説明

発行装置、駅務機器、及び駅務システム

【課題】 より利便性の高い発行装置、駅務機器、及び駅務システムを提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る発行装置は、利用者による操作を受け取る操作手段と、前記操作に基づいて乗車券情報を生成する生成手段と、前記乗車券情報を第1の規格に基づいてエンコードし、第1の二次元コードを生成する第1の二次元コード生成手段と、前記乗車券情報を前記第1の規格とは異なる第2の規格に基づいてエンコードし、第2の二次元コードを生成する第2の二次元コード生成手段と、前記第1の二次元コードと前記第2の二次元コードとを券媒体に印刷する印刷手段と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発行装置、駅務機器、及び駅務システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅には、各種の駅務処理を行なう駅務機器が設置されている。駅務機器は、例えば、改札機、券売機、精算機、または窓口端末などである。これらの駅務機器は、入場券、定期券、及び乗車券などに対して種々の処理を行う。
【0003】
例えば、入場券、定期券、及び乗車券などは、所定の情報が記憶される磁気券により構成されるものがある。また、例えば、入場券、定期券、及び乗車券などは、所定の情報が記憶されるICカードなどにより構成されるものがある。さらに、ICカードは、利用者の所持する携帯電話などに内蔵されるものも一般的に知られている。
【0004】
また、近年では、券媒体として、二次元コードからなる券情報を表示する携帯端末機器、二次元コードが印刷された媒体を利用し、入出場処理等を行う駅務システムが提案されている。
【0005】
しかし、券媒体の汚れなどの状態、駅務機器の読み取り部に対する券媒体の向き、券媒体の動き、駅務機器の読み取り部の汚れ等の状態、または券媒体に照射される光などの要因により、駅務機器での二次元コードの読み取りが安定しない場合や駅務機器が二次元コードを読み取れない場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−46379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、媒体の読み取り向上と読み取りの信頼性向上とにより、利便性の高い発行装置、駅務機器、及び駅務システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、一実施形態に係る発行装置は、利用者による操作を受け取る操作手段と、前記操作に基づいて乗車券情報を生成する生成手段と、前記乗車券情報を第1の規格に基づいてエンコードし、第1の二次元コードを生成する第1の二次元コード生成手段と、前記乗車券情報を前記第1の規格とは異なる第2の規格に基づいてエンコードし、第2の二次元コードを生成する第2の二次元コード生成手段と、前記第1の二次元コードと前記第2の二次元コードとを券媒体に印刷する印刷手段と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る駅務システムの構成を示めす構成図である。
【図2】実施形態に係る券売機の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る媒体発行の処理を示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る二次元コード乗車券を示す図である。
【図5】実施形態に係る改札機の構成を示す構成図である。
【図6】実施形態に係る改札機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の発行装置、駅務機器、及び駅務システムについて図面を参照し説明する。
【0011】
駅務システムは、鉄道などの交通機関において種々の駅務処理を行なう。
【0012】
鉄道会社の駅に設置される改札機、券売機、窓口処理機及び精算機などの駅務機器は、駅務システムを構成する。各駅務機器は、乗車券を処理することにより、利用者に鉄道機関を利用させることができる。
【0013】
駅務システムの各駅務機器は、路線内の複数の駅にも設置され、駅務システム全体を構成している。このような駅務システムでは、各駅において、利用者に対する駅構内への入場あるいは駅構内からの出場などに関する業務を各駅務機器を用いて実施している。
【0014】
図1は、駅務システム100について説明するための構成図である。
