説明

目隠し装置

【課題】居室内のプライバシーの確保と、室外の窓前部の見通しの確保とを、両立することができる目隠し装置を提供する。
【解決手段】目隠し装置1には、視認空間VEから窓面100に向けられる視線VLを制御し、視認空間VEから窓面100の前部FW及び居室INの一部を視認可能とする視線制御部10が設けられている。また、この視線制御部10は、視認空間VEから居室IN内へ向かう視線VLのうち、第1の窓側枠部101の内縁部101aと視線制御基点BPとを結ぶ第1の仮想線L1に交差する視線VLのみを許容するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓面と視認空間との間に配置される目隠し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物への不法侵入等を未然に防ぐための有効な手段として、自然監視性の確保がある。すなわち、対象とする住宅の防犯性を高めるといったハード面の性能向上のみではなく、近隣住民や建物の周辺を通行する人から建物や当該建物の各窓等への視認性を確保することで、不法侵入等に対する抑止力を得る点に着眼した考え方である。侵入犯の犯罪行動調査によれば建物内部へ侵入しようとしてあきらめた理由の6割が近隣の目を意識した場合を挙げている。かかる点にのみ着目する場合には、建物敷地と公道とを区画する生垣やフェンスなどの外構の視線透過度を高めればよく、例えば、このような生垣やフェンスを全く設置しない構成も考えられる。一方で、そのように公道から建物敷地に向けての視線透過度を高めてしまうと、それによって建物の窓等を介して建物内部(居室内部)が丸見えとなり、当該建物の住人のプライバシーが却って妨げられてしまうという問題を生じる。
【0003】
かかる問題を解決すべく、例えば特許文献1には、複数枚の板状部材を左右方向に多数並べてルーバー状の遮光部を構成した門扉が開示されている。より具体的には、当該門扉は板状部材の奥行dを、相互に隣接する板状部材によって囲まれた間隙の幅wよりも大きく設定する。すなわち、d≧wに設定することで、斜め前方の視線を遮断する。これにより、門扉の外側から、門扉本体を介して、門扉の内側が覗かれることを防止することができるとされており、当該構成を建物敷地と公道を区画する目隠しに用いることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−284569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成は、建物に設置される窓と位置関係に対して十分な配慮なく配置される門扉についての開示であるため、窓に対する門扉の配置によっては、侵入者の侵入口となる窓前への公道からの視線をそれほど得ることができないのみならず、他方で必要以上に窓を介して居室の奥方を視認できるような場合もあり、単にかかる門扉を設置するのみではプライバシーの確保と窓前部の見通しとを効果的に得ることができない虞があった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、居室内のプライバシーの確保と、室外の窓前部の見通しの確保とを、両立することができる目隠し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る目隠し装置は、一対の窓側枠部を備えて居室に設けられる窓の窓面と、該窓面を視認可能な視認空間との間で該窓面に垂直又は略垂直に延在して設けられ、居室には、窓面から居室側に離間した位置に、視認空間から居室内に向けての視線を制御するための基点となる視線制御基点が設定されており、該視線制御基点との関係で設置される目隠し装置であって、視認空間から窓面に向けられる視線を制御し、視認空間から窓面の前部及び居室の一部を視認可能とする視線制御部が設けられ、該視線制御部は、視認空間から居室内へ向かう視線のうち、一対の窓側枠部のうち視認空間から遠くに位置する第1の窓側枠部の内縁部と視線制御基点とを結ぶ第1の仮想線に交差する視線のみを許容することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る目隠し装置には、視認空間から窓面に向けられる視線を制御し、視認空間から窓面の前部及び居室の一部を視認可能とする視線制御部が設けられている。