説明

発電機器用ホルダ、発電装置および電子機器

【課題】簡便に衣服や鞄などに取り付けることができると共に、発電機器の安定した電力供給を実現させることが可能な機器用ホルダ、発電装置および電子機器を提供する。
【解決手段】ホルダ1は、筐体の一面に空気取込み面10aを有する燃料電池10に取り付けられ、燃料電池10の筐体に固定された保持部11と、開口を有する留め具12と、保持部11および留め具12を連結させるための連結部13とからなる。連結部13は、留め具12の開口面12aの空気取込み面10aに対する水平角度を調節すると共に、所定の水平角度に固定するものである。留め具により、発電機器が衣服や鞄などへ取り付けられる際、開口面12aは、被取り付け部材の形態に応じて様々な方角を向くことになるが、連結部13によって、開口面12aの向き、すなわち被取り付け部材の形態によらず、空気取込み面10aが外側を向くように、水平角度を調節することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池などの発電機器に取り付けられる発電機器用ホルダ、発電装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料電極(アノード電極)と酸素電極(カソード電極)との間に電解質が配置された構成を有し、燃料電極には燃料、酸素電極には酸化剤として空気中の酸素などがそれぞれ供給される。このため、燃料電池の筐体には、空気中の酸素を発電部へ取り込むために複数の開口が設けられている。これにより、燃料および酸化剤がそれぞれ酸化および還元され、燃料がもっていた化学エネルギーが電気エネルギーに変換されて取り出される。
【0003】
近年、このような燃料電池を、携帯電話機などの各種電子機器に対する外付けの充電器として使用したり(例えば、特許文献1〜3)、燃料電池を内蔵あるいは一体化させた電子機器(特許文献4)の開発が加速している。また、高出力化や小型化を可能にするため、燃料電池をリチウムイオン電池といった補助電源とを組み合わせたハイブリッド型の燃料電池システムも提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−166606号公報
【特許文献2】特開2008−27747号公報
【特許文献3】特許第4005608号公報
【特許文献4】特開2007−220461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような携帯性を高めた小型の燃料電池は、衣服のポケットやカバンなどに収納されて持ち運ばれることが多いため、携帯電話機などの待機時や補助電源の充電時など、燃料電池の発電時において、酸素濃度が低下することがあった。また、燃料電池の筐体に設けられた空気取り込み用の開口が塞がれてしまうこともあり、この場合には、酸素が欠乏して発電できなくなる虞があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡便に衣服や鞄などに取り付けることができると共に、発電機器の安定した電力供給を実現させることが可能な発電機器用ホルダ、およびこれを用いた発電装置ならびに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発電機器用ホルダは、機能面を有する発電機器を保持するための保持部と、開口を有する留め具と、留め具を保持部に対して、開口のなす面の機能面に対する水平角度を調整可能に連結すると共に、その水平角度を所定の角度に固定する連結部とを備えたものである。ここで、「水平角度」とは、留め具の開口のなす面と機能面とのそれぞれに直交する面内での各面同士のなす角度をいうものとする。
【0008】
本発明の発電装置は、機能面を有する発電機器と、この発電機器に取り付けられた上記本発明の発電機器用ホルダとを備えたものである。
【0009】
本発明の電子機器は、燃料電池などの機能面を有する発電機器を内蔵した筐体と、この筐体に取り付けられた上記本発明の発電機器用ホルダとを備えたものである。
【0010】
本発明の発電機器用ホルダ、発電装置および電子機器では、その留め具の開口部分が、例えば衣服のベルト通し部分や鞄のハンドル部分などの細長形状の被取り付け部材に係合し、これにより発電機器が衣服や鞄などへ取り付けられる。このとき、留め具の開口のなす面は、被取り付け部材の形状や位置などの形態に応じて様々な方角を向くこととなる。ここで、留め具と保持部との間に連結部が設けられていることにより、開口のなす面がいずれの方角を向いている場合であっても、すなわち被取り付け部材の形態によらず、機能面が特定の方角を向くように水平角度が調節される。
