説明

監視制御システム、監視制御システムのコメント情報登録方法及び監視制御システムのコメント情報登録プログラム

【課題】コメント情報を利用する際の作業者の負担を軽減し、以て利便性の高い監視制御システム及び監視制御システムのコメント情報登録方法を提供する。
【解決手段】
条件式実行部208は、操作者の手を介さずに所定の時間間隔で定期的に条件定義ファイル502に記されている条件式が論理の真を示した場合には、操作者の手を介することなく自動で必要な画面キャプチャファイル301を作成する。一方、条件式実行部208は、操作者がコメント文を登録するアクションに呼応して、コメント文を登録すると、既に関係する監視制御画面の画面キャプチャファイル301が出来上がっており、その画面キャプチャファイル301との関連付けも完成されていることとなる。操作者は煩わしい画面キャプチャ作業と、画像ファイルとコメント文との関連付けを作成する作業から解放され、大変効率良くプラントの異常状態を記録する作業を遂行できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視制御システム、監視制御システムのコメント情報登録方法及び監視制御システムのコメント情報登録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視制御システムは、上下水浄水場や工場等のプラント等、大規模な設備の監視や制御に必要不可欠である。
プラントの作業員は、監視制御システムの端末に備えられているCRT又はLCD等の表示装置を通じてプラントを監視し、必要に応じてマウスやキーボード、タッチパネルなどの入力装置を利用してプラントの制御を行っている。この端末は、プラントの作業工程を表示するためのプラント画面も表示可能であり、作業者はプラント画面に表示される情報を目視確認し、必要に応じて作業を実施する。
特許文献1に開示されているように、監視制御システムの端末は、表示装置の画面に作業者のコメント情報や作業報告などを登録する機能を備えており、各作業場所に分散している監視制御画面で情報を共有することができる。また、監視画面に配置されている表示要素(オブジェクト)に対して文字のコメント情報を登録することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−141513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にて説明したように、従来の監視制御システムにおいても、作業者のコメント情報を監視制御画面に登録することができる。しかし、従来の監視制御システムにおいてる登録できるコメント情報は文字だけであり、画像データをコメント情報として登録することは、作業手順上煩雑であった。すなわち、適切な画像ファイルを作成し、その画像ファイルをファイルサーバ上の適切な箇所に保存し、その画像ファイルのフルパス名をコメント情報に埋め込む、という作業は、故障対応等の迅速性を要求される監視制御システムの作業員には負担が重すぎるという問題があった。
しかしながら、コメント情報が登録される場合、プラントで何らかの異常が発生している場合が多い。そのため、引継ぎ者や他の作業者は文字のコメント情報を参照した上で、監視制御装置のアラーム機能を使用するか、他の画面を表示してそのコメント情報が何を意味しているのか理解する必要がある。
【0005】
本発明は斯かる課題を解決し、監視制御システムにおいて、コメント情報を利用する際の作業者の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の監視制御システムは、プラントの監視画面を形成する監視画面オブジェクトが画面番号を伴って複数格納されている監視画面格納部と、プラント機器が発する信号を評価する条件式と、条件式が真になった時に監視画面の画面キャプチャを実行する画面番号とが記述されている条件定義記憶部と、条件定義記憶部内の条件式を所定時間間隔で評価し、条件式が真になった時に画面番号の画面キャプチャを実行して画面キャプチャファイルを作成する画面キャプチャ実行部とを備える。
そして、操作者の操作を受け付ける操作部から操作者の操作を受けて監視画面にコメント情報を登録する際、コメント情報登録部は条件定義記憶部内の条件式を評価し、条件式が真になった時に画面番号の画面キャプチャファイルをコメント情報と関連付けて登録する。
更に、監視画面を表示部に表示する際、表示制御部は監視画面の画面番号に関連付けられているコメント情報が存在していれば監視画面の中にコメント情報表示ウィンドウを設けてコメント情報を表示し、コメント情報に関連付けられている画面キャプチャファイルが存在していればコメント情報表示ウィンドウ内に画面キャプチャファイルを表示するためのボタンを設けるように制御する。
【0007】
操作者の手を介さずに所定の時間間隔で定期的に条件式をチェックし、条件式が論理の真を示した場合には、操作者の手を介することなく自動で必要な画面キャプチャファイルを作成する。一方、操作者がコメント文を登録するアクションに呼応して、コメント文を登録すると、既に関係する監視制御画面の画面キャプチャファイルが出来上がっているので、その画面キャプチャファイルとの関連付けも容易に実現できる。更に、操作者は煩わしい画面キャプチャ作業と、画像ファイルとコメント文との関連付けを作成する作業から解放され、大変効率良くプラントの異常状態を記録する作業を遂行することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、コメント情報を利用する際の作業者の負担を軽減し、以て利便性の高い監視制御システム、監視制御システムのコメント情報登録方法及び監視制御システムのコメント情報登録プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態である監視制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】端末の機能ブロック図である。
