説明

皮膚の老化度の測定方法および測定用キット

【解決手段】 皮膚擦過屑片から抽出したDNAを制限酵素処理して得た1つの付着末端とテロメア特有3'突出末端とを有する断片(TRF)の両末端を末端修飾によって平滑末端とする工程と、前記平滑末端断片の両端にリンカーを結合させた後にPCRで増幅する工程と、得られた少なくともテロメア全配列を一部に含む増幅産物を泳動分離しその分布から平均テロメア長を標識プローブで検出する工程とを備える、皮膚の老化度の測定方法、及び/又は泳動分離後に高標識率のテロメア検出用プローブで前記TRFを検出する皮膚の老化度の測定方法を提供する。
【効果】 本発明の方法によれば、少量のDNAを用いて迅速かつ正確に、皮膚の老化度を測定することができる。また、放射性標識を使用しないか、または少量の放射性標識を使用することにより、迅速かつ安全に高感度で皮膚の老化度を測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚の老化度の測定方法に関する。より詳細には、皮膚細胞から抽出したDNAを増幅させ、増副産物の平均分子量を測定し、テロメア長を求めることによって、皮膚の老化度を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生物では、加齢に伴って生理的機能の変化、通常は生理的機能の低下、すなわち老化が起こる。個々の細胞レベルにおいても、細胞の形質、機能の退行とそれに続く細胞死あるいは増殖停止が起こるまでの過程と定義される老化が起こる。こうした老化現象の原因は、細胞の代謝障害等の他に、細胞内DNAの傷害と修復機能の低下などが一因であると考えられている。
【0003】このような細胞の老化については、すでにいくつかの知見が得られている。すなわち、Goldsteinの総説では、ヒト二倍体繊維芽細胞においては、細胞周期のG1/S境界の停止が起こるために、複製による老化、すなわち分裂加齢が速いことが報告されている(S.Goldstein, Science, 249:1129-1132(1990)) 。また、異なるヒトのドナーから得られたヒトの繊維芽細胞をin vitroで培養できる株として樹立して増殖させると、細胞の継代を重ねたときにテロメアが短くなり、この短縮が細胞の寿命と関連することも報告されている(R.C.Allsop, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:10114-10118(1992))。ここで、テロメアとは、末端小粒ともいわれる染色体の末端領域をいい、多くの場合には単純な反復配列からなる。真核生物の染色体の安定性に必須の領域である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがってテロメア長から老化度を推定できると考えられるが、このようなテロメア長を、簡便かつ迅速に測定することができる方法はこれまで知られていない。Allsopらは、外科手術やバイオプシーによって得られた皮膚細胞を初代培養し、継代を繰り返して老化させたときに、テロメアにどのような影響が現れるかを通常のPCR法およびプローブ法によって調べている。
【0005】具体的には、Allsopらは、細胞の継代を繰り返した後に、DNAを抽出して制限酵素で消化し、Matherらの方法を改変した方法で放射性同位体(RI)標識プローブをハイブリダイズさせ、XAR−フィルムを1〜2日間感光させた後にデンシトメトリーでオートラジオグラムを検出する方法を採用している。この方法では、かなりの量のDNAを必要とし、また、標識としてRIを使用するために時間と手間がかかる。したがって、少量のDNAを使用してテロメア長を短時間のうちに正確に知ることができる方法を確立し、老化とテロメア長との関連を明確にすることに対する要請がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、痛みもなく、痕跡も残らないように採取した微量の皮膚組織細胞からのDNAを用いて、テロメア長を簡易かつ迅速に測定することができる方法を見出し、本発明を完成したものである。
【0007】すなわち、本発明は、皮膚擦過屑片から抽出したDNAを制限酵素処理して得た1つの付着末端とテロメア特有3'突出末端とを有する断片の両末端を末端修飾によって平滑末端断片とする工程と、前記平滑末端断片の両端にリンカーを結合させた後にPCRで増幅する工程と、ここで得られた少なくともテロメア全配列を一部に含む増幅産物を泳動分離しその分布から平均テロメア長を標識プローブで検出する工程とを備える、皮膚の老化度の測定方法である。
【0008】ここで、上記制限酵素は、HinfI、MspI/HpaII、およびRsaIからなる群から選ばれる制限酵素であることを特徴とする。さらに、上記平滑末端断片は、上記付着末端と相補的な付着末端を有する二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカーを上記付着末端と結合させ、かつ、上記突出末端を有する断片の突出末端の3'側から6〜24塩基の配列に相補的な5'-CCCTAA-3'の反復配列を含む一本鎖オリゴヌクレオチド部分の5'側に二本鎖の3〜12塩基対のオリゴヌクレオチドを連結させ、これをプライマーとしてDNAポリメラーゼで両端が平滑末端の二本鎖オリゴヌクレオチドとして得られることを特徴とする。
【0009】本発明においては、上記制限処理したDNAを、前記リンカーとDNAポリメラーゼとを用いて平滑末端としてもよく、上記付着末端および突出末端と相補的な配列を有する二本鎖オリゴヌクレオチドをリンカーとして用いて平滑末端としてもよい。
【0010】また、上記増幅工程で用いるセンスプライマーとアンチセンスプライマーとは、上記の二種のリンカーに各々含まれるヌクレオチド配列を有することを特徴とする。具体的には、上記プライマーは、配列番号3および4に記載のヌクレオチド配列を有することが好適である。
【0011】本発明はまた、皮膚擦過屑片から抽出したDNAを制限酵素処理して得たテロメア含有DNA断片を、放射性同位体、蛍光化合物及び化学発光化合物からなる群から選ばれる標識で標識されたテロメア検出用標識プローブで検出する皮膚の老化度の測定方法である。
【0012】具体的には、上記テロメア標識プローブは、配列番号5〜13に記載のヌクレオチド配列を有することが好適である。上記テロメア標識プローブは、放射性同位体、蛍光化合物及び化学発光化合物からなる群から選ばれる標識で標識された 5'-(TTAGGG)n -3'および/または5'-(TAACCC)n -3'(nは3〜5の整数を表す)であることが、さらに好適である。
【0013】また、上記標識プローブは、標識プローブとしての 5'-(TTAGGG)n-3'および/または 5'-(TAACCC)n-3' (nは3〜5の整数を表す)と相補的な塩基配列と前記塩基配列に隣接する制限酵素認識配列とを有するテンプレート、当該制限酵素認識配列を含むプライマー、および[α-3H]dNTPを少なくとも含有する基質にDNAポリメラーゼを作用させて反応産物を得、当該反応産物に当該制限酵素を作用させて得られることを特徴とする。
【0014】本発明はまた、皮膚擦過屑片採取用器具と、DNA抽出用溶液とを含むチューブとの少なくとも2つを含み、上述した方法を実施するための皮膚の老化度測定用キットである。このキットはさらに、DNA増幅用ミックスを含むチューブを含んでもよい。このキットの増幅用反応ミックスは、EGTAと、内部標準品と、TS遺伝子タンパク質と、配列番号3のプライマーを含むPCR溶液をワックス上層とし、配列番号4に記載のプライマーを含むPCR溶液をワックス下層として反応容器内に含むことを特徴とする。