【0015】
図1に示す駅務システム100は、種々の駅務機器を備える。駅務システム100は、券売機110、及び改札機140などを備える。
【0016】
券売機110は、種々の乗車券を発行する発行装置として機能する。券売機110は、利用者の操作による入力に基づいて入場券、定期券、普通乗車券、特急券、回数券、精算券、及び料金券(総じて乗車券と称する)を発行するためのデータ(乗車券情報)を生成する。券売機110は、生成した乗車券情報に基づいて二次元コードを生成する。さらに、券売機110は、二次元コードを券媒体に印刷し、乗車券としての二次元コード券150を発行する。また、券売機10は、駅務システムの情報を管理するコンピュータと通信を行い、乗車券の発行処理のための情報の入力及び出力を行う。
【0017】
改札機140は、駅の改札口などに設置される。改札機140は、利用者の所持する二次元コード券150に対して改札処理を行う。また、改札機140は、磁気券または乗車券としてのICカードの改札処理を行う機能があっても良い。また、改札機140は、駅務システムの情報を管理するコンピュータと通信を行い、乗車券の改札処理のための情報の入力及び出力を行う。
【0018】
以下、各駅務機器の動作について詳細に説明する。
【0019】
図2は、券売機110について説明するためのブロック図である。
【0020】
券売機110は、利用者の操作による入力に基づいて二次元コード券150を発行する。なお、詳述しないが、券売機110は、乗車券が有する情報(乗車券情報)に基づいて利用額の不足分を精算し、精算券を発行する精算機の機能を含む。また、券売機110は、磁気乗車券及びIC乗車券を発行する機能を有する磁気券処理部及びICカード処理部を備えても良い。磁気券処理部及びICカード処理部を備える券売機110は、制御部、記憶部、表示部、操作部、現金処理部、二次元コード券処理部、磁気券処理部、及びICカード処理部を備える。
【0021】
制御部111は、記憶部112に記憶されている手順及び制御データにより、券売機110の動作を制御する。また、制御部111は、他の駅務機器とデータの送受信を行うことができる。
【0022】
記憶部112は、券売機110の制御に必要な手順及び制御データ、及び二次元コード券150を発行するために必要な各種のデータを予め格納している。
【0023】
表示部113は、制御部111の制御に基づいて種々の情報を表示する。表示部113は、液晶表示器などで構成されている。この表示部113は、制御部111による制御に基づいて、券売機110を利用する利用者に対して二次元コード券150の発行業務に必要な各種操作の案内、及び発行する二次元コード券150の内容などの種々の情報の案内を表示する。
【0024】
操作部114は、利用者による操作入力に基づいて操作信号を生成する。操作部114は、各種ボタンや利用者の接触を検知した位置に基づいて操作信号を生成するタッチパネルなどにより構成される。操作部114は、制御部111による制御に基づいて、利用者による各種操作の入力を受け付ける。例えば、操作部114は、二次元コード券150を発行するのに必要な情報の入力を受け付ける。
【0025】
現金処理部115は、利用者により投入される紙幣や貨幣などを処理する。
【0026】
二次元コード券処理部116は、二次元コード券150の発行を行う。例えば、二次元コード券処理部116は、二次元コードを媒体に印刷する印刷部と、媒体を収容する収容部を備える。二次元コード券150を発行する場合、二次元コード券処理部116は、収容部に収容されている媒体に対して制御部111により生成される二次元コードを印刷する。これにより、二次元コード券処理部116は、乗車券としての二次元コード券150を発行する。
【0027】
インタフェース部119は、駅務システムの情報を管理するコンピュータと通信を行う。インタフェース部119は、乗車券の発行処理のための情報の入力を行う入力部(入力手段)と出力を行う出力部(出力手段)とを含む。例えば、インタフェース部119は、駅務システムの情報を管理するコンピュータと発行する乗車券の発行情報や識別情報などの通信を行う。
【0028】
磁気券処理部は、磁気券の発行を行う。例えば、磁気券処理部は、磁気券の磁気層に乗車券情報に応じた磁気を付加する磁気処理部と、磁気券の媒体を収容する収容部を備える。
【0029】
