説明

発電装置、及び潤滑油回収方法

【課題】潤滑油系統から分離して作動媒体系の作動媒体に混入した潤滑油を回収し潤滑油系に戻す潤滑油回収手段を備えた発電装置、及び潤滑油回収方法を提供する。
【解決手段】蒸気発生器11で発生した作動媒体蒸気をタービン13に導き発電機12を駆動し、凝縮器15にて凝縮した作動媒体液を送液ポンプ16にて蒸気発生器11に送り込み、潤滑油供給ポンプ20により発電機12の軸受18、19に潤滑油を送り込むように構成した発電装置において、蒸気発生器11からの作動媒体蒸気を気液分離器34に導き、分離された潤滑油が混入した作動媒体液107を冷却器49に導き冷却し、該冷却された作動媒体液を油液分離器37に導き比重差により潤滑油と作動媒体液を分離し、分離された潤滑油を潤滑油タンク21に戻すと共に、該分離された作動媒体液を凝縮器に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的低温の排熱等を回収して、この熱エネルギーを電力に変換する発電装置に係り、特にタービン発電機の軸受の潤滑に用いる潤滑油が作動媒体循環経路の作動媒体に混入した場合に該潤滑油を作動媒体から分離し、潤滑油循環経路に回収することができるようにした発電装置、及び潤滑油回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
200℃〜400℃程度の排ガス或いは60℃〜100℃の排温水等比較的低温の排熱を発電電力として有効に回収することが試みられている。このような低温度の排熱の回収は、ランキンサイクル等を利用したクローズドシステムの発電装置として実現可能であり、装置のコンパクト化のために、作動媒体として水ではなく、低沸点の作動媒体が用いられている。
【0003】
上述したクローズドシステムの発電装置におけるタービン発電機の軸受の潤滑は、通常潤滑油を用いて行われている。この潤滑油が循環する潤滑油系統は、通常、熱サイクルを構成する作動媒体系統とは、ラビリンスシール等により分離されているが、隙間無く遮断することは不可能で、条件によっては作動媒体系に潤滑油が漏れ出すことも、潤滑油系統に作動媒体が入り込むこともある。特にタービン発電機の起動時或いは停止時に、潤滑油と作動媒体の温度、圧力の違いにより、潤滑油と作動媒体の混合が生じ易い。そのまま放置すると、潤滑油系統から潤滑油成分がなくなり、作動媒体が主体になり,粘性が低下し、軸受の潤滑に支障をきたす場合もある。これを防止するため、潤滑油に混入した作動媒体をタンク内に貯留し、潤滑油と作動媒体の比重差により分離し、潤滑油を潤滑油系統に、作動媒体を作動媒体系統にそれぞれ戻す試みもなされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記潤滑油と作動媒体の比重差により分離する方法は、潤滑油中の作動媒体を排出するためには、一定の効果はあるものの、条件によっては潤滑油と作動媒体の分離が不十分となり、分離した作動媒体中に潤滑油が混入したり、逆に作動媒体系統に潤滑油が混入する場合もある。作動媒体中に潤滑油が混入すると、作動媒体の伝熱特性が悪化したり、沸点上昇により蒸気圧力が低下したりするため、性能の悪化を招く。また、潤滑油が減少することで、潤滑系統の循環不良を招くこともある。
【0005】
また、潤滑油系統に混入した作動媒体を分離して作動媒体系統に戻そうとした場合、分離した作動媒体に若干量の潤滑油が混入している場合があり、これが作動媒体系統に混入することがある。また、分離作動媒体に混入した潤滑油以外にも、装置内には作動媒体に潤滑油が混入する可能性のある個所があり、潤滑油を回収する手段が望まれている。