【0015】本発明は、さらに、ソーンを植え込んだ様式の頭部と、頭部と連結された把持部とを含むラスプを皮膚擦過屑片採取用器具とすることを特徴とする皮膚の老化度測定用キットである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明する。本明細書において「老化」とは、 紫外線・過酸化脂質・虚血などによって誘発されるDNAの障害もしくは細胞の障害、及びDNAの複製、細胞分裂に伴う細胞増殖速度の低下、増殖余力の低下によるものをいい、光老化、フリーラジカル老化などが含まれる。ここで、「増殖余力の低下」とは、通常、遺伝的に定まっている細胞の増殖可能な分裂回数(累積回数)に対して、ある細胞が今後増殖できる回数をいう。
【0017】本発明では、テロメア長を測定するために、皮膚擦過屑片又は皮膚細胞から抽出したDNAを使用するが、これらの皮膚擦過屑片は生体から得られたものである。「皮膚擦過屑片」とは、任意の部位の皮膚表面を、痛みもなく、出血もせず、また、痕跡も残らずに擦過して得た角化細胞などの細胞又はその一部をいう。また、本発明においては、in vitroで継代が可能な株化細胞、及び摘出生体組織から取得した初代培養細胞組織から得られたDNAを使用してもよい。これらの材料から得られたサンプルを、以下、「皮膚擦過屑片等」という。
【0018】また、これらの皮膚擦過屑片等は、いかなる方法によって得られたものであってもよい。例えば、後述するラスプやサンドペーパーなどで皮膚表面を擦過して得ても良く、また、外科的手術やバイオプシーなどによって得られた組織又はその一部を使用してもよい。本発明においては微量のDNAのテロメア長を測定することが可能であるため、皮膚擦過屑片等を好適に使用することができる。
【0019】これらの皮膚擦過屑片等を採取する部位は、顔、上腕部、背部、臀部、大腿部その他の各種部位を挙げることができるが、これらの部位に限定されるものではない。したがって、顔などのように日光に曝されることが多い部位と、臀部などのように日光に曝されることが少ない部位とから採取した皮膚から得たDNAの各テロメア長を比較することによって、細胞の光老化度等を調べることが可能となる。また、頬骨頂部上、起立位または座位での目尻の鉛直線と小鼻上端の水平線との交叉部位の皮膚等を選択(図3)すると、美容のための皮膚の老化度を測定することもできる。
【0020】皮膚擦過屑片は、例えば、採取専用の器具(ラスプ)を用いると、痛みも出血もなく、痕跡も残らずに採取することができる。以下に、ラスプを用いて皮膚擦過細胞屑片を採取する場合を例に挙げて説明する。すなわち、ラスプは、図1Aに示すような構造を有する皮膚擦過用の器具である。ラスプ10は、ソーン2を植え込んだ頭部4およびこの頭部と連結された把持部6とからなり、頭部と把持部とは分離し得るように連結されている。
【0021】ここで、ソーンとは、皮膚擦過片を得るためにラスプの頭部に植え込まれる繊維をいう。ソーンの材質は、皮膚を痛みも出血もなく、痕跡も残らないように擦過して皮膚擦過屑片等を採取することができるものであればよく、特に限定されないが、滅菌可能であること及び製造コストの面から、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリエチレン、アルミニウム、ステンレス18-8などを使用することが好ましい。
【0022】また、ソーンの先端部分は、図1Cに示すように直径約1〜10μmの繊維状物質からなり、その先端は鋭角状をなしている。この角度は最大30°であり、0.2〜5°とすると、皮膚を痛みも出血もなく、痕跡も残らないように擦過して皮膚屑片を採取する上で好適である。
【0023】ラスプの頭部の形状は、円盤状、楕円盤状、正方板状、直方体など、いかなる形状であってもよく、特に限定されない。大きさは、採取できるDNAの量の関係から、円盤状または正方板状の場合には直径が5〜20mmまたは一辺が5〜20mm、楕円盤状の場合には長軸半径が5〜20mmかつ短軸半径が1〜5mm、または長方形板状体の場合には一辺が1〜5mm×5〜20mm程度であることが好ましい。
【0024】厚みは、後述する把持部と結合できる程度であればよく、特に限定されないが、1〜8mm程度が好ましい。皮膚を擦過して皮膚擦過屑片を採取するために、上記のような形状の頭部に上述したソーンを約25〜225本/cm2、頭部の植え込み面からの長さが約1〜5mmとなるように、植え込む。植え込みは、当業者に公知の方法で行えばよい。
【0025】このように形成した頭部に、手で持つことができる把持部を、頭部と分離し得るように連結する。把持部の大きさは、手で持つことができる程度であればよく、特に限定されないが、具体的には、長さが30〜100mm、直径2〜8mmの円柱状、長軸半径が5〜20mmかつ短軸半径が2〜10mmの楕円柱状、または一辺3〜15mmの角柱状などのものを挙げることができる。
【0026】このような把持部は、ラスプの頭部とは別個に成形してもよく、頭部と一体成形してもよい。頭部と別個に成形する場合には、例えば、上記の頭部のソーンを植え込んでいない面に把持部の一端をはめ込むか、または捩じ込むように連結することができる。また、一体成形する場合には、例えば、ピンセットなどで外力を加えることにより、この頭部を容易に切り離すことができるように、頭部と把持部との間に適当な深さの切り込み8(図1B参照)を入れておくことが好ましい。
【0027】ラスプの作製に使用する材料は特に限定されないが、入手、成形及び成形品の滅菌が容易であること、また、使い捨てであるラスプの製造コストを抑える必要があることから、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック、アルミニウム、スチール、ステンレスなどの金属を好適に使用することができる。特に、ポリプロピレンまたはアルミニウムなどで作製すると、ラスプの製造コストが安く、又は滅菌が容易であるという利点がある。
【0028】上述したラスプの具体例としては、約3×10×15mmの直方体状の頭部、直径約5mm、長さ約100mmの把持部とからなるポリプロピレン製のものを挙げることができる(図1参照)。このラスプの頭部には、尖端角度が約0.8度であるソーンを、約100本/cm2の密度で、植え込み面から先端までの長さが約2mmとなるように、均一に植え込むとよい。上記のようにして作製したラスプを無菌袋に詰め、例えば、γ線照射などによって殺菌する。
【0029】上記のラスプを清浄にした適当な部位に軽く当てて、この部位を数回軽く擦過し、皮膚擦過屑片を採取する。ついで、ソーンの尖端に皮膚擦過屑片がついたラスプの頭部を、例えば、ピンセットで挟んでねじるようにして把持部と切り離し、このラスプの頭部をピンセットなどを用いて、水溶液を入れた適当な大きさの容器中に移し、採取された皮膚擦過屑片を回収する。
【0030】ここで使用する水溶液は、微生物由来のDNaseを排除するために殺菌水であることが好ましく、アジ化ナトリウムなどの防腐剤を適宜添加してもよい。また、DNAの回収効率の面から、約0.5〜2mL容量の容器内に、約0.3〜1.6mLの上記水溶液を入れて、ここに皮膚細胞を集めることが好ましい。
【0031】例えば、1.5mLの蓋付きのエッペンドルフチューブに0.1%のアジ化ナトリムを含有する1.3mLのMilliQ超純水を入れ、ここに上記の皮膚擦過細胞屑片を採取したラスプの頭部を入れる。このときに使用するエッペンドルフチューブの内径を7mm以内とすると、皮膚擦過屑片を効率よく集めることができる。
【0032】以上のようにして集めた皮膚擦過細胞屑片は、以下のような公知の方法によって破砕することができるが、特に限定されるものではない。例えば、界面活性剤、アルカリもしくは酵素などを用いて化学的に破砕してもよく、凍結融解やウルトラソニック等の装置を用いたソニケーションなどによって物理的に破砕してもよく、さらに、これらを組み合わせて破砕してもよい。
