説明

盗難防止装置

【課題】電子機器に充電器を接続して展示する場合、電子機器に盗難防止のワイヤ等を装着すると、見た目が悪いうえに、電子機器を操作し難くなるという問題点があった。
【解決手段】携帯電話機Mと充電器Cとの間に介装する盗難防止装置A1であって、充電器Cを接続する入力側接続部1と、携帯電話機Mに接続する出力側接続部2と、充電中に電圧を検出する電圧検出器3と、警報音を発生する警報器4と、電圧検出器3の検出値に異常が生じた場合に警報器4を作動させる制御器6と、各機器の電源である内部電池7と、各機器と内部電池7の間を開閉する電源スイッチ8を備えた構成とし、本来の盗難防止機能を備えたうえで、充電器Cの一部のような外観を呈するものとし、見た目や携帯電話機Mの操作性を良好にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の電子機器と充電器との間に介装して用いる盗難防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、家電製品などを取り扱う商店においては、消費者が商品を自由に操作できるように見本としての展示商品を用意しており、とくに携帯電話機やカメラ等の比較的小型の展示商品に対しては、その盗難を防止するために、適当な固定部位と展示商品とをワイヤで連結するといった対策をとっている(特許文献1参照)。また、展示商品に取り付けたセンサの変化を検出して、警報を発生する盗難防止装置なども提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−248778号公報
【特許文献2】特開2004−139285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、携帯電話機のように二次電池を内蔵した比較的小型の電子機器を展示する場合には、電源切れにならないように、その電子機器に充電器を接続した状態にしておくことが多い。このため、その電子機器に盗難防止のワイヤ類を装着すると、そのワイヤや充電器のリード線などにより、展示場所が雑然とした状態になって見た目が悪いうえに、電子機器を操作し難くなる虞があるという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、二次電池を内蔵した比較的小型の電子機器と充電器の間に介装する装置であって、本来の盗難防止機能を備えたうえで、充電器の一部のような外観を呈することができ、見た目や電子機器の操作性が良好である盗難防止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の盗難防止装置は、請求項1として、電子機器と充電器との間に介装する盗難防止装置であって、充電器を接続する入力側接続部と、電子機器に接続する出力側接続部と、充電中において入力側接続部と出力側接続部の間の電圧を検出する電圧検出器と、警報音を発生する警報器と、電圧検出器の検出値に異常が生じた場合に警報器を作動させる制御器と、各機器の電源である内部電池と、各機器と内部電池の間を開閉する電源スイッチを備えた構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
【0007】
また、本発明の盗難防止装置は、請求項2として、電子機器の接続状態を検出する接続検出器を備え、制御器が、電圧検出器の検出値に異常が生じた場合に加えて、接続検出器で電子機器の接続状態を検出しない場合に警報器を作動させる制御を行う構成とし、請求項3として、電源スイッチを外部から操作する別体の電源操作具を備えた構成とし、請求項4として、出力側接続部が、電子機器に係合するロック機構を有しており、このロック機構を外部から操作する別体のロック操作具を備えた構成とし、請求項5として、電源操作具及びロック操作具が共通の操作具であって、電源スイッチ及びロック機構が操作具により連動する構成とし、請求項6として、充電器のコネクタを覆うカバーを備えている構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に係わる盗難防止装置によれば、電子機器や充電器に改造を行う必要が全く無く、電子機器と充電器との間に介装するだけで、電子機器に対する通電が断たれた際に警報音を発生することとなり、この盗難防止機能を備えたうえで、充電器の一部のような外観を呈することができる。これにより、見た目が非常に良好であり、商店等における電子機器の展示場所が雑然とした状態になるような事態を防ぐことができると共に、電子機器の操作を妨げないので、電子機器の操作性も良好になる。
【0009】
本発明の請求項2に係わる盗難防止装置によれば、請求項1と同様の効果を得ることができるうえに、電子機器に対する通電が遮断された場合だけでなく、電子機器が外された場合に警報音を発生するので、盗難防止機能の確実性を高めることができる。
【0010】
本発明の請求項3に係わる盗難防止装置によれば、請求項1及び2と同様の効果を得ることができるうえに、警報器が不正に解除されるのを防止することができる。
【0011】
本発明の請求項4に係わる盗難防止装置によれば、請求項1〜3と同様の効果を得ることができるうえに、電子機器から不正に外されるのを防止することができる。
【0012】
本発明の請求項5に係わる盗難防止装置によれば、請求項3及び4と同様の効果を得ることができるうえに、専用の操作具を用いて、電源スイッチの開閉操作及びロック機構の係脱操作を同時に且つ容易に行うことができる。
【0013】
本発明の請求項6に係わる盗難防止装置によれば、請求項1〜5と同様の効果を得ることができるうえに、アダプタとコネクタをリード線で接続した構造を有する充電器を使用した場合に、その充電器と一体化させることができる。
【0014】
本発明の請求項7に係わる盗難防止装置によれば、請求項1〜6と同様の効果を得ることができるうえに、
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の盗難防止装置の一実施形態を説明するブロック図である。
【図2】盗難防止装置の回路図である。
【図3】制御器のプログラムを説明するフローチャートである。
【図4】図1の盗難防止装置の全体を示す説明図である。
【図5】図1の盗難防止装置の構成と作用を示す各々説明図(A)〜(D)である。
【図6】本発明の盗難防止装置の他の実施形態における構成と作用を示す各々説明図(A)〜(D)である。
【図7】ロック機構の係脱動作を示す各々説明図(A)〜(C)である。
【図8】本発明の盗難防止装置のさらに他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び図4に示す盗難防止装置A1は、電子機器である携帯電話機Mと充電器Cとの間に介装して用いる。図示例の充電器Cは、アダプタ(ACアダプタ)CaとコネクタCcをリード線Crで接続した構造を有しており、携帯電話機用の公知のものである。
【0017】
盗難防止装置A1は、例えば樹脂製のケーシングで外観を形成すると共に、充電器CのコネクタCcを接続する入力側接続部1と、携帯電話機Mを接続する出力側接続部2と、充電中において入力側接続部1と出力側接続部2の間の電圧を検出する電圧検出器3と、警報音を発生する警報器(ブザー)4及びその駆動部5と、電圧検出器3の検出値に異常が生じた場合に警報器4を作動させる制御器6と、各機器3〜6の電源である内部電池7と、各機器3〜6と内部電池7の間を開閉する電源スイッチ8を備えている。
【0018】
入力側接続部1は、携帯電話機Mの充電用接続端子と同等の構造を有し、充電器CのコネクタCcを機械的及び電気的に接続することができる。入力側接続部1とコネクタCcは、同コネクタCcの既存のリリースボタンを操作することで分離し得る。他方、出力側接続部1は、充電器CのコネクタCcの接続端子と同等の構成を有し、携帯電話機Mに機械的及び電気的に接続することができる。
【0019】
また、盗難防止装置A1は、携帯電話機Mの接続によりONとなる接続スイッチ9と、その接続状態を検出する接続検出器10を備え、制御器6が、電圧検出器3の検出値に異常が生じた場合に加えて、接続検出器10で携帯電話機Mの接続状態を検出しない場合、すなわち接続スイッチ9がOFFになった場合に警報器4を作動させる制御を行うものとなっている。
【0020】
さらに、盗難防止装置A1は、電源スイッチ8を外部から操作する別体の電源操作具P1を備えている。ここで、当該盗難防止装置A1は、ケーシングの電源スイッチ8に対応する部分にピンホールを有している。これに対して、電源操作具P1は、図1に示す如くピン状を成し、ピンホールに差し込んで電源スイッチ8を開閉操作する。
【0021】
このように、別体の電源操作具P1を採用することで、電源スイッチ8を操作して警報器4を不正に解除できないようにしている。よって、電源操作具P1は、携帯電話機Mとは別の場所に保管しておくのが望ましい。
【0022】
盗難防止装置A1の回路は、図2に示すように、入力側接続部1の接続端子T1、出力側接続部2の接続端子T2、警報器4、整流子D1、電界効果トランジスタQ1、制御器6、内部電池7、電源スイッチ8、各コンデンサC1,C2、各抵抗R1〜R3、及び接続スイッチ9により構成されている。
【0023】
さらに、盗難防止装置A1は、図7に示すように、出力側接続部2に、携帯電話機Mに係合するロック機構Rを備えていると共に、このロック機構Rを外部から操作する別体のロック操作具P2を備えている。
【0024】
ロック機構Rは、互いに外向きの鉤部を有する一対の係合爪N,Nと、両係合爪N,Nの間に介在するキーKを備えている。キーKは、楕円形を成し、回転により両係合爪N,Nの開度を増減することができる。すなわち、ロック機構Rは、両係合部N,Nの開度を小さくすると、図7(A)(C)に示すように、携帯電話機Mの接続端子部に対して係脱自在となり、両係合部N,Nの開度を大きくすると、図7(B)に示すように、携帯電話機Mの接続端子部に対して係合状態となる。
【0025】
上記ロック装置Rは、先述の電源スイッチ8及び電源操作具P1と同様に、ケーシングのキーKに対応する部分にピンホールを有し、このピンホールにピン状のロック操作具P2を差し込んでキーKを回転操作(係脱操作)する。また、図示例以外の構成としては、両係合部N,Nの開度を大きく維持するスプリングを介装した構成とし、スプリングに抗して両係合部N,Nを携帯電話機Mに係合すると共に、両係合部N,Nの開度を小さくする解除専用のロック操作具を用いても良い。
【0026】
このように、別体のロック操作具P2を採用することで、ロック機構Rを不正に解除できないようにしている。よって、電源操作具P2は、携帯電話機Mとは別の場所に保管しておくのが望ましい。
【0027】
上記構成を備えた盗難防止装置A1は、商店等において、見本である携帯電話機Mを展示する際に使用され、この際、携帯電話機Mや充電器Cに改造を行う必要が全く無いうえに、盗難防止用のワイヤ類も不要であり、充電器Cの一部のような外観を呈するものとなる。したがって、見た目が非常に良好であり、携帯電話機Mの展示場所が雑然とした状態になることもなく、しかも、携帯電話機Mの操作を妨げることもない。
【0028】
次に、図3のフローチャートに基づいて、盗難防止装置A1の動作を説明する。盗難防止装置A1は、携帯電話機Mと充電器Cの間に介装し、電源操作具P1を用いて電源スイッチ8をONにすると共に、ロック操作具P2を用いてロック機構Rを拘束状態(図7Bの状態)にする。また、携帯電話機Mとの接続により、接続スイッチ9もONになる。
【0029】
制御器6では、ステップS1において電源スイッチ8がONになると、ステップS2において、電圧検出器3により検出した充電電圧に異常があるか否かを判定し、ステップS3において、接続検出器10により接続状態が検出されているか否かを判定する。ステップS2で異常なしと判定した場合(YES)、及びステップS3で接続状態であると判定した場合(YES)には、この処理を送り返す。
【0030】
次に、ステップS2で異常あり(電圧低下)と判定した場合(NO)、及びステップS3で接続状態ではないと判定した場合(NO)には、ステップS4に移行して駆動部5により警報器4を作動させる。
【0031】
すなわち、盗難防止装置A1は、図5(A)に示す通常の状態から、図5(B)に示すように当該装置A1と充電器Cが外れた場合、図5(C)に示すように携帯電話機Mと当該装置A1が外れた場合、図5(D)に示すように充電器Cのリード線Crが切断された場合のいずれでも充電電圧がゼロになるので、これを電圧検出器3が検出し、警報器4を作動させる。
【0032】
また、携帯電話機Mと当該装置A1は、ロック機構Rにより係合状態を維持するが、図5(C)に示す如く双方を強制的に外すと、これを接続スイッチ9及び接続検出器10が検出し、警報器4を作動させる。
【0033】
さらに、盗難防止装置A1は、ステップS5において、電圧検出器3により検出した充電電圧に異常があるか否かを判定し、ステップS6において、接続検出器10により接続状態が検出されているか否かを判定する。そして、ステップS5で異常ありと判定した場合(NO)、及びステップS6で接続状態ではないと判定した場合(NO)には、この処理を送り返す。
【0034】
次に、ステップS5で異常なしと判定した場合(YES)、及びステップS6で接続状態であると判定した場合(YES)には、ステップS7に移行して駆動部5により警報器4を停止させる。
【0035】
なお、図5(B)〜(D)に示すように、充電経路が断たれたままの状態では、ステップ7に移行することが無く、再度接続されるまで警報器4が作動し続ける。この警報器4の作動は、電源操作具P1で電源スイッチ8を遮断すれば停止する。
【0036】
ここで、本発明の盗難防止装置は、電源操作具P2及びロック操作具P2を共通の操作具にすると共に、電源スイッチ8及びロック機構Rを操作具により連動させる構成にするとができる。この場合には、図1に示す電源スイッチ8と図7に示すロック機構RのキーKを並設し、必要に応じて連動させるための部材を追加する。これにより、専用の操作具により、電源スイッチ8の開閉操作及びロック機構Rの係脱操作を同時に且つ容易に行えるようになり、当該盗難防止装置A1の着脱の際に便利である。
【0037】
図6は、本発明の盗難防止装置の他の実施形態を説明する図である。この実施形態の盗難防止装置A2は、充電器Cを接続する入力側接続部1が装置本体と別体になっており、リード線15により装置本体と接続してある。この場合には、盗難防止装置A2自体があたかも充電器Cのように見えることとなり、外観体裁が良好である。
【0038】
また、上記の盗難防止装置A2にあっても、図6(A)に示す通常の状態から、図6(B)に示すように当該装置A2と充電器Cが外れた場合、図6(C)に示すように携帯電話機Mと当該装置A2が外れた場合、図6(D)に示すように当該装置A2のリード線又は充電器Cのリード線Crが切断された場合のいずれにおいても警報器4が作動する。
【0039】
図8は、本発明の盗難防止装置のさらに他の実施形態を説明する図である。ここで、充電器Cは、先の実施形態と同様に、アダプタCaとコネクタCcをリード線Crで接続した構造を有している。そして、図示の盗難防止装置A3は、充電器CのコネクタCcを覆うカバー20を備えている。これにより、図4に示す如くアダプタCaとコネクタCcをリード線Crで接続した構造を有する充電器Cを使用した場合に、その充電器Cと一体化させることができ、外観体裁や防犯機能のさらなる向上を実現することができる。
【0040】
なお、本発明の盗難防止装置は、その構成が上記の各実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の細部を適宜変更することができる。さらに、上記の各実施形態では電子機器として携帯電話機Mを例示したが、本発明の盗難防止装置は、二次電池を内蔵した比較的小型の電子機器に適用可能であり、このような電子機器の展示等に非常に有用である。
【符号の説明】
【0041】
A1〜A3 盗難防止装置
C 充電器
Cc 充電器のコネクタ
M 携帯電話機(電子機器)
P1 電源操作具
P2 ロック操作具
R ロック機構
1 入力側接続部
2 出力側接続部
3 電圧検出器
4 警報器
6 制御器
7 内部電池
8 電源スイッチ
10 接続検出器
20 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と充電器との間に介装する盗難防止装置であって、充電器を接続する入力側接続部と、電子機器に接続する出力側接続部と、充電中において入力側接続部と出力側接続部の間の電圧を検出する電圧検出器と、警報音を発生する警報器と、電圧検出器の検出値に異常が生じた場合に警報器を作動させる制御器と、各機器の電源である内部電池と、各機器と内部電池の間を開閉する電源スイッチを備えたことを特徴とする盗難防止装置。
【請求項2】
電子機器の接続状態を検出する接続検出器を備え、制御器が、電圧検出器の検出値に異常が生じた場合に加えて、接続検出器で電子機器の接続状態を検出しない場合に警報器を作動させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の盗難防止装置。
【請求項3】
電源スイッチを外部から操作する別体の電源操作具を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の盗難防止装置。
【請求項4】
出力側接続部が、電子機器に係合するロック機構を有しており、このロック機構を外部から操作する別体のロック操作具を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
【請求項5】
電源操作具及びロック操作具が共通の操作具であって、電源スイッチ及びロック機構が操作具により連動することを特徴とする請求項3又は4に記載の盗難防止装置。
【請求項6】
充電器のコネクタを覆うカバーを備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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