説明

皮膚検知のための静電容量型センシング方法及び装置

皮膚科治療装置における皮膚近接センサ及び方法が開示される。ベゼル又は同様の表面と、例えば窓又は同様のポートのような当該ベゼル又は表面を通して皮膚科治療を与えるべくアクティブ化が可能な治療ソースとを含む。いくつかの実施例では遠隔配置されたコンデンサをもたらす複数の接触部、又は他の実施例では複数の静電容量型センサがベゼルの中又は下であって窓のまわりに配置される。複数のコンデンサに接続された制御回路が皮膚に起因する静電容量の変化をセンシングして、皮膚の近接がセンシングされない限り皮膚科治療装置のアクティブ化が抑制される。例えば、静電容量の変化を示す充放電回数の変化を測定することにより、皮膚の存在が検知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚科治療のための皮膚接触センサを含む装置及び方法に関する。より詳しくは、ヒトの皮膚の近接を検知する皮膚科装置の静電容量型センサに関する。
【0002】
関連出願
本願は以下の米国特許出願の利益に関連し、かつ当該利益を主張する。当該米国特許出願のすべては本出願人が所有し、参照として完全に組み込まれる。
2004年2月19日出願の米国特許出願第10/783,603号(発明の名称:「Eye-Safe Dermatologic Treatment Apparatus And Method」、発明者:Robert E. Grove、Mark V. Weckwerth、及びTobin C. Island);2004年2月19日出願の米国特許出願第10/783,607号(現在、本出願人の米国特許第7,118,563号、発明の名称:「Self-Contained, Diode-Laser-Based Dermatologic Treatment Apparatus and Method」)の継続出願である2006年10月10日出願の米国特許出願第11/545,963号;2004年2月19日出願の米国特許出願第10/783,880号(現在、米国特許第7,250,045号、発明の名称:「Self- Contained Eye-Safe Hair-Regrowth-lnhibition Apparatus And Method」、発明者:Tobin C. Island、Robert E. Grove、及びMark V. Weckwerth)の分割出願である2007年7月27日出願の米国特許出願第11/829,747号;2004年2月25日出願の米国特許出願第10/787,720号(発明の名称:「Optical Sensor and Method for Identifying the Presence of Skin」);2004年3月5日出願の米国特許出願第10/794,504(発明の名称:「Method and Device for Sensing Skin Contact」);及び2007年8月8日出願であり発明の名称及び発明者が本願と同じである米国仮特許出願第60/954,682号。次に、上記特許出願は以下の仮特許出願の1つ以上の利益を主張し、これらもまた参照として組み込まれる。米国仮特許出願第60/451,091号(2003年2月28日出願);第60/456,379号(2003年3月20日出願);第60/458,861号(2003年3月27日出願);第60/472,056号(2003年5月20日出願);第60/450,243号(2003年2月25日出願);第60/450,598号(2003年2月26日出願);第60/452,304号(2003年3月4日出願);第60/451,981号(2003年3月4日出願);第60/452,591号(2003年3月6日出願);及び第60/456,586号(2003年3月21日出願)。これらのすべては本出願人が譲受している。
【背景技術】
【0003】
多くの皮膚治療装置では、安全上及び/又は効率上、当該装置のアクティブ領域と当該皮膚との接触が必要となる。
【0004】
例えば、光を用いた除毛システムにおいては、当該光エネルギーが皮膚と接触する透明表面を介して送られるのが通例である。当該システムでは、装置のアクティブ領域が発光表面であり、当該表面と当該被治療皮膚の領域との接触が、治療領域への光の良好な伝達確保の目的と、さもなければ当該装置の目の安全性に応じて目の障害をもたらしかねない迷走光をなくして目の安全を促進する目的との双方にとって望ましい。同時に、発光表面を皮膚に押し当てて当該皮膚を相当程度変形させる必要がないシステムを得ることが望ましい。