磁気券は、磁気層を備える。磁気券は、磁気層の中に、金額情報または乗車可能区間を示す情報、券の識別情報などの乗車券情報を記憶する。この識別情報は、磁気券固有の情報である。識別情報は、駅務機器に磁気券を識別させるための情報である。金額情報は、この磁気券の金額を示す情報である。乗車可能区間を示す情報は、当該磁気券により利用することが出来る駅の区間を示す情報である。
【0030】
磁気層に金額情報が記憶されている場合、改札機は、乗車区間と金額情報とに基づいて利用者の通行の可否を判定する。また、磁気層に乗車可能区間を示す情報が記憶されている場合、改札機は、乗車区間と乗車可能区間を示す情報とに基づいて利用者の通行の可否を判定する。
【0031】
ICカード処理部は、乗車券としてのICカードの発行を行う。例えば、ICカード処理部は、ICカードを処理する処理部と、ICチップ及びアンテナを有する媒体を収容する収容部を備える。また、このICチップは、種々の情報を記憶することができるメモリを備える。
【0032】
ICカードを発行する場合、ICカード処理部は、収容部に収容されている媒体に対して無線通信を行い、制御部により生成される乗車券情報をICチップに書き込む。これにより、ICカード処理部は、乗車券としてのICカードを発行する。さらに、ICカード処理部は、ICカードに運賃として利用される料金(残額)をチャージする処理を行う構成であってもよい。
【0033】
ICカードのICチップのメモリは、例えば識別情報、残額情報、乗降履歴などの乗車券情報を記憶する。この識別情報は、ICカード固有の情報である。識別情報は、駅務機器にICカードを識別させるための情報である。残額情報は、運賃の精算に利用可能である金額を示す情報である。乗降履歴は、改札を受ける際に記録される乗車と降車の履歴を示す情報である。
【0034】
図3は、二次元コード券150を発行する際の券売機110の処理のフローチャートを示す。
【0035】
券売機110は、発券画面を表示部113に表示し(ステップS11)、操作部114による操作入力を受け付ける(ステップS12)。なお、券売機110は、乗車区間を利用者に選択させる構成であっても、出場駅を利用者に選択させる構成であっても、または、入場駅も利用者に選択させる構成であってもよい。
【0036】
乗車区間を利用者に選択させる場合、例えば、券売機110は、券売機110が設置されている駅からの乗車区間毎に金額を示すボタンを表示部113に表示する。券売機110は、このボタンの選択操作に応じて乗車区間を決定する。
【0037】
出場駅を利用者に選択させる場合、例えば、券売機110は、路線内の出場駅の一覧をボタンとして表示部113に表示する。券売機110は、このボタンの選択操作に応じて出場駅を決定する。さらに、入場駅を利用者に選択させない構成の場合、券売機110は、券売機110が設置されている駅を入場駅として、入場駅から出場駅までを乗車区間として決定する。
【0038】
また、入場駅を利用者に選択させる構成の場合は、券売機は、路線内の入場駅及び出場駅の一覧をボタンとして表示部に表示する。券売機10は、これらのボタンの選択操作に応じて乗車区間を決定する。
【0039】
さらに、券売機110は、媒体IDと、有効期間とを生成する。媒体IDは、二次元コード券150を識別する為の固有情報である。券売機110は、例えば、二次元コード券150の発行順で媒体IDを生成する。有効期間は、当該二次元コード券150により改札処理を受けることができる期間を示す情報である。
【0040】
券売機110は、上記の乗車区間、媒体ID、及び有効期間などを含む乗車券情報を生成する(ステップS13)。
【0041】
券売機110は、生成した乗車券情報に基づいて二次元コードを生成し、生成した二次元コードを券媒体に印刷し、二次元コード券150を発行する。
【0042】
券売機110の記憶部112は、乗車券情報を種々の規格の二次元コードに変換する為のアルゴリズム(またはアプリケーション)を複数記憶する。制御部111は、記憶部112に記憶されているアルゴリズムを用いて乗車券情報から二次元コードを生成する。
【0043】
二次元コードは、コードの形状及び読み取り方式などに応じて種々の特性を有し、二次元コードの規格により、読み取り速度、及び正確性などが異なる。
【0044】
二次元コードが乗車券に印刷された場合、乗車券の汚れなどの状態、改札機の読み取り部に対する乗車券の向き、乗車券の動き、改札機の読み取り部の汚れ等の状態、または乗車券に照射される光などの要因により、二次元コードの読み取りが安定しない可能性がある。そこで、券売機110は、複数の規格で二次元コードを生成し、複数の二次元コードを乗車券に印刷する。
【0045】