【0011】
例えば、上記発電機器として燃料電池を用い、機能面として燃料電池の筐体に空気取込み面を形成した場合には、空気取込み面が、衣服や鞄などに接しないように、外側に向くように水平角度が調節される。これにより、空気取込み面が衣服や鞄によって塞がれ、燃料電池に供給される空気(酸素)濃度が低下したり、あるいは空気が欠乏したりすることが抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発電機器用ホルダ、発電装置および電子機器によれば、開口を有する留め具と保持部との間に連結部を設け、この連結部により、開口のなす面の機能面に対する水平角度を調節できるようにしたので、被取り付け部材の形態によらず、機能面が特定の方角を向くようにして取り付けることができる。よって、簡便に衣服や鞄などに取り付けることができると共に、発電機器の安定した電力供給を実現させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1(A),(B)および図2(A),(B)は、本発明の第1の実施の形態に係るホルダ(発電機器用ホルダ)1および燃料電池(発電機器)10の概略構成を表すものである。この燃料電池10は、例えば携帯電話機などの各種電子機器に外付けされる充電器(発電装置)に用いられ、筐体に一体化してホルダ1が取り付けられたものである。
【0015】
ホルダ1は、燃料電池10を、例えば衣服や鞄などに取り付けて、携帯可能に保持するためのものである。このホルダ1は、燃料電池10の筐体に固定されて燃料電池10を保持する保持部11と、留め具12と、これらの保持部11および留め具12を連結させるための連結部13とを有している。
【0016】
燃料電池10は、例えば直接メタノール型の燃料電池であり、筐体の内部に、電解質を間にして燃料電極および酸素電極を有する一つまたは複数の単位セルが、一対のセルプレート(いずれも図示せず)に挟まれて収納されている。このうち、燃料電極側のセルプレートには燃料を通過させるための貫通孔、酸素電極側のセルプレートには酸化剤としての空気(酸素)を通過させるための貫通孔がそれぞれ形成されている。燃料電池10の筐体には、上記酸素電極側のセルプレートの貫通孔に対向する領域に、空気取込み面(機能面)10aが設けられている。空気取込み面10aは、例えば図示しない複数の開口により構成されている。このような構成により、空気取込み面10aから取り込まれた空気は、このセルプレートの貫通孔を通って、酸素電極へ供給される。
【0017】
この燃料電池10は、外観(筐体の形状)が例えば扁平形状となっており、この扁平形状の各面のうち幅広の面に、上記空気取込み面10aが設けられている。燃料電池10の筐体は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス鋼(SUS)などの金属材料、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)あるいはポリプロピレン等の樹脂材料により構成されている。
【0018】
保持部11は、例えば燃料電池10の筐体の空気取込み面10aが設けられた面の側面に一体的に取り付けられ、自在に回動しないように固定されている。例えば、保持部11は、筐体と反対側に凸となるように湾曲した形状を有し、この湾曲した形状の両端が、筐体上面の両端側の2点10b1,10b2において固定されている。このような保持部11は、例えばポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、PC/ABS樹脂、ポリスチレン(PS)あるいはポリアセタール(POM)などによって構成されている。
【0019】
留め具12は、衣服のベルト通し部分や鞄のハンドル部分などの細長形状の被取り付け部材に係合させるための開口を有している。この留め具12は、後述の連結部13の動作に連動して、軸Hを中心として開口のなす面(以下、単に「開口面」という)12aの向きが変更可能となっている。留め具12には、開閉可能なフック部12bが設けられている。このフック部12bを開いた状態で、開口に、被取り付け部材を通し、フック部12bを閉じることで、被取り付け部材に開口が係合するようになっている。このような留め具12としては、例えばキーリングや登山用のカラビナなどを用いることができる。