また、この視線制御部は、視認空間から居室内へ向かう視線のうち、第1の窓側枠部の内縁部と視線制御基点とを結ぶ第1の仮想線に交差する視線のみを許容するように構成されている。このような構成により、視認空間を通過する通行人は、当該視線制御部を介して、窓面の前部を視認することができると共に、居室のうち、窓面付近に設定される第1の仮想線と視線が交差する範囲内の一部のみを視認することができる。すなわち、当該第1の仮想線と交差せずに居室の奥方へ向かう視線を規制することができる。ここで、通行人が視認できる居室の一部とは、居室内にて窓からの景色や通風を得ることができる一方、プライバシー上、視認空間等の外部からの視線を遮る必要がない室内部分(日常生活ではプライバシー上重要でない部分)である。このように居室内におけるプライバシーを考慮して視線制御基点を設定することによって、視線制御部は、視認空間からの視線を居室内におけるプライバシーを重視しない部分のみにとどめることができる。居室の住人は、当該視認空間からの視線を窓面の全部に得ることができ、さらには、当該視認空間からの視線をプライバシーを重要視しない居室の一部の領域までにとどめることができるものとなっている。以上によって、居室内のプライバシーの確保と、室外の窓前部の見通しの確保とを、両立することができる。
【0009】
また、本発明に係る目隠し装置において、視線制御部よりも視線透過度を高めて視認空間から窓面の前部及び居室の一部を視認可能とする視線非制御部が設けられ、視線非制御部は、一対の窓側枠部において視認空間の近くに位置する第2の窓側枠部の外縁部と視線制御基点とを結ぶ第2の仮想線よりも窓面側に寄せた位置に配置され、視線制御部は、窓面から見て視線非制御部よりも遠い位置に配置されて視線非制御部に連続していることが好ましい。すなわち、窓面に近い位置に視線非制御部が設けられ、窓面から見て視線非制御部よりも遠い位置に配置されて視線非制御部に連続して視線制御部が設けられている。比較的窓から遠い位置においては、当該窓面に向かう視線と窓面との角度が大きなものとなり、その分、視認空間から居室の奥方に向けての視線を通しやすい位置関係となっている。ここでは、当該領域を視線制御部とすることにより、視線制御基点から奥方への視線を制御し、これによって、当該窓面から遠い位置であっても、居室の住人は、当該視認空間からの視線を窓面の前部に得ることができ、更には、当該視認空間からの視線を、居室内のうちプライバシーを重要視しない部分にとどめることができる。一方、窓面に近い位置、具体的には、視線制御基点と第2の窓側枠部の外縁部とを結ぶ第2の仮想線よりも窓面側の領域からの視線は、特に視線の制御を行わなくとも視線制御基点よりも奥方へ視線が通過することがなく(すなわち、プライバシー上問題となりうる視線が全て第2の窓側枠部に遮られるため、第1の仮想線と交差する視線のみが居室内へ入ることができる)、結果的に居室内のうちのプライバシーを重要視しない部分にとどまる。このように、視線制御を行うまでもなくプライバシーを確保できる領域を視線透過度の高い視線非制御部とすることで、窓前部の見通しを極めて良くすることが可能となり、防犯性能を向上させることができる。また、視線の制御を行う必要がないため、設計時や作業時のコストや負担を低減することができる。
【0010】
また、本発明に係る目隠し装置において、視線制御部は、同一の断面形状を有する長尺な複数の縦格子部材を窓面に垂直又は略垂直な平面位置に並べることによって構成されることが好ましい。これによって、視線制御部の形成を極めて容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明に係る目隠し装置において、それぞれの縦格子部材は、窓面に平行であって当該縦格子部材の奥行きを規定する一対の側面部を備え、視線非制御部に近い位置に設置される第1の縦格子部材の側面部の側縁部と、当該第1の縦格子部材と隣り合うと共に視線非制御部から遠い位置に設置される第2の縦格子部材の側面部の側縁部とが互いに対向しており、第1の縦格子部材と第2の縦格子部材との間の間隔は、第1の縦格子部材の窓面側の側縁部と第2の縦格子部材の視認空間側の側縁部とを結ぶ直線が第2の仮想線に平行となる状態に設定されていることが好ましい。このような構成及び位置関係をなす第1の縦格子部材と第2の縦格子部材においては、第1の縦格子部材の窓面側の側縁部と第2の縦格子部材の視認空間側の側縁部とを結ぶ直線が、各縦格子部材の間の隙間を通過する視線のうち、最も居室の奥方まで入り込む視線、すなわち視野角の境界部分に係る視線を定めている。