説明

発電システム

【課題】より優れた効率で蓄電することのできる発電システムを提供すること。
【解決手段】発電システム1に、温度が経時的に上下する熱源2と、熱源2の温度変化により電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4とを備える。このような発電システム1によれば、温度が経時的に上下する熱源2を用いるため、変動する電圧を取り出すことができ、その結果、一定電圧として取り出す場合に比べて、簡易な構成により、優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車エンジンなどの内燃機関や、ボイラー、空調設備などの熱交換器、発電機、モータなどの電動機関、照明などの発光装置などの各種エネルギー利用装置では、例えば、排熱、光などとして、多くの熱エネルギーが放出および損失されている。
【0003】
近年、省エネルギー化の観点から、放出される熱エネルギーを回収し、エネルギー源として再利用することが要求されており、このような方法として、例えば、自動車の排気ガスシステムにおいて、排ガス浄化触媒およびマフラーの間に排気ガス熱交換器を設け、その排気ガス熱交換器において、排気管中の排気ガスを均質化するとともに、排気管および冷却器の間にBiTeからなる熱電素子(サーモエレクトリックモジュール)を配置してなるサーモエレクトリックジェネレーター(TEG)が、提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
このサーモエレクトリックジェネレータでは、排気ガスにより温められた排気管と、冷却器との間に熱電素子を配置し、その一方面および他方面に温度差を生じさせて、熱電素子のゼーベック効果により、発電している。このようにして得られた電力は、通常、昇圧型DC−DCコンバータなどを介して車載バッテリーなどに蓄電され、必要に応じて、適宜使用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】MTZ Motortechnische Zeitschrift 0412009 Volume70(出版社 vieweg)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載されるサーモエレクトリックジェネレータでは、排ガス浄化触媒およびマフラーの間において均質化された排気ガス、つまり、一定温度の排気ガスを用いて、発電している。このような方法により得られる電力は、電圧が小さく、また、一定(直流電圧)であるため、簡易な構成で効率良く昇圧することができず、蓄電効率に劣るという不具合がある。
【0007】
本発明の目的は、より優れた効率で蓄電することのできる発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の発電システムは、温度が経時的に上下する熱源と、前記熱源の温度変化により電気分極する第1デバイスと、前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスとを備えることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の発電システムでは、前記熱源が、周期的に温度変化することが好適である。
【0010】
また、本発明の発電システムでは、前記第2デバイスが、電力を、周期的に変動する波形として取り出すことが好適である。
【0011】
また、本発明の発電システムでは、前記熱源が、内燃機関であることが好適である。
【0012】
また、本発明の発電システムでは、前記第1デバイスが、ピエゾ効果により電気分極することが好適である。
【0013】
また、本発明の発電システムでは、前記第1デバイスが、焦電効果により電気分極することが好適である。
【0014】
また、本発明の発電システムでは、前記第1デバイスが、ゼーベック効果により電気分極することが好適である。
【0015】
また、本発明の発電システムでは、前記熱源は、複数備えられ、複数の前記熱源間の切り替えにより、温度変化を生じることが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の発電システムによれば、温度が経時的に上下する熱源を用いるため、変動する電圧を取り出すことができ、その結果、一定電圧として取り出す場合に比べて、簡易な構成により、優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の発電システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示す第1デバイスの一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】図3は、図1に示す第1デバイスの他の実施形態を示す概略構成図である。
【図4】図4は、本発明の発電システムが車載された一実施形態を示す概略構成図である。
【図5】図5は、図4に示す発電システムの要部拡大図である。
【図6】図6は、実施例1において用いられた発電システムの概略構成図である。
【図7】図7は、実施例1において得られた発電電圧と温度変化との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例2において用いられた発電システムの概略構成図である。
【図9】図9は、実施例2において得られた発電電圧と断続光の照射周期(チョッピング周波数:0.12Hz)との関係を示すグラフである。
【図10】図10は、実施例2において得られた発電電圧と断続光の照射周期(チョッピング周波数:0.13Hz)との関係を示すグラフである。
【図11】図11は、実施例2において得られた発電電圧と断続光の照射周期(チョッピング周波数:0.38Hz)との関係を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例2において得られた発電電圧と断続光の照射周期(チョッピング周波数:0.56Hz)との関係を示すグラフである。