券売機110の制御部111は、生成した乗車券情報を第1の規格によりエンコードし、第1の二次元コードを生成する(ステップS14)。また、券売機110の制御部111は、生成した乗車券情報を第2の規格によりエンコードし、第2の二次元コードを生成する(ステップS15)。
【0046】
券売機110の二次元コード券処理部116は、生成した第1の二次元コードと第2の二次元コードとを券媒体の券面に印刷する(ステップS16)。上記の処理により、券売機110は、二次元コード券150を発行する。
【0047】
図4は、券売機110により発行された二次元コード券150の例を示す。
【0048】
図4に示すように、二次元コード券150の券面には、有効区間及び金額情報などの券面情報151、第1の二次元コード152、第2の二次元コード153などが印刷される。さらに、二次元コード券150の表面には、当該二次元コード券150が有効な期間を示す有効期間、及び発行日時などが印刷される。
【0049】
券売機110は、利用者の操作に基づいて生成した乗車券情報により、券面情報151を可視インクにより印刷する。これにより、利用者は、券面からこの二次元コード券150の乗車券情報を認識することができる。
【0050】
また、券売機110は、乗車券情報に基づいて第1の二次元コード及び第2の二次元コードを生成し、媒体の券面に印刷する。なお、券面への印刷は、不可視インクにより行われてもよい。この場合、印刷位置を認識できるように、印刷位置を示すガイド154が可視インクにより券面の印刷範囲の縁部付近に印刷される。
【0051】
不可視インクは、例えば紫外線を照射した場合に可視光(蛍光)を放出する蛍光体が含有された蛍光インクである。
【0052】
なお、券売機110は、例えばサーマルヘッドなどを用いて媒体としての感熱紙に券面情報151、第1の二次元コード152、第2の二次元コード153、ガイド154などを印刷する構成であってもよい。
【0053】
図5及び6は、改札機140の構成の例を示す。
【0054】
改札機140は、二次元コード券150から情報を読み取り改札処理を行う。なお、改札機140は、さらに磁気券及び乗車券としてのICカードから情報を読み取り改札処理を行う構成であってもよい。また、ICカードは、利用者の所持する携帯電話などに内蔵されるものであってもよい。
【0055】
改札機140は、駅の改札口などに設置される。改札機140は、改札口で利用者の所持する乗車券から取得する情報に基づいて、改札処理を行う。これにより、改札機140は、利用者の通行の可否を判断する。
【0056】
図6により示されるように、改札機140は、主制御部141、二次元コード券処理部142、ドア制御部144、インタフェース部148、及び表示部146が、データや制御信号などをまとめて伝送するバスなどを介して互いに接続される。
【0057】
また、改札機140は、IC乗車券及び磁気乗車券を処理する機能を有する磁気券処理部及びICカード処理部を備えても良い。
【0058】
主制御部141は、改札機140の各部の動作を統合的に制御する。主制御部141は、乗車券情報に基づいて通行判定を行う。主制御部141は、通行判定の結果に基づいてドア制御部144を制御する。さらに、主制御部141は、通行判定の結果に基づいて種々の案内を表示部146に表示するように表示部146を制御する。
【0059】
なお、主制御部141は、CPU、ROM、RAM、及び不揮発性メモリなどを備える。CPUは、種々の演算処理を行う。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラム及び制御データに基づいて種々の処理を行う。例えば、CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、通行判定、ドア制御部144の制御、及び表示部146による表示処理を行う。
【0060】
ROMは、予め改札機140の制御用のプログラム及び制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。ROMは、CPUが実行する処理において用いられるプログラム及びデータを記憶する記憶部である。
【0061】
RAMは、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAMは、CPUの処理中のデータなどを一時的に格納する。また、RAMは、CPUが実行するプログラムを一時的に展開して格納する。
【0062】
不揮発性メモリは、CPUが実行する処理において用いられるデータを記憶する記憶部である。不揮発性メモリは、通行判定、ドア制御部144の制御、及び表示部146による表示処理などに用いるデータを記憶する。例えば、不揮発性メモリには、運賃データなどを記憶する。