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、潤滑油系統から分離して作動媒体系の作動媒体に混入した潤滑油を回収し潤滑油系に戻す潤滑油回収手段を備えた発電装置、及び潤滑油回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、蒸気発生器、凝縮器、膨張機、これらを作動媒体が循環する作動媒体循環経路と、及び前記膨張機により駆動される発電機を具備し、前記蒸気発生器にて外部熱源からの熱で発生した作動媒体蒸気を、前記膨張機に導き前記発電機を駆動し、該膨張機からの作動媒体蒸気を前記凝縮器に導き外部からの冷却媒体にて凝縮させ、該凝縮した作動媒体液を作動媒体循環ポンプにて前記蒸気発生器に送り込むように構成し、潤滑油循環経路と、該潤滑油循環経路に設けた潤滑油供給ポンプを具備し、該潤滑油供給ポンプにより前記膨張機及び/又は前記発電機のロータ軸を支持する軸受に潤滑油を送り込むように構成した発電装置において、気液分離器と、冷却手段と、油液分離器を設け、前記蒸気発生器からの作動媒体蒸気を前記気液分離器に導き、該気液分離器で分離された潤滑油が混入した作動媒体液を前記冷却手段に導き冷却し、該冷却された作動媒体液を前記油液分離器に導き比重差により潤滑油と作動媒体液を分離し、分離された潤滑油を前記潤滑油循環経路に戻すと共に、該分離された作動媒体液を作動媒体循環経路に戻すように構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発電装置において、前記油液分離器を流量制御手段を介して前記潤滑油循環経路に接続し、前記油液分離器で分離された潤滑油を前記流量制御手段を介して前記潤滑油循環経路に戻すように構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発電装置において、前記冷却手段の冷却源は、前記凝縮器から前記蒸気発生器に送られる作動媒体液であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発電装置において、前記油液分離器は、流体の渦状の流れによる遠心力で潤滑油と作動媒体液を分離する構成の油液分離器であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、蒸気発生器にて外部熱源からの熱で発生した作動媒体蒸気を膨張機に導き、発電機を駆動し、該膨張機からの作動媒体蒸気を凝縮器にて外部からの冷却媒体にて凝縮させ、該凝縮した作動媒体液を作動媒体循環ポンプにて蒸気発生器に送り込むように構成すると共に、前記膨張機もしくは前記発電機のロータ軸を支持する軸受に潤滑油を循環させる潤滑油循環経路を具備する発電装置の作動媒体に混入した潤滑油を回収する潤滑油回収方法において、前記蒸気発生器からの作動媒体蒸気を気液分離器に導き、分離された潤滑油が混入した作動媒体液を冷却手段に導き冷却し、該冷却された作動媒体液を油液分離器に導き比重差により潤滑油と作動媒体液を分離し、分離された潤滑油を前記潤滑油循環経路に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1乃至5に記載の発明によれば、蒸気発生器からの作動媒体蒸気を気液分離器に導き、該気液分離器で分離された潤滑油が混入した作動媒体液を冷却手段に導き冷却し、該冷却された作動媒体液を油液分離器に導き比重差により潤滑油と作動媒体液を分離し、分離された潤滑油を潤滑油循環経路に戻すと共に、該分離された作動媒体液を作動媒体循環経路に戻すように構成したので、作動媒体循環経路中に混入した潤滑油を効率よく潤滑油循環経路に回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態例を図面を基づいて説明する。図1は本発明に係る発電装置の概略システム構成を示す図である。この発電装置は、クローズドシステムの発電装置であり、ランキンサイクルを利用した発電装置である。本発電装置は、外部排熱源(例えば、200℃〜400℃程度の排ガス或いは60℃〜100℃の排温水等)101の排熱を回収して作動媒体の高圧蒸気102を発生する蒸気発生器11と、該高圧蒸気102を膨張させることにより駆動するタービン(膨張機)13と該タービン13で駆動される発電機12を備えたタービン発電機14と、前記タービン13を駆動した後の低圧蒸気103を外部冷却媒体(例えば、冷却水等)104にて冷却して作動媒体の凝縮液105を形成する凝縮器15と、該凝縮器15にて凝縮した作動媒体の凝縮液105を加圧して前記蒸気発生器11に送り込む送液ポンプ16を備え、これらを蒸気発生器11、タービン13、凝縮器15、及び送液ポンプ16を作動媒体循環経路17で接続している。
【0014】