【図13】図13は、実施例2において得られた発電電圧と断続光の照射周期(チョッピング周波数:0.80Hz)との関係を示すグラフである。
【図14】図14は、実施例2において得られた発電電圧と断続光の照射周期(チョッピング周波数:1.06Hz)との関係を示すグラフである。
【図15】図15は、実施例3において得られた発電電圧と熱風の照射周期との関係を示すグラフである。
【図16】図16は、図15において、加熱/放冷=10s/20sである範囲を拡大して示す。
【図17】図17は、図15において、加熱/放冷=5s/15sである範囲を拡大して示す。
【図18】図18は、実施例4において得られた発電電圧と熱風の照射周期(加熱/放冷=250s/250s)との関係を示すグラフである。
【図19】図19は、実施例4において得られた発電電圧と熱風の照射周期(加熱/放冷=100s/100s)との関係を示すグラフである。
【図20】図20は、実施例4において得られた発電電圧と熱風の照射周期(加熱/放冷=10s/15s)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の発電システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【0019】
図1において、発電システム1は、温度が経時的に上下する熱源2と、熱源2の温度変化により電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4とを備えている。
【0020】
熱源2としては、温度が経時的に上下する熱源であれば、特に制限されないが、例えば、内燃機関、発光装置などの各種エネルギー利用装置が挙げられる。
【0021】
内燃機関は、例えば、車両などの動力を出力する装置であって、例えば、単気筒型または多気筒型が採用されるとともに、その各気筒において、多サイクル方式(例えば、2サイクル方式、4サイクル方式、6サイクル方式など)が採用される。
【0022】
このような内燃機関では、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返されており、これにより、例えば、4サイクル方式では、吸気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程などが順次実施され、燃料が燃焼され、動力が出力されている。
【0023】
このような内燃機関において、排気工程では、高温の排気ガスが、排気ガス管を介して排気される。このとき、排気ガス管は、排気ガスの熱エネルギーを授受し、温度上昇する。
【0024】
一方、その他の工程(排気工程を除く工程)では、排気ガス管中の排気ガス量が低減されるため、排気ガス管の授受する熱エネルギーが低減され、その結果、排気ガス管の温度が低下する。
【0025】
このように、内燃機関の温度は、排気工程において上昇し、吸気工程、圧縮工程および爆発工程において下降し、つまり、経時的に上下する。
【0026】
とりわけ、上記の各工程は、ピストンサイクルに応じて、周期的に順次繰り返されるため、内燃機関における各気筒の排気ガス管は、上記の各工程の繰り返しの周期に伴って、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
【0027】
発光装置は、点灯(発光)時には、例えば、赤外線、可視光などの光の熱エネルギーにより温度上昇し、一方、消灯時には温度低下する。そのため、発光装置は、経時的に、点灯(発光)および消灯することにより、その温度が経時的に上下する。
【0028】
とりわけ、例えば、発光装置が、経時的に照明の点灯および消灯が断続的に繰り返される発光装置(明滅(点滅)式の発光装置)である場合には、その発光装置は、点灯(発光)時における光の熱エネルギーにより、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
【0029】
また、熱源2としては、さらに、例えば、複数の熱源を備え、それら複数の熱源間の切り替えにより、温度変化を生じることもできる。
【0030】
より具体的には、例えば、熱源として、低温熱源(冷却材など)と、その低温熱源より温度の高い高温熱源(例えば、加熱材など)との2つの熱源を用意し、経時的に、それら低温熱源および高温熱源を、交互に切り替えて用いる形態が挙げられる。
【0031】
これにより、熱源としての温度を、経時的に上下させることができ、とりわけ、低温熱源および高温熱源の切り替えを、周期的に繰り返すことにより、周期的に温度変化させることができる。
【0032】
切り替え可能な複数の熱源を備える熱源2としては、特に制限されないが、例えば、燃焼用低温空気供給系、蓄熱式熱交換器、高温ガス排気系、および、供給/排気切替弁を備えた高温空気燃焼炉(例えば、再公表96−5474号公報に記載される高温気体発生装置)、例えば、高温熱源、低温熱源および水素吸蔵合金を用いた海水交換装置(水素吸蔵合金アクチュエータ式海水交換装置)などが挙げられる。
【0033】
これら熱源2としては、上記熱源を単独使用または2種類以上併用することができる。
【0034】
熱源2として、好ましくは、経時により周期的に温度変化する熱源が挙げられる。
【0035】
また、熱源2として、好ましくは、内燃機関が挙げられる。
【0036】
第1デバイス3は、熱源2の温度変化に応じて電気分極するデバイスである。
【0037】
ここでいう電気分極とは、結晶の歪みにともなう正負イオンの変位により誘電分極し電位差が生じる現象、例えばピエゾ効果、および/または、温度変化により誘電率が変化し電位差が生じる現象、例えば焦電効果、および/または、温度変化や温度勾配などにより電荷に偏りが発生し電位差が生まれる現象、例えばゼーベック効果などのように、材料の両端に温度差が生じると起電力が発生する現象と定義する。
【0038】
このような第1デバイス3として、より具体的には、例えば、焦電効果により電気分極するデバイス、ゼーベック効果により電気分極するデバイス、ピエゾ効果により電気分極するデバイスなどが挙げられる。
【0039】
焦電効果は、例えば、絶縁体(誘電体)などを加熱および冷却する時に、その温度変化に応じて絶縁体が電気分極する効果(現象)であって、第1効果および第2効果を含んでいる。
