説明

盗難防止具

【課題】重量が軽くて嵩張らないうえ、部品点数が少なく、しかも、商品等を位置決めする機能を有し、しかも、手に取って見たのちに簡単に元の陳列場所に戻すことができ、しかも、周囲の他物を損傷させたり、破損させたりすることがなく、しかも、金属音を出さない盗難防止具を提供する。
【解決手段】商品等に固定される第1固定用シート部11と、上記商品等の陳列場所に固定される第2固定用シート部13と、これら両固定用シート部11,13に連結される連結部とを備えており、この連結部が、同一平面上で曲げ形成された合成樹脂製の帯状体12からなって伸縮自在に構成され、この帯状体12の一端部が第1固定用シート部11に連結され、他端部が第2固定用シート部13に連結され、上記帯状体12をその弾性力に抗して一側方に伸長させた状態では、上記帯状体12に、これを元の曲げ状態に戻そうとする復元力が作用するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、化粧料容器等の小形,軽量の各種商品やその見本品を店頭等で陳列,展示する陳列装置等では、上記商品や見本品が盗難されないように、各種の盗難防止具が用いられている。このような盗難防止具として、図11に示すようなものが用いられている。この盗難防止具は、一側面に両面テープ31a,32aが貼着され他側面にリング体31b,32bが着脱自在に固定された2つの固定金具31,32と、これら両固定金具31,32のリング体31b,32bに取付けられ上記両固定金具31,32を連結するチェーン33と、このチェーン33に挿通されたナット34とを備えている。そして、一方の固定金具31の両面テープ31aを陳列装置の陳列棚(図示せず)に固定するとともに、他方の固定金具32の両面テープ32aを、上記陳列棚に陳列される商品等(図示せず)に固定し、チェーン33を、上記陳列棚に設けた穴や上記陳列棚の側端縁から下方に垂らすようにしている。このものでは、上記陳列棚に商品等がチェーン33を介して連結,固定されているため、上記陳列棚から商品等を持ち去ろうとしても、持ち去ることができない。また、持ち去ろうとした商品等を、これを陳列していた場所から離れた場所(例えば、同じ陳列棚で、元の陳列場所から離れた場所)に放置しても、この放置により、チェーン33に挿通したナット34がその重みで降下し、チェーン33が、上記商品等を陳列していた場所に向かって引っ張られるため、商品等が上記場所もしくはその近傍に戻って来るようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の盗難防止具では、2つの固定金具31,32とチェーン33とナット34とを用いており、重量が重く、嵩張るうえ、部品点数が多く、運搬作業や保管作業等に手間がかかり、運搬や保管等のために広いスペースが必要になり、また、在庫管理等が煩雑化する。しかも、両固定金具31,32がチェーン33で連結されているだけであるため、商品等を簡単に横方向等に移動させることができ、商品等を位置決めする機能を有していない。しかも、商品等を手に取って見たのち元の陳列場所に戻そうとしても、元の陳列場所を覚えていない場合には、元の陳列場所の目安となるものは上記一方の固定金具31だけであるため、この固定金具31の近くに戻すことはできるものの、元の陳列場所に戻すことができない。しかも、チェーン33やナット34は金属製であるため、陳列装置や商品等の周囲の他物に当たると、これらを損傷させたり、破損させたりする。しかも、両固定金具31,32を上記陳列棚や商品等に固定する際に、両固定金具31,32、チェーン33、ナット34同士が接触等して金属音を出し、耳障りである。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、重量が軽くて嵩張らないうえ、部品点数が少なく、しかも、商品等を位置決めする機能を有し、しかも、手に取って見たのちに簡単に元の陳列場所に戻すことができ、しかも、周囲の他物を損傷させたり、破損させたりすることがなく、しかも、金属音を出さない盗難防止具の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の盗難防止具は、商品等に固定される第1シート部と、上記商品等の陳列場所に固定される第2シート部と、これら両シート部に連結される連結部とを備え、この連結部が、同一平面上で曲げ形成された合成樹脂製の帯状体からなって伸縮自在に構成され、この帯状体の一端部が第1シート部に連結されているとともに、他端部が第2シート部に連結され、上記帯状体をその弾性力に抗して一側方に伸長させた状態では、上記帯状体に、これを元の曲げ状態に戻そうとする復元力が作用するようにした構成されているという構成をとる。
【発明の効果】
【0006】
すなわち、本発明の盗難防止具は、商品等に固定される第1シート部と、上記商品等の陳列場所に固定される第2シート部と、これら両シート部に連結される連結部とを備えている。また、上記連結部が、同一平面上で曲げ形成された合成樹脂製の帯状体からなって伸縮自在に構成され、この帯状体の一端部が第1シート部に連結されているとともに、他端部が第2シート部に連結されている。そして、上記帯状体をその弾性力に抗して一側方に伸長させた状態では、上記帯状体に、これを元の曲げ状態に戻そうとする復元力が作用するように構成されている。このように、本発明の盗難防止具では、商品等が陳列場所に帯状体を介して連結,固定されているため、商品等を陳列場所から持ち去ろうとしても、持ち去ることができない。また、持ち去ろうとした商品等を、陳列場所から離れた場所に放置しても、上記帯状体の復元力により、商品等が元の陳列場所もしくはその近傍にまで戻される。
【0007】
しかも、上記連結部が、同一平面上で曲げ形成された合成樹脂製の帯状体からなり、かつ復元力を有しているため、重量が軽く、嵩張らないうえ、従来例のようなナット34を必要とせず、部品点数が少なくなる。したがって、運搬作業や保管作業等に手間がかからず、運搬や保管等のために広いスペースを必要としないうえ、在庫管理等が簡素化する。しかも、上記帯状体が、同一平面上で曲げ形成された(復元力を有する)もので構成されているため、これを横方向に移動させて商品等の位置を横方向にずらせることが難しく、商品等を所定の位置に位置決めすることが可能になる。しかも、商品等を手に取って見たのち陳列場所に戻そうとすると、上記帯状体の復元力により商品等が元の陳列場所に引っ張られるため、商品等を元の陳列場所に簡単に戻すことができる。しかも、上記帯状体が合成樹脂製であるため、周囲の他物に当たっても、これを損傷させたり、破損させたりすることがないうえ、金属音等を発することがなく、耳障りでもなくなる。なお、本発明において、「商品等」とは、商品以外に、その見本品等を含む意味である。また、本発明において、「陳列場所」とは、商品等を陳列するための場所を指し、陳列棚や陳列台等、商品等を載置して陳列,展示する場所だけでなく、この場所で商品等の周囲に配設されているもの(例えば、縦壁,縦板や天井壁,天井板)をも含む意味である。
【0008】
また、上記帯状体が同一平面上でらせん状にもしくはジグザグ状に曲げ形成されていると、簡単な曲げ形状でありながら、伸長時の長さが長い帯状体を得ることができる。
【0009】
また、上記両シート部と帯状体とが1枚の合成樹脂製のシート材により一連に形成され、上記帯状体を収縮させた状態で、上記帯状体が同一平面上に配設され、かつ上記両シート部とも同一平面上に配設されていると、厚みが薄くて嵩張らない盗難防止具を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0011】
図1および図2は本発明の盗難防止具の一実施の形態を示している。これらの図において、1は透明な罫線入りプラスチックシートであり、四角形状に形成された1枚のプラスチック(PET[ポリエチレンテレフタレート],PP[ポリプロピレン]等)製の透明シートを、罫線刃(ともに図示せず)を用い、所定の外形に形成するとともに、らせん状の切り目1aを形成したものからなっている。このプラスチックシート1は、略円形に形成された第1固定用シート部(第1シート部)11と、この第1固定用シート部11の外周縁から延び上記第1固定用シート部11の外周面に沿ってらせん状に(この実施の形態では、3〜4周程度)巻回される一条の帯状体12と、この帯状体12の一端(遊端)に連結される略円形の第2固定用シート部(第2シート部)13とを備えており、上記帯状体12が、上記両固定用シート部11,13を連結する連結部となっている。このようにらせん状に巻回された帯状体12は、その弾性力に抗して上方向や斜め上方向に伸長させることが可能であり、この伸長状態では、上記帯状体12に、これを元の曲げ状態に戻そうとする復元力が作用している。一方、上記帯状体12を横方向に伸長させることは難しい。また、上記両固定用シート部11,13と帯状体12とは、上記プラスチックシート1に形成されたものであるから、同一平面上に配設されている。
【0012】
2は上記第1固定用シート部11の上面に接着,固定された第1両面テープであり、四角形状のスポンジ製シートの両面に接着剤層(ともに図示せず)を形成したもので構成されている。この第1両面テープ2は、使用時には陳列台(陳列場所)5上に載置される口紅容器等の見本品6の底面に接着,固定される(図3参照)。3は上記第2固定用シート部12の下面に接着,固定された第2両面テープであり、四角形状のスポンジ製シートの両面に接着剤層(ともに図示せず)を形成したもので構成されている。この第2両面テープ3は、使用時には上記陳列棚5に接着,固定される(図3参照)。
【0013】
上記の構成において、陳列台5に見本品6を陳列する場合には、見本品6の底面に第1両面テープ2を介して第1固定用シート部11を接着,固定し、見本品6を陳列台5上の所望の位置に載置したのち、第2固定用シート部13を第2両面テープ3を介して陳列台5上に接着,固定することを行う。また、この陳列状態から、見本品6を持ち去ろうとしても、この見本品6は陳列台5に上記両固定用シート部11,13および帯状体12を介して連結,固定されているため、持ち去ることができない(図4参照)。また、持ち去ろうとした見本品6を、この見本品6を載置した場所(元の陳列場所)から離れた場所に放置しても、上記帯状体12の復元力により、見本品6は元の陳列場所もしくはその近傍位置に戻される。
【0014】
このように、上記実施の形態では、陳列台5上に載置された見本品6を持ち去ろうとしても、持ち去ることができない。また、持ち去ろうとした見本品6を元の陳列場所から離れた場所に放置しても、帯状体12の復元力により、元の陳列場所もしくはその近傍位置に戻すことができる。また、見本品6を手にとって見たのち元の陳列場所に戻そうとすると、上記帯状体12の復元力により見本品6が元の陳列場所に引っ張られるため、見本品6を元の陳列場所に簡単に戻すことができる。しかも、1枚のプラスチックシート1に両固定用シート部11,13と帯状体12とが形成されているため、重量が軽く、嵩張らないうえ、従来例のようなナット34を必要とせず、部品点数が少なくなる。したがって、運搬作業や保管作業等に手間がかからず、運搬や保管等のために広いスペースを必要としないうえ、在庫管理等が簡素化する。しかも、上記帯状体12を横方向に伸長させて見本品6の位置を横方向にずらせることが難しいため、見本品6を所定の位置に位置決めすることが可能になる。しかも、上記帯状体12がプラスチック製であるため、周囲の他物に当たっても、これを損傷させたり、破損させたりすることがないうえ、金属音等を発することもない。
【0015】
図5は本発明の盗難防止具の他の実施の形態を示している。この実施の形態では、上記プラスチックシート1は、略円形に形成された第1固定用シート部15と、略円形に形成された第2固定用シート部16と、上記第1固定用シート部15の外周縁から延び上記第1固定用シート部15の外周面に沿ってらせん状に(3〜4周程度)巻回される左側帯状体17aと上記第2固定用シート部16の外周縁から延び上記第2固定用シート部16の外周面に沿ってらせん状に(3〜4周程度)巻回される右側帯状体17bとを連結してなる一条の帯状体17とを備えている。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、上記実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0016】
図6は本発明の盗難防止具のさらに他の実施の形態を示している。この実施の形態では、図5に示す実施の形態において、帯状体17の左側帯状体17aと右側帯状体17bとを連結片17cを介して連結している。それ以外の部分は、図5に示す実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、図5に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0017】
図7は本発明の盗難防止具のさらに他の実施の形態を示している。この実施の形態では、上記プラスチックシート1は、略四角形に形成された第1固定用シート部19と、この第1固定用シート部19の外周縁から延び上記第1固定用シート部19の外周面に沿って略直角に折れ曲がりながら(3〜4周程度)巻回される帯状体20と、この帯状体20の一端(遊端)に連結される略四角形の第2固定用シート部21とを備えている。それ以外の部分は、図1および図2に示す実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、図1および図2に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0018】
図8は本発明の盗難防止具のさらに他の実施の形態を示している。この実施の形態では、上記プラスチックシート1は、略四角形に形成された第1固定用シート部23と、略四角形に形成された第2固定用シート部24と、略長方形に形成された連結部25とを備えている。この連結部25には、一側面(この実施の形態では、前側面)から他側面(この実施の形態では、後側面)に向かって一直線状に延びる切り目25aと、他側面から一側面に向かって一直線状に延びる切り目25bとが左右に交互に形成されており、これにより、上記連結部25が、ジグザグ状に折れ曲がる一条の帯状体に形成されている。それ以外の部分は、図1および図2に示す実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、図1および図2に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0019】
図9は本発明の盗難防止具のさらに他の実施の形態を示している。この実施の形態では、図8に示す実施の形態における切り目25a,25bに代えて、所定の幅を有する切欠き部27a,27bが形成されている。また、前後方向の長さが内側ほど長く形成されている。それ以外の部分は、図8に示す実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、図8に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0020】
図10は本発明の盗難防止具の他の使用態様を示している。この使用態様では、図1および図2に示すプラスチックシート1を陳列台5の縦壁5aに接着,固定している。この使用態様でも、図1および図2に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0021】
なお、上記各実施の形態では、陳列台5に口紅容器等の見本品6を陳列しているが、これに限定するものではなく、商品である口紅容器等を陳列してもよいし、口紅容器以外の各種の商品もしくはその見本品6を陳列してもよい。また、上記各実施の形態では、両固定用シート部11,13に両面テープ2,3を接着,固定しているが、マジックテープ,強粘着剤等の各種の固定手段を固定することができる。また、このような固定手段は、両固定用シート部11,13や陳列台5,見本品6に着脱可能でもよいし、着脱不能でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の盗難防止具の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】上記盗難防止具の側面図である。
【図3】上記盗難防止具の使用態様を示す側面図である。
【図4】上記盗難防止具の作用を示す説明図である。
【図5】本発明の盗難防止具の他の実施の形態を示す平面図である。
【図6】本発明の盗難防止具のさらに他の実施の形態を示す平面図である。
【図7】本発明の盗難防止具のさらに他の実施の形態を示す平面図である。
【図8】本発明の盗難防止具のさらに他の実施の形態を示す平面図である。
【図9】本発明の盗難防止具のさらに他の実施の形態を示す平面図である。
【図10】上記盗難防止具の他の使用態様を示す側面図である。
【図11】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
11 第1固定用シート部
12 帯状体
13 第2固定用シート部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品等に固定される第1シート部と、上記商品等の陳列場所に固定される第2シート部と、これら両シート部に連結される連結部とを備え、この連結部が、同一平面上で曲げ形成された合成樹脂製の帯状体からなって伸縮自在に構成され、この帯状体の一端部が第1シート部に連結されているとともに、他端部が第2シート部に連結され、上記帯状体をその弾性力に抗して一側方に伸長させた状態では、上記帯状体に、これを元の曲げ状態に戻そうとする復元力が作用するようにした構成されていることを特徴とする盗難防止具。
【請求項2】
上記帯状体が同一平面上でらせん状にもしくはジグザグ状に曲げ形成されている請求項1記載の盗難防止具。
【請求項3】
上記両シート部と帯状体とが1枚の合成樹脂製のシート材により一連に形成され、上記帯状体を収縮させた状態で、上記帯状体が同一平面上に配設され、かつ上記両シート部とも同一平面上に配設されている請求項1または2記載の盗難防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−9436(P2007−9436A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188451(P2005−188451)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】