【図3】画面キャプチャの概要及び画面キャプチャファイルを説明する概略説明図である。
【図4】コメント情報ファイルの詳細を示す概略図である。
【図5】画面キャプチャ条件定義一覧画面と、条件定義ファイルの詳細を示す概略図である。
【図6】監視制御システムにおける、画面キャプチャの動作の流れを説明するフローチャートである。
【図7】操作者が端末を操作してコメント情報を監視制御画面に登録する動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】監視制御画面とコメント情報登録ウィンドウとの関係を示す図である。
【図9】コメント情報が登録されている監視制御画面の一例を示す図である。
【図10】コメント情報が登録されている監視制御画面の他の例を示す図である。
【図11】監視制御画面に貼り付けられているコメント情報の関連画面表示ボタンを押下した際に関連画面を表示する状況を示す図である。
【図12】コメント情報一覧画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[監視制御システムの概要]
最初に、本発明の前提となる一般的な監視制御システムの概要を説明する。監視制御システムは、プラント機器が発する信号を、端末の監視制御画面上にてプラントの工程図やフロー図等の形式で、視覚的に表現するためのシステムである。
ここで、プラント機器が発する信号とは、プラント機器の運転状態を表す信号の他に、故障情報も含まれる。したがって、この監視制御システムにより、プラント機器の故障や異常な動作状態も監視制御画面で確認することができる。プラント機器の故障は、監視制御画面上ではプラントの画面全体の表示色を変化させたり、対象となるプラント機器の表示を点滅させる等のアラームとして表現される。
【0011】
また、通常の監視制御システムには、プラント機器が発する信号を見るための監視制御画面が多数用意されている。作業者はプラント機器が発する様々な現象に対し、適切な監視制御画面を選択して表示することにより、プラントの状態を的確に把握する。
作業者によっては、長らくプラントに勤務する者も多く、そのような作業者は、プラントの構成を熟知しているので、プラント機器に故障が発生した際に確認すべき適切な監視制御画面を把握している。したがって、このような熟練作業者のノウハウを応用すれば、プラント機器の異常を検出する信号が発生した際に、確認すべき監視制御画面の関係を、条件式として定義することができる。つまり、プラント機器の異常を検出する信号に起因して、自動的に必要な監視制御画面の画面キャプチャを実行することを定義できる。
【0012】
このように、予めプラントの信号条件と確認すべき監視制御画面を指定しておく。そして、画面キャプチャイメージを自動で作成しておき、プラントの異常が発生したらコメント情報を登録したときに自動的に関連付けるようにする。これにより、コメント情報に画像情報を追加する負担を軽減するとともに、他の作業者の内容把握を支援することができる。
【0013】
この他に、登録されたコメント情報を端末の画面上に一覧表示する機能を設ける。更に、コメント情報一覧からコメント情報が貼り付けられている監視制御画面を表示する機能を設ける。このようなコメント情報一覧画面を設けることで、故障や異常が生じたプラント機器が存在する監視制御画面を選択して瞬時に表示することができるので、故障対応が迅速且つ効率的に実現できると共に、コメント情報管理の負担も軽減できる。
【0014】
[本発明の実施形態の監視制御システムの全体構成]
次に、本発明の一実施形態である監視制御システムの全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である監視制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態例(以下、「本例」ということもある)の監視制御システム101は、コンピュータを利用して実現される。本例では、プラント情報入出力装置102と、データベースサーバ103と、複数の端末104が、ネットワーク105にて相互接続されている。データベースサーバ103と端末104は、所定のコンピュータが監視制御システム101として稼働するプログラムを読み込むことで、夫々の機能を実現する。
本例の監視制御システム101は、プラント情報入出力装置102を介して、ポンプ106や弁107等のプラント機器108の動作状態を監視し、必要に応じて制御指令を送信する。
プラント機器108は、プラント情報入出力装置102のプラント制御部109を通じて、端末104から制御指令を受信すると、その制御指令に従って挙動が変化する。
一方、プラント機器108の動作状態は、プラント機器108自身又はプラント機器108に備えられている図示しないセンサから、プラント情報入出力装置102のプラント情報収集部110を介して、データベースサーバ103のプラントログテーブル111に逐一記録される。
【0015】
データベースサーバ103は、ファイルサーバを兼ねており、このデータベースサーバ103において、複数のテーブルに対して検索やデータの入出力を行う図示しないデータベースマネージャプログラムが稼働するようになっている。データベースサーバ103には、プラントログテーブル111の他に、監視画面格納部ともいえる監視画面マスタ112が存在する。ファイルサーバとしては、条件定義記憶部ともいえる条件定義ファイルディレクトリ113と、コメントファイルディレクトリ114と、画面キャプチャファイルディレクトリ115が設けられている。
【0016】
プラントログテーブル111はいわゆるログテーブルである。このプラントテーブル111には、プラント機器108の動作状態が、プラント機器108自身又はプラント機器108に備えられている図示しないセンサからプラント情報入出力装置102のプラント情報収集部110を介して記録されると共に、端末104から発生する制御指令も、日時情報と操作者のユーザIDと共に記録される。
条件定義ファイルディレクトリ113は、条件定義ファイルが格納されているディレクトリ(「フォルダ」とも呼ばれる)である。条件定義ファイルには、後述するキャプチャ機能を実行する条件式が記録されている。
【0017】
監視画面マスタ112は、図8乃至図11にて後述する、プラントを監視するプラント監視画面やトレンド画面、アラーム等の情報表示画面といった、画面オブジェクトが格納されているマスタテーブルである。端末104の画面マネージャ116は、所望の画面番号で画面オブジェクトを読み出すと、画面オブジェクトを解釈して、画面オブジェクトに含まれているプラントオブジェクトに記述されている情報に従って、プラントログテーブル111から所定の情報を読み出し、表示部117に表示する。
【0018】
コメントファイルディレクトリ114は、コメント情報ファイルが格納されているディレクトリである。コメント情報ファイルには、操作者がキーボード及びマウス等のポインティングデバイスよりなる操作部118を通じて書き込むテキストデータのコメント文の他、種々の情報が記録されている。
画面キャプチャファイルディレクトリ115は、画面キャプチャファイルが格納されているディレクトリである。画面キャプチャファイルは、ビットマップの画像ファイルである。つまり、この画面キャプチャファイルには、条件定義ファイルディレクトリ113内の条件定義ファイルのうち、条件定義に一致した画面番号の画面オブジェクトを、端末104が描画した上で、そのスクリーンショットをキャプチャすることによってビットマップの画像ファイルが形成される。
【0019】
制御指令は、操作者が端末104を操作することに起因して、端末104の操作部118から画面マネージャ116によって発生する。端末104から生じる制御指令は、プラント情報入出力装置102のプラント制御部109を通じて、プラント機器108に送信される。また、制御指令はプラントログテーブル111にも記録される。
一方、プラント機器108の動作状態は、プラント機器108自身又はプラント機器108に備えられている図示しないセンサから、プラント情報入出力装置102のプラント情報収集部110を介して、データベースサーバ103のプラントログテーブル111に逐一記録される。端末104の画面マネージャ116は、プラントログテーブル111から最新の情報を含むプラント機器108の動作状態情報を取得して、表示部117に表示する。その際、監視画面マスタ112から表示する画面番号オブジェクトを選択し、表示する必要のあるオブジェクトのみ選択的に表示する。
【0020】
図2は、画面マネージャ114の機能を中心的に示した端末104の機能ブロック図である。
操作者が操作部118を操作することによって発生する操作情報は、画面マネージャ114の操作情報解析部201に入力される。
操作情報解析部201は、オブジェクト操作部202と連携して、当該操作情報が表示部117に表示されている表示画面のどの部分を操作したのかを解析する。そして、オブジェクトに対する操作指令なのか、オブジェクトが表現する対象であるプラント機器108に対する制御指令なのかを判定し、前者であれば当該操作情報をオブジェクト操作部202へ、後者であれば当該操作情報を所定の制御指令に変換した上でプラント情報入出力装置102へ、送信する。
また、操作情報解析部201は、制御指令をプラント情報入出力装置102に送信する際、ログインユーザ情報メモリ203に記憶されている操作者のユーザIDを伴って送信する。すると、プラントログテーブル111にはプラント機器108に対する制御指令と共に操作者のユーザIDが記録される。
【0021】
オブジェクト操作部202は、操作部118から指定された画面番号オブジェクトをデータベースサーバ103の監視画面マスタ112から読み出し、画面番号オブジェクトに含まれているオブジェクトのイメージをオブジェクト描画制御部204に渡す。また、画面番号オブジェクトに含まれているオブジェクトが必要とする情報を、プラントログテーブル111、コメントファイルディレクトリ114及び画面キャプチャファイルディレクトリ115から読み出し、オブジェクトのイメージを作成する。なお、プラントログテーブル111からプラントの状態情報を取得する際には、状態情報取得部205を通じて得る。
オブジェクト描画制御部204は、オブジェクト操作部202から受け取ったオブジェクトのイメージをVRAM206に展開し、表示部117にVRAM206の内容を表示する。また、条件式実行部の指示に応じてキャプチャ用VRAM207にもオブジェクトのイメージを展開する。
【0022】
画面キャプチャ実行部ともいえる条件式実行部208は、データベースサーバ103の条件定義ファイルディレクトリ113から、操作者が作成した条件定義ファイルを読み出し、リアルタイムクロック(以下「RTC」)209を参照しながら、所定の時間間隔で、条件定義ファイルに記載されている条件式を解析する。そして、条件式の論理結果が論理の「真」を示した場合は、条件定義ファイルに指定された監視制御画面のキャプチャをオブジェクト操作部202に指示する。RTC209は一般的なコンピュータ装置には備わっている、日時情報を出力するIC(ハードウェア)であるが、このRTC209の機能は、OSによって逐次提供され、更新される機能である。
【0023】
[画面キャプチャファイルの説明]
図3は、画面キャプチャの概要及び画面キャプチャファイルを説明する概略説明図である。
前述の通り、条件式実行部208は、条件定義ファイル中の条件式の論理結果が「真」になると、オブジェクト操作部202に対し、条件定義ファイルに指定された監視制御画面のキャプチャを指示する。そして、条件式実行部208から画面キャプチャの指示を受けたオブジェクト操作部202は、キャプチャする画面がVRAM206に現在展開している画面であれば、VRAM206の内容であるビットマップデータを、画面キャプチャファイルディレクトリ115にファイルとして書き出す。
【0024】
もし、キャプチャする画面がVRAM206に現在展開していない画面であれば、オブジェクト操作部202はキャプチャ対象となる画面オブジェクトを監視画面マスタ112から読み出して、オブジェクト描画制御部204を通じてキャプチャ用VRAM207に展開する。そして、キャプチャ用VRAM207の内容であるビットマップデータを、画面キャプチャファイルディレクトリ115にファイルとして書き出す。