【0040】
第1効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により自発分極し、絶縁体の表面に、電荷を生じる効果とされている。
【0041】
また、第2効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により結晶構造に圧力変形を生じ、結晶構造に加えられる応力または歪みにより、圧電分極を生じる効果(ピエゾ効果、圧電効果)とされている。
【0042】
このような焦電効果により電気分極するデバイスとしては、特に制限されず、公知の焦電素子を用いることができる。
【0043】
第1デバイス3として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、例えば、熱源2に対して、近接、または、後述する電極を介して接触するように、配置される。
【0044】
このような場合において、焦電素子は、熱源2の経時的な温度変化により、加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、焦電素子から電力が取り出される。
【0045】
また、このような焦電素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
【0046】
そのため、上記したように熱源2が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、焦電素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、焦電素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
【0047】
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
【0048】
ゼーベック効果は、例えば、金属または半導体の両端に温度差を生じさせると、その温度差に応じて、金属または半導体に起電力が生じる効果(現象)である。
【0049】
このようなゼーベック効果により電気分極するデバイスとしては、特に制限されず、公知の熱電変換素子を用いることができる。
【0050】
第1デバイス3として熱電変換素子が用いられる場合には、熱電変換素子は、例えば、その一方側端部が、熱源2に対して、近接、または、後述する電極を介して接触するとともに、他方側端部が熱源2から離間するように配置される。
【0051】
このような場合において、熱電変換素子は、その一方側端部のみが、熱源2の経時的な温度変化により、加熱または冷却され、その熱電変換素子の両端(一方側端部および他方側端部の間)に、温度差が生じる。このとき、ゼーベック効果により、熱電変換素子に起電力が生じる。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、熱電変換素子から電力が取り出される。
【0052】
また、このような熱電変換素子は、その両端における温度差が大きい場合には、起電力が高くなり、高電力を取り出すことができ、一方、温度差が小さい場合には、起電力が小さくなり、取り出される電力が低下する。
【0053】
そのため、上記したように熱源2が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、熱電変換素子の一方側端部の温度が、周期的に繰り返し上下するため、それに応じて、起電力の大きさの度合いが、周期的に上下する。
【0054】
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
【0055】
ピエゾ効果は、応力または歪みが加えられたときに、その応力または歪みの大きさに応じて電気分極する効果(現象)である。
【0056】
このようなピエゾ効果により電気分極する第1デバイス3としては、特に制限されず、例えば、薄膜型、バルク型などの、公知のピエゾ素子(圧電素子)を用いることができる。
【0057】
第1デバイス3としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、体積膨張が抑制された状態において、熱源2に対して、近接、または、後述する電極を介して接触するように、配置される。固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第2デバイス4(例えば、電極など)を用いることもできる。
【0058】
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、熱源2の経時的な温度変化により、加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
【0059】
このとき、ピエゾ素子は、固定部材により体積膨張が抑制されているため、ピエゾ素子は、固定部材に押圧され、ピエゾ効果(圧電効果)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、熱電変換素子から電力が取り出される。
【0060】
また、このようなピエゾ素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定(すなわち、体積一定)になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
【0061】
そのため、上記したように熱源2が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、ピエゾ素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、ピエゾ素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
【0062】
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
【0063】
これら第1デバイス3は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0064】
