説明

監視センターの移転方法

【課題】監視センターの移転にかかる費用を抑えつつ、監視センターの移転中であっても遠隔監視システムの高い作業効率を維持できる監視センターの移転方法の提供。
【解決手段】制御部33は、移設中の端末通信装置に対する通信の接続を制限して他の端末通信装置を優先して接続する接続制御手段を含み、代替記憶装置35’、代替通信装置34’、及び代替制御部33’を移転先に設ける設置工程と、通信装置34と代替通信装置34’との通信を接続する通信接続工程と、記憶装置35の情報を代替記憶装置35’に同期する同期工程と、端末通信装置31a,31bのうち一部の端末通信装置を移転先に移設すると共に、表示装置32a,32bのうち一部の表示装置を移転先に移設する第1移設工程と、残りの端末通信装置と表示装置を移転先に移設する第2移設工程と、通信装置34と代替通信装置34’との通信の接続を切断する通信切断工程とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設けられた設備機器を監視する監視端末と、この監視端末と通信を行う監視センターとを備えた遠隔監視システムに適用され、監視センターを移転する監視センターの移転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、建物の設備機器の動作状況等を遠隔的に監視する遠隔監視システムは、建物に設けられた昇降機や空調等の設備機器を監視する監視端末と、この監視端末と通信を行う監視センターとを備えている。監視端末は、建物内の設備機器に故障が発生した場合に監視センターと通信を接続し、故障が発生した旨を知らせる故障通報を監視センターへ送信するようになっている。
【0003】
一方、監視センターには管理者が待機しており、監視端末から故障通報を受けると、当該設備機器の復旧作業に対処できる作業者を速やかに現場へ派遣する。特に、乗客が昇降機内に閉じ込められた場合には、故障が発生した昇降機を早急に復旧させる必要がある。このように、遠隔監視システムは常時稼働している状態が好ましく、監視センターを別の拠点に移転する場合にも監視端末と監視センターとの通信の接続を確保できる監視センターを移転する方法が要望されている。
【0004】
ここで、監視センターを移転する監視センターの移転方法ではないが、監視端末と監視センターとの通信の接続を確保する従来技術の1つとして、監視端末と通信回線を介して設けられた監視センターと異なる拠点に別の監視センターを新たに設け、最初に接続を試みた監視端末と監視センターとの通信回線が既に使用されていた場合に、監視端末と新たに設けた監視センターとの通信の接続を試みる方法が知られている。
【0005】
また、監視端末と監視センターとの通信の接続を確保する他の従来技術の1つとして、監視センターが監視端末に通信回線を介して設けられた複数の端末通信装置を有し、最初に接続を試みた監視端末と端末通信装置との通信回線が既に使用されていた場合に、監視端末と複数の端末通信装置のいずれかの端末通信装置との通信の接続が確立するまで監視端末と各端末通信装置との通信の接続を順次試みる遠隔監視端末装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−119554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した監視端末と監視センターとの通信の接続を確保する従来技術として知られている方法では、監視センターを別の拠点に移転する場合に、移転元の監視センターと異なる拠点に移転元の監視センターと同一の監視センターを新たに設ける必要があるので、この監視センターの設置費用がかさむことが問題となっている。また、仮に移転元の監視センターと異なる拠点に移転元の監視センターと同一の監視センターを設けた場合には、これらの監視センター間において建物の設備機器に関する過去の故障情報等が同期されていないので、監視センターの移転中に故障が発生した設備機器を監視する監視端末から故障通報を受けても故障を解析するのに時間がかかり、当該設備機器の復旧作業に支障をきたす虞がある。
【0008】
さらに、特許文献1に開示された従来技術の遠隔監視端末装置では、監視端末と監視センターにおける複数の端末通信装置のいずれかの端末通信装置との接続を確保することにより、複数の設備機器の故障通報が同一の監視センターへあった場合にこれらの故障通報の受信が遅延するのを防止することを前提としている。