【0020】
連結部13は、留め具12の開口面12aの、空気取込み面10aに対する水平角度を調節可能であると共に、所定の水平角度において、開口面12aと空気取込み面10aとの位置関係を固定できるようになっている。ここで、「水平角度」とは、開口面12aと空気取込み面10aとのそれぞれに直交する面内での各面同士のなす角度、すなわち開口面12aと空気取込み面10aとが成す軸Hまわりの角度をいうものとする。
【0021】
例えば、図1(A),(B)に示したように、開口面12aおよび空気取込み面10aが共にXY平面に沿って配置された状態、すなわち水平角度が0°となる位置関係で固定される。一方、図2(A),(B)に示したように、開口面12aがYZ平面上に配置され、空気取込み面10aがXY平面上に配置された状態、すなわち水平角度が90°となる位置関係で固定される。なお、開口面12aと空気取込み面10aとは、必ずしも上記XY平面上もしくはYZ平面上に配置されていなければならない訳ではなく、これらの面同士のなす相対的な水平角度が0°もしくは90°となっていれば足りる。
【0022】
ここで、図3(A),(B)を参照して、連結部13の具体的な構造について説明する。図3(A),(B)は、連結部13のXZ方向における断面図である。但し、図3(A)は、連結部13によって開口面12aおよび空気取込み面10aが互いに固定されている状態、図3(B)は、水平角度が変更されるときの状態を示す。
【0023】
連結部13は、例えばXZ平面における軸Hを中心とした筒状部材であり、外筒130の内側に、軸Hを中心として外筒130とは相対的に異なる方向に摺動可能な内筒131を有している。これら外筒130および内筒131は、例えばABS樹脂、PC/ABS樹脂あるいはPOMなどにより構成されている。
【0024】
外筒130には、所定の位置、例えば円周を4等分する位置、すなわち軸Hを中心として90°の間隔で開口130aが設けられている。この外筒130は、例えば留め具12に連結されており、開口面12aの向きに連動して動くようになっている。
【0025】
内筒131の側面には、外筒130の開口130aと同等の間隔で突起132が形成されている。突起132は、表面形状が球形であり、半径方向に摺動可能な弾性を有すると共に、内筒131の内側から外側に向けて付勢されている。この内筒131は、例えば保持部11に連結されており、空気取込み面10aの向きに連動して外筒130の内側を摺動するようになっている。
【0026】
このような構成により、突起132は、外筒130の開口130aに対向する位置では、開口130aを介して外筒130の表面よりも突出した状態で留まる(図3(A))。よって、開口面12aと空気取込み面10aとの位置関係が固定される。
【0027】
一方、上記のように位置関係が固定された状態から、軸Hまわりに一定以上の力を加えることにより、外筒130と内筒131との相対的な位置関係をずらすと、開口130aから突出していた突起132は、開口130aのへり部分に押されて内側に向かって凹み、そのまま外筒130の内壁に沿って相対的に移動する(図3(B))。これにより、軸Hを中心としたXZ平面内における水平角度の変更が可能となる。そして、再び突起132が次の開口130aに対向する位置にきたところで、突起132が開口130aから突出して、開口面12aと空気取込み面10aとの位置関係が固定される。以上のように、図3(A),(B)に示した構成によれば、90°刻みで水平角度を調節することができる。
【0028】
次に、本実施の形態の作用、効果について説明する。
【0029】
すなわち、この燃料電池10を衣服や鞄などへ取り付ける場合を例にすると、まず、留め具12の開口を、例えば衣服のベルト通し部分や鞄のハンドル部分などの細長形状の被取り付け部材に係合させる。このとき、留め具12の開口に、被取り付け部材を通すように取り付けるため、開口面12aは、被取り付け部材の形状や位置など(以下、単に形態という)によって、様々な方角を向くこととなる。ここで、留め具12と保持部11との間に連結部13が設けられていることにより、開口面12aがいずれの方角を向くような場合であっても、すなわち被取り付け部材の形態によらず、空気取込み面10aが特定の方角を向くように水平角度が調節される。
【0030】