【0033】抽出するDNAの損傷が少ないことから、上記の採取細胞を含む水溶液を凍結融解し、ついで濃厚アルカリを用いて完全に破砕することが好ましい。凍結融解は繰り返して行ってもよい。アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができ、これらを最終濃度が約5〜20mMになるように上記の水溶液に添加してボルテックスミキサーなどによって激しく攪拌すると、DNAの抽出効率を高めることができる。
【0034】細胞の破砕は、例えば、上述した1.5mLの蓋付きのエッペンドルフチューブを液体窒素と温水とに交互に迅速に浸けて、凍結融解を2回繰り返す。ついで、アルカリを最終濃度12mMとなるように濃NaOHを少量添加して、ボルテックスミキサーで激しく攪拌することによって行うことができる。チューブ中のラスプの頭部は、スピンダウンしてからピンセットで取り出す。
【0035】細胞の破砕は、上述のような凍結融解によるものの他、ラウロイルサルコシネート、Triton X-100、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤、プロテイナーゼK、プロナーゼなどのプロテアーゼ、RNaseその他の酵素、ヨーダイドナトリウム・イソプロピルアルコール、エタノールなどの沈殿剤を用いた通常の方法によって行ってもよい。
【0036】本発明において、少ない液量でDNAの抽出を行う場合には、上記のように細胞を破砕し、破砕片を沈殿させた後に所定の量の鉱物油を重層すると、この後に行う加熱操作中における水溶液の蒸発を防ぐ上で好適である。このような鉱物油としては、ライトミネラルオイルM-5904(Sigma社製)などを挙げることができ、重層量は約10%程度とすることが、水分の蒸発を防ぎ、DNAを安定に抽出する上で好ましい。
【0037】アルカリを用いた場合には、上記のDNAを含む水溶液を、高濃度の酸または緩衝液で中和する。このような酸としては、例えば、塩酸などを挙げることができ、緩衝液としては、例えば、トリス塩酸緩衝液(pH7.0)などを挙げることができる。例えば、1Mのトリス塩酸緩衝液(pH7.0)で中和した後に、油層下の溶液をピペットで正確に吸い出すとよい。以上のようにして得た皮膚細胞からのDNAは、そのまま後述する処理に供してもよく、また、例えば、凍結保存しておいてもよい。
【0038】得られたDNAを、HinfI、MspI/HpaII、およびRsaIからなる群から選択される制限酵素で消化し、末端制限DNA断片(TRF: terminal restriction fragment)を得る。これらの制限酵素で消化することにより、付着末端と突出末端とを有するTRFを得ることができる(図2)。ここで、「テロメア特有3'突出末端」とは、TRFの3'側に存在する、約10〜20ヌクレオチドからなる一本鎖オリゴヌクレオチド部分をいう。図2中、Eはエンドフィリングする部分、Aはセンスプライマーと同一の配列からなる部分、Bはアンチセンスプライマーと同一の配列からなる部分をそれぞれ表す。また、付着末端の長さは1〜5塩基であり、多くの場合4塩基である。本発明においては形成される制限末端の塩基配列からHinfIで消化することが好ましい。しかし、経時的にテロメア長を調べる必要がある場合には、同一の採取箇所から1回に採取できる皮膚擦過屑片の量を制限する必要があるため、MspIで消化することが好ましい。
【0039】ついで、この付着末端とテロメア特有3'突出末端とを有するTRFを以下のような末端修飾法で平滑末端断片にする。第一の方法では、このTRFの付着末端と相補的な付着末端を有する第一の二本鎖オリゴヌクレオチドをリンカーとして作製し、このオリゴヌクレオチドを上記TRFの付着末端に結合させる。ついで、上記TRFのテロメア特有3'突出末端を有する他方の端を、突出末端の3'側から6〜24塩基の配列に相補的なオリゴヌクレオチド部分の5'側に、二本鎖の3〜12塩基対のオリゴヌクレオチドをプライマーとして連結させ、これを、例えば、DNAポリメラーゼなどを用いて常法に従ってエンドフィリングする。このエンドフィリングした突出末端に、両端が平滑末端となっている第二の二本鎖オリゴヌクレオチド(リンカー)を常法に従ってライゲートさせ、平滑末端断片とする。
【0040】第二の方法では、上記のようにして得たTRFの付着末端とテロメア特有3'突出末端とに、これらと相補的な付着末端と突出末端とを有する2つの二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカーを常法に従って結合させ、平滑末端断片とする。付着末端と突出末端とを有する2つの二本鎖オリゴヌクレオチドは、TRFの両末端に同時に結合させてもよく、一方ずつ結合させてもよい。
【0041】第三の方法では、上記のようにして得たTRFの付着末端と突出末端とを第一の方法の場合と同様にしてエンドフィリングして平滑末端を形成させ、ここに平滑末端を有する2つのリンカーを結合させて、平滑末端断片を得る。ここで使用する2つのリンカーは、TRFの両末端に同時に結合させてもよく、一方ずつ結合させてもよい。
【0042】上記の二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカーのプラス鎖に、後述する増幅工程で使用するプライマーのヌクレオチド配列が結合する配列を含めておくと、これらの平滑末端断片を正確かつ迅速に増幅することができ、検出も容易となる。本発明において使用するリンカーは、サブテロメア側に結合するリンカーのプラス鎖中に5'-AGAGTT-3'という配列を含むことが好ましく、5' AATCCGTCGAGCAGAGTTC 3'の配列(配列番号3)を含むことがさらに好ましい。
【0043】本発明で皮膚擦過屑片から抽出したDNAのサブテロメア側に結合させる上で好適なリンカーは、5' AATCCGTCGAGCAGAGTTC 3'3' TTAGGCAGCTCGTCTCAAGTGA 5'で表される付着末端を有するもの(配列番号1)である。
【0044】また、本発明においては、テロメア特有3'突出末端のテロメア側(すなわち、テロメア特有3'突出末端の3'側から6〜24塩基の配列に相補的な、5'-CCCTAA-3'の配列を含む一本鎖オリゴヌクレオチド部分の5'側(図2))に結合させるリンカーは、5' (CCCTAA)3CCCTAA 3'を含むもの(配列番号4)であることが好ましい。テロメア側に結合させるリンカーをこのような配列とすると、サブテロメア側に結合させるヌクレオチド配列のAGAGTTとミスマッチとなるので、プライマー・ダイマーアーティファクトを防止することができるためである。
【0045】テロメア特有3'突出末端のテロメア側に結合させる具体的なリンカーとしては、5' (CCCTAA)3CCCTAA 3'3' (GGGATT)3GGGATT 5'という配列を有する平滑末端を有するもの(配列番号2)が好ましい。
【0046】このようなリンカーは化学合成によって各鎖を作製し、これら二本の合成オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせてもよく、または、合成したプラス鎖とDNAポリメラーゼとを用いて酵素合成してもよい。例えば、DNAシンセサイザー(Pharmacia Biotech製)を用いて、ホスホルアミダイト(Phosphoramidite)法に従って、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカーを合成することができる。合成したオリゴヌクレオチドは、アルカリによってカラムから切り出した後に、7M尿素を含むポリアクリルアミドゲル電気泳動やChroma Spin-10 column(Clontech製)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などによって精製すればよい。