また、当該視野角は、各縦格子部材の間の間隔を調整することで制御することができる。ここで、当該視野角の境界部分に係る視線が第2の仮想線に平行な状態であれば、各縦格子部材の間の隙間によって制御される視野は、各縦格子部材の窓面からの距離に関わらず、必ず第1の仮想線と交差する範囲内にとどめられる。また、居室内において外部からの視認を許容する部分の中でも、より窓面に近い位置のみに当該居室への視線を抑えることができる(すなわちプライバシーを保護したい部分と視認を許容できる部分の境界である視線制御基点付近に視線が集中しないようにすることができる)。従って、各縦格子部材の間の間隔を、第1の縦格子部材の窓面側の側縁部と第2の縦格子部材の視認空間側の側縁部とを結ぶ直線が第2の仮想線に平行となる状態に設定することによって、居室内のプライバシーをより確実に保護することができる。
【0012】
また、本発明に係る目隠し装置において、それぞれの縦格子部材は、窓面に平行であって当該縦格子部材の奥行きを規定する一対の側面部を備え、視線非制御部に近い位置に設置される第1の縦格子部材の側面部の側縁部と、当該第1の縦格子部材と隣り合うと共に視線非制御部から遠い位置に設置される第2の縦格子部材の側面部の側縁部とが互いに対向しており、第1の縦格子部材と第2の縦格子部材との間の間隔は、第1の縦格子部材の窓面側の側縁部と第2の縦格子部材の視認空間側の側縁部とを結ぶ直線が第2の仮想線に平行となる状態から、窓面から遠ざかるに従って段階的に大きくなるように設定されていることが好ましい。このような構成及び位置関係をなす第1の縦格子部材と第2の縦格子部材においては、第1の縦格子部材の窓面側の側縁部と第2の縦格子部材の視認空間側の側縁部とを結ぶ直線が、各縦格子部材の間の隙間を通過する視線のうち、最も居室の奥方まで入り込む視線、すなわち視野角の境界部分に係る視線を定めている。また、当該視野角は、各縦格子部材の間の間隔を調整することで容易に制御することができる。ここで、当該視野角の境界部分に係る視線が第2の仮想線に平行な状態であれば、各縦格子部材の間の隙間によって制御される視野は、各縦格子部材の窓面からの距離に関わらず、必ず第1の仮想線と交差する範囲内にとどめられる。一方、視線制御部を構成する縦格子部材のうち、窓面から遠い位置に配置される縦格子部材に関しては、視線制御基点からの距離も同時に遠くなるため、視野角が広くなるように設定しても、視線を第1の仮想線と交差する範囲にとどめることができる。同時に、視野角を広く設定することにより、窓前部の見通しも良くすることができ、防犯性能を向上させることもできる。従って、第1の縦格子部材と第2の縦格子部材との間の間隔を、第1の縦格子部材の窓面側の側縁部と第2の縦格子部材の視認空間側の側縁部とを結ぶ直線が第2の仮想線に平行となる状態から、窓面から遠ざかるに従って段階的に大きくなるように設定することによって、居室内のプライバシーを確実に保護すると同時に、防犯性能を向上させることができる。また、このように縦格子部材を設置することにより、視線制御部の縦格子部材の間隔は、視線非制御部から離間するに連れて大きくなることとなり、目隠し装置の外観の向上も図られることとなる。
【0013】
また、本発明に係る目隠し装置において、各縦格子部材の幅を一定値のAとし、縦格子部材を窓面に近い位置から第1縦格子部材v、第2縦格子部材v…、第N+1縦格子部材vN+1とし、縦格子部材間の間隔を、窓面に近い位置から順に第1間隔S、第2間隔S…、第n間隔Sとして設定する場合に、以下の式(A)、式(B)及び式(C)の関係を有して設定されることが好ましい。かかる式に基づいて縦格子部材を立設することにより、視線の制御を確実なものとしつつ、これら縦格子部材間の間隔の管理を容易なものとすることができ、当該目隠し装置の製造を容易に行うことができるものとなっている。
【0014】
【数1】



ただし、Δsは定数とし、また、n=1〜N
【0015】
また、本発明に係る目隠し装置において、視線制御部と視線非制御部は、いずれか一方、あるいは両方が開閉自在となっていることが好ましい。開閉自在とすることで、通常時は開いておくことで防犯性を確保しつつも、視認空間からの視線を完全に遮断すべき場面では閉めることができる。
【0016】
また、本発明に係る目隠し装置は、一対の窓側枠部を備えて居室に設けられる窓面と、該窓