説明

発電機

【課題】
本発明の様々な実施形態によって、所要の電圧を安定的に供給することができる小型の発電機を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態に係る発電機1は、入力された物理量を電気エネルギーに変換するトランスデューサ12と、互いに対向する第1及び第2の端子を含み、トランスデューサ12から提供された電気エネルギーを蓄電するコンデンサ16と、コンデンサ16の第1の端子に接続され、コンデンサ16に蓄積された電気エネルギーを出力する端子電極20−aと、コンデンサ16の第2の端子と端子電極20−bとの間に配置された電池18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機に関し、特に無線加速度センサ等に用いられる小型の発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
無線加速度センサ等の無線センサを用いて人や家畜の活動をモニタリングすることが検討されている。この種の無線加速度センサは、モニタリング対象に装着して用いられ、モニタリング対象の動きに応じて検出される加速度等の物理量の変化を無線周波数の変化として外部のデータ処理装置に送信し、受信側のデータ処理装置において受信した物理量の変化を解析してモニタリング対象の活動を把握できるようにするものである。かかる用途の無線加速度センサにおいては、電池の交換が困難なことが多いので、小型の発電機を備え、この発電機から提供される電圧によって動作可能であることが望ましい。
【0003】
このような小型発電機の開示例がある。例えば、特開2010-119280号公報(特許文献1)には、組み込んだ小型のエレクトレット振動発電装置が開示されている。また、特開平11-146663号公報(特許文献2)には、携帯時計用の小型発電装置が開示されている。いずれの発電装置も、機械的振動を機械−電気変換して得られた交流電圧を整流回路において整流し、整流した電圧を後段の電子回路に供給している。また、特許文献2に記載の発電装置は、整流した電圧を蓄電し、平滑化するためのコンデンサを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-119280号公報
【特許文献2】特開平11-146663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モニタリング対象である人や動物の動きから得られる電気エネルギーは1mV程度と微少であるため、上述した従来の小型発電機では、無線加速度センサの電子回路を正常動作させるために十分な電圧が得られないおそれがある。また、モニタリング対象の動きは不規則であるため、発電機に加えられる加速度の変動が大きく、その結果、得られる出力電圧の値も大きく変動する。したがって、モニタリング対象の動きから得られる電気エネルギーのみによっては、安定的な電圧を供給することが難しい。
【0006】
そこで、本発明の様々な実施形態によって、所要の電圧を安定的に供給することができる小型の発電機を提供する。本発明のその他の課題は、本明細書及び添付図面の記載等から理解される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る発電機は、出力端子と、接地端子と、前記出力端子と前記接地端子との間に配置され、入力された物理量を電気エネルギーに変換するトランスデューサと、前記出力端子に接続された第1の端子と該第1の端子と対向配置された第2の端子とを含み、前記トランスデューサから提供された電気エネルギーを蓄電するコンデンサと、前記接地端子と前記コンデンサの前記第2の端子との間に配置された電池と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の様々な実施態様によって、所要の電圧を安定的に供給することができる小型の発電機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る発電機の回路構成を示す回路図
【図2】本発明の他の実施形態に係る発電機の回路構成を示す回路図
【図3】トランスデューサから電圧が出力されていない状態における図2に示す発電機の等価回路図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。添付図面において、互いに対応する構成要素にはそれぞれ同一又は類似の参照符号を付し、それらの詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る発電機1の回路構成を示す回路図である。図示のとおり、本発明の一実施形態における発電機1は、トランスデューサ12と、半波整流回路14と、コンデンサ16と、電池18と、端子電極20−a、20−bとを含んで構成される。この発電機1は、端子電極20−aを介して後段の電子回路(不図示)と接続され、その後段の電子回路とともに小型の無線加速度センサを構成する。後段の電子回路は、例えば、発電機1からの入力信号の電圧レベルに応じた出力信号を出力するコンパレータ回路や、当該電圧レベルに応じた無線周波数の信号を無線送信する無線送信回路である。端子電極20−bは接地されている。
【0012】
トランスデューサ12は、端子電極20−aと端子電極20−bとの間に配置される。トランスデューサ12は、入力された物理エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子である。トランスデューサ12は、発電機1に加えられた振動を電気的エネルギーに変換する振動発電素子であってもよい。本発明の一実施形態におけるトランスデューサ12は、圧電方式、電磁誘導方式、及び静電誘導方式のいずれのエネルギー変換方式を採用してもよい。トランスデューサ12は、光等の電磁エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換素子であってもよい。これら以外にも、本発明の一実施形態におけるトランスデューサ12として、モニタリング対象やモニタリングの目的に適した様々なエネルギー変換素子を用いることができる。