【0047】本発明においては、上述したように平滑末端断片の作製に用いられる二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカーの中に、この平滑末端断片のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において使用するセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーの配列が含まれている。これらのプライマーは、常法に従いDNAシンセサイザーを用いて合成することができる。また、クレノウ断片を作用させ、マルチプライマー法(ランダムプライマー法)、ニックトランスレーション法などによって、上記のプライマーを合成することもできる。
【0048】また、これらのプライマーの塩基配列の長さは特に限定されないが、合成が容易であること及びプライマーダイマーアーティファクトを起こさないといった面から、約15〜35塩基の長さであることが好ましい。ここで、「プライマーダイマーアーティファクト」とは、プライマー同士が互いにアニールしてダイマーを形成することをいう。合成されたプライマーは、上述したようにポリアクリルアミドゲルもしくはChroma Spin-10 column(Clontech製)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などを用いて常法に従って精製し、PCRにおいて使用する。
【0049】本発明で使用する二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカーとプライマーの例としては、配列番号1と2とにそれぞれ記載されたリンカーとプライマーなどを挙げることができる。このようなヌクレオチド配列を有するプライマーは、プライマーダイマーアーティファクトを起こさず、増幅工程においても、効率良くかつ精度良く鋳型となるヌクレオチド配列を増幅させることができる。
【0050】本発明においては、上記のように処理して得た平滑末端断片をテンプレート(鋳型)と、下記の配列を有するTSプライマー(センスプライマー、配列番号3)
5' AATCCGTCGAGCAGAGTTC 3'とCXプライマー(アンチセンスプライマー、配列番号4)
5' (CCCTAA)3CCCTAA 3'とを用いて、通常の条件に従い、PCRを行うことによりTRFを増幅する。
【0051】本発明で使用するCXプライマーの配列は、テロメア反復配列と完全に相補的な配列ではなく、アニールしたときにミスマッチとなる塩基を含んでいる。このようなミスマッチの塩基を含むことにより、鋳型のテロメア配列部分とアニールしてプライマーダイマーが形成されるのを防ぐことができるとともに、PCRの2サイクル目以降のアニーリングでは優先的にこの配列にアニールさせることにより、増幅断片の短縮を防止することができる。
【0052】こうして得られた増幅産物は、アガロースゲル電気泳動、SDS-PAGEなどの各種の電気泳動法によって泳動分離し、メンブランフィルターに転写した後に、標識プローブで検出する。本発明においては、(TTAGGG)n(ここでnは3〜5の整数を表す、配列番号5〜8)または(TAACCC)m(ここでmは2〜6の整数を表す、配列番号9〜13)を含むプローブを使用することが好ましい。
【0053】nが2以下では結合親和力が弱いという問題があり、逆に6以上ではプローブとしての取り扱いが難しくなるからである。また、mが1の場合及び7以上の場合にも同様の問題があるからである。(TTAGGG)n(配列番号5〜8)または(TAACCC)n(配列番号9〜13)をプローブとして使用すると、テロメア検出の際に精度、感度、および操作性が向上するという効果がある。
【0054】ここで使用するテンプレートには、少なくとも、5'- (TTAGGG)3-3'および/または5'-(TAACCC)3-3'と相補的な塩基配列、この配列に隣接する制限酵素認識配列とが含まれる。「制限酵素認識配列」とは制限酵素によって認識され切断される塩基配列をいい、具体的には、HinfI、MspI/HpaIIおよびRsaIから選ばれる制限酵素によって認識される塩基配列が好ましい。プライマーもまた、上記の制限酵素によって認識される塩基配列を含む。
【0055】上記のテンプレート、プライマーおよび[α-3H]dNTPからなる基質にDNAポリメラーゼを通常の条件下で作用させると、[α-3H]dNTPを含む反応産物を得ることができる。この反応産物に上記の制限酵素を通常の条件に従って作用させると、高標識率のプローブを得ることができる(例えば、Harleyらの方法(Harley C.B. et al.,Nature 345:458-460(1990); Vaziri H. et al,EMBO J. 16:6018-6033(1997); Kruk P.A. etal.,BBRC 224:487-492(1996) )を参照のこと)。
【0056】ここで、「高標識率のプローブ」とは、放射性同位体を標識として使用した場合には、約0.5〜9×107cpm/pmolの放射活性を有するものをいう。蛍光化合物を標識として用いた場合、または化学発光化合物を標識として用いた場合には、従来の5'末端標識のような一箇所の標識ではなく、二箇所以上が標識され、蛍光強度または発光強度が高くなっているプローブをいう。
【0057】本発明で使用する標識化合物としては、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。放射性標識としては、[3H] 、 [32P] もしくは [14C] などが挙げられる。また、非放射性標識としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、赤色系のテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)などの蛍光化合物、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、ルシフェラーゼなどの化学発光化合物を挙げることができる。
【0058】これら非放射性標識を用いた標識プローブは、Langer-Saferらの方法(P.R.Langer -Safer, M.Levine, and D.C.Ward, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 79:4381-4385)、Rigby らの方法(T.W.J.,Rigby, M.Dieckmann, C.Rhodes, and P.Berg,J. Molec.Biol. 113:237-251(1977))などによって作製することができる。
【0059】本発明においては、ビオチン標識dCTP、ジゴキシゲニン標識dUTP、FITC標識dGTP、TRITC標識dCTPなどの蛍光標識ヌクレオチド、[α-3H]dNTP、[γ-3P]dNTPもしくは[α-14C]dNTPなどの放射性標識ヌクレオチド、又は西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヌクレオチド、ルシフェラーゼ標識ヌクレオチドなどの酵素標識ヌクレオチドを使用することが、皮膚擦過屑片等からの少量のDNAを高感度で検出する上で好ましい。
【0060】これらの標識プローブのうち蛍光プローブを用いた場合には、増感剤を加えると一層高感度の検出が可能となる。例えば、ビオチン標識dCTPを用いた場合には、ストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を標識プローブに結合させ、ついで過酸化水素と増感剤とを用いると蛍光強度が増大する。増感剤としては、フルオレセイン−チラミド(NEN Life Science Products製)、ビオチン、フロレスチン(モレキュラープローブ製)などを好適に使用することができる。