従って、監視センターを移転する場合における遠隔監視端末装置の使用まで考慮されていないので、監視センターを移転する際に遠隔監視端末装置を使用しても必ずしも監視端末と監視センターとの通信の接続が確保されるとは限らず、遠隔監視システムに対する信頼性が損なわれる虞がある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、監視センターの移転にかかる費用を抑えつつ、監視センターの移転中であっても遠隔監視システムの高い作業効率を維持することができる監視センターの移転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の監視センターの移転方法は、建物に設けられた設備機器を監視する監視端末と、この監視端末と通信を行う監視センターとを備え、この監視センターは、前記監視端末に通信回線を介して設けられた複数の端末通信装置と、これら複数の端末通信装置が受信した情報を表示する複数の表示装置と、前記建物に関する情報を記憶する記憶装置と、外部と通信を行う通信装置と、前記監視端末から通信の接続を受けた場合に前記複数の端末通信装置のうちいずれかの端末通信装置に選択的に接続する制御を行う制御部とを有する遠隔監視システムに適用され、前記監視センターを移転する監視センターの移転方法において、前記制御部は、前記複数の端末通信装置のうち移設中の端末通信装置に対する通信の接続を制限して他の端末通信装置を優先して接続する接続制御手段を含み、前記記憶装置を代替する代替記憶装置、前記通信装置を代替する代替通信装置、及び前記制御部を代替する代替制御部を移転先に設ける設置工程と、前記通信装置と前記代替通信装置との通信を接続する通信接続工程と、前記記憶装置に記憶されている情報を前記代替記憶装置に同期する同期工程と、前記複数の端末通信装置のうち一部の端末通信装置を前記移転先に移設すると共に、前記複数の表示装置のうち一部の表示装置を前記移転先に移設する第1移設工程と、前記複数の端末通信装置のうち残りの端末通信装置を前記移転先に移設すると共に、前記複数の表示装置のうち残りの表示装置を前記移転先に移設する第2移設工程と、前記通信装置と前記代替通信装置との通信の接続を切断する通信切断工程とを備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、監視センターを移転する際に同期工程において移転元の監視センターの記憶装置に記憶されている情報を移転先に設置された代替記憶装置に同期することにより、監視センターの移転中に建物の設備機器の故障通報を受けた場合に、移転先の監視センターで待機する管理者が代替記憶装置に記憶されている情報を取り出して参照することができる。これにより、移転元の監視センターの記憶装置に記憶されていた当該設備機器の過去の故障情報等を有効に活用できるので、当該設備機器の復旧作業を効率良く行うことができる。
【0012】
また、通信接続工程において通信装置と代替通信装置との通信が接続された後、第1移設工程及び第2移設工程において移転元の監視センターの複数の端末通信装置及び表示装置を部分的に移設し、第1移設工程及び第2移設工程に分けて端末通信装置及び表示装置の移設を段階的に行うことにより、端末通信装置及び表示装置を移設している間も制御部の接続制御手段で移転元に残された端末通信装置及び表示装置、又は移転先に運び出された端末通信装置及び表示装置を使用できるので、監視センターの移転中に監視端末と端末通信装置との通信の接続を確保することができる。従って、移転先に端末通信装置及び表示装置を新たに設けなくても、移転元の監視センターの端末通信装置及び表示装置を移転先においても利用できるので、監視センターの移転に伴って発生する費用を省くことができる。このように、監視センターの移転にかかる費用を抑えつつ、監視センターの移転中であっても遠隔監視システムの高い作業効率を維持することができる。
【0013】
また、本発明に係る監視センターの移転方法は、前記発明において、前記同期工程において前記代替記憶装置が同期されてから前記通信切断工程において前記通信装置と前記代替通信装置との通信の接続が切断されるまで、前記代替記憶装置は、前記複数の端末通信装置のうち前記移設先に移設された端末通信装置が受信した情報に加えて前記記憶装置に記憶される情報も記憶することを特徴としている。
【0014】
このように構成した本発明は、同期工程において代替記憶装置が同期されてから通信切断工程において通信装置と代替通信装置との通信の接続が切断されるまでに監視端末から送信された建物の設備機器の故障情報や新たに記憶装置に追記された情報等が代替記憶装置に記憶されるので、監視センターの移転に伴って生じる記憶装置と代替記憶装置との情報の不整合を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の監視センターの移転方法は、建物の設備機器を監視する監視端末と、この監視端末と通信を行う監視センターとを備えた遠隔監視システムに適用され、この監視センターを移転する際に移転元の監視センターの記憶装置に記憶されている情報を移転先に設置された代替記憶装置に同期することにより、監視センターの移転中に設備機器に故障が発生した場合に当該設備機器の過去の故障情報等を参照して有効に活用できるので、当該設備機器の復旧作業を効率良く行うことができる。また、通信装置と代替通信装置との通信が接続された後、移転元の監視センターの複数の端末通信装置及び表示装置を部分的に移設して利用することにより、監視センターの移転中であっても制御部の接続制御手段で監視端末と端末通信装置との通信の接続を確保することができる。これにより、監視センターの移転にかかる費用を抑えつつ、監視センターの移転中であっても遠隔監視システムの高い作業効率を維持することができるので、遠隔監視システムに対する信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る監視センターの移転方法の一実施形態が適用される遠隔監視システムの構成を示す図である。