つまり、図3に示すような画面キャプチャファイル301が、データベースサーバ103の画面キャプチャファイルディレクトリ115に階層分けして格納される。ルートディレクトリである画面キャプチャファイルディレクトリ115の下には、画面番号毎のディレクトリが設けられている。
画面番号毎のディレクトリ内には画面キャプチャファイル301が格納されている。画面キャプチャファイル301のファイル名は、キャプチャを実行した年月日と時分秒で名前付けされる。
画面キャプチャを取得した日時情報がファイル名であるので、ファイル名でソートすれば、作業者が並べて見る際に最新のファイルを見つけやすい。
【0025】
[コメント情報ファイルの説明]
図4は、コメント情報ファイルの詳細を示す概略図である。
コメントファイルディレクトリ114にはコメント情報ファイル401がコメント情報の数だけ格納されている。
コメント情報ファイル401は一例として、コメント画面番号フィールドと、題名フィールドと、内容フィールドと、登録日時フィールドと、登録者名フィールドと、関連画面番号フィールドと、関連画面ファイル名フィールドと、文字色フィールドと、背景色フィールドと、表示位置情報フィールドと、表示サイズフィールドとを備えている。
コメント画面番号フィールドには、コメント文を作成した時点の画面番号が格納される。
題名フィールドには、操作者によって付されるコメントの題名が格納される。
内容フィールドには、操作者が記述したコメント文そのものが格納される。
登録日時フィールドには、コメント文を作成した日時情報が格納される。
登録者名フィールドには、コメント文を作成した操作者のユーザ名が格納される。これは図示しないユーザマスタから、ユーザIDを検索キーとして、操作者の氏名を取得する。なお、操作者の氏名に代えて、ユーザIDそのものを格納してもよい。
【0026】
関連画面番号フィールドには、直近の画面キャプチャを実行した画面番号が格納される。
関連画面ファイル名フィールドには、直近の画面キャプチャを実行した際の画面キャプチャファイル名301が格納される。
文字色フィールドには、内容フィールドに記憶されているコメント文を表示する際に付する文字色の指定が格納される。
背景色フィールドには、内容フィールドに記憶されているコメント文を表示する際に付する背景色の指定が格納される。
表示位置情報フィールドには、内容フィールドに記憶されているコメント文を表示する吹き出しウィンドウを配置する画面上の表示位置の指定が格納される。
表示サイズフィールドには、内容フィールドに記憶されているコメント文を表示する、コメント情報表示ウィンドウともいえる吹き出しウィンドウを配置する画面上の表示サイズの指定が格納される。
【0027】
文字色と背景色、表示位置情報には画面のXY座標が格納されており、表示サイズには縦と横のサイズ情報が格納されているので、画面マネージャ116はこれらの情報に従ってコメント情報を後述する吹き出しウィンドウの形式で表示する。
コメント情報ファイル401の形式は特に問わないが、一例としては各項目が改行で区切られているプレインテキストファイルや、項目名がタグで記されているXML(Extensible Markup Language)ファイル等が考えられる。
また、コメント情報ファイル401に代えて、内容フィールドを可変長フィールドにしたテーブルで構成することもできる。この場合、コメントファイルディレクトリ114の代わりにコメント情報テーブルで実現できる。
【0028】
[画面キャプチャ条件定義一覧画面及び条件定義ファイルの説明]
図5(a)及び(b)は、画面キャプチャ条件定義一覧画面と、条件定義ファイルの詳細を示す概略図である。
図5(a)は、画面キャプチャの条件定義を一覧表示する、画面キャプチャ条件定義一覧画面501である。
画面キャプチャ条件定義一覧画面501は、条件定義ファイルディレクトリ113に格納されている条件定義ファイル502に記述されている全ての条件式を、監視制御システム101の画面として一覧表示した画面である。一覧表示させることで、操作者は自身が思い描く監視のシチュエーションに漏れがないかを確認できると共に、運用を続けるに連れて条件定義の内容をブラッシュアップさせることもできる。
【0029】
図5(b)は、条件定義ファイル502の詳細を示す概略図である。
条件定義ファイル502は一例として、条件番号フィールドと、信号名称フィールドと、条件式フィールドと、画面番号フィールドを備える。
条件定義は条件番号を付与されており、並べ替えられた状態で番号順に表示される。
信号名称は、プラント機器108自身又はプラント機器108に備えられている図示しないセンサから出力される信号の識別子である。
信号識別子にて指定された信号が条件式で定義されている条件を満たした場合に、条件成立(論理の「真」)となる。
条件が成立した際に取得する画面の情報が画面番号で指定されている。
画面キャプチャ条件定義画面では条件定義ファイル502をすべて収集し、信号名称表示エリア、条件式表示エリア、画面番号表示エリアに一覧表示を行う。
【0030】
図5(a)に記述されている画面キャプチャ条件定義の内容は、アナログ信号とデジタル信号とで条件式の記述内容が異なる。
条件番号1、条件番号3、条件番号4はそれぞれ、信号名称がDI055、DI005、DI017というデジタル信号が論理の「真」を示した時に、画面番号[62]、[50]、[117]の画面キャプチャデータを取得する。
条件番号2は、信号名称がAI048というアナログ信号の値が「50.0」未満になった場合に、画面番号[85]の画面キャプチャデータを取得する。
条件番号5は、信号名称がAI004というアナログ信号の値が「0.85」を超えた場合に、画面番号[41]の画面キャプチャデータを取得する。
つまり、デジタル信号の条件式は、論理の真を示す「ON」又は論理の偽を示す「OFF」で、指定する。