【0061】ビオチン標識dCTP、ジゴキシゲニン標識dUTPなどの上述のような非放射性標識プローブを使用すると、放射能安全管理施設外における操作が可能となり、皮膚の老化の測定を簡便に行うことができる。
【0062】また、本発明の放射性標識プローブは、 [γ-32P]ATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼなどによって5'末端標識された従来の標識プローブ(Harley C.B.ら(前出))の比活性が1〜3×106cpm/pmolであるのに比べて、比活性が2〜7×107cpm/pmolと数倍高いため、少量の皮膚擦過屑片から抽出したDNAで精度良くテロメア長を測定することができる。さらに、[3H]標識を使用するとこれらを使用する研究者に対する安全性も高いという利点がある。
【0063】本発明においては、皮膚擦過屑片から上述のようにしてDNAを抽出し、所望の制限酵素で処理し、末端修飾によって平滑末端とする。ここに所望の配列を含有する二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカーを結合させ、PCRによりテロメア全配列を一部に含む増幅産物を得る。この増幅産物を泳動分離して、メンブランフィルターに転写して上述のように作製した標識プローブと結合させると、エレクトロフォログラムが得られる。
【0064】得られたエレクトロフォログラムを、例えば、Molecular Imager(BioRad社製)などの画像解析装置に取り込み、蛍光標識プローブを用いた場合には、蛍光を発しているバンドのマスセンターを求める。ここで、加重平均したDNA長をマスセンターという。マスセンターは同時に電気泳動を行ったマーカーDNAの分子量を基準として、以下の式(1)に基づいて算出する。
【0065】MCav=Σ( MWi×FIi)/Σ( FIi )ここで、MCavはマスセンターを表し、MWは同時に電気泳動を行ったマーカーDNAより求めるDNA長である。FIは蛍光強度を、また、Iはバンドの位置を表す。上記の式に基づいて、平均テロメア長を平均値±標準偏差(kb)として求めることができ、この値から皮膚の老化度を知ることができる。
【0066】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】(実施例1)皮膚の採取(1)採取部位の選択皮膚の採取部位は、以下のようにして選択する。顔の場合には、鏡で顔を見ながら、起立位か座位で、目尻の鉛直線と小鼻上端の水平線との交叉部位の頬皮膚(図3)を選択するか、または、鏡を見ないで、清潔な指による感触で頬骨頂部をさぐりあててこの上の皮膚を選択する。顔以外の部位には、臀部や大腿部など日光に曝されない部位を選択する。
【0068】(2)皮膚の採取の準備皮膚の採取部位が顔の場合には、石鹸で頬の付近を充分に洗い、水で濯ぐ。好ましくは、さらに消毒用アルコール(約70%)を含ませたコットンで、頬の付近を拭いた。皮膚の採取部位が顔以外の場合も、顔の場合と同様に、石鹸で洗浄した後に水で濯ぎ、同様にアルコールで拭いた。
【0069】(3)皮膚の採取上記(2)で決定した皮膚の採取部位に、ラスプをあてて同一部位を軽く数回擦り、皮膚擦過屑片を採取した。採取した皮膚擦過屑片を入れるために、1.3mLの殺菌水(0.1%アザイド含有MilliQ超純水)を入れた1.5mLの蓋付きエッペンドルフチューブ(内径7mm以内)を用意した。上記のように皮膚を擦り取ったラスプの頭部と柄とを切り離し、頭部を付属のピンセットでつまんで、このエッペンドルフチューブの中に入れて密栓した。
【0070】(実施例2)採取した皮膚試料の処理(1)細胞の破砕皮膚擦過屑片を含むエッペンドルフチューブを、液体窒素に浸けて凍結し、次に温水に浸けて融解するという凍結融解操作を2回繰り返した。ついで、最終濃度が12mMとなるように濃厚NaOHを少量加えて、ボルテックス・ミキサーで激しく攪拌して細胞の破砕を行った。この破砕の後に、ラスプの頭部をチューブから取り出した。
【0071】(2)被験試料の調製破砕物をスピンダウンしてから、ライトミネラルオイルM-5904(Sigma製)を10%容量となるように重層し、95℃のヒートブロックで10分間加熱した。この後に、1Mのトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を加えて試料を含む水溶液を中和し、オイルの下にある試料をピペットで正確に吸い出して、エッペンドルフチューブに移し、−80℃で凍結した。
【0072】−80℃で凍結した試料を常温に戻した後に、IsoQuick Nucleic Acid Extraction Kit (ORCA Research Inc.)を用いて抽出を行った。抽出したDNAをTE(1mMのEDTAを含む10mMのTris-HCl(pH8.0))に溶解し、4℃で保存した。
【0073】DNAの濃度測定はMupidのミニゲル泳動槽(コスモバイオ製)、0.35%のアガロース(TYPE H、和光純薬製)ゲル、および5%のグリセリン、0.025%のブロモフェノールブルー(BPB)、0.025%のキシレンシアノールFFを含むローディングバッファーを使用した。1μLのDNA溶液に5μLのTEを加えて重くしたDNA試料と、対照試料用に調製した10μLのλDNA(100ng/mL)とをそれぞれ別のゲルにアプライし、1×TAEバッファー(5mMの酢酸と1mMのEDTAとを含有する40mMのTris-HCl(pH8.0) )中で泳動させ、BPBがゲルの2/3まで進んだところで泳動を止めた。
【0074】このゲルを2μg/mLのエチジウムブロマイドで染色し、UVトランスイルミネーター(VILBER LOURMAT TF-40M)にのせてそれぞれ写真撮影を行った。この写真について画像解析(NIH Image)を行い、対照と比較して、DNA濃度を求めた。
【0075】(3)被験試料の保存採取された試料を、角化細胞の量およびDNAの量について測定した。角化細胞の量はCoulter粒度カウンターで測定し、平均値としてならすと皮膚組織1mgから1.5〜6×106個が得られた。被験試料ごとのこの範囲のばらつきは、テロメア長の測定に影響しない。Hoechst33258をDNA結合性指示薬として用い、蛍光プレートリーダー(Millipore製)で測定したところ、3.2〜9.6μgのDNAが得られた。採取された試料の数がある程度まとまるまで、上記のDNA含有チューブを-70℃で保存した。
【0076】(実施例3)サザンブロット法による末端制限DNA断片TRF長の解析(1)試料の調製1.5mLのチューブに2μLの10×Hバッファー(宝酒造製)、2μLのDNA溶液、および滅菌水を総量19μLとなるように加え、最後にHinf I(6U/μL、宝酒造製)を加えた。37℃で3〜4時間反応させ、電気泳動にかけた。反応後直ちに電気泳動しなかった試料については−20℃で保存した。
【0077】(2)アガロースゲル電気泳動アガロース(TYPE I、Sigma製)ゲルは、ブリッジ部分のゲル濃度が1%、ベット部分が0.8%になるように作製した(マリソルKS-8405、20cm×14cm)。泳動用バッファーとしては、1×Boyerバッファー(20mMの酢酸ナトリウム、2mMのEDTA、18mMのNaClを含む50mMのTris-HCl(pH8.0))を使用した。
【0078】マーカーとしては、0.5μg/レーンに調整した1kbのDNA Ladder(GIBCO BRL製)と、0.3μg/レーンに調整したλDNA/Hind III digest(NIPPON GENE製)とを使用した。マーカーとローディングバッファーとを3μLずつ加えた試料を上記のように調整した0.8%のアガロースゲルにアプライし、85ボルトで引き込んだ後に、35ボルトで泳動を行った。
