発電ユニットおよび発電装置
【課題】圧電素子を用いて効率的に安定的な発電を行うことを可能とする発電ユニットを提供する。
【解決手段】本発明の発電ユニットは、筐体(C)と、この筐体内に配設され筐体への入力に応じて振動する第1振動板(P1)と第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子(E1)とからなる第1振動圧電体(B1)と、同様な第2振動板(P2)と第2振動板に接合され第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子(E1)とからなり、第1振動圧電体と異なる周波数で共振する第2振動圧電体(B2)とを少なくとも備えることを特徴とする。各振動圧電体は異なる周波数で共振するので、効率的な発電が広域の入力周波数に対して安定的になされ得る。
【解決手段】本発明の発電ユニットは、筐体(C)と、この筐体内に配設され筐体への入力に応じて振動する第1振動板(P1)と第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子(E1)とからなる第1振動圧電体(B1)と、同様な第2振動板(P2)と第2振動板に接合され第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子(E1)とからなり、第1振動圧電体と異なる周波数で共振する第2振動圧電体(B2)とを少なくとも備えることを特徴とする。各振動圧電体は異なる周波数で共振するので、効率的な発電が広域の入力周波数に対して安定的になされ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動エネルギー等の機械的エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換し得る発電ユニットおよびそれを用いた発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境意識の高揚に伴い、省エネルギー化や環境負荷の小さいエネルギー創出が求められている。その一つとして、圧電素子を利用した発電が注目されている。圧電素子にはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(Zr,Ti)O3)等があり、圧電素子はある特定方向に圧力を加えると電気分極が誘起されて電圧を発生させる。この圧電素子を利用すれば、機械的変位が電圧に変換されるので、発電が可能となる。もっとも、利用可能な電力を取り出すには、圧電素子に継続的な変位を加える必要がある。そこで、圧電素子を振動板に取り付け、振動板の振幅を利用して圧電素子に継続的な変位を与えて発電可能とした発電ユニットが下記の特許文献などに提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−49388号公報
【特許文献2】特開2006−166694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献には、振動板および圧電素子を共振させることで、出力を高められる旨が記載されている。しかし、効率的な発電を安定して行えるような、現実の利用に適した具体策については触れられていない。
なお、特許文献2の図6には、振動板と圧電素子を接合した振動圧電体を筐体内に複数配設した音力発電装置が記載されている。もっとも、その発電装置は、出力電圧を高めるために、単に同じ仕様の振動圧電体を複数並列的に配設しているに過ぎない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。すなわち本発明は、圧電素子を用いて効率的な発電を安定的に行うことを可能とする発電ユニットおよびそれを用いた発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、振動板と圧電素子を接合した振動圧電体であって、異なる周波数で共振するか、または異なる方向の入力に対して共振するものを筐体内に複数配設することを新たに思いついた。この発想を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
【0007】
《発電ユニット》
(1)本発明の発電ユニットは、筐体と、該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第1振動板と該第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子とからなる第1振動圧電体と、該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第2振動板と該第2振動板に接合され該第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子とからなり、該第1振動圧電体と異なる周波数で共振する第2振動圧電体とを少なくとも備え、該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする。
【0008】
(2)また本発明の発電ユニットは、筐体と、該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第1振動板と該第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子とからなる第1振動圧電体と、該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第2振動板と該第2振動板に接合され該第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子とからなり、該第1振動圧電体とは筐体内における共振方向が異なる第2振動圧電体とを少なくとも備え、該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする。
【0009】
(3)本発明の発電ユニットは、機械的エネルギーを電気エネルギーに効率的に変換し得る複数の振動圧電体を有する。しかもこれらの振動圧電体は、異なる周波数で共振するか(本明細書ではこれを適宜「共振周波数が異なる」と便宜的に表現する)、または
異なる方向の入力に対して共振する(本明細書ではこれを適宜「共振方向が異なる」と便宜的に表現する)。
このため、大きさや方向が様々に異なる入力が振動圧電体を収納する筐体へ加えられても、本発明の発電ユニットはそれらの入力に幅広く対応できる。その結果、本発明の発電ユニットは、機械的エネルギーを安定して吸収し、効率的に電気エネルギーへ変換し得る。
【0010】
(4)勿論、本発明の発電ユニットは、異なる周波数で共振する第1振動圧電体と第2振動圧電体が、さらに、筐体内での共振方向が異なると好適である。
なお本明細書では、本発明の内容を明確にするために、便宜的に「第1」、「第2」等の表現を用いているが、振動板、圧電素子および振動圧電体の基本的な構造や構成は同じでもよい。また振動圧電体等の数は、同一筐体内に最低2つあればよく、共振周波数や共振方向がそれぞれ異なる振動圧電体等が3以上であればより好ましい。勿論、共振周波数や共振方向が異なる振動圧電体が複数存在することを前提に、共振周波数や共振方向が同じ振動圧電体が同一筐体内に複数存在してもよい。
【0011】
《発電装置》
本発明の発電ユニットは、単体でも発電装置として機能するが、複数組合わせて発電装置とすることもできる。いずれの場合でも、本発明に係る圧電素子は振動板の振幅に応じて電圧を発生させるので、その出力は通常は交流となる。消費電力の小さい機器への電力供給や出力電圧の増大などを考慮すると、交流出力よりも直流出力の方が利用し易い場合も多い。そこで、前記の第1振動圧電体および第2振動圧電体の出力を直流に整流する整流器があると好適である。さらに、その整流器からの出力を蓄電するコンデンサまたは電池を備えると、供給電力または供給電圧の安定化を図れるので好ましい。