【図2】本発明に係る監視センターの移転方法の一実施形態の構成を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る監視センターの移転方法を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0018】
本発明に係る監視センターの移転方法の一実施形態は、例えば図1に示すように複数の建物から構成されたビル群1に属するビル11,12,・・・,1nに設けられた設備機器112,122,・・・,1n2を監視する監視端末111,121,・・・,1n1と、この監視端末111,121,・・・,1n1と通信を行う監視センター3とを備えた遠隔監視システムに適用される。
【0019】
この監視センター3は、監視端末111,121,・・・,1n1に通信回線2を介して設けられた複数の端末通信装置、例えば2つの端末通信装置31a,31bと、これら2つの端末通信装置31a,31bが受信した情報を表示する複数の表示装置、例えば2つの表示装置32a,32bとを有している。また、監視センター3は、ビル11,12,・・・,1nに関する情報を記憶する記憶装置35と、外部と通信を行う通信装置34と、監視端末111,121,・・・,1n1から通信の接続を受けた場合に2つの端末通信装置32a,32bのうちいずれかの端末通信装置に選択的に接続する制御を行う制御部33とを有している。
【0020】
ここで、記憶装置35は、例えばビル11,12,・・・,1nの設備機器112,122,・・・,1n2が過去に故障した履歴を示す履歴情報351、及び各監視端末111,121,・・・,1n1に監視され、各監視端末111,121,・・・,1n1の監視対象となるビル11,12,・・・,1nの個別の情報を示す監視端末情報352を格納している。この監視端末情報352は、例えばビル11,12,・・・,1nの所在地を示す所在地情報と、ビル11,12,・・・,1nを所有する顧客との契約に関する情報とから構成されている。
【0021】
また、端末通信装置31a,31bは、例えば監視端末1n1から設備機器1n2の故障通報を受けると、表示装置32a,32bが記憶装置35に格納された履歴情報を取り出して故障が発生した設備機器の故障情報を表示すると共に、この故障情報から解析された結果を表示するようになっている。さらに、制御部33は、2つの端末通信装置31a,31bのうち移設中の端末通信装置に対する通信の接続を制限して他の端末通信装置を優先して接続する図示しない接続制御手段を含んでいる。
【0022】
ここで、通信回線2には予めフリーダイヤルやフリーコール等に代表される回線グループ番号が付与されており、例えばフリーダイヤルが有している受付先変更サービス等の回線サービスが利用可能になっている。従って、制御部33の接続制御手段は、例えばこの回線サービスを利用して端末通信装置31a,31bの各グループ番号を切り替えることにより、監視端末111,121,・・・,1n1からの端末通信装置31a,31bへの通信の接続の受付先を自由に変更するようになっている。
【0023】
本実施形態は、記憶装置35を代替する代替記憶装置35’、通信装置34を代替する代替通信装置34’、及び制御部33を代替する代替制御部33’を移転先に設ける設置工程と、通信装置34と代替通信装置34’との通信を接続する通信接続工程と、記憶装置35に記憶されている情報を代替記憶装置35’に同期する同期工程とを備えている。なお、本実施形態では、後述するように通信接続工程において通信装置34と代替通信装置34’とを移転用回線4で接続するようにしている。
【0024】
そして、本実施形態は、2つの端末通信装置31a,31bのうち一部の端末通信装置を移転先に移設すると共に、2つの表示装置32a,32bのうち一部の表示装置を移転先に移設する第1移設工程と、2つの端末通信装置31a,31bのうち残りの端末通信装置を移転先に移設すると共に、2つの表示装置32a,32bのうち残りの表示装置を移転先に移設する第2移設工程と、通信装置34と代替通信装置34’との通信の接続を切断する通信切断工程とを備えている。
【0025】
次に、本実施形態に備えられた各工程を図2のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0026】
図2は本発明に係る監視センターの移転方法の一実施形態の構成を説明するフローチャートである。
【0027】
本実施形態は、図2に示すように監視センター3を別の拠点にある監視センター3’へ移転する場合に、まず設置工程において代替記憶装置35’、代替通信装置34’、及び代替制御部33’を移転先の監視センター3に設置した後、通信接続工程において通信装置34と代替通信装置34’との通信を移転用回線4を介して接続する。次に、同期工程において記憶装置35に記憶されている情報、すなわち履歴情報351及び監視端末情報352を代替記憶装置35’に同期し、記憶装置35と代替記憶装置35’にそれぞれ記憶された情報を一致させる(ステップ(以下、Sと記す)1)。
【0028】
ここで、本実施形態は、同期工程において代替記憶装置35’が同期されてから通信切断工程において通信装置34と代替通信装置34’との通信の接続が切断されるまで、代替通信装置34’は、2つの端末通信装置31a,31bのうち移設先に移設された端末通信装置が受信した情報に加えて記憶装置35に記憶される情報も記憶するようにしている。例えば、制御部33は、制御部33から代替記憶装置35’への情報操作を実施するデータ更新定義を追加し、移転元の監視センター3の記憶装置35に記憶される情報を移転用回線4を介して移転先の監視センター3の代替記憶装置35’にも記憶させる2重書込みを開始すると共に(S2)、代替記憶装置35’は、手順S1において同期されてから2重書込みが開始されるまでの間に記憶装置35に記憶された情報のうち既に記憶した情報と重複しない差分情報のみを抽出して記憶する(S3)。
【0029】
次に、第1移設工程において制御部33の接続制御手段は、監視端末111,121,・・・,1n1からの通信の接続の受付先に設定されている端末通信装置31aのグループ番号を端末通信装置31bのグループ番号へ切り替えることにより、監視端末111,121,・・・,1n1からの通信の接続の受付先を端末通信装置31bに設定し、監視端末111,121,・・・,1n1からの端末通信装置31aへの通信の接続を制限して端末通信装置31bを優先して接続する(S4)。
【0030】
そして、2つの端末通信装置31a,31bのうち移転元の監視センター3の端末通信装置31aを移転先の監視センター3’へ移設すると共に、移転元の監視センター3の2つの表示装置32a,32bのうち表示装置31aを移転先の監視センター3’へ移設する(S5)。その後、移設した端末通信装置31aと通信回線2とを接続し、代替制御部33’が通信回線2における移転元の監視センター3の端末通信装置31a用として定義された回線グループの通信回線管理情報を移転先の監視センター3’の端末通信装置31a用として定義変更する(S6)。
【0031】
次に、第2移設工程において制御部33の接続制御手段は、手順S4において設定された監視端末111,121,・・・,1n1からの通信の接続の受付先の変更を解除し(S7)、手順S4において監視端末111,121,・・・,1n1からの通信の接続の受付先に設定された端末通信装置31bのグループ番号を端末通信装置31aのグループ番号へ切り替えることにより、監視端末111,121,・・・,1n1からの通信の接続の受付先を端末通信装置31aに設定し、監視端末111,121,・・・,1n1からの端末通信装置31bへの通信の接続を制限して端末通信装置31aを優先して接続する(S8)。
【0032】
そして、2つの端末通信装置31a,31bのうち移転元の監視センター3に残された端末通信装置31bを移転先の監視センター3’へ移設すると共に、移転元の監視センター3に残された2つの表示装置32a,32bのうち表示装置31bを移転先の監視センター3’へ移設する(S9)。その後、移設した端末通信装置31bと通信回線2とを接続し、代替制御部33’が通信回線2における移転元の監視センター3の端末通信装置31b用として定義された回線グループの通信回線管理情報を移転先の監視センター3’の端末通信装置31b用として定義変更する(S10)。
【0033】
次に、制御部33の接続制御手段は、手順S8において設定された監視端末111,121,・・・,1n1からの通信の接続の受付先の変更を解除し(S11)、制御部33は、手順S2において追加されたデータ更新定義を削除して代替記憶装置35’の2重書込みを停止する(S12)。そして、通信切断工程において通信装置34と代替通信装置34’との通信の接続を切断し、監視センター3の移転を完了する。
【0034】
このように構成した本実施形態によれば、手順S1において移転元の監視センター3の記憶装置35に記憶されている履歴情報351及び監視端末情報352を移転先の監視センター3’に設置された代替記憶装置35’に同期することにより、仮に監視センター3の移転中にビル1nの設備機器1n2の故障通報を監視端末1n1から受けた場合に、移転先の監視センター3’で待機する管理者が代替記憶装置35’に記憶されている情報、すなわち同期された履歴情報351及び監視端末情報352を取り出して参照することができる。これにより、移転元の監視センター3の記憶装置35に記憶されていた設備機器1n2の過去の故障情報等を有効に活用できるので、設備機器1n2の復旧作業を効率良く行うことができる。
【0035】
また、制御部33の接続制御手段は、手順S4、S8において端末通信装置31a,31bのグループ番号を切り替えて監視端末111,121,・・・,1n1からの通信の接続の受付先を適宜変更し、手順S5及び手順S9において移転元の監視センター3の2つの端末通信装置31a,31b及び表示装置32a,32bを部分的に移設して端末通信装置31a,31b及び表示装置32a,32bの移設を段階的に行うことにより、端末通信装置31a,31b及び表示装置32a,32bを移設している間も監視端末111,121,・・・,1n1と端末通信装置31a,31bとの通信の接続を確保することができる。