例えば、図4(A)に示したように、被取り付け部材が、例えばスラックス110のベルト通し110aである場合には、ベルト通し110aの開口110a1に、留め具12aを係合させることで、燃料電池10がベルト通し110aに取り付けられる。また、図4(B)に示したように、被取り付け部材が、例えばバッグ111のハンドル111aである場合には、バッグ111におけるハンドル111aの付け根部分に、留め具12aを係合させることで、燃料電池10がハンドル111aに取り付けられる。これらの場合には、開口面12aはスラックス110およびバッグ111の表面に沿うように、ほぼZ方向を向いて配置される。
【0031】
このため、空気取込み面10aがスラックス110およびバッグ111の表面に接しない方角、すなわち外側を向くように水平角度が調節される。この場合、具体的には、水平角度は0°となる。図5(A)〜(C)には、スラックスやバッグに燃料電池10を取り付けた際の全体構成を模式的に示す。
【0032】
あるいは、図6(A),(B)に示したように、被取り付け部材が、例えば衣服や鞄などに設けられたリング112である場合には、リング112の開口112aに、留め具12aを係合させることで、充電器1がリング112に取り付けられる。このとき、留め具12の開口面12aは、リング112の開口112aのなす面に対して略直交するように、X方向を向いて係合する。
【0033】
ここで、上記のようなリング112の開口112aのなす面は、通常、衣服や鞄の表面に沿って配置される。このため、空気取込み面10aが衣服や鞄の表面に接しない方角、すなわち上記表面と反対側を向くように水平角度が調節される。この場合、具体的には、水平角度は90°となる。
【0034】
一方、空気取込み面10aから空気が取り込まれると、内部に設けられた発電セルの酸素電極側に供給される。一方、燃料電極側には図示しない燃料タンクなどから燃料が供給される。これにより、酸化還元反応を生じ、燃料がもっていた化学エネルギーが電気エネルギーに変換されて電力として取り出される。
【0035】
このとき、上述したように、被取り付け部材の形態によらず空気取込み面10aが特定の方角を向くように水平角度が調節されることで、空気取込み面10aが衣服や鞄によって塞がれてしまうことが防止される。これにより、燃料電池10の内部に供給される空気(酸素)濃度が低下したり、あるいは空気が欠乏したりすることが抑制される。
【0036】
以上のように、本実施の形態では、開口を有する留め具12と保持部11との間に連結部13を設け、この連結部13により、開口面12aの空気取込み面10aに対する水平角度を調節できるようにしたので、被取り付け部材の形態によらず、空気取込み面10aが特定の方角を向くようにして取り付けることができる。これにより、充電器を携帯しながら空気を安定して供給することができ、燃料電池10の発電状態を保つことができる。よって、簡便に衣服や鞄などに取り付けることができると共に、燃料電池10の安定した電力供給を実現させることが可能となる。
【0037】
次に、上記第1の実施の形態の変形例について説明する。以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0038】
(変形例1)
図7は、変形例1に係るホルダの連結部14のXZ断面構造を表すものである。なお、連結部14以外の構成は、上記燃料電池10に取り付けられたホルダ1と同様である。連結部14は、上記連結部13と同様に、例えばXZ平面における軸Hを中心とした筒状部材であり、外筒140の内側に内筒141を有し、外筒140は留め具12に、内筒141は保持部11にそれぞれ連結されている。
【0039】
外筒140には、所定の位置、例えば円周を8等分する位置、すなわち軸Hを中心として45°の間隔で開口140aが設けられている。内筒141の側面には、外筒140の開口140aと同等の間隔で突起142が形成されている。各突起142は、上記連結部13における突起132と同様の構成となっている。また、水平角度の調整および固定の方法についても、上記連結部13と同様となっている。
【0040】
このように、外筒140の開口140aおよび突起142の数や配置は、特に限定されない。本変形例では、上記第1の実施の形態の連結部13よりも、開口140aおよび突起142の数が多く、円周方向における刻みが細かくなっているので、より水平角度を細やかに調節し易くなる。これにより、被取り付け部材の形態に対応し易くなる。
