説明

発電装置

【課題】発電効率を確保しつつ、生産性を向上させることのできる発電装置を提供すること。
【解決手段】発電装置1に、光が入射する側の端部である入射端部14から入射した光を、入射端部14の反対側の端部である照射端部16側に導く光ファイバ4と、光ファイバ4の内部に配設されると共に、外表面が受光することにより発電する球状太陽電池20と、を備える。球状太陽電池20は、このように外表面で受光した光によって発電することができるため、光ファイバ4の内部に配設される球状太陽電池20は、光ファイバ4の内部を通る光によって効果的に発電することができる。また、球状太陽電池20は、受光する光の向きや受光する位置に関わらず発電を行うことができるため、球状太陽電池20を光ファイバ4の内部に配設する際に、光ファイバ4内を通る光に対する球状太陽電池20の位置や向きを調節する必要がなく、容易に配設することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発電装置では、光によって発電を行う太陽電池の他に、この太陽電池に対して光を伝導する光学ガイドを設けているものがある。例えば、特許文献1に記載された光学ガイド付の集光式光起電力セル装置では、光ファイバ等の光を伝導する光学媒体を有する光学ガイドの一端に、光を集光する集光器を設け、光学ガイドの他端側には、光エネルギを電気エネルギに変換することができる光電変換機を配設している。さらに、光学ガイドにおける光電変換機側の端部には、集光器によって集光し、光学媒体によって伝導した光を分光して光電変換機に対して照射する分光体が設けられている。これにより、集光器で集めた光を、光学ガイドを介して光電変換機に照射することにより、光電変換機に対して効率よく照射することができ、光電変換効率の低下を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−3759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載された光学ガイド付の集光式光起電力セル装置のように、集光器で集光した光を光学ガイドで伝導し、光電変換機に照射することにより発電を行う場合、光電変換機に対する照射方向が適切な方向になるように調節して配設する必要がある。つまり、太陽電池のような光電変換機では、受光面に対して直角になる向きで光を受けた場合に、受光した光に対する発電効率が最も高くなるが、光学ガイドの端部に光電変換機を設ける場合には、効率よく発電を行うことができる向きで配設する必要がある。しかし、発電装置の製造時に、光学ガイドの端部に向きを調節しながら光電変換機を配設する場合、製造が煩雑になり易く、生産効率の低下につながる場合がある。このように、光を用いて発電を行う場合に、発電効率と生産性とを両立するのは、大変困難なものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発電効率を確保しつつ、生産性を向上させることのできる発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る発電装置は、光が入射する側の端部である入射端部から入射した光を、前記入射端部の反対側の端部である反入射端部側に導く光ガイド部材と、前記光ガイド部材の内部に配設されると共に、外表面が受光することにより発電する球状発電部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明では、光ガイド部材の内部に、外表面で受光した光によって発電する球状発電部を配設するため、光ガイド部材の内部を通る光によって、球状発電部で効果的に発電することができる。また、球状発電部は、受光する光の向きや受光する位置に関わらず発電を行うことができるため、発電装置の製造時において球状発電部を光ガイド部材の内部に配設する際に、光ガイド部材内を通る光に対する球状発電部の位置や向きを調節する必要がなく、容易に配設することができる。この結果、発電効率を確保しつつ、生産性を向上させることができる。
【0008】
また、上記発電装置において、前記光ガイド部材は、透明な部材で形成されていると共に、前記入射端部から入射した前記光を前記反入射端部側に導くコアを有しており、前記球状発電部は、前記コアに配設されていることが好ましい。
【0009】
この発明では、球状発電部はコアに配設されているため、光ガイド部材の内部に光が入射した場合には、コアを通る光を球状発電部で受光することができる。この結果、光ガイド部材に光が入射した場合に、この光を用いて球状発電部でより確実に発電することができ、より確実に発電効率を向上させることができる。
【0010】
また、上記発電装置において、前記コアは、前記球状発電部の固定部材を兼ねていることが好ましい。
【0011】
この発明では、コアは、球状発電部の固定部材を兼ねているため、球状発電部を固定するための専用の部材を設けることなく、光ガイド部材の内部に球状発電部を配設することができる。また、部材の界面が減るため、界面での反射ロスを低減することができる。この結果、発電効率を向上させつつ、より確実に生産性を向上させることができる。
【0012】
また、上記発電装置において、前記光ガイド部材における前記球状発電部が配設されている位置と前記反入射端部との間には、前記入射端部から入射した前記光を前記球状発電部側に反射する反射部材が設けられていることが好ましい。
【0013】
この発明では、球状発電部が配設されている位置と反入射端部との間に反射部材を設けるため、入射端部から入射して、反入射端部に向かう光のうち、球状発電部によって受光されずに反入射端部の方向に向う光を反射部材で反射することができる。これにより、この光を球状発電部の方向に向わせることができるため、入射端部から入射した光を球状発電部で受光させる確立を増加させることができる。この結果、発電効率をより大きくすることができる。
【0014】
また、上記発電装置において、前記光ガイド部材の内部には、前記球状発電部で発電した電気を蓄電する蓄電部が配設されていることが好ましい。
【0015】
この発明では、光ガイド部材の内部に蓄電部が配設されているため、球状発電部で発電した電気を蓄電部で一時的に蓄電することができる。これにより、電気を使用する状況になった場合には、この蓄電部に蓄電されている電気を使用することにより、球状発電部の発電状態、或いは、光ガイド部材に入射する光の状態に関わらず、安定して使用することができる。この結果、球状発電部で発電した電気を使用する際における利便性を向上させることができる。