【0079】(3)サザントランスファー電気泳動終了後、アガロースゲルを切り出し、2μg/mLのエチジウムブロマイドで15分間染色し、UVトランスイルミネーターにのせてスケールとともに写真撮影を行った。写真撮影の後に、ゲルを0.25NのHClに浸して室温で15分間振盪し、ついで蒸留水で2回洗浄した。
【0080】ついで、0.2 MのNaOHと0.6 MのNaClとを含む変性(Denaturalization)溶液にゲルを浸して室温で25分間振盪し、その後に蒸留水で3回洗浄した。このゲルを中和(Neutralization)溶液(0.6 MのNaClを含む0.2 MのTris-HCl(pH7.4) )に浸して室温で30分間振盪し、蒸留水で軽く1回洗浄した。この後、再びNeutralization溶液に浸して室温で30分間振盪した。
【0081】6×SSCを満たしたブロッティング装置にセットした3MMろ紙上に空気が入らないように、ゲル、6×SSCに浸しておいたニトロセルロースメンブレンフィルター(OPTITRAN BA-S 85、Schleicher& Schuel製)、6×SSCに浸しておいた3MMろ紙、ペーパータオル、ガラス板、重り(2kg)の順に載せ、一晩ブロッティングを行った。ブロッティングの終了後、メンブレンフィルターを3×SSCに浸し、軽く水分を切ってからUVトランスイルミネーター上でウェルの位置を記入した。ろ紙にはさみ、80℃で一晩加熱(ベーキング(baking))した。
【0082】(4)DNAハイブリダイゼーションプレハイブリダイゼーション用のプローブとしては、 5'-(TTAGGG)4-3'(宝酒造製)を使用した。このプローブを MEGALABELTM DNA 5'-End Labeling kit(宝酒造製)を用いて、[γ-32P]ATP (Amersham 製)で5'末端標識を行った。標識したプローブは、Chroma Spin-10 Column(Clontech製)を用いて常法に従い逆相HPLCで回収した。
【0083】ベーキングしたフィルターを3×SSCに浸した後に、ハイブリダイゼーションバッファー(1×デンハルト溶液、1M NaCl、50mM Tris-HCl、10mM EDTA、0.1%SDS、50μg/mL変性サケ精子DNAを含む)に浸して、65℃で3〜4時間振盪し、上記のプローブとともにプレハイブリダイゼーションを行った。
【0084】プレハイブリダイゼーションが終了した後に、シールドバッグにメンブレンフィルターを入れ、標識プローブと1μLの変性サケ精子DNA(10mg/mL)とを加えたハイブリダイゼーションバッファーを2mL加えて、泡が入らないようにシールした。50℃で一晩インキュベートし、ハイブリダイゼーションを行った。
【0085】(5)洗浄およびオートラジオグラフィーハイブリダイゼーションをした後、フィルターを洗浄バッファー(4×SSC、0.1%SDS)に浸し、55℃で15分間振盪した。この操作を4回繰り返した後に、フィルターの水分をよく切ってサランラップでくるみ、増感紙をつけたカセットにX線フィルム(Scientific Imaging Film, Kodak製)とともにセットして、−80℃で一晩オートラジオグラフィーを行った。
【0086】(6)データ解析現像したフィルムとフィルターの位置を合わせ、マジックでウェルの位置を記入した。TRFはスメア上に現れるので、このスメアの濃さのピークをデンシトメトリー(Ultra Scan XL Laser Densitometer, Pharmacia製)で検出した。ウェルからピークまでの距離を移動度とし、その移動度とマーカーとで作成した検量線より、TRFの長さを求めた。
【0087】(実施例4)アルカリホスファターゼ(AP)標識及び/又はビオチン標識プローブを用いた平均テロメア長の測定(1)二本鎖合成オリゴヌクレオチドからなるリンカーおよびPCR用プライマーの合成(1−1)リンカーの合成平滑末端断片を得るために使用する二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカー(配列番号1及び2)をDNAシンセサイザー(Pharmacia Biotech製)を用いて、ホスホルアミダイト法により合成した。すなわち、反応基質であるアミダイトをカラムに固定されたヌクレオチドの3'末端に結合させ、未反応基質を除去するとともに官能基をキャッピングし、酸処理してトリチル基をはずし、ここに再びアミダイトを結合させ、上記の手順を繰り返して合成した。アルカリ処理によって合成したオリゴヌクレオチドをカラムから切り出し、脱保護して、逆相HPLCにより精製し、以下の実施例でリンカーとして使用するオリゴヌクレオチドの画分を分取した。
【0088】(1−2)PCR用プライマーの合成PCRで使用するTSプライマー(サブテロメア側プライマー、配列番号3)およびCXプライマー(テロメア側プライマー、配列番号4)をDNAシンセサイザーによって作製した。同様に合成した(TTAGGG)4プローブを架橋剤(bifunctional reagent)であるホルムアルデヒドで処理し、アルカリホスファターゼ(AP)を化学的に直接結合させて標識した。この標識には、AlkPhos Direct(Pharmacia製)を使用した。実施例3(1)で得たTRFを実施例3(2)に示すようにアガロースゲル電気泳動して分画した。マーカーには、1kbのDNA ladder(BioRad製)を使用した。
【0089】(2)TRFの検出上記のように電気泳動したゲルをトランスブロッター(BioRad製)を用いて、ニトロセルロースメンブランフィルター(OPTITRAN BA-S、Schleicher & Schuel製)に転写した。このフィルターに、0.2μg/mLの上記のようにして得たAP標識プローブ、もしくはビオチン標識プローブを結合させた。ビオチン標識プローブは、0.3μg/mLのビオチン標識dCTP(Pharmacia Biotech製)とdNTPとを添加し、0.1μg/mLのクレノウ断片(宝酒造製)で反応させた後、制限酵素SmaIで切断して得た。
【0090】ついで、AP標識プローブの場合には、CDP-Starと反応させて化学発光を生じさせ、ビオチン標識プローブの場合には、0.4μg/mLのストレプトアビジン結合HRP(ベーリンガーマンハイム製)と25℃で15分間結合させた。この後に、100μMの過酸化水素と0.8μg/mLのフルオレセイン−チラミド(NEN Life Science Products製)及び/又は0.3μg/mLの1,4-ビシクロ[2,2,2]オクタン(1,4-diazobicyclo[2,2,2] octane、DABCO)(モレキュラープローブ製)を添加して、蛍光強度を増強させた。この蛍光をCDP-Star(Pharmacia製)で検出した。
【0091】(実施例5)放射性標識プローブを用いた平均テロメア長の測定(1)二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカー及びPCRプライマーの合成実施例4の(1)と同様にして、リンカー(配列番号1及び2)およびPCR用プライマー(配列番号3及び4)を、DNAシンセサイザー(Pharmacia Biotech製)を用いて合成した。
【0092】(2)TRF平滑末端の取得実施例1で得た皮膚擦過屑片から得られたDNAをHinfI(宝酒造製)を用いて37℃で3〜4時間処理し、付着末端と突出末端とを有するDNA断片を得た。上記(1)で得た付着末端と突出末端とを有するDNA断片(TRF)のサブテロメア側に、以下の配列 5' AATCCGTCGAGCAGAGTTC 3' 3' TTAGGCAGCTCGTCTCAAGTGA 5' (配列番号1)
を有するリンカーSを結合させた(図2参照)。