【0041】
(変形例2)
図8は、変形例2に係るホルダの連結部15のXZ断面構造を表すものである。なお、連結部15以外の構成は、上記燃料電池10に取り付けられたホルダ1と同様である。連結部15は、軸Hを中心とした筒状部材であり、例えば留め具12に連結された外型143と、この外型143の内側に配置されると共に、例えば保持部11に連結された歯車144とからなる、いわゆるラチェット構造を有している。
【0042】
外型143および歯車144は、例えば硬質な弾性部材で構成されている。外型143には、所定の間隔、例えば軸Hまわりに90°の間隔で突起143aが設けられている。この突起143aは、一方の側面に緩やかな傾斜面、他方の側面に急峻な傾斜面を有している。歯車144は、外型143の突起143aに対応する位置に、歯144aを有している。これにより、例えば外型143を反時計まわりに、歯車144を時計まわりに相対的に動かすと、歯144aは、外型143の突起143aの緩やかな傾斜面を通過して、水平角度が変更される。なお、上記と逆の方向に動かした場合には、歯144aは、突起143aの急峻な傾斜面において係止されるため、通過しにくくなっている。
【0043】
このように、ラチェット構造を用いて水平角度を調節するようにしてもよい。但し、この場合には、所定の水平角度において、開口面12aおよび空気取込み面10aの位置関係を固定し得るような機構を別途設ける必要がある。
【0044】
(変形例3)
図9(A),(B)は、変形例3に係るホルダおよび燃料電池10の概略構造を表すものである。図9(A)では、保持部16以外の構成は上記第1の実施の形態と同様となっている。また、図9(B)では、留め具17以外の構成は上記第1の実施の形態と同様となっている。図9(A)に示したように、保持部16は、上述したような2点止めのものに限らず、所定の幅を有する帯形状となっていてもよい。これにより、燃料電池10の筐体に対して回動することなく固定され易くなる。また、図9(B)に示したように、留め具17の形状は、上述したような楕円形状に限らず円形状であってもよい。
【0045】
(変形例4)
図10(A),(B)は、変形例4に係るホルダ2および燃料電池10の概略構造を表すものである。図10(A)は、空気取込み面10aの側からみた図であり、図10(B)は空気取込み面10aの反対側の面からみた図である。本変形例では、燃料電池10がホルダ2に対して着脱可能となっていること以外は、上記第1の実施の形態と同様の構成となっている。ホルダ2では、連結部13によって留め具12に連結された保持部18(図10中の斜線部)が、燃料電池10を着脱可能に保持するようになっている。
【0046】
保持部18は、扁平形状の燃料電池10を、空気取込み面10aに対向しない領域を接点として保持している。例えば、図10(A)に示したように、空気取込み面10aが形成されている側では、燃料電池10の筐体の上方の角部分と、底面部分のみで接している。一方、図10(B)に示したように、筐体の空気取込み面10aが設けられていない面において、角部分および底面部分に加え中央の領域で接するようにしている。このように、空気取込み面10aがホルダ2によって塞がれることがないように、燃料電池10に装着される。
【0047】
この保持部18は、例えばシリコンゴムなどの弾性を有する材料により構成されている。これにより、燃料電池10に装着し易くなると共に、様々なサイズの燃料電池10に対応できるようになる。
【0048】
本変形例では、燃料電池10がホルダ2に対して着脱可能となっていることにより、従来から用いられている外付けタイプの燃料電池を、手軽に持ち運びながら発電させることができるようになる。
【0049】
(変形例5)
図11(A),(B)は、変形例5に係るホルダ2および燃料電池20の概略構造を表すものである。本変形例では、燃料電池20の両面に空気取込み面10a1,10a2が形成されていること以外は、上記変形例4と同様の構成を有している。
【0050】
燃料電池20は、筐体の内部に2つの発電セルを有するものである。燃料電池20の筐体の対向する2面には、これら2つの発電セルの各酸素電極に空気を供給すべく、空気取込み面10a1,10a2がそれぞれ形成されている。
【0051】
このように、着脱可能なホルダ2を用いた構成では、燃料電池20として2つの発電セルを設け、筐体の両面に空気取込み面10a1,10a2をそれぞれ設けるようにしてもよい。これにより、燃料電池20の高出力化が可能となる。
【0052】
一方で、上記のように構成した場合、空気取込み面10a1,10a2のどちらかの面、例えば空気取込み面10a2が、衣服や鞄などの取り付け対象に対向して配置されることとなる。ところが、本変形例では、保持部18が一定の厚みを有しているため、空気取込み面10a2と取り付け対象との間に間隙が形成され、空気取込み面10a2が衣服や鞄などに接して塞がれてしまうことはない。従って、筐体の両面に形成された2つの空気取込み面10a1,10a2から十分に空気を取り込むことができる。また、空気取込み面10a2の側、すなわち保持部18の形成面積がより大きな面が取り付け対象に対向するように取り付けることで、衣服や鞄などとの間に間隙を確保し易くなる。
【0053】
[第2の実施の形態]
図12(A),(B)は、本発明の第2の実施の形態に係るホルダ1を備えた携帯電話機(電子機器)3の概略構成を表すものである。携帯電話機3は、燃料電池10を内蔵した筐体の上面にホルダ1が取り付けられたものである。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0054】
携帯電話機3は、例えば矩形状の対向する2面を有し、一方の面(以下、表面という)に操作部21および表示部22が設けられ、他方の面(以下、裏面という)に空気取込み面20aが設けられている。例えば、図12(A)に示したように、裏面において、空気取込み面20aは、燃料電池10に対向するように設けられている。一方、図12(B)に示したように、表面において、操作部21は燃料電池10に対向する領域に設けられ、燃料電池10に対向しない領域には、液晶パネルなどの表示部22が設けられている。
【0055】
本実施の形態では、上述の第1の実施の形態と同様に、ホルダ1の留め具12によって携帯電話機3が被取り付け部材に取り付けられると共に、連結部13により開口面12aと空気取込み面20aとの水平角度が調節される。よって、簡便に衣服や鞄などに取り付けることができると共に、携帯電話機の待機中や持ち運びの際にも、燃料電池10からの安定した電力供給を実現させることが可能となる。
【0056】
(変形例6)
図13(A),(B)は、上記第2の実施の形態の変形例6に係る携帯電話機の概略構造を表すものである。本変形例では、携帯電話機3がホルダ4に対して着脱可能となっていること以外は、上記第2の実施の形態と同様の構成を有している。ホルダ4では、連結部13によって留め具12に連結された保持部23(図13中の斜線部)が、携帯電話機3を着脱可能に保持するようになっている。この保持部23は、上記第1の実施の形態の変形例4の保持部18とほぼ同様の構成となっている。
【0057】
但し、本変形例では、図13(A),(B)に示したように、携帯電話機3の表面よりも裏面において保持部23の形成面積が大きくなっている。これにより、被取り付け部材に対して、裏面を内側、表面を外側に向けるようにして取り付けることができる。よって、衣服や鞄に取り付けた状態で、携帯電話機3の操作部21を操作したり、表示部21に表示された文字や画像を観ることができる。また、裏面の空気取込み面20aは、取り付け対象に対向することとなるが、上述したように、保持部23に一定の厚みがあることによって、空気取込み面20aが塞がれることはない。
【0058】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態等では、留め具および開口の形状が楕円形状もしくは円形状のものを例に挙げて説明したが、これに限定されず、留め具および開口の形状は、多角形状、例えば矩形状や台形状、六角形状などであってもよい。
【0059】
また、上記実施の形態等では、発電機器として、メタノールを燃料として用いる燃料電池を例に挙げて説明したが、メタノールのほか、エタノールやジメチルエーテルなどの他の液体燃料を用いた燃料電池でもよい。
【0060】
さらに、発電機器としては、燃料電池に限らず、他の発電機器、例えば太陽光を取り込むことにより発電を行う太陽電池に適用することも可能である。但し、この場合には、太陽電池の筐体の一部に、本発明の機能面としての光取込み面を設けるようにする。このような構成によっても、連結部により水平角度を調節することで、被取り付け部材の形態によらず、光取込み面を特定の方角を向くように、すなわち太陽に対面するように固定することができる。よって、本発明と同等の効果を得ることができる。