【0016】
また、上記発電装置において、前記光ガイド部材における前記反入射端部には、前記球状発電部で発電した電気で作動する電気機器が備えられていることが好ましい。
【0017】
この発明では、反入射端部に電気機器を備えるため、球状発電部で発電した電気を、電気機器を作動させるための電気として用いることができる。この結果、外部の電源からの電気を使用することなく、電気機器を作動させることができる。
【0018】
また、上記発電装置において、前記電気機器は、前記球状発電部で発電した電気によって発光する発光手段を含んでおり、前記発光手段は、発光時の光を前記反入射端部から前記光ガイド部材の外部に対して照射可能に設けられていることが好ましい。
【0019】
この発明では、電気機器である発光手段は、発光時の光を反入射端部から光ガイド部材の外部に対して照射可能に設けられているため、発電装置単体で、所望の箇所を照射することができる。この結果、所望の箇所を照射する場合における構成の簡素化を図ることができ、より確実に生産性を向上させることができる。
【0020】
また、上記発電装置において、前記電気機器は、前記光ガイド部材の外部の状態を検出する状態検出手段と、前記状態検出手段で検出した検出結果を前記光ガイド部材の外部の通信装置に送信可能な通信手段と、を含んでいることが好ましい。
【0021】
この発明では、電気機器として状態検出手段と通信手段とが用いられているため、外部の電気を消費することなく、発電装置が配設されている部分の状態の情報を取得することができ、安定して所望の情報を取得することができる。また、例えば、電力消費量の低減を目的として、状態検出手段で光ガイド部材の外部の状態を検出する場合、外部の電気を消費することなく取得することができるため、より確実に電力消費量を低減することができる。この結果、外部の電気を消費することなく、所望の位置の状態情報を継続的に取得することができる。
【0022】
また、上記発電装置において、前記光ガイド部材の内部には、前記球状発電部で発電した電気を昇圧する昇圧部が配設されており、前記電気機器は、前記昇圧部で昇圧した電気によって作動することが好ましい。
【0023】
この発明では、光ガイド部材の内部に昇圧部を配設し、電気機器は、この昇圧部で昇圧した電気によって作動するため、安定して作動させることができる。この結果、電気機器の作動時の安定性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る発電装置は、発電効率を確保しつつ、生産性を向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、実施形態1に示す発電装置の概略図である。
【図2】図2は、図1に示す発電装置を構成する光ファイバの説明図である。
【図3】図3は、図1に示す発電装置が設けられる洋風便器の斜視図である。
【図4】図4は、実施形態2に係る発電装置の概略図である。
【図5】図5は、実施形態3に係る発電装置の概略図である。
【図6】図6は、実施形態4に係る発電装置の概略図である。
【図7】図7は、実施形態1に係る発電装置の変形例であり、反射板を用いる場合の説明図である。
【図8】図8は、実施形態3に係る発電装置の変形例であり、光ファイバが円形以外の断面形状で形成される場合の説明図である。
【図9】図9は、図8のA−A断面図である。
【図10】図10は、実施形態3に係る発電装置の変形例であり、図9で示す形状以外の説明図である。
【図11】図11は、実施形態4の変形例であり、防水窓を設ける場合における説明図である。
【図12】図12は、実施形態1に係る発電装置の変形例であり、発電装置をノズルに設ける場合の説明図である。
【図13】図13は、図12に示すノズルの詳細図である。
【図14】図14は、実施形態1に係る発電装置の変形例であり、発電装置を部屋の隅部に設ける場合の説明図である。
【図15】図15は、実施形態1に係る発電装置の変形例であり、発電装置を部屋の隅部に設ける場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る発電装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0027】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に示す発電装置の概略図である。図2は、図1に示す発電装置を構成する光ファイバの説明図である。同図に示す発電装置1は、光ガイド部材である光ファイバ4を用いて構成されている。まず、この光ファイバ4について説明すると、断面形状が略円形の形状で形成され、円形の軸方向に延びることにより、線状、或いはコード状の形状になって設けられている。このように断面形状が略円形となる光ファイバ4は、透明の部材からなるコア6と、コア6と同様に透明の部材からなり、コア6を覆うようにコア6の周囲に設けられるクラッド8と、さらに、不透明な部材からなり、クラッド8を覆うようにクラッド8の周囲に設けられる被覆12と、を備えている。即ち、円形の内側から外側に向うに従って、コア6、クラッド8、被覆12の順で配設されている。このうち、コア6とクラッド8とは、共に透過率が高い透明のガラスや樹脂等の材料によって形成されているが、双方の材料は屈折率が異なっており、クラッド8よりもコア6の方が、屈折率が高い材料により形成されている。
【0028】
本実施形態1に係る発電装置1では、このように設けられる光ファイバ4の内部に、外表面が受光することにより発電する球状発電部である球状太陽電池20が配設されている。この球状太陽電池20は、略球状の形状で形成されており、球状のほぼ全ての表面が受光面となって、この球状の受光面で受光した光によって発電可能な太陽電池として設けられている。
【0029】
また、光ファイバ4の内部に設けられる球状太陽電池20は、光ファイバ4が有するコア6の内部に設けられており、コア6によって固定されている。このようにコア6は、球状太陽電池20を光ファイバ4の内部に配設する際における球状太陽電池20の固定部材を兼ねている。コア6によって固定されることにより、コア6の内部に配設される球状太陽電池20は、複数が光ファイバ4の内部に設けられている。この複数の球状太陽電池20は、光ファイバ4の軸方向に並んで配設されており、それぞれの球状太陽電池20の電極22が電線24によって接続されることにより、複数の球状太陽電池20は電気的に接続されている。