【0012】
整流器は、前記の発電ユニットの筐体内に組み入れてもよいし、発電ユニットとは別に設けてもよい。コンデンサまたは電池についても同様である。本発明の発電装置は、発電ユニット単体として解しても、複数の発電ユニットを組み合わせた発電セットとして解しても、その発電ユニットまたは発電セットに接続された外部機器を含めた発電システム全体として解しても、いずれでもよい。
【0013】
《その他》
特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は、下限値xおよび上限値yを含む。また、本明細書に記載した種々の下限値または上限値は、任意に組合わされて「a〜b」のような範囲を構成し得る。さらに、本明細書に記載した範囲内に含まれる任意の数値を、数値範囲を設定するための上限値または下限値とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】片持ち支持した振動圧電体の基本構造例を示す部分断面図である。
【図2】両端で支持した振動圧電体の基本構造例を示す部分断面図である。
【図3】中央で支持した振動圧電体の基本構造例を示す部分断面図である。
【図4】片持ち支持した振動圧電体を複数組み合わせた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図5】両端で支持した振動圧電体を複数組み合わせた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図6】中央で支持した振動圧電体を複数組み合わせた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図7】共振する方向が異なる振動圧電体を複数組み合わせた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図8A】増幅流体を筐体内へ封入した発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図8B】その増幅流体が筐体と振動板からなる閉塞空間の一部に充填された発電ユニットの別の実施形態を示す断面図である。
【図9A】増幅流体の流路にストレート状の絞りを設けた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図9B】その増幅流体が筐体と振動板からなる閉塞空間の一部に充填された発電ユニットの別の実施形態を示す断面図である。
【図10A】増幅流体の流路にテーパー状の絞りを設けた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図10B】その増幅流体が筐体と振動板からなる閉塞空間の一部に充填された発電ユニットの別の実施形態を示す断面図である。
【図11】片持ち支持した振動圧電体に設けた錘の質量と共振周波数の関係を示すグラフである。
【図12】その振動圧電体の共振周波数と出力電圧の関係を示すグラフである。
【図13】発電装置の回路図である。
【図14】片持ち支持した振動圧電体による蓄電圧の時間変化を示すグラフである。
【図15】その振動圧電体に設けた錘Wの質量と蓄電圧の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0015】
S 支持体
P 振動板
E 圧電素子
W 錘
B 振動圧電体
C 筐体
1〜10 発電ユニット
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含めて本明細書で説明する内容は、本発明に係る発電ユニットのみならず、それを含む発電装置等にも適宜適用され得る。従って、上述した本発明の構成に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成を付加し得る。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは、要求される仕様等によって異なる。
【0017】
《振動圧電体》
振動圧電体は、基本的に、振動板とその振動板に接合されて一体的に変形する圧電素子とからなる。
(1)圧電素子
圧電素子は、ある特定方向に圧力(変形)を加えると電気分極が誘起されて電圧を発生する素子、つまり圧電効果を発現する素子である。圧電素子の材質、形態、種類などの諸元は、適宜、用途に応じて適切なものを選択すればよい。圧電素子の材料(圧電体)には、例えば、チタン酸バリウム、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(Zr,Ti)O3)等の圧電セラミックス、KNN((K、Na)NbO3)系等の非鉛圧電セラミックス、リチウムタンタレート(LiTaO3)などの圧電単結晶などがある。圧電素子は、基本的に、そのような圧電体を2枚の電極で挟持した素子である。また圧電素子はモノモルフ型、複数の圧電体を積層したバイモルフ型または積層型等のいずれでもよい。さらに、圧電素子(圧電体や電極など)の表面に適切な溝等を形成して、変形に対する追従性(剛性)、共振方向、共振周波数などを調整したものでもよい。
【0018】
(2)振動板
振動板は、筐体への入力に応じて振動し、圧電素子に変位を与えたり、その変位を増幅または継続させたりする。振動圧電体が共振するとき、振動板の振幅が極大となり、圧電素子へ加わる変形も極大となる。
【0019】
振動板の材質、形態(形状やサイズなど)等は、発電ユニットの仕様に適したものを選択すればよい。例えば、振動板の材質は、発電量を多くするために、振動の吸収能や減衰能などが小さいものが好ましい。具体的には、アルミニウム、鉄、真鍮などの金属材料等がある。振動板の形態も、筐体への入力振動(共振周波数、共振方向、振幅等)などに適したものにすればよい。例えば、振動板の剛性が低くなると、一般的に共振周波数が低下し、振幅(変位)が大きくなる。これにより、振動板が弾性限内で振動する限りで、圧電素子の出力を増大させ得る。また振動板の形状は、圧電素子や筐体の形状に応じて、丸型、楕円形、方形など、いずれでもよい。
【0020】
《増幅体》
(1)増幅体は、振動圧電体(振動板または圧電素子)に設けられて、振動板の振幅を増幅させる。この増幅体により、圧電素子に加える変形が増加し、発電ユニットの出力が向上し得る。
【0021】
増幅体は、例えば、振動板に配設された増幅錘である。この増幅錘の質量や配設位置により、振動板の振幅の増幅量を調整できる。さらには振動圧電体の共振周波数の調整も可能である。このため、同じ振動板および圧電素子を用いても、配設する増幅錘の質量や取付位置を変更、調整するだけで、振動圧電体毎に共振周波数さらには共振方向をも容易に変更し得る。
【0022】
(2)増幅体は、筐体への入力に応じて流動し、少なくとも一つの振動板を押圧し得る増幅流体でもよい。すなわち本発明は、筐体と、筐体内に配設され筐体への入力に応じて振動する振動板と振動板に接合され振動板の変位に応じた電圧を出力する圧電素子とからなる振動圧電体と、筐体への入力に応じて流動し振動板を押圧して振動板の振幅を増幅させ得る増幅流体とを備え、筐体への入力に応じて発電することを特徴とする発電ユニットでもよい。
振動板の支持構造を勘案して、振動板の振幅をより増幅させる位置に増幅流体の絞りを設けてもよい。さらにその絞りの向きを調整して、増幅流体による増幅方向を調整してもよい。さらに、増幅流体は、筐体と振動板とにより区画された閉塞空間を完全に充填していてもよいし、その一部を充填しているだけでもよい。例えば、その閉塞空間対する増幅流体の充填率は、10〜100%、さらには30〜100%であると発電量の増加を図れて好ましい。