図2は、図1に示す第1デバイスの一実施形態を示す概略構成図である。
【0065】
上記の第1デバイス3は、図2に示すように、例えば、積層配置して用いることもできる。
【0066】
このような場合には、複数の第1デバイス3(好ましくは、焦電素子)の間に、後述する第2デバイス4(例えば、電極、導線など)を介在させ、これにより、各第1デバイス3を、電気分極時において電気的に直列となるように接続する。
【0067】
そして、このようにして得られる第1デバイス3の積層体を、図1に示すように、熱源2に接触または近接するように配置し、積層される各第1デバイス3を、同時に加熱または冷却する。
【0068】
これにより、複数の第1デバイス3を同時に電気分極させ、それらを電気的に直列接続することができ、その結果、第1デバイス3を単独で(単層として)用いる場合に比べ、大きな電力を取り出すことができる。
【0069】
図3は、図1に示す第1デバイスの他の実施形態を示す概略構成図である。
【0070】
上記の第1デバイス3は、図3に示すように、例えば、同一面状に整列配置して用いることもできる。
【0071】
このような場合には、複数の第1デバイス3の間を、後述する第2デバイス4(例えば、電極、導線など)により、電気分極時において電気的に直列となるように接続する。
【0072】
そして、このようにして整列配置された複数の第1デバイス3を、図1に示すように、熱源2に接触または近接するように配置し、整列配置される各第1デバイス3を、同時に加熱または冷却する。
【0073】
これにより、複数の第1デバイス3を同時に電気分極させ、それらを電気的に直列接続することができ、その結果、第1デバイス3を単独で用いる場合に比べ、大きな電力を取り出すことができる。
【0074】
なお、このとき、例えば、第1デバイス3が焦電素子である場合や、p型半導体からなる熱電変換素子、または、n型半導体からなる熱電変換素子のみを使用する場合などには、各第1デバイス3は、熱源2に接触または近接する一方側が、いずれも正極または負極となり、熱源2から離間する他方側が、いずれも負極または正極となるように電気分極する(図3(a)参照)。
【0075】
そのため、このような場合には、第1デバイス3の熱源2に接触または近接する側と、他の第1デバイス3の熱源2から離間する側とが、電気的に接続される。
【0076】
一方、例えば、第1デバイス3として、p型半導体からなる熱電変換素子、および、n型半導体からなる熱電変換素子を用い、それらを交互に配置する場合などには、p型半導体からなる熱電変換素子と、n型半導体からなる熱電変換素子とが逆方向に電気分極するため、各第1デバイス3の熱源2に接触または近接する一方側において、正極および負極が交互に整列配置される。
【0077】
そのため、このような場合には、第1デバイス3の熱源2に接触または近接する側と、他の第1デバイス3の熱源2に接触または近接する側とが電気的に接続され、また、第1デバイス3の熱源2から離間する側と、他の第1デバイス3の熱源2から離間する側とが、電気的に接続される(図3(b)参照)。
【0078】
図1において、第2デバイス4は、第1デバイス3から電力を取り出すために設けられる。
【0079】
このような第2デバイス4は、より具体的には、特に制限されないが、例えば、上記の第1デバイス3を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)、例えば、それら電極に接続される導線などを備えており、第1デバイス3に電気的に接続されている。
【0080】
そして、図1に示す発電システム1では、その第2デバイス4が、昇圧器5、交流/直流変換器(AC−DCコンバーター)6およびバッテリー7に、順次、電気的に接続されている。
【0081】
このような発電システム1により、発電するには、例えば、まず、熱源2の温度を経時的に上下、好ましくは、周期的に温度変化させ、その温度変化に応じて、上記した第1デバイス3を、好ましくは、周期的に電気分極させる。その後、第2デバイス4を介することにより、電力を、第1デバイス3の周期的な電気分極に応じて周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出す。
【0082】
このような熱電システム1において、熱源2の温度は、高温状態における温度が、例えば、500〜1200℃、好ましくは、700〜900℃であり、低温状態における温度が、上記の高温状態における温度未満、より具体的には、例えば、200〜800℃、好ましくは、200〜500℃であり、高温状態と低温状態との温度差が、例えば、10〜600℃、好ましくは、20〜500℃である。
【0083】
また、それら高温状態と低温状態との繰り返し周期は、例えば、10〜400サイクル/秒、好ましくは、30〜100サイクル/秒である。
【0084】
そして、このようにして発電システム1により取り出された電力を、第2デバイス4に接続される昇圧器5において、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)の状態で昇圧する。昇圧器5としては、交流電圧を、例えば、コイル、コンデンサなどを用いた簡易な構成により、優れた効率で昇圧できる昇圧器が、用いられる。
【0085】
次いで、昇圧器5において昇圧された電力を、交流/直流変換器6において直流電圧に変換した後、バッテリー7に蓄電する。
【0086】
このような発電システム1によれば、温度が経時的に上下する熱源2を用いるため、変動する電圧(例えば、交流電圧)を取り出すことができ、その結果、一定電圧(直流電圧)として取り出す場合に比べて、簡易な構成により、優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
【0087】
また、熱源2が、周期的に温度変化する熱源であれば、電力を、周期的に変動する波形として取り出すことができ、その結果、簡易な構成により、より優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
【0088】