【0005】
皮膚接触が必要な治療装置の他例には、(1)皮膚冷却は不要だが迷走光防止用接触バッフルを有する紫外線イルミネータのように光の漏れを防止するためにのみ接触が必要な装置、又は(2)皮膚への直接伝導により熱パルスを送る熱ヒータのように動作メカニズムのためにのみ接触が必要であり光の漏れを防止する必要はない装置が含まれる。皮膚接触を含む他の皮膚科装置及び方法には、しわ取りのような超音波及び高周波アプリケーションが含まれる。超音波ジェル、オイル、水、又は屈折率整合流体のような界面材料を介して皮膚接触を与える皮膚科装置及び方法もある。なお、当該装置及び方法はそれでも、当該アプリケーションを目的として皮膚接触が行われるとみなされている。
【0006】
上記装置に顕著な問題は、操作者が当該装置のアプリケータに、皮膚に対して実質的には垂直でないように角度をつけ又は傾斜させることにある。これは、アクティブ領域の表面全体が皮膚に接触しないという状況を引き起こす。このため、効率の目的を達成することができない。また、さもなければ目に安全とはならない装置にとっての目的も達成することができない。
【0007】
光を用いる装置の他の問題は、発光表面が、例えばメガネとではなく、治療にふさわしい表面と接触していることを確保しなければならない点である。典型的な接触センサは、アプリケータが人間のメガネに当てられると、確実な接触を検知するのが一般的である。このため、当該目に直接発光される可能性が生じ、多くの装置では重傷又は失明につながる。類似の状況は、家庭の窓ガラス又は他の類似の透明表面でも生じる。これにより、接触センサは、当該窓との接触を検知して周囲環境へ光を放射する危険性がある。したがって、皮膚科接触センサがメガネ又は類似の表面によってではなく、好ましくは治療にふさわしい表面によってのみアクティブにされることが望ましい。
【0008】
従来技術を検討すると、既存の装置及び方法には重大な欠点が存在することがわかる。特に、既存の設計は、装置アプリケータが角度をもって当てられると皮膚を適切に検知しないという上述の問題を解決していない。危険な発光の防止を試みる様々な機械システムが存在する一方、ほとんどの機械装置は、複雑であり、高コストであり、信頼性がない等の欠点がある。静電容量型センシングの鍵となる利点は、皮膚との直接の電気的接触が不要なので静電放電(ESD)障害に対して本来的に遮へいされることである。静電容量型センシングに限られないが、静電容量型センサのセンサを、薄く電気的に絶縁性の誘電材料によって絶縁することができる。
【0009】
したがって、皮膚接触を検知して装置のアクティブ領域全体にわたる皮膚接触も確保する皮膚治療装置のための実用的な接触センサが明確に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0206103(A1)号明細書
【0011】
皮膚治療装置の接触センサの上述及び他の問題点及び欠点が、静電容量型皮膚センシング構造を含む皮膚科治療装置という本発明により克服される。静電容量型センシング構造により、皮膚が検知されたときにのみ関連治療ソースをアクティブにすることができる。また、当該治療ソースのアクティブ領域は治療領域に適切に接触する。一実施例では、静電容量型センシング構造は、治療領域周縁に配置された例えば3つのような複数のセンサを含む。各センサは、平行板コンデンサの1つの電極を形成する平面金属領域である。第2の電極は皮膚の対応領域によって形成される。アクティブ領域まわりにセンサを適切に配列することにより、静電容量型センシング構造が皮膚と接触すると、ユーザは、皮膚の変形が不要であっても当該治療装置のアクティブ領域もまた皮膚と接触していることを確信できる。皮膚がセンシング構造に対して並置されることにより、センシング構造の静電容量が区別可能な特性を伴って変化する。その結果、当該差異を関連制御回路が検知することができる。静電容量の当該変化が検知されると、制御回路は治療ソースをアクティブにする。それにもかかわらず、当該表面に対する他材料の並置はセンサの静電容量を適切に変化させないので、関連制御回路が治療ソースをアクティブにすることはない。
【0012】
一実施例では、治療ソースは、電磁放射ソースを含み、当該治療ソースのアクティブ領域は窓を含み、当該窓を介して電磁放射が発射される。電磁放射ソース及び皮膚科治療は発毛を抑制するべく構成することができる。当該実施例では、電磁放射ソースのアクティブ化は、皮膚との接触が当該皮膚の変形が不要のままセンサによりセンシングされない限り抑制を受ける。
【0013】
皮膚科治療装置の他実施例では、治療ソースは、以下の治療のために構成された電磁放射ソースであることが考えられる。すなわち、にきび治療、光若返り(photorejuvenation)、しわ取り、色素沈着除去又は色素再沈着のような治療である。また、静電容量型センシング構造による皮膚との接触がセンシングされない限り、電磁放射ソースのアクティブ化が抑制される。
【0014】
本発明のさらなる実施例では、治療装置のアクティブ領域は、当該アクティブ領域に対して実質的に平坦な表面を形成するベゼルで囲まれる。静電容量型センサは、ベゼルの後ろに保持されるが、当該ベゼルの十分近くに近接するので皮膚の存在をセンシングすることができる。当該実質的に平坦な表面により、アクティブ領域と皮膚との良好な接触が、当該皮膚の変形なしで可能となる。他実施例では、アクティブ領域をベゼル表面の前に配置することができる。静電容量型センサ構造の感度は、皮膚の変形なしで治療ソースをアクティブにするべく構成することができる。さらなる他実施例では、アクティブ領域を皮膚センシング構造から十分前方に配置することができる。これにより、静電容量型センサは、皮膚の変形が必要となった後に治療ソースをアクティブにする。他実施例では、皮膚接触センサの数は1から6以上まで様々である。
【0015】
他実施例は、アクティブ領域が皮膚に近接した場合にのみアクティブにされる静電容量型皮膚センサを含み、当該皮膚との任意の接触が望ましくない処置のために使用することができる。本発明のさらなる他実施例では、センサは、例えば直径1ミリメートルの微小な導電接触領域のみである。各センサは、関連する遠隔配置された固定コンデンサに電気的に接続される。一実施例では、1つのコンデンサは、各接触領域に関連付けられるが、当該1対1の対応が必ずしもすべての実施例で用いられるわけではない。
【0016】
本発明によれば、皮膚接触構造と、当該皮膚接触構造を通して皮膚科治療を与えるべくアクティブにされ得る治療ソースとを有する皮膚科治療装置において皮膚接触センサを与えるための方法は、複数の静電容量型センサを治療ソースのアクティブ領域の周縁に配置するステップと、当該複数のセンサからの信号により皮膚の存在が示されない限りは前記治療ソースのアクティブ化を抑制するステップとを含む。本方法は、当該アクティブ領域を当該複数のセンサとともに、当該皮膚の変形が不要となるように構成するステップをさらに含む。また、その代わりに、当該アクティブ領域を当該センサに対して前記皮膚の変形が必要となるように構成するステップを含むことができる。
【0017】
したがって、本発明の目的は、皮膚科治療装置での使用に適した皮膚接触センサ及び方法を与えることにある。
【0018】
本発明の他の目的は、皮膚接触センサが当該装置内での治療ソースのアクティブ化を、対応表面との接触がセンシングされない限りは抑制する皮膚科治療装置のための皮膚接触センサ及び方法を与えることにある。
【0019】
本発明のさらなる目的は、皮膚接触センサを有する皮膚科治療装置を与えることにある。当該皮膚接触センサは、皮膚接触構造の周縁に配置された複数のセンサと、当該複数のセンサに接続されて当該皮膚が存在しない限りは当該装置内の治療ソースのアクティブ化を抑制するべく構成された回路とを含む。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、皮膚科治療装置で使用するための皮膚接触センサ及び方法を与えることにある。ここで、複数のセンサが治療窓のまわりに配置され、当該複数のセンサは、当該治療装置の使用中に皮膚の変形が不要となるように皮膚接触表面に対して配置される。
【0021】
本発明のなおもさらなる目的は、皮膚科治療装置における皮膚接触センサの構成及び方法を与えることにある。ここで、3つ以上のセンサが治療窓のまわりに配置され、当該治療窓の皮膚接触表面がベゼルと実質的に共通平面とされる。
【0022】
本発明に係るこれら及び他の目的、利点、及び特徴が、以下の本発明に係る所定の好ましい実施例の詳細な説明及び添付の図面を考慮することで容易に理解できる。
【0023】
なお、上述の関連出願に注目すること。当業者であれば、当該出願に開示された側面及び特徴を、本明細書に記載された接触センサ装置及び方法とともに使用するのに適するように構成できることが理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明により使用される治療装置の一実施例の側面図である。
【図2】図1の装置の一部の分解斜視図である。治療ソースの実施例が静電容量型皮膚センサ構造とともに示される。
【図3】図1−4の静電容量型センシング構造を示す。関連リボンケーブルが含まれる。
【図4】図2に示されるバレル及び関連要素の斜視図である。治療装置の静電容量型センサ構造及びアクティブ領域が含まれる。
【図5】図3のサブアセンブリの側面図である。静電容量型センサ構造と制御回路とを接続するリボンケーブルが示される。
【図6】光源すなわち治療ソースをアクティブにする制御回路と組み合わされた静電容量型センシング構造の動作を示す概略ブロック図である。
【図7】遠隔コンデンサ及び小さな皮膚センサを含む静電容量型センシング構造の動作を示す概略ブロック図である。
【図8】本発明のいくつかの実施例とともに用いられるキャリブレーション処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1及び2をまず参照すると、図1には、本発明とともに用いることができる皮膚科治療装置が示される。図2には、治療ソース及びこれと一体化される静電容量型皮膚センサの詳細図が示される。すべての実施例において必ずしも必要というわけではないが、典型的な実施例では、本発明は治療装置内に一体化される。明確性のため、当該一体化装置が図面にて示され以下に説明される。加えて、図示され以下に説明される装置は除毛又は減毛を目的とする光を使用するが、当該構成は単なる例示である。本発明を用いる装置は、にきび治療装置、色素再沈着装置等を含むことができる。また、他の波長の放射を含む異なるタイプの治療ソースを使用することができる。さらに、図1に示される装置はハンドヘルド、自立式、及びポータブルであるが、本発明はこれに限られない。これらの特徴を有しない又はいくつかのみ有する装置とともに用いることができる。
【0026】
図1の装置では、治療装置10は、ハウジング15、バッテリ20、制御回路25、ヒートシンク30、及びバレル40を含む。ヒートシンク30には治療ソース35(図2)が取り付けられる。治療ソース35は、例えば1つ以上のレーザダイオード35Aを含む。レーザダイオード35Aは特定のタイプの治療に適した波長を有する。バレル40は、ヒートシンクの前に固定されて治療ソースと整合される。ベゼル45が、図2に良好に示されるアクティブ領域を取り囲む。ベゼル45は例えば、治療ソース35と光学的に連通する窓50を含む。図示の実施例では、ミキサ55及びディフューザ60がバレル40内に保持される。図示の特定の設計では、ディフューザ、治療ソース、及び残りの要素は、網膜障害の点で目に安全となるように構成される。ただし、本発明は目に安全な構成に限定されない。
【0027】
加えて、特に図2及び3に示されるように、静電容量型センシング構造65は、バレルの前に配置される。静電容量型センシング構造65は、窓50を実質的に取り囲むべく構成されたオリフィス80を含む。図示の実施例では、静電容量型センシング構造65は3つの静電容量型センサ70A−Cを含む。静電容量型センサ70A−Cは窓50のまわりに実質的に等辺に配置される。ただし、他実施例は1つ以上のセンサを有することができる。また、必ずしも窓50の周縁に等角に配置される必要はない。図4及び5に最も良好に示されるように、リボンケーブル75又はピグテールがセンサ70A−Cを制御回路85に接続する。窓50と、オリフィス80と、静電容量型センシング構造65の残りとの関係は、図4の斜視図から良好に理解できる。
【0028】
アーチファクト信号の発生を防止するべく、いくつかの実施例では、リボンケーブル75は、汚染物が内部導電トレースに近接して配置されることを回避するべく十分な厚さのポリイミドベース層及びポリイミドカバー層を含む。リボンケーブルがセンサ70A−Cの動作に影響を与えるほどの漂遊容量をもたらすことのないよう十分な絶縁層を与えることが必要な場合、いくつかの実施例では、0.0254から0.254ミリメートル(1000分の1から10インチ)又はそれ以上の範囲のポリイミド厚さを使用することができる。
【0029】
図4及び5から、ベゼル45が窓50と実質的に共通平面にあることがわかる。これにより、ベゼルと窓との組み合わせが平坦な表面を与え、ターゲット領域の皮膚の変形なしで装置の動作が可能になる。しかし、代替実施例では、センサ70A−Cと窓50との相対的位置を、ベゼル45の形状とともに調整することができる。これにより、ベゼル及び窓が共通平面にない場合であっても、装置は皮膚の変形なしで動作できる。同様に、当該相対配置はまた、治療ソースをアクティブ化するべく皮膚の変形を必要とするように構成することもできる。さらに、皮膚接触が望ましくない場合のようないくつかの実施例では、センサ70A−Cは、近接センサとして動作するべく配置することもできる。これにより、装置は、ベゼル45と皮膚との接触なしで動作できる。図1−5に示される実施例では、ベゼル45は典型的に、センサ70A−Cがベゼルの裏と接触するように配置される。ただし、これはすべての実施例に当てはまるわけではない。図示の実施例では、ベゼル、又はセンサ70A−Cの上方に配置される当該ベゼルの少なくとも先端部分は、例えば、公称厚さが0.38±0.05mm(0.015”+/−0.002”)及び誘電率が2.95のパンライト(登録商標)L−1225Lのようなポリカーボネートで作ることができる。その代替として、当該先端部分を、他の材料のうち、例えばGEサイコロイ(登録商標)C6200のような誘電率が2.8のポリカーボネート/ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)ブレンドから作ることもできる。さらなる代替として、当該先端部分を、誘電率が2.7のサイコラック(登録商標)GPM550のようなABS、又は誘電率が3.3のスミペックス(登録商標)のようなアクリル材料から作ることもできる。しかし、アクリル材料には脆性のものがあるので、かかる場合は少なくともいくつかの実施例では望ましくない。なおもさらなる代替として、誘電率が3.8のデルリン(登録商標)900Pのようなアセタールがある。
【0030】
次に図6を参照すると、静電容量型センサ及び関連制御回路を含む電気回路を良好に理解することができる。各センサ70A−Cは、静電容量型センサ及び信号処理回路600に信号を与える。信号処理回路600は、当該センサの静電容量の変化を検知し、回路600に設定されたしきい値に応じてマイクロコントローラ605へ皮膚が検知されたことを知らせる。当業者であれば理解できることだが、センサ70A−Cは、少なくともいくつかの実施例において、2つの端子を接地して第3の端子で測定された充電量又は放電量の変化を検知することによりセンシングされる。加えて、センサは構成に応じて順次又は一度にセンシングされてもよい。ただし、現在好ましい構成では、センサは順次センシングされる。一実施例では、静電容量型センサ構造600はフリースケール(登録商標)社製のカスタマイズされたMC9S08QD4CSCマイクロコントローラであり、マイクロコントローラ回路605はマイクロチップ(登録商標)社製のP18LF452−I/PTである。なお、図6においては回路600がマイクロコントローラ(及び関連回路)605と別個に示されるが、当業者であれば、回路600の機能をマイクロコントローラ605でも実行し得ることがわかる。したがって、多くの実施例では、回路600及びマイクロコントローラ605は1つのユニットとして一体化される。次に、マイクロコントローラ605は光源回路610に制御信号を与える。光源回路610は、光源615に電力を供給する。
【0031】
図1に示される治療装置に対し、一実施例では、マイクロコントローラ605が治療ソース又は光源35をアクティブにする前にセンサ70A−Cのそれぞれで皮膚が検知されるのが好ましい。しかし、いくつかの実施例では、3つの検知器すべてが皮膚をセンシングする必要はない。この場合、マイクロコントローラは、所定数のセンサでの皮膚の検知に応じて動作するべくプログラムされる。
【0032】
図7は、センサの代替実施例を示す。ここで、図1のパッド70A−Cは、ベゼル710を通って延びて導体730A−Cにより遠隔固定コンデンサ720A−Cに電気的に接続される微小センサ700A−Cで置換される。微小センサ700A−Cは一実施例では金属であるが、他実施例では他のタイプの低インピーダンス導電材料であってよい。この実施例では、遠隔固定コンデンサ内の絶縁誘電材料により与えられるESD遮へいを維持しながら静電容量型センシング構造を全体的に小さくできる。この実施例の微小センサは、皮膚と電気的に接触する必要がない。その代わりに、少なくともいくつかの実施例において、センサ上の酸化物層等の偶発的な膜又は死んだ若しくは脱水状態の皮膚の層が皮膚からセンサを完全に又は部分的に絶縁する。皮膚とセンサとの間で十分に低い抵抗の接触が図れない場合であっても、センサと皮膚との間の相対的に薄い偶発的な膜に起因して皮膚とセンサとの間には有効に大きな静電容量が存在する。この大きな静電容量は当該相対的に小さな遠隔コンデンサと直列になる。このため、このセンサ静電容量が遠隔静電容量の測定に影響を与えることがない。この構成の付加的な特徴は、センサ700A−Cへの皮膚の近接を検知する所望の感度を与えるべく遠隔コンデンサ720A−Cの誘電率を調整できることである。図7から理解できるように、図7に示される残りの機能は、機能レベルにおいて図6の機能と実質的に同じである。このため、同じ要素には同じ参照番号を付す。ベゼル表面からある程度遠隔した場所にコンデンサ720A−Cを配置できることにより、増大した感度を与え得る大きなコンデンサを使用することができる。この構成はまた、静電放電に対する保護設計を可能とする。コンデンサを遠隔配置することにより、端子間に十分な距離を有するコンデンサの使用して一端子と他端子とのアーク放電を回避することができるからである。
【0033】
いくつかの実施例では、センサのキャリブレーションを行うことが望ましい。センサの感度は装置ごとにある程度異なり得るからである。このキャリブレーションは、図8に示されるように製造中に実施することができる。ステップ800では、開放空気中の基準静電容量が測定される。次に、既知かつ反復可能な特性でヒトの皮膚を複製するツールを使用して、810においてセンサが当該ツールに対して配置される。これにより、静電容量の変化が得られ、820において測定される。開放空気と皮膚への直接接触との間の静電容量の変化により、その後830に示されるように、当該特定のセンサの特性を確立するべく用いられる範囲が得られる。
【0034】
なお、当業者であれば、本発明から逸脱することなく多数の代替例及び均等例を実施することができる。いくつかの例では、様々なセンサの幾何形状を使用することができる。センサの数、センサの有効サイズ、装置のアクティブな皮膚接触表面から凹んだセンサまでの距離、及び他の同様な構成を変更することが含まれる。本発明の一実施例では、図面に示されるように、各センサ70のアクティブ領域は5.08mm×3.81mm(0.200”×0.150”)[寸法]の微小さである。
【0035】
同様に、他のタイプのセンサ回路が使用できる。センサ出力は、純粋にハードウェア的に処理されてよい。または、装置は、様々な異なるソフトウェア及び/又はハードウェアアルゴリズムを用いて、例えば4つのボタンのうち3つが接触を示した場合に使用を許可するというように安全性、信頼性、又は有効特性を変化させてよい。加えて、回路は、センサからの信号を様々な付加的な目的のために比較することができる。例えば、接触表面を通しての熱流束を評価することができる。
【0036】
したがって、本発明の例示的図面及び詳細な実施例が説明及び図示されたが、本発明の範囲は説明に係る特定の実施例に限定されない。図示及び説明に係る実施例は、限定ではなく例示としてみなされる。本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0037】
加えて、上述された本明細書の好ましい実施例により実施できる方法では、動作が、選択された順序で説明されている。しかし、当該順序は選択されたものであるから、もっぱら明確性及び便宜性のために並べられたものであって、請求項に明示され又は当業者が必要と理解する場合を除いては当該動作を実施するべく任意の特定順序が要求されることを示唆するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を発する窓と、
前記窓を取り囲み前記窓と実質的に共通平面のベゼルと、
前記窓の周縁かつ前記ベゼルの下に配置された複数の静電容量型センサと
を含み、
前記静電容量型センサは、前記ベゼルと実質的に接触する皮膚の存在を検知することにより、前記静電容量型センサの少なくとも所定数が前記皮膚の存在を検知した場合にのみ前記光源が発光する皮膚科治療装置。
【請求項2】
前記ベゼルはプラスチックである、請求項1に記載の皮膚科治療装置。
【請求項3】
前記静電容量型センサの数は少なくとも3である、請求項1に記載の皮膚科治療装置。
【請求項4】
前記光源は、前記静電容量型センサの少なくとも2つが前記皮膚の存在を検知した場合にのみ発光する、請求項1に記載の皮膚科治療装置。
【請求項5】
前記光源は、前記静電容量型センサの少なくとも3つが前記皮膚の存在を検知した場合にのみ発光する、請求項3に記載の皮膚科治療装置。
【請求項6】
前記皮膚科治療は除毛である、請求項1に記載の皮膚科治療装置。
【請求項7】
前記皮膚科治療は皮膚の若返りである、請求項1に記載の皮膚科治療装置。
【請求項8】
前記皮膚科治療は皮膚のリサーフェシングである、請求項1に記載の皮膚科治療装置。
【請求項9】
出力を有する光源と、
前記光源からの光を発する窓と、
前記窓を取り囲むベゼルと、
前記窓の周縁に配置されて前記ベゼルを通して延びる複数の接触部と、
複数の静電容量部と、
コントローラと
を含み、
前記静電容量部の1つが各接触部に電気的に接続され、
前記コントローラは、関連する前記接触部での皮膚の存在によりもたらされる前記静電容量部の少なくともいくつかの値の認識された変化に応答し、
前記光源は、前記皮膚の存在が前記コントローラにより検知された場合にのみ発光する皮膚科治療装置。
【請求項10】
前記ベゼルはプラスチックである、請求項9に記載の皮膚科治療装置。
【請求項11】
前記接触部の数は少なくとも3である、請求項9に記載の皮膚科治療装置。
【請求項12】
前記光源は、前記静電容量部の少なくとも2つの前記変化が前記皮膚の存在を示す場合にのみ発光する、請求項9に記載の皮膚科治療装置。
【請求項13】
前記光源は、前記静電容量部の少なくとも3つの前記変化が前記皮膚の存在を示す場合にのみ発光する、請求項11に記載の皮膚科治療装置。
【請求項14】
前記窓及び前記ベゼルが実質的に共通平面である、請求項9に記載の皮膚科治療装置。
【請求項15】
非電導表面と、
前記表面に配置された複数の導電接触部と、
それぞれが前記複数の接触部の少なくとも1つに電気的に接続された複数の静電容量部と、
前記静電容量部に接続されて前記静電容量部での少なくともいくつかの変化に応答するコントローラと
を含み、
前記接触部が皮膚に近接すると前記静電容量部に変化が生じ、
前記コントローラは、前記皮膚が関連する前記接触部に近接して存在することを示す出力信号を生成する前記静電容量の変化皮膚検知装置。
【請求項16】
前記静電容量部の数は少なくとも3である、請求項15に記載の皮膚検知装置。
【請求項17】
前記非電導表面にはアパチャが通る、請求項16に記載の皮膚検知装置。
【請求項18】
前記アパチャは、自身を通る発光を許可する、請求項17に記載の皮膚検知装置。
【請求項19】
前記表面にはアパチャが通り、前記コントローラは、前記皮膚の存在が検知された場合に前記アパチャを通して光源が光を発することを可能とする、請求項15に記載の皮膚検知装置。
【請求項20】
前記コントローラが皮膚の存在を検知するべく皮膚と前記導電接触部との物理的接触が不要である、請求項15に記載の皮膚検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−535597(P2010−535597A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520342(P2010−520342)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/072722
【国際公開番号】WO2009/021225
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(505318905)トリア ビューティ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】