この他、増幅体は、筐体への入力に応じて振動板へ繰り返し衝突する衝突体(鋼球など)等でもよい。
【0023】
《筐体》
筐体は、上記の振動圧電体、特に振動板を振動可能に支持する。筐体による支持は、一点で支持されても、2点以上で支持されてもよい。具体的には、片持ち支持、両端支持、中央支持などがある。これら支持方法により、各振動圧電体の共振周波数や共振方向も変化し得る。
【0024】
筐体は、必ずしも振動圧電体を包囲する箱形である必要はない。また、密閉式である必要もない。筐体の材質、強度などは、発電ユニットの使用環境、共振周波数、共振方向などを考慮して適宜選択されればよい。もっとも、筐体の材質や形態は、外力や振動などを吸収または減衰させずに、効率的に振動圧電体へ伝達するものであると好ましい。
【0025】
《発電ユニットの実施形態》
発電ユニットの具体的な形態例を図1〜10に示した。
(1)本発明の発電ユニットの基本的な構造を図1〜3に例示した。図1に部分的に示した発電ユニット1は、金属製(例えば、バネ鋼製)の振動板Pと、振動板Pに一方の電極が接合された圧電素子Eと、振動板Pの一端側を支持する支持体S1と、振動板Pの他端側に配設した錘Wとからなる。なお、支持体S1は筐体と兼用し得る。
以降では、振動板Pおよび圧電素子Eを合わせ振動圧電体Bというが、適宜、錘Wをも含めて振動圧電体Bということもある。また基本的に同じ構造または作用を有する部材には、混乱を生じない範囲で、便宜的に同じ符号を付して説明する。
【0026】
ところで発電ユニット1の場合、振動板Pの支持構造がいわゆる片持ち式(カンチレバー)となっている。振動板Pのたわみ(変形)は図示した振動方向で極大となり得る。その先端には錘W(増幅体)が配設されているので、振動板Pのたわみは増幅され、先端側ほど大きくなる。つまり、図示した振動方向に振動(励起)させる加振力が外部から支持体S1へ入力されると、振動板Pは大きく変形し(撓み)、圧電素子Eの大きな出力が期待される。
【0027】
図2に示した発電ユニット2は、振動板Pの両端を支持体S2で支持し、振動板Pの中央に接合された圧電素子Eのさらに上面中央に錘Wを配設した場合である。発電ユニット2は、もともと支持構造的にたわみが大きくなる中央部に、さらに錘Wが配設されている。このため、図示した振動方向に振動(励起)させる加振力が外部から支持体S2へ入力されると、振動板Pは中央付近で大きく変形し(撓み)、圧電素子Eの大きな出力が期待される。
【0028】
図3に示した発電ユニット3は、振動板Pの中央を支持体S3で支持し、振動板Pの両端に錘W11、W12を配設した場合である。この場合も支持構造的に振動板Pのたわみが大きくなる端部に、錘W11および錘W12がそれぞれ配設されている。このため、図示した振動方向に振動(励起)させる加振力が外部から支持体S3へ入力されると、振動板Pは両端付近で大きく変形し(撓み)、圧電素子Eの大きな出力が期待される。
【0029】
(2)図1〜3に示したような種々の方法で支持された振動圧電体を、同一の筐体内に複数配設した発電ユニットを図4〜6に例示した。
図4に示した発電ユニット4は、一つの筐体C4内に片持ち支持した3つの振動圧電体B1、B2、B3を、上下方向に縦列配置したものである。各振動圧電体B1、B2、B3を構成する振動板P1、P2、P3および圧電素子E1、E2、E3は同一である。ただし、振動板P1、P2、P3の各端部に配設した錘W1、W2、W3は、質量がそれぞれ異なっている。このため、各振動圧電体B1、B2、B3が共振する周波数も、錘W1、W2、W3の質量に応じてそれぞれ異なる。
図示した振動方向の加振力が外部から筐体C4へ入力されると、幅広い周波数域で振動板P1、P2、P3の少なくとも一つが、解放端側で大きく揺動することになる。これにより、大きな出力(発電)が広い振動周波数域(いわゆる広帯域)で安定的に得られる。
【0030】
なお、各圧電素子E1、E2、E3の出力は、筐体C4の外側に設けられた出力端子へ導かれている。この出力端子の一方には、各圧電素子E1、E2、E3の一方の電極が接合された各振動板P1、P2、P3の各端部に結線されている。出力端子の他方は、各圧電素子E1、E2、E3の他方の電極にそれぞれ結線されている。以降の形態例でも結線方法は基本的に同様であり、その限りにおいて結線に関する説明を省略する。
【0031】
図5に示した発電ユニット5は、一つの筐体C5内に両端支持した3つの振動圧電体B1、B2、B3を、上下方向に縦列配置したものである。
各振動圧電体B1、B2、B3を構成する振動板P1、P2、P3および圧電素子E1、E2、E3は同一である。ただし、振動板P1、P2、P3の各裏面(圧電素子E1、E2、E3が配設されていない面)の中央部に配設した錘W1、W2、W3は質量がそれぞれ異なっている。このため、各振動圧電体B1、B2、B3が共振する周波数はそれぞれ異なる。
図示した振動方向の加振力が外部から筐体C5へ入力されると、幅広い周波数域で、振動板P1、P2、P3の少なくとも一つが中央付近で大きく揺動し、大きな出力(発電)が広い振動周波数域(広帯域)で安定的に得られる。
【0032】
図6に示した発電ユニット6は、一つの筐体C6内に中央部で支持した3つの振動圧電体B1、B2、B3を、上下方向に縦列配置したものである。各振動圧電体B1、B2、B3を構成する振動板P1、P2、P3および圧電素子E1、E2、E3は同一である。 ここで錘W11、W12、W13、錘W21、W22、W23の質量は、左右では同じか異なっており、上下では異なっている。例えば、上下方向の錘W11、W12、W13の質量がそれぞれ異なっていても、左右の錘W11、W12の質量がそれぞれ異なっていてもよい。錘の質量が異なる振動圧電体間で、その共振する周波数が異なる。6つの錘の質量が相互に異なる場合、各振動圧電体が共振する周波数がより広帯域化する。
図示した振動方向の加振力が外部から筐体C6へ入力されると、より幅広い周波数域で、振動板P1、P2、P3の少なくとも一つが両端または一端側で大きく揺動する。こうして、発電ユニット6の出力(発電)がより広い振動周波数域(広帯域)で安定的に得られることになる。
【0033】
(3)図7に示した発電ユニット7は、一つの筐体C7内に、4つの振動圧電体B1、B2、B3、B4を菱形状に配置したものである。振動圧電体B1、B2、B3、B4の一端側は筐体C7の各内壁面にそれぞれ支持されており、それらの他端側はそれぞれ解放端になっている。
各振動圧電体B1、B2、B3、B4を構成する振動板P1、P2、P3、P4および圧電素子E1、E2、E3、E4は同一である。さらに、振動板P1、P2、P3、P4の各端部に配設した錘W1、W2、W3、W4も同一である。
筐体C7へ、図示したように様々な方向から入力があっても、振動板P1、P2、P3、P4の少なくとも一つは、先端側で大きく揺動する可能性が高い。このため、入力方向が一定でない場合であっても、出力(発電)の安定化を図り得る。
【0034】
(4)両端支持した振動圧電体Bを筐体C内に配設し、その筐体Cに増幅流体Lを入れた発電ユニットを図8A、図8B、図9A、図9B、図10Aおよび図10Bに例示した。振動圧電体Bは振動板Pの中央に圧電素子Eが接合されてなり、その圧電素子Eの上に錘Wが配設されている。なお、便宜上、それら図面には一つの振動圧電体Bしか示していないが、振動圧電体Bを複数設ける方が好ましいことはいうまでもない。
図8Aに示した発電ユニット8は、振動板Pの裏面全体に接するように(つまり充填率100%となるように)、増幅流体Lを筐体C内に封入したものである。図8Bに示した発電ユニット8’は、その増幅流体Lを振動板Pと筐体Cとにより形成された密閉空間の一部にだけ封入したものである。
さらに図9Aに示した発電ユニット9は、振動板Pの裏面の中央にだけ増幅流体Lが当接するように、ストレート状の絞りN1を筐体C内に設けたものである。図9Bに示した発電ユニット9’は、その増幅流体Lを振動板Pと筐体Cとにより形成された密閉空間の一部にだけ封入したものである。図10Aに示した発電ユニット10は、絞りN1をテーパー状の絞りN2に変更したものである。図10Bに示した発電ユニット10’は、その増幅流体Lを振動板Pと筐体Cとにより形成された密閉空間の一部にだけ封入したものである。それら絞りの形状を変更することにより、振動板Pの裏面に当接する増幅流体Lの流量を調整できる。なお、図示していないが、絞りの向きを調整することで、振動板Pの裏面へ増幅流体が当接する方向も変更できる。これにより、振動圧電体の共振方向の増幅流体による調整が容易となる。
【0035】
発電ユニット8、8’、9、9’、10、10’の場合、筐体Cに加振力が入力されると、増幅流体Lの流体圧が各振動板Pの全面または一部に作用する。これにより、振動板Pの変形または振幅が増幅される。特に、振動板Pの中央部における撓み量が極大化しうる。こうして、発電ユニット8、8’、9、9’、10、10’による出力向上が期待できる。
なお、発電ユニット8、9、10の場合、筐体Cへの入力方向が振動圧電体Bの共振方向と異なっていても、パスカルの原理に基づき、増幅流体Lによる流体圧が振動板Pへ作用し得る。これにより、それら発電ユニットの出力が増加し得る。この点で、硬球などの衝撃体を増幅体とするよりも、増幅流体の方が出力向上に効果的である。
【0036】
《その他》
本発明の発電ユニットまたは発電装置は、種々の分野や環境下で利用可能である。発電ユニットの筐体への入力の形態は問わない。例えば、音や風などの気圧変動(振動)、人や車両などの移動時に床や道路などに生じる荷重変動、各種機器の振動などが代表的である。発電された電力による駆動対象として、例えば、LED等の照明、小型モータの駆動、小型充電装置、各種センサ用電源等がある。
【実施例】
【0037】
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《共振周波数と出力電圧》
(1)図1に示した構造の発電ユニット1を用いて、共振周波数と出力電圧の関係を調べた。圧電素子Eには、外径φ20mm、厚み0.25mmの株式会社村田製作所製7BB−27−4LOを用いた。振動板Pに真鍮製の円環を用いた。この圧電素子Eと振動板Pとを用いて、外径φ27mm、厚み0.3mm、質量2gの円盤状の振動圧電体Bを製作した。この振動板Pの一端を支持体Sに固定した。支持体S1はSUS製の円柱状をしている。振動圧電体Bは支持体Sへネジで固定した。振動板Pの他端に取り付ける錘には、1gの錘Wと、2gの錘Wを用意した。
【0038】
振動加速度1Gの正弦波を支持体Sへ入力し、振動圧電体Bを加振した。この際における振動圧電体B(錘Wを含む)の共振周波数と、圧電素子Eの出力電圧を調べた。試験は、振動板Pに錘Wを付けなかった場合と、1g(振動圧電体Bに対する質量比:0.5)または2g(振動圧電体Bに対する質量比:1)の錘Wを付けた場合の3パターンについて行った。得られた結果を図11および図12に示した。
【0039】
(2)図11から、振動圧電体Bの先端に付ける錘Wの質量が大きくなるほど、共振周波数は低下することがわかる。図12から、その共振周波数が低下するほど、出力電圧が増大することがわかった。従って、加振源の周波数が一定であれば、錘Wの質量を増加させるほど、大きな出力電圧が得られることになる。
【0040】
いずれにしても、錘Wの質量を変更することで、振動圧電体Bが共振する周波数を容易に変化させ得ることが明らかとなった。従って、錘Wの質量や配置の調整により、広帯域の入力に対応して安定的な発電を行う発電ユニットを容易に得ることができる。つまり、本発明に係る発電ユニットを用いれば、振動エネルギーを効率よく安定して電気エネルギーに変換することが可能となる。
なお、図1に示した構造の発電ユニット1を用いた場合について説明したが、図2に示した構造の発電ユニット2を用いた場合さらには図3に示した構造の発電ユニット3を用いた場合でも、効果は同様である。
【0041】
《蓄電圧》
上述した発電ユニット1を図13に示す回路に組み込んだ。この回路は、発電ユニットの出力端に接続されたダイオードのブリッジ整流回路と、その下流側に並列接続されたコンデンサとからなる。蓄電圧は、そのコンデンサの端子電圧を測定したものである。
この発電ユニット1へ単発の衝撃振動を入力したときの蓄電圧を測定した。振動圧電体Bのサイズ、質量等は前述した通りであり、加えた衝撃振動のエネルギーは0.013Jであった。
【0042】
蓄電圧の時間変化と錘Wの質量との関係を図14に、蓄電圧と錘Wの質量との関係を図15にそれぞれ示した。両図から錘Wの質量が増加する程、蓄電圧が高くなり、発電効率が向上することがわかる。また図14から、加えられた衝撃振動が単発であっても、本発明に係る発電ユニット1を用いると、長時間安定した蓄電圧が得られることがわかった。これは振動板Pの振動が継続するためである。なお、いうまでもないが、図2の発電ユニット2や図3の発電ユニット3を用いた場合でも同様の効果が得られる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動エネルギー等の機械的エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換し得る発電ユニットおよびそれを用いた発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境意識の高揚に伴い、省エネルギー化や環境負荷の小さいエネルギー創出が求められている。その一つとして、圧電素子を利用した発電が注目されている。圧電素子にはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(Zr,Ti)O3)等があり、圧電素子はある特定方向に圧力を加えると電気分極が誘起されて電圧を発生させる。この圧電素子を利用すれば、機械的変位が電圧に変換されるので、発電が可能となる。もっとも、利用可能な電力を取り出すには、圧電素子に継続的な変位を加える必要がある。そこで、圧電素子を振動板に取り付け、振動板の振幅を利用して圧電素子に継続的な変位を与えて発電可能とした発電ユニットが下記の特許文献などに提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−49388号公報
【特許文献2】特開2006−166694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献には、振動板および圧電素子を共振させることで、出力を高められる旨が記載されている。しかし、効率的な発電を安定して行えるような、現実の利用に適した具体策については触れられていない。
なお、特許文献2の図6には、振動板と圧電素子を接合した振動圧電体を筐体内に複数配設した音力発電装置が記載されている。もっとも、その発電装置は、出力電圧を高めるために、単に同じ仕様の振動圧電体を複数並列的に配設しているに過ぎない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。すなわち本発明は、圧電素子を用いて効率的な発電を安定的に行うことを可能とする発電ユニットおよびそれを用いた発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、振動板と圧電素子を接合した振動圧電体であって、異なる周波数で共振するか、または異なる方向の入力に対して共振するものを筐体内に複数配設することを新たに思いついた。この発想を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
【0007】
《発電ユニット》
(1)本発明の発電ユニットは、筐体と、該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第1振動板と該第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子とからなる第1振動圧電体と、該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第2振動板と該第2振動板に接合され該第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子とからなり、該第1振動圧電体と異なる周波数で共振する第2振動圧電体とを少なくとも備え、該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする。
【0008】
(2)また本発明の発電ユニットは、筐体と、該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第1振動板と該第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子とからなる第1振動圧電体と、該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第2振動板と該第2振動板に接合され該第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子とからなり、該第1振動圧電体とは筐体内における共振方向が異なる第2振動圧電体とを少なくとも備え、該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする。
【0009】
(3)本発明の発電ユニットは、機械的エネルギーを電気エネルギーに効率的に変換し得る複数の振動圧電体を有する。しかもこれらの振動圧電体は、異なる周波数で共振するか(本明細書ではこれを適宜「共振周波数が異なる」と便宜的に表現する)、または
異なる方向の入力に対して共振する(本明細書ではこれを適宜「共振方向が異なる」と便宜的に表現する)。
このため、大きさや方向が様々に異なる入力が振動圧電体を収納する筐体へ加えられても、本発明の発電ユニットはそれらの入力に幅広く対応できる。その結果、本発明の発電ユニットは、機械的エネルギーを安定して吸収し、効率的に電気エネルギーへ変換し得る。
【0010】
(4)勿論、本発明の発電ユニットは、異なる周波数で共振する第1振動圧電体と第2振動圧電体が、さらに、筐体内での共振方向が異なると好適である。
なお本明細書では、本発明の内容を明確にするために、便宜的に「第1」、「第2」等の表現を用いているが、振動板、圧電素子および振動圧電体の基本的な構造や構成は同じでもよい。また振動圧電体等の数は、同一筐体内に最低2つあればよく、共振周波数や共振方向がそれぞれ異なる振動圧電体等が3以上であればより好ましい。勿論、共振周波数や共振方向が異なる振動圧電体が複数存在することを前提に、共振周波数や共振方向が同じ振動圧電体が同一筐体内に複数存在してもよい。
【0011】
《発電装置》
本発明の発電ユニットは、単体でも発電装置として機能するが、複数組合わせて発電装置とすることもできる。いずれの場合でも、本発明に係る圧電素子は振動板の振幅に応じて電圧を発生させるので、その出力は通常は交流となる。消費電力の小さい機器への電力供給や出力電圧の増大などを考慮すると、交流出力よりも直流出力の方が利用し易い場合も多い。そこで、前記の第1振動圧電体および第2振動圧電体の出力を直流に整流する整流器があると好適である。さらに、その整流器からの出力を蓄電するコンデンサまたは電池を備えると、供給電力または供給電圧の安定化を図れるので好ましい。
【0012】
整流器は、前記の発電ユニットの筐体内に組み入れてもよいし、発電ユニットとは別に設けてもよい。コンデンサまたは電池についても同様である。本発明の発電装置は、発電ユニット単体として解しても、複数の発電ユニットを組み合わせた発電セットとして解しても、その発電ユニットまたは発電セットに接続された外部機器を含めた発電システム全体として解しても、いずれでもよい。
【0013】
《その他》
特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は、下限値xおよび上限値yを含む。また、本明細書に記載した種々の下限値または上限値は、任意に組合わされて「a〜b」のような範囲を構成し得る。さらに、本明細書に記載した範囲内に含まれる任意の数値を、数値範囲を設定するための上限値または下限値とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】片持ち支持した振動圧電体の基本構造例を示す部分断面図である。
【図2】両端で支持した振動圧電体の基本構造例を示す部分断面図である。
【図3】中央で支持した振動圧電体の基本構造例を示す部分断面図である。
【図4】片持ち支持した振動圧電体を複数組み合わせた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図5】両端で支持した振動圧電体を複数組み合わせた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図6】中央で支持した振動圧電体を複数組み合わせた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図7】共振する方向が異なる振動圧電体を複数組み合わせた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図8A】増幅流体を筐体内へ封入した発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図8B】その増幅流体が筐体と振動板からなる閉塞空間の一部に充填された発電ユニットの別の実施形態を示す断面図である。
【図9A】増幅流体の流路にストレート状の絞りを設けた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図9B】その増幅流体が筐体と振動板からなる閉塞空間の一部に充填された発電ユニットの別の実施形態を示す断面図である。
【図10A】増幅流体の流路にテーパー状の絞りを設けた発電ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図10B】その増幅流体が筐体と振動板からなる閉塞空間の一部に充填された発電ユニットの別の実施形態を示す断面図である。
【図11】片持ち支持した振動圧電体に設けた錘の質量と共振周波数の関係を示すグラフである。
【図12】その振動圧電体の共振周波数と出力電圧の関係を示すグラフである。
【図13】発電装置の回路図である。
【図14】片持ち支持した振動圧電体による蓄電圧の時間変化を示すグラフである。
【図15】その振動圧電体に設けた錘Wの質量と蓄電圧の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0015】
S 支持体
P 振動板
E 圧電素子
W 錘
B 振動圧電体
C 筐体
1〜10 発電ユニット
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含めて本明細書で説明する内容は、本発明に係る発電ユニットのみならず、それを含む発電装置等にも適宜適用され得る。従って、上述した本発明の構成に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成を付加し得る。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは、要求される仕様等によって異なる。
【0017】
《振動圧電体》
振動圧電体は、基本的に、振動板とその振動板に接合されて一体的に変形する圧電素子とからなる。
(1)圧電素子