図4は、本発明の発電システムが車載された一実施形態を示す概略構成図である。
【0089】
図4において、自動車10は、内燃機関11、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15を備えている。
【0090】
内燃機関11は、エンジン16、および、エキゾーストマニホールド17を備えている。
【0091】
エンジン16は、4気筒型4サイクル方式のエンジンであって、各気筒に、エキゾーストマニホールド17の分岐管18(後述)の上流側端部が接続されている。
【0092】
エキゾーストマニホールド17は、エンジン16の各気筒から排出される排気ガスを収束するために設けられる排気多岐管であって、エンジン16の各気筒に接続される複数(4つ)の分岐管18(これらを区別する必要がある場合には、図4の上側から順に、分岐管18a、分岐管18b、分岐管18cおよび分岐管18dと称する。)と、それら分岐管18の下流側において、各分岐管18を1つに統合する集気管19とを備えている。
【0093】
このようなエキゾーストマニホールド17では、分岐部18の上流側端部が、それぞれ、エンジン16の各気筒に接続されるとともに、分岐管18の下流側端部と集気管19の上流側端部とが接続されている。また、集気管19の下流側端部は、触媒搭載部12の上流側端部に接続されている。
【0094】
触媒搭載部12は、例えば、触媒担体およびその担体上にコーティングされる触媒を備えており、内燃機関11から排出される排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)などの有害成分を浄化するために、内燃機関11(エキゾーストマニホールド17)の下流側端部に接続されている。
【0095】
エキゾーストパイプ13は、触媒搭載部12において浄化された排気ガスをマフラー14に案内するために設けられており、上流側端部が触媒搭載部12に接続されるとともに、下流側端部がマフラー14に接続されている。
【0096】
マフラー14は、エンジン16(とりわけ、爆発工程)において生じる騒音を、静音化すために設けられており、その上流側端部がエキゾーストパイプ13の下流側端部に接続されている。また、マフラー14の下流側端部は、排出パイプ15の上流側端部に接続されている。
【0097】
排出パイプ15は、エンジン16から排出され、エキゾーストマニホールド17、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13およびマフラー14を順次通過し、浄化および静音化された排気ガスを、外気に放出するために設けられており、その上流側端部がマフラー14の下流側端部に接続されるとともに、その下流側端部が、外気に開放されている。
【0098】
そして、この自動車10は、図4において点線で示すように、発電システム1を搭載している。
【0099】
図5は、図4に示す発電システムの要部拡大図である。
【0100】
図5において、発電システム1は、上記したように、熱源2、第1デバイス3および第2デバイス4を備えている。
【0101】
この発電システム1では、熱源2として、内燃機関11におけるエキゾーストマニホールド17の分岐管18が用いられており、その分岐管18の周囲に、第1デバイス3が配置されている。
【0102】
第1デバイス3としては、上記したように、公知の焦電素子(例えば、BaTiO、CaTiO、(CaBi)TiO、BaNdTi14、BaSmTi12、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)など)、公知の熱電変換素子(例えば、Bi−Te系熱電変換素子(例えば、BiTe、BiTe/SbTeなど))、PbTe、AgSbTe/GeTe、NaCo、CaCoO、SrTiO/SrTiO:Nb、SiGe、β−FeSi、BaSi46、MgSi、MnSi1.73、ZnSb、ZnSb、CeFeCoSb12、LaFeCoSb12、SrTiO/SrTiO:Nb/SrTiO、Siナノワイヤー・アレイ、NaCo、(Ce1−xLa)Ni、(Ce1−xLa)In、CeInCu、NaV、Vなど)、公知のピエゾ素子(例えば、水晶(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、リチウムテトラボレート(Li)、ランガサイト(LaGaSiO14)、窒化アルミニウム(AlN)、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)などを用いることができる。
【0103】
第1デバイス3が、焦電素子および/またはピエゾ素子(絶縁体(誘電体))である場合には、そのキュリー点は、例えば、−77℃以上、好ましくは、−10℃以上であり、例えば、1300℃以下、好ましくは、900℃以下である。
【0104】
また、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率は、例えば、1以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、2000以上である。
【0105】
このような発電システム1では、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率が高いほど、エネルギー変換効率が高く、高電圧で電力を取り出すことができるが、第1デバイス3の比誘電率が上記下限未満であれば、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
【0106】
なお、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))は、熱源2の温度変化によって電気分極するが、その電気分極は、電子分極、イオン分極および配向分極のいずれでもよい。
【0107】
例えば、配向分極によって分極が発現する材料(例えば、液晶材料など)では、その分子構造を変化させることにより、発電効率の向上を図ることができるものと期待されている。
【0108】
第1デバイス3が、熱電変換素子である場合には、その性能は、例えば、下記式(1)により示される。
