説明

発熱具

【課題】使用者の皮膚温度を低下させることなく、温感及び清涼感を同時に付与することが可能な発熱具を提供すること。
【解決手段】被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む発熱部が収容体内に収容されてなる発熱具1において、皮膚に清涼感を付与する冷感剤とそれを溶解する溶解剤が、発熱部に含有されている。冷感剤はl−メントール若しくはdl−メントール又はそれらの誘導体からなることが好ましい。溶解剤が、25℃で液状物質の多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上であることも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に適用して温感を付与する発熱具に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は先に、被酸化性金属及び電解質水溶液を含有させてなり、かつ空気との接触により発熱可能な発熱シートと、少なくとも一部が通気性を有しかつ該発熱シートを収容する収容体とを備え、該収容体を通じて温熱スチームが外部に放出される湿熱シートを提案した(特許文献1参照)。この湿熱シートを人体に装着させると、適用部位の表面温度のみならず、人体の深部温度を高めることができるので、全身の血流量が増加し、適用部位の温度が上昇するのみならず、指先などの末梢温度も上昇するという利点がある。しかしこの湿熱シートは、人体の装着した箇所の皮膚温を40度前後に高めるものなので、暑熱感があり夏場の使用が控えられることがある。
【0003】
この湿熱シートとは別に本出願人は、金属粉、塩類及び水からなり、金属粉の酸化に伴って水蒸気を放出する水蒸気発生組成物を有する水蒸気発生体を提案した(特許文献2参照)。この水蒸気発生組成物中には化粧料成分又は薬剤成分を分散させてある。この水蒸気発生体によれば、温熱水蒸気とともに化粧料成分又は薬剤成分を持続的に供給できる。化粧料成分や薬剤成分としては、精油類、メントール等の香り成分、植物エキス類等が用いられる。しかし、この水蒸気発生体は、化粧料成分や薬剤成分を、皮膚や粘膜上で高濃度になることを防止しつつ、持続的に供給することを目的としており、皮膚の温度を高めることで温熱効果を与えることを目的とするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−199051号公報
【特許文献2】特開2001−187727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、人体に適用して温熱効果を付与する、暑熱感が緩和された発熱具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被酸化性金属反応促進剤、電解質及び水を含む発熱部が収容体内に収容されてなる発熱具において、
皮膚に清涼感を付与する冷感剤とそれを溶解する溶解剤が、前記発熱部に含有されている発熱具を提供するものである。
【0007】
また本発明は、前記の発熱具の製造方法であって、
被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む混合物に、皮膚に清涼感を付与する冷感剤を溶解剤に溶解した溶液を添加して発熱部を得る発熱具の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発熱具によれば、使用者は清涼感を知覚しているにもかかわらず、皮膚温度を低下させることなく、温熱を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の発熱具の一実施形態としての蒸気温熱具を示す平面図である。
【図2】図2(a)及び(b)はそれぞれ、図1に示す蒸気温熱具の使用状態を示す説明図である。
【図3】図3は、図1に示す蒸気温熱具の分解斜視図である。
【図4】図4は、接合手段による2枚の伸縮性シートの接合部位と、発熱体との位置関係を示す平面図である。
【図5】図5(a)は、図4におけるVa−Va線断面図であり、図5(b)は、図4におけるVb−Vb断面図である。
【図6】図6は、図1に示す蒸気温熱具における発熱体を示す一部破断斜視図である。
【図7】図7は、実施例1及び比較例1で得られた発熱具を被験者に貼付したときの皮膚温の経時変化を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例及び比較例で行ったメントール放出量の測定方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は本発明の発熱具の一実施形態としての蒸気温熱具を示す平面図である。本実施形態の蒸気温熱具1は、大別して袋体10と発熱体20とから構成されており、図1では2つの蒸気温熱具が連結している。発熱体20は袋体10内に収容されている。本実施形態の蒸気温熱具1は、図2(a)に示すように2つを連結した状態で、又は図2(b)に示すように2つを切り離して別々に着用者の身体に直接貼り付けて使用される。蒸気温熱具1は、それに含まれる発熱部から発生した所定温度に加熱された水蒸気を、着用者の身体に適用し、着用者の生理機能を改善するために用いられるものである。