圧電素子は、ある特定方向に圧力(変形)を加えると電気分極が誘起されて電圧を発生する素子、つまり圧電効果を発現する素子である。圧電素子の材質、形態、種類などの諸元は、適宜、用途に応じて適切なものを選択すればよい。圧電素子の材料(圧電体)には、例えば、チタン酸バリウム、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(Zr,Ti)O3)等の圧電セラミックス、KNN((K、Na)NbO3)系等の非鉛圧電セラミックス、リチウムタンタレート(LiTaO3)などの圧電単結晶などがある。圧電素子は、基本的に、そのような圧電体を2枚の電極で挟持した素子である。また圧電素子はモノモルフ型、複数の圧電体を積層したバイモルフ型または積層型等のいずれでもよい。さらに、圧電素子(圧電体や電極など)の表面に適切な溝等を形成して、変形に対する追従性(剛性)、共振方向、共振周波数などを調整したものでもよい。
【0018】
(2)振動板
振動板は、筐体への入力に応じて振動し、圧電素子に変位を与えたり、その変位を増幅または継続させたりする。振動圧電体が共振するとき、振動板の振幅が極大となり、圧電素子へ加わる変形も極大となる。
【0019】
振動板の材質、形態(形状やサイズなど)等は、発電ユニットの仕様に適したものを選択すればよい。例えば、振動板の材質は、発電量を多くするために、振動の吸収能や減衰能などが小さいものが好ましい。具体的には、アルミニウム、鉄、真鍮などの金属材料等がある。振動板の形態も、筐体への入力振動(共振周波数、共振方向、振幅等)などに適したものにすればよい。例えば、振動板の剛性が低くなると、一般的に共振周波数が低下し、振幅(変位)が大きくなる。これにより、振動板が弾性限内で振動する限りで、圧電素子の出力を増大させ得る。また振動板の形状は、圧電素子や筐体の形状に応じて、丸型、楕円形、方形など、いずれでもよい。
【0020】
《増幅体》
(1)増幅体は、振動圧電体(振動板または圧電素子)に設けられて、振動板の振幅を増幅させる。この増幅体により、圧電素子に加える変形が増加し、発電ユニットの出力が向上し得る。
【0021】
増幅体は、例えば、振動板に配設された増幅錘である。この増幅錘の質量や配設位置により、振動板の振幅の増幅量を調整できる。さらには振動圧電体の共振周波数の調整も可能である。このため、同じ振動板および圧電素子を用いても、配設する増幅錘の質量や取付位置を変更、調整するだけで、振動圧電体毎に共振周波数さらには共振方向をも容易に変更し得る。
【0022】
(2)増幅体は、筐体への入力に応じて流動し、少なくとも一つの振動板を押圧し得る増幅流体でもよい。すなわち本発明は、筐体と、筐体内に配設され筐体への入力に応じて振動する振動板と振動板に接合され振動板の変位に応じた電圧を出力する圧電素子とからなる振動圧電体と、筐体への入力に応じて流動し振動板を押圧して振動板の振幅を増幅させ得る増幅流体とを備え、筐体への入力に応じて発電することを特徴とする発電ユニットでもよい。
振動板の支持構造を勘案して、振動板の振幅をより増幅させる位置に増幅流体の絞りを設けてもよい。さらにその絞りの向きを調整して、増幅流体による増幅方向を調整してもよい。さらに、増幅流体は、筐体と振動板とにより区画された閉塞空間を完全に充填していてもよいし、その一部を充填しているだけでもよい。例えば、その閉塞空間対する増幅流体の充填率は、10〜100%、さらには30〜100%であると発電量の増加を図れて好ましい。
この他、増幅体は、筐体への入力に応じて振動板へ繰り返し衝突する衝突体(鋼球など)等でもよい。
【0023】
《筐体》
筐体は、上記の振動圧電体、特に振動板を振動可能に支持する。筐体による支持は、一点で支持されても、2点以上で支持されてもよい。具体的には、片持ち支持、両端支持、中央支持などがある。これら支持方法により、各振動圧電体の共振周波数や共振方向も変化し得る。
【0024】
筐体は、必ずしも振動圧電体を包囲する箱形である必要はない。また、密閉式である必要もない。筐体の材質、強度などは、発電ユニットの使用環境、共振周波数、共振方向などを考慮して適宜選択されればよい。もっとも、筐体の材質や形態は、外力や振動などを吸収または減衰させずに、効率的に振動圧電体へ伝達するものであると好ましい。
【0025】
《発電ユニットの実施形態》
発電ユニットの具体的な形態例を図1〜10に示した。
(1)本発明の発電ユニットの基本的な構造を図1〜3に例示した。図1に部分的に示した発電ユニット1は、金属製(例えば、バネ鋼製)の振動板Pと、振動板Pに一方の電極が接合された圧電素子Eと、振動板Pの一端側を支持する支持体S1と、振動板Pの他端側に配設した錘Wとからなる。なお、支持体S1は筐体と兼用し得る。
以降では、振動板Pおよび圧電素子Eを合わせ振動圧電体Bというが、適宜、錘Wをも含めて振動圧電体Bということもある。また基本的に同じ構造または作用を有する部材には、混乱を生じない範囲で、便宜的に同じ符号を付して説明する。
【0026】
ところで発電ユニット1の場合、振動板Pの支持構造がいわゆる片持ち式(カンチレバー)となっている。振動板Pのたわみ(変形)は図示した振動方向で極大となり得る。その先端には錘W(増幅体)が配設されているので、振動板Pのたわみは増幅され、先端側ほど大きくなる。つまり、図示した振動方向に振動(励起)させる加振力が外部から支持体S1へ入力されると、振動板Pは大きく変形し(撓み)、圧電素子Eの大きな出力が期待される。
【0027】
図2に示した発電ユニット2は、振動板Pの両端を支持体S2で支持し、振動板Pの中央に接合された圧電素子Eのさらに上面中央に錘Wを配設した場合である。発電ユニット2は、もともと支持構造的にたわみが大きくなる中央部に、さらに錘Wが配設されている。このため、図示した振動方向に振動(励起)させる加振力が外部から支持体S2へ入力されると、振動板Pは中央付近で大きく変形し(撓み)、圧電素子Eの大きな出力が期待される。
【0028】
図3に示した発電ユニット3は、振動板Pの中央を支持体S3で支持し、振動板Pの両端に錘W11、W12を配設した場合である。この場合も支持構造的に振動板Pのたわみが大きくなる端部に、錘W11および錘W12がそれぞれ配設されている。このため、図示した振動方向に振動(励起)させる加振力が外部から支持体S3へ入力されると、振動板Pは両端付近で大きく変形し(撓み)、圧電素子Eの大きな出力が期待される。
【0029】
(2)図1〜3に示したような種々の方法で支持された振動圧電体を、同一の筐体内に複数配設した発電ユニットを図4〜6に例示した。
図4に示した発電ユニット4は、一つの筐体C4内に片持ち支持した3つの振動圧電体B1、B2、B3を、上下方向に縦列配置したものである。各振動圧電体B1、B2、B3を構成する振動板P1、P2、P3および圧電素子E1、E2、E3は同一である。ただし、振動板P1、P2、P3の各端部に配設した錘W1、W2、W3は、質量がそれぞれ異なっている。このため、各振動圧電体B1、B2、B3が共振する周波数も、錘W1、W2、W3の質量に応じてそれぞれ異なる。
図示した振動方向の加振力が外部から筐体C4へ入力されると、幅広い周波数域で振動板P1、P2、P3の少なくとも一つが、解放端側で大きく揺動することになる。これにより、大きな出力(発電)が広い振動周波数域(いわゆる広帯域)で安定的に得られる。
【0030】
なお、各圧電素子E1、E2、E3の出力は、筐体C4の外側に設けられた出力端子へ導かれている。この出力端子の一方には、各圧電素子E1、E2、E3の一方の電極が接合された各振動板P1、P2、P3の各端部に結線されている。出力端子の他方は、各圧電素子E1、E2、E3の他方の電極にそれぞれ結線されている。以降の形態例でも結線方法は基本的に同様であり、その限りにおいて結線に関する説明を省略する。
【0031】
図5に示した発電ユニット5は、一つの筐体C5内に両端支持した3つの振動圧電体B1、B2、B3を、上下方向に縦列配置したものである。