【0109】
ZT=SσT/κ (1)
(式中、Zは、性能指数を示し、Tは、絶対温度を示し、Sは、ゼーベック係数を示し、σは、電気伝導率を示し、κは、熱伝導率を示す。)
このような第1デバイス3(熱電変換素子)において、そのZT値(無次元性能指数)は、例えば、0.3以上である。
【0110】
ZT値(無次元性能指数)が上記下限未満である場合には、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
【0111】
また、通常、熱電変換素子は、材料内部の温度差で発電するため、熱伝導率が低いほど、エネルギー変換効率が高くなるが、この発電システム1では、第1デバイス3(熱電変換素子)両端の温度差が必要なく、そのため、第1デバイス3(熱電変換素子)の熱伝導率は、特に制限されない。
【0112】
第2デバイス4は、第1デバイス3を挟んで対向配置される2つの電極、および、それら電極に接続される導線を備えている。なお、第1デバイス3の一方側面に配置される電極および導線は、第1デバイス3と分岐管18(熱源2)との間に介在するように配置されており、第1デバイス3の他方側面に配置される電極および導線は、分岐管18(熱源2)に接触することなく、露出されている。
【0113】
また、発電システム1は、図4に示すように、昇圧器5、交流/直流変換器6およびバッテリー7に、順次、電気的に接続されている。
【0114】
そして、このような自動車10では、エンジン16の駆動により、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返され、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が順次実施される。
【0115】
より具体的には、例えば、分岐管18aに接続される気筒、および、分岐管18cに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、高温の排気ガスが、分岐管18aおよび分岐管18cの内部を排気工程において通過する。
【0116】
このとき、分岐管18aおよび分岐管18cの温度は、排気工程において上昇し、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)において下降するので、ピストンサイクルに応じて、経時的に上下し、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
【0117】
一方、それら2つの気筒とはタイミングを異にして、分岐管18bに接続される気筒、および、分岐管18dに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、分岐管18aおよび分岐管18cとは異なるタイミングにおいて、高温の排気ガスが、分岐管18bおよび分岐管18dの内部を排気工程において通過する。
【0118】
このとき、分岐管18bおよび分岐管18dの温度は、排気工程において上昇し、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)において下降するので、ピストンサイクルに応じて、経時的に上下し、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
【0119】
この周期的な温度変化は、分岐管18aおよび分岐管18cの周期的な温度変化とは、周期が同じである一方、位相が異なる。
【0120】
そして、この発電システム1では、各分岐管18(熱源2)に、第1デバイス3が配置されている。
【0121】
そのため、各分岐管18(熱源2)の経時的な温度変化により、第1デバイス3を、周期的に高温状態または低温状態にすることができ、第1デバイス3を、その素子(例えば、焦電素子、熱電変換素子、ピエゾ素子など)に応じた効果(例えば、焦電効果、ゼーベック効果、ピエゾ効果など)により、電気分極させることができる。
【0122】
そのため、この発電システム1では、第2デバイス4を介して、各第1デバイス3から電力を周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
【0123】
また、この発電システム1では、分岐管18aおよび分岐管18cの温度と、分岐管18bおよび分岐管18dの温度とが、同じ周期、かつ、異なる位相で周期的に変化するため、電力を、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、連続的に取り出すことができる。
【0124】
そして、排気ガスは、各分岐管18を通過した後、集気管19に供給され、集気された後、触媒搭載部12に供給され、その触媒搭載部12に備えられる触媒により浄化される。その後、排気ガスは、エキゾーストパイプ13に供給され、マフラー14において静音化された後、排出パイプ15を介して、外気に排出される。
【0125】
このとき、各分岐管18内を通過する排気ガスは、集気管19において集気されるので、集気管19、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15を順次通過する排気ガスは、その温度が、平滑化されている。
【0126】
そのため、温度が平滑化されたこのような排気ガスを通過させる集気管19、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15の温度は、通常、経時的に上下することなく、ほぼ一定である。
【0127】
そのため、集気管19、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14または排出パイプ15を熱源2として用い、その周囲に、上記した第1デバイス3を、第2デバイス4を介して配置する場合には、第1デバイス3から取り出される電力は、その電圧が小さく、また、一定(直流電圧)である。
【0128】
そのため、このような方法では、得られる電力を、簡易な構成で効率良く昇圧することができず、蓄電効率に劣るという不具合がある。
【0129】
