説明

発泡樹脂シート巻取体

【課題】芯材を巻回体から容易に抜き出すことができる発泡樹脂シート巻取体を提供する。
【解決手段】発泡樹脂シート巻取体1は、芯材2と、該芯材2に巻き取られたウレタンフォームシートなどの発泡樹脂シートの巻回体3とを有している。芯材2の外周面は摺動性を有した被覆材4によって被覆されている。被覆材4は、シート状のフィルムを芯材2の外周に巻き付けたものであってもよく、予め筒状にしておき、この中に芯材2を挿入するようにした外嵌めタイプのものであってもよい。被覆材4と芯材2との摩擦係数が被覆材4と発泡樹脂シートとの摩擦係数よりも小さいか、又は、被覆材4と発泡樹脂シートとの摩擦係数が被覆材4と芯材2との摩擦係数よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡樹脂シート巻取体に係り、特にウレタンフォームのシートの巻取体として好適な発泡樹脂シート巻取体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタンフォームのシートの形態の1つとして、ウレタンフォームを紙管などの芯材に巻き取って巻取体としたものがある(例えば実開平4−9840)。
【0003】
このようなウレタンフォーム巻取体から紙管を抜き取って裁断し、さらに細いロールを作成することがある。また、ウレタンフォーム巻取体を真空チャンバーに入れて使用する場合、紙管から水分が蒸発してチャンバー内の真空度を下げてしまうことを防止するために、ウレタンフォーム巻取体から紙管を抜き取ってからチャンバーに入れることがある。
【特許文献1】実開平4−9840
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウレタンフォームを紙管に巻き取る場合、ウレタンフォームに所定のテンションをかけるため、ウレタンフォームは若干ながら紙管を締め付けるようにして巻き取られている。そのため、ウレタンフォーム巻取体から紙管を抜き取る場合、ウレタンフォームシートと紙管との摩擦抵抗が大きく、紙管の抜き取り作業に手間及び労力がかかる。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、芯材を巻回体から容易に抜き出すことができる発泡樹脂シート巻取体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発泡樹脂シート巻取体は、芯材と、該芯材に巻き取られて巻回体とされた発泡樹脂シートとを有する発泡樹脂シート巻取体において、該芯材の外周面が摺動性の被覆材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発泡樹脂シート巻取体は、請求項1において、前記被覆材と発泡樹脂シートとの摩擦係数は、芯材と発泡樹脂シートとの摩擦係数よりも小さいことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発泡樹脂シート巻取体は、請求項1において、前記被覆材と芯材との摩擦係数は、芯材と発泡樹脂シートとの摩擦係数よりも小さいことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の発泡樹脂シート巻取体は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記被覆材は合成樹脂フィルムよりなることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の発泡樹脂シート巻取体は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記被覆材は筒状であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6の発泡樹脂シート巻取体は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記発泡樹脂シートはウレタンフォームのシートであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発泡樹脂シート巻取体にあっては、芯材と発泡樹脂シート巻回体との間に摺動性の被覆材が介在している。そのため、芯材を巻回体から容易に抜き取ることができる。なお、本発明では、被覆材と芯材との間が高摺動性であってもよく、被覆材と巻回体との間が高摺動性であってもよい。
【0013】
被覆材は合成樹脂フィルムよりなることが好ましい。被覆材は、芯材に巻き付けられてもよく、筒状のものを芯材に外嵌させるようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0015】
第1図(a)は実施の形態に係る発泡樹脂シート巻取体の斜視図、第1図(b)は第1図(a)のB−B線に沿う断面図、第1図(c)は第1図(a)のC−C線に沿う拡大断面図である。
【0016】
この発泡樹脂シート巻取体1は、円筒状の芯材2と、該芯材2に巻き取られたウレタンフォームシートなどの発泡樹脂シートの巻回体3とを有している。芯材2の外周面は摺動性を有した被覆材4によって被覆されている。
【0017】
この実施の形態では、被覆材4はポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの合成樹脂フィルムよりなる。被覆材4は、シート状のフィルムを芯材2の外周に巻き付けたものであってもよく、予め筒状にしておき、この中に芯材2を挿入するようにした外嵌めタイプのものであってもよい。合成樹脂フィルムの厚さは5〜50μm程度であればよいが、これに限定されない。
【0018】
芯材2は、合成樹脂(例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン)、紙などよりなる。被覆材4と芯材2との摩擦係数が被覆材4と発泡樹脂シートとの摩擦係数よりも小さくてもよく、被覆材4と発泡樹脂シートとの摩擦係数が被覆材4と芯材2との摩擦係数よりも小さくてもよい。
【0019】
前者のように被覆材4と芯材2との間が滑り易い場合、芯材2を抜き出す場合、被覆材4が巻回体3内に残るようになる。逆に、後者のように被覆材4と巻回体3との間が滑り易い場合、芯材2を抜き出すときに被覆材4が芯材2と共に巻回体から引き出されるようになる。いずれの場合でも、被覆材4を芯材2と巻回体3との間に介在させたことにより、芯材2を容易に抜き出すことができる。
【0020】
芯材2を巻回体3から抜き出した後に被覆材4が巻回体3内に残る場合、被覆材4を巻回体3から取り出してもよい。また、被覆材4が巻回体3内に残っている場合、芯材2を再度巻回体3内に挿入することも容易に行うことができる。
【0021】
なお、発泡樹脂シートがウレタンフォームシートである場合の寸法等の一例を説明すると、ウレタンフォームシートの厚さは0.5〜15mm程度、芯材2の長手方向の長さは500〜1500mm程度、芯材2の直径は25〜100mm程度である。また、ウレタンフォームは密度が10〜50kg/m程度の軟質ポリウレタンフォームよりなり、芯材2の周囲に10〜300層程度巻き付けられている。ただし、これらの寸法等は一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は実施の形態に係る発泡樹脂シート巻取体の斜視図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図、(c)は(a)のC−C線に沿う拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 発泡樹脂シート巻取体
2 芯材
3 巻回体
4 被覆材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、該芯材に巻き取られて巻回体とされた発泡樹脂シートとを有する発泡樹脂シート巻取体において、
該芯材の外周面が摺動性の被覆材で被覆されていることを特徴とする発泡樹脂シート巻取体。
【請求項2】
請求項1において、前記被覆材と発泡樹脂シートとの摩擦係数は、芯材と発泡樹脂シートとの摩擦係数よりも小さいことを特徴とする発泡樹脂シート巻取体。
【請求項3】
請求項1において、前記被覆材と芯材との摩擦係数は、芯材と発泡樹脂シートとの摩擦係数よりも小さいことを特徴とする発泡樹脂シート巻取体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記被覆材は合成樹脂フィルムよりなることを特徴とする発泡樹脂シート巻取体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記被覆材は筒状であることを特徴とする発泡樹脂シート巻取体。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記発泡樹脂シートはウレタンフォームのシートであることを特徴とする発泡樹脂シート巻取体。

【図1】
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