【0093】ついで、このサブテロメア側平滑末端化したTRFのテロメア側の3'突出末端にリンカーT(図2参照)を咬ませた後、DNAポリメラーゼでエンドフィリングし、下記のテロメア側末端を有するTRF平滑末端を得た。このリンカーTの中には、後述するPCR増幅工程用のプライマーの塩基配列を含めておく。
…GGTTAGGGTTAG 3'…CCAATCCCAATC 5'
【0094】DNA Ligation Kit ver.1(宝酒造製)を用いてDNA連結させた。両端を平滑末端化したTRFサンプルをマイクロチューブに入れ、DNA Ligation Kit ver.1(宝酒造製)を用いて、常法に従ってインキュベーションした後に、このマイクロチューブに等容のフェノールを加え、ついで、4容の氷冷エタノールを加えて沈殿させ、平滑末端断片を分離した。
【0095】(3)増幅この平滑末端断片を鋳型として、実施例4の(1−2)で合成したTSプライマー(センスプライマー、配列番号3)とCXプライマー(アンチセンスプライマー、配列番号4)とを用いて、サーマルサイクラーPC-800(Astec製)にて、以下の組成のPCRミックス中でPCRを行った。20mM Tris-HCl(pH8.3)、68mM KCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA 、1.05% Tween20、5μg ITAS(テロメラーゼアッセイ内部標準品)、0.1μg TSプライマー(宝酒造製)、0.5μM T4 gene 32 protein(Boehringer Mannheim)、50μM dNTPs、2U Taqポリメラーゼ(宝酒造製)、4μCi [α-32P]dCTP(Amersham製)、0.1μg CXプライマー、PCR用Wax(GIBCO/BRL製)を含むPCR用反応ミックスを調製した。
【0096】CXプライマーはワックスによってチューブの底に隔離し、その上に他の成分を含む反応ミックスを重層した。この反応ミックスの総容量は80μLとした。サーマルサイクラーPC-800(Astec製)を用いて、94℃40秒/50℃40秒/72℃50秒を1サイクルとして32サイクル、PCRを行った。
【0097】(4)増副産物の泳動分離と検出(4−1)増副産物の分離と検出上記(3)で増幅した増幅産物を処理して、皮膚由来のDNAから得たTRFをアガロースゲル電気泳動して分画した。マーカーには、1kbのDNA ladder(BioRad製)を使用した。実施例3で電気泳動したテロメア含有DNA断片などをゲルトランスブロッター(Bio Rad製)を用いて、ニトロセルロースメンブランフィルター(OPTITRANBA-S、Schleicher & Schuel製)に転写した。このフィルターに、0.2μg/mLの放射性標識プローブを結合させた。
【0098】(4−2)平均テロメア長の検出上記(4−1)のようにして得られたエレクトロフォログラムを、デンシトメトリー(NIH Image 1.59)で解析して、Molecular Imager(BioRad製)に取り込み、下記の式(1)に従ってマスセンターを算出した。
MCav=Σ( MWi×FIi)/Σ( FIi) …式(1)
ここで、MCavはマスセンターを表し、MWは同時に電気泳動を行ったマーカーDNAより求めるDNA長である。FIは蛍光強度を、また、Iはバンドの位置を表す。
【0099】測定した、頬骨頂部上、眼より下でオトガイ部より上の部位(以下、頬骨頂部上以外の顔の部分という)、および臀部の皮膚擦過屑片から得られたDNAの平均テロメア長をTRFの平均値±標準偏差(kb)として表1に示す。
【0100】
【表1】


【0101】表1から明らかなように、いずれの部位の平均テロメア長も年齢が高くなるにつれて短くなっていた。また、頬骨頂部上の平均テロメア長を除き、年齢に比例して平均テロメア長の標準偏差(SD)が大きくなっていた。さらに、頬骨頂部上の平均テロメア長の短縮がもっとも大きかったが、SDの増加は小さかった。また、臀部のテロメアの短縮がもっとも緩慢であった。さらに、平均テロメア長を見ると、頬骨頂部上<頬骨頂部上以外の顔の部分<臀部となっていた。
【0102】上記の結果より、(1)年齢とともに、いずれの部位の皮膚のテロメアも短縮すること(2)皮膚のテロメアの短縮の程度は、年齢が高くなるにつれて個人差が大きくなること(3)顔のどの部分でも同様なテロメアの短縮を起こすのではないこと
【0103】(4)頬骨頂部上ではテロメア短縮のバラツキが少なく、特定の部位を選択することで皮膚の老化度の良い指標とすることができること(5)平均テロメア長の短縮の程度から、臀部は光老化をあまり受けていないことが示唆されること(6)臀部の平均テロメア長は同一個人の加齢に伴う皮膚の老化度を計測する場合の良好な基準にできることが明らかになった。
【0104】(実施例6)高比活性放射性標識プローブの作製(1)テロメア検出用プローブとテンプレートの作製テロメアを以下のように作製した。5'末端標識をせず、後の工程で制限酵素によってテロメアと切り離すことができる、テロメアをDNA合成するためのプライマー5' CACGTGCTCGAGCCC 3' (配列番号14)
を、DNAシンセサイザー(Pharmacia Biotech製)で合成した。また、テンプレート3' GTGCACGAGCTCGGG(CCCAAT)4TCTAATCTGA 5' (配列番号15)
も上記プライマーと同様に合成した。
【0105】(2)テロメア検出用プローブの合成6.7mMのMgCl2と1mMの2-メルカプトエタノールとを含有する67mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)に、20μMの上記(1)で合成したプライマー及びテンプレートと、5'-AGATTAGACT-3'の配列を有するオリゴヌクレオチド、33μMの[α-3H]dGTP、22μMの[α-3H]dTTP、及び11μMの[α-3H]dATPを、大腸菌のDNAポリメラーゼIの大断片であるKlenow断片(宝酒造製)0.37ユニットとを含む溶液10μL(pH7.4)中で混合し、10℃で60分間反応させた。5'-AGATTAGACT-3'の配列を有するオリゴヌクレオチドで挟むことによって、後の工程で使用するテロメア検出用プローブをPCR増幅することができる(図4参照のこと)。図4中、14は配列番号14のオリゴヌクレオチドを表し、15は配列番号15のオリゴヌクレオチドを表す。また、SmaI及びHindIIIはそれぞれの制限酵素の切断部位と、これらの認識部位とを表す。
【0106】この標識生成物を、ゲルろ過カラムであるQuick Spin Column Sephadex G-25(Boehringer Mannheim製)と、10mMのトリス緩衝液(pH8.0)-20mMのKClとを用いて精製した。ついで、10mMのトリス緩衝液(pH8.0)-20mMのKCl中で制限酵素SmaI(宝酒造製)を6ユニット/10μLに添加し、30℃で40分間反応させた。
【0107】この制限酵素消化物をさらに、Chroma Spin-10カラム(Clontech製)と、ポリアクリルアミドゲル電気泳動とを用いて上記と同様に精製し、さらに制限酵素HindIII(宝酒造製)でDNA切断し、この制限酵素消化物を7Mの尿素存在下で同様に精製した。このようにして精製された放射性標識プローブを、液体シンチレーションカウンターで計測した結果、2〜7×107cpm/pmolという放射能の比活性が得られた。
【0108】この値は、従来の[γ- 32P]dATPによる末端標識プローブの1〜3×106という比活性に比べて最低6倍、最高では20倍以上となった。したがって、この放射性標識プローブを用いると、アガロースゲル電気泳動に供するTRFの量を従来のプローブを用いた場合の1/6〜1/20まで減少させることができる。このため、顔の皮膚等、特に痕跡を残さずに皮膚の老化度を測定したい場合、又はごく少量の皮膚擦過屑片しか得られない場合等に有用である。
【0109】