なお、本実施形態では、膨張機としてタービン発電機14のタービン13を用いる例を説明するが、発電機12を駆動する膨張機はタービン13に限らずスクリュー型の膨張機やスクロール型の膨張機など他の形式の膨張機ついても同様に適用が可能である。
【0015】
ここで、作動媒体として、例えば低沸点媒体であるHFC123或いはトリフルオロエタノール(CF3CH2OH)等を用いている。これにより、比較的低温(200℃〜400℃程度)の排ガス或いは比較的低温(60℃〜100℃)の排温水等の熱源を利用して、これらの熱をまず作動媒体の高圧蒸気に変換し、これによりタービン発電機14の発電機12に直結したタービン13を回転駆動し、発電を行うことができる。また、作動媒体は低沸点媒体に限定されるものではなく、高沸点媒体であってもよい。
【0016】
上記発電装置において、送液ポンプ16で、作動媒体の凝縮液105を蒸気発生器11に送り込む。凝縮液105は蒸気発生器11で外部排熱源101の熱エネルギーを受け、沸騰蒸発して高圧蒸気102となる。この作動媒体の高圧蒸気102はタービン発電機14の発電機12に直結したタービン13に送りこまれ、ここで高圧蒸気102の膨張によりタービン13を駆動して発電機12を駆動(回転)させて発電する。タービン13から排出された低圧蒸気103は凝縮器15にて、冷却水や外気等の冷却媒体104で冷却され、凝縮し、必要に応じて過冷却器(図示せず)で冷却され、送液ポンプ16に吸引され、クローズドシステムを一巡する。
【0017】
なお、図1において、50はタービン13に供給される高圧蒸気102を遮断する遮断弁、48は高圧蒸気102をタービン13をバイパスして作動媒体循環経路17に流すバイパス弁、51は蒸気発生器11の出口の作動媒体蒸気(高圧蒸気102)の温度を検出する温度検出器、52は蒸気発生器11の出口の作動媒体蒸気の圧力を検出する圧力検出器である。
【0018】
タービン発電機14の主軸は軸受18、19により支持されている。そして各軸受18、19には、潤滑油供給ポンプ20により潤滑油タンク21に貯留された潤滑油106が加圧され潤滑油循環経路24を通って各軸受18、19に供給される。各軸受18、19を潤滑・冷却した潤滑油106は加熱され昇温して潤滑油受皿22、23に貯留され、潤滑油循環経路24を通って潤滑油タンク21に戻るようになっている。潤滑油タンク21内とタービン発電機14内は均圧配管44で接続され、該均圧配管44には制御弁45が設けられている。発電機12とタービン13の間にはラビリンスシールLSが設けられている。なお、潤滑油循環経路24の潤滑油供給ポンプ20の吐出口側には、ゴミ取り用の潤滑油フィルタ27や潤滑油の流れを確認等する流量計28が設けられている。また、潤滑油タンク21内と凝縮器15内は均圧配管33により制御弁46を介して連通している。
【0019】
潤滑油供給ポンプ20の吐出口側の配管(潤滑油循環経路24)には、温度調節器(装置)25が配置され、該温度調節器(装置)25に冷却媒体として送液ポンプ16により作動媒体の凝縮液105を冷却媒体配管26及び制御弁42を通して供給し、加熱媒体として蒸気発生器11からの高圧蒸気102が加熱媒体配管40及び制御弁41を通して供給することで、軸受18、19に供給する潤滑油106の温度を望ましい範囲に維持するようなっている。温度調節器(装置)25に供給された作動媒体は媒体戻し配管30を通って凝縮器15に戻される。該媒体戻し配管30には流量を制御する流量制御手段としてオリフィス31が設けられている。
【0020】
また、本発電装置では、蒸気発生器11の出口に気液分離器34を設けると共に、この気液分離器34で分離された潤滑油が混入する作動媒体液107を作動媒体戻し配管36を通して冷却器49に導いて冷却した後、油液分離器37にて、潤滑油を分離している。冷却器49は凝縮器15から蒸気発生器11に送られる作動媒体の凝縮液105を冷却熱源とする冷却器である。作動媒体循環経路17を循環する作動媒体中に混入した潤滑油は、蒸気発生器11で加熱されても気化しないため、蒸気発生器11内で濃縮され、濃縮された状態で、気液分離器34で作動媒体蒸気(高圧蒸気102)から分離液として分離された作動媒体液107に混入した状態で回収される。
【0021】