【0013】
半波整流回路14は、トランスデューサ12と後段のコンデンサ16との間に配置され、ダイオード22、24を含んで構成される。ダイオード22は、トランスデューサ12と並列に配置され、ダイオード24は、ダイオード22と端子電極20−aとの間に配置される。ダイオード22、24は、アノードからカソードの方向にのみ電流を流し、逆方向には電流を流さないように構成される。このような構成により、半波整流回路14は、トランスデューサ12から出力される交流電圧を整流し、整流された電圧をコンデンサ16に出力することができる。一実施形態においては、トランスデューサ12での発生電圧が小さくても整流ができるように、比較的小さなしきい値電圧を有するダイオード22、24を用いることができる。また、一実施形態においては、後述するコンデンサ16に蓄電された電荷のリークを抑制するために、ダイオード22、24は、その逆方向バイアス電流が極力小さくなるように構成される。図1に示す半波整流回路14の構成はあくまで例示にすぎず、本発明の一実施形態に係る発電機1には、公知の半波整流回路を任意に用いることができる。例えば、半波整流回路14は、ダイオード22とダイオード24のいずれか一方を含むように構成される。また、半波整流回路14に代えて、任意の全波整流回路を用いることができる。
【0014】
コンデンサ16は、互いに対向する第1及び第2の端子を含む。この第1の端子は、端子電極20−aに接続され、第2の端子は電池18の正極端子に接続される。コンデンサ16は、半波整流回路14から出力された電圧に応じた電荷量Qの電荷を蓄電する。これにより、トランスデューサ12から整流回路14を介して提供される電気エネルギーがコンデンサ16に蓄電されることになる。半波整流回路14の出力電圧は、コンデンサ16によって平滑化されて直流電圧に変換される。コンデンサ16の静電容量Cは、トランスデューサ12や、端子電極20−aに接続される後段の回路に応じて適宜変更される。
【0015】
電池18は、一定の端子間電圧Vを有する一次電池又は二次電池である。電池18の負極端子は端子電極20−bに接続され、一方、正極端子はコンデンサ16の第2の端子に接続される。電池18は、コンデンサ16を介して端子電極20−a、20−b間に接続されているので、電池18にはほとんど電流が流れない。一実施形態において、電池18は、その端子間電圧Vが、ダイオード22、24のそれぞれのしきい値電圧の和よりも小さくなるように設定される。これにより、ダイオード22、24を経由して端子電極20−aに到る経路にも電流は流れない。したがって、本発明の実施形態においては、電池18のエネルギーをほとんど消費せずに、端子電極20−a、20−b間に電圧を供給することができる。電池18としては、端子間電圧がダイオード22、24のそれぞれのしきい値電圧の和よりも小さな様々な種類の電池を用いることができる。発電機1の小型化及び軽量化のために、電池18は、小型であることが望ましい。半波整流回路14がダイオード22、24のいずれか一方のみを含む場合には、電池18の端子間電圧Vは、半波整流回路14に含まれているダイオードのしきい値電圧よりも小さくなるように設定される。
【0016】
このように構成された発電機1において、トランスデューサ12から電気エネルギーが供給されると、コンデンサ16の端子間にはQ/Cの直流電圧が発生する。また、端子電極20−a、20−b間には、コンデンサ16と直列に端子間電圧Vの電池18が接続されているので、端子電極20−a、20−b間にはQ/C+Vの直流電圧が供給されることになる。一実施形態において、コンデンサ16の容量値Cを大きくすることにより、コンデンサ16の端子間電圧Q/Cが電池18の端子間電圧Vよりも相対的に小さくなり、端子電極20−a、20−b間への総供給電圧に占める電池18の寄与を高くすることができる。したがって、コンデンサ16の容量値Cを大きくすることにより、トランスデューサ12から供給される電気エネルギーの大きさに依らず、電池18の端子間電圧Vと略等しい安定した電圧を端子電極20−a、20−b間に供給することができる。また、トランスデューサ12の出力電圧が小さく、この出力電圧のみでは端子電極20−a、20−b間に後段の回路の動作のために十分な電圧が供給できない場合であっても、電池18から供給される電圧の寄与により、端子電極20−a、20−b間には十分な大きさの電圧が供給される。このように、本発明の一実施形態においては、トランスデューサ12から出力される電気エネルギーの大きさによらず、発電機1の後段の回路に対して十分な大きさの安定した直流電圧が供給される。また、本発明の一実施形態に係る発電機1は、小型発電機の通常の構成であるトランスデューサ12、半波整流回路14、及びコンデンサ16に電池18を追加して構成される。したがって、電池18として小型の電池を用いることにより、発電機1の大型化を抑制することができる。
【0017】
図2は、本発明の他の実施形態に係る発電機2の回路構成を示す回路図である。図示のとおり、発電機2は、発電機1と同等の構成に加えて、スイッチ素子32及びスイッチ素子34を備える。発電機2の電池18は、任意の二次電池として構成され、後述するように、コンデンサ16の端子間電圧によって充電可能に構成される。
【0018】