【0061】
また、上記第2の実施の形態では、燃料電池10が搭載される電子機器として携帯電話機を例に挙げて説明したが、これに限定されず、他の電子機器、例えば電子写真機、電子手帳、カムコーダ、携帯型ゲーム機、携帯型ビデオプレーヤー、ヘッドフォンステレオまたはPDA(Personal Digital Assistants )等の携帯型の電子機器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る充電器の概略構成を表す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る充電器の概略構成を表す図である。
【図3】図1に示した連結部の概略構成を表す断面図である。
【図4】図1に示した充電器の作用を説明するための図である。
【図5】図1に示した充電器の実際の取り付け例を模式的に表した図である。
【図6】図2に示した充電器の作用を説明するための図である。
【図7】第1の変形例に係る連結部の概略構成を表す断面図である。
【図8】第2の変形例に係る連結部の概略構成を表す断面図である。
【図9】第3の変形例に係る充電器の概略構成を表す断面図である。
【図10】第4の変形例に係る充電器の概略構成を表す断面図である。
【図11】第5の変形例に係る充電器の概略構成を表す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話機の概略構成を表す図である。
【図13】第6の変形例に係る携帯電話機の概略構成を表す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1,2,4…ホルダ、3…携帯電話機、10,20…燃料電池、10a,20a,10a1,10a2…空気取込み面、11,16,18,23…保持部、12,17…留め具、12a…開口面、13,14,15…連結部、21…操作部、22…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能面を有する発電機器を保持するための保持部と、
開口を有する留め具と、
前記留め具を前記保持部に対して、前記開口のなす面の前記機能面に対する水平角度を調整可能に連結すると共に、その水平角度を所定の角度に固定する連結部と
を備えた発電機器用ホルダ。
【請求項2】
前記水平角度は、0°および90°においてそれぞれ固定される
請求項1に記載の発電機器用ホルダ。
【請求項3】
前記発電機器は燃料電池であり、
前記機能面は空気取込み面である
請求項1に記載の発電機器用ホルダ。
【請求項4】
前記保持部は、前記発電機器の筐体に一体的に固定されている
請求項1に記載の発電機器用ホルダ。
【請求項5】
前記保持部は、前記筐体の少なくとも2点において固定されている
請求項4に記載の発電機器用ホルダ。
【請求項6】
前記保持部は、帯形状を有する
請求項4に記載の発電機器用ホルダ。
【請求項7】
前記発電機器は、前記保持部に対して着脱可能となっている
請求項1に記載の発電機器用ホルダ。
【請求項8】
前記機能面は、前記発電機器の対向する2面に設けられている
請求項7に記載の発電機器用ホルダ。
【請求項9】
前記発電機器は扁平形状を有し、
前記機能面は、前記扁平形状の幅広な面に設けられている
請求項1に記載の発電機器用ホルダ。
【請求項10】
前記留め具は、開閉可能なフック部を有する
請求項1に記載の発電機器用ホルダ。
【請求項11】
機能面を有する発電機器と、前記発電機器に取り付けられたホルダとを備え、
前記ホルダは、
前記発電機器を保持する保持部と、
開口を有する留め具と、
前記留め具を前記保持部に対して、前記開口のなす面の前記機能面に対する水平角度を調整可能に連結すると共に、その水平角度を所定の角度に固定する連結部と
を備えた発電装置。
【請求項12】
機能面を有する発電機器を内蔵した筐体と、前記筐体に取り付けられたホルダとを備え、
前記ホルダは、
前記筐体を保持する保持部と、
開口を有する留め具と、
前記留め具を前記保持部に対して、前記開口のなす面の前記機能面に対する水平角度を調整可能に連結すると共に、その水平角度を所定の角度に固定する連結部と
を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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