ここで、気液分離器34内の潤滑油が多く混入する作動媒体液107は高温であるため、潤滑油と作動媒体とが相互に溶解している場合がある。特に高温の潤滑油中には作動媒体が溶解しやすくなる傾向がある。このような場合はこのまま比重により潤滑油と作動媒体とを分離しようとしても比重差が小さいために困難であり、潤滑油だけ分離できた場合でも、その中に作動媒体が相当量溶解している場合がある。これをそのまま潤滑油循環経路24に戻してしまうと、潤滑油循環経路24に作動媒体が混入して、潤滑油の粘度が低下し、潤滑不良を生じる可能性がある。
【0022】
このため、本発明では、潤滑油と作動媒体との混合体を冷却器49で冷却してから比重差により、潤滑油と作動媒体とを分離することとした。これにより、相互に溶解していた潤滑油と作動媒体とが乖離して、分離することが容易となる。なお、冷却器49の冷却熱源として、蒸気発生器11に送られる凝縮液を用いると、気液分離器34内の高温の作動媒体液の持つ熱エネルギーが蒸気発生器に回収されることになるため、発電能力の低下を抑止することができ望ましい。しかし、気液分離器34内の高温の作動媒体液の量が少ない場合など、効率の低下が許容できる場合は、冷却水や外気等、或いは潤滑油や作動媒体の気化熱等を用いても良い。
【0023】
上記回収された潤滑油が混入した作動媒体液107は、冷却器49で冷却された後、油液分離器37で比重差により潤滑油と作動媒体液に分離することで、潤滑油を効率良く回収することができる。回収した潤滑油は潤滑油戻し配管38を通して潤滑油タンク21に戻される。なお、油液分離器37で潤滑油を除いた作動媒体液107は還液制御弁35を介して凝縮器15に戻される。なお、還液制御弁35はオリフィス等で代用しても良い。
【0024】
一般に蒸気発生器11は、蒸発させようとする作動媒体量よりも5〜20%程度多くの作動媒体を流すことで伝熱性が向上することが知られており、余剰の作動媒体液を回収し、蒸気発生器11の入口に環流させる目的で気液分離器34が設けられている場合が多い。本発電装置に必要な気液分離器34も、この気液分離器を兼用して差し支えない。
【0025】
また、本発電装置では、冷却器49で冷却後の潤滑油が混入する作動媒体液107を比重差により分離するために、流体の渦状の流れを用いて、遠心力で潤滑油を作動媒体液から分離することにしている。
【0026】
図2は油液分離器37の構造を示す図で、図2(a)は平断面図、図2(b)は側断面図である。図示するように、油液分離器37は水平断面が上部に行くに従って徐々に小さくなる円錐台状筒部と円筒状部からなる容器37cを備え、該油液分離器37に流入口37aと流出口37bを設けている。流入口37aはそこから流入する液が容器37cの内壁面の接線方向に向かって流れ、内部に矢印Aに示すような渦流を発生するように偏心した位置に配置されいる。
【0027】
上記構造の油液分離器37において、気液分離器34で分離され、冷却器49で冷却された潤滑油が混入する作動媒体液107を油液分離器37の流入口37aから流入させると、容器37cの内部に矢印Aに示すような渦流を発生する。このため比重の大きい作動媒体107は外側に集まり、比重の小さい潤滑油106は中心に集まることとなる。中心に集まった潤滑油106は特に上方に集まることになる。油液分離器37の容器37cの上部円錐台状筒部となっており、水平断面が上部に行くに従って徐々に小さくないるので、上方では特に潤滑油106が集まり易い。
【0028】
本発電装置では、油液分離器37に界面検出器47を設け、油液分離器37内の潤滑油106の溜まり具合を検出し、潤滑油106が規定のレベルにまで溜まると制御弁39を開いて潤滑油106を潤滑油戻し配管38を通して潤滑油タンク21に戻している。なお、ここでは上記のように油液分離器37に界面検出器47を設け、溜まった潤滑油106の界面を検出し潤滑油106のレベルが規定のレベルになったら制御弁39を開いているが、界面検出器に代え、発電装置の運転時間や、起動回数、潤滑油タンク21内の潤滑油液面などにより、油液分離器37内に潤滑油106が所定量溜まったと判断する場合は、制御弁39を開いて、潤滑油106を潤滑油タンク21に戻して良い。また、サイトグラスなどで運転員が目視で確認し、制御弁39を開いて、油液分離器37内に溜まった潤滑油106を潤滑油タンク21に戻しても良い。