スイッチ素子32は、コンデンサ16の第1の端子に接続されており、この第1の端子を端子電極20−a又は電池18の正極端子のいずれかに選択的に接続する。スイッチ素子34は、コンデンサ16の第2の端子に接続されており、この第2の端子を電池18の正極端子又は電池18の負極端子のいずれかに選択的に接続する。スイッチ素子32、34はそれぞれ、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)により構成される。
【0019】
一実施形態において、スイッチ素子32は、トランスデューサ12から電圧が出力されている間は、コンデンサ16の第1の端子を端子電極20−aに接続するように構成される。また、スイッチ素子34は、トランスデューサ12から電圧が出力されている間は、コンデンサ16の第2の端子を電池18の正極端子に接続するように構成される。これにより、トランスデューサ12から電圧が出力されている間は、端子電極20−a、20−b間にコンデンサ16と電池18とが直列接続された回路が構成され、コンデンサ16の端子間電圧と電池18の端子間電圧の和に相当する電圧が、端子電極20−a、20−b間に供給される。このトランスデューサ12から電圧が出力されている間に実現される回路は、図1に示された回路と等価である。一方、トランスデューサ12から電圧が出力されていない間は、スイッチ素子32がコンデンサ16の第1の端子を電池18の正極端子に接続するとともに、スイッチ素子34がコンデンサ16の第2の端子を電池18の負極端子に接続するように、スイッチ素子32、34が構成される。トランスデューサ12から電圧が出力されていない間に実現される回路は、図3に示されるように、端子電極20−a、20−b間にコンデンサ16と電池18とが並列接続された回路である。図3は、トランスデューサ12から電圧が出力されていない状態における発電機2の等価回路図である。図示のとおり、トランスデューサ12から電圧が出力されていない間は、発電機2は、端子電極20−a、20−b間にコンデンサ16と電池18とが並列接続された回路となり、コンデンサ16に蓄電されている電荷が電池18に供給され、この供給された電荷により電池18が充電される。
【0020】
このように、本発明の一実施形態に係る発電機2によれば、発電機2の後段の回路に対して十分な大きさの安定した直流電圧を供給するとともに、電池18を充電することができるので、発電機2が組み込まれる装置をさらに長寿命化させることができる。
【0021】
本発明の実施形態は、本明細書において明示的に述べた態様に限られるものではなく、明細書中の各実施形態には様々な変更を行うことができる。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態に対して様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0022】
1、2 発電機
12 トランスデューサ
14 半波整流回路
16 コンデンサ
18 電池
20−a、20−b 端子電極
22、24 ダイオード
32、34 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子と、
接地端子と、
前記出力端子と前記接地端子との間に配置され、入力された物理量を電気エネルギーに変換するトランスデューサと、
前記出力端子に接続された第1の端子と該第1の端子と対向配置された第2の端子とを含み、前記トランスデューサから提供された電気エネルギーを蓄電するコンデンサと、
前記接地端子と前記コンデンサの前記第2の端子との間に配置された電池と、
を備える発電機。
【請求項2】
前記電池の端子間電圧が前記コンデンサの端子間電圧よりも大きい請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
前記トランスデューサと前記コンデンサとの間に配置された整流回路をさらに備える請求項1又は2に記載の発電機。
【請求項4】
前記整流回路が、前記出力端子と前記接地端子との間に、前記トランスデューサと並列に配置された第1のダイオードを有する請求項3に記載の発電機。
【請求項5】
前記電池が、前記第1のダイオードのしきい値電圧よりも小さい端子間電圧を有するように構成された請求項4に記載の発電機。
【請求項6】
前記整流回路が、前記第1のダイオードと前記出力端子との間に配置された第2のダイオードを有する請求項4又は5に記載の発電機。
【請求項7】
前記電池が、前記第1のダイオードのしきい値電圧と前記第2のダイオードのしきい値電圧との和よりも小さい端子間電圧を有するように構成された請求項6に記載の発電機。
【請求項8】
前記トランスデューサが、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する請求項1から7のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項9】
前記トランスデューサが、電磁気エネルギーを電気エネルギーに変換する請求項1から7のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項10】
前記コンデンサの前記第1の端子に接続され、前記トランスデューサから電気エネルギーが出力されている間、該第1の端子を前記出力端子に接続する一方、前記トランスデューサから電気エネルギーが出力されていない間、該第1の端子を前記電池の正極端子に接続する第1のスイッチ素子と、
前記コンデンサの前記第2の端子に接続され、前記トランスデューサから電気エネルギーが出力されている間、該第2の端子を前記電子の前記正極端子に接続する一方、前記トランスデューサから電気エネルギーが出力されていない間、該第2の端子を前記電池の負極端子に接続する第2のスイッチ素子と、
を備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の発電機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate