皺寄せプレートの製造方法及び皺寄せプレート
【課題】表面に形成される皺の形状を制御することのできる皺寄せプレートの製造方法及びこの製造方法により得られる皺寄せプレートを提供すること。
【解決手段】上面に凹凸の型押しがなされた未硬化状態の粘土5を、伸長させた状態のゴムシート4上面に重ねて載置する工程と、前記ゴムシート4を収縮させることにより、前記粘土5の少なくとも表面に皺2を寄せる工程と、前記粘土5を焼成することにより硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレート1aの製造方法とした。
【解決手段】上面に凹凸の型押しがなされた未硬化状態の粘土5を、伸長させた状態のゴムシート4上面に重ねて載置する工程と、前記ゴムシート4を収縮させることにより、前記粘土5の少なくとも表面に皺2を寄せる工程と、前記粘土5を焼成することにより硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレート1aの製造方法とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に複雑な皺形状を有する皺寄せプレートの製造方法に関し、特に、表面に形成される皺の形状を制御することのできる皺寄せプレートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1において、表面に複雑な皺形状を有するプレートの製造方法を開示している。
【0003】
この特許文献1によれば、伸長した状態のゴムシートの上面に粘土を載置し、さらに、この粘土の上面を、燃焼により除去可能な表面層で覆う。次に、ゴムシートを収縮させて粘土上面及び表面層に皺を寄せ、その後、この粘土を焼成すると共に表面層を燃焼により消滅させることにより、表面に複雑な皺形状を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。
【0004】
さらに、本出願人は、特許文献2において、伸長した状態のゴムシート上に粘土を載置した後、このゴムシートを途中まで収縮させて、この粘土の上面に、比較的うねりが小さい第1の皺を形成し、次に、この粘土を少し乾燥させてから、ゴムシートを更に収縮させ、この粘土の上面に、比較的うねりが大きい第2の皺を形成する皺寄せプレートの製造方法を開示している。かかる製造方法により、比較的うねりの大きい第2の皺の表面に比較的うねりの小さい第1の皺が形成されるため、表面により複雑な皺形状を有する皺寄せプレートを得ることができる。
【特許文献1】特開2004−261964号公報
【特許文献2】特開2006−7475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の発明は、比較的うねりの小さい第1の皺をゴムシートの収縮によって形成することとしているため、皺と皺との間隔や皺のうねり具合など、当該第1の皺の形状を制御することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、表面に形成される皺の形状を制御することのできる皺寄せプレートの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表面に凹凸の型押しがなされた未硬化状態の支持基盤を、伸長させた状態の伸縮機能材上面に重ねて載置する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法とした。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤上面に織布を張着することにより行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤上面に、予め凹凸を形成した型押し板を型押しすることにより形成することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程は、前記未硬化状態の支持基盤を半硬化させる工程と、前記伸縮機能材を途中まで収縮させて、当該半硬化状態の支持基盤の上面に第1の皺を寄せる工程と、前記伸縮機能材を更に収縮させて、前記支持基盤の上面に、前記第1の皺よりも大きな第2の皺を寄せる工程と、よりなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、予め凹凸を形成した凹凸シートを張着した未硬化状態の支持基盤を、伸長させた状態の伸縮機能材上面に重ねて載置する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、よりなることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記支持基盤は、粘土よりなることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、伸長させた状態の伸縮シートと、この伸縮シート上面に重ねて載置される未硬化状態の支持基盤との間に、収縮自在で、後処理により除去可能であり、且つ、表面に前記支持基盤に向かって凹凸形状を有する中間層を介在させる工程と、前記伸縮シートを収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法とした。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記支持基盤の表面を被覆材により被覆することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に記載の発明は、伸長させた状態の伸縮機能材の上面に、収縮自在で、後処理により除去可能な中間層を載置する工程と、この中間層の上面に、シート状の可撓部材を張着する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記可撓部材に皺を寄せる工程と、前記可撓部材の上面を未硬化状態の裏打ち材で被覆する工程と、前記未硬化状態の裏打ち材を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法とした。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、少なくとも表面に隆起による不規則な皺を連続的に多数形成するとともに、各皺の表面には、多数の微細な凹凸を形成し、多数の隆起による皺の隣接する間隔を、前記皺の膨大部より前記皺の底部が大となるように形成したことを特徴とする皺寄せプレートとした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、硬化した支持基盤の表面には、伸縮機能材の収縮による複雑な皺が多数形成されるとともに、形成された各皺の表面には、凹凸の型押しによる細かい皺が形成されることとなる。したがって、未硬化状態の支持基盤上面に予め所望の形状を有する凹凸の型押しを施すことにより、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、未硬化状態の支持基盤上面には、織布表面の凹凸形状が形成されることとなるため、所望の表面形状を有する織布を未硬化状態の支持基盤上面に張着することで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。しかも、未硬化状態の支持基盤を収縮させる際に、未硬化状態の支持基盤上面に張着された織布も同様に収縮されるため、支持基盤の表面に多数の皺を互いが当接することなく形成することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、未硬化状態の支持基盤上面に、予め凹凸を形成した型押し板を型押しすることとしたため、所望の凹凸形状を有する型押し板で未硬化状態の支持基盤上面を型押しすることで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、プレート表面に形成される皺の形状を制御しつつも、より複雑な形状の皺をその表面上に形成することが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、未硬化状態の支持基盤上面には、凹凸シート表面の凹凸形状が形成されることとなるため、所望の表面形状を有する凹凸シートを未硬化状態の支持基盤上面に張着することで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。しかも、未硬化状態の支持基盤を収縮させる際に、未硬化状態の支持基盤上面に張着された凹凸シートも同様に収縮されるため、支持基盤の表面に多数の皺を互いが当接することなく形成することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、支持基盤を粘土とすることにより、未硬化状態においては、伸縮機能材上面への載置及び当該伸縮機能材の収縮に伴う表面への皺の形成が可能であるとともに、乾燥或いは焼成により硬化させることができる。また、未硬化状態の粘土に織布を張着した場合、焼成することにより織布が消滅するため、当該織布の除去が不要となり、皺寄せプレートをより効率的に製造することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、未硬化状態の支持基盤下面には、中間層表面の凹凸形状が形成されることとなるため、所望の表面形状を有する中間層を伸縮シートと未硬化状態の支持基盤との間に介在させることで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。しかも、未硬化状態の支持基盤を収縮させる際に、未硬化状態の支持基盤の下面に載置された中間層も同様に収縮されるため、支持基盤の表面に多数の皺を互いが当接することなく形成することができる。また、未硬化状態の支持基盤の上面に、収縮自在で、後処理により除去可能であり、且つ、表面に凹凸形状を有する表面層を張着することにより、両面に所望の形状の皺が形成された皺寄せプレートを得ることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、例えば、硬化した支持基盤の表面を電波透過材で被覆することにより、電波吸収特性を維持しつつ、皺寄せプレート表面の形状を、当該プレートに形成された皺に影響されない所望の形状に形成することができる。すなわち、例えば、電波透過材で被覆することにより皺寄せプレートの表面を略平滑面とすれば、強度が増大するとともに、汚れの付着を防ぐことができるため、医療器具が電波の影響によって誤作動するのを防止する電波吸収遮蔽壁などに有効に適用することが可能となる。また、硬化した支持基盤の表面を発泡スチロールや発泡ウレタン等の発泡樹脂材料で被覆することにより、一般家屋の応接室やオーディオルームの防音壁としても用いることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、シート状の可撓部材に皺を寄せた後に、裏打ち材により当該可撓部材を裏打ちすることにより、可撓部材に形成された皺の形状を保持することができるとともに、所望の厚さの皺寄せプレートを製造段階で得る事ができ、事後的に不要な部分を取り除く作業を行う必要がないため、製造効率を高めるとともに製造コストを抑えることができる。また、可撓部材は可撓性を有するシート状の部材であればよいため、材料の選択の自由度が高く、様々な用途に合った皺寄せプレートを製造することができる。しかも、中間層は、再利用することができるため、皺寄せプレートをより低コストで製造することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、電波吸収性能に優れ、しかも、皺の表面に形成される多数の微細な凹凸の形状を制御することにより、所望の周波数の電磁波を吸収することのできる皺寄せプレートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(実施形態1について)
[1.皺寄せプレートの製造方法について]
以下に、本実施形態にかかる皺寄せプレートの製造方法について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。図1は本実施形態にかかる皺寄せプレートの製造工程を示した図であり、図2は本実施形態にかかる織布の構成を示す図であり、図3は図1(c)の段階における粘土5の表面近傍の拡大図であり、図4は図1(d)の段階における皺寄せプレートの表面近傍の拡大図である。
【0028】
本実施形態にかかる皺寄せプレートを製造する際は、先ず、図1(a)に示すように、支持基盤である粘土5を、伸縮性を有する伸縮機能材であるゴムシート4の上面に重ねて載置する。
【0029】
粘土5は、乾燥することにより硬化するものであり、図1(a)に示す段階においては、未硬化状態となっている。
【0030】
また、この粘土5は、澱粉や小麦粉などの有機物粉末と、無機物粉末として酸化鉄(Fe2O3)等の鉄化合物を含有している。これら有機物粉末及び無機物粉末は、還元焼成されて、それぞれ炭素(C)及び鉄(Fe)となる。すなわち、かかる焼成により、炭素及び鉄を含有する陶板が形成されることとなる。
【0031】
ここで、炭素及び鉄は電波吸収材料として機能するものであるため、これらを含有する皺寄せプレートの上面に入射した電波は、当該皺寄せプレートの内部を伝播する際に吸収されることとなり、当該皺寄せプレートの電波吸収特性を向上させることができる。なお、電波吸収性能を有する物質であれば他のものでもよく、炭素や鉄に代えて、例えばフェライト粉末、酸化チタン等を用いてもよい。
【0032】
未硬化状態の粘土5をゴムシート4の上面に載置する際は、ゴムシート4を伸長させた状態としておく。このゴムシート4の伸長方向を一次元方向(直線方向)にするか二次元方向(面方向)にするかは、製品の表面にどの様な皺を形成するかにより適宜選択する。上記ゴムシート4を一次元方向に伸長すれば、製品の表面に波形に近い皺を形成する事ができる。これに対して、上記ゴムシート4を二次元方向に伸長すれば、製品の表面にそれぞれが巾着状に膨らんだ多数の凸部から成る、複雑な皺を形成する事ができる。又、二次元方向に伸長させる場合でも、所定方向の伸長量と、この所定方向に対し直角方向の伸長量とは、必ずしも等しくする必要はない。これら両方向の伸長量を互いに異ならせれば、その相違に応じて得られる製品の表面に形成される皺の形状が異なる。
【0033】
上述のようなゴムシート4の上面に上記粘土5を載置し、この粘土5の厚さ寸法並びにその分布を、得ようとする製品の形状に応じて適切にする。この場合に、厚さ寸法に関しては得ようとする製品よりも薄くし、分布に関しては任意であるが、一般的には均一にする。この状態で、上記粘土5の下面と上記ゴムシート4の上面とが密着する。
【0034】
ここで、ゴムシート4の上面に載置された粘土5の上面には凹凸の型押しがなされる。本実施形態において、この凹凸の型押しは、図1(b)に示すように、当該粘土5の上面にメッシュ状の網目を有する織布6を張着することによりなされる。本実施形態にかかる織布6は、無数の繊維体7で構成される繊維状物質であり、図2に示すように、ガーゼのように比較的網目の粗く、縦糸と横糸とがそれぞれ略等間隔で直行するように編み込まれている。また、この織布6は、上記粘土5を焼成する際に燃焼して消滅する材料であり、具体的には、ガーゼ、布、織目模様を有する不織布、絹等を使用することができる。
【0035】
かかる織布6を粘土5の上面に張着することによって、粘土5の上面には、当該繊維体7による微細な凹凸が型押しされることとなる。すなわち、この織布6は、繊維体7の絡みによって形成される凹凸或いは微空間に、粘土5が侵入して微細な凹凸を形成する。
【0036】
このように、織布6の織り方、或いは、繊維体7の太さ、縒り方によって、粘土5表面に形成される凹凸の形状、大きさ、深さ等を異ならせることができるため、織布6の選択によって微細な凹凸を制御することが可能となる。
【0037】
上述の様に、伸長したゴムシート4の上面に上記粘土5を付着させ、更にこの粘土5の上面を上記織布6を張着したならば、その後、上記ゴムシート4を収縮させる。
【0038】
ゴムシート4の上面と上記粘土5の下面とは、この粘土5の粘着力に基づいて付着している為、上記ゴムシート4を収縮させる事により、このゴムシート4の上面に載置した上記粘土5の下面に、収縮方向の力が加わる。これにより、この粘土5には、面方向に亘って圧縮方向の力が加わる。この状態においても当該粘土5の下面は、上記ゴムシート4の上面に密着し張着状態のままである為、この粘土5がゴムシート4の収縮に伴って、平面形状が小さくなり、厚さが大きくなる方向に塑性変形する。この塑性変形の際、ゴムシート4により支持されている下面と異なり、何ら支持されていない、上記粘土5の上面及び上記織布6に、座屈方向の応力が加わる。そして、この応力に基づいて、図1(c)に示す様に、この粘土5の上面及びこの粘土5の上面を覆った上記織布6に皺が寄る。
【0039】
この場合に、上記粘土5の上面には織布6が張着されている為、この皺を構成する多数の凸部の頂部で、この粘土5同士が直接当接する事がなくなる。換言すれば、図3に示すように、これら各凸部3、3の頂部同士が当接した場合でも、その当接部には、上記織布6が存在することとなる。
【0040】
次に、薄板を粘土5の下面とゴムシート4の上面との間に差し込む等により、上記粘土5を織布6ごとゴムシート4の上面から取り上げて、別途十分な耐熱性を有する受板(図示しないが、一般的にはカーボンランダム製或は鉄製の平板。焼成前に移し替え作業を行なうのであれば、木製の平板であっても良い。)の上面に移し替える。そして、上記粘土5及び織布6を、(必要に応じて十分な乾燥処理後に)上記受板ごと窯中に入れて加熱し、この粘土5を焼成する。この加熱温度は、一般的に粘土瓦や陶磁器を焼く場合の温度と同様に、粘土5の種類等に応じて任意に定めるが、例えば1000℃程度とする。尚、加熱温度に関しては、使用する材料、必要とする強度等により、適宜決定する。例えば、粘土を焼成する場合には、600℃以上の温度が採用可能であるし、ファインセラミックを焼成する場合には1700℃程度の温度を採用する場合もある。
【0041】
かかる焼成によって、図1(d)に示すように、粘土5が硬化して、皺寄せプレート1aが完成する。この際、硬化した粘土5の表面には、ゴムシート4の収縮による複雑な皺が形成されるとともに、形成された各皺の表面には、織布6の凹凸による細かい皺が形成されることとなる。したがって、未硬化状態の粘土5の上面に所望の形状を有する凹凸の型押しを施すことで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレート1aを得ることができる。
【0042】
また、粘土5を焼成する際、粘土5の上面に載置された織布6は燃焼して消滅することとなる。従って、皺寄せプレート1aを完成させた状態では、図4に示すように、上記各凸部3、3の頂部同士の間に、確実に隙間が存在する。換言すれば、上記皺を構成する多数の凸部3が、上記皺寄せプレート1aの表面部分に確実に開口を有する状態となる。かかる構成とすることにより、皺寄せプレート1aを、例えば、電波吸収体として利用する場合には、上記各凹部1の奥部にまで電波を進入させる事で電波の吸収をより効果的に行なわせ、電波吸収特性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、支持基盤の材料として粘土5を用いたため、未硬化状態においては、ゴムシート4上面への載置及び当該ゴムシート4の収縮に伴う表面への皺の形成を容易に行うことができる。さらに、この粘土5は、乾燥、焼成することにより硬化する性質を有するため、粘土5を焼成する工程において、当該粘土5を硬化させるとともに上面に張着した織布6を焼成により消滅させることができ、これにより、当該織布6の除去が不要となり、皺寄せプレートをより効率的に製造することが可能となる。
【0044】
なお、織布6の厚さを変えることにより、得ようとする製品の上面に形成すべき凸部3、3の頂部同士の間隔を制御することもできる。具体的には、凸部3、3の頂部同士の間隔を大きくする場合には、織布6の厚さを厚くする。尚、上記粘土5の上面に皺を寄せた場合に上記織布6は、隣り合う凸部3、3の頂部同士の間で多少なりとも押し潰される。従って、上記織布6の厚さは、凸部3、3の頂部同士の間隔の1/2よりも多少大きくする。
【0045】
また、上記皺寄せプレート1aを構成する材料となる支持基盤は、その用途によって、モルタル(コンクリート)、ファインセラミック、ガラス粉末、金属粉末、木材粉末(鋸屑)、ゴム、生体材料等を適宜使用することができる。このうち、ファインセラミック、ガラス粉末、金属粉末、木材粉末に関しては、適宜のバインダ(接着剤)と混練する事によりゲル状(糊状)の物質とした状態で表面に皺を形成してから硬化させる。硬化の為の手段は、燒結、焼成、乾燥、養生等、上記材料やバインダの種類に応じて選択する。尚、上記金属粉末は、適宜のバインダと共に燒結して燒結金属とする事が考えられる。又、木材粉末は、適切な合成樹脂と混合して皺を寄せてから固める事により、優れた吸音性能を有する壁板として利用できる。又、ゴムは、カーボン等の導電材の粉末を含む導電性ゴムを使用する事により、優れた電磁波の吸収特性を有する表装材を得られる。更に、上記生体材料に関しては、広い表面積を利用して、人工腎臓、人工肺等の人工内蔵の実現に寄与できる。
【0046】
また、この支持基盤として、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等、後処理によって硬化する合成樹脂を用いることもできる。
【0047】
支持基盤として合成樹脂を用いる場合も、粘土5を用いた場合と同様の工程により製造することができる。すなわち、先ず、未硬化状態の合成樹脂を、伸長させた状態のゴムシート4上面に重ねて載置し、さらに合成樹脂の上面に織布を張着させる。次に、ゴムシート4を収縮させることにより、合成樹脂の上面及び織布に皺を寄せ、その後、合成樹脂を硬化させる。
【0048】
ここで、合成樹脂を硬化する際は、例えば、熱硬化性樹脂を用いた場合には加熱を行い、紫外線硬化性樹脂を用いた場合には紫外線の照射を行う。このようにして、合成樹脂を硬化させることにより、合成樹脂性の皺寄せプレートを形成することができる。
【0049】
また、かかる場合、織布は、皺寄せプレートの表面に残存した状態となり、樹脂と繊維とが一体成型されているような意匠性の高い皺寄せプレートとすることができる。なお、合成樹脂としては、具体的に、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などを用いることができる。
【0050】
なお、織布は、上記のように皺寄せプレートの表面に残存させずに取り除くこととしてもよい。織布を取り除く方法としては、合成樹脂の上面及び織布に皺を寄せた後に酵素で分解する方法、合成樹脂が完全に硬化する前(半硬化時)に人の手などで物理的に取り除く方法、或いは、合成樹脂が硬化した後に水、溶剤、酸又はアルカリ等で洗って取り除く方法などを用いるとよい。これらの方法を用いることにより、合成樹脂の上面に形成される皺の形状を崩すことなく織布を取り除くことができる。
【0051】
[2.皺寄せプレートの構造について]
以上のような製造方法により製造された皺寄せプレートは、図5に示すように、表面(電波や音波が入射する入射面)に隆起による不規則な皺2が連続的に多数形成されるとともに、各皺2の表面には、多数の微細な凹凸9が形成されている。また、図4に示すように、多数の隆起による皺2の隣接する間隔が、皺2の膨大部間の間隔d1よりも皺2の底部間の間隔d2が大となるように形成されている。
【0052】
かかる構成とすることにより、電波吸収性能や吸音性能に優れ、しかも、各皺2の平均的な間隔や各皺2の表面に形成される微細な凹凸9の形状を制御することにより、所望の周波数の電磁波や音波を吸収することのできる皺寄せプレートを提供することができる。
【0053】
[3.皺寄せプレートの電波吸収特性について]
上記のように形成された皺寄せプレート1aは、特に、電波吸収性質に優れており、所謂電波吸収体として有用である。以下に、本実施形態にかかる皺寄せプレート1aの電波吸収特性について図6を用いて説明する。図6は本実施形態にかかる皺寄せプレート1aの電波吸収特性についての測定結果を示したグラフである。
【0054】
本測定は、Agilent Technologies社製ネットワーク・アナライザE8362Bを用い、皺寄せプレート1aに対して6〜18GHzの電波を垂直入射するとともに、当該皺寄せプレート1aによって反射された反射波を検出することにより、当該反射波の減衰特性を測定した。なお、本測定では、皺寄せプレート1aの表面(皺が形成されている面)だけでなく、裏面(皺が形成されていない平面)についても同様の測定を行なった。
【0055】
また、図6に示すグラフの縦軸は、反射波の減衰特性を示しており、かかる減衰特性は、以下の公式により求められる。
10log{皺寄せプレートからの反射/皺寄せプレートと同じ大きさのアルミ板からの反射} (dB)
ここで、例えば、減衰特性が-10dBとは、アルミ板からの反射電波に比較して皺寄せプレート1aからの反射電波のエネルギーが
{皺寄せプレートからの反射/アルミ板からの反射}=10-1=1/10
であることを、減衰特性が-20dBとは、アルミ板からの反射電波に比較して皺寄せプレート1aからの反射電波のエネルギーが
{皺寄せプレートからの反射/アルミ板からの反射}=10-2=1/100
であることを示している。
【0056】
図6に示すように、皺寄せプレート1aの表面側は、13GHz以上の帯域で20dB以上の減衰特性を示すことが確認された。また、表面と裏面との反射減衰量の比較から明らかな通り、平面形状の裏面には減衰効果が見られず、本実施形態にかかる皺寄せプレート1aの反射減衰効果は、表面に形成された複雑な皺形状によるものであることがわかる。
【0057】
さらに、本測定では、表面に形成された皺の平均的な間隔に相当する波長の電波に対して良好な減衰特性が見られることもわかった。従って、本実施形態にかかる製造方法のように、表面に形成される皺の形状を制御することで、所望の周波数を吸収することのできる皺寄せプレート1aを製造することが可能となる。
【0058】
ここで、一般的に、電波吸収体は、減衰させたい電波の周波数に応じて適材を選択して用いられているのが現状である。例えば、地上波テレビ放送のゴースト防止用の壁面パネルには93〜220MHzの周波数帯域に良好な電波吸収特性を持つパネルが選択、使用されることとなる。ここで、本実施形態にかかる皺寄せプレートは、13GHz以上の周波数帯域において20dB以上の良好な電波吸収特性を示していること及び材質が陶器であり脆性を有していること等を考慮すると、建築物等の固定施設への適用が最も有望であると考えられる。
【0059】
(実施形態2について)
上記実施形態では、未硬化状態の粘土5上面への凹凸の型押しを、当該粘土5の上面に織布6を張着することにより行ったが、これに代えて、未硬化状態の粘土5上面に、予め凹凸を形成した型押し板を型押しすることにより形成することとしてもよい。
【0060】
図7に示すように、この型押し板10は、シリコンで形成された板状部材であり、その表面には、所定深さの凹部11がメッシュ状に形成されている。
【0061】
本実施形態にかかる皺寄せプレートを製造する際は、この型押し板10を、ゴムシート4に載置した未硬化状態の粘土5の上面に押し当て、当該粘土5の上面にメッシュ状の凹凸を形成する。そして、この型押し板10を粘土5の上面から取り去った後、上記実施形態と同様、ゴムシート4を収縮させて粘土5の表面に皺を寄せ、焼成することにより、当該粘土5が硬化して、皺寄せプレートが完成する。また、硬化した粘土5の表面には、上記実施形態と同様、ゴムシート4の収縮による複雑な皺が形成されるとともに、形成された各皺の表面には、型押し板10の凹部11による細かい多数の凹凸が形成されることとなる。
【0062】
ここで、型押し板10は、図7に示すメッシュ状の凹部11が形成されたものの他、例えば、図8(a)に示すように表面に小孔12によるエンボス加工がなされたもの、図8(b)に示すように直線状の溝部13が形成されたもの、或いは、図8(c)に示すように波線状の溝部14が形成されたもの等とすることもできる。
【0063】
このように、所望の凹凸形状を有する型押し板で未硬化状態の粘土5上面を型押しすることにより、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。その結果、所望の波長帯域の電波を吸収する皺寄せプレートや、表面に所望の模様が施された意匠性の高い皺寄せプレートを製造することが可能となる。
【0064】
(実施形態3について)
上記実施形態2では、支持基盤表面の凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤(粘土5)の上面を型押し板10で型押しをすることにより行うこととしたが、これに代えて、未硬化状態の支持基盤の上面に、予め凹凸を形成した凹凸シートを貼着することにより行うこととしてもよい。
【0065】
かかる場合、先ず、この凹凸シートを、ゴムシートに載置した未硬化状態の粘土の上面に張着する。この凹凸シートは、粘土の焼成により消滅する材料で形成され、その表面には、メッシュ状、エンボス状、直線状或いは波線状の凹部が形成されている。また、凹凸シートの厚さは、ゴムシートの収縮により粘土と一体となって皺を寄せることができる程度に薄く形成されている。
【0066】
そして、上記実施形態と同様、ゴムシートを収縮させて粘土の表面及び凹凸シートに皺を寄せ、焼成することにより、当該粘土が硬化して、皺寄せプレートが完成する。また、硬化した粘土の表面には、上記実施形態と同様、ゴムシートの収縮による多数の微細な凹凸が形成されるとともに、形成された各皺の表面には、凹凸シートの凹部による多数の微細な凹凸が形成されることとなる。
【0067】
なお、凹凸シートは、必ずしも焼成によって消滅する材料である必要はない。焼成により消滅しない凹凸シートを用いる場合は、この凹凸シートを、粘土がある程度硬化した後に、人の手などで物理的に取り除くこととしてもよいが、粘土の上面に残存させた状態のままとしてもよい。かかる場合、得られる皺寄せプレートは、その表面に凹凸シートの一部又は全部が残存した状態となり、意匠性の高いものとすることができる。
【0068】
(実施形態4について)
上記各実施形態において説明した皺寄せプレートの製造方法は、特に、支持基盤として粘土5を用いた場合に有効な製造方法であり、未硬化状態の支持基盤への凹凸の型押しは、織布6、型押し板10、或いは凹凸シートによって、当該未硬化状態の支持基盤の上面になされることとしたが、支持基盤として合成樹脂を用いる場合、かかる凹凸の型押しは、ゴムシート4と未硬化状態の支持基盤との間に、収縮自在で、後処理により除去可能であり、且つ、表面に凹凸形状を有する中間層を介在させることにより行うことでより効率的に皺寄せプレートを製造するとよい。
【0069】
すなわち、先ず、図9(a)に示すように、ゴムシート4の上面と、支持基盤としての合成樹脂21の下面との間に、中間層20を介在させる。合成樹脂21としては、上述のように、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等、撥水性を有し、硬化の過程で粘度が次第に高くなるものを使用する。また、上記中間層20は、圧縮方向の力によって塑性変形しつつ収縮自在で、且つ、後処理により除去可能な材料製とする。この中間層20の表面には、織布6や型押し板10と同様、メッシュ状の細かい凹部が形成されている。このような中間層20の材料として具体的には、澱粉糊等の各種水溶性の糊、寒天を煮て固めたもの等、水溶性の各種ゲル状物質を使用することができる。また、合成樹脂21の上面は、図9(b)に示す様に、上記中間層20と同様の材料製の表面層22により被覆する。なお、この表面層22は、必ずしも中間層20と同様の材料製でなくてもよく、例えば、織布6や型押し板10或いは凹凸シート等を用いることもできる。また、この表面層22の表面に形成される凹凸形状は、中間層20における凹凸形状と同一である必要はない。
【0070】
上述のように、ゴムシート4の上面に、中間層20と合成樹脂21と表面層22を、このゴムシート4を伸長させた状態で載置したならば、この合成樹脂21が硬化する以前に(半硬化状態で)、上記ゴムシート4を収縮させる。この結果、図9(c)に示すように、上記中間層20が、上面に皺を寄せつつ収縮し、この中間層20の上面に設けられた上記合成樹脂21及び表面層22が、上下両面に皺を寄せつつ収縮する。このように合成樹脂21の上下両面に形成される皺を構成する凸部の先端部同士が直接当接しない事は、前述した各実施形態の場合と同様である。そこで、このように上下両面に皺を寄せた合成樹脂21を、上記中間層20と上記表面層22によりサンドイッチ状に挟んだ状態のまま、硬化させる。
【0071】
このようにして、上下両面に多数の皺を寄せた状態のまま、上記合成樹脂21を硬化させたならば、図9(d)に示すように、上記中間層20及び表面層22を除去する。この除去作業は、上記合成樹脂21の上下両面に水を吹き付ける事により、或はこの合成樹脂21を熱湯に漬ける(上記中間層20及び表面層22が寒天製の場合)事により行なう。このようにして、上記合成樹脂21の上下両面から上記中間層20及び表面層22を除去すれば、図10に示すように、両面に多数の皺23を寄せた、合成樹脂製の皺寄せプレート1eが得られる。
【0072】
かかる構成とすることにより、合成樹脂21の両面には、中間層20或いは表面層22による凹凸24が形成されることとなるため、所望の表面形状を有する中間層20をゴムシート4と合成樹脂21との間に介在させることで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。また、合成樹脂21の上面に表面層22を張着することにより、両面に所望の形状の皺が形成された皺寄せプレートを得ることもできる。かかる皺寄せプレート1eは、例えば一般家屋の応接室やオーディオルームの内壁面を覆うことにより、当該部屋の内面の意匠を考慮しつつ、音響特性を良好にすることができる。
【0073】
尚、単に表面に多数の皺を有する合成樹脂製の皺寄せプレートは、射出成形によっても造る事ができる。但し、その場合には、多数の皺を有する凹部の断面形状を、開口部の幅(直径)が奥部の幅(直径)以上の形状とする必要がある。言い換えれば、本例の様に、凹部の断面形状が巾着状である多数の皺を有する合成樹脂製の皺寄せプレートを、射出成形により造る事はできない。本例の皺寄せプレートの製造方法によれば、合成樹脂製製品の一般的製造方法である射出成形によっては得られない形状を得ることができるのである。
【0074】
(実施形態5について)
上記各実施形態では、支持基盤を用いて皺寄せプレートを製造する方法について説明したが、支持基盤を用いた皺寄せプレートの製造方法には、製造効率、製造コストの面で課題があった。すなわち、支持基盤を用いた皺寄せプレートの製造方法では、支持基盤を硬化させた後に、当該硬化した支持基盤を伸縮機能材から取り外す作業が必要となるが、支持基盤の硬化により当該支持基盤と収縮機能材とが密着した状態となるため、当該取り外し作業が困難であった。また、支持基盤の厚さをある程度厚くしておかなければならないため、薄い皺寄せプレートを得たい場合は、上記製造方法により得られた皺寄せプレートの底部を事後的に取り除く必要があり、しかも、取り除いた部分をもう一度皺寄せプレートの製造に用いることもできなかった。
【0075】
そこで、本実施形態では、皺寄せプレートをより効率的にかつ低コストで製造するため、上記各実施形態にかかる皺寄せプレートに代えて、伸長させた状態の伸縮機能材の上面に、収縮自在で、後処理により除去可能な中間層を載置する工程と、この中間層の上面に、シート状の可撓部材を張着する工程と、伸縮機能材を収縮させることにより、可撓部材に皺を寄せる工程と、可撓部材の上面を未硬化状態の裏打ち材で被覆する工程と、未硬化状態の裏打ち材を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法とした。
【0076】
かかる場合、先ず、図11(a)に示すように、ゴムシート4の上面に中間層40を載置する。この中間層40は、実施形態4における中間層20と同様、圧縮方向の力によって塑性変形しつつ収縮自在で、且つ、後処理により除去可能な材料製であり、具体的には、澱粉糊等の各種水溶性の糊、寒天を煮て固めたもの等、水溶性の各種ゲル状物質であるが、その表面にはメッシュ状の細かい凹部は形成されていない。次に、図11(b)に示すように、シート状の可撓部材41を載置する。
【0077】
ここでシート状の可撓部材は、具体的には、合成樹脂フィルム、金属箔、紙等を用いることができる。
【0078】
上述のように、ゴムシート4の上面に、中間層40及び可撓部材41を、このゴムシート4を伸長させた状態で載置したならば、上記ゴムシート4を収縮させる。この結果、図11(c)に示すように、上記中間層40が、上面に皺を寄せつつ収縮するとともに、この中間層40の上面に設けられた可撓部材41も皺を寄せつつ収縮する。この際、可撓部材41に形成される皺を構成する凸部の先端部同士が直接当接しない事は、前述した各実施形態の場合と同様である。
【0079】
次に、可撓部材41に皺を寄せた後、図11(d)に示すように、当該可撓部材41の上面を裏打ち材42により被覆する。
【0080】
この裏打ち材42は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂或いは粘土等、硬化の過程で粘度が次第に高くなるものを使用する。
【0081】
このようにして、可撓部材41に多数の皺を寄せた状態のまま、上記裏打ち材42を硬化させたならば、図11(e)に示すように、上記中間層40を除去する。この除去作業は、上記可撓部材41に水を吹き付ける事により、或は、この可撓部材41を熱湯に漬ける(上記中間層40が寒天製の場合)事により行なう。このようにして、上記可撓部材41の下面から上記中間層40を除去すれば、ゴムシート4の収縮による皺が形成された皺寄せプレート1hを得る事ができる。この際、裏打ち材42を硬化させても、可撓部材41と中間層40とは密着した状態とはならないため、上記除去作業を容易に行うことができる。また、形成される皺寄せプレート1hは、裏打ち材42によって裏打ちされた状態となっているため、可撓部材に寄せられた皺の形状を維持することができるとともに、当該皺寄せプレート1hの強度を高めることができる。
【0082】
このように、本実施形態にかかる皺寄せプレートの製造方法によれば、シート状の可撓部材41に皺を寄せた後に、裏打ち材42により当該可撓部材41を裏打ちすることにより、所望の厚さの皺寄せプレートを製造段階で得る事ができ、事後的に不要な部分を取り除く作業を行う必要がないため、製造効率を高めるとともに製造コストを抑えることができる。また、可撓部材41は可撓性を有するシート状の部材であればよいため、材料の選択の自由度が高く、様々な用途に合った皺寄せプレートを製造することができる。しかも、中間層40は、再利用することができるため、皺寄せプレートをより低コストで製造することができる。
【0083】
かかる製造方法により得られる皺寄せプレート1hは、表面に隆起による不規則な皺が連続的に多数形成され、多数の隆起による皺の隣接する間隔が、当該皺の膨大部より当該皺の底部が大となるように形成される。このような構造とすることにより、電波吸収性能や音波吸収性能に優れた皺寄せプレートを提供することができる。
【0084】
なお、シート状の可撓部材41は、その表面に凹凸形状を有するものであってもよい。かかる場合、シート状の可撓部材は、合成樹脂フィルム、金属箔、紙の他に、炭素・金属・ガラス繊維等で織った布等を用いることもできる。ここで、合成樹脂フィルム、金属箔、紙のように、本来表面に凹凸形状を有さないものについては、所定の凹凸形状が形成された送りローラ等により表面に当該所定の凹凸形状を押圧形成する。
【0085】
このように、表面に凹凸形状を有するシート状の可撓部材を用いることにより、ゴムシート4の収縮による皺が形成されるとともに、各皺の表面には、支持基盤に予め形成された凹凸による凹凸形状が多数形成された皺寄せプレートを得ることができる。したがって、予め所望の形状の凹凸が施された可撓部材を用いることにより、所望の形状の凹凸を有する皺寄せプレートを得ることができる。また、可撓部材を収縮させる際に、当該可撓部材の下面に載置された中間層も同様に収縮されるため、可撓部材の表面に多数の皺を互いが当接することなく形成することができ、皺寄せプレートを電波吸収体として有用な形状とすることができる。
【0086】
(実施形態6について)
上記実施形態1〜3或いは実施形態5、6では、ゴムシート4を一気に収縮させているため、粘土5の上面には、比較的うねりの大きな皺とこの皺の表面に形成される織布6或いは型押し板10による細かい皺とが形成されることとなるが、これに代えて、ゴムシート4の収縮を多段階で行うことで、粘土5の表面により多くの皺を形成することとしてもよい。
【0087】
すなわち、本実施形態では、先ず、図12(a)に示す様に、伸長させた状態のゴムシート4の上面に、粘土5を載置し、さらに、この粘土5の上面に織布6を張着する。
【0088】
次いで、図12(b)に示す様に、上記ゴムシート4を途中まで(未だ収縮可能な余地を十分に残して)収縮させることにより、この粘土5の上面及び織布6に皺を形成する。この状態で寄る皺は、この粘土5が未だ十分に軟らかい(粘度が低い)為、うねりが小さい(ピッチが細かい)皺となる。この小さなうねりの皺が第1の皺18となる。
【0089】
このようにして、上記粘土5の上面にうねりが小さい第1の皺18を形成したならば、上記ゴムシート4をそのままの(途中迄収縮させた)状態でしばらく放置して、上記粘土5を少しだけ乾燥させ、この粘土5を少しだけ硬くする(粘度を高くする)。この粘土5が少しだけ硬くなったならば、図12(c)に示すように、上記ゴムシート4を、更に少しだけ(未だ収縮可能な余地を十分に残して)収縮させる。この結果、上記粘土5には、上記図12(b)の状態から更に、面方向に亙って圧縮方向の力が加わる。この状態では、上記粘土5の粘度は少し高くなっているので、この圧縮方向の力に基づいてこの粘土5の上面に寄る皺のうねりは、上記第1の皺18よりも大きく(ピッチが粗く)なる。この様に、大きなうねりの皺が第2の皺19となる。第1の皺18は、上記粘土5の表面にそのまま残るので、この粘土5の表面には、上記第2の皺19の表面に上記第1の皺18が存在する、複合皺寄せ形状となり、この表面部分の断面形状はフラクタル曲線状になる。そして、この粘土5を焼成して硬化させることにより、図12(d)に示すように、皺寄せシート1dが得られる。
【0090】
以上のようにして得られた皺寄せシート1dの表面には、起伏の大きな第2の皺19の表面に、当該第2の皺19よりも細かい第1の皺18が形成され、さらに、第1の皺18の表面には、織布6の凹凸による皺が形成されることとなる。すなわち、かかる構成とすることにより、プレート表面に形成される皺の形状を制御しつつも、より複雑な形状の皺を当該プレート表面上に形成することが可能となる。
【0091】
(実施形態7について)
また、上記各実施形態において、硬化後の支持基盤あるいは可撓部材の表面を、各種被覆材で被覆することとしてもよい。
【0092】
すなわち、上記各実施形態にかかる製造方法によって皺寄せプレート1fを形成した後、図13に示すように、当該皺寄せプレート1f表面の皺26や凹凸27、及び皺26と皺26との間の空間28を被覆材25により被覆する。かかる構成とすることにより、皺寄せプレート1f表面の形状を、当該プレート1fに形成された皺26等に影響されない形状とすることができ、しかも、強度を高めることができる。したがって、例えば、皺寄せプレート1fの上面を、被覆材として電波透過材で被覆して皺寄せプレート1fの表面を略平滑面とすることとすれば、汚れの付着を防ぐことができるため、かかる皺寄せプレート1fを、医療器具が電波の影響により誤作動するのを防止する電波吸収遮蔽壁などに有効に適用することが可能となる。
【0093】
ここで、電波透過材としては、FRP(Fiber Reinforced Plastic)樹脂、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic)樹脂等を用いるとよい。
【0094】
また、皺寄せプレート1fの上面を、被覆材として、発泡スチロールや発泡ウレタン等の発泡樹脂材料で被覆することとすれば、一般家屋の応接室やオーディオルームの防音壁としても有効に用いることができる。
【0095】
(実施形態8について)
また、上記各実施形態において、未硬化状態の支持基盤の表面に、微粒子を付着させた後、伸縮機能材の収縮により、当該支持基盤の表面に皺を寄せることとしてもよい。
【0096】
すなわち、例えば、伸長した状態のゴムシート4に未硬化状態の粘土5を載置し、当該未硬化状態の粘土5の上面に織布6を張着するとともに微粒子を付着させる。ここで、微粒子としては、樹脂製或いは金属製の微粒子であり、焼成する際に消滅することのない材料を用いることが望ましい。そして、ゴムシート4を収縮させることにより、粘土5の上面及び織布6に皺を寄せ、その後、焼成することにより、図14に示すような皺寄せプレート1gが形成される。このように形成することにより、当該皺寄せプレート1gの表面には、ゴムシート4の収縮による皺31と、織布6による細かい凹凸32と、微粒子による更に細かい凹凸33とが形成されることとなる。
【0097】
かかる構成とすることにより、表面形状がより複雑化し、入射した電波を乱反射するため、電波吸収性能のより高い皺寄せプレートを得ることができる。
【0098】
なお、上記のように、未硬化状態の支持基盤の表面に、微粒子を付着させるのではなく、未硬化状態の支持基盤中に当該微粒子を予め混入させておいてもよい。かかる構成とすることにより、上記と同様の効果を得ることができるばかりでなく、未硬化状態の支持基盤の上面に微粒子を付着させる作業を行う手間を省くことができるため、生産効率を高めることができる。また、未硬化状態の支持基盤中に粒径の比較的大きな粒子と粒径の比較的小さな粒子とを混入させておくことにより、硬化後の支持基盤上面にこれら粒子による更に微細な凹凸を形成することができ、皺寄せプレートの電波吸収性能をより一層向上させることができる。
【0099】
以上、本発明の実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0100】
例えば、上記各実施形態では、伸縮機能材としてゴムシートを用いたが、伸縮性を有する機能を有しておればよく、例えば、熱収縮フィルムや形状記憶合金、形状記憶樹脂、等を用いてもよい。
【0101】
また、伸縮機能材としては、上記のように素材の持つ物性によって伸縮するもの以外に、例えば、カメラ用の絞り装置のように、略円形に形成された基盤の周縁に沿って設けられた複数の絞り羽根を、当該基盤の中心に向かって摺動させることで収縮を行うもの等、機械的に伸縮するものであってもよい。このように、伸縮機能材として、機械的に伸縮するものを用いることにより、生産効率を高めることができるとともに、個体差の少ない皺寄せプレートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】実施形態1における皺寄せプレートの製造工程を示す図である。
【図2】実施形態1における織布の構成を示す図である。
【図3】図1(c)の段階における粘土の表面近傍の拡大図である。
【図4】図1(d)の段階における皺寄せプレートの表面近傍の拡大図である。
【図5】実施形態1における皺寄せプレートの外観図である。
【図6】実施形態1における皺寄せプレートの電波吸収特性についての測定結果を示したグラフである。
【図7】実施形態2における型押し板の構成を示す図である。
【図8】実施形態2における型押し板の構成のバリエーションを示す図である。
【図9】実施形態4における皺寄せプレートの製造工程を示す図である。
【図10】実施形態4における皺寄せプレートの側面拡大図である。
【図11】実施形態5における皺寄せプレートの製造工程を示す図である。
【図12】実施形態6における皺寄せプレートの製造工程を示す図である。
【図13】実施形態7における皺寄せプレートの側面拡大図である。
【図14】実施形態8における皺寄せプレートの側面拡大図である。
【符号の説明】
【0103】
1a、1d、1e、1f、1g、1h 皺寄せプレート
2 皺
3 凸部
4 ゴムシート
5 粘土
6 織布
7 繊維体
10 型押し板
18 第1の皺
19 第2の皺
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に複雑な皺形状を有する皺寄せプレートの製造方法に関し、特に、表面に形成される皺の形状を制御することのできる皺寄せプレートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1において、表面に複雑な皺形状を有するプレートの製造方法を開示している。
【0003】
この特許文献1によれば、伸長した状態のゴムシートの上面に粘土を載置し、さらに、この粘土の上面を、燃焼により除去可能な表面層で覆う。次に、ゴムシートを収縮させて粘土上面及び表面層に皺を寄せ、その後、この粘土を焼成すると共に表面層を燃焼により消滅させることにより、表面に複雑な皺形状を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。
【0004】
さらに、本出願人は、特許文献2において、伸長した状態のゴムシート上に粘土を載置した後、このゴムシートを途中まで収縮させて、この粘土の上面に、比較的うねりが小さい第1の皺を形成し、次に、この粘土を少し乾燥させてから、ゴムシートを更に収縮させ、この粘土の上面に、比較的うねりが大きい第2の皺を形成する皺寄せプレートの製造方法を開示している。かかる製造方法により、比較的うねりの大きい第2の皺の表面に比較的うねりの小さい第1の皺が形成されるため、表面により複雑な皺形状を有する皺寄せプレートを得ることができる。
【特許文献1】特開2004−261964号公報
【特許文献2】特開2006−7475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の発明は、比較的うねりの小さい第1の皺をゴムシートの収縮によって形成することとしているため、皺と皺との間隔や皺のうねり具合など、当該第1の皺の形状を制御することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、表面に形成される皺の形状を制御することのできる皺寄せプレートの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表面に凹凸の型押しがなされた未硬化状態の支持基盤を、伸長させた状態の伸縮機能材上面に重ねて載置する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法とした。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤上面に織布を張着することにより行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤上面に、予め凹凸を形成した型押し板を型押しすることにより形成することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程は、前記未硬化状態の支持基盤を半硬化させる工程と、前記伸縮機能材を途中まで収縮させて、当該半硬化状態の支持基盤の上面に第1の皺を寄せる工程と、前記伸縮機能材を更に収縮させて、前記支持基盤の上面に、前記第1の皺よりも大きな第2の皺を寄せる工程と、よりなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、予め凹凸を形成した凹凸シートを張着した未硬化状態の支持基盤を、伸長させた状態の伸縮機能材上面に重ねて載置する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、よりなることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記支持基盤は、粘土よりなることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、伸長させた状態の伸縮シートと、この伸縮シート上面に重ねて載置される未硬化状態の支持基盤との間に、収縮自在で、後処理により除去可能であり、且つ、表面に前記支持基盤に向かって凹凸形状を有する中間層を介在させる工程と、前記伸縮シートを収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法とした。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法において、前記支持基盤の表面を被覆材により被覆することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に記載の発明は、伸長させた状態の伸縮機能材の上面に、収縮自在で、後処理により除去可能な中間層を載置する工程と、この中間層の上面に、シート状の可撓部材を張着する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記可撓部材に皺を寄せる工程と、前記可撓部材の上面を未硬化状態の裏打ち材で被覆する工程と、前記未硬化状態の裏打ち材を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法とした。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、少なくとも表面に隆起による不規則な皺を連続的に多数形成するとともに、各皺の表面には、多数の微細な凹凸を形成し、多数の隆起による皺の隣接する間隔を、前記皺の膨大部より前記皺の底部が大となるように形成したことを特徴とする皺寄せプレートとした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、硬化した支持基盤の表面には、伸縮機能材の収縮による複雑な皺が多数形成されるとともに、形成された各皺の表面には、凹凸の型押しによる細かい皺が形成されることとなる。したがって、未硬化状態の支持基盤上面に予め所望の形状を有する凹凸の型押しを施すことにより、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、未硬化状態の支持基盤上面には、織布表面の凹凸形状が形成されることとなるため、所望の表面形状を有する織布を未硬化状態の支持基盤上面に張着することで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。しかも、未硬化状態の支持基盤を収縮させる際に、未硬化状態の支持基盤上面に張着された織布も同様に収縮されるため、支持基盤の表面に多数の皺を互いが当接することなく形成することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、未硬化状態の支持基盤上面に、予め凹凸を形成した型押し板を型押しすることとしたため、所望の凹凸形状を有する型押し板で未硬化状態の支持基盤上面を型押しすることで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、プレート表面に形成される皺の形状を制御しつつも、より複雑な形状の皺をその表面上に形成することが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、未硬化状態の支持基盤上面には、凹凸シート表面の凹凸形状が形成されることとなるため、所望の表面形状を有する凹凸シートを未硬化状態の支持基盤上面に張着することで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。しかも、未硬化状態の支持基盤を収縮させる際に、未硬化状態の支持基盤上面に張着された凹凸シートも同様に収縮されるため、支持基盤の表面に多数の皺を互いが当接することなく形成することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、支持基盤を粘土とすることにより、未硬化状態においては、伸縮機能材上面への載置及び当該伸縮機能材の収縮に伴う表面への皺の形成が可能であるとともに、乾燥或いは焼成により硬化させることができる。また、未硬化状態の粘土に織布を張着した場合、焼成することにより織布が消滅するため、当該織布の除去が不要となり、皺寄せプレートをより効率的に製造することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、未硬化状態の支持基盤下面には、中間層表面の凹凸形状が形成されることとなるため、所望の表面形状を有する中間層を伸縮シートと未硬化状態の支持基盤との間に介在させることで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。しかも、未硬化状態の支持基盤を収縮させる際に、未硬化状態の支持基盤の下面に載置された中間層も同様に収縮されるため、支持基盤の表面に多数の皺を互いが当接することなく形成することができる。また、未硬化状態の支持基盤の上面に、収縮自在で、後処理により除去可能であり、且つ、表面に凹凸形状を有する表面層を張着することにより、両面に所望の形状の皺が形成された皺寄せプレートを得ることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、例えば、硬化した支持基盤の表面を電波透過材で被覆することにより、電波吸収特性を維持しつつ、皺寄せプレート表面の形状を、当該プレートに形成された皺に影響されない所望の形状に形成することができる。すなわち、例えば、電波透過材で被覆することにより皺寄せプレートの表面を略平滑面とすれば、強度が増大するとともに、汚れの付着を防ぐことができるため、医療器具が電波の影響によって誤作動するのを防止する電波吸収遮蔽壁などに有効に適用することが可能となる。また、硬化した支持基盤の表面を発泡スチロールや発泡ウレタン等の発泡樹脂材料で被覆することにより、一般家屋の応接室やオーディオルームの防音壁としても用いることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、シート状の可撓部材に皺を寄せた後に、裏打ち材により当該可撓部材を裏打ちすることにより、可撓部材に形成された皺の形状を保持することができるとともに、所望の厚さの皺寄せプレートを製造段階で得る事ができ、事後的に不要な部分を取り除く作業を行う必要がないため、製造効率を高めるとともに製造コストを抑えることができる。また、可撓部材は可撓性を有するシート状の部材であればよいため、材料の選択の自由度が高く、様々な用途に合った皺寄せプレートを製造することができる。しかも、中間層は、再利用することができるため、皺寄せプレートをより低コストで製造することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、電波吸収性能に優れ、しかも、皺の表面に形成される多数の微細な凹凸の形状を制御することにより、所望の周波数の電磁波を吸収することのできる皺寄せプレートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(実施形態1について)
[1.皺寄せプレートの製造方法について]
以下に、本実施形態にかかる皺寄せプレートの製造方法について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。図1は本実施形態にかかる皺寄せプレートの製造工程を示した図であり、図2は本実施形態にかかる織布の構成を示す図であり、図3は図1(c)の段階における粘土5の表面近傍の拡大図であり、図4は図1(d)の段階における皺寄せプレートの表面近傍の拡大図である。
【0028】
本実施形態にかかる皺寄せプレートを製造する際は、先ず、図1(a)に示すように、支持基盤である粘土5を、伸縮性を有する伸縮機能材であるゴムシート4の上面に重ねて載置する。
【0029】
粘土5は、乾燥することにより硬化するものであり、図1(a)に示す段階においては、未硬化状態となっている。
【0030】
また、この粘土5は、澱粉や小麦粉などの有機物粉末と、無機物粉末として酸化鉄(Fe2O3)等の鉄化合物を含有している。これら有機物粉末及び無機物粉末は、還元焼成されて、それぞれ炭素(C)及び鉄(Fe)となる。すなわち、かかる焼成により、炭素及び鉄を含有する陶板が形成されることとなる。
【0031】
ここで、炭素及び鉄は電波吸収材料として機能するものであるため、これらを含有する皺寄せプレートの上面に入射した電波は、当該皺寄せプレートの内部を伝播する際に吸収されることとなり、当該皺寄せプレートの電波吸収特性を向上させることができる。なお、電波吸収性能を有する物質であれば他のものでもよく、炭素や鉄に代えて、例えばフェライト粉末、酸化チタン等を用いてもよい。
【0032】
未硬化状態の粘土5をゴムシート4の上面に載置する際は、ゴムシート4を伸長させた状態としておく。このゴムシート4の伸長方向を一次元方向(直線方向)にするか二次元方向(面方向)にするかは、製品の表面にどの様な皺を形成するかにより適宜選択する。上記ゴムシート4を一次元方向に伸長すれば、製品の表面に波形に近い皺を形成する事ができる。これに対して、上記ゴムシート4を二次元方向に伸長すれば、製品の表面にそれぞれが巾着状に膨らんだ多数の凸部から成る、複雑な皺を形成する事ができる。又、二次元方向に伸長させる場合でも、所定方向の伸長量と、この所定方向に対し直角方向の伸長量とは、必ずしも等しくする必要はない。これら両方向の伸長量を互いに異ならせれば、その相違に応じて得られる製品の表面に形成される皺の形状が異なる。
【0033】
上述のようなゴムシート4の上面に上記粘土5を載置し、この粘土5の厚さ寸法並びにその分布を、得ようとする製品の形状に応じて適切にする。この場合に、厚さ寸法に関しては得ようとする製品よりも薄くし、分布に関しては任意であるが、一般的には均一にする。この状態で、上記粘土5の下面と上記ゴムシート4の上面とが密着する。
【0034】
ここで、ゴムシート4の上面に載置された粘土5の上面には凹凸の型押しがなされる。本実施形態において、この凹凸の型押しは、図1(b)に示すように、当該粘土5の上面にメッシュ状の網目を有する織布6を張着することによりなされる。本実施形態にかかる織布6は、無数の繊維体7で構成される繊維状物質であり、図2に示すように、ガーゼのように比較的網目の粗く、縦糸と横糸とがそれぞれ略等間隔で直行するように編み込まれている。また、この織布6は、上記粘土5を焼成する際に燃焼して消滅する材料であり、具体的には、ガーゼ、布、織目模様を有する不織布、絹等を使用することができる。
【0035】
かかる織布6を粘土5の上面に張着することによって、粘土5の上面には、当該繊維体7による微細な凹凸が型押しされることとなる。すなわち、この織布6は、繊維体7の絡みによって形成される凹凸或いは微空間に、粘土5が侵入して微細な凹凸を形成する。
【0036】
このように、織布6の織り方、或いは、繊維体7の太さ、縒り方によって、粘土5表面に形成される凹凸の形状、大きさ、深さ等を異ならせることができるため、織布6の選択によって微細な凹凸を制御することが可能となる。
【0037】
上述の様に、伸長したゴムシート4の上面に上記粘土5を付着させ、更にこの粘土5の上面を上記織布6を張着したならば、その後、上記ゴムシート4を収縮させる。
【0038】
ゴムシート4の上面と上記粘土5の下面とは、この粘土5の粘着力に基づいて付着している為、上記ゴムシート4を収縮させる事により、このゴムシート4の上面に載置した上記粘土5の下面に、収縮方向の力が加わる。これにより、この粘土5には、面方向に亘って圧縮方向の力が加わる。この状態においても当該粘土5の下面は、上記ゴムシート4の上面に密着し張着状態のままである為、この粘土5がゴムシート4の収縮に伴って、平面形状が小さくなり、厚さが大きくなる方向に塑性変形する。この塑性変形の際、ゴムシート4により支持されている下面と異なり、何ら支持されていない、上記粘土5の上面及び上記織布6に、座屈方向の応力が加わる。そして、この応力に基づいて、図1(c)に示す様に、この粘土5の上面及びこの粘土5の上面を覆った上記織布6に皺が寄る。
【0039】
この場合に、上記粘土5の上面には織布6が張着されている為、この皺を構成する多数の凸部の頂部で、この粘土5同士が直接当接する事がなくなる。換言すれば、図3に示すように、これら各凸部3、3の頂部同士が当接した場合でも、その当接部には、上記織布6が存在することとなる。
【0040】
次に、薄板を粘土5の下面とゴムシート4の上面との間に差し込む等により、上記粘土5を織布6ごとゴムシート4の上面から取り上げて、別途十分な耐熱性を有する受板(図示しないが、一般的にはカーボンランダム製或は鉄製の平板。焼成前に移し替え作業を行なうのであれば、木製の平板であっても良い。)の上面に移し替える。そして、上記粘土5及び織布6を、(必要に応じて十分な乾燥処理後に)上記受板ごと窯中に入れて加熱し、この粘土5を焼成する。この加熱温度は、一般的に粘土瓦や陶磁器を焼く場合の温度と同様に、粘土5の種類等に応じて任意に定めるが、例えば1000℃程度とする。尚、加熱温度に関しては、使用する材料、必要とする強度等により、適宜決定する。例えば、粘土を焼成する場合には、600℃以上の温度が採用可能であるし、ファインセラミックを焼成する場合には1700℃程度の温度を採用する場合もある。
【0041】
かかる焼成によって、図1(d)に示すように、粘土5が硬化して、皺寄せプレート1aが完成する。この際、硬化した粘土5の表面には、ゴムシート4の収縮による複雑な皺が形成されるとともに、形成された各皺の表面には、織布6の凹凸による細かい皺が形成されることとなる。したがって、未硬化状態の粘土5の上面に所望の形状を有する凹凸の型押しを施すことで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレート1aを得ることができる。
【0042】
また、粘土5を焼成する際、粘土5の上面に載置された織布6は燃焼して消滅することとなる。従って、皺寄せプレート1aを完成させた状態では、図4に示すように、上記各凸部3、3の頂部同士の間に、確実に隙間が存在する。換言すれば、上記皺を構成する多数の凸部3が、上記皺寄せプレート1aの表面部分に確実に開口を有する状態となる。かかる構成とすることにより、皺寄せプレート1aを、例えば、電波吸収体として利用する場合には、上記各凹部1の奥部にまで電波を進入させる事で電波の吸収をより効果的に行なわせ、電波吸収特性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、支持基盤の材料として粘土5を用いたため、未硬化状態においては、ゴムシート4上面への載置及び当該ゴムシート4の収縮に伴う表面への皺の形成を容易に行うことができる。さらに、この粘土5は、乾燥、焼成することにより硬化する性質を有するため、粘土5を焼成する工程において、当該粘土5を硬化させるとともに上面に張着した織布6を焼成により消滅させることができ、これにより、当該織布6の除去が不要となり、皺寄せプレートをより効率的に製造することが可能となる。
【0044】
なお、織布6の厚さを変えることにより、得ようとする製品の上面に形成すべき凸部3、3の頂部同士の間隔を制御することもできる。具体的には、凸部3、3の頂部同士の間隔を大きくする場合には、織布6の厚さを厚くする。尚、上記粘土5の上面に皺を寄せた場合に上記織布6は、隣り合う凸部3、3の頂部同士の間で多少なりとも押し潰される。従って、上記織布6の厚さは、凸部3、3の頂部同士の間隔の1/2よりも多少大きくする。
【0045】
また、上記皺寄せプレート1aを構成する材料となる支持基盤は、その用途によって、モルタル(コンクリート)、ファインセラミック、ガラス粉末、金属粉末、木材粉末(鋸屑)、ゴム、生体材料等を適宜使用することができる。このうち、ファインセラミック、ガラス粉末、金属粉末、木材粉末に関しては、適宜のバインダ(接着剤)と混練する事によりゲル状(糊状)の物質とした状態で表面に皺を形成してから硬化させる。硬化の為の手段は、燒結、焼成、乾燥、養生等、上記材料やバインダの種類に応じて選択する。尚、上記金属粉末は、適宜のバインダと共に燒結して燒結金属とする事が考えられる。又、木材粉末は、適切な合成樹脂と混合して皺を寄せてから固める事により、優れた吸音性能を有する壁板として利用できる。又、ゴムは、カーボン等の導電材の粉末を含む導電性ゴムを使用する事により、優れた電磁波の吸収特性を有する表装材を得られる。更に、上記生体材料に関しては、広い表面積を利用して、人工腎臓、人工肺等の人工内蔵の実現に寄与できる。
【0046】
また、この支持基盤として、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等、後処理によって硬化する合成樹脂を用いることもできる。
【0047】
支持基盤として合成樹脂を用いる場合も、粘土5を用いた場合と同様の工程により製造することができる。すなわち、先ず、未硬化状態の合成樹脂を、伸長させた状態のゴムシート4上面に重ねて載置し、さらに合成樹脂の上面に織布を張着させる。次に、ゴムシート4を収縮させることにより、合成樹脂の上面及び織布に皺を寄せ、その後、合成樹脂を硬化させる。
【0048】
ここで、合成樹脂を硬化する際は、例えば、熱硬化性樹脂を用いた場合には加熱を行い、紫外線硬化性樹脂を用いた場合には紫外線の照射を行う。このようにして、合成樹脂を硬化させることにより、合成樹脂性の皺寄せプレートを形成することができる。
【0049】
また、かかる場合、織布は、皺寄せプレートの表面に残存した状態となり、樹脂と繊維とが一体成型されているような意匠性の高い皺寄せプレートとすることができる。なお、合成樹脂としては、具体的に、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などを用いることができる。
【0050】
なお、織布は、上記のように皺寄せプレートの表面に残存させずに取り除くこととしてもよい。織布を取り除く方法としては、合成樹脂の上面及び織布に皺を寄せた後に酵素で分解する方法、合成樹脂が完全に硬化する前(半硬化時)に人の手などで物理的に取り除く方法、或いは、合成樹脂が硬化した後に水、溶剤、酸又はアルカリ等で洗って取り除く方法などを用いるとよい。これらの方法を用いることにより、合成樹脂の上面に形成される皺の形状を崩すことなく織布を取り除くことができる。
【0051】
[2.皺寄せプレートの構造について]
以上のような製造方法により製造された皺寄せプレートは、図5に示すように、表面(電波や音波が入射する入射面)に隆起による不規則な皺2が連続的に多数形成されるとともに、各皺2の表面には、多数の微細な凹凸9が形成されている。また、図4に示すように、多数の隆起による皺2の隣接する間隔が、皺2の膨大部間の間隔d1よりも皺2の底部間の間隔d2が大となるように形成されている。
【0052】
かかる構成とすることにより、電波吸収性能や吸音性能に優れ、しかも、各皺2の平均的な間隔や各皺2の表面に形成される微細な凹凸9の形状を制御することにより、所望の周波数の電磁波や音波を吸収することのできる皺寄せプレートを提供することができる。
【0053】
[3.皺寄せプレートの電波吸収特性について]
上記のように形成された皺寄せプレート1aは、特に、電波吸収性質に優れており、所謂電波吸収体として有用である。以下に、本実施形態にかかる皺寄せプレート1aの電波吸収特性について図6を用いて説明する。図6は本実施形態にかかる皺寄せプレート1aの電波吸収特性についての測定結果を示したグラフである。
【0054】
本測定は、Agilent Technologies社製ネットワーク・アナライザE8362Bを用い、皺寄せプレート1aに対して6〜18GHzの電波を垂直入射するとともに、当該皺寄せプレート1aによって反射された反射波を検出することにより、当該反射波の減衰特性を測定した。なお、本測定では、皺寄せプレート1aの表面(皺が形成されている面)だけでなく、裏面(皺が形成されていない平面)についても同様の測定を行なった。
【0055】
また、図6に示すグラフの縦軸は、反射波の減衰特性を示しており、かかる減衰特性は、以下の公式により求められる。
10log{皺寄せプレートからの反射/皺寄せプレートと同じ大きさのアルミ板からの反射} (dB)
ここで、例えば、減衰特性が-10dBとは、アルミ板からの反射電波に比較して皺寄せプレート1aからの反射電波のエネルギーが
{皺寄せプレートからの反射/アルミ板からの反射}=10-1=1/10
であることを、減衰特性が-20dBとは、アルミ板からの反射電波に比較して皺寄せプレート1aからの反射電波のエネルギーが
{皺寄せプレートからの反射/アルミ板からの反射}=10-2=1/100
であることを示している。
【0056】
図6に示すように、皺寄せプレート1aの表面側は、13GHz以上の帯域で20dB以上の減衰特性を示すことが確認された。また、表面と裏面との反射減衰量の比較から明らかな通り、平面形状の裏面には減衰効果が見られず、本実施形態にかかる皺寄せプレート1aの反射減衰効果は、表面に形成された複雑な皺形状によるものであることがわかる。
【0057】
さらに、本測定では、表面に形成された皺の平均的な間隔に相当する波長の電波に対して良好な減衰特性が見られることもわかった。従って、本実施形態にかかる製造方法のように、表面に形成される皺の形状を制御することで、所望の周波数を吸収することのできる皺寄せプレート1aを製造することが可能となる。
【0058】
ここで、一般的に、電波吸収体は、減衰させたい電波の周波数に応じて適材を選択して用いられているのが現状である。例えば、地上波テレビ放送のゴースト防止用の壁面パネルには93〜220MHzの周波数帯域に良好な電波吸収特性を持つパネルが選択、使用されることとなる。ここで、本実施形態にかかる皺寄せプレートは、13GHz以上の周波数帯域において20dB以上の良好な電波吸収特性を示していること及び材質が陶器であり脆性を有していること等を考慮すると、建築物等の固定施設への適用が最も有望であると考えられる。
【0059】
(実施形態2について)
上記実施形態では、未硬化状態の粘土5上面への凹凸の型押しを、当該粘土5の上面に織布6を張着することにより行ったが、これに代えて、未硬化状態の粘土5上面に、予め凹凸を形成した型押し板を型押しすることにより形成することとしてもよい。
【0060】
図7に示すように、この型押し板10は、シリコンで形成された板状部材であり、その表面には、所定深さの凹部11がメッシュ状に形成されている。
【0061】
本実施形態にかかる皺寄せプレートを製造する際は、この型押し板10を、ゴムシート4に載置した未硬化状態の粘土5の上面に押し当て、当該粘土5の上面にメッシュ状の凹凸を形成する。そして、この型押し板10を粘土5の上面から取り去った後、上記実施形態と同様、ゴムシート4を収縮させて粘土5の表面に皺を寄せ、焼成することにより、当該粘土5が硬化して、皺寄せプレートが完成する。また、硬化した粘土5の表面には、上記実施形態と同様、ゴムシート4の収縮による複雑な皺が形成されるとともに、形成された各皺の表面には、型押し板10の凹部11による細かい多数の凹凸が形成されることとなる。
【0062】
ここで、型押し板10は、図7に示すメッシュ状の凹部11が形成されたものの他、例えば、図8(a)に示すように表面に小孔12によるエンボス加工がなされたもの、図8(b)に示すように直線状の溝部13が形成されたもの、或いは、図8(c)に示すように波線状の溝部14が形成されたもの等とすることもできる。
【0063】
このように、所望の凹凸形状を有する型押し板で未硬化状態の粘土5上面を型押しすることにより、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。その結果、所望の波長帯域の電波を吸収する皺寄せプレートや、表面に所望の模様が施された意匠性の高い皺寄せプレートを製造することが可能となる。
【0064】
(実施形態3について)
上記実施形態2では、支持基盤表面の凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤(粘土5)の上面を型押し板10で型押しをすることにより行うこととしたが、これに代えて、未硬化状態の支持基盤の上面に、予め凹凸を形成した凹凸シートを貼着することにより行うこととしてもよい。
【0065】
かかる場合、先ず、この凹凸シートを、ゴムシートに載置した未硬化状態の粘土の上面に張着する。この凹凸シートは、粘土の焼成により消滅する材料で形成され、その表面には、メッシュ状、エンボス状、直線状或いは波線状の凹部が形成されている。また、凹凸シートの厚さは、ゴムシートの収縮により粘土と一体となって皺を寄せることができる程度に薄く形成されている。
【0066】
そして、上記実施形態と同様、ゴムシートを収縮させて粘土の表面及び凹凸シートに皺を寄せ、焼成することにより、当該粘土が硬化して、皺寄せプレートが完成する。また、硬化した粘土の表面には、上記実施形態と同様、ゴムシートの収縮による多数の微細な凹凸が形成されるとともに、形成された各皺の表面には、凹凸シートの凹部による多数の微細な凹凸が形成されることとなる。
【0067】
なお、凹凸シートは、必ずしも焼成によって消滅する材料である必要はない。焼成により消滅しない凹凸シートを用いる場合は、この凹凸シートを、粘土がある程度硬化した後に、人の手などで物理的に取り除くこととしてもよいが、粘土の上面に残存させた状態のままとしてもよい。かかる場合、得られる皺寄せプレートは、その表面に凹凸シートの一部又は全部が残存した状態となり、意匠性の高いものとすることができる。
【0068】
(実施形態4について)
上記各実施形態において説明した皺寄せプレートの製造方法は、特に、支持基盤として粘土5を用いた場合に有効な製造方法であり、未硬化状態の支持基盤への凹凸の型押しは、織布6、型押し板10、或いは凹凸シートによって、当該未硬化状態の支持基盤の上面になされることとしたが、支持基盤として合成樹脂を用いる場合、かかる凹凸の型押しは、ゴムシート4と未硬化状態の支持基盤との間に、収縮自在で、後処理により除去可能であり、且つ、表面に凹凸形状を有する中間層を介在させることにより行うことでより効率的に皺寄せプレートを製造するとよい。
【0069】
すなわち、先ず、図9(a)に示すように、ゴムシート4の上面と、支持基盤としての合成樹脂21の下面との間に、中間層20を介在させる。合成樹脂21としては、上述のように、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等、撥水性を有し、硬化の過程で粘度が次第に高くなるものを使用する。また、上記中間層20は、圧縮方向の力によって塑性変形しつつ収縮自在で、且つ、後処理により除去可能な材料製とする。この中間層20の表面には、織布6や型押し板10と同様、メッシュ状の細かい凹部が形成されている。このような中間層20の材料として具体的には、澱粉糊等の各種水溶性の糊、寒天を煮て固めたもの等、水溶性の各種ゲル状物質を使用することができる。また、合成樹脂21の上面は、図9(b)に示す様に、上記中間層20と同様の材料製の表面層22により被覆する。なお、この表面層22は、必ずしも中間層20と同様の材料製でなくてもよく、例えば、織布6や型押し板10或いは凹凸シート等を用いることもできる。また、この表面層22の表面に形成される凹凸形状は、中間層20における凹凸形状と同一である必要はない。
【0070】
上述のように、ゴムシート4の上面に、中間層20と合成樹脂21と表面層22を、このゴムシート4を伸長させた状態で載置したならば、この合成樹脂21が硬化する以前に(半硬化状態で)、上記ゴムシート4を収縮させる。この結果、図9(c)に示すように、上記中間層20が、上面に皺を寄せつつ収縮し、この中間層20の上面に設けられた上記合成樹脂21及び表面層22が、上下両面に皺を寄せつつ収縮する。このように合成樹脂21の上下両面に形成される皺を構成する凸部の先端部同士が直接当接しない事は、前述した各実施形態の場合と同様である。そこで、このように上下両面に皺を寄せた合成樹脂21を、上記中間層20と上記表面層22によりサンドイッチ状に挟んだ状態のまま、硬化させる。
【0071】
このようにして、上下両面に多数の皺を寄せた状態のまま、上記合成樹脂21を硬化させたならば、図9(d)に示すように、上記中間層20及び表面層22を除去する。この除去作業は、上記合成樹脂21の上下両面に水を吹き付ける事により、或はこの合成樹脂21を熱湯に漬ける(上記中間層20及び表面層22が寒天製の場合)事により行なう。このようにして、上記合成樹脂21の上下両面から上記中間層20及び表面層22を除去すれば、図10に示すように、両面に多数の皺23を寄せた、合成樹脂製の皺寄せプレート1eが得られる。
【0072】
かかる構成とすることにより、合成樹脂21の両面には、中間層20或いは表面層22による凹凸24が形成されることとなるため、所望の表面形状を有する中間層20をゴムシート4と合成樹脂21との間に介在させることで、所望の形状の皺を有する皺寄せプレートを得ることが可能となる。また、合成樹脂21の上面に表面層22を張着することにより、両面に所望の形状の皺が形成された皺寄せプレートを得ることもできる。かかる皺寄せプレート1eは、例えば一般家屋の応接室やオーディオルームの内壁面を覆うことにより、当該部屋の内面の意匠を考慮しつつ、音響特性を良好にすることができる。
【0073】
尚、単に表面に多数の皺を有する合成樹脂製の皺寄せプレートは、射出成形によっても造る事ができる。但し、その場合には、多数の皺を有する凹部の断面形状を、開口部の幅(直径)が奥部の幅(直径)以上の形状とする必要がある。言い換えれば、本例の様に、凹部の断面形状が巾着状である多数の皺を有する合成樹脂製の皺寄せプレートを、射出成形により造る事はできない。本例の皺寄せプレートの製造方法によれば、合成樹脂製製品の一般的製造方法である射出成形によっては得られない形状を得ることができるのである。
【0074】
(実施形態5について)
上記各実施形態では、支持基盤を用いて皺寄せプレートを製造する方法について説明したが、支持基盤を用いた皺寄せプレートの製造方法には、製造効率、製造コストの面で課題があった。すなわち、支持基盤を用いた皺寄せプレートの製造方法では、支持基盤を硬化させた後に、当該硬化した支持基盤を伸縮機能材から取り外す作業が必要となるが、支持基盤の硬化により当該支持基盤と収縮機能材とが密着した状態となるため、当該取り外し作業が困難であった。また、支持基盤の厚さをある程度厚くしておかなければならないため、薄い皺寄せプレートを得たい場合は、上記製造方法により得られた皺寄せプレートの底部を事後的に取り除く必要があり、しかも、取り除いた部分をもう一度皺寄せプレートの製造に用いることもできなかった。
【0075】
そこで、本実施形態では、皺寄せプレートをより効率的にかつ低コストで製造するため、上記各実施形態にかかる皺寄せプレートに代えて、伸長させた状態の伸縮機能材の上面に、収縮自在で、後処理により除去可能な中間層を載置する工程と、この中間層の上面に、シート状の可撓部材を張着する工程と、伸縮機能材を収縮させることにより、可撓部材に皺を寄せる工程と、可撓部材の上面を未硬化状態の裏打ち材で被覆する工程と、未硬化状態の裏打ち材を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法とした。
【0076】
かかる場合、先ず、図11(a)に示すように、ゴムシート4の上面に中間層40を載置する。この中間層40は、実施形態4における中間層20と同様、圧縮方向の力によって塑性変形しつつ収縮自在で、且つ、後処理により除去可能な材料製であり、具体的には、澱粉糊等の各種水溶性の糊、寒天を煮て固めたもの等、水溶性の各種ゲル状物質であるが、その表面にはメッシュ状の細かい凹部は形成されていない。次に、図11(b)に示すように、シート状の可撓部材41を載置する。
【0077】
ここでシート状の可撓部材は、具体的には、合成樹脂フィルム、金属箔、紙等を用いることができる。
【0078】
上述のように、ゴムシート4の上面に、中間層40及び可撓部材41を、このゴムシート4を伸長させた状態で載置したならば、上記ゴムシート4を収縮させる。この結果、図11(c)に示すように、上記中間層40が、上面に皺を寄せつつ収縮するとともに、この中間層40の上面に設けられた可撓部材41も皺を寄せつつ収縮する。この際、可撓部材41に形成される皺を構成する凸部の先端部同士が直接当接しない事は、前述した各実施形態の場合と同様である。
【0079】
次に、可撓部材41に皺を寄せた後、図11(d)に示すように、当該可撓部材41の上面を裏打ち材42により被覆する。
【0080】
この裏打ち材42は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂或いは粘土等、硬化の過程で粘度が次第に高くなるものを使用する。
【0081】
このようにして、可撓部材41に多数の皺を寄せた状態のまま、上記裏打ち材42を硬化させたならば、図11(e)に示すように、上記中間層40を除去する。この除去作業は、上記可撓部材41に水を吹き付ける事により、或は、この可撓部材41を熱湯に漬ける(上記中間層40が寒天製の場合)事により行なう。このようにして、上記可撓部材41の下面から上記中間層40を除去すれば、ゴムシート4の収縮による皺が形成された皺寄せプレート1hを得る事ができる。この際、裏打ち材42を硬化させても、可撓部材41と中間層40とは密着した状態とはならないため、上記除去作業を容易に行うことができる。また、形成される皺寄せプレート1hは、裏打ち材42によって裏打ちされた状態となっているため、可撓部材に寄せられた皺の形状を維持することができるとともに、当該皺寄せプレート1hの強度を高めることができる。
【0082】
このように、本実施形態にかかる皺寄せプレートの製造方法によれば、シート状の可撓部材41に皺を寄せた後に、裏打ち材42により当該可撓部材41を裏打ちすることにより、所望の厚さの皺寄せプレートを製造段階で得る事ができ、事後的に不要な部分を取り除く作業を行う必要がないため、製造効率を高めるとともに製造コストを抑えることができる。また、可撓部材41は可撓性を有するシート状の部材であればよいため、材料の選択の自由度が高く、様々な用途に合った皺寄せプレートを製造することができる。しかも、中間層40は、再利用することができるため、皺寄せプレートをより低コストで製造することができる。
【0083】
かかる製造方法により得られる皺寄せプレート1hは、表面に隆起による不規則な皺が連続的に多数形成され、多数の隆起による皺の隣接する間隔が、当該皺の膨大部より当該皺の底部が大となるように形成される。このような構造とすることにより、電波吸収性能や音波吸収性能に優れた皺寄せプレートを提供することができる。
【0084】
なお、シート状の可撓部材41は、その表面に凹凸形状を有するものであってもよい。かかる場合、シート状の可撓部材は、合成樹脂フィルム、金属箔、紙の他に、炭素・金属・ガラス繊維等で織った布等を用いることもできる。ここで、合成樹脂フィルム、金属箔、紙のように、本来表面に凹凸形状を有さないものについては、所定の凹凸形状が形成された送りローラ等により表面に当該所定の凹凸形状を押圧形成する。
【0085】
このように、表面に凹凸形状を有するシート状の可撓部材を用いることにより、ゴムシート4の収縮による皺が形成されるとともに、各皺の表面には、支持基盤に予め形成された凹凸による凹凸形状が多数形成された皺寄せプレートを得ることができる。したがって、予め所望の形状の凹凸が施された可撓部材を用いることにより、所望の形状の凹凸を有する皺寄せプレートを得ることができる。また、可撓部材を収縮させる際に、当該可撓部材の下面に載置された中間層も同様に収縮されるため、可撓部材の表面に多数の皺を互いが当接することなく形成することができ、皺寄せプレートを電波吸収体として有用な形状とすることができる。
【0086】
(実施形態6について)
上記実施形態1〜3或いは実施形態5、6では、ゴムシート4を一気に収縮させているため、粘土5の上面には、比較的うねりの大きな皺とこの皺の表面に形成される織布6或いは型押し板10による細かい皺とが形成されることとなるが、これに代えて、ゴムシート4の収縮を多段階で行うことで、粘土5の表面により多くの皺を形成することとしてもよい。
【0087】
すなわち、本実施形態では、先ず、図12(a)に示す様に、伸長させた状態のゴムシート4の上面に、粘土5を載置し、さらに、この粘土5の上面に織布6を張着する。
【0088】
次いで、図12(b)に示す様に、上記ゴムシート4を途中まで(未だ収縮可能な余地を十分に残して)収縮させることにより、この粘土5の上面及び織布6に皺を形成する。この状態で寄る皺は、この粘土5が未だ十分に軟らかい(粘度が低い)為、うねりが小さい(ピッチが細かい)皺となる。この小さなうねりの皺が第1の皺18となる。
【0089】
このようにして、上記粘土5の上面にうねりが小さい第1の皺18を形成したならば、上記ゴムシート4をそのままの(途中迄収縮させた)状態でしばらく放置して、上記粘土5を少しだけ乾燥させ、この粘土5を少しだけ硬くする(粘度を高くする)。この粘土5が少しだけ硬くなったならば、図12(c)に示すように、上記ゴムシート4を、更に少しだけ(未だ収縮可能な余地を十分に残して)収縮させる。この結果、上記粘土5には、上記図12(b)の状態から更に、面方向に亙って圧縮方向の力が加わる。この状態では、上記粘土5の粘度は少し高くなっているので、この圧縮方向の力に基づいてこの粘土5の上面に寄る皺のうねりは、上記第1の皺18よりも大きく(ピッチが粗く)なる。この様に、大きなうねりの皺が第2の皺19となる。第1の皺18は、上記粘土5の表面にそのまま残るので、この粘土5の表面には、上記第2の皺19の表面に上記第1の皺18が存在する、複合皺寄せ形状となり、この表面部分の断面形状はフラクタル曲線状になる。そして、この粘土5を焼成して硬化させることにより、図12(d)に示すように、皺寄せシート1dが得られる。
【0090】
以上のようにして得られた皺寄せシート1dの表面には、起伏の大きな第2の皺19の表面に、当該第2の皺19よりも細かい第1の皺18が形成され、さらに、第1の皺18の表面には、織布6の凹凸による皺が形成されることとなる。すなわち、かかる構成とすることにより、プレート表面に形成される皺の形状を制御しつつも、より複雑な形状の皺を当該プレート表面上に形成することが可能となる。
【0091】
(実施形態7について)
また、上記各実施形態において、硬化後の支持基盤あるいは可撓部材の表面を、各種被覆材で被覆することとしてもよい。
【0092】
すなわち、上記各実施形態にかかる製造方法によって皺寄せプレート1fを形成した後、図13に示すように、当該皺寄せプレート1f表面の皺26や凹凸27、及び皺26と皺26との間の空間28を被覆材25により被覆する。かかる構成とすることにより、皺寄せプレート1f表面の形状を、当該プレート1fに形成された皺26等に影響されない形状とすることができ、しかも、強度を高めることができる。したがって、例えば、皺寄せプレート1fの上面を、被覆材として電波透過材で被覆して皺寄せプレート1fの表面を略平滑面とすることとすれば、汚れの付着を防ぐことができるため、かかる皺寄せプレート1fを、医療器具が電波の影響により誤作動するのを防止する電波吸収遮蔽壁などに有効に適用することが可能となる。
【0093】
ここで、電波透過材としては、FRP(Fiber Reinforced Plastic)樹脂、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic)樹脂等を用いるとよい。
【0094】
また、皺寄せプレート1fの上面を、被覆材として、発泡スチロールや発泡ウレタン等の発泡樹脂材料で被覆することとすれば、一般家屋の応接室やオーディオルームの防音壁としても有効に用いることができる。
【0095】
(実施形態8について)
また、上記各実施形態において、未硬化状態の支持基盤の表面に、微粒子を付着させた後、伸縮機能材の収縮により、当該支持基盤の表面に皺を寄せることとしてもよい。
【0096】
すなわち、例えば、伸長した状態のゴムシート4に未硬化状態の粘土5を載置し、当該未硬化状態の粘土5の上面に織布6を張着するとともに微粒子を付着させる。ここで、微粒子としては、樹脂製或いは金属製の微粒子であり、焼成する際に消滅することのない材料を用いることが望ましい。そして、ゴムシート4を収縮させることにより、粘土5の上面及び織布6に皺を寄せ、その後、焼成することにより、図14に示すような皺寄せプレート1gが形成される。このように形成することにより、当該皺寄せプレート1gの表面には、ゴムシート4の収縮による皺31と、織布6による細かい凹凸32と、微粒子による更に細かい凹凸33とが形成されることとなる。
【0097】
かかる構成とすることにより、表面形状がより複雑化し、入射した電波を乱反射するため、電波吸収性能のより高い皺寄せプレートを得ることができる。
【0098】
なお、上記のように、未硬化状態の支持基盤の表面に、微粒子を付着させるのではなく、未硬化状態の支持基盤中に当該微粒子を予め混入させておいてもよい。かかる構成とすることにより、上記と同様の効果を得ることができるばかりでなく、未硬化状態の支持基盤の上面に微粒子を付着させる作業を行う手間を省くことができるため、生産効率を高めることができる。また、未硬化状態の支持基盤中に粒径の比較的大きな粒子と粒径の比較的小さな粒子とを混入させておくことにより、硬化後の支持基盤上面にこれら粒子による更に微細な凹凸を形成することができ、皺寄せプレートの電波吸収性能をより一層向上させることができる。
【0099】
以上、本発明の実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0100】
例えば、上記各実施形態では、伸縮機能材としてゴムシートを用いたが、伸縮性を有する機能を有しておればよく、例えば、熱収縮フィルムや形状記憶合金、形状記憶樹脂、等を用いてもよい。
【0101】
また、伸縮機能材としては、上記のように素材の持つ物性によって伸縮するもの以外に、例えば、カメラ用の絞り装置のように、略円形に形成された基盤の周縁に沿って設けられた複数の絞り羽根を、当該基盤の中心に向かって摺動させることで収縮を行うもの等、機械的に伸縮するものであってもよい。このように、伸縮機能材として、機械的に伸縮するものを用いることにより、生産効率を高めることができるとともに、個体差の少ない皺寄せプレートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】実施形態1における皺寄せプレートの製造工程を示す図である。
【図2】実施形態1における織布の構成を示す図である。
【図3】図1(c)の段階における粘土の表面近傍の拡大図である。
【図4】図1(d)の段階における皺寄せプレートの表面近傍の拡大図である。
【図5】実施形態1における皺寄せプレートの外観図である。
【図6】実施形態1における皺寄せプレートの電波吸収特性についての測定結果を示したグラフである。
【図7】実施形態2における型押し板の構成を示す図である。
【図8】実施形態2における型押し板の構成のバリエーションを示す図である。
【図9】実施形態4における皺寄せプレートの製造工程を示す図である。
【図10】実施形態4における皺寄せプレートの側面拡大図である。
【図11】実施形態5における皺寄せプレートの製造工程を示す図である。
【図12】実施形態6における皺寄せプレートの製造工程を示す図である。
【図13】実施形態7における皺寄せプレートの側面拡大図である。
【図14】実施形態8における皺寄せプレートの側面拡大図である。
【符号の説明】
【0103】
1a、1d、1e、1f、1g、1h 皺寄せプレート
2 皺
3 凸部
4 ゴムシート
5 粘土
6 織布
7 繊維体
10 型押し板
18 第1の皺
19 第2の皺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸の型押しがなされた未硬化状態の支持基盤を、伸長させた状態の伸縮機能材上面に重ねて載置する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法。
【請求項2】
前記凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤上面に織布を張着することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項3】
前記凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤上面に、予め凹凸を形成した型押し板を型押しすることにより形成することを特徴とする請求項1に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項4】
前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程は、前記未硬化状態の支持基盤を半硬化させる工程と、前記伸縮機能材を途中まで収縮させて、当該半硬化状態の支持基盤の上面に第1の皺を寄せる工程と、前記伸縮機能材を更に収縮させて、前記支持基盤の上面に、前記第1の皺よりも大きな第2の皺を寄せる工程と、よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項5】
予め凹凸を形成した凹凸シートを張着した未硬化状態の支持基盤を、伸長させた状態の伸縮機能材上面に重ねて載置する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、
よりなる皺寄せプレートの製造方法。
【請求項6】
前記支持基盤は、粘土よりなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項7】
伸長させた状態の伸縮シートと、この伸縮シート上面に重ねて載置される未硬化状態の支持基盤との間に、収縮自在で、後処理により除去可能であり、且つ、表面に前記支持基盤に向かって凹凸形状を有する中間層を介在させる工程と、
前記伸縮シートを収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、
前記支持基盤を硬化させる工程と、
よりなる皺寄せプレートの製造方法。
【請求項8】
前記支持基盤の表面を被覆材により被覆することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項9】
伸長させた状態の伸縮機能材の上面に、収縮自在で、後処理により除去可能な中間層を載置する工程と、この中間層の上面に、シート状の可撓部材を張着する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記可撓部材に皺を寄せる工程と、前記可撓部材の上面を未硬化状態の裏打ち材で被覆する工程と、前記未硬化状態の裏打ち材を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法。
【請求項10】
少なくとも表面に隆起による不規則な皺を連続的に多数形成するとともに、各皺の表面には、多数の微細な凹凸を形成し、
多数の隆起による皺の隣接する間隔を、前記皺の膨大部より前記皺の底部が大となるように形成したことを特徴とする皺寄せプレート。
【請求項1】
表面に凹凸の型押しがなされた未硬化状態の支持基盤を、伸長させた状態の伸縮機能材上面に重ねて載置する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法。
【請求項2】
前記凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤上面に織布を張着することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項3】
前記凹凸の型押しは、未硬化状態の支持基盤上面に、予め凹凸を形成した型押し板を型押しすることにより形成することを特徴とする請求項1に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項4】
前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程は、前記未硬化状態の支持基盤を半硬化させる工程と、前記伸縮機能材を途中まで収縮させて、当該半硬化状態の支持基盤の上面に第1の皺を寄せる工程と、前記伸縮機能材を更に収縮させて、前記支持基盤の上面に、前記第1の皺よりも大きな第2の皺を寄せる工程と、よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項5】
予め凹凸を形成した凹凸シートを張着した未硬化状態の支持基盤を、伸長させた状態の伸縮機能材上面に重ねて載置する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、前記支持基盤を硬化させる工程と、
よりなる皺寄せプレートの製造方法。
【請求項6】
前記支持基盤は、粘土よりなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項7】
伸長させた状態の伸縮シートと、この伸縮シート上面に重ねて載置される未硬化状態の支持基盤との間に、収縮自在で、後処理により除去可能であり、且つ、表面に前記支持基盤に向かって凹凸形状を有する中間層を介在させる工程と、
前記伸縮シートを収縮させることにより、前記支持基盤の少なくとも表面に皺を寄せる工程と、
前記支持基盤を硬化させる工程と、
よりなる皺寄せプレートの製造方法。
【請求項8】
前記支持基盤の表面を被覆材により被覆することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の皺寄せプレートの製造方法。
【請求項9】
伸長させた状態の伸縮機能材の上面に、収縮自在で、後処理により除去可能な中間層を載置する工程と、この中間層の上面に、シート状の可撓部材を張着する工程と、前記伸縮機能材を収縮させることにより、前記可撓部材に皺を寄せる工程と、前記可撓部材の上面を未硬化状態の裏打ち材で被覆する工程と、前記未硬化状態の裏打ち材を硬化させる工程と、よりなる皺寄せプレートの製造方法。
【請求項10】
少なくとも表面に隆起による不規則な皺を連続的に多数形成するとともに、各皺の表面には、多数の微細な凹凸を形成し、
多数の隆起による皺の隣接する間隔を、前記皺の膨大部より前記皺の底部が大となるように形成したことを特徴とする皺寄せプレート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−172860(P2009−172860A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13552(P2008−13552)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(506137996)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(506137996)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]