一方、上記したように、内燃機関11(分岐管18)を熱源2として採用する発電システム1では、その熱源2の経時的な温度変化により、第1デバイス3を、周期的に高温状態または低温状態にすることができ、第1デバイス3を、そのデバイス(例えば、焦電素子、熱電変換素子、ピエゾ素子など)に応じた効果(例えば、焦電効果、ゼーベック効果、ピエゾ効果など)により、周期的に電気分極させることができる。
【0130】
そのため、この発電システム1では、第2デバイス4を介して、各第1デバイス3から電力を周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
【0131】
その後、この方法では、例えば、図4において点線で示すように、上記により得られた電力を、第2デバイス4に接続される昇圧器5において、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)の状態で昇圧し、次いで、昇圧された電力を、交流/直流変換器6において直流電圧に変換した後、バッテリー7に蓄電する。バッテリー7に蓄電された電力は、自動車10や、自動車10に搭載される各種電気部品の動力などとして、適宜、用いることができる。
【0132】
そして、このような発電システム1によれば、温度が経時的に上下する熱源2を用いるため、変動する電圧(例えば、交流電圧)を取り出すことができ、その結果、一定電圧(直流電圧)として取り出す場合に比べて、簡易な構成により、優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
【0133】
なお、詳しくは図示しないが、第1デバイス3は、その素子の種類や、必要および用途に応じて、図2に示すように、積層配置して用いることができ、さらには、図3に示すように、同一面状に整列配置して用いることもできる。
【0134】
第1デバイス3を、積層配置および/または同一面状に整列配置して用いれば、複数の第1デバイス3を同時に電気分極させるとともに、それらを電気的に直列接続することができ、その結果、第1デバイス3を単独で用いる場合に比べ、大きな電力を取り出すことができる。
【0135】
なお、上記した説明では、分岐管18の周囲(外側壁)に、第1デバイス3を配置したが、温度変化を平均化することなく第1デバイス3に伝達させるため、分岐管18の内部(例えば、内側壁)に第1デバイス3を配置することが好ましい。
【実施例】
【0136】
以下において、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
【0137】
実施例1(焦電効果)
図6は、実施例1において用いた発電システムの概略構成図である。
【0138】
第1デバイス3として、焦電素子(品番:WG197、チタン酸カルシウム(CaTiO)(微量のBiを含む。)、結晶構造:ペロブスカイト型、比誘電率:197、静電容量:0.75nF、サイズ:25mm×25mm×1.3mm、日本タングステン社製)を用い、その表面および裏面に、銀ペーストを20mm×20mm×0.1mmの大きさとなるように塗布した。
【0139】
その後、昇温速度10℃/minで0℃から120℃まで加熱し、120℃において1時間保持した後、引き続き、昇温速度10℃/minで500℃まで加熱し、500℃で1時間保持した。その後、降温速度10℃/minで常温まで冷却し、これにより、焦電素子の両面に、第2デバイス4aとしての銀電極を形成した。
【0140】
その後、銀電極を備えた焦電素子を、金属製の配管22上に載置し、銀電極とデジタルマルチメータ21とを、第2デバイス4bとしての導線により接続した。
【0141】
熱源2としてドライヤー(噴出エア温度:250〜300℃)を用い、その噴射口を焦電素子に向けるとともに、噴射口が焦電素子から1cm離間するように、ドライヤーおよび焦電素子を、それぞれ配置した。
【0142】
ドライヤーから熱風を噴き出し、経時的にドライヤーのON/OFFを切り替えることにより、温度を経時的に上下させ、この温度変化により、焦電素子を電気分極させ、電極および導線を介して、発電電圧(電力)を取り出した。
【0143】
ドライヤーによる焦電素子の温度変化を観測するとともに、焦電素子から取り出された電力の電圧変化をデジタルマルチメータ21により観測した。
【0144】
なお、焦電素子の温度変化としては、近似値として、焦電素子が接触する配管の温度を測定した。発電電圧と温度変化との関係を、図7に示す。
【0145】
実施例2(ゼーベック効果)
図8は、実施例2において用いた発電システムの概略構成図である。
【0146】
第1デバイス3として、熱電変換素子(品番:KSEH02031Z−ABE、Bi−Te系サーモ・モジュール、メタライズ:CuNiAu、サイズ:8mm×8mm×1.5mm(約0.8mm×0.8mm×1mmの熱電材料62本で構成されている。)、KELK社製)を用いた。
【0147】
熱電変換素子(メタライズ済)の一方側表面に、光を吸収させるために、カーボン(図示せず)を塗布し、20℃の水冷板26に他方側端面が接触するように載置するとともに、熱電変換素子に接続される導線と、オシロスコープ27とを、第2デバイス4としての導線により接続した。
【0148】
熱源2として、ソーラーシミュレーター23(光源:メタルハライドランプ、1000W/m)、集光レンズ24および回転翼式のチョッパー25を用い、そのソーラーシミュレーター23の光を集光レンズ24にて集光するとともに、チョッパー25を回転させ、周期的に光を遮ることにより、断続光とした。
【0149】
ソーラーシミュレーター23の光源が、熱電変換素子から60cm離間するように、ソーラ−シミュレーター23および熱電変換素子を、それぞれ配置した。
【0150】
他方側表面の温度を水冷板26により20℃に保ちながら、チョッパー25のチョッピング周波数を0.12Hzとし、その断続光の熱エネルギーにより、熱電変換素子の一方側表面の温度を周期的に変化させた。
【0151】
この熱電変換素子の一方側表面の温度変化、および、一方側表面と他方側表面との間における温度差により、熱電変換素子を電気分極させ、導線を介して、電力を取り出した。
【0152】