【0036】
従って、移転先の監視センター3’に端末通信装置及び表示装置を新たに設けなくても、移転元の監視センター3の端末通信装置31a,31b及び表示装置32a,32bを移転先においても利用できるので、監視センター3の移転に伴って発生する費用を省くことができる。このように、監視センター3の移転にかかる費用を抑えつつ、監視センター3の移転中であっても遠隔監視システムの高い作業効率を維持することができるので、遠隔監視システムに対する信頼性を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態は、手順S1において代替記憶装置35’が同期されてから通信装置34と代替通信装置34’との通信の接続が切断されるまでに移転元の監視センター3の記憶装置35に記憶される情報を移転用回線4を介して移転先の監視センター3’の代替記憶装置35’にも記憶させる2重書込みを行うことにより、監視端末111,121,・・・,1n1から送信されたビル11,12,・・・,1nの設備機器112,122,・・・,1n2の故障情報や新たに記憶装置35に追記された情報等が代替記憶装置35’に記憶されるので、監視センター3の移転に伴って生じる記憶装置35と代替記憶装置35’との情報の不整合を防止することができる。このように、監視センター3の移転が開始されてから完了するまでに記憶装置35に追加された情報や記憶装置35から削除された情報についても代替記憶装置35’に同期させることができるので、代替記憶装置35’への同期を万全に行うことができる。
【0038】
なお、上述した本実施形態は、監視センター3を別の拠点にある監視センター3’へ移転する場合の使用について説明したが、この場合に限らず、例えば監視センター3の移転中に発生した障害により、移転先の監視センター3’から移転元の監視センター3へ移転し直す場合にも使用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ビル群
11,12,・・・,1n ビル
111,121,・・・,1n1 監視端末
112,122,・・・,1n2 ビル設備
2 通信回線
3,3’ 監視センター
31a,31b 端末通信装置
32a,32b 表示装置
33,33’ 制御部
34,34’ 通信装置
35,35’ 記憶装置
351 履歴情報
352 監視端末情報
4 移転用回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた設備機器を監視する監視端末と、この監視端末と通信を行う監視センターとを備え、この監視センターは、前記監視端末に通信回線を介して設けられた複数の端末通信装置と、これら複数の端末通信装置が受信した情報を表示する複数の表示装置と、前記建物に関する情報を記憶する記憶装置と、外部と通信を行う通信装置と、前記監視端末から通信の接続を受けた場合に前記複数の端末通信装置のうちいずれかの端末通信装置に選択的に接続する制御を行う制御部とを有する遠隔監視システムに適用され、前記監視センターを移転する監視センターの移転方法において、
前記制御部は、前記複数の端末通信装置のうち移設中の端末通信装置に対する通信の接続を制限して他の端末通信装置を優先して接続する接続制御手段を含み、
前記記憶装置を代替する代替記憶装置、前記通信装置を代替する代替通信装置、及び前記制御部を代替する代替制御部を移転先に設ける設置工程と、
前記通信装置と前記代替通信装置との通信を接続する通信接続工程と、
前記記憶装置に記憶されている情報を前記代替記憶装置に同期する同期工程と、
前記複数の端末通信装置のうち一部の端末通信装置を前記移転先に移設すると共に、前記複数の表示装置のうち一部の表示装置を前記移転先に移設する第1移設工程と、
前記複数の端末通信装置のうち残りの端末通信装置を前記移転先に移設すると共に、前記複数の表示装置のうち残りの表示装置を前記移転先に移設する第2移設工程と、
前記通信装置と前記代替通信装置との通信の接続を切断する通信切断工程とを備えたことを特徴とする監視センターの移転方法。
【請求項2】
請求項1に記載の監視センターの移転方法において、
前記同期工程において前記代替記憶装置が同期されてから前記通信切断工程において前記通信装置と前記代替通信装置との通信の接続が切断されるまで、前記代替記憶装置は、前記複数の端末通信装置のうち前記移設先に移設された端末通信装置が受信した情報に加えて前記記憶装置に記憶される情報も記憶することを特徴とする監視センターの移転方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−51604(P2013−51604A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189364(P2011−189364)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】