【0063】
二次元コード券処理部142は、利用者が所持する二次元コード券150に印刷されている第1の二次元コード152及び第2の二次元コード153を画像として読み取る。二次元コード券処理部142は、読み取った二次元コードの画像を解析することにより、乗車券情報を取得する。即ち、二次元コード券処理部142は、二次元コード券150から乗車券情報を読み取る読取装置である。二次元コード券処理部142は、取得した乗車券情報を主制御部141に送信する。
【0064】
二次元コード券処理部142は、カメラ、及び解析処理部を備える。またさらに、二次元コード券処理部142は、照明などを備える構成であってもよい。照明は、利用者が提示する二次元コード券150に対して光を照射する。例えば、カメラは、エリアイメージセンサなどを備える。カメラは、照明から射出されて二次元コード券150により反射された光から画像を取得する。これにより、二次元コード券処理部142は、二次元コード券150から二次元コードの画像を取得する。
【0065】
なお、画像中に複数の二次元コードが含まれている場合、二次元コード券処理部142は、画像中の二次元コードが印刷されている領域を特定する。二次元コード券処理部142は、特定した領域で画像を切り出す。これにより、二次元コード券処理部142は、二次元コード毎に画像を取得することができる。例えば、二次元コード券150に第1の二次元コード152と第2の二次元コード153とが印刷されている場合、二次元コード券処理部142は、第1の二次元コード152が印刷された領域を含む第1の二次元コード画像と、第2の二次元コード153が印刷された領域を含む第2の二次元コード画像を取得する。
【0066】
さらに、二次元コード券処理部142は、取得した二次元コードの画像をデコードし、元の乗車券情報を取得する。なお、二次元コード券処理部142は、種々の規格の二次元コードをデコードする為のアルゴリズム(またはアプリケーション)を複数記憶するメモリ142aを備える。二次元コード券処理部142は、メモリ142aに記憶されているアルゴリズムを用いて二次元コードをデコードし、乗車券情報を取得する。
【0067】
例えば、メモリ142aは、第1の規格でエンコードされた二次元コードをデコードする為のアルゴリズムと、第2の規格でエンコードされた二次元コードをデコードする為のアルゴリズムとを記憶する。なお、メモリ142aは、さらに他の規格に対応するアルゴリズムを記憶する構成であってもよい。即ち、メモリ142aは、各規格毎に二次元コードをデコードする為のアルゴリズムを記憶する。
【0068】
なお、実施形態によると、二次元コード券処理部142は、二次元コード券150の第1の二次元コード152をデコードすることにより第1の乗車券情報を取得し、第2の二次元コード153をデコードすることにより第2の乗車券情報を取得する。
【0069】
券売機110は、二次元コードを生成するために必要な同一の乗車券情報に基づいて第1の二次元コード152と第2の二次元コード153とを生成する。この為、第1の二次元コード152と第2の二次元コード153とが二次元コード券処理部142により正確に読み取られた場合、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報とが一致する。即ち、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報とが一致しない場合、第1の二次元コード152と第2の二次元コード153とのいずれか、または両方の読取に失敗している可能性がある。
【0070】
二次元コード券処理部142は、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報とを突合し、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報とが一致しない場合、通行不可と主制御部141に判定させる。
【0071】
また、二次元コード券処理部142は、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報とが一致しない場合、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報とのいずれかを主制御部141に送信する構成であってもよい。また、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報とのうちの予め設定された方を主制御部141に送信する構成であっても良い。