【発明の効果】本発明の方法によれば、少量のDNAを用いて迅速かつ正確に、皮膚の老化度を測定することができる。また、本発明においては放射性標識を使用しないか、または少量の放射性標識を使用することにより、迅速かつ安全に高感度で皮膚の老化度を測定することができる。
【0110】
【配列表】配列番号:1配列の長さ:19塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状アンチセンス:No配列の種類:他の核酸 合成DNA配列:AATCCGTCGAGCAGAGTTC 19TTAGGCAGCTCGTCTCAAGTGA
【0111】配列番号:2配列の長さ:19塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:No配列:CCCTTACCCTTACCCTTACCCTAA 24GGGAATGGGAATGGGAATGGGATT
【0112】配列番号:3配列の長さ:18塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:No配列:AATCCGTCGA GCAGAGTT 18
【0113】配列番号:4配列の長さ:24塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:Yes配列:TAACCCTAAC CCTAACCCTA ACCC 24
【0114】配列番号:5配列の長さ:18塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:No配列:TTAGGGTTAG GGTTAGGG 18
【0115】配列番号:6配列の長さ:24塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:No配列:TTAGGGTTAG GGTTAGGGTT AGGG 24
【0116】配列番号:7配列の長さ:30塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:No配列:TTAGGGTTAG GGTTAGGGTT AGGGTTAGGG 30
【0117】配列番号:8配列の長さ:36塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:No配列:TTAGGGTTAG GGTTAGGGTT AGGGTTAGGG TTAGGG 36
【0118】配列番号:9配列の長さ:12塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:Yes配列:TAACCCTAAC CC 12
【0119】配列番号:10配列の長さ:18塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:Yes配列:TAACCCTAAC CCTAACCC 18
【0120】配列番号:11配列の長さ:24塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:Yes配列:TAACCCTAAC CCTAACCCTA ACCC 24
【0121】配列番号:12配列の長さ:30塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:Yes配列:TAACCCTAAC CCTAACCCTA ACCCTAACCC 30
【0122】配列番号:13配列の長さ:36塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:Yes配列:TAACCCTAAC CCTAACCCTA ACCCTAACCC TAACCC 36
【0123】配列番号:14配列の長さ:15塩基配列の型:核酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:No配列:CACGTGCTCG AGCCC 15
【0124】配列番号:15配列の長さ:39塩基配列の型:核酸鎖の数:二本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNAアンチセンス:Yes配列:GTGCACGAGC TCGGGCCCTA ACCCTAACCC TAACCCTAA 39
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラスプを表す図である。
【図2】TRFの構造を示す図である。
【図3】顔における皮膚擦過屑片の採取部位を示す図である。
【図4】テロメア検出用プローブの作製を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 皮膚擦過屑片から抽出したDNAを制限酵素処理して得た1つの付着末端とテロメア特有3'突出末端とを有する断片の両末端を末端修飾によって平滑末端断片とする工程と、前記平滑末端断片の両端にリンカーを結合させた後にPCRで増幅する工程と、得られた少なくともテロメア全配列を一部に含む増幅産物を泳動分離しその分布から平均テロメア長を標識プローブで検出する工程とを備える、皮膚の老化度の測定方法。
【請求項2】 前記制限酵素が、HinfI、MspI/HpaII、およびRsaIからなる群から選ばれる制限酵素であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚の老化度の測定方法。
【請求項3】 前記平滑末端断片が、前記付着末端の一方と相補的な付着末端を有する二本鎖オリゴヌクレオチドからなるリンカーを前記付着末端と結合させ、かつ、前記突出末端を有する断片の突出末端の3'側から6〜24塩基の配列に相補的な5'-CCCTAA-3'の反復配列を含む一本鎖オリゴヌクレオチド部分の5'側に二本鎖の3〜12塩基対のオリゴヌクレオチドを連結させ、これをプライマーとしてDNAポリメラーゼで両端が平滑末端の二本鎖オリゴヌクレオチドとして得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の皮膚の老化度の測定方法。
【請求項4】 前記増幅工程で用いるセンスプライマーとアンチセンスプライマーとが、前記の二種のリンカーに各々含まれるヌクレオチド配列を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚の老化度の測定方法。
【請求項5】 皮膚擦過屑片から抽出したDNAを制限酵素処理して得たテロメア含有DNA断片を、放射性同位体、蛍光化合物及び化学発光化合物からなる群から選ばれる標識で標識されたテロメア検出用標識プローブで検出する皮膚の老化度の測定方法。
【請求項6】 前記標識プローブが、標識プローブとしての5'(TTAGGG)n3'および/または5'(TAACCC)n 3' (nは3〜5の整数を表す)と相補的な塩基配列と前記塩基配列に隣接する制限酵素認識配列とを有するテンプレート、当該制限酵素認識配列を含むプライマー、および[α-3H]dNTPを少なくとも含有する基質にDNAポリメラーゼを作用させて反応産物を得、当該反応産物に当該制限酵素を作用させて得られることを特徴とする、請求項5に記載の皮膚の老化度の測定方法。
【請求項7】 皮膚擦過屑片採取用器具と、DNA抽出用溶液とを含むチューブとの少なくとも2つを含み、請求項1〜6のいずれかに記載の方法を実施するための皮膚の老化度測定用キット。
【請求項8】 ソーンを植え込んだ様式の頭部と、当該頭部と連結された把持部とを含むラスプを皮膚擦過屑片採取用器具とすることを特徴とする、請求項7に記載の皮膚の老化度測定用キット。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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