【0030】
また、光ファイバ4の内部には、球状太陽電池20で発電した電気を昇圧する昇圧部である昇圧IC(Integrated Circuit)30が配設されている。この昇圧IC30は、電圧を昇圧して一定にすることができる電気回路として設けられている。球状太陽電池20は、電線24によって球状太陽電池20に接続されており、球状太陽電池20で発電した電気の電圧を、昇圧可能になっている。
【0031】
さらに、光ファイバ4の内部には、球状太陽電池20で発電した電気で作動する電気機器が備えられている。具体的には、この電気機器として、球状太陽電池20で発電した電気によって発光する発光手段であるLED(Light Emitting Diode)チップ40が設けられている。このLEDチップ40は、電線24によって昇圧IC30に接続されており、球状太陽電池20で発電し、昇圧IC30で昇圧した電気によって、当該LEDチップ40が有する発光部42が発光する。即ち、光ファイバ4の内部では、LEDチップ40と球状太陽電池20との間に、昇圧IC30が介在しており、LEDチップ40は、昇圧IC30から供給される電気によって発光可能になっている。
【0032】
また、LEDチップ40は、コード状に形成された光ファイバ4の一端側に配設されており、発光部42が、光ファイバ4におけるLEDチップ40が配設されている側の端部から、光ファイバ4の外方に面する向きで配設されている。
【0033】
光ファイバ4の両端部のうち、このようにLEDチップ40が配設され、LEDチップ40の発光部42が位置する側の端部は、発光部42の発光時に、発光した光によって光ファイバ4の外部を照射可能な照射端部16になっている。これに対し、光ファイバ4の両端部のうち、LEDチップ40が配設されている側の端部の反対側の端部は、光ファイバ4の外部の光が光ファイバ4内に入射可能な端部である入射端部14となっている。即ち、照射端部16は、入射端部14を基準で見た場合に、入射端部14の反対側の端部である反入射端部として設けられている。
【0034】
図3は、図1に示す発電装置が設けられる洋風便器の斜視図である。光ファイバ4内に球状太陽電池20が配設されることによって構成される発電装置1は、様々な場所で用いることができるが、一例として、発電装置1を洋風便器50に設ける場合について説明する。図3に示す洋風便器50は、便鉢52の後部上面にロータンク56が設置されており、ロータンク56の前側には便座ボックス58が設置されている。この便座ボックス58には、便座60と便蓋62とが上下方向回転自在に取り付けられている。これらの便座60と便蓋62とは、独立して回転させることができ、便座60を使用する場合は、便蓋62は起立させた状態で便座60のみ倒し、洋風便器50の不使用時には、便座60と便蓋62とを共に倒した状態にする。洋風便器50の不使用時には、このように便蓋62を倒すことにより、便鉢52の上面の開口部分を便蓋62で塞ぐ。
【0035】
本実施形態1に係る発電装置1は、このように設けられる洋風便器50の便蓋62に、照射端部16側が配置される状態で取り付けられている。詳しくは、発電装置1は、便蓋62における便座60側の面、即ち、便蓋62を倒した場合における下面側に、照射端部16に配設されるLEDチップ40の発光部42が露出する状態で取り付けられている。このため、発電装置1は、便蓋62を倒した状態では、LEDチップ40の発光部42が便鉢52の内側に面する状態で設けられている。なお、このように発電装置1を洋風便器50に設ける場合には、LEDチップ40は、点灯時に発光部42から紫外線を照射可能なLEDチップ40が用いられる。また、この場合、便鉢52の内面や上面には、酸化チタン等の光触媒層が設けられる。
【0036】
また、便座ボックス58内には、LEDチップ40の点灯状態を制御する電源回路(図示略)が設けられている。この電源回路は、便蓋62の起立検知センサ(図示略)と連動しており、便蓋62が起立するとLEDチップ40を消灯させ、便蓋62が倒れるとLEDチップ40を点灯させるよう構成されている。即ち、電源回路は、発電装置1における球状太陽電池20とLEDチップ40との間の電気経路に接続されており、球状太陽電池20側からLEDチップ40側への電気の供給と遮断とを切り替え可能になっている。また、このように照射端部16が洋風便器50の便蓋62に取り付けられる発電装置1の入射端部14は、屋外や窓際、または、屋内において室内灯(図示省略)の点灯時間が長い部屋等、比較的長時間光が照射される部分に配設されている。
【0037】
この実施形態1に係る発電装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。発電装置1は、光ファイバ4に球状太陽電池20等が設けられることにより構成されているが、発電装置1の入射端部14には、LEDチップ40等の機器が配設されていないため、光ファイバ4のコア6に対して、外部から光が入射可能な状態になっている。また、この入射端部14は、比較的長時間光が照射される部分に配設されている。このため、発電装置1を構成する光ファイバ4には、太陽光等の環境光が、入射端部14から入射する。
【0038】
ここで、光ファイバ4は、共に透明な部材で形成され、且つ、屈折率が異なるコア6とクラッド8とを有しており、内部に入射した光を伝導可能になっている。つまり、コア6とクラッド8とは、共に透明な部材によって形成されるため、光を透過可能になっているが、双方は屈折率が異なるため、これらに入射した光は、双方の部材の境界部分で反射する。例えば、コア6に入射した光は、コア6とクラッド8との境界部分である境界面10で反射する。このため、光ファイバ4は、入射端部14から光ファイバ4内に入射した光を、照射端部16側に導くことが可能になっている。従って、入射端部14からコア6に入射した光は、境界面10で反射しながら入射端部14側から照射端部16側にコア6内を進むが、このコア6には、球状太陽電池20が配設されている。このため、コア6内を進む光のうち、少なくとも一部の光は、球状太陽電池20に対して照射される。
【0039】