各振動圧電体B1、B2、B3を構成する振動板P1、P2、P3および圧電素子E1、E2、E3は同一である。ただし、振動板P1、P2、P3の各裏面(圧電素子E1、E2、E3が配設されていない面)の中央部に配設した錘W1、W2、W3は質量がそれぞれ異なっている。このため、各振動圧電体B1、B2、B3が共振する周波数はそれぞれ異なる。
図示した振動方向の加振力が外部から筐体C5へ入力されると、幅広い周波数域で、振動板P1、P2、P3の少なくとも一つが中央付近で大きく揺動し、大きな出力(発電)が広い振動周波数域(広帯域)で安定的に得られる。
【0032】
図6に示した発電ユニット6は、一つの筐体C6内に中央部で支持した3つの振動圧電体B1、B2、B3を、上下方向に縦列配置したものである。各振動圧電体B1、B2、B3を構成する振動板P1、P2、P3および圧電素子E1、E2、E3は同一である。 ここで錘W11、W12、W13、錘W21、W22、W23の質量は、左右では同じか異なっており、上下では異なっている。例えば、上下方向の錘W11、W12、W13の質量がそれぞれ異なっていても、左右の錘W11、W12の質量がそれぞれ異なっていてもよい。錘の質量が異なる振動圧電体間で、その共振する周波数が異なる。6つの錘の質量が相互に異なる場合、各振動圧電体が共振する周波数がより広帯域化する。
図示した振動方向の加振力が外部から筐体C6へ入力されると、より幅広い周波数域で、振動板P1、P2、P3の少なくとも一つが両端または一端側で大きく揺動する。こうして、発電ユニット6の出力(発電)がより広い振動周波数域(広帯域)で安定的に得られることになる。
【0033】
(3)図7に示した発電ユニット7は、一つの筐体C7内に、4つの振動圧電体B1、B2、B3、B4を菱形状に配置したものである。振動圧電体B1、B2、B3、B4の一端側は筐体C7の各内壁面にそれぞれ支持されており、それらの他端側はそれぞれ解放端になっている。
各振動圧電体B1、B2、B3、B4を構成する振動板P1、P2、P3、P4および圧電素子E1、E2、E3、E4は同一である。さらに、振動板P1、P2、P3、P4の各端部に配設した錘W1、W2、W3、W4も同一である。
筐体C7へ、図示したように様々な方向から入力があっても、振動板P1、P2、P3、P4の少なくとも一つは、先端側で大きく揺動する可能性が高い。このため、入力方向が一定でない場合であっても、出力(発電)の安定化を図り得る。
【0034】
(4)両端支持した振動圧電体Bを筐体C内に配設し、その筐体Cに増幅流体Lを入れた発電ユニットを図8A、図8B、図9A、図9B、図10Aおよび図10Bに例示した。振動圧電体Bは振動板Pの中央に圧電素子Eが接合されてなり、その圧電素子Eの上に錘Wが配設されている。なお、便宜上、それら図面には一つの振動圧電体Bしか示していないが、振動圧電体Bを複数設ける方が好ましいことはいうまでもない。
図8Aに示した発電ユニット8は、振動板Pの裏面全体に接するように(つまり充填率100%となるように)、増幅流体Lを筐体C内に封入したものである。図8Bに示した発電ユニット8’は、その増幅流体Lを振動板Pと筐体Cとにより形成された密閉空間の一部にだけ封入したものである。
さらに図9Aに示した発電ユニット9は、振動板Pの裏面の中央にだけ増幅流体Lが当接するように、ストレート状の絞りN1を筐体C内に設けたものである。図9Bに示した発電ユニット9’は、その増幅流体Lを振動板Pと筐体Cとにより形成された密閉空間の一部にだけ封入したものである。図10Aに示した発電ユニット10は、絞りN1をテーパー状の絞りN2に変更したものである。図10Bに示した発電ユニット10’は、その増幅流体Lを振動板Pと筐体Cとにより形成された密閉空間の一部にだけ封入したものである。それら絞りの形状を変更することにより、振動板Pの裏面に当接する増幅流体Lの流量を調整できる。なお、図示していないが、絞りの向きを調整することで、振動板Pの裏面へ増幅流体が当接する方向も変更できる。これにより、振動圧電体の共振方向の増幅流体による調整が容易となる。
【0035】
発電ユニット8、8’、9、9’、10、10’の場合、筐体Cに加振力が入力されると、増幅流体Lの流体圧が各振動板Pの全面または一部に作用する。これにより、振動板Pの変形または振幅が増幅される。特に、振動板Pの中央部における撓み量が極大化しうる。こうして、発電ユニット8、8’、9、9’、10、10’による出力向上が期待できる。
なお、発電ユニット8、9、10の場合、筐体Cへの入力方向が振動圧電体Bの共振方向と異なっていても、パスカルの原理に基づき、増幅流体Lによる流体圧が振動板Pへ作用し得る。これにより、それら発電ユニットの出力が増加し得る。この点で、硬球などの衝撃体を増幅体とするよりも、増幅流体の方が出力向上に効果的である。
【0036】
《その他》
本発明の発電ユニットまたは発電装置は、種々の分野や環境下で利用可能である。発電ユニットの筐体への入力の形態は問わない。例えば、音や風などの気圧変動(振動)、人や車両などの移動時に床や道路などに生じる荷重変動、各種機器の振動などが代表的である。発電された電力による駆動対象として、例えば、LED等の照明、小型モータの駆動、小型充電装置、各種センサ用電源等がある。
【実施例】
【0037】
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《共振周波数と出力電圧》
(1)図1に示した構造の発電ユニット1を用いて、共振周波数と出力電圧の関係を調べた。圧電素子Eには、外径φ20mm、厚み0.25mmの株式会社村田製作所製7BB−27−4LOを用いた。振動板Pに真鍮製の円環を用いた。この圧電素子Eと振動板Pとを用いて、外径φ27mm、厚み0.3mm、質量2gの円盤状の振動圧電体Bを製作した。この振動板Pの一端を支持体Sに固定した。支持体S1はSUS製の円柱状をしている。振動圧電体Bは支持体Sへネジで固定した。振動板Pの他端に取り付ける錘には、1gの錘Wと、2gの錘Wを用意した。
【0038】
振動加速度1Gの正弦波を支持体Sへ入力し、振動圧電体Bを加振した。この際における振動圧電体B(錘Wを含む)の共振周波数と、圧電素子Eの出力電圧を調べた。試験は、振動板Pに錘Wを付けなかった場合と、1g(振動圧電体Bに対する質量比:0.5)または2g(振動圧電体Bに対する質量比:1)の錘Wを付けた場合の3パターンについて行った。得られた結果を図11および図12に示した。
【0039】
(2)図11から、振動圧電体Bの先端に付ける錘Wの質量が大きくなるほど、共振周波数は低下することがわかる。図12から、その共振周波数が低下するほど、出力電圧が増大することがわかった。従って、加振源の周波数が一定であれば、錘Wの質量を増加させるほど、大きな出力電圧が得られることになる。
【0040】
いずれにしても、錘Wの質量を変更することで、振動圧電体Bが共振する周波数を容易に変化させ得ることが明らかとなった。従って、錘Wの質量や配置の調整により、広帯域の入力に対応して安定的な発電を行う発電ユニットを容易に得ることができる。つまり、本発明に係る発電ユニットを用いれば、振動エネルギーを効率よく安定して電気エネルギーに変換することが可能となる。
なお、図1に示した構造の発電ユニット1を用いた場合について説明したが、図2に示した構造の発電ユニット2を用いた場合さらには図3に示した構造の発電ユニット3を用いた場合でも、効果は同様である。
【0041】
《蓄電圧》
上述した発電ユニット1を図13に示す回路に組み込んだ。この回路は、発電ユニットの出力端に接続されたダイオードのブリッジ整流回路と、その下流側に並列接続されたコンデンサとからなる。蓄電圧は、そのコンデンサの端子電圧を測定したものである。
この発電ユニット1へ単発の衝撃振動を入力したときの蓄電圧を測定した。振動圧電体Bのサイズ、質量等は前述した通りであり、加えた衝撃振動のエネルギーは0.013Jであった。
【0042】
蓄電圧の時間変化と錘Wの質量との関係を図14に、蓄電圧と錘Wの質量との関係を図15にそれぞれ示した。両図から錘Wの質量が増加する程、蓄電圧が高くなり、発電効率が向上することがわかる。また図14から、加えられた衝撃振動が単発であっても、本発明に係る発電ユニット1を用いると、長時間安定した蓄電圧が得られることがわかった。これは振動板Pの振動が継続するためである。なお、いうまでもないが、図2の発電ユニット2や図3の発電ユニット3を用いた場合でも同様の効果が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第1振動板と該第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子とからなる第1振動圧電体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第2振動板と該第2振動板に接合され該第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子とからなり、該第1振動圧電体と異なる周波数で共振する第2振動圧電体とを少なくとも備え、
該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする発電ユニット。
【請求項2】
前記第1振動圧電体と前記第2振動圧電体は、さらに、筐体内における共振方向が異なる請求項1に記載の発電ユニット。
【請求項3】
さらに、前記第1振動板および/または前記第2振動板の振幅を増幅させる増幅体を有する請求項1または2に記載の発電ユニット。
【請求項4】
前記増幅体は、前記第1振動圧電体および/または前記第2振動圧電体に配設された増幅錘、または前記筐体への入力に応じて流動し前記第1振動板および/または前記第2振動板を押圧し得る増幅流体である請求項3に記載の発電ユニット。
【請求項5】
前記第1振動圧電体または前記第2振動圧電体に対する前記増幅錘の質量比は0.3〜2である請求項4に記載の発電ユニット。
【請求項6】
筐体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第1振動板と該第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子とからなる第1振動圧電体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第2振動板と該第2振動板に接合され該第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子とからなり、該第1振動圧電体とは筐体内における共振方向が異なる第2振動圧電体とを少なくとも備え、
該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする発電ユニット。
【請求項7】
筐体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する振動板と該振動板に接合され該振動板の変位に応じた電圧を出力する圧電素子とからなる振動圧電体と、
該筐体への入力に応じて流動し該振動板を押圧して該振動板の振幅を増幅させ得る増幅流体とを備え、
該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする発電ユニット。
【請求項8】
前記増幅流体は、前記筐体と前記振動板とにより区画された閉塞空間に対する充填率が10〜100%である請求項7に記載の発電ユニット。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の発電ユニットと、
前記第1振動圧電体および前記第2振動圧電体の出力を直流に整流する整流器と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項10】
さらに、前記整流器の下流にコンデンサまたは電池を備える請求項9に記載の発電装置。
【請求項1】
筐体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第1振動板と該第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子とからなる第1振動圧電体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第2振動板と該第2振動板に接合され該第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子とからなり、該第1振動圧電体と異なる周波数で共振する第2振動圧電体とを少なくとも備え、
該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする発電ユニット。
【請求項2】
前記第1振動圧電体と前記第2振動圧電体は、さらに、筐体内における共振方向が異なる請求項1に記載の発電ユニット。
【請求項3】
さらに、前記第1振動板および/または前記第2振動板の振幅を増幅させる増幅体を有する請求項1または2に記載の発電ユニット。
【請求項4】
前記増幅体は、前記第1振動圧電体および/または前記第2振動圧電体に配設された増幅錘、または前記筐体への入力に応じて流動し前記第1振動板および/または前記第2振動板を押圧し得る増幅流体である請求項3に記載の発電ユニット。
【請求項5】
前記第1振動圧電体または前記第2振動圧電体に対する前記増幅錘の質量比は0.3〜2である請求項4に記載の発電ユニット。
【請求項6】
筐体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第1振動板と該第1振動板に接合され該第1振動板の変位に応じた電圧を出力する第1圧電素子とからなる第1振動圧電体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する第2振動板と該第2振動板に接合され該第2振動板の変位に応じた電圧を出力する第2圧電素子とからなり、該第1振動圧電体とは筐体内における共振方向が異なる第2振動圧電体とを少なくとも備え、
該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする発電ユニット。
【請求項7】
筐体と、
該筐体内に配設され該筐体への入力に応じて振動する振動板と該振動板に接合され該振動板の変位に応じた電圧を出力する圧電素子とからなる振動圧電体と、
該筐体への入力に応じて流動し該振動板を押圧して該振動板の振幅を増幅させ得る増幅流体とを備え、
該筐体への入力に応じて発電することを特徴とする発電ユニット。
【請求項8】
前記増幅流体は、前記筐体と前記振動板とにより区画された閉塞空間に対する充填率が10〜100%である請求項7に記載の発電ユニット。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の発電ユニットと、
前記第1振動圧電体および前記第2振動圧電体の出力を直流に整流する整流器と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項10】
さらに、前記整流器の下流にコンデンサまたは電池を備える請求項9に記載の発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−152004(P2011−152004A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12636(P2010−12636)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
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