【0029】
なお、図2では遠心力により分離する油液分離器37を示したが、遠心力に依らず、重力により分離することも可能である。その場合も容器内の液の流速が十分に低下するように、流路断面積を広く取った容器を用意し、その上部に潤滑油を集めるのでも良い。
【0030】
図5は重力(比重)により潤滑油と作動媒体を分離する油液分離器の構成例を示す図で、図5(a)は平断面図、図5(b)は側断面図である。図示するように、油液分離器37は水平断面が上部に行くに従って徐々に小さくなる円錐台状筒部と円筒状部からなる容器37cを備え、該油液分離器37に流入口37aと流出口37bを設けている。気液分離器34で分離され、冷却器49で冷却された潤滑油が混入する作動媒体液107を流入口37aから流入させると、該作動媒体液107は内部に広がりその流速が十分低下するように容器37c内の流路断面積は広くなっている。これにより比重の大きい作動媒体107は下側に集まり、比重の小さい潤滑油106は上部に集まることとなる。
【0031】
なお、本発電装置では、潤滑油タンク21の中間程度の高さに位置する内筒21aの頂部から潤滑油106を取り出すこととしている。これにより、潤滑油タンク21の下部には、潤滑油循環経路24に混入した作動媒体液107が蓄積されるようになっている。油液分離器37から潤滑油タンク21に戻される潤滑油106内に作動媒体が含まれている場合、潤滑油循環系路24に作動媒体が微量ながら混入することになるが、これはこのような分離方法により分離できる。分離された作動媒体液107は、やはり一定量蓄積したと判断される場合、作動媒体循環経路17に還流させ、(ここでは凝縮器15に還流させる)また、気化させて作動媒体循環経路17に還流させて回収することもできる。この場合は、作動媒体を加熱し、作動媒体蒸気として作動媒体循環経路17に戻しても良い。このようにすると、作動媒体中に溶解した潤滑油が油滴として分離され、再度作動媒体循環経路17に混入することを抑制できる。
【0032】
図3は本発明に係る発電装置の他の概略システム構成を示す図である。図3において、図1と同一符号を付した部分は同一又は相当部分を示す。図示するように本発電装置では、油液分離器37で分離された潤滑油106を潤滑油戻し配管38を通して潤滑油タンク21内に設けられた油再生器60に戻している。油再生器60で潤滑油106を気相と接触させて、その中に混入する作動媒体の気化を促し、気化した作動媒体蒸気を潤滑油タンク21内の上部に設けた油滴分離器70を通したその中の油滴を除去し、油滴の除去された作動媒体蒸気を均圧配管33を通して凝縮器15に戻している。これにより作動媒体は作動媒体循環経路17にもどしている。
【0033】
図4は本発電装置の潤滑油タンク21内に一体として形成された油再生器60と油滴分離器70の構造を示す図である。油再生器60は上下方向に所定の間隙を設けて複数枚(図では8枚)の蒸発皿61が水平に且つ交互に配置されている。油液分離器37からの作動媒体が混入する潤滑油106は潤滑油戻し配管38を通して油再生器60に導かれる。油再生器60内には、最上段の蒸発皿61に供給され、気相と接触しながら下段の蒸発皿61に流れ、最下段の蒸発皿61から潤滑油タンク21内の底部に滞留する。潤滑油106が蒸発皿61の上を流れ、気相と接触することで、潤滑油106中に含まれる作動媒体は気化し、分離される。気化した作動媒体蒸気は油滴分離器70を通して、凝縮器15に戻される。なお、油滴分離器70は、潤滑油タンク21内の上部に所定の間隙を設けて複数枚(図では3枚)の邪魔板71を水平に且つ交互に配置した構造である。この邪魔板71により作動媒体蒸気中の油滴は捕獲され除去される。
【0034】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る発電装置の概略システム構成を示す図である。
【図2】本発明に係る発電装置の油液分離器概略構造を示す図である。
【図3】本発明に係る発電装置の概略システム構成を示す図である。
【図4】本発明に係る発電装置の潤滑油タンクと油再生器と油滴分離器の構造を示す図である。
【図5】本発明に係る発電装置の油液分離器の構成を示す図であり、図5(a)は平断面図、図5(b)は側断面図である。