また、コア6の内部に配設される球状太陽電池20は、複数が配設されているが、コア6内を進む光が球状太陽電池20に対して照射された場合には、光を受光した1つ1つの球状太陽電池20で、受光した光によって発電をする。その際に、球状太陽電池20は、それぞれが球状に形成され、球状の受光面で受光した光によって発電可能であるため、球状太陽電池20は、あらゆる方向からの光によって発電を行うことができる。従って、複数の球状太陽電池20は、境界面10で反射しながらコア6を進むことにより、様々な方向から球状太陽電池20に照射される光を、それぞれの球状太陽電池20で受光し、この受光した光によって発電することができる。
【0040】
球状太陽電池20では、このようにコア6に入射した光によって発電を行い、この球状太陽電池20で発電をした電気は、昇圧IC30に送られる。昇圧IC30は、球状太陽電池20から送られた電気の電圧を昇圧し、LEDチップ40に送る。これにより、LEDチップ40は作動し、発光部42が発光をするが、照射端部16に配設されるLEDチップ40は、発光部42が、光ファイバ4の外方に面する向きで設けられている。このため、LEDチップ40の発光部42が発光した場合には、LEDチップ40は、発光時の光を照射端部16から光ファイバ4の外部に対して照射する。
【0041】
具体的には、本実施形態1における発電装置1で用いられるLEDチップ40は、紫外線を照射可能なLEDチップ40であるため、発光部42が発光した場合には、照射端部16から光ファイバ4の外部に対して紫外線を照射する。また、洋風便器50は、便蓋62が起立するとLEDチップ40を消灯させ、便蓋62が倒れるとLEDチップ40を点灯させるよう構成されているため、LEDチップ40は、便蓋62が倒れた際に、発光部42から紫外線を照射する。
【0042】
発電装置1は、便蓋62を倒した場合における下面側に、LEDチップ40の発光部42が露出する状態で取り付けられているため、このように発光部42から紫外線を照射する場合には、便蓋62の下方に向けて、即ち、便鉢52に向けて照射する。これにより、紫外線が照射される便鉢52内は、この紫外線によって紫外線殺菌が行われる。また、便鉢52の内面や上面には、光触媒層が設けられているため、発光部42からの紫外線が便鉢52に照射された場合には、紫外線は、光触媒層に照射される。これにより、光触媒層は励起し、活性酸素が発生することにより、便鉢52の内面に付着した有機物が分解される。
【0043】
以上の発電装置1は、入射端部14から入射した光を照射端部16側に導く光ファイバ4の内部に、外表面が受光することにより発電する球状太陽電池20が配設されることにより設けられている。球状太陽電池20は、このように外表面で受光した光によって発電することができるため、球状太陽電池20に光が照射された場合には、その光の方向や球状太陽電池20の受光位置に関わらず、受光した光を用いて発電することができる。これにより、球状太陽電池20は、光ファイバ4の内部を通る光によって効果的に発電することができる。また、球状太陽電池20は、このように受光する光の向きや受光する位置に関わらず発電を行うことができるため、発電装置1の製造時に球状太陽電池20を光ファイバ4の内部に配設する際に、光ファイバ4内を通る光に対する球状太陽電池20の位置や向きを調節する必要がなく、容易に配設することができる。この結果、発電効率を確保しつつ、生産性を向上させることができる。
【0044】
また、球状太陽電池20は、入射端部14から入射した光を照射端部16側に導くコア6に配設されているため、光ファイバ4の内部に光が入射した場合には、コア6を通る光を球状太陽電池20で受光することができる。この結果、光ファイバ4に光が入射した場合に、この光を用いて球状太陽電池20でより確実に発電することができ、より確実に発電効率を向上させることができる。
【0045】
また、コア6は、球状太陽電池20の固定部材を兼ねているため、球状太陽電池20を固定するための専用の部材を設けることなく、光ファイバ4の内部に球状太陽電池20を配設することができる。また、部材の界面が減るため、界面での反射ロスを低減することができる。この結果、発電効率を向上させつつ、より確実に生産性を向上させることができる。
【0046】
また、光ファイバ4における照射端部16には、球状太陽電池20で発電した電気で作動する電気機器であるLEDチップ40が備えられているため、球状太陽電池20で発電した電気を、LEDチップ40を作動させるための電気として用いることができる。この結果、外部の電源からの電気を使用することなく、LEDチップ40等の電気機器を作動させることができる。
【0047】
また、LEDチップ40は、発光時の光を照射端部16から光ファイバ4の外部に対して照射可能に設けられているため、発電装置1単体で、所望の箇所を照射することができる。この結果、所望の箇所を照射する場合における構成の簡素化を図ることができ、より確実に生産性を向上させることができる。
【0048】
また、光ファイバ4の内部には、球状太陽電池20で発電した電気を昇圧する昇圧IC30が配設されており、LEDチップ40は、このように昇圧IC30で昇圧した電気によって作動し、発光するため、安定して発光させることができる。この結果、LEDチップ40等の電気機器を作動させる場合における作動の安定性を向上させることができる。
【0049】
[実施形態2]
実施形態2に係る発電装置70は、実施形態1に係る発電装置1と略同様の構成であるが、光ガイド部材として光ダクト72を用いている点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0050】
図4は、実施形態2に係る発電装置の概略図である。実施形態2に係る発電装置70では、光ガイド部材として、光ダクト72が用いられている。この光ダクト72は、内側が空洞になる筒状の形状で形成されており、筒状の内壁は、鏡面状に処理されている。このように、鏡面状に処理されている光ダクト72の内壁は、光を反射可能な反射面74として設けられている。なお、筒状の形状で形成される光ダクト72は、断面形状が円形となる円筒や、断面形状が多角形となる角筒の形状で形成されていてもよい。
【0051】
球状太陽電池20は、このように設けられる光ダクト72の内部に複数が配設されており、複数の球状太陽電池20は、電極22同士が電線24で接続されることにより、電気的に接続されている。また、この光ダクト72にも、昇圧IC30とLEDチップ40とが内設されており、LEDチップ40は、筒状の形状で形成される光ダクト72の両端部のうち一端側に、発光部42が光ダクト72の外方を向く向きで配設されている。本実施形態2に係る発電装置70では、LEDチップ40は、発光時に赤色や青色や黄色等の可視光を発光部42から照射するLEDチップ40になっている。
【0052】
また、本実施形態2に係る発電装置70においても、このようにLEDチップ40が配設されている側の端部は照射端部16として設けられており、光ダクト72における反対側の端部は、光ダクト72の外部の光が入射可能な端部である入射端部14となっている。これらの入射端部14と照射端部16とのうち、入射端部14は、比較的長時間光が照射される部分に配設されており、照射端部16は、室内や屋外等においてLEDチップ40からの光を照射する所望の位置に配設されている。
【0053】
この実施形態2に係る発電装置70は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。発電装置70は、内側が空洞の光ダクト72に球状太陽電池20等が配設されることにより設けられているため、光ダクト72の内部に対して外部から光が入射可能な状態になっている。また、光ダクト72の入射端部14は、比較的長時間光が照射される部分に配設されているため、光ダクト72の内部には、太陽光等の環境光が入射端部14から入射する。
【0054】
光ダクト72の外部の光が入射端部14から光ダクト72の内部に入射した場合、この光は、光ダクト72の内側に形成される反射面74で反射を繰り返しながら、照射端部16の方向に向う。光ダクト72は、内部に入射した光を反射面74で反射することにより、入射端部14から入射した光を、照射端部16側に導くことが可能になっている。このため、入射端部14から光ダクト72内に入射した光は、反射面74で反射しながら照射端部16の方向に進む。その際に、光ダクト72の内部には、球状太陽電池20が配設されているため、光ダクト72内を進む光の少なくとも一部は、球状太陽電池20に対して照射される。
【0055】
このように、光ダクト72内を進む光が球状太陽電池20に照射された場合、球状太陽電池20は、この光によって発電し、発電をした電気は、昇圧IC30に送られる。昇圧IC30は、このように送られた電気の電圧を昇圧してLEDチップ40に送り、LEDチップ40は、この電気によって発光部42が発光をする。これにより、LEDチップ40は、発光時の光を光ダクト72の外部に対して照射する。本実施形態2に係る発電装置70で用いられるLEDチップ40は、可視光を発光部42から照射するLEDチップ40になっているため、このようにLEDチップ40の発光部42からの光を光ダクト72の外部に照射した場合、発電装置70からは、所定の色の光が照射される。これにより、外部電源からの電気を用いることなく、LEDチップ40が発光する光を、室内や屋外においてイルミネーション等に用いる光として使用することができる。
【0056】
以上の発電装置70は、入射端部14から入射した光を照射端部16側に導く光ダクト72の内部に、光の方向や光を受光する位置に関わらず、受光した光によって発電可能な球状太陽電池20が配設されることにより設けられている。これにより、光ダクト72に入射した光によって、球状太陽電池20で効果的に発電することができる。また、発電装置70の製造時に、球状太陽電池20で受光する光の向きや受光する位置等を調節することなく、内側が空洞になっている光ダクト72の内部に球状太陽電池20を設けることによって発電可能にすることができるため、容易に製造することができる。この結果、発電効率を確保しつつ、生産性を向上させることができる。
【0057】
[実施形態3]
実施形態3に係る発電装置80は、実施形態1に係る発電装置1と略同様の構成であるが、球状太陽電池20で発電した電気を蓄電する蓄電素子82が備えられている点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0058】
図5は、実施形態3に係る発電装置の概略図である。実施形態3に係る発電装置80では、実施形態1に係る発電装置1と同様に、光ファイバ4が有するコア6の内部に球状太陽電池20と昇圧IC30とが配設され、照射端部16付近にLEDチップ40が配設されている。さらに、コア6の内部、即ち、光ファイバ4の内部には、球状太陽電池20で発電した電気を蓄電する蓄電部である蓄電素子82が配設されている。この蓄電素子82は、電線24によって球状太陽電池20と昇圧IC30とに接続されており、発電装置80の電気経路における球状太陽電池20と昇圧IC30との間に設けられている。このように、発電装置80で用いられる蓄電素子82は、放電量が少ない二次電池やコンデンサ等の超低リーク素子が用いられる。
【0059】
この実施形態3に係る発電装置80は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。発電装置80は、実施形態1に係る発電装置1と同様に、光ファイバ4に球状太陽電池20等が設けられることにより構成されている。このため、光ファイバ4の外部の光が入射端部14からコア6に入射した場合には、この光は、境界面10で反射しながら照射端部16側に進み、コア6に配設されている球状太陽電池20に対して照射される。球状太陽電池20は、この光を受光することにより、発電する。
【0060】
このように、球状太陽電池20で発電した電気は、蓄電素子82に送られ、蓄電素子82で蓄電をする。蓄電素子82は、球状太陽電池20で発電した場合は蓄電を行うため、蓄電量が蓄電容量の100%に達するまでは、球状太陽電池20で発電し続ける限り蓄電をする。即ち、蓄電素子82は、LEDチップ40の発光状態に関わらず蓄電をする。
【0061】
昇圧IC30には、このように蓄電素子82で蓄電した電気が送られる。昇圧IC30は、この電気の電圧を昇圧した後、LEDチップ40に送り、LEDチップ40の発光部42を発光させる。発電装置80は、これにより光ファイバ4の外部に対して照射する。例えば、LEDチップ40が紫外線を照射するLEDチップ40で、発電装置80が実施形態1に係る発電装置1と同様な形態で洋風便器50の便蓋62に設けられている場合には、便蓋62を倒した際に、便鉢52内に紫外線を照射する。
【0062】
その際に、LEDチップ40は、蓄電素子82で蓄電し、昇圧IC30で昇圧した電気によって発光するため、球状太陽電池20の発電状態に関わらず発光する。このため、蓄電素子82に電気が蓄電されている限り、入射端部14から光ファイバ4内に光が入射しない場合や、光ファイバ4内に入射する光の光量が少ない場合でも、LEDチップ40は発光する。
【0063】
以上の発電装置80は、光ファイバ4の内部には、球状太陽電池20で発電した電気を蓄電する蓄電素子82が配設されているため、光ファイバ4に入射した光によって球状太陽電池20で発電した場合に、この電気を一時的に蓄電することができる。これにより、電気を使用する状況になった場合には、このように蓄電素子82に蓄電されている電気を使用することにより、球状太陽電池20の発電状態、或いは、光ファイバ4に入射する光の状態に関わらず、安定して使用することができる。この結果、球状太陽電池20で発電した電気を使用する際における利便性を向上させることができる。
【0064】
[実施形態4]
実施形態4に係る発電装置90は、実施形態3に係る発電装置80と略同様の構成であるが、球状太陽電池20で発電した電気で作動する電気機器として環境センサ94と通信モジュール96とが用いられている点に特徴がある。他の構成は実施形態3と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0065】
図6は、実施形態4に係る発電装置の概略図である。実施形態4の係る発電装置90は、実施形態3に係る発電装置80と同様に、光ファイバ4が有するコア6の内部に球状太陽電池20と蓄電素子82と昇圧IC30とが配設されている。また、この実施形態4に係る発電装置90では、実施形態3に係る発電装置80とは異なり、電気機器として、光ファイバ4の外部の状態を検出する状態検出手段である環境センサ94と、環境センサ94で検出した検出結果を光ファイバ4の外部の通信装置(図示省略)に送信可能な通信手段である通信モジュール96と、が用いられている。
【0066】
このうち、環境センサ94としては、例えば、光ファイバ4の外部の照度を検出する照度センサが用いられる。また、通信モジュール96は、離れた場所に位置する通信機器との間で電波によって通信可能になっており、本実施形態4に係る発電装置90が家の中で用いられる場合には、例えば、家で使用する他の電気機器の使用状態の制御も可能な通信機器との間で通信可能になっている。その際における通信情報は、環境センサ94で検出する照度等の、環境センサ94での検出結果を通信情報として通信する。
【0067】
これらの環境センサ94と通信モジュール96とは、光ファイバ4における両端部のうち、入射端部14の反対側の端部である機器側端部92に配設されている。即ち、環境センサ94と通信モジュール96とは、反入射端部に配設されている。このように設けられる発電装置90は、入射端部14は、屋外など比較的長時間光が照射される部分に配設されており、機器側端部92は、環境センサ94で光ファイバ4の外部状態を検出する部分に配設されている。例えば、機器側端部92は、環境センサ94で照度を検出する室内に配設されている。
【0068】
この実施形態4に係る発電装置90は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。発電装置90は、実施形態3に係る発電装置80と同様に、光ファイバ4に球状太陽電池20等が設けられることにより構成されているため、光ファイバ4の外部の光が入射端部14からコア6に入射した場合には、この入射した光を球状太陽電池20で受光することにより、発電する。
【0069】
このように、球状太陽電池20で発電した電気は、蓄電素子82に送られ、蓄電素子82で蓄電をした後、昇圧IC30には、このように蓄電素子82で蓄電した電気が送られ、昇圧IC30で電圧を昇圧する。環境センサ94や通信モジュール96は、このように昇圧IC30から昇圧した後の電気が供給されることにより作動する。具体的には、環境センサ94は、昇圧IC30から供給される電気で作動することによって、室内の照度等を検出する。また、通信モジュール96は、昇圧IC30から供給される電気で作動することによって搬送波である電波を生成し、環境センサ94での検出結果を、この電波を用いて通信機器に送信する。
【0070】
以上の発電装置90は、球状太陽電池20で発電した電気で作動する電気機器として環境センサ94と通信モジュール96とが用いられているため、発電装置90が配設されている部分の状態の情報を取得する際に、外部の電気を消費することなく取得することができる。このため、発電装置90が配設されている部分の情報を、安定して継続的に取得することができる。また、例えば、電力消費量の低減を目的として、発電装置90が配設されている部分の情報を取得する場合、外部の電気を消費することなく取得することができるため、より確実に電力消費量を低減することができる。この結果、外部の電気を消費することなく、所望の位置の状態情報を継続的に取得することができる。
【0071】
なお、上述した実施形態1〜4に係る発電装置1、70、80、90では、光ファイバ4や光ダクト72に入射した光を用いて球状太陽電池20で発電をするが、この入射した光による発電効率がより高くなるように、発電装置1、70、80、90を設けてもよい。図7は、実施形態1に係る発電装置の変形例であり、反射板を用いる場合の説明図である。球状太陽電池20で発電を行う際の発電効率を高める場合は、例えば、図7に示すように、光ファイバ4における球状太陽電池20が配設されている位置と照射端部16との間に、入射端部14から入射した光を球状太陽電池20側に反射する反射部材である反射板100を設けてもよい。これにより、入射端部14から入射し、境界面10で反射しながら照射端部16に向かう光のうち、球状太陽電池20によって受光されずに照射端部16の方向に向う光を反射板100で反射し、球状太陽電池20の方向に向わせることができる。従って、入射端部14から入射した光が球状太陽電池20に到達し、球状太陽電池20で受光する確立が増加するため、発電効率をより大きくすることができる。
【0072】
また、実施形態1、3、4に係る発電装置1、80、90では、光ファイバ4は、断面形状が略円形の形状となっているが、光ファイバ4は、これ以外の形状で形成されていてもよい。図8は、実施形態3に係る発電装置の変形例であり、光ファイバが円形以外の断面形状で形成される場合の説明図である。図9は、図8のA−A断面図である。光ファイバ4は、断面形状が略円形の形状でなく、図9に示すように略楕円状の形状で形成されていてもよい。これにより、光ファイバ4の内部に球状太陽電池20を複数配設する場合、複数の球状太陽電池20を、光ファイバ4の軸方向、即ち、光ファイバ4が延在する方向に直交する方向に並べて配設することができる。この場合、複数の球状太陽電池20は、光ファイバ4の軸方向にも配設することができるため、光ファイバ4の内部に球状太陽電池20を複数配設する場合における自由度を向上させることができる。従って、光ファイバ4の内部に球状太陽電池20を配設する場合に、より多くの球状太陽電池20を配設したり、光ファイバ4の軸方向において球状太陽電池20を配設する位置を、より所望の位置にしたりすることができるため、発電装置1を設計する際における自由度を向上させることができる。
【0073】
図10は、実施形態3に係る発電装置の変形例であり、図9で示す形状以外の説明図である。また、光ファイバ4の断面形状を略円形以外の形状で形成する場合には、略楕円状の形状以外でもよく、例えば、略矩形状の形状で形成してもよい。このように、光ファイバ4の断面形状を略矩形状の形状で形成した場合、光ファイバ4同士を密着させて重ねることができるため、複数の発電装置1を束ねる際に、隙間無く束ねることができる。これにより、複数の発電装置1が配設される所定の範囲における入射端部14の面積を増加させることができるため、入射端部14から入射した光を用いて球状太陽電池20で発電をする場合における発電効率を、より大きくすることができる。
【0074】
また、上述した実施形態1〜4に係る発電装置1、70、80、90では、反入射端部である照射端部16や機器側端部92には、LEDチップ40や通信モジュール96等の電気機器が配設されているため、照射端部16や機器側端部92は、水分に注意する必要がある。このため、照射端部16や機器側端部92は、防水処理を施してもよい。図11は、実施形態4の変形例であり、防水窓を設ける場合における説明図である。例えば、実施形態4に係る発電装置90の機器側端部92に、防水窓110を設けてもよい。この防水窓110は、透明のガラスや樹脂等の光を透過する部材で形成されており、このように光を透過する防水窓110を、接着剤等を用いた接着部112によって、光ファイバ4の機器側端部92に配設する。このように、防水窓110を接着部112によって機器側端部92に配設することにより、環境センサ94や通信モジュール96の防水を行うことができる。また、防水窓110は光を透過する部材によって形成されているため、例えば、環境センサ94を用いて照度を検出する場合でも、防水窓110を透過する光に基づいて照度を検出することができる。これにより、電気機器の機能を損なうことなく防水を行うことができるため、電気機器の作動の確実性を向上させることができる。
【0075】
また、実施形態1〜4に係る発電装置1、70、80、90は、上述した以外の位置に配設されていてもよい。図12は、実施形態1に係る発電装置の変形例であり、発電装置をノズルに設ける場合の説明図である。図13は、図12に示すノズルの詳細図である。具体的には、実施形態1に係る発電装置1は、洋風便器50の便蓋62に、照射端部16が、LEDチップ40の発光部42が露出する状態で取り付けられているが、発光部42が洋風便器50のノズル120の先端付近に位置するように配設してもよい。つまり、近年の洋風便器50では、洋風便器50の使用者の臀部を洗浄するノズル120が設けられているものが多くなっているが、このノズル120の先端付近に発光部42が位置するように発電装置1を設けてもよい。
【0076】
このノズル120について説明すると、ノズル120は、先端の上方側に噴出口124を有するノズル本体122が、シリンダ126に対して伸縮自在に設けられている。これにより、ノズル120は、不使用時にはノズル本体122の大部分をシリンダ126内に収容することにより縮めることができ、使用時にはシリンダ126からノズル本体122が露出する部分を増加することにより、全長を伸ばすことができる。このように設けられるノズル120は、洋風便器50の便座ボックス58に配設されており、シリンダ126側が便座ボックス58に取り付けられている。このため、ノズル120を伸縮させる場合には、便座ボックス58や便鉢52に対するノズル本体122の相対的な位置が変化する。
【0077】
このように設けられるノズル120の使用時には、ノズル本体122をシリンダ126から伸ばした状態で、シリンダ126に形成される給水口128から供給される水や温水をノズル本体122に形成される噴出口124から噴出することにより、使用者の臀部を洗浄可能になっている。
【0078】
発電装置1は、このノズル120におけるノズル本体122の先端の下方側、即ち、噴出口124が位置する側の反対側に発光部42が露出する状態で取り付けられていてもよい。この場合、発光部42は、ノズル120の伸縮状態に関わらず、便鉢52の内面に面することになるため、発光部42から紫外線を発光可能なLEDチップ40を使用した場合、ノズル120の状態に関わらず、即ち、洋風便器50の使用状態に関わらず、発光部42が発光する限り、便鉢52の内部に常に紫外線を照射することができる。これにより、発光部42から紫外線を照射することによる紫外線殺菌や、光触媒層による有機物の分解等の効果を、より確実に得ることができる。
【0079】
図14は、実施形態1に係る発電装置の変形例であり、発電装置を部屋の隅部に設ける場合の説明図である。また、実施形態1に係る発電装置1は、洋風便器50以外の部分に設けてもよく、例えば、図14に示すように、部屋の隅部に設けてもよい。この場合における部屋の隅部は、この隅部を構成する2つのパネル144のうち、一方のパネル144における隅部側の端部に、パッキン146を介してガラス板140を接続することにより構成する。即ち、この場合は、ガラス板140とパネル144とによって隅部を形成する。また、このガラス板140における室内側の面には、粗面142を形成する。発電装置1は、このガラス板140における、隅部側の端部の反対側の端部付近に配設し、発光部42からの光を、このガラス板140の端部からガラス板140内に入射させることができるように配設する。また、この場合、ガラス板140とパネル144における室内側の面は、光触媒のコーティング層を設ける。
【0080】
