説明

皮膚の結合組織治療、特にマッサージ用装置

本装置(1)は二つの平行なローラ(20)を有しており、それらは皮膚(3)に作用するために使用され、そしてそれぞれの軸(X−X)について回転するようにケース(10)内に設置されている。過度のレベルの真空を用いることなく確実にそして効果的に吸引によって皮膚を治療するために、少なくとも一つのローラは中空であり、横方向の吸引経路(64)を形成する。これらの経路はそれぞれ外端(641)と内端(642)とを有しており、外端はローラの周縁(20A)に開口しており、内端は、少なくとも外端が皮膚に向けられている時に、ローラ内部の制御手段(22)を介して真空源に連結されるように設計されている。これらの経路はローラの周縁に配置されており、軸を中心とするローラの各位置において、少なくとも一つの経路が皮膚に向けられた外端を有し、且つ制御手段を介して少なくとも一つの別の経路の内端と流体連通している内端を有し、前記別の経路の外端がケースの内部に形成される自由空間(18;62)に開口するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の皮膚の結合組織を治療、特にマッサージするための装置であって、真空源を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、「回転」式マッサージ、すなわち、皮膚領域の結合組織を治療するために用いられるマッサージであって、皮膚の局所的な挟持と皮膚の挟まれる領域の進行的な移動とが同時に行われる間に患者に連続動作を行うことで、圧力を加えながら皮膚の「回転」を引き起こすマッサージを行うことができる装置に関する。
【0003】
従来、「回転」マッサージは手で行われており、最終的にマッサージ師を疲れさせる。また、このように行われるマッサージ治療はあまり均一でない、なぜなら、それらはマッサージ師によって加えられる力の強さ及びマッサージ師の疲労の状態に依存するからである。
【0004】
これらの欠点を克服するために、欧州特許出願公開公報第0224422号及び第0916330号がマッサージ装置を提案しており、それらは手動で操作可能であり、特に「回転」マッサージを可能にする。これらの装置はそれぞれケースを有しており、その内部には、皮膚に作用するための2つのローラがそれらの軸の周りを回転するよう設けられており、ローラの間であり且つ上方に配置された治療チャンバに部分的減圧が生じる。使用に際して、患者の皮膚にローラが当てられ、それらが自転すると、吸引による部分的減圧がローラ間の皮膚のたるみの形成を引き起こし、同時にローラを共に近寄らせることで、形成された皮膚のたるみを挟むことができる。この装置の有効性は、ローラの周面とこれらのローラによって作用される皮膚との間のシールの質に大きく依存しており、このシールが適切でないと、ローラ間の吸引は治療チャンバ内の減圧レベルを増さなければ、皮膚をたるませることができないことが理解される。しかしながら、この場合、ローラは回転が困難になり、それによって皮膚に対してそれらを横滑り又は滑らせ、皮膚のたるみがそのような強度で処置されると、マッサージはすぐに患者にとって痛みとなり、又はある種の皮膚、例えば繊細な、傷ついた又は傷跡のある皮膚には適合しなくなる。
【0005】
さらに、ドイツ国特許出願公開第4314362号及び英国特許出願公開第395302号は、上記で議論した装置よりもより単純な装置を提供しており、それらは単一のマッサージローラのみを有するため、ハンドルによって延長されている中空のシャフト上を自由に回転することができる。この単一ローラは横方向に複数の吸引経路が通っており、それらはシャフト内部にすべて開口しており、経路はシャフトによって真空源に連結されている。したがって、稼動中にローラが患者の皮膚上を転がると、患者の皮膚は吸引される。それらの基本構造により、塗料塗布ローラの基本構造が想起され、これらの装置はあまり快いものではなく、それらの真空の使用は、「回転」式の作用を行うことなくローラの直線において局所的にのみ患者の皮膚に作用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開公報第0224422号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開公報第0916330号明細書
【特許文献3】ドイツ国特許出願公開第4314362号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第395302号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、革新的で有益な治療装置を提供することによって、上述した欠点を改善することであり、その装置は患者の皮膚に対する吸引によって、過度の吸引レベルによらずに確実に且つ効果的に作用する。
【0008】
このため、発明の対象は患者の皮膚の結合組織を治療、特にマッサージするための真空源を備える装置であって、患者の皮膚に作用する二つの平行であり、且つそれぞれの軸周りを回転するようケース内に設置されているローラを有する装置であり、少なくとも一つのローラは中空であり、ローラの軸に対して垂直方向の複数の吸引経路を形成しており、これらの吸引経路はローラの周面に開口する外端と、内端と、をそれぞれ有しており、ローラの回転中に少なくとも経路の外端がローラによって作用される皮膚に向けられると、内端は制御手段によって真空源に連結されるようになっており、ローラは内部に制御手段を備えており、制御手段はケースに覆われており、これらの吸引経路はローラの周囲に配置されているため、軸周りのローラの各位置において、少なくとも一つの吸引経路は、ローラによって作用される皮膚に向けられているその外端を有し、及び制御手段によって少なくとも一つの別の吸引経路に流体連通するよう配置されているその内端を有し、その別の吸引経路の外端はケースの内部に形成されている自由空間に開口している。
【0009】
本発明によると、実際の二つのローラ装置の場合、吸引経路を備えるローラは、皮膚がローラの周縁に接触するとすぐに皮膚を吸引することによって、把持における積極的な役割を果たす。これらの吸引経路の一つの外端が患者の皮膚に当てられると、この経路の外端が真空源に連結されていれば、これらの経路は皮膚を局所的に吸引する。これらのローラは、従来技術、特に欧州特許出願公開第0224422号及び欧州特許出願公開第0916330号において用いられている完全な面を有するローラと特に比較して、吸引ローラに適している。さらに真空源によって供給された真空は、制御手段によって、皮膚上に開口する吸引経路と、ケースの自由空間に一定の空間を形成するための他の経路との中を循環する。この自由空間は、特にローラ間の治療チャンバ、及び/又は真空がケース中を循環するための空間のすべて又は一部を形成し、それは真空源への連結がほとんどストレスとならず、また、特にケースを操作する人にとって不快でないケースの領域の範囲において形成される。言い換えると、真空が供給されているこの自由空間のケース内における存在は、使用の自由度と高い実用性の性質を装置に付与する。稼動中において、吸引ローラが自転するため、吸引経路の外端において局所的に吸引されることによって治療される皮膚の一定領域はローラの周縁により最初に作用され、その後に二つのローラの間において「回転」式の治療などの、特に挟持及び/又は吸引による治療に供される。こうして、ローラ間の皮膚の領域に施される治療の種類とは無関係に、皮膚の結合組織は、ローラの軸にほぼ垂直方向に皮膚のこの領域の両側を吸引することによって治療され、実際にそれは皮膚に沿った装置の進行方向と一致する。こうして皮膚は大部分に渡って治療され、実際には、その部分は吸引経路を備える各ローラのおよその半径を合わせたローラの周縁を隔てるローラ間の距離である。
【0010】
皮膚がローラとの第1の接触部からの吸引によって効果的に把持されるため、皮膚の結合組織の活発であるが穏やかな治療を可能にするために適度の減圧レベルで十分であり、結果的に患者に対する痛みの危険性を抑制し、傷ついた皮膚などの損傷した皮膚に対する発明に係る装置の使用を可能にする。同様に、皮膚は吸引ローラに対して押圧されて保持されるため、ローラ間に突き出ることが防止され、一方で吸引効果によって各ローラの両側にわずかに伸ばされる。こうして、本発明による装置は皮膚のストレッチのように結合組織を再び張る(retighten)ことを可能にし、例えば治療される患者の急激な減量後における非常に緩んだ皮膚に効果的に適用することができる。
【0011】
さらに、装置を稼動するのに必要な低減圧レベルが皮膚に対して装置を移動させることに対して緩やかな抵抗をもたらすのみであれば、装置が移動される際に、ローラを介した皮膚の吸引はローラが皮膚に対して滑る又は横滑りすることを防止し、そのことはこの装置の取り扱いを容易にする。特に、皮膚が表面の凹凸又は傾斜した領域を有したとしても、ローラは皮膚に対するそれらの接触を効果的に保ち、それによって皮膚はこれらのローラ間において施される治療に快適に供されることができる。
【0012】
実際には、多くの実施形態が本発明による装置のローラ用に想定できる。
【0013】
第1の実施形態によると、前記少なくとも一つ又は各ローラは、ローラの軸に平行であり且つローラの周りに配置されている複数の軸方向の棒を有しており、前記棒はそれらの間に吸引経路を形成するように相互に離間している。
【0014】
この実施形態においては、棒がローラの周縁を分割するため、皮膚は二つの隣接する棒の間における吸引によって捕捉されて、表皮、特にその繊維芽細胞が作用される薄いたるみを形成し、その刺激が皮膚の滑らかで再び張った外観の助けとなる。ローラが自転するよう駆動されると、これらの棒は皮膚に衝撃効果を与え、そのことが皮膚のストレッチ効果を高める。
【0015】
第2の実施形態によると、前記少なくとも一つ又は各ローラは、ローラの軸を中心としており且つ吸引経路を形成する穴が貫通する管状のスリーブを有しており、これらの穴はローラの軸に対してほぼ半径方向に延びており、スリーブの軸の次元に分布している。
【0016】
この第2の実施形態によると、皮膚は経路の外端に相当する一連の一個限りの(one-off)領域に沿ってローラにより捕捉されており、それはスリーブの長さ全体にわたって分布している。言い換えると、皮膚はローラによって多孔(cellular)形態に捉えられており、皮膚の広い領域への弱い吸引作用を保証し、そのことは、皮膚の吸引は結合組織のうっ血又は変形をもたらさないという意味で、下に位置する組織に関係する。この多孔状の捕捉は、傷ついた又はやけどによって損傷した皮膚などの繊細な皮膚を傷つけることなく、全ての方向にマッサージ機を向けることを容易にする。
【0017】
別々の又は全ての技術的に可能な組合せによるマッサージ機の他の特徴は、請求項4から請求項12に記載されている。
【0018】
本発明は以下の説明を読むことによってより良く理解されるであろう。それらは単なる例として記載されており図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】患者に使用されている本発明に係る装置の第1の実施形態の模式的な斜視図である。
【図2】図1の装置の主要部品の拡大斜視図である。
【図3】図1の装置の長手方向の断面図である。
【図4】図3の横方向におけるIV−IV線断面図であり、図4に示されている線III−IIIは図3の断面の平面に相当する。
【図5−6】図2の線Vに沿った正面図であり、装置の二つの異なる稼動状態をそれぞれ示している。
【図7】図2の平面VIIにおける装置の一つの部品の横方向の断面図である。
【図8】図2と同様の図であり、本発明による装置の第2の実施形態を示している。
【図9】図8の装置の横方向の断面図である。
【図10】図9のIX−IX線部分断面図である。
【図11−12】第2の実施形態による装置の二つの異なる部分の変形形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から7は、患者2に対する「回転」式マッサージを行うことができるマッサージ機1を表している。すなわち、装置が皮膚のたるみを局所的に挟むことと、皮膚の挟まれたたるみの連続的な移動とを同時に行っている間に、この患者の皮膚3に連続的な作用を施すことによって、皮膚のこのたるみの「回転」を引き起こすことができるマッサージ機である。
【0021】
便宜上、以下の説明は、伸びた状態にある患者2の上に装置1があるという仮定に基づいてなされているため、「底」及び「下」の語句は患者の皮膚3に向けられた方向を指し、「頂」及び「上」の語句は反対方向に相当する。
【0022】
装置1は、全て又は一部が例えば金属、又は可塑性材料などで作られた剛性のケース10を有している。このケースは全体が平行六面体の本体12を有し、その二つの長手方向の端部において、本体12の底面12Aをはるかに下回って延びる側壁13及び14が横に付いている。それぞれの側壁13及び14は、本体12の反対側においてカバー15及び16によって覆われている。図1及び3−6に示されるように装置1の組立状態においては、側壁13及び14並びにカバー15及び16は、例えば付属のねじによって相互にしっかりと連結されている。図2においては、カバー15及び16は示されていない。
【0023】
ケース10は、真空ポンプ、減圧ネットワーク、吸引モータなどの真空源4に連結されるようになっている。このため、本体12はその上側に、例えばパイプ5などを介して真空源4に連結するためのフランジ17を備えている。図4に見られるように、このフランジは、本体12によって内部に形成されており且つその面12Aまで延びるダクト18に開口している。
【0024】
また、装置1は長手軸X−Xの二つの平行なローラ20を有する。それぞれのローラはケース10の内部に設置されており、側壁13及び14の底部の間に渡って縦に延びており、これらの壁にほぼ垂直な軸X−Xを有する。ローラは、これ以降において説明される装置の仲介によって、ケースに対してそれらの軸X−Xを中心に回転するよう設置されており、患者2の皮膚3が明確に描かれている図3及び4に示されるように、稼動中にローラの周縁20Aの底部が皮膚と接触すると、ローラは皮膚に適用され且つ皮膚上を回転しようとする。
【0025】
各ローラ20は、軸X−Xに沿って縦に延びておりこの軸を中心とする内部シャフト22に連結されており、シャフト22の周囲に設けられた中空胴部24を有することによって、軸X−X周りを回転することができる。これ以降において詳述されるように、装置1の組立状態においては、シャフト22は軸X−X周りの回転方向に関して固定されている。この胴部24は、円状のベースと軸X−Xにほぼ平行な各中心軸とを有する4つの円筒状の棒26を有する。これらの棒は、ローラの周方向にほぼ均一に配置されており、一対ずつが直径方向に対向している。二つの直径方向に対向する棒を分離する半径方向の距離は、シャフト22の直径方向の寸法にほぼ等しいため、図4に示されるように、軸X−Xに平行なシール線(sealing line)に沿うシャフトの周面は、それぞれの棒26の周面に対して接している。これはシャフトにおける長手方向の平坦部28の位置は除いており、そこでは自由空間がシャフトとこの平坦部に面する棒とを半径方向に分離している。
【0026】
シャフト22の周りに棒26を保持するために、胴部24は二つの長手方向の端部プレート30及び31を有しており、それらプレートは軸X−Xを中心とする全体が円盤形状をそれぞれとっており、これらのプレートにほぼ垂直な中心軸を有する棒26が縦方向にそれらプレートの間に延びている。棒26がプレート30及び31に連結されていることによって、各ローラの周面はプレートの周面と同一平面において軸X−Xから半径方向において最も遠い位置において延びている。言い換えると、棒26の周面は、円筒状のベースを有し軸X−Xを中心とする円筒状のエンベロープ内に全て内接しており、それはプレートの周面を含み且つローラ20の周縁20A全体に相当する。
【0027】
実際には、棒26はそれぞれの棒の両端に取り付けられたねじ32によってプレート30及び31に連結されている。これらのねじを用いた固定は、それぞれの棒をその中心軸周りに自由に自転できる状態にし、変形形態においては、棒26はプレート30及び31に対する回転に関して固定することによって減速することが可能である。
【0028】
その長手方向の端部それぞれにおいて、各シャフト22はプレート30及び31を支持する軸頸221又は222を形成しており、平坦部28はこれらの軸頸の間を軸方向に延びている。プレート31の側部において、シャフト22とケース10の対応する側壁14との間に機械的な連結を提供するピン223によって、軸頸222は軸方向に延びている。このピン223は、二つの対向する平坦部を有しており、壁14によって形成される溝34にぴったり合うように受容されると同時に、そこを端から端まで軸方向に貫通している。溝34は上向きの凹状曲部を有し、その長さ方向に沿ってわずかに湾曲している。ピン223の直径が溝34の長手方向の直径よりも小さいため、このピンは溝に沿って溝内部を移動可能であり、ピンの平坦部と溝の上面及び下面との協働によって案内される。こうして、ピン223と溝34との協働は、この溝のわずかな湾曲による角度の遊びにおいて軸X−X周りの回転に関してシャフト22を固定する。
【0029】
ピン223に対向する軸方向の端部において、それぞれのプレート30は軸X−Xを中心とする円筒状のピン301によって堅く延びている。このピン301は壁13によって形成される溝36に受容されており、端から端まで壁を貫通している。溝36は溝34の形状に似た湾曲した長細い形状を有しているため、ピン301は溝36に受容され、溝に沿ってその中を移動可能であり、そして自転可能である。
【0030】
ローラ20の順回転駆動を可能にするため、これらのローラはそれぞれ、有益には可逆の電気モータ40に連結されており、そのハウジングはケース10によって形成されるその本体12内部の関連凹部42に受容される。各モータ40の出力シャフトは、歯付きベルト44によって対応するローラ20のピン301に機械的に連結されており、それはモータの出力シャフト及びピン301にそれぞれ連結されているリブ付きピニオン46及び48と連動している。稼動中に、モータ40に電力が供給されると、その出力シャフトの回転運動が、連続的にピニオン46、ベルト44及びピニオン48によってローラ20の胴部24に伝達される。そして胴部24は、図4において矢印Rによって示されるように軸X−X周りを回転し、軸頸221及び222においてシャフト22によって支持されている。
【0031】
この回転運動Rとは無関係に、それぞれのローラ20は、そのピン223及び301をそれらの係合する溝34及び36に沿って摺動することによって、ケース10に対して相対的に移動可能である。言い換えると、これらの溝の中を摺動することによって、ローラ20はそれらのほぼ平行な軸X−Xを保ちつつ、カバー16が取り外されている図5及び6において図示される矢印C1及びC2によってそれぞれ示されるように、この軸X−Xに対して全体的に半径方向である方向に相互に近接又は離間することができる。二つのローラの離間移動C2は壁13及び14の外側に配置されているヘアピンばね50によって制御されており、それぞれのばね50は、対応する側壁13及び14に固定されているスピンドル52にぴったり合うように取り付けられている中央部を有し、一方で、ばねの側枝の各自由端はそれぞれのローラ20に機械的に連結されており、それは壁13の側部のピン301又は壁14の側部のピン223に回転に関してしっかりと連結されているリング54の手段を介する。ばね50は、それらの枝によって生じる弾性応力の作用下において、通常はローラ20を相互に分離して維持する、すなわち、図5に示されるように相互に対向する溝34及び36の端部にピン223及びピン301をそれぞれ保持するよう設計されている。稼動中においては、二つのローラ20が共に近づくと、ばね50は図6に表される極限形態まで変形し、弾性反作用によってローラを離間しようとする。
【0032】
また、装置1はそれぞれのローラ20と本体12の底面12Aとの間に挿入されている二つのシールスクレーパ60を有している。より詳細には、底面12Aは平坦ではなく、全体的にそれぞれのローラに面しており、円形基部を有しており且つ軸X−Xに平行な軸の円筒面の一部に全体的に一致する下向きに膨らんだ面12A1を有する。それぞれのスクレーパ60は細長い部材の形状をとっており、側壁13及び14間に延びており、円形基部を有する円筒面の部分に相当する上面60A及び底面60Bを有しており、面12A1及びローラ20の周縁ジャケット20Aをそれぞれ補完する。
【0033】
装置1の組立状態においては、スクレーパ60がローラ20とケース10の本体12の底面12Aとの間のシールを保証するため、このケースは、本体12の面12Aと壁面13及び14とによってローラ間に形成される治療チャンバ62を形成する。したがって、このチャンバはローラ間において下向きに開口しており、一方で、それはスクレーパ60と壁13及び14の対向面に対して摺動するよう接しているプレート30及び31とによってシールされている。
【0034】
マッサージ機1は以下のように使用される。
【0035】
ケース10は、図1に示されるように、ローラ20が患者2の皮膚3に当てられるように操作される。そして、図3及び4に示されるように、治療チャンバ62は皮膚3上に直接開かれる。真空源4を稼動させることによって、チャンバ62に含まれている空気がダクト18を介して吸引されることで、チャンバ62内に部分的な真空を作り出すことができる。より詳細には、図4において示されるように、皮膚3が、皮膚の中央のたるみ31を形成することによってローラ20間と、中央のたるみ31のベース領域において小さな横のたるみ32を形成することによって各ローラ20の位置と、の両方において吸引される。実際には、チャンバ62の減圧は、ローラの周方向に棒26を離間する自由空間の一部に含まれる空気の吸引を引き起こし、関与する自由空間は軸X−Xを中心とするローラの角度位置によることが理解される。一例として、図4の左側に示されるローラの角度位置を検討すると、空気は、右端の棒と上端の棒との間の自由空間における空気のように、最下部の棒と右端の棒との間の自由空間から吸引され、これら二つの空間は、平坦部28に対応する自由空間によって、シャフト22を介して相互に流体連通するよう配置されていることが理解される。
【0036】
より一般的には、二つの隣接する棒26の間において、それぞれのローラ20の胴部24は軸X−Xに対して半径方向にわたって延びる空気吸引経路64を形成している。その半径方向の外端641において、各経路はローラの周縁ジャケット20Aに開口しており、一方、その半径方向の内端642は内部シャフト22に開口している。軸X−X周りの胴部24の角度位置に応じて、平坦部28に面する端部642はこのシャフトを介して相互に流体連通するよう配置されており、対応する経路の端641のいくつかは皮膚3に開口しており、横方向のたるみ又はたるみ32をそこに形成し、他の端は治療チャンバ62へと開口している。したがって、図4において波形矢印66によって示されるように、中央のたるみ31のベース領域の位置において吸引ローラ20と接触している皮膚は、それぞれのローラを介して吸引されることによって横のたるみ32を形成し、ローラの周縁20Aはチャンバ62、ダクト18及びパイプ5を連続的に介して真空源へと連結されている。端部642が平坦部28においては少なくとも部分的に開口しておらず、シャフト22の残りの円筒形の周面で開口している経路64においては、シャフトがほぼ密閉するようにそれらの端部642を塞ぐため、これらの経路はシャフト22を介して真空源に連通していない。このように、シャフト22は真空源4によって供給された真空をローラ20の内部に分配させる手段を形成することが理解されるであろう。
【0037】
真空源4による空気の吸引と同時に、電気モータ40を稼動させることによってローラ20はそれらの軸X−X周りを回転する。そして、これらのローラの外体24は軸X−X周りを回転し、ローラ20を通る空気の吸引を制御するシャフト22を介する経路64を順番に相互に追随させる。
【0038】
また、チャンバ62の減圧は、溝34及び36に沿って摺動することによって、ばね50によって生じる弾性力に逆らってローラ20を一緒に移動させようとする。この共に近づく動きC1のおかげで、皮膚のたるみ31は図4に示されるようにローラの間に挟まれ、このことは、それぞれのローラのピン223及び301が溝34及び36に沿ったほぼ中間の位置を占める形態に相当する。そしてスクレーパ60は、特にローラの相互に近くなる及びさらに離間する動きにおいて、各ローラとケース12の本体の底面12Aとの間のシールを密閉状態で一方が他方の上を摺動する面60A及び12A1によって維持し、それは、それぞれのローラ20が駆動されて回転すると、密閉状態で一方が他方の上を摺動する面60B及び周縁ジャケット20Aによる場合を含む。
【0039】
このため特に実際の実施形態においては、それぞれのスクレーパ60は、特に可塑性材料の射出形成によって、図7に相当する横方向の断面を有する細長い部材の形状、すなわち、V字断面を有する横向きの穴60Cを有するように製造される。図7に示されるようにこの部品の非組立状態においては、通常、適切な部品の形成によってスロット60Cの縁は垂直方向に相互に離間されている。スクレーパが装置1の残りの部分に組みつけられると、図4に示されるように、スロットは部分的に又は全体的にでさえ閉じられるが、その縁は、スクレーパを形成する材料の弾性復元によって相互に離間するように動いて鋳型から抜けたままの形態に戻ろうとする傾向がある。この弾性復元効果は面60A及び60Bの位置での摺動接触のシールを強め、ローラ20とケース10との間のあらゆるアセンブリの遊びを適合させる。
【0040】
図8から10はマッサージ機100の別の実施形態を示している。この装置100は、図1から7の装置1の部品と機能的に同一の多くの部品を有しており、便宜上、これ以降及び図面において、これらの部品は装置1に用いられた参照番号と同一の参照番号に1の数字が前に付いたものが記されている。したがって、装置100はとりわけケース110及び二つの回転ローラ120を有する。
【0041】
装置100は、三つの点によって装置1から実質的に区別されている。第1の点はケース110の全体形状に関し、このケース110はローラのサイズは同一であり、ケース10よりも小さいからである。このサイズの違いは特に装置1および100の使用に関係する一つの利点を提供する。装置1はそのケース10のサイズを前提として両手で操作されるのが好ましく、一方、装置100のケース110は十分小さいために片手の中に握られることができるため、使用者はそれぞれの手に一つの装置を持って、二つの装置100を同時に操作することができる。このため、ケース110の本体112の上面は上向きに膨らんでおり、装置100の保持と操作を容易にしている。さらに実際には、真空源4に連結するためのフランジ117がケース110の上側には設けられておらず、横のカバー116から延びている。したがって図10に示されるように、このフランジ117はこのカバー116と隣接する側壁114との間に形成される隙間空間118へと直接開口している。
【0042】
実際には、ケース110の体積を抑制するために、装置100は一つのモータ140のみを有しており、その動きが同一のピニオン146と嵌合している二つの歯付きベルト144を介して両方のローラ120に同時に伝達される。
【0043】
さらに、ケース10の本体12と比較すると、スクレーパ160の上面160Aが接して摺動する表面112A1は、円筒状面全体と同一形状で不連続になることなく相互の延長線上に延びている。
【0044】
装置1及び100の別の相違点によると、各吸引ローラ120の外体124は、装置1の吸引ローラ120用の棒26のような周囲が連続する棒を有していないが、ローラの軸X−Xを中心としており且つ端部プレート130及び131の間に延びている単一部材の管状スリーブ126を有しており、プレート130及び131はプレート30及び31の構造に似た構造をそれぞれ有している。空気がスリーブ126を通って吸引されるようにするために、スリーブは、スリーブの全長にわたって及びその周縁に分布する複数の穴によって半径方向に貫通している。したがって、これらの穴は半径方向の吸引経路164を形成しており、その外端1641はスリーブ126の周面120Aに開口しており、一方、それぞれの経路の内端1642はスリーブの内部にあるシャフト122に開口している。
【0045】
各経路164の端1641は外部に向かって広がっていることによって、皮膚のより広い領域に対してこの端において生じる吸引効果を与えることができることが有益である。
【0046】
装置1及び100の第3の相違点によると、患者の皮膚に開口している経路164によって各吸引ローラ120を介して吸引される空気は、ローラの間のケース110によって形成される治療チャンバ162を通らず、シャフト122によって直接排出される。このため、図9に詳細に示されるように、このシャフトの軸頸1221及び端のピン1223は内部が中空になっていることによって、軸X−Xを中心としており且つ一方の軸側では平坦部128及び他方の軸側では壁114及びカバー116の間の隙間空間118内においてシャフトの外部に開口している穴1224を形成することができる。
【0047】
このようにして、真空源4が稼動されると空間118は減圧されて、平坦部128の位置における穴1224を介した空気の吸引を引き起こす。図9に示されるように、軸X−Xを中心とするスリーブ126の角度位置に応じて、シャフト122は、端部1642が平坦部128に面している経路164に存在する空気の吸引を制御する。端1641が皮膚に接触している経路のために、この吸引はこの端によって覆われる皮膚の領域の局所的な捕捉を引き起こし、皮膚の横向きのたるみ32を形成する。一方、端1641が治療チャンバ162に開口している経路のために、吸引はこのチャンバの減圧を引き起こし、そのことが皮膚の中央のたるみ31の吸引による治療、及び横の溝134及び136における摺動によってローラ120の同時の移動よるこのたるみの挟持をもたらす。このように吸引ローラのこれらの様々な経路164によって吸引される空気の流れは、図9において波形矢印166によって示されている。
【0048】
任意の構成として、カバー116の変形体であるカバー116’が図11に示されている。カバー116とは違い、真空源4と連結するためのそのフランジ117’はカバー116’に対して外側に向かって横方向に延びておらず、このカバーの上側に備わっている。さらに、カバー116’と壁114との間に形成されている隙間空間118へ直接開口しているのではなく、フランジ117’はカバー116’によって内部に形成されているダクト119’へと開口している。フランジ117’から反対の端において、このダクト119’は、例えばこの面と一体の部品として直接形成されることによってカバー116’の内面に連結されている分配体172の内部空間170に開口している。空間170は円筒状の基部を有し、軸171を中心とする円筒状の形状を有している。この軸171は、カバー116’が壁114に連結される際に、ローラ120の軸X−Xに平行である。
【0049】
分配体172はカバー116’の厚みとほぼ等しい厚みを有しているため、カバー116’が壁114に連結されると、壁114に面する空間170の軸方向の端がこの壁114によってほぼ密閉されるように隣接する。
【0050】
図11に明確に見られるように、空間170は、軸171に対して分配体172の壁の一つによって放射状に形成される経路174を介して空間118と流体的に連通している。この経路174は、ダクト119’の空間170への開口に対して軸171周りに約90度オフセットされている。
【0051】
さらに、軸171に対するダクト119’と違って、空間170は、空間170から分配体172において空洞化されているくぼみ176に流体連通している。カバー116’が壁114に連結されると、このくぼみ176は空間118には開口しないが、壁114を通ってチャンバ162へと設けられている図示されていない穴へと開口している。
【0052】
空間170の内部において、分配体172は軸171周りを回転するよう設置されている閉塞部材178を備えている。図11において見ることができないこの閉塞部材178の一部は、壁114に対向するカバー116’の外側へと延びていることによって、閉塞部材は外部から操作可能であり、使用者によって軸171周りに回転方向に駆動されることができる。
【0053】
閉塞部材178の側面は、空間170を補完する円筒部として形成されている部分180を除いて、空間170を形成する壁から半径方向に離間している。使用の際に、閉塞部材178は軸171周囲を回転することによって四つの連続する位置の間に配置されることができる。すなわち、
−図11に示される第1の位置において、ダクト119’、経路174及びくぼみ176は、空間170の仲介によって相互に自由に流体連通しており、このようにして、ダクト119’の間の閉塞部材178周囲の空間170と、他方で経路174を介して空間118ひいてはシャフト122の端に設けられた穴1224と、及び他方でくぼみ176と壁114を貫通する上述の穴を介してチャンバ162とをポンプ4によって供給される真空が循環する。
−第2の位置は、図11に図示される矢印182の向きに、第1の位置からの閉塞部材178を90度回転することによって到達する。この第2の位置において、面180の一部が密閉状態で空間170とくぼみ176とを相互に隔てているため、ポンプ4によって供給される真空は壁114を通ってチャンバ162へと循環できなくなり、経路174を介して空間118へと循環する。したがって、閉塞部材のこの第2の位置においては、真空が上述されたように図9及び10において矢印166によって示される態様と同様に装置100の中を循環する。
−第3の位置は、矢印182に従って第2の位置からの閉塞部材178を90度回転することよって到達する。この第3の位置においては、面180の一部が密閉状態で空間170及び経路174を相互に隔てるため、ダクト119’からもたらされる真空は経路174を介して空間118へとは供給されず、一方で、この真空は閉塞部材の周囲をくぼみ176へと循環し、真空はくぼみから壁114を通ってチャンバ162へと直接供給される。
−第4の位置は、矢印182に従って第3の位置から閉塞部材178を90度回転することによって到達する。この第4の位置においては、面180の一部が密閉状態で空間170とダクト119’とを相互に隔てているため、ポンプ4によって供給される真空は装置100内を循環できない。
【0054】
したがって、閉塞部材178は装置100における真空循環モードを選択可能にすることが理解されるだろう。実際にはその第1の位置において、閉塞部材はポンプ4と同時にシャフト122の端の穴1224及びチャンバ162の間の空間の循環を直接、すなわちローラ120の内部を通る必要なく制御する。他方で、その第2及び第3の位置においては、閉塞部材178はポンプ4並びに端の穴1224及び治療チャンバ162それぞれの直接の間のみの真空の循環を制御する。その第4の位置においては、閉塞部材178はローラ120に真空がローラ120に到達することを防止するので、装置100は特に清浄され又は保管されることができる。
【0055】
治療チャンバ162及びシャフト122の穴のあいた端からの真空の循環を一体化することができることによって、真空がチャンバからのみ又はシャフトの穴の開いた端からのみ循環する場合と比較すると、異なるように患者の皮膚に真空を作用させることができる。したがって、閉塞部材178の位置を変更することによって、三つの異なるタイプの皮膚治療が可能となる。
【0056】
図12は、スクレーパ160に関する装置100の別の任意構成を示している。したがって、スクレーパ変形体160’は図12にそれ自身が示されている。この変形体は、チャンバ162から離れているスクレーパ160’の側面に形成されている鋸歯161’の存在によってスクレーパ160から実質的に区別される。鋸歯161’は切れ込みによって相互に分離された連続する歯からなっており、切れ込みはスクレーパの上面160A’及び底面160B’を一緒につないでおり、ロータ120が回転すると、経路164の開口1642の延長線上に延びる。使用に際して、鋸歯161’は、面160B’上におけるローラ120の回転によって、これらの経路の開口1642が移動されることを待つことなく空気をチャンパ162由来の経路164に戻すことを可能にする。したがって、チャンバ162由来の経路164に取り込まれた真空は、より急速に減圧され、このことがスクレーパ160’によってもたらされるシールを破ることなく、この取り込まれた真空によって生じるローラの回転駆動に対する抵抗効果を抑制する。
【0057】
上述のマッサージ機1及び100の様々な構成及び変形体が同様に想起される。例えば、
−装置1及び100の相違点は、部分的にのみ統合することができる。したがって、例えばケース10はローラ120を受容することができ、単一モータ40はケース10に設置することができる等である。
−ケース10、110におけるチャンバ62、162及び/又はシャフト122の端の穴1224への真空の循環は、特に本体12、112及び/又は側壁13、14、113、114及び/又はカバー15、16、115、116を介するケースの様々な構成、及び装置100の示されていない変形体によって生じさせることができ、真空は真空源4から本体112を通って少なくとも一つの面112A1へと循環することで、その面160A及び160Bをつなぐ貫通孔が設けられた対応するスクレーパ160を介して少なくともいくつかの経路164から空気を吸引することができ、経路164の端1641はこのスクレーパに開口しており、平坦部128のおかげで、この吸引は経路中の空気の吸引を引き起こし、経路の端1641は一方ではチャンバ162へ、他方では患者の皮膚に開口することが理解される。
−平坦部28、128の範囲及び軸X−X周りの角度位置は、吸引経路64、164の端642、1642における空気の流れに影響を与えるように変更可能である。
−モータ40及び140は取り外し可能であるため、装置1及び100の動力化は任意であり、ケース10、110が手で配置されると、患者の皮膚に対して回転することによってローラ20、120はそれらの軸周りを回転するよう駆動される。この場合、ローラの回転は容易に得ることができるままである。なぜならば、吸引ローラは局所的に皮膚を捕捉し、ある種の吸引効果によってそれに対して平坦に押されるため、マッサージ師にとって取り扱いを困難にし且つ患者にとって痛みを伴わせる過剰なレベルの吸引の必要がなく、それらは横滑り又は滑らないように機能するのに十分に皮膚に対して付着する。
−経路64、164の数及び配置は変更可能であり、空気はローラ20及び120を通るその経路64、164によって吸引される。例えば、ローラ20の示されていない変形体として、外体24は棒26を4本より多く又は少なく有することができる。
−経路164の開口1642用の完全な円形の断面を設けるよりも、この断面は皮膚の上を進むローラ120の側部において膨らんでいる涙型の形状を取ることができる。
−ケース10、110はハンドルの先端に配置することができ、ハンドル内部において真空が真空源4からケースへと循環する。この場合は、連結フランジ17、117又は117’はこのハンドルの延長線上に延びるように垂直から傾斜して設けられる。また、ハンドルはマッサージ師が患者の皮膚に対してケースを進めようとする方向を検出する手段、特に電気的な手段を任意に内蔵することができる。使用する際に、吸引ローラは、ローラによる皮膚の吸引によって把持することに起因する小さな抵抗トルクをその回転の最初に生じる。この抵抗は、ローラが駆動されるべき回転の方向を推定し、対応する方法でモータ40、140に供給する電力を制御するために検出することができる。及び/又は
−真空源4は一定強度又は様々な強度の繰り返しの真空を供給するよう設計可能であり、装置1又は100を介するこの真空によって治療される皮膚に打撃の感覚を生じさせる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(2)の皮膚(3)の結合組織を治療、特にマッサージするための装置(1;100)であって、真空源(4)に連結されており、患者の皮膚に作用するための二つの平行なローラ(20;120)を有し、
ローラはそれぞれの軸(X−X)周りを回転するようにケース(10;110)に配置されており、
少なくとも一つのローラ(20;120)は中空であり、ローラの軸(X−X)に対して垂直の吸引経路(64;164)を形成しており、
これらの吸引経路はローラの周縁(20A;120A)に開口している外端(641;1641)と、内端(642;1642)とをそれぞれ有し、ローラが回転する間に少なくとも経路の外端がローラに作用される皮膚(3)に向けられると、内端は、ローラの内部に取り付けられており且つケース(10;110)に支持されている制御手段(20;122)によって真空源(4)に連結されるようになっており、
これらの吸引経路がローラの周囲に分散されていることで、軸周りのローラの各位置において、少なくとも一つの吸引経路が、ローラによって作用される皮膚に向けられたその外端と、制御手段によって少なくとも一つの別の吸引経路の内端に流体連通して配置されているその内端とを有しており、前記別の吸引経路の外端はケースの内部に形成される自由空間(18、62;162)に開口していることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの又は各ローラ(20)が、ローラの軸(X−X)に平行であり且つローラの周縁周りに配置されている軸方向の複数の棒(26)を有し、棒は相互に離間されることによって棒の間に吸引経路(64)を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの又は各ローラ(120)が、吸引経路(164)を形成する複数の穴が貫通しており且つローラの軸(X−X)を中心とする管状スリーブ(126)を有し、これらの穴はローラの軸(X−X)に対してほぼ半径方向に延びており且つスリーブの軸方向に分布していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
制御装置がローラ(20;120)を支持するシャフト(20;122)を有し、ローラがシャフトを中心にして回転し、シャフトは平坦部(28;128)を備えており、この平坦部に面する吸引経路(64;164)の内端(642;1642)は真空源(4)に流体連通するよう配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
制御装置(122)がその軸の端(1223)の一方において貫通穴(1224)を形成しており、真空は貫通穴を介して真空ポンプ(4)とローラ(120)の内部との間を循環することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
自由空間(18;62)が、真空を真空ポンプ(4)とローラ(20)の周縁(20A)との間を循環させるようになっていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
請求項5及び6に記載の装置であって、選択手段(178)を有し、選択手段はケース(110)の外側から操作することができ、且つ真空ポンプ(4)と、貫通穴(1224)のみ、自由空間(162)のみ、又は累積的に前記貫通穴及び前記自由空間との間の吸引経路(164)を通らないよう真空の循環を制御するようになっていることを特徴とする装置。
【請求項8】
自由空間(18;62;162)は、ローラ(20;120)の間にケース(10;110)によって形成されており且つローラが作用する皮膚(3)に開口している治療チャンバ(62;162)を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
治療チャンバ(62;162)は、各ローラ(20;120)とローラによって作用される皮膚(3)に面するケース(10;110)の面(12A;112A)との間においてスクレーパ(60;160)によって密閉されており、スクレーパは、一方では密閉面(60B;160B)を備えており、ローラが回転する間にローラの周縁(20A;120A)がその上を摺動し、他方ではケースの前記面(12A;112A)に対して押圧される対向密閉面(60A;160A)を備えることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも一つのスクレーパ又はそれぞれのスクレーパが、二つの密閉面(60A、60B;160A、160B)をつなぐ貫通穴を有しており、真空が真空ポンプ(4)と対応するローラの周縁との間を貫通穴を介して循環することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の装置であって、少なくとも一つのローラ(20;120)を回転するようになっている電気動力手段(40;140)を有することを特徴とする装置。
【請求項12】
ローラ(20;120)が、ケース(10;110)に対して摺動することによって、軸(X−X)に対してほぼ半径方向において相互に近づく及び離間するように動くようになっている請求項1から11のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−540898(P2009−540898A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515912(P2009−515912)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001008
【国際公開番号】WO2007/147964
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508371725)ルイシン リサーチ アンド ディベロップメント リミテッド (2)
【Fターム(参考)】