【0011】
本実施形態の蒸気温熱具1においては、2つの蒸気温熱具1が連結した状態になっており、それらが連結した位置には発熱体20が存在していないので、当該位置を折り曲げ線として容易に二つ折りすることができる。つまり、当該位置で内外のいずれにも容易に折り曲げ可能である。したがって蒸気温熱具1を肘や膝などの関節の内側・外側を問わずに取り付けることができる。この利点を一層効果的なものとするために、袋体10における縦中心線Lに沿って直線状の切れ込み(スリット)15(図1参照)や、ミシン目(図示せず)を設けることが好ましい。切れ込み15やミシン目によって、2つの発熱体20の間が容易に離間するので、関節の屈伸に蒸気温熱具1が円滑に追従するようになる。本実施形態の蒸気温熱具1は、ねじれの動作に対する追従性が特に良好であるという利点を有する。直線状の切れ込み15は、複数の短い切れ込みを連続した列として付与したり、連続した切れ込みの列を複数列設けたりした形態であってもよい。また、1若しくは2以上の菱形、矩形又は楕円状等の細長い穴の形態であってもよい。
【0012】
図3には図1の蒸気温熱具の分解斜視図が示されている。袋体10は、着用者の肌に近い側に位置する第1の伸縮性シート11と、着用者の肌から遠い側に位置する第2の伸縮性シート12を有している。2枚の伸縮性シート11,12は同形であり、長軸及び短軸を有する略矩形となっている。2枚の伸縮性シート11,12はそれらを重ね合わせ、それらの周縁部を接合手段13によって接合することで、内部に空間を有する袋体10となされる。袋体10は伸縮性を有するものである。接合手段13としては、例えばホットメルト粘着剤等の各種接着剤、ヒートシール、超音波シール等が用いられる。図3において符号13で示されるドット状の領域は、2枚の伸縮性シート11,12が接合される部位を示している。
【0013】
第1及び第2の伸縮性シート11,12は少なくとも一方向に伸縮性を有する。伸縮性シート11,12が一方向にのみ伸縮性を有する場合、該方向は、略矩形の袋体10における長軸方向と一致することが好ましい。伸縮性シート11,12が互いに直交する二方向に伸縮性を有する場合、該方向は、略矩形の袋体における長軸方向及びそれに直交する短軸方向とそれぞれ一致することが好ましい。ここで、伸縮性シートとは、後述の伸長性及び伸長回復性(収縮性)のいずれか一方又は両方の性質を有するシートを包含するものである。例えば、伸縮性シート11,12の少なくとも一方が、一方向に伸長性を有するものであれば良い。伸縮性シート11,12の一方が伸長性を有し、他方が伸長性及び伸長回復性を有するものであることが好ましい。更に、別の好ましい形態としては、伸縮性シート11,12は、互いに直交する二方向に伸縮可能であり、伸長性及び伸長回復性を有することが好ましい。伸縮性シート11,12としては、通気性を有する伸縮性材料であればその種類に特に制限はないが、特に第1の伸縮性シート11は着用者の身体に直接触れるものなので、風合いの良好な材料から構成されることが好ましい。具体的にはPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリル等からなる合成繊維;セルロース、シルク、コットン、ウール等からなる天然繊維;又はそれらを複合した繊維等からなる繊維シートが挙げられ、特に弾性繊維を含むエアスルー不織布やスパンボンド不織布等が好ましい。
【0014】
発熱体20は、それに含まれる発熱部から発生した所定温度に加熱された水蒸気を、袋体10を通じて着用者の身体に適用するために用いられるものである。発熱体20は略正方形状のものである。発熱体20は、上述した袋体10における空間に収容されている。この場合、発熱体20は、その各辺が袋体10における長軸及び短軸の方向を向くように袋体10内に収容されている。
【0015】
図1に示すように、袋体10の寸法は発熱体20の寸法よりも大きく、袋体10を構成する2枚の伸縮性シート11,12は、発熱体20の周縁から外方へ延出している。本実施形態においては、略矩形の袋体10に、略正方形の発熱体20が収容されているが、袋体10及び発熱体20の形状は類似形状でもよい。また、これらは、例えば菱形、矩形状、楕円状、円形状の形状をとることもできる。
【0016】
図3に示すように、蒸気温熱具1の袋体10における第1の伸縮性シート11の面上には、蒸気温熱具1を使用者の身体に固定するための固定手段2が設けられている。固定手段2は、第1の伸縮性シート11の四辺の周縁部の全域に所定の幅をもって存在している。固定手段2としては例えば、ホットメルト粘着剤等の接着剤を用いることができる。
【0017】
図4並びに図5(a)及び(b)には、接合手段13による2枚の伸縮性シート11,12の接合部位と、発熱体20との位置関係が示されている。図4に示すように、接合手段13は、2枚の伸縮性シート11,12の四辺の周縁部の全域に所定の幅をもって存在している。発熱体20に関しては、図4及び図5(a)に示すように、その上辺部及び下辺部のみが接合手段13と重なるように配置されている。したがって発熱体20は、その上辺部及び下辺部のみが、接合手段13と接合されており、図5(b)に示すように発熱体20におけるそれ以外の部位は2枚の伸縮性シート11,12と非接合状態になっている。
【0018】
発熱体20は、袋体10の伸縮性が損なわれないような態様で袋体10の内面に固定されている。具体的には、上述の図4に示すとおり、発熱体20はその上辺部及び下辺部において袋体10に固定されている。これによって、蒸気温熱具1の持ち運びの途中や、蒸気温熱具1を着用者の身体に貼り付けている間に、袋体10の内部で発熱体20の位置ずれが起こることが防止される。したがって発熱体20は、水蒸気を施したい部位にとどまることになる。袋体10の伸縮性が損なわれない限り、袋体10と発熱体20との固定位置は、図4に示す形態に特に制限ないが、蒸気温熱具1を平面視したときに、袋体10と発熱体20とが重なった部位において、袋体10が伸縮可能になるように固定されることが、袋体10の伸びしろを大きくとることができるので好ましい。
【0019】
図6には、袋体10に収容される発熱体20を一部切り欠いた状態の斜視図が示されている。発熱体20は、発熱部21及び該発熱部21を収容する収容体22を備えている。収容体22は扁平なものであり、発熱体20の輪郭をなしている。収容体22は、複数のシート材が貼り合わされることで、発熱部21が収容される密閉空間が形成されたものである。扁平な形状を有する収容体22は、着用者の肌に近い側に位置する第1の面23、及びそれと反対側であり、使用者の肌から遠い側に位置する第2の面24を有している。
【0020】
発熱部21は被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含んでいる。発熱部21は被酸化性金属が酸素と接触することによる酸化反応で生じた熱を利用して、所定温度に加熱された水蒸気を発生する部位である。被酸化性金属としては例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム等の粉末や繊維が挙げられる。これらの中でも取り扱い性、安全性、製造コストの点から鉄粉が好ましく用いられる。被酸化性金属が粉末である場合その粒径は0.1〜300μmであることが好ましく、特に粒径が0.1〜150μmものを50重量%以上含有するものを用いることも好ましい。反応促進剤としては、水分保持剤として作用する他に、被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能も有しているものを用いることが好ましい。例えば活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ等が挙げられる。これらの中でも保水能、酸素供給能、触媒能を有する点から活性炭が好ましく用いられる。被酸化性金属と効果的に接触し得る点から、反応促進剤の粒径は0.1〜500μmであることが好ましく。特に0.1〜200μmのものを50重量%以上含有することが好ましい。
【0021】
発熱部21は、例えば発熱シート又は発熱粉体からなる。発熱部21が発熱シートからなる場合には、発熱シートは、被酸化性金属、反応促進剤、繊維状物、電解質及び水を含む、含水状態の繊維シートであることが好ましい。すなわち、発熱シートは、被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物を含有する成形シートに、電解質水溶液を含有させて構成されていることが好ましい。ここで、繊維状物としては、コットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ等の天然繊維、又は例えばレーヨン、ビスコースレーヨン、キュプラ等の半合成繊維やナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等の合成高分子繊維等を用いることができる。これら繊維状物は、その平均繊維長が好ましくは0.1〜50mm、特に0.2〜20mmであることが、発熱シートの強度確保及び繊維状物の水分散性の点から好ましい。発熱シートとしては、湿式抄造により得られたシート状物や、発熱粉体を紙等で挟持してなる積層体等が挙げられる。そのような発熱シートは、例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法や、ダイコーターを用いたエクストルージョン法を用いて製造することができる。
【0022】
一方、発熱部21が発熱粉体からなる場合には、発熱粉体は被酸化性金属、反応促進剤、保水剤、電解質及び水を含んで構成されていることが好ましい。発熱シート及び発熱粉体のうち、どのような姿勢においても水蒸気を均一に適用し得る点から、発熱シートを用いることが好ましい。また、発熱シートは、発熱粉体に比較して、発熱の温度分布を均一化することが容易であり、また、被酸化性金属の担持能力が優れている点からも有利である。
【0023】
発熱部21が発熱シートの形態である場合と発熱粉体の形態である場合とを問わず、該発熱部21には、皮膚に清涼感を付与する冷感剤とそれを溶解する溶解剤が含有されている。冷感剤は、着用者の皮膚に作用して着用者に清涼感を与えるものである。したがって本実施形態の蒸気温熱具1を使用すれば、使用者は冷涼剤由来の清涼感を知覚するが、実際には温熱により皮膚温が高くなる温かい刺激が付与されていることにより、人体への温熱効果(暖かい刺激)と清涼感を同時に着用者に与えることができる。その結果、特に夏場等の暑い時期に蒸気温熱具1を使用した場合に生じやすい暑熱感を効果的に抑制することができる。
【0024】
本発明に使用可能な冷感剤は、化粧品用・医薬用に用いられる冷感剤であり、例えば、メントール、イソプレゴール、メンチルアセテート、シネオール、ボルネオール、チモール等、またそれらの誘導体が含まれる。また、乳酸メンチル、3−l−メトキシプロパンジオール、N−エチル−3−p−メンタンカルボキシアミドや、ハッカ油、ペパーミント油などのメントールを含有した精油なども使用できる。特に、TRPM8受容体を活性化させる物質を用いることが好ましい。TRPM8受容体は感覚神経に存在する受容体であり、約25〜28℃以下の冷刺激で活性化する。TRPM8受容体は温度以外に、化学物質による刺激によっても活性化することが知られている。
【0025】
これらのうち、特にl−メントール若しくはdl−メントールが好ましく、それらの誘導体、例えばメントール等の冷感効果を保持しつつ特有のにおいを低減させるように変性されたものも好ましく使用できる。l−メントールやdl−メントールは、TRPM8受容体を活性化させるだけでなく、血行の促進作用も有しているので特に好適に用いられる。
【0026】
冷感剤は、1種又は2種以上を混合してもよく、発熱部21の重量中に好ましくは0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量%の濃度で含まれていることが、皮膚に適度な清涼感を付与し得る点から好ましい。冷感剤を発熱部21に含有させた理由は、蒸気温熱具1における他の部材に同量の冷感剤を含有させた場合に比較して、最も効果的に清涼感を付与し得るからである。つまり、低濃度でも十分な清涼感を付与し得るからである。また、経時によるメントールの消失が少なく、安定に配合できるからである。
【0027】
冷感剤を発熱部21に混合するには、冷感剤が固体、半固体及び液体のいずれであっても、それを溶解する溶解剤とともに発熱部21に添加することにより混合できる。特に、冷感剤を溶解剤中に溶解した溶液状態で発熱部21に添加することで、冷感剤を少量使用した場合であっても、冷感剤を発熱部21の全体に均一に行き渡らせることが可能となる。溶解剤は、冷感剤との相溶性や溶解性を考慮して選択することができる。冷感剤は一般に油性物質であることから、溶解剤は、油性物質の溶解が可能な物質であり、かつ身体に害のない有機溶剤であることが好ましい。更に、本発明では、発熱部21は化学反応で発熱させるものであって水を添加しているので、溶解剤は水との相溶性が良い有機溶剤であることが好ましい。水との相溶性が良い溶解剤を用いることで、発熱部中で溶解剤が均一に行き渡らせることができる。そのような有機溶剤としては、25℃で液状物質のアルコール類であって、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200やポリエチレングリコール400等のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等の多価アルコール類、またエタノール等の低級アルコールが挙げられる。これらのうち、特に25℃で液状物質の多価アルコールが多量の冷感剤を放出する点で好ましい。多価アルコールの中でも冷感に関しては特に、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。また、本発明は化学反応による発熱を伴うことから、溶解剤も使用中ににおいが少ないものであることが好ましい。これらのうち、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。
【0028】
溶解剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、冷感剤を十分に溶解させて、発熱部21の全体に均一に行き渡らせるように添加し、更に発熱特性への影響を少なくする観点から、溶解剤は発熱部21の全重量に対して好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、一層好ましくは0.5〜5重量%の濃度で用いる。また、冷感剤を十分溶解させる観点から、溶解剤と冷感剤との合計重量を100としたときに、溶解剤を好ましくは5〜99重量%、更に好ましくは10〜93重量%、一層好ましくは30〜90重量%、最も好ましくは50〜80重量%用いる。
【0029】
冷感剤を発熱部21に含有させるためには、例えば冷感剤を溶解剤に予め溶解させた溶液を準備し、発熱部21を調製した後に該溶液を添加すればよい。添加の方法としては、例えば噴霧、塗布、浸漬などの方法が挙げられる。
【0030】
冷感剤及び溶解剤は、発熱部21に含まれている被酸化性金属の酸化を若干妨げる傾向にある。このことに起因して、発熱部21の発熱特性や水蒸気発生特性が低下する懸念がある。そこで本実施形態においては、発熱部21の組成を適宜調節することで、被酸化性金属の酸化を促進させることが有利である。この観点から、発熱部21が発熱シートからなる場合、該発熱シートは60〜90重量%の被酸化性金属、5〜25重量%の反応促進剤及び5〜35重量%の繊維状物を含む成形シートに、該成形シート100重量部に対して、1〜15重量%の電解質を含む電解質水溶液が25〜80重量部含有されて構成されていることが好ましい。一方、発熱部11が発熱粉体からなる場合、該発熱粉体は、20〜60重量%、特に25〜55重量%の被酸化性金属、1.5〜25重量%、特に2〜20重量%の反応促進剤及び3〜40重量%、特に5〜20重量%の保水剤を含む固形分100重量部に対して、0.3〜15重量%、特に3〜10重量%の電解質を含む電解質水溶液が20〜70重量部、特に30〜60重量部含有されて構成されていることが好ましい。発熱シートや発熱粉体を構成する各種材料としては、通常用いられているものと同様のものを用いることができる。また、先に述べた特開2003−102761号公報に記載の材料を用いることもできる。
【0031】
発熱体20を構成する収容体22における第1の面23は空気及び水蒸気の透過が可能なように通気性を有している。一方、第2の面24は、空気及び水蒸気の透過の程度が第1の面23よりも低くなっている。すなわち第2の面24は第1の面23よりも難通気性であるか、又は非通気性である。第2の面24が難通気性であるか、それとも非通気性であるかは、蒸気温熱具1の具体的な用途に応じて適宜選択される。
【0032】
発熱体20は、その第1の面23の側が着用者の肌側に向き、第2の面14の側が衣類側(外側)に向くように使用される。発熱部21の発熱によって発生した水蒸気は、第1の面23及び袋体10を通じ、対象物である着用者の肌に付与されるようになっている。
【0033】
発熱体20における第1の面23及び第2の面24はいずれもシート材から構成されている。そして発熱体20の収容体22はその周縁に、第1の面23及び第2の面24をそれぞれ構成するシート材の周縁部を互いに接合して形成された閉じた形状の周縁接合部25を有している。周縁接合部25は連続に形成されている。収容体22は、周縁接合部25よりも内側の部分において第1の面23と第2の面24とが非接合状態になっている。それによって収容体22には、発熱部21を収容する単一の密閉空間が形成されている。図5(a)及び(b)に示すように、発熱部21は収容体22に形成されている空間のほぼ全域を占めるように収容されている。即ち収容体22内には単一の発熱部21が収容されており、かつ該発熱部21は周縁接合部25を除く収容体22のほぼ全域を占めるように収容されている。図5(a)及び(b)では発熱部21は収容体22の密閉空間に単に収容されているが、収容体22の内面の一部と発熱部21とを、発熱を妨げない範囲で接着剤等の接合手段を用いて固定しても良い。
【0034】
次に、発熱体20について説明する。発熱体20においては、第1の面23及び第2の面24の通気度を適切に調整することで、第1の面23を通じて水蒸気が優先的に放出されるように構成されている。具体的には、第2の面の通気度は、第1の面の通気度よりも大きい。ここで、通気度はJIS P8117によって測定される値であり、一定の圧力のもとで100mlの空気が6.45cm2の面積を通過する時間で定義される。したがって、通気度が大きいことは空気の通過に時間がかかること、即ち通気性が低いことを意味している。逆に、通気度が小さいことは通気性が高いことを意味している。このように、通気度の大小と通気性の高低とは逆の関係を示す。本実施形態において、第1の面23及び第2の面24の通気性を比較すると、第1面23の方が、第2の面24よりも高くなっている。すなわち、先に述べたとおり、第2の面24は非通気性であるか、又は難通気性(即ち、通気性を有するものの、第1の面23よりも低い通気性を有している)である。
【0035】
収容体22は、通気面である第1の面23と、それに対向する非通気面である第2の面24とを有する扁平な形態をしており、通気面である第1の面13を通じて蒸気温熱が発生するようになされている。あるいは、収容体22は、通気面である第1の面23と、それに対向する難通気面である第2の面24とを有する扁平な形態をしており、通気面である第1の面23を通じて蒸気温熱が発生するようになされている。第2の面24が難通気性である場合、第1の面23と第2の面24の通気度をバランスさせることで、空気は第2の面24を通じて優先的に収容体22内に流入すると共に、水蒸気は第1の面23を通じて優先的に放出される。
【0036】
第2の面24が難通気性である場合、該第2の面24を通じての空気の流入を確保しつつ、該面24を通じての水蒸気の放出を抑制させる観点から、第2の面24の通気度を、第1の面23の通気度の1.5倍以上、特に2倍以上とすることが好ましい。あるいは、第1の面23の通気度と第2の面24の通気度との比(第1の面/第2の面)を0.7以下、特に0.4以下とすることも好ましい。これによって、第2の面24を通じての水蒸気の放出を一層減じさせることができ、かつ第1の面23を通じての水蒸気の放出を一層増加させることができる。一方、第2の面24が非通気性である場合、収容体22内への空気の流入、及び水蒸気の発生は、専ら第1の面23を通じて行われる。
【0037】
本実施形態においては、上述のとおり発熱部20の発熱部21に冷感剤及びその溶解剤が含まれている。また、上述のとおり、これらの剤は、発熱部21に含まれている被酸化性金属の酸化を若干妨げる傾向にあるので、発熱部21の発熱特性や水蒸気発生特性が低下する傾向がある。そこで本実施形態においては、第1の面23の通気度を、従来の蒸気温熱具(例えば特許文献1に記載のもの)に比べて若干高くして、被酸化性金属の酸化を促進させることが有利である。この観点から、第1の面23の通気度を、好ましくは5000〜25000秒/(100ml)、更に好ましくは8000〜22000秒/(100ml)、特に10000〜20000秒/(100ml)とすることが好ましい。一方、第2の面24に関しては、これが難通気性である場合、該面24の通気度を30000秒/(100ml)以上、特に40000秒/(100ml)以上とすることが好ましい。
【0038】
発熱体20における第1の面23及び第2の面24はいずれもシート材から構成されている。通気度を支配しかつ粉体の漏れ出しを防止するシート材としては、メルトブローン不織布や透湿性フィルムが好適に用いられる。透湿性フィルムは、熱可塑性樹脂及び該樹脂と相溶性のない有機又は無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に成形し、一軸又は二軸延伸して得られたものであり、微細な多孔質構造になっている。種々の通気度及び透湿度を有するシート材を組み合わせて積層シートを構成することで、第1の面23及び第2の面24の通気度を所望の値に設定する自由度が増す。
【0039】
本実施形態の蒸気温熱具1は、その使用前は、その全体が酸素バリア性を有する包装材(図示せず)によって包装されて、発熱部21が空気中の酸素と接触しないようになっている。酸素バリア性の材料としては、例えばその酸素透過係数(ASTM D3985)が10cm3・mm/(m2・day・MPa)以下、特に2cm3・mm/(m2・day・MPa)以下であるようなものが好ましい。具体的にはエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアクリロニトリル等のフィルム、又はそのようなフィルムにセラミック若しくはアルミニウム等を蒸着したフィルムやアルミラミフィルムが挙げられる。
【0040】
本実施形態の蒸気温熱具1は、例えば次の方法で製造される。先ず、発熱部21は、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む混合物に、冷感剤が溶解剤に溶解してなる溶液を均一に添加して得られる。この発熱部21を、収容体22内に収容することにより発熱体20が得られる。ここで、発熱部21が粉体組成物の場合は、被酸化性金属及び反応促進剤等の発熱部21を構成する固形分を混合し、これに電解質水溶液を添加し、更に冷感剤を溶解した溶解剤を添加することで発熱部21が得られ、これを収容体22に収納することで、発熱体20を製造できる。一方、発熱部21が成形シートの場合、被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物を含有する成形シートを作製し、次いで該成形シートに電解質水溶液、冷感剤を溶解剤に溶解してなる溶液をこの順に添加することで発熱部21が得られ、これを収容体22に収納することで、発熱体20を製造できる。このような方法で発熱体20を製造することで、冷感剤を発熱部21の全域に均一に行き渡らせることができる。得られた発熱体20は、これを袋体10内に収容することで、蒸気温熱具1が製造される。
【0041】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態は、本発明の発熱具を蒸気温熱具に適用した例であるが、本発明は、蒸気温熱具以外の発熱具、例えば使い捨てカイロとして知られている、水蒸気の発生を実質的に伴わずに発熱する発熱具にも同様に適用することができる。尤も、冷感剤の作用による暑熱感の抑制効果は、蒸気温熱の発生を伴う前記実施形態の発熱具の方が高い。
【0042】
また、前記実施形態においては、発熱体20が伸縮性を有する袋体10に収容されていたが、この袋体として伸縮性を有していないものを用いてもよい。
【0043】
また前記実施形態の蒸気温熱具1は、これを着用者の身体に貼り付けて使用するものであったが、これに代えて蒸気温熱具1を衣類に貼り付けて使用してもよい。蒸気温熱具1を衣類に貼り付ける場合には、袋体10における第2の伸縮性シート12の表面に、粘着剤等からなる固定手段を設ければよい。
【0044】
また前記実施形態における袋体10は、その形状が略矩形であったが、袋体10の形状はこれに限られず、例えば円形、楕円形、矩形、略菱形形状、そら豆形など種々の形状とすることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
【0046】
〔実施例1及び比較例1〕
図1ないし図6に示す実施形態の蒸気温熱具1を、以下の手順で作製した。
(1)シート状発熱部21の作製
<原料組成物配合>
・被酸化性金属:鉄粉、同和鉱業株式会社製、商品名「RKH」:83%
・繊維状物:パルプ繊維(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名 NBKP「Mackenzi(CSF200mlに調整)」):8%
・反応促進剤:活性炭(日本エンバイロケミカル株式会社製、商品名「カルボラフィン」、平均粒径45μm)9%
【0047】
前記原料組成物の固形分(被酸化性金属、繊維状物及び活性炭の合計)100部に対し、カチオン系凝集剤であるポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC(株)製、商品名「WS4020」)0.7部及びアニオン系凝集剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬(株)製、商品名「HE1500F」0.18部を添加した。更に、水(工業用水)を、固形分濃度が12%となるまで添加しスラリーを得た。
【0048】
<抄造条件>
前記スラリーを用い、これを抄紙ヘッドの直前で0.3%に水希釈し、傾斜型短網抄紙機によって、ライン速度15m/分にて抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。
【0049】
<乾燥条件>
成形シートをフェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま140℃の加熱ロール間に通し、含水率が5%以下になるまで乾燥した。乾燥後の坪量は450g/m2、厚さは0.45mmであった。このようにして得られた成形シートの組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄83%、活性炭9%、パルプ8%であった。
【0050】
<シート状発熱部21の作製>
得られた成形シートを49mm×49mmに切り取り、3枚を重ね合わせ、該成形シート100部に対し電解液量(5%食塩水)が45部となるように、電解液を注入した。また、成形シート100部に対しメントール溶液(l−メントール20部、ポリエチレングリコール400を80部)が6.8部となるように、該メントール溶液を注入した。発熱部21の全重量に対するメントールの濃度は0.90重量%、ポリエチレングリコール400の濃度は3.6重量%である。毛管現象を利用してこれらを成形シート全体に浸透させて、矩形のシート状発熱部21を得た。ただし、比較例1においては、メントール溶液の注入を行わなかった。また、比較例2においては溶解剤(ポリエチレングリコール400)を加えず、実施例1と同量のl−メントールのみを発熱部に含有させた。
【0051】
(2)発熱体20の作製
収容体122における第1の面23及び第2の面23を、以下の表1に示すシートから構成して発熱体20を得た。この発熱体20を、同表に示す伸縮性シート11,12からなる袋体10内に収容した。伸縮性シート11,12及び発熱体20の固定にはSIS共重合体からなるホットメルト粘着剤を用いた。更に第1の伸縮性シート11の表面に、SIS共重合体からなるホットメルト粘着剤の固定手段2を設けた。このようにして蒸気温熱具1を得た。蒸気温熱具1の構成をまとめて表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例及び比較例で得られた蒸気温熱具について、以下の評価1、評価2及び評価3を行った。
【0054】
〔評価1〕
室温31.5℃の暑熱環境下、女性被験者1名に対して実施例1で得られた発熱具を両肩に装着し、ポリグラフ(Task force Monitor 3040i、日本光電)による自律神経活動の測定を行った。同一被験者による別の実験において、比較例1の発熱具を同様に両肩に装着し測定した。その結果、冷感剤を配合しない比較例1の発熱具では交感神経活動が亢進したのに対して、冷感剤としてメントールを配合した実施例1の発熱具では交感神経活動が抑制され副交感神経活動が優位となった。被験者の自覚申告においても、比較例1の発熱具では、実験中に全身の暑熱感を強く感じたと述べたのに対して、実施例1の発熱具では暑さを感じにくく快適であったと述べた。
【0055】
〔評価2〕
25℃の環境下、男性被験者10名に対して両肩に実施例1及び比較例1の発熱具を別個に6時間貼付し感覚を評価した。実施例1及び比較例1の発熱具ともに装着時の皮膚温度は約40℃で同様(図7)であった。評価の結果、比較例1の発熱具では「温感よりも冷感が強い」と申告した被験者がいなかったのに対して、実施例1の発熱具では10名中5名が「温感よりも冷感が強い」と申告した。また、比較例1の発熱具では10名中7名が「夏場は快適に使えない」と申告したのに対して、実施例1の発熱具では10名中9名の被験者が「夏場でも快適に使える」と申告した。なお、図7の測定にはGram Corporation製データ収集型ハンディタイプ温度計LT−8を用い、発熱部が当たっている中心部の皮膚温度を測定した。
【0056】
〔評価3〕
実施例1及び比較例2の蒸気温熱具について、発熱に伴いシートから放出されるメントール量を定量した。メントール量の定量には、以下のメントール放出量測定装置を用いた。その結果、表2に示すとおり、溶解剤(ポリエチレングリコール400)を含有する実施例1の蒸気温熱具からは、2時間で1.7mgものメントールが回収された。これに対し、溶解剤を含有しない比較例2の蒸気温熱具からは、0.15mgのメントールが回収された。同表に示すように、本発明の蒸気温熱具は高いメントール放出性が認められた。
【0057】
【表2】

【0058】
<メントール放出量測定装置>
図8に示すように、35℃に加温したホットプレート30上に、実施例1又は比較例2の蒸気温熱具1を、フッ化ビニル樹脂の袋体(例えば、テドラーバッグ)31に封入した。フッ化ビニル樹脂の袋体31には2本の管32,33の一端が接続されている。管32の他端は、流量計34を介して空気の供給源(図示せず)に接続されている。管33の他端の端部は、エタノールを入れた容器35内に浸漬されている。フッ化ビニル樹脂の袋体31は、その全体をポリプロピレン製の不織布36で覆い、断熱する。また、不織布36の上におもり37を載せて、フッ化ビニル樹脂の袋体31内に空気を流入させたときに蒸気温熱具1が動かないようにした。空気の供給源(図示せず)から管32を介して袋31内に空気を流入(100ml/分)させながら、発熱に伴い放出される気体を、管33を介してエタノール中に排出することで、メントールをエタノール中に回収した。2時間後の回収量をガスクロマトグラフィー「Agilent Technologies社」の「6890N Network GC system」)で定量した。なお、フッ化ビニル樹脂の袋体31内に封入した蒸気温熱具1は、図1に示す2つが連結した蒸気温熱具1を切り離した一方のものである。
【0059】
〔実施例2〜9〕
冷感剤及び溶解剤の種類及び量を表3に示す値とする以外は、実施例1と同様にして蒸気温熱具を得た。得られた蒸気温熱具を、5名のパネラーの肩に貼付した。貼付した状態での清涼感、臭い(メントール香以外の異臭)及び総合評価を、以下の基準でパネラーに評価させた。最も人数の多い評価を選び表3に示す。なお、同表には、実施例1並びに比較例1及び2の評価結果も併せて記載してある。
【0060】
〔清涼感〕
5:非常に好ましい清涼感を感じる。
4:適度な清涼感を感じる。
3:清涼感がやや弱い。
2:清涼感が弱すぎる。
1:清涼感を感じない。
【0061】
〔臭い〕
◎:異臭を感じない。
○:弱い異臭を感じる。
×:強い異臭を感じる。
【0062】
〔総合評価〕
◎: 暑熱環境で非常に快適。
○: 暑熱環境で快適。
△: 暑熱環境であまり快適でない。
×: 暑熱環境で快適でない。
【0063】
【表3】

【0064】
表3に示す結果から明らかなように、各実施例の蒸気温熱具は、清涼感を使用者に付与し得るものであり、しかも異臭の抑制されたものであることが判った。これに対して、各比較例の蒸気温熱具は、異臭の発生はないものの、使用者に清涼感をほとんど与えられないものであることが判った。
【符号の説明】
【0065】
1 蒸気温熱具
10 袋体
11 第1の伸縮性シート
12 第2の伸縮性シート
20 発熱体
21 発熱部
22 収容体
23 第1の面
24 第2の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む発熱部が収容体内に収容されてなる発熱具において、
皮膚に清涼感を付与する冷感剤とそれを溶解する溶解剤が、前記発熱部に含有されている発熱具。
【請求項2】
前記冷感剤がl−メントール若しくはdl−メントール又はそれらの誘導体である請求項1記載の発熱具。
【請求項3】
前記溶解剤が、25℃で液状物質の多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の発熱具。
【請求項4】
前記発熱部が、前記被酸化性金属、繊維状物、反応促進剤、電解質及び水を含むシート状物からなる請求項1ないし3のいずれかに記載の発熱具。
【請求項5】
請求項1記載の発熱具の製造方法であって、
被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む混合物に、皮膚に清涼感を付与する冷感剤を溶解剤に溶解した溶液を添加して発熱部を得る発熱具の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−158507(P2010−158507A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230957(P2009−230957)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】