断続光の照射周期を観測するとともに、熱電変換素子から取り出された電力の電圧変化をオシロスコープ27により観測した。発電電圧と断続光の照射周期との関係を、図9に示す。
【0153】
チョッパーのチョッピング周波数を、0.13Hz、0.38Hz、0.56Hz、0.80Hzおよび1.06Hzとし、それぞれにおいて、熱電変換素子から取り出された電力の電圧変化をオシロスコープ27により観測した。発電電圧と断続光の照射周期との関係を、図10、図11、図12、図13および図14に、それぞれ示す。
(考察)
実施例1および2からわかるように、このような発電システムによれば、温度が経時的に上下する(周期的に変化する)熱源から、電力を、その変化に応じて変動する波形として取り出すことができる。
【0154】
また、実施例2からわかるように、温度変化の周期が長い場合において、最大の発電効率で電力を取り出すことができる。
【0155】
実施例3(ピエゾ効果1)
薄膜型のピエゾ素子(構造:Pb(Zr,Ti)O、製番:VSB50EWH0301B、タイプ:丸型フライングリード、トーンタイプ:外付けドライブ、寸法:直径50mm、静電容量:600nF[120Hz]、インピーダンス:300Ω[1kHz]、共振周波数:400 Hz、振動周波数帯:250Hz〜20kHz、村田製作所製)を、電圧計(入力抵抗:10MΩ)に接続した。
【0156】
熱源としてドライヤー(噴出エア温度:50〜200℃)を用い、その噴射口を圧電素子に向けるとともに、噴射口が圧電素子から5cm離間するように、ドライヤーおよび圧電素子を、それぞれ配置した。
【0157】
ドライヤーから熱風を噴き出し、経時的にドライヤーのON/OFFを切り替えることにより、温度を経時的に上下させ、この温度変化により、圧電素子を電気分極させ、電極および導線を介して、発電電圧(電力)を取り出した。
【0158】
なお、ドライヤーによる加熱と放冷とは、まず、加熱/放冷=10s/20s周期で切り替え、その後、加熱/放冷=5s/15s周期で切り替えた。
【0159】
そして、圧電素子から取り出された電力の電圧変化を電圧計により観測した。
【0160】
発電電圧と温度変化との関係を、図15に示す。
【0161】
また、図15において、加熱/放冷=10s/20sである範囲を拡大して図16に示し、さらに、加熱/放冷=5s/15sである範囲を拡大して図17に示す。
【0162】
実施例4(ピエゾ効果2)
バルク型のピエゾ素子(構造:NbおよびSn添加PZT(Nb/Sn/Pb(Zr,Ti)O)、製番:H5C、住友金属エレクトロデバイス製)を、電圧計(入力抵抗:10MΩ)に接続した。
【0163】
熱源としてドライヤー(噴出エア温度:50〜300℃)を用い、その噴射口を圧電素子に向けるとともに、噴射口が圧電素子から5cm離間するように、ドライヤーおよび圧電素子を、それぞれ配置した。
【0164】
ドライヤーから熱風を噴き出し、経時的にドライヤーのON/OFFを切り替えることにより、温度を経時的に上下させ、この温度変化により、圧電素子を電気分極させ、電極および導線を介して、発電電圧(電力)を取り出した。
【0165】
なお、ドライヤーによる加熱と放冷とは、まず、加熱/放冷=250s/250s周期で切り替えた。そして、圧電素子から取り出された電力の電圧変化を電圧計により観測した。発電電圧と温度変化との関係を、図18に示す。
【0166】
また、加熱/放冷=100s/100s周期で切り替え、同様に、圧電素子から取り出された電力の電圧変化を電圧計により観測した。発電電圧と温度変化との関係を、図19に示す。
【0167】
さらに、加熱/放冷=10s/15s周期で切り替え、同様に、圧電素子から取り出された電力の電圧変化を電圧計により観測した。発電電圧と温度変化との関係を、図20に示す。
【符号の説明】
【0168】
1 発電システム
2 熱源
3 第1デバイス
4 第2デバイス
5 昇圧器
6 交流/直流変換器
7 バッテリー
10 自動車
11 内燃機関
12 触媒搭載部
13 エキゾーストパイプ
14 マフラー
15 排出パイプ
16 エンジン
17 エキゾーストマニホールド
18 分岐管
19 集気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度が経時的に上下する熱源と、
前記熱源の温度変化により電気分極する第1デバイスと、
前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスと
を備えることを特徴とする、発電システム。
【請求項2】
前記熱源が、周期的に温度変化することを特徴とする、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記第2デバイスが、電力を、周期的に変動する波形として取り出すことを特徴とする、請求項1または2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記熱源が、内燃機関であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項5】
前記第1デバイスが、ピエゾ効果により電気分極することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項6】
前記第1デバイスが、焦電効果により電気分極することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項7】
前記第1デバイスが、ゼーベック効果により電気分極することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項8】
前記熱源は、複数備えられ、
複数の前記熱源間の切り替えにより、温度変化を生じることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−250675(P2011−250675A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81732(P2011−81732)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)