説明

監視装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は独り暮らしの老人や子供あるいは愛玩動物の監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】CCD(固体撮像素子)を用いて物体の位置や変位を非接触で検出する方法については従来から多数提案されている。例えば特開昭63−175756号公報ではランプによって照射された試料端の影の位置を直接光としてCCDカメラで捉え、各温度における試料の変位を検出する技術が示されている。このように検出する試料が1個あるいは数個の場合にはCCDカメラのみでその位置や変位を検出することが可能であるが、非検出物体が多くなれば、物体の輪郭が重なり合ったり、背景が複雑であると該背景と物体との識別が困難になるため、特にその物体が人の場合、その人の姿勢や向き等まで認識しようとする場合には適用が難しかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、上述の如くCCDカメラによる画像認識だけでは処理の行い難い人体の姿勢や向きの認識を容易に行い、人体の正確な情報を認識し、異常時の緊急連絡及び危険回避を実現することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、生体及び背景からの反射により生じる可視光を捉えるCCDカメラと、生体が発する赤外線により該生体の各部位の皮膚表面温度を検出するサ−モビュア−と、予め登録された各人固有のデ−タベ−スと、前記CCDカメラ及びサ−モビュア−によって得られたデータを解析し前記生体の部位及び挙動を認識するための演算処理を行うエンジニアリングワ−クステ−ションと、該ワ−クステ−ションの出力デ−タと前記デ−タベ−ス内のデ−タとを比較し前記生体の正常・異常を判断する比較手段と、該比較手段に接続されて前記生体の異常時あるいは危険時に関連する部署に通報を行う通報装置とよりなるものである。
【0005】
【作用】CCDカメラ及びサ−モビュア−によって生体の各部位の画像及び熱画像を取り込み、これをその生体の固有のデ−タベ−スと比較して斯かる生体の正常・異常を判断し、異常時に救急隊や病院等の関連する部署へ通報装置を介して通報を行う。
【0006】
【実施例】以下本発明の監視装置を図面の一実施例について詳細に説明する。
【0007】図1は監視装置のシステム構成を示すブロック図である。図1において、1は生体としての人体(図示せず)から反射される可視光をハ−フミラ−2,3により方向変換して取り込むCCDカメラ、4は人体から発する赤外線を前記ハ−フミラ−3を通して取り込むサ−モビュア−、5は該サ−モビュア−4の検出温度範囲を人の体温(30〜40℃)に設定したりズ−ミング機能の拡大率等をコントロ−ルするサ−モビュア−コントロ−ラ、6は前記CCDカメラ1のパタ−ン認識による検出デ−タ(NTSC信号)を処理し内部のフレ−ムメモリ61に人体静画像デ−タを格納する画像処理装置、7は同じく人体の移動によるCCD検出信号(NTSC信号)の差により人体の位置を検出し該人体の位置のデ−タを処理し内部のフレ−ムメモリ71に人体動画像デ−タを格納する動体検出装置、8は前記サ−モビュア−4の温度検出デ−タを処理し人体の熱画像を構成して内部のフレ−ムメモリ81に該人体の熱画像デ−タを格納する熱画像処理装置である。
【0008】次に9は前記フレ−ムメモリ61,71,81の各デ−タを通信ケ−ブル(GP−IB)を介して取り込み、各メモリ61,71,81内のデ−タを用いた画像解析による人体抽出と人体の部位認識及び姿勢認識技術を行うエンジニアリングワ−クステ−ション(以下EWSという)、10は該EWS9のデ−タと比較される個人のカルテの及び個人が置かれた状況のデ−タベ−スである。
【0009】11は前記EWS9のデ−タとデ−タベ−ス10のデ−タとを比較し、人体の正常あるいは異常を判断する比較手段である。
【0010】ここで前記EWS9では前記CCDカメラ1及びサ−モビュア−4の画像解析によって背景から人体を切り出し、該人体の部位及び挙動を認識する。これら人体のデ−タと前記デ−タベ−スのデ−タは前記比較手段11によって比較され、発熱や震え等の人体の異常時あるいは緊急時の判断を行う。
【0011】そして12は前記比較手段11の比較結果に基づいて医療機関や消防署等の関連部署に通報を行う通報装置である。
【0012】以上の構成を有する監視システムに於て、図2を用いて動作を説明する。
【0013】ステップS1においてCCDカメラ1、サ−モビュア−4を起動し、夫々による所定の部屋内の人体の諸デ−タを検出し、人体の認識を行う。次にステップS2においてEWS9によって前記ステップS1のデ−タを解析し人体の挙動(移動速度、停止時間、顔の向き)を認識する。この時同時にサ−モビュア−4によって人体の各部位の皮膚表面温度の計測を行いこれをEWSにて演算処理する。
【0014】次にステップS4において比較手段11は予め登録された部屋の諸デ−タ及び個人のカルテデ−タと前記ステップS2,S3で得られた人体の諸デ−タとを比較し、これらデ−タが一致したときには人体に異常及び危険はなく、ステップS1に戻って再び人体の認識を行い、これに対してこれらデ−タが不一致のときにはステップS5にて部屋内の人体の異常あるいは危険を認識し、前記通報装置12を作動させて関連部署への緊急通報を行う。
【0015】特に独り暮らしの老人が対象の場合は、前記デ−タベ−ス10にはその人の病状及び該病状に伴う身体の諸デ−タ、あるいは老人のいる部屋の大きさ家具の配置等の諸デ−タが蓄積され、一方の乳幼児や子供が対象の場合には、その子の身体の諸デ−タのほかにその子がいる部屋の大きさや家具の配置及び危険区域の諸デ−タが蓄積される。
【0016】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、サ−モビュア−とCCDカメラの画像解析により生体の挙動を認識するとともに、生体の各部位の皮膚表面温度を計測しているため、生体の異常な発熱だけでなく、不自然な姿勢や動作を検出することができ、これにより生体の異常時あるいは危険時には関連する部署に通報が行われることになり、独り暮らしの老人の場合にはその身体の異常を即座に認識し、救急隊や病院等の関連部署に通報することができるだけでなく、乳幼児が危険区域に入った場合にはその事実を即座に保護者等に知らせることができる緊急報知システムとしてその利用範囲は大きいものとなる効果が生まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明監視装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図1のEWSの動作を説明する流れ図である。
【符号の説明】
1 CCDカメラ
4 サ−モビュア−
6 画像処理装置
7 動体検出装置
8 熱画像処理装置
9 エンジニアリングワ−クステ−ション
10 デ−タベ−ス
11 比較手段
12 通報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 生体及び背景からの反射により生じる可視光を捉えるCCDカメラと、生体が発する赤外線により該生体の各部位の皮膚表面温度を検出するサ−モビュア−と、予め登録された各生体固有のデ−タベ−スと、前記CCDカメラ及びサ−モビュア−によって得られたデータを解析し前記生体の部位及び挙動を認識するための演算処理を行うエンジニアリングワ−クステ−ションと、該ワ−クステ−ションの出力デ−タと前記デ−タベ−ス内のデ−タとを比較し前記生体の正常・異常を判断する比較手段と、該比較手段に接続されて前記生体の異常時あるいは危険時に関連する部署に通報を行う通報装置とよりなる監視装置。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】特許第3021740号(P3021740)
【登録日】平成12年1月14日(2000.1.14)
【発行日】平成12年3月15日(2000.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−85343
【出願日】平成3年4月17日(1991.4.17)
【公開番号】特開平4−318697
【公開日】平成4年11月10日(1992.11.10)
【審査請求日】平成9年10月23日(1997.10.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【参考文献】
【文献】特開 昭57−54048(JP,A)