【符号の説明】
【0036】
11 蒸気発生器
12 発電機
13 タービン(膨張機)
14 タービン発電機
15 凝縮器
16 送液ポンプ
17 作動媒体循環経路
18 軸受
19 軸受
20 潤滑油供給ポンプ
21 潤滑油タンク
22 潤滑油受皿
23 潤滑油受皿
24 潤滑油循環経路
25 温度調節器
26 冷却媒体配管
27 潤滑油フィルタ
28 流量計
30 媒体戻し配管
31 オリフィス
33 均圧配管
34 気液分離器
35 還液制御弁
36 作動媒体戻し配管
37 油液分離器
38 潤滑油戻し配管
39 制御弁
40 加熱媒体配管
41 制御弁
42 制御弁
43 制御弁
44 均圧配管
45 制御弁
46 制御弁
47 界面検出器
48 バイパス弁
49 冷却器
50 遮断弁
51 温度検出器
52 圧力検出器
60 油再生器
61 蒸発皿
70 油滴分離器
71 邪魔板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生器、凝縮器、膨張機、これらを作動媒体が循環する作動媒体循環経路と、及び前記膨張機により駆動される発電機を具備し、前記蒸気発生器にて外部熱源からの熱で発生した作動媒体蒸気を、前記膨張機に導き前記発電機を駆動し、該膨張機からの作動媒体蒸気を前記凝縮器に導き外部からの冷却媒体にて凝縮させ、該凝縮した作動媒体液を作動媒体循環ポンプにて前記蒸気発生器に送り込むように構成し、潤滑油循環経路と、該潤滑油循環経路に設けた潤滑油供給ポンプを具備し、該潤滑油供給ポンプにより前記膨張機及び/又は前記発電機のロータ軸を支持する軸受に潤滑油を送り込むように構成した発電装置において、
気液分離器と、冷却手段と、油液分離器を設け、
前記蒸気発生器からの作動媒体蒸気を前記気液分離器に導き、該気液分離器で分離された潤滑油が混入した作動媒体液を前記冷却手段に導き冷却し、該冷却された作動媒体液を前記油液分離器に導き比重差により潤滑油と作動媒体液を分離し、分離された潤滑油を前記潤滑油循環経路に戻すと共に、該分離された作動媒体液を作動媒体循環経路に戻すように構成したことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電装置において、
前記油液分離器を流量制御手段を介して前記潤滑油循環経路に接続し、
前記油液分離器で分離された潤滑油を前記流量制御手段を介して前記潤滑油循環経路に戻すように構成したことを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発電装置において、
前記冷却手段の冷却源は、前記凝縮器から前記蒸気発生器に送られる作動媒体液であることを特徴とする発電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発電装置において、
前記油液分離器は、流体の渦状の流れによる遠心力で潤滑油と作動媒体液を分離する構成の油液分離器であることを特徴とする発電装置。
【請求項5】
蒸気発生器にて外部熱源からの熱で発生した作動媒体蒸気を膨張機に導き、発電機を駆動し、該膨張機からの作動媒体蒸気を凝縮器にて外部からの冷却媒体にて凝縮させ、該凝縮した作動媒体液を作動媒体循環ポンプにて蒸気発生器に送り込むように構成すると共に、前記膨張機もしくは前記発電機のロータ軸を支持する軸受に潤滑油を循環させる潤滑油循環経路を具備する発電装置の作動媒体に混入した潤滑油を回収する潤滑油回収方法において、
前記蒸気発生器からの作動媒体蒸気を気液分離器に導き、分離された潤滑油が混入した作動媒体液を冷却手段に導き冷却し、該冷却された作動媒体液を油液分離器に導き比重差により潤滑油と作動媒体液を分離し、分離された潤滑油を前記潤滑油循環経路に戻すことを特徴とする潤滑油回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−283674(P2006−283674A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105264(P2005−105264)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)