そして、アナログ信号の条件式は、閾値に対する不等号による比較で、指定する。
条件定義ファイル502の形式は特に問わないが、一例としては各項目が改行で区切られているプレインテキストファイルや、項目名がタグで記されているXMLファイル等が考えられる。
また、条件定義ファイル502に代えて、条件式フィールドを可変長フィールドにしたテーブルで構成することもできる。この場合、条件定義ファイルディレクトリ113の代わりに条件定義テーブルで実現できる。
【0031】
[監視制御システムの動作説明]
図6は、本例の監視制御システム101における、画面キャプチャの動作の流れを説明するフローチャートである。このフローチャートは、端末104の画面マネージャ116内の条件式実行部208が、データベースサーバ103の条件定義ファイルディレクトリ113に格納されている条件定義ファイル502から条件式を読み出して判定する動作を示している。
【0032】
処理を開始すると(S601)、条件式実行部208は最初に条件定義ファイルディレクトリ113内に条件定義ファイル502が存在しているか否かをチェックする(S602)。条件定義ファイルディレクトリ113が空である場合は(S602のNO)、何もせずに処理を終了する(S603)。
ステップS602で、条件定義ファイルディレクトリ113に条件定義ファイル502が存在していれば(S602のYES)、次に条件式実行部208は一番目の条件定義ファイル502を読み込み、一番目の条件式を取得し、解析する(S604)。
【0033】
これ以降はループ処理である。
条件式実行部208は、取得した条件式を解析して、論理結果を判定する(S605)。取得した条件式の論理結果が「真」であれば(S605のYES)、次に条件式実行部208はオブジェクト操作部202に対し、これから画面キャプチャしようとする画面番号の監視制御画面を、現在表示しているか否かを問い合わせる(S606)。もし、現在表示中であるならば(S606のYES)、条件式実行部208はオブジェクト操作部202に画面キャプチャを指示する。そして、オブジェクト操作部202は、画面表示領域であるVRAM206の内容をビットマップデータとして取得し、またRTC209から現在日時を取得してファイル名を作成し、画面キャプチャファイルディレクトリ115に画面キャプチャファイル301を作成する(S607)。
【0034】
一方、ステップS606にて、これから画面キャプチャしようとする画面番号の監視制御画面が現在表示していない場合は(S606のNO)、次に条件式実行部208はオブジェクト操作部202に対し、キャプチャ用VRAM207に画面キャプチャしようとする画面番号の監視制御画面を表示させるべく指示する(S608)。オブジェクト操作部202がオブジェクト描画制御部204を通じてキャプチャ用VRAM207に条件式実行部208から指示された監視制御画面を表示させたら、条件式実行部208は、画面非表示領域であるキャプチャ用VRAM207の内容をビットマップデータとして取得し、またRTC209から現在日時を取得してファイル名を作成し、画面キャプチャファイルディレクトリ115に画面キャプチャファイル301を作成する(S609)。
【0035】
ステップS607又はステップS609にて、画面キャプチャファイル301を作成した後、又はステップS605にて取得した条件式の論理結果が「偽」であった場合(S605のNO)は、条件式実行部208は条件定義ファイルディレクトリ113に次の条件定義ファイル502が存在するか否かを確認する(S610)。もし次の条件定義ファイル502が存在していれば(S610のYES)、その条件定義ファイル502を読み込み、条件式を取得して解析し(S611)、再びステップS605から処理を繰り返す。もし、条件定義ファイル502がなければ(S610のNO)、一連の処理を終了する(S603)。
【0036】
図7は、操作者が端末104を操作してコメント情報を監視制御画面に登録する動作の流れを示すフローチャートである。この処理は、コメント文、題名、コメント文に付する文字色及び背景色等の、操作者が入力すべき作業が既に操作者によって完了しており、いよいよこれら情報をオブジェクト操作部202がコメント情報ファイル401としてコメントファイルディレクトリ114に作成するための処理、つまり登録ボタンを操作部118であるマウス等のポインティングデバイスにてクリックした際に実行される処理である。
【0037】
操作者がコメント情報を登録するための登録ボタンをクリックすると(S701)、操作情報はオブジェクト操作部202を通じて条件式実行部208に送られる。条件式実行部208は、条件定義ファイルディレクトリ113内に条件定義ファイル502が存在しているか否かをチェックする(S702)。条件定義ファイルディレクトリ113が空である場合は(S702のNO)、条件式実行部208は画面キャプチャファイル301に関する処理を一切行わずに、オブジェクト操作部202と協調動作して、現在日時と操作者のユーザIDを取得し(S703)、コメント文、題名、コメント文に付する文字色及び背景色等と共にコメント情報ファイル401に記録して(S704)、処理を終了する(S705)。
【0038】
ステップS702で、条件定義ファイルディレクトリ113に条件定義ファイル502が存在していれば(S702のYES)、次に条件式実行部208は一番目の条件定義ファイル502を読み込み、一番目の条件式を取得し、解析する(S706)。
【0039】
これ以降はループである。
条件式実行部208は、取得した条件式を解析して、論理結果を判定する(S707)。取得した条件式の論理結果が「真」であれば(S707のYES)、次に条件式実行部208は、読み込んだ条件定義ファイル502に記されている画面番号を取得して(S708)、画面キャプチャファイルディレクトリ115の当該画面番号のサブディレクトリから、最新の画面キャプチャファイル301のファイル名を取得する(S709)。そして、条件式実行部208はオブジェクト操作部202と協調動作して、現在日時と操作者のユーザIDを取得し(S703)、コメント文、題名、コメント文に付する文字色及び背景色等と共にコメント情報ファイル401に記録して(S704)、処理を終了する(S705)。
ステップS709の時点で画面番号と画面キャプチャファイル301名を取得しているので、ステップS704の時点では、画面番号と画面キャプチャファイル301名もコメント情報ファイル401に記録されることとなる。
【0040】
ステップS707にて取得した条件式の論理結果が「偽」であった場合(S707のNO)は、条件式実行部208は条件定義ファイルディレクトリ113に次の条件定義ファイル502が存在するか否かを確認する(S710)。もし次の条件定義ファイル502が存在していれば(S710のYES)、この条件定義ファイル502を読み込み、条件式を取得して解析し(S711)、再びステップS707から処理を繰り返す。
もし、ステップS710にて条件定義ファイル502がなければ(S710のNO)、条件式実行部208はオブジェクト操作部202と協調動作して、現在日時と操作者のユーザIDを取得し(S703)、コメント文、題名、コメント文に付する文字色及び背景色等と共にコメント情報ファイル401に記録して(S704)、処理を終了する(S705)。
【0041】
図6のフローチャートに記す、条件式実行部208の処理内容は、操作者の手を介さずに所定の時間間隔で定期的に自動実行されるバッチ処理(一括処理)である。条件定義ファイル502に記されている条件式が論理の「真」を示した場合には、操作者の手を介することなく自動で必要な画面キャプチャファイル301が作成される。
一方、図7のフローチャートに記す、条件式実行部208及びオブジェクト操作部202の処理内容は、操作者がコメント文を登録する際に実行される、インタラクティブな処理(対話式処理)である。
図6のバッチ処理の実行時間間隔が十分短ければ、図7のインタラクティブな処理に先んじて、図7の処理を実行する際には必ず必要な画面キャプチャファイル301が用意されている状況を作り出すことができる。つまり、コメント文を登録すると、既に関係する監視制御画面の画面キャプチャファイル301が出来上がっており、その画面キャプチャファイル301との関連付けも完成されていることとなる。
こうして、操作者は煩わしい画面キャプチャ作業と、画像ファイルとコメント文との関連付けを作成する作業から解放され、大変効率良くプラントの異常状態を記録する作業を遂行できる。
【0042】
なお、図7のフローチャートにおいて、条件式実行部208とオブジェクト操作部202は、コメント情報ファイルを作成するコメント情報登録部であるともいえる。
【0043】
[監視制御画面とコメント情報の関係]
図8(a)及び(b)は、監視制御画面とコメント情報登録ウィンドウとの関係を示す図である。
図8(a)は監視制御画面801である。図8(b)はコメント情報登録ウィンドウ802である。
【0044】
監視制御システム101の共通メニューとして、監視制御画面801の下にはコメント情報登録ウィンドウ802を呼び出すためのコメント記入ボタン803が設けられている。
コメント記入ボタン803をクリックしてコメント情報登録ウィンドウ802を呼び出すと、コメント情報登録ウィンドウ802が監視制御画面801の最前面に表示され、コメント情報の入力を促す。
作業者はコメント情報登録ウィンドウ802にコメント情報の題名及び内容を記入し、文字色及び背景色を選択した上で、登録ボタン804をクリックすると、コメント情報がコメント情報ファイル401として登録される。この、登録ボタン804をクリックすると、前述の図7のフローチャートが動作して、条件式実行部208がコメント情報ファイル401を作成し、存在していれば画面キャプチャファイル301との関連付けを行う。
コメント情報の登録を途中で中止する場合には、閉じるボタン805をクリックすることで、コメント情報の登録を中止することができる。
【0045】
図9(a)及び(b)は、コメント情報が登録されている監視制御画面の一例を示す図である。
図9(a)は、コメント情報が登録されている監視制御画面901である。
オブジェクト操作部202は、操作部118から画面番号の指定を受け取ると、監視画面マスタ112から画面番号オブジェクトを読み出す。次に、画面番号オブジェクトに含まれているプランド機器オブジェクトに付随している情報に従って、プラントログテーブル111から最新の状態情報を読み出し、プラント機器オブジェクトの表示内容を変化させる。例えば、ポンプ106が正常動作しているのであれば、ポンプ106のアイコンを青色に表示させる、等である。
【0046】
オブジェクト操作部202は更に、画面番号に対応するコメント情報ファイル401を、コメントファイルディレクトリ114から探す。もし、表示すべきコメント情報ファイル401が見つかったなら、当該コメント情報ファイル401を読み込み、コメント情報を画面内に表示する。
監視画面上には、コメント情報が記されている吹き出しウィンドウ902aと吹き出しウィンドウ902bが表示されている。図9中、吹き出しウィンドウ902aと吹き出しウィンドウ902bを総称する際には、吹き出しウィンドウ902と称する。
【0047】
吹き出しウィンドウ902a内には、コメント情報としてコメント文と登録日時と操作者名が表示されている他、関連画面表示ボタン903を備えている。これはコメント情報を登録した際に、プラントに異常が発生したことを示しており、関連画面表示ボタン903をクリックすると画面のキャプチャデータを表示できることを示している。
また、コメント情報には日付情報と登録者情報が表示されているので、誰がいつ登録した内容か知ることができる。
また、図9(b)に示すように、操作者はコメント情報の一部を選択してドラッグ操作を行うことにより、吹き出しウィンドウ902aの表示領域の大きさや形状を変更することや、表示位置を変更することができる。
【0048】
吹き出しウィンドウ902を表示し、また吹き出しウィンドウ902内に関連画面表示ボタン903を表示する機能は、オブジェクト操作部202とオブジェクト描画制御部204によって実現される。これらは表示制御部であるともいえる。
【0049】
図10(a)及び(b)は、コメント情報が登録されている監視制御画面901の一例を示す図である。
図10(a)は、監視制御画面の一例として画面番号[62]の監視制御画面901である。
図10(b)は、監視制御画面の一例として画面番号[115]の監視制御画面1001である。
【0050】
前述のように、ある監視制御画面901を表示しようとすると、オブジェクト操作部202が当該監視制御画面901を形成する画面オブジェクトを監視画面マスタ112から読み出し、画面オブジェクトに含まれているプラント機器オブジェクトや、画面番号に関係するコメント情報ファイル401を読み込み、それらをオブジェクト描画制御部204を通じてVRAM206上に描画し、VRAM206上の描画イメージを表示部117に表示する。
【0051】
現在表示している監視制御画面901(図10(a))から、別の監視制御画面1001(図10(b))に表示を切り替えると、この一連の動作が別の監視制御画面1001にて繰り返される。したがって、別の監視制御画面1001を表示させると、その監視制御画面1001に関連付けられているコメント情報の吹き出しウィンドウ1002a及び1002bが表示されるので、監視制御画面1001の切替と共にコメント情報も切り替わって表示される。図10中、吹き出しウィンドウ1002aと吹き出しウィンドウ1002bを総称する際には、吹き出しウィンドウ1002と称する。
また、前述のように吹き出しウィンドウ1002の位置や表示サイズも記憶されているため、作業者がコメント情報を移動したりサイズを変更した場合には、変更後の表示サイズや位置情報を適用した状態で表示される。
【0052】
図11(a)及び(b)は、監視制御画面901に貼り付けられているコメント情報の関連画面表示ボタン903を押下した際に関連画面を表示する状況を示す図である。
図11(a)は、コメント情報が表示されている吹き出しウィンドウ902aを有する監視制御画面901である。
図11(b)は、画面キャプチャファイル301が表示されたキャプチャ画像ウィンドウ1101である。
今、吹き出しウィンドウ902aには関連画面表示ボタン903が表示されている。この関連画面表示ボタン903をクリックすると、キャプチャ画像ウィンドウ1101が監視制御画面901の最前面に表示され、キャプチャ画像ウィンドウ1101内には、プラントの異常を検出した際に画面イメージとしてキャプチャされた画面キャプチャファイル301が表示される。
キャプチャ画像ウィンドウ1101は監視制御画面901上に別のウィンドウとして表示されるため、コメント情報を表示したまま画像を表示することが可能となる。
キャプチャ画像ウィンドウ1101に設けられている閉じるボタン1102をクリックすると、このキャプチャ画像ウィンドウ1101を閉じることができる。
【0053】
図12は、コメント情報一覧画面を示す図である。
コメント情報一覧画面1201は、監視画面マスタ112に登録されている画面オブジェクトであり、コメントファイルディレクトリ114からコメント情報ファイル401を取得して、題名、登録日時、登録者、登録画面番号を一覧表示する。
登録画面番号をクリックすると、当該画面番号の画面を表示することができるので、指定したコメント情報がどの画面のどこに貼り付いているかを確認することができる。
また、カーソルにて選択したコメント情報の内容は、コメント情報一覧画面1201の下部エリアに表示することができる。
【0054】
本実施形態では以下の応用例が可能である。
(1)前述の実施形態に係る監視制御システムは、クライアント−サーバモデルであり、画面マネージャ116はクライアントアプリケーションプログラムとして端末104にて実行される形式であった。
画面マネージャ116の実行形態は、これに限られない。
例えば、データベースサーバ103はマルチユーザのPOSIX系OSで、画面マネージャ116はX Window(登録商標)のXクライアントであり、データベースサーバ103で実行され、画面マネージャ116の実行イメージのみが端末104のXサーバに表示される形態であってもよい。
また、VMWare(登録商標)等の仮想PC実行環境をデータベースサーバ103で稼働させて、その仮想PC上で画面マネージャ116を実行してもよい。
また、データベースサーバ103にwebサーバとしての機能を持たせて、端末はwebブラウザを稼働させ、Ajax(Asynchronous JavaScript + XML(JavaScriptは登録商標))を用いた動的webアプリケーションで実現することもできる。
【0055】
(2)前述の(1)に関連するが、データベースサーバ103がマルチユーザのPOSIX系OSである場合、画面キャプチャを行うためだけの、専用のアカウントを設けて、当該アカウントで画面マネージャ116をデータベースサーバ103上で稼働させる、という実施形態を形成することも可能である。この場合、端末104にはキャプチャ用VRAM207は設けられず、図6のステップS608及びS609を、データベースサーバ103上のキャプチャ専用アカウントに対して指令して、指定した画面キャプチャを行わせる。端末104の処理能力が低い場合、キャプチャ用VRAM207の為に端末104の図示しないRAMの一部を確保する必要がなく、また画面キャプチャを実行する手間を端末104が負担しなくて済むので、端末104の数が多くなるほど、システム全体のリソース(ハードウェア資源)の利用効率が良くなることが期待できる。
【0056】
(3)画面キャプチャファイル301のファイル名に、ユーザIDを含めることで、同じ画面キャプチャファイル301が重複して発生することを防止できる。
【0057】
(4)吹き出しウィンドウ902に矢印記号等のポインタ画像を付加して、条件定義ファイル502の条件式に記されている信号を発しているプラント機器108に付することで、故障等発生箇所と吹き出しウィンドウ902の関連付けを視覚的に表現することもできる。
【0058】
本実施形態では、監視制御システム101を開示した。
条件式実行部208は、操作者の手を介さずに所定の時間間隔で定期的に条件定義ファイル502に記されている条件式が論理の真を示した場合には、操作者の手を介することなく自動で必要な画面キャプチャファイル301を作成する。
一方、条件式実行部208は、操作者がコメント文を登録するアクションに呼応して、コメント文を登録すると、既に関係する監視制御画面の画面キャプチャファイル301が出来上がっており、その画面キャプチャファイル301との関連付けも完成されていることとなる。
操作者は煩わしい画面キャプチャ作業と、画像ファイルとコメント文との関連付けを作成する作業から解放され、大変効率よくプラントの異常状態を記録する作業を遂行することができる。
そして、引継ぎ者や他の作業者は、文字のコメント情報を参照した上で、吹き出しウィンドウ902に設けられている関連画面表示ボタン903を押せば、瞬時に関連画面の画面キャプチャファイル301をキャプチャ画像ウィンドウ1101に表示できるので、吹き出しウィンドウ902に記述されているコメント情報が何を意味しているのかを理解し易くなる。
【0059】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【符号の説明】
【0060】
101…監視制御システム、102…プラント情報入出力装置、103…データベースサーバ、104…端末、105…ネットワーク、106…ポンプ、107…弁、108…プラント機器、109…プラント制御部、110…プラント情報収集部、111…プラントログテーブル、112…監視画面マスタ、113…条件定義ファイルディレクトリ、114…コメントファイルディレクトリ、115…画面キャプチャファイルディレクトリ、116…画面マネージャ、117…表示部、118…操作部、201…操作情報解析部、202…オブジェクト操作部、203…ログインユーザ情報メモリ、204…オブジェクト描画制御部、205…状態情報取得部、206…VRAM、207…キャプチャ用VRAM、208…条件式実行部、209…RTC、301…画面キャプチャファイル、401…コメント情報ファイル、501…画面キャプチャ条件定義一覧画面、502…条件定義ファイル、801…監視制御画面、802…コメント情報登録ウィンドウ、803…コメント記入ボタン、804…登録ボタン、805…閉じるボタン、901…監視制御画面、902…吹き出しウィンドウ、903…関連画面表示ボタン、1001…監視制御画面、1002…吹き出しウィンドウ、1101…キャプチャ画像ウィンドウ、1102…閉じるボタン、1201…コメント情報一覧画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの監視画面を形成する監視画面オブジェクトが画面番号を伴って複数格納されている監視画面格納部と、
プラント機器が発する信号を評価する条件式と、前記条件式が真になった時に前記監視画面の画面キャプチャを実行する前記画面番号とが記述されている条件定義記憶部と、
前記条件定義記憶部内の前記条件式を所定時間間隔で評価し、前記条件式が真になった時に前記画面番号の画面キャプチャを実行して画面キャプチャファイルを作成する画面キャプチャ実行部と、
操作者の操作を受け付ける操作部から前記操作者の操作を受けて前記監視画面にコメント情報を登録する際、前記条件定義記憶部内の前記条件式を評価し、前記条件式が真になった時に前記画面番号の前記画面キャプチャファイルを前記コメント情報と関連付けて登録するコメント情報登録部と、
前記監視画面を表示部に表示する際、前記監視画面の画面番号に関連付けられている前記コメント情報が存在していれば前記監視画面の中にコメント情報表示ウィンドウを設けて前記コメント情報を表示し、前記コメント情報に関連付けられている前記画面キャプチャファイルが存在していれば前記コメント情報表示ウィンドウ内に前記画面キャプチャファイルを表示するためのボタンを設けるように制御する表示制御部と
を具備する、監視制御システム。
【請求項2】
前記監視画面格納部には、複数の前記コメント情報を前記表示部に一覧表示するコメント情報一覧表示画面の画面オブジェクトが含まれており、
前記コメント情報一覧表示画面に表示されている前記コメント情報を前記操作部で操作することに呼応して、対応する前記監視画面を表示する、請求項1記載の監視制御システム。
【請求項3】
前記コメント情報は前記操作者の識別情報を含む、請求項2記載の監視制御システム。
【請求項4】
監視制御システムによって制御されるプラント機器が発する信号を評価する条件式が真になった時に、前記プラント機器の監視画面を形成する監視画面オブジェクトを用いて画面キャプチャを実行して画面キャプチャファイルを生成する画面キャプチャステップと、
前記監視画面にコメント情報を登録する際に前記条件式を評価して、評価結果が真になった時に、前記画面キャプチャファイルを前記コメント情報に関連付けるコメント情報登録ステップと
を有する、監視制御システムのコメント情報登録方法。
【請求項5】
コンピュータに、
監視制御システムによって制御されるプラント機器が発する信号を評価する条件式が真になった時に、前記プラント機器の監視画面を形成する監視画面オブジェクトを用いて画面キャプチャを実行して画面キャプチャファイルを生成する画面キャプチャステップと、
前記監視画面にコメント情報を登録する際に前記条件式を評価して、評価結果が真になった時に、前記画面キャプチャファイルを前記コメント情報に関連付けるコメント情報登録ステップと
を実行させる、監視制御システムのコメント情報登録プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−73510(P2013−73510A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213450(P2011−213450)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】