発電装置1を、このように構成される部屋の隅部に設け、発光部42から紫外線を照射した場合、発光部42からの紫外線はガラス板140の内部に入射する。このようにガラス板140の内部に入射した紫外線は、ガラス板140の粗面142で拡散して室内に照射される。このように、拡散しながら照射された紫外線は、このガラス板140とで隅部を形成するパネル144に照射される。これにより、パネル144の表面の光触媒が活性化し、殺菌や防カビや付着有機物の分解が行われ、防汚される。
【0081】
図15は、実施形態1に係る発電装置の変形例であり、発電装置を部屋の隅部に設ける場合の説明図である。また、発電装置1を部屋の隅部に設ける場合には、図15に示すように、隅部を構成する2つのパネル144の双方に対して紫外線を照射可能に設けてもよい。この場合は、ガラス板140をL字状の形状で形成することにより、ガラス板140によって隅部を形成することができるように設け、このガラス板140の両端部に、パッキン146を介して2つのパネル144を接続する。また、ガラス板140の室内側の面には、2面とも粗面142を設ける。この場合、室外側の面には、反射層148を設けるのが好ましい。
【0082】
発電装置1は、このように隅部を形成するガラス板140の両端部のそれぞれの付近に、発光部42からの光をガラス板140内に入射させることができるように配設する。これにより、発光部42から紫外線を照射した場合には、ガラス板140に入射した紫外線は、ガラス板140の粗面142で拡散して室内に照射される。この場合、粗面142の反対側の面に向った紫外線は、反射層148で反射するため、ガラス板140に入射した紫外線の大部分が、室内に照射される。これにより、隅部付近の2つのパネル144の表面で光触媒が活性化するため、隅部付近を防汚することができる。
【0083】
これらのように、電気機器として紫外線を照射可能なLEDチップ40を使用し、照射端部16を、カビや臭いが発生し易い場所、例えば、浴室において高い湿度が維持され易い場所や、靴箱等に設置することにより、発光部42から照射する紫外線によって、外部電源の電気を用いることなく、防カビや防臭を行うことができる。
【0084】
また、実施形態1、3、4に係る発電装置1、80、90では、光ガイド部材として光ファイバ4を用いており、実施形態2に係る発電装置70では、光ガイド部材として光ダクト72を用いているが、光ガイド部材は、例えば、ライトガイドを用いる等、光ファイバ4や光ダクト72以外のものを用いてもよい。また、実施形態1〜3に係る発電装置1、70、80では、電気機器としてLEDチップ40を用いており、実施形態4に係る発電装置90では、電気機器として環境センサ94及び通信モジュール96を用いているが、電気機器は、これ以外のものを用いてもよい。光ガイド部材や電気機器は、上述した実施形態1〜4、及び各変形例で用いられているものを適宜組み合わせてもよく、または、上述した以外のものを用いてもよい。光ガイド部材や電気機器の構成や形態に関わらず、光を導く光ガイド部材の内部に球状太陽電池20等の球状発電部を設けることにより、受光する光の方向に関わらず発電可能な球状発電部を、容易に配設することができる。
【符号の説明】
【0085】
1、70、80、90 発電装置
4 光ファイバ
6 コア
8 クラッド
10 境界面
12 被覆
14 入射端部
16 照射端部
20 球状太陽電池
30 昇圧IC
40 LEDチップ
42 発光部
50 洋風便器
62 便蓋
72 光ダクト
74 反射面
82 蓄電素子
92 機器側端部
94 環境センサ
96 通信モジュール
100 反射板
110 防水窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射する側の端部である入射端部から入射した光を、前記入射端部の反対側の端部である反入射端部側に導く光ガイド部材と、
前記光ガイド部材の内部に配設されると共に、外表面が受光することにより発電する球状発電部と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記光ガイド部材は、透明な部材で形成されていると共に、前記入射端部から入射した前記光を前記反入射端部側に導くコアを有しており、
前記球状発電部は、前記コアに配設されていることを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記コアは、前記球状発電部の固定部材を兼ねていることを特徴とする請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記光ガイド部材における前記球状発電部が配設されている位置と前記反入射端部との間には、前記入射端部から入射した前記光を前記球状発電部側に反射する反射部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項5】
前記光ガイド部材の内部には、前記球状発電部で発電した電気を蓄電する蓄電部が配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項6】
前記光ガイド部材における前記反入射端部には、前記球状発電部で発電した電気で作動する電気機器が備えられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項7】
前記電気機器は、前記球状発電部で発電した電気によって発光する発光手段を含んでおり、
前記発光手段は、発光時の光を前記反入射端部から前記光ガイド部材の外部に対して照射可能に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の発電装置。
【請求項8】
前記電気機器は、前記光ガイド部材の外部の状態を検出する状態検出手段と、前記状態検出手段で検出した検出結果を前記光ガイド部材の外部の通信装置に送信可能な通信手段と、を含んでいることを特徴とする請求項6に記載の発電装置。
【請求項9】
前記光ガイド部材の内部には、前記球状発電部で発電した電気を昇圧する昇圧部が配設されており、
前記電気機器は、前記昇圧部で昇圧した電気によって作動することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−204751(P2012−204751A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70027(P2011−70027)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】