【0072】
また、二次元コード券処理部142は、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報とが一致しない場合、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報との両方を主制御部141に送信する構成であってもよい。また、二次元コード券処理部142は、第1の乗車券情報と第2の乗車券情報のいずれかを読み取った場合、その読み取った乗車券情報を主制御部141に送信する。これらの場合、主制御部141は、二次元コード券処理部142から供給された各乗車券情報に基づいて通行判定を行う。主制御部141は、通行判定において通行可の判定結果が得られた場合、利用者の通行を許可する。
【0073】
ICカード処理部は、利用者が所持する乗車券としてのICカードに対して処理を行う。ICカード処理部は、送受信部を備える。送受信部は、例えば、アンテナなどを備える。送受信部は、アンテナによりICカードと無線通信を行う。送受信部は、通信範囲(送受信可能エリア)内に存在するICカードを検知する。送受信部は、ICカードを検知する場合、ICカードから乗車券情報を読み取る。ICカード処理部は、読み取った乗車券情報を主制御部に送信する。
【0074】
なお、利用者が駅構内に入場する場合、ICカード処理部は、主制御部の制御に基づいて、ICカードのメモリに入場情報を書き込む。また、利用者が駅構内から出場する場合、ICカード処理部は、主制御部の制御に基づいて、ICカードに出場情報を書き込む。
【0075】
また、磁気券から情報を読み取り改札処理を行う構成である場合、改札機は、磁気券処理部をさらに備える。磁気券処理部は、利用者が所持する磁気券に対して処理を行う。磁気券処理部は、磁気券を取り込む取り込み部と、取り込んだ磁気券を搬送する搬送部と、搬送されている磁気券から磁気を検出する磁気ヘッダとを備える。磁気券処理部は、磁気券の磁気層から乗車券情報を取得し、取得した乗車券情報を主制御部に送信する。
【0076】
例えば、利用者が駅構内に入場する場合、磁気券処理部は、主制御部の制御に基づいて、投入される磁気券の磁気層に入場情報を記録する。また、利用者が駅構内から出場する場合、磁気券処理部は、主制御部の制御に基づいて、投入される磁気券の磁気層に出場情報を記録する。
【0077】
主制御部141は、二次元コード券処理部142、ICカード処理部、または磁気券処理部により取得された乗車券情報と、不揮発性メモリなどにより記憶されている運賃データとに基づいて通行判定を行う。
【0078】
例えば、主制御部141は、二次元コード券150、磁気券、またはICカードから取得した乗車券情報に基づいて、引去り額(運賃)を算出する。なお、改札機140が、磁気券やICカードからも情報を読み取り改札処理を行う構成である場合、磁気券やICカードの乗車券情報は、入場情報及び出場情報などの履歴を示す情報(履歴情報)をさらに含む。主制御部141は、この履歴情報に基づいて、過去の出場情報及び入場情報の正当性を判断し、正当であると判断した場合、運賃を算出する。主制御部141は、例えば、入場駅、出場駅、及び金額が対応付けられたテーブルなどを不揮発性メモリに保持し、このテーブルに基づいて運賃を算出する。
【0079】
さらに、主制御部141は、算出した運賃と乗車券情報の運賃情報とを比較し、比較した結果に基づいて利用者の通行の可否を判定する。即ち、主制御部141は、運賃情報が示す金額が、算出された運賃以上である場合、利用者の通行を可と判定する。
【0080】
また、乗車券情報が有効区間などの情報を含む場合、主制御部141は、当該改札機140が設置されている駅が有効区間内であるか否かに基づいて利用者の通行の可否を判定する。即ち、主制御部141は、当該改札機140が設置されている駅が有効区間内である場合、利用者の通行を可と判定する。
【0081】
通行判定が可である場合、主制御部141は、利用者の通行を促す表示を表示部146に表示させ、ドア145を開くようにドア制御部144を制御する。
【0082】
また、通行判定が不可である場合、主制御部141は、ドア145を閉めるようにドア制御部144に制御信号(閉信号)を送信する。また、通行判定が不可である理由を表示部146に表示する。ドア制御部144は、ドア145の開閉を制御することにより、利用者の通行を制御する。ドア制御部144は、ドア145の開閉を制御するドア開閉機構(図示せず)を備える。ドア制御部144は、主制御部141からの閉信号の有無に基づいて、ドア145の開閉を制御する。ドア制御部144は、主制御部141から閉信号を受信した場合、ドアの開閉機構のモータなどを動作させることにより、ドア145を閉じる。
【0083】
図5により示されるように、ドア145は、改札機140の本体147の側面部に設置されている。また、通常、複数の改札機140が改札口に設置される。複数の改札機140少なくとも1つ以上の通路が形成される。ドア145は、この通路を塞ぐように開閉する。
【0084】
表示部146は、主制御部141の制御に基づいて、種々の案内を表示する。例えば、表示部146は、通行の可否、残額情報が示す金額、定期券の有効期間、及び、利用者を窓口に誘導する案内などを表示する。
【0085】
以上説明した少なくとも一つの実施形態の駅務機器及び駅務システムによれば、券売機110が、入力に応じて乗車券情報を生成し、複数の異なる規格で乗車券情報をエンコードし、複数の二次元コードを生成し、券の券面に複数の二次元コードを印刷して、二次元コード券150を発行することにより、券売機110は、読み取り速度及び正確性などが異なる複数の規格に対応する二次元コードが印刷された二次元コード券150を発行することが出来る。
【0086】
また、改札機140が、読み取り速度及び正確性などが異なる複数の規格に対応し、複数の二次元コードが印刷された二次元コード券150から複数の二次元コードを含む画像を取得し、取得した画像に含まれている複数の二次元コードをデコードし、乗車券情報を取得し、取得した乗車券情報に基づいて通行判定を行うことにより、改札機140は、いずれかの二次元コードの読み取りに失敗した場合であっても、他の二次元コードから乗車券情報を取得することができるため、媒体の読み取り向上と読み取りの信頼性向上し、利用者は、より確実に改札処理を受けることが出来る。
【0087】
これらにより、媒体の読み取り向上と読み取りの信頼性向上とにより、利便性の高い発行装置、駅務機器、及び駅務システムを提供することが可能となる。
【0088】
また、例えば、鉄道会社により、読取可能な二次元コードの規格に制限があるなど、改札機の読み取ることができる二次元コードの規格仕様が異なる場合がある。しかし、本実施形態に係る券売機110は、このような場合であっても、複数の規格に基づいて二次元コードを生成し印刷する為、改札機に規格が異なる二次元コードを読み取らせることが出来る。たとえば、駅務機器に異なる二次元コードの規格を使用している鉄道会社間で乗り継ぎを行う場合、券売機110により乗車券に鉄道会社が使用している複数の規格の二次元コードが印刷できため、各鉄道会社の駅務機器に乗車券の二次元コードを読み取らせることが出来る。これにより、利用者は、より確実に改札処理を受けることが出来る。
【0089】
なお、上記した実施形態では、券売機110は、乗車券情報を第1の規格によりエンコードした第1の二次元コード152と、第2の規格によりエンコードした第2の二次元コード153と、を二次元コード券150の券面に印字すると説明したが、この構成に限定されない。例えば、券売機110は、第3の規格、第4の規格、さらに第5の規格などにより乗車券情報をエンコードした二次元コードを二次元コード券150に印字する構成であってもよい。
【0090】
また、上記した実施形態では、券売機110は、第1の二次元コード152と、第2の二次元コード153と、を二次元コード券150の券面に印字すると説明したが、この構成に限定されない。券売機110は、第1の二次元コード152及び第2の二次元コード153を二次元コード券150の同一面に印刷してもよいし、第1の面と第2の面とにそれぞれ印刷する構成であってもよい。即ち、券売機110は、第1の二次元コード152及び第2の二次元コード153を二次元コード券150の表面と裏面との両方に印刷する構成であってもよい。この構成によると、ユーザは、改札機140に二次元コード券150を翳す際、二次元コード券150の表裏を意識することなく改札処理を受けることが出来る。これにより、より利便性を高める事ができる。
【0091】
また、上記の実施形態では、改札機140の二次元コード券処理部142は、メモリ142aにより記憶されたアルゴリズムを用いて二次元コードをデコードする構成として説明したが、この構成に限定されない。二次元コード券処理部142は、各規格毎に二次元コードをデコードするデコーダをハードウエアとして備える構成であってもよい。この構成によると、複数の二次元コードが含まれる画像を読み取った場合、各デコーダに画像を入力することにより、並列してデコードを行うことができる。これにより、改札機140は、二次元コードのデコードに要する時間を短縮することができる。
【0092】
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0093】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0094】
100…駅務システム、110…券売機、111…制御部、112…記憶部、113…表示部、114…操作部、115…現金処理部、116…二次元コード券処理部、119…インタフェース部、140…改札機、141…主制御部、142…二次元コード券処理部、142a…メモリ、144…ドア制御部、145…ドア、146…表示部、147…本体、148…インタフェース部、150…二次元コード券、151…券面情報、152…第1の二次元コード、153…第2の二次元コード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者による操作を受け取る操作手段と、
前記操作に基づいて乗車券情報を生成する生成手段と、
前記乗車券情報を第1の規格に基づいてエンコードし、第1の二次元コードを生成する第1の二次元コード生成手段と、
前記乗車券情報を前記第1の規格とは異なる第2の規格に基づいてエンコードし、第2の二次元コードを生成する第2の二次元コード生成手段と、
前記第1の二次元コードと前記第2の二次元コードとを券媒体に印刷する印刷手段と、
を具備する発行装置。
【請求項2】
前記印刷手段は、前記第1の二次元コードと前記第2の二次元コードとを前記券媒体の第1の面に印刷する、請求項1に記載の発行装置。
【請求項3】
前記印刷手段は、前記第1の二次元コードと前記第2の二次元コードとを前記券媒体の前記第1の面の反対側の第2の面にさらに印刷する、請求項2に記載の発行装置。
【請求項4】
前記第1の二次元コードは、第1の数の第1のデータセルと、第1の誤り訂正率で前記第1のデータセルを訂正する第1の誤り訂正符号とを有し、
前記第2の二次元コードは、第2の数の第2のデータセルと、第2の誤り訂正率で前記第2のデータセルを訂正する第2の誤り訂正符号とを有する、
請求項1に記載の発行装置。
【請求項5】
利用者により提示された二次元コード券から二次元コードを読み取る読取手段と、
前記二次元コードを第1の規格、及び第2の規格に基づいてデコードし、乗車券情報を取得する二次元コード解析手段と、
前記乗車券情報に基づいて通行判定を行う通行判定手段と、
前記通行判定手段による判定の結果に基づいて、前記利用者の通行を制御する通行制御手段と、
を具備する駅務機器。
【請求項6】
前記二次元コード解析手段は、前記二次元コードを前記第1の規格に基づいてデコードして第1の乗車券情報を取得し、前記二次元コードを前記第2の規格に基づいてデコードして第2の乗車券情報を取得し、
前記通行判定手段は、前記第1の乗車券情報と前記第2の乗車券情報とのいずれかに基づいて駅務処理を行う、
請求項5に記載の駅務機器。
【請求項7】
二次元コード券を発行する発行装置と、前記二次元コード券に対して改札処理を行う駅務機器とを備える駅務システムであって、
前記発行装置は、
利用者による操作を受け取る操作手段と、
前記操作に基づいて乗車券情報を生成する生成手段と、
前記乗車券情報を第1の規格に基づいてエンコードし、第1の二次元コードを生成する第1の二次元コード生成手段と、
前記乗車券情報を前記第1の規格とは異なる第2の規格に基づいてエンコードし、第2の二次元コードを生成する第2の二次元コード生成手段と、
前記第1の二次元コードと前記第2の二次元コードとを券媒体に印刷する印刷手段と、
を具備し、
前記駅務機器は、
前記二次元コード券から二次元コードを読み取る読取手段と、
前記二次元コードを第1の規格、及び第2の規格に基づいてデコードし、乗車券情報を取得する二次元コード解析手段と、
前記乗車券情報に基づいて通行判定を行う通行判定手段と、
前記通行判定手段による判定の結果に基づいて、前記利用者の通行を制御する通行制御手段と、
を具備する駅務システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77248(P2013−77248A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218021(P2011−218021)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】