(押圧刺激部材)を用いる場合について説明したが、これに限ることなく、磁石などの磁気を用いて前面部のツボを刺激するもの(磁気刺激部材)でもよい。
【0066】
なお、第1および第2の実施形態においては、人体に刺激部材を直に接触させる場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、発汗抑制具の内側に下着を1枚着たり、刺激部材が人体に直接あたる部分に当て布をひいたりするなどして、人体と刺激部材とを間接的に接触させるようにしてもよい。
【0067】
なお、第1および第2の実施形態において説明した発汗抑制具または刺激部材と、特許文献1や特許文献2が開示するような体側部のツボを押圧する押圧体とを併用するようにしてもよい。こうすることにより、より効果的に発汗を抑制することができる。
【0068】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1,31,51,61,71 ブラジャ部材、2,20,23,26,29,35,52,58,77,82,92,102 刺激部材、11,21,24,27 基台、12,22,25,28,55 突起部、3,32,41,73, 胸保護部、4,33,63 胸回り紐部、5,34,51a,62,72 肩紐部、6,36,42 ホック、10,30,40,60,70,80,90,100 発汗抑制具、43 衣服部、53 第1基台、54 第2基台、56 一方側の長辺、62a 第1ベルト部、62b 第2ベルト部、64a,64b,74a,74b 接続部分、65 固定ベルト、66 調整部、66a 第1調整部材、66b 第2調整部材、67 ループ部、75 ホールターネックベルト部、81 ティーシャツ部材、91,101 細帯。
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体の発汗を抑制するツボを刺激する発汗抑制具および刺激部材に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の体側部(両脇の下)には発汗を抑制するツボ(以下「体側部のツボ」という)があり、従来からそのツボを刺激する器具は存在する。たとえば、下記特許文献1には、人体の胸部よりも上の部分の発汗を抑える発汗抑制具が開示されている。特許文献1によれば、バンド、帯、紐などの締着具、または、ブラジャの脇の下の紐部に引っかけるように取り付けられた押圧体が、体側部のツボを押圧することで発汗を抑制している。また、下記特許文献2には、顔面にかく汗を防止するとともに、化粧くずれも防止する発汗防止具および発汗防止具付下着が開示されている。特許文献2によれば、発汗防止具の突起が体側部のツボに接する状態にして面ファスナで女性用のブラジャの横紐に装着させるか、または、体側部のツボに粘着テープで発汗防止具を貼りつける発汗防止具、あるいは、女性用ブラジャの両側の脇の下の内側部分に設けられた突起が体側部のツボに接するように構成された発汗防止具付下着によって、上半身の発汗を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−149929号公報
【特許文献2】特開平9−103463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人体の上半身には、特許文献1および2で開示される体側部のツボの他に、人体の前面部にも発汗を抑制するツボ(以下「前面部のツボ」という)が存在する。前面部のツボは、個人差はあるが、高さは鎖骨と乳首との間で、幅は両脇の間を占める領域辺りに存在しており、一般的に知られている。また、前面部のツボを刺激する方が、体側部のツボを押圧するよりも、発汗を抑制する効果は高い。
【0005】
しかしながら、特許文献1および2においては、体側部のツボを押圧するのみであったため、従来の発汗抑制具では発汗を抑制するには不十分であった。
【0006】
この発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであり、効果的に発汗を抑制することができる発汗抑制具および刺激部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る発汗抑制具は、発汗を抑制するツボを刺激する刺激部材と、人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置に刺激部材を維持する位置維持手段と、を含む。
【0008】
好ましくは、位置維持手段は、上半身に着用される衣服と略同様の形状を有する。
【0009】
さらに好ましくは、位置維持手段は、帯状部材である。
【0010】
さらに好ましくは、刺激部材は、位置維持手段に脱着自在である。
【0011】
この発明の他の局面において、刺激部材は、人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置に設けられ、発汗を抑制するツボを刺激する。
【発明の効果】
【0012】
発汗を抑制するツボを刺激する刺激部材を、人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置で維持するため、前面部のツボを刺激して、効果的に発汗を抑制することのできる発汗抑制具および刺激部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】人体の上半身を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態におけるブラジャ型の発汗抑制具を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図3】ブラジャ部材を説明するための概略斜視図である。
【図4】発汗抑制具に設けられる刺激部材を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のIVB−IVBにおける矢視図である。
【図5】女性が装着した場合の発汗抑制具を示す正面図である。
【図6】刺激部材の変形例を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIB−VIBにおける矢視図であり、(C)は(A)のVIC−VICにおける矢視図である。
【図7】刺激部材の他の変形例を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIIB−VIIBにおける矢視図であり、(C)は(A)のVIIC−VIICにおける矢視図である。
【図8】刺激部材のさらに他の変形例を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIIIB−VIIIBにおける矢視図である。
【図9】第1の実施形態の発汗抑制具における変形例を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図10】第1の実施形態の発汗抑制具における他の変形例に示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図11】第1の実施形態の発汗抑制具におけるさらに他の変形例を示す概略図である。(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図であり、(C)は(B)において丸で囲んだ部分XICの拡大図である。
【図12】第1の実施形態の発汗抑制具におけるさらに他の変形例を示す図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図13】第1の実施形態の発汗抑制具におけるさらに他の変形例であるティーシャツ型の発汗抑制具を示す正面図である。
【図14】第1の実施形態の発汗抑制具におけるさらに他の変形例である細帯型の発汗抑制具を示す正面図である。
【図15】細帯型の発汗抑制具における変形例を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)において丸で囲んだ部分XVBの拡大図である。
【図16】第2の実施形態における刺激部材が市販のブラジャに取り付けられた状態を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【図17】第2の実施形態における刺激部材を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)のXVIIB−XVIIBにおける矢視図であり、(C)は、第1基台および第2基台における接続の関係を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。まず、人体の上半身の前面部における発汗を抑制するツボについて説明する。図1は、人体の上半身を示す正面図である。図1を参照して、一点鎖線で囲まれる領域Rは、人体の上半身の前面部における発汗を抑制するツボが存在する領域を示し、破線は人体の上半身を仮想的に示している。領域R(所定の位置)は、高さが鎖骨と乳首との間で、幅が両脇の間に囲まれる範囲内に含まれる。すなわち、図1で示される領域R内に存在する前面部のツボを刺激することにより、発汗が抑制される。また、前面部のツボは、上記でも説明したように、発汗を抑制する効果が高いため、たとえば、前面部のツボを軽く押圧したり、前面部のツボにわずかな磁気を与える程度の刺激で十分に効果が得られる。
【0015】
以下に、上記の領域R内に存在する前面部のツボを刺激して発汗を抑制する発汗抑制具の具体的な実施形態について説明する。
【0016】
(1)第1の実施形態
第1の実施形態について説明する。この実施形態においては、まず、女性用の上半身において装着されるブラジャ型の発汗抑制具について説明する。図2はブラジャ型の発汗抑制具を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。図2(A)および(B)を参照して、発汗抑制具10は、女性の胸を保護するブラジャ部材1と、ブラジャ部材1の内側(すなわち、人体側)に設けられ、発汗を抑制するツボを押圧して刺激する刺激部材(押圧刺激部材)2とを含む。
【0017】
まず、ブラジャ部材1について説明する。図3はブラジャ部材1を説明するための概略斜視図である。図3を参照して、ブラジャ部材1は、図3中では白抜きで示された、上半身の前面部における女性の両胸を保護する胸保護部3と、図3中ではドット柄で示された、胸保護部3における左右の両下端部と接続され、女性の胸よりやや下の位置で上半身を1周し、背後に設けられたホック6(図2(B)参照)により締め付けが固定されて、ブラジャ部材1が上半身に対してずれないようにする胸回り紐部4と、図3中では斜線で示された、上半身の前面部において左右の各胸保護部3の上端部と接続され、女性の肩を上方を通って背後に延在し、背後で胸回り紐部4と接続される肩紐部5と、を含む。すなわち、ブラジャ部材1は一般的なブラジャと略同様の形状を有する。
【0018】
次に、刺激部材2について説明する。図4は発汗抑制具10に設けられる刺激部材2を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のIVB−IVBにおける矢視図である。図4(A)および(B)を参照して、刺激部材2は、シリコンゴムからなる略矩形状の基台11と、基台11の一方面に設けられ、シリコンゴムからなる略半球体の形状を有する複数の突起部12と、を含む。基台11からの突起部12の高さは3〜10mmであるのが好ましい。なお、刺激部材2の大きさ(基台11の面積など)については、後述する位置維持手段に応じて適切な大きさに特定されるのが好ましい。
【0019】
再び図2(A)および(B)を参照して、発汗抑制具10は、具体的には、胸保護部3側における肩紐部5の内側に刺激部材2を有している。従って、発汗抑制具10が装着されると、装着された状態における刺激部材2の位置は維持される。すなわち、ブラジャ部材1は、位置維持手段として作用する。
【0020】
次に、発汗抑制具10の作用について説明する。図5は女性が装着した場合の発汗抑制具10を示す正面図である。図5を参照して、刺激部材2が胸保護部3側における肩紐部5の内側、すなわち人体側に設けられていることにより、女性は一般的なブラジャを装着するように発汗抑制具10を装着すると、肩紐部5に設けられた刺激部材2が領域R内における前面部のツボの位置で維持される。従って、刺激部材2が前面部のツボを押圧して刺激するため、効果的に発汗を抑制させることができる。
【0021】
なお、この実施形態における刺激部材2の形状を、図4を用いて説明したが、これに限ることはなく、刺激部材は突起部を有していればよく、突起部の形状や突起部の数は任意である。以下、図6〜図8を用いて刺激部材の例をいくつか説明する。
【0022】
図6は発汗抑制具に設けられる刺激部材20を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIB−VIBにおける矢視図であり、(C)は(A)のVIC−VICにおける矢視図である。図6を参照して、刺激部材20は、側面から見た形状(図6(B)参照)および正面から見た形状(図6(C)参照)が略台形の形状である突起部22を基台21上に有し、突起部22が人体の表面に対して面で接触するようにして前面部のツボを刺激する。
【0023】
図7は発汗抑制具に設けられる刺激部材23を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIIB−VIIBにおける矢視図であり、(C)は(A)のVIIC−VIICにおける矢視図である。図7を参照して、刺激部材23は、側面から見た形状(図7(B)参照)および正面から見た形状(図7(C)参照)からもわかるように先端部が尖っている突起部25を基台24上に有し、突起部25が人体の表面に対して点で接触するようにして前面部のツボを刺激する。このとき、突起部25は人体に接しても傷つけることのない素材であるのが好ましい。
【0024】
図8は発汗抑制具に設けられる刺激部材26を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のVIIIB−VIIIBにおける矢視図である。図8を参照して、刺激部材26は、正面から見た形状(図8(B)参照)が略三角形である突起部28を基台27上に有し、突起部28が人体の表面に対して線で接触するようにして前面部のツボを刺激する。
【0025】
なお、刺激部材は、突起部が前面部のツボに対して、面、線、または点で接触するような形状を有するものであればよい。また、刺激部材の突起部が前面部のツボに対して、面、線または点で接触する形状を複合的に有する形状でもよい。
【0026】
なお、この実施形態においては、刺激部材2を胸保護部3側における肩紐部5の内側の位置で維持する場合について説明したが、これに限ることなく、領域R内で刺激部材2の位置が維持されれば、ブラジャ部材1において肩紐部5ではない他の部分であってもよい。たとえば、胸保護部3を位置維持手段としてもよい。また、肩紐部5と胸保護部3とが接続する部分の近傍における肩紐部5の幅は広い方がよい。具体的には、肩紐部5の幅が約15mm以上であるのが好ましい。刺激部材2を固定する範囲が広くなるため、より領域Rにおける個人差への適用能力が向上するからである。また、より大きい刺激部材2を設けることが可能となるからである。
【0027】
次に、この実施形態の変形例について説明する。図9はこの変形例における発汗抑制具30を示す概略図である。(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。なお、発汗抑制具30は、上記の実施形態で説明した発汗抑制具10と基本構成が同様のため、相違点について以下に説明する。
【0028】
図9(A)および(B)を参照して、発汗抑制具30における肩紐部34は、背後部分が幅広な形状を有し、背面において胸回り紐部33と一体的に構成されている。すなわち、発汗抑制具30はタンクトップのような形状を有する。発汗抑制具30は、装着する人の背後部分における下端部の中央に設けられたホック36を有し、これにより、発汗抑制具30が上半身に対してずれないよう留められる。また、刺激部材35は、上記で説明した図6に示される刺激部材20と同様のものが用いられ、胸保護部32側の各肩紐部34の内側に設けられている。従って、上記した前面部のツボが存在する領域R内に位置するように、刺激部材35の位置が維持される。
【0029】
この変形例によれば、肩紐部34の内側に設けられた刺激部材35が上半身の前面部におけるツボの位置で維持されるため、押圧により前面部のツボを刺激して効果的に発汗を抑制させることができる。また、タンクトップのような形状を有していることより、発汗抑制具30が上半身に対して安定して維持されるため、結果として、刺激部材35の位置がずれることなく確実に前面部のツボを刺激することができる。
【0030】
なお、この変形例において、発汗抑制具30は背後部分に設けられたホック36により留められる場合について説明したが、背後部分の略全面が一体的に構成される、いわゆるタンクトップと略同様の形状にして、発汗抑制具30を頭からかぶって装着するような構成にしてもよい。こうすることにより、ホック36を留める手間がかからない。
【0031】
次に、この実施形態の他の変形例について説明する。図10は、この変形例における、いわゆるビュスチェのような形状を有する発汗抑制具40を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
【0032】
図10(A)および(B)を参照して、発汗抑制具40は、左右の両胸保護部41と、発汗抑制具40を装着する人の鎖骨よりやや下辺りまでを含む上半身の前面部を略全範囲で覆い、さらに腰から両脇の下までの範囲を覆いながら背面に延在して、背後においてホック42により留められる衣服部43と、前面部のツボがある位置における衣服部43の内側(人体側)であって、下部としては左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から、上部としては鎖骨よりやや下辺りの衣服部43が延在する位置までの範囲を覆うように設けられ、人体側に突起部を有する略扇状の刺激部材29と、を含む。
【0033】
ここで説明する発汗抑制具40においては、下部としては衣服部43における左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から、上部としては鎖骨よりやや下辺りの位置までを覆う範囲にある衣服部43の一部分を利用して刺激部材29の位置を維持する。
【0034】
この変形例によれば、左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から、鎖骨よりやや下辺りの位置までを覆う範囲に刺激部材29を設けることにより、前面部のツボの位置で刺激部材29が維持されるため、ブラジャ部材の肩紐部によってかかる肩への負担がないうえに、効果的に発汗を抑制させることができる。
【0035】
なお、この変形例においては、左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から鎖骨よりやや下辺りの位置までを覆う範囲に刺激部材29を設ける場合について説明したが、これに限ることなく、前面部のツボが存在する位置(たとえば、左右の両胸保護部41の両上端部に沿う位置から鎖骨よりやや下辺りの位置までを覆う範囲内)において部分的に刺激部材を設けるようにしてもよい。
【0036】
次に、この実施形態のさらに他の変形例について説明する。この変形例においては、ブラジャ部材と接続される帯状部材に刺激部材を固定してなる発汗抑制具について説明する。図11はこの変形例における発汗抑制具60を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。図11(A)および(B)を参照して、発汗抑制具60は、上記で説明したブラジャ部材61と、ブラジャ部材61の背面側(ここでは、両肩紐部62と胸回り紐部63との接続部分64aおよび接続部分64bの近傍)において接続され、接続部分64aと接続部分64bとを繋いで前面部のツボの存在する位置(領域R)上を通るように設けられる、帯状の固定ベルト65と、固定ベルト65において発汗抑制具60の装着者の前面部のツボが存在する位置に設けられ、上記の実施形態で説明した、人体側に突起部を有する2つの刺激部材52と、を含む。なお、刺激部材52は、固定ベルト65により、前面部のツボの存在する位置で維持される。また、刺激部材52は、縫いつけや面ファスナなどの公知の手段を用いて、固定ベルト65上の任意の位置で固定が可能に構成されている。
【0037】
ここで、固定ベルト65について説明する。図11(C)は、図11(B)において丸で囲んだ部分XICの拡大図である。図11(A)〜(C)を参照して、固定ベルト65は、一方端側がブラジャ部材61の接続部分64bの近傍に接続され、他方端側の先端部のループ部67により環状の第1調整部材66aを保持する第1ベルト部62aと、一方端側がブラジャ部材61の接続部分64aの近傍に接続され、他方端側が先端部を第1調整部材66aの環を通して折り返し第2調整部材66bで固定する第2ベルト62bと、を含む。この構成により、第2調整部材66bと接続部分64aとの間の長さを調整することで、無段階で固定ベルト65の長さを調整することができる。従って、前面部のツボが存在する位置における個人差や、胸囲における個人差などへの適用能力が向上する。また、固定ベルト65の長さを長くすることで刺激部材52の押圧する力を弱めたり、固定ベルト65の長さを短くすることで刺激部材52の押圧する力を強めたりすることができる。なお、このとき、第1調整部材66a、第2調整部材66b、および第1調整部材66aと第2調整部材66bとの間にある第2ベルト部62bの折り返し部分は、固定ベルト65の長さを無段階で調整する調整部66として作用する。
【0038】
再び図11(A)および(B)を参照して、この変形例によれば、固定ベルト65における前面部のツボの位置で刺激部材52を維持するため、たとえば、両肩紐部62よりも人体の中心側においても、押圧により前面部のツボを刺激して効果的に発汗を抑制させることができる。
【0039】
なお、この変形例において説明した調整部66に限ることなく、その他の公知の調整手段を用いてもよい。たとえば、固定ベルト65に面ファスナを設けて、固定ベルト65の長さを調整してもよい。
【0040】
なお、この変形例における発汗抑制具60は調整部66を有する場合について、調整部66を有さなくてもよい。
【0041】
なお、この変形例においては、刺激部材52が2つの場合について説明したが、これに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0042】
次に、この実施形態のさらに他の変形例について説明する。この変形例においては、ブラジャ部材と接続される帯状部材に刺激部材を固定してなる発汗抑制具の他の例について説明する。図12は、この実施形態における他の変形例を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。図12(A)および(B)を参照して、発汗抑制具70は、ブラジャ部材71(肩紐部72および胸保護部73を含む)と、ブラジャ部材71の前面側(ここでは、左右の各肩紐部72と胸保護部73との接続部分74aおよび接続部分74bの近傍)において接続され、接続部分74aおよび接続部分74bのそれぞれから延在して喉元辺りで結合し、首回りを1周して首の後ろで結ばれることで固定される帯状のホールターネックベルト部75と、接続部分74aおよび接続部分74bとホールターネックベルト部75の喉元辺りにおける結合部分75aとの間であって、装着者の前面部のツボが存在する位置において各々1つずつ設けられた、上記の実施形態で説明した、人体側に突起部を有する刺激部材77と、を含む。このとき、刺激部材77の位置は、ホールターネックベルト部75により、前面部のツボのある位置で維持される。また、刺激部材77は、縫いつけや面ファスナなどの公知の手段を用いて、ホールターネックベルト部75の任意の位置で固定が可能に構成されている。
【0043】
この変形例によれば、ブラジャ部材71の前面に接続されたホールターネックベルト部75に刺激部材77を固定することにより、前面部のツボの位置で刺激部材77が維持されるため、押圧により前面部のツボを刺激して効果的に発汗を抑制することができるとともに、刺激部材77を結合部分75a、接続部分74aおよび接続部分74bの3点からなる三角形の辺上に固定するため、刺激部材77の位置のずれを低減させることができる。
【0044】
次に、この実施形態のさらに他の変形例について説明する。これまでに説明した発汗抑制具はすべて、女性の下着(ブラジャ型やビュスチェ型など)と略同様の形状を有する場合について説明したが、この変形例においては、その他の上半身に着用される衣服と略同様の形状をする発汗抑制具について説明する。図13はいわゆるティーシャツの形状を有するものを位置維持手段としたティーシャツ型の発汗抑制具を示す正面図である。図13中において、一点鎖線は前面部のツボの存在する位置(領域R)を示し、斜線部は刺激部材が設けられている位置を示し、破線は発汗抑制具を装着した人の上半身を仮想的に示している。図13を参照して、このティーシャツ型の発汗抑制具80は、一般的なティーシャツと略同様の形状を有するティーシャツ部材81と、ティーシャツ部材81の前身頃の内側(すなわち、人体側)であり、前面部のツボが存在する位置に設けられ、図4で示される刺激部材2における基台および突起部と同様の構成を有し、さらに前面部のツボの存在する位置を略全範囲で覆う大きさ(面積)を有する、人体側に突起部が設けられた刺激部材82と、を含む。このとき、刺激部材82の位置は、ティーシャツ部材81により前面部のツボのある位置で維持される。
【0045】
この変形例によれば、男女のいずれにおいても発汗抑制具80を使用することができるようになる。
【0046】
なお、上記の変形例において、位置維持手段はティーシャツの形状を有する場合について説明したが、これに限ることなく、シャツ、ランニングシャツ、トレーナなど、上半身における任意の衣服と略同様の形状を有するものでもよい。
【0047】
次に、この実施形態のさらに他の変形例について説明する。この変形例においては、刺激部材を前面部のツボの位置で維持するように帯状部材を胸の周りに巻きつける場合について説明する。図14は、胸の周りに巻きつけられる帯状部材を位置維持手段とした細帯型の発汗抑制具90を示す正面図である。図14中における一点鎖線、斜線部、および破線は、図13と同様のものを示す。この細帯型の発汗抑制具90は、胸の周りに巻きつけられる細帯91と、細帯91の前面部の内側(人体側)であり、前面部のツボが存在する位置に設けられ、図4で示される刺激部材2における基台および突起部と同様の構成を有し、さらに前面部のツボの存在する位置(領域R)を略全範囲で覆う大きさ(面積)を有する、人体側に突起部が設けられた刺激部材92と、を含む。また、刺激部材92の位置は、細帯91により、前面部のツボのある位置で維持されている。
【0048】
この変形例によれば、前面部のツボのある位置を通る細帯91で刺激部材92を維持することにより、細帯91の幅に基づいた広い範囲で前面部のツボを刺激するため、より効果的に発汗を抑制することが可能となる。なお、この細帯91は、弾性素材であるのが好ましい。また、細帯91は、細帯91の長さを無段階で調整できる調整部を設けてもよい。
【0049】
また、上記細帯型の発汗抑制具90の他の変形例について説明する。この変形例においては、前面部のツボを部分的に刺激する場合について説明する。図15はこの変形例における細帯型の発汗抑制具100を示す概略図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)において丸で囲んだ部分XVBの拡大図である。図15(A)および(B)を参照して、発汗抑制具100は、前面部のツボが存在する位置上を通るように胸の周りに巻きつけられる細帯101と、細帯101において発汗抑制具100の装着者の前面部のツボが存在する位置に設けられる、図11で説明した発汗抑制具60に設けられた刺激部材と同様の2つの刺激部材102と、を含む。刺激部材102の位置は、細帯101に縫いつけや面ファスナなどの公知の手段により固定されることで維持されている。また、この細帯101は、細帯101のいずれかの位置において設けられ、人体に巻きつけられる細帯101の長さを無段階で調整させる、図11を用いて説明した調整部66を含む。
【0050】
この変形例によれば、細帯101が通る所望の位置において部分的に刺激部材102を維持するため、発汗抑制具100の装着者の所望する部分に刺激を与えることができるとともに、発汗抑制具100としての構成を小さくすることができる。なお、刺激部材102は、2つに限らず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、細帯101は、弾性素材で構成されているのが好ましい。
【0051】
なお、この変形例において、位置維持手段に帯状の細帯101を用いる場合について説明したが、これに限ることなく、断面形状が略円形状をなす紐状部材を用いてもよい。この場合、刺激部材は紐状部材に位置を維持させるために、紐状部材を貫通させる貫通孔を有するようにする。こうすることにより、紐状部材であれば、細帯のようにねじれることがなくなる。また、さらに、刺激部材は貫通孔と同一の方向に延在する円柱形状を有するようにしてもよい。こうすることにより、たとえば、円柱形状の刺激部材の側面部分の全面に、人体に面で接触、線で接触、点で接触するような突起部を不規則に設けた場合、刺激部材が紐状部材を中心に回転して、前面部のツボに対して様々な種類の刺激を与えることができるため、より効果的に発汗を刺激することができる。なお、刺激部材の側面部分において、突起部を全面に設けるのではなく、一部に設けてもよい。また、突起部の形状も任意である。また、刺激部材の形状は円柱形状に限ることなく多角柱でもよい。
【0052】
なお、第1の実施形態においては、基台および突起部がシリコンゴムである場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、他の可撓性の素材でもよいし、プラスチック製、金属製などの硬質性の素材でもよい。また、基台と突起部とは同一の素材でなくてもよい。
【0053】
なお、第1の実施形態において、刺激部材は突起部を基台上に有する場合について説明したが、これに限ることなく、基台を有さずに位置維持手段に直接突起部を形成させて刺激部材としてもよい。たとえば、ブラジャ部材の肩紐部の内側部分に直接突起部を設けてもよい。
【0054】
なお、第1の実施形態における刺激部材は、各発汗抑制具の位置維持手段に固定される場合について説明したが、これに限ることなく、刺激部材は位置維持手段に対して脱着自在であってもよい。たとえば、図2に示される発汗抑制具10においては、肩紐部5と刺激部材2とを両面テープにより固定する。こうすることにより、貼りつけた両面テープをはがして発汗抑制具10の装着者の所望の位置に刺激部材2を貼り直すことができる。また、装着者の体形が変化した場合でも、体形の変化に応じて刺激部材2の位置を変更させることができる。その他の刺激部材を脱着自在にする手段については、たとえば、位置維持手段および刺激部材の両者間において面ファスナを設けてもよいし、位置維持手段に縫いつけで刺激部材を設けてもよい。なお、発汗抑制具10以外の発汗抑制具についても同様である。
【0055】
(2)第2の実施形態
次に、第2の実施形態について説明する。この実施形態においては、刺激部材が人体の上半身に着用される市販の衣服に脱着可能に構成され、衣服の前面部のみにおける所定の位置に設けられて、発汗を抑制するツボを刺激する場合について説明する。図16はこの実施形態における刺激部材が市販のブラジャ51に取り付けられた状態を示す概略図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。図16(A)および(B)を参照して、刺激部材58は人体側に突起部を有するように脱着可能に構成され、市販のブラジャ51の胸保護部側の肩紐51aに取り付けられている。このとき、刺激部材58は前面部のツボが存在する位置に合わせて取り付けられている。
【0056】
ここで刺激部材58について説明する。図17は刺激部材58を示す概略図である。(A)は斜視図であり、(B)は(A)のXVIIB−XVIIBにおける矢視図である。図17(A)および(B)を参照して、刺激部材58は、両者が同一の大きさを有する2層構造であり、プラスチックなどの硬質の素材からなる略矩形状の第1基台53および第2基台54と、第1基台53において第2基台54とは異なる側の面に設けられ、シリコンゴムからなる略半球体の形状を有する複数の突起部55と、を含む。図17(C)は、第1基台53および第2基台54における接続の関係を示す概略斜視図である。また、図17(C)中の破線は、帯状のもの(ここでは、市販のブラジャの肩紐51aとする)が第2基台54上に載置されている状態を示す。図17(C)を参照して、第1基台53および第2基台54は、一方側の長辺56で接続されている。これにより、図17(C)中の矢印が示すように、第1基台53および第2基台54は、一方側の長辺56を中心として開閉可能である。また、第1基台53および第2基台54は、閉じられることにより、載置されたブラジャの肩紐51aを挟み込んだ状態で固定される。ここでの固定には、面ファスナが用いられる。面ファスナは、第1基台53および第2基台54において対向する両面の全面に設けられ、第1基台53および第2基台54が閉じられることにより接着する。従って、ブラジャの肩紐51aが載置されている場合、肩紐51aが載置されている部分とは異なる部分(すなわち、第1基台53および第2基台54に設けられた面ファスナが直接接触する部分)において接着するため、肩紐51aを挟み込んだ状態で第1基台53および第2基台54が固定される。すなわち、刺激部材58はブラジャの肩紐51aに固着する。一方、第1基台53および第2基台54が開かれることにより、面ファスナの接着が解除され、刺激部材58は肩紐51aから外れる。このようにして、刺激部材58は帯状のものに脱着する。なお、この場合、第1基台53および第2基台54の幅(短辺の長さ)は、肩紐51aの幅より広い。
【0057】
再び図16(A)および(B)を参照して、この実施形態によれば、刺激部材58が市販のブラジャ51に脱着可能であることにより、発汗を抑制したいときに刺激部材58を市販のブラジャに51に取り付けることで、効果的に発汗を抑制させることができる。
【0058】
なお、この実施形態において、第1基台53および第2基台54の接続は、一方側の長辺56で接続されている場合について説明したが、これに限ることなく、短辺側でもよい。
【0059】
なお、この実施形態において、刺激部材58を肩紐51a(帯状のもの)に固定する手段は面ファスナである場合について説明したが、これに限ることなく、その他の公知の手段で刺激部材58を固定してもよい。たとえば、磁石を用いて、磁石による引力で刺激部材58を固定するようにしてもよい。
【0060】
なお、この実施形態においては、刺激部材58を肩紐51aに固定する場合について説明したが、これに限ることなく、前面部のツボのある領域内で刺激部材58の位置が維持されれば、肩紐部51aではないその他の部分に刺激部材58を固定してもよい。また、市販のブラジャに限ることなく、ティーシャツ、タンクトップ、シャツ、トレーナなど、上半身における任意の衣服に着脱して固定するようにしてもよい。
【0061】
なお、この実施形態においては、上記したような刺激部材を用いる場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、第1の実施形態で説明した刺激部材が、市販の衣服の前面部のツボの位置で維持されるように脱着し得る構成を有するようにしてもよい。
【0062】
なお、第1および第2の実施形態において、基台を有する刺激部材の基台の形状は略矩形状である場合について説明したが、これに限ることなく、他の多角形状でもよいし、円形状でもよい。
【0063】
なお、この実施形態においては、突起部がシリコンゴムである場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、他の可撓性の素材でもよいし、プラスチック製、金属製などの硬質性の素材でもよい。また、基台と突起部とは同一の素材でなくてもよい。
【0064】
なお、第1および第2の実施形態において、発汗抑制具を装着した場合および市販の衣服に刺激部材を取り付けた場合の刺激部材の押圧力を向上させるために、さらに別に用意した帯状のものを、装着された発汗抑制具の刺激部材および市販の衣服に取り付けられた刺激部材の上から抑えるように人体に巻きつけてもよい。こうすることにより、より効果的に発汗を抑制することができる。
【0065】
なお、第1および第2の実施形態において、刺激部材は押圧の力を利用して前面部のツボを刺激する刺激部材(押圧刺激部材)を用いる場合について説明したが、これに限ることなく、磁石などの磁気を用いて前面部のツボを刺激するもの(磁気刺激部材)でもよい。
【0066】
なお、第1および第2の実施形態においては、人体に刺激部材を直に接触させる場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、発汗抑制具の内側に下着を1枚着たり、刺激部材が人体に直接あたる部分に当て布をひいたりするなどして、人体と刺激部材とを間接的に接触させるようにしてもよい。
【0067】
なお、第1および第2の実施形態において説明した発汗抑制具または刺激部材と、特許文献1や特許文献2が開示するような体側部のツボを押圧する押圧体とを併用するようにしてもよい。こうすることにより、より効果的に発汗を抑制することができる。
【0068】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1,31,51,61,71 ブラジャ部材、2,20,23,26,29,35,52,58,77,82,92,102 刺激部材、11,21,24,27 基台、12,22,25,28,55 突起部、3,32,41,73, 胸保護部、4,33,63 胸回り紐部、5,34,51a,62,72 肩紐部、6,36,42 ホック、10,30,40,60,70,80,90,100 発汗抑制具、43 衣服部、53 第1基台、54 第2基台、56 一方側の長辺、62a 第1ベルト部、62b 第2ベルト部、64a,64b,74a,74b 接続部分、65 固定ベルト、66 調整部、66a 第1調整部材、66b 第2調整部材、67 ループ部、75 ホールターネックベルト部、81 ティーシャツ部材、91,101 細帯。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発汗を抑制するツボを刺激する刺激部材と、
人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置に前記刺激部材を維持する位置維持手段と、を含む、発汗抑制具。
【請求項2】
前記位置維持手段は、上半身に着用される衣服と略同様の形状を有する、請求項1に記載の発汗抑制具。
【請求項3】
前記位置維持手段は、帯状部材である、請求項1に記載の発汗抑制具。
【請求項4】
前記刺激部材は、前記位置維持手段に脱着自在である、請求項1〜3のいずれかに記載の発汗抑制具。
【請求項5】
人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置に設けられ、発汗を抑制するツボを刺激する刺激部材。
【請求項1】
発汗を抑制するツボを刺激する刺激部材と、
人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置に前記刺激部材を維持する位置維持手段と、を含む、発汗抑制具。
【請求項2】
前記位置維持手段は、上半身に着用される衣服と略同様の形状を有する、請求項1に記載の発汗抑制具。
【請求項3】
前記位置維持手段は、帯状部材である、請求項1に記載の発汗抑制具。
【請求項4】
前記刺激部材は、前記位置維持手段に脱着自在である、請求項1〜3のいずれかに記載の発汗抑制具。
【請求項5】
人体の上半身の前面部のみにおける所定の位置に設けられ、発汗を抑制するツボを刺激する刺激部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−24241(P2012−24241A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164741(P2010−164741)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(510200576)株式会社BiVaホールディングス (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(510200576)株式会社BiVaホールディングス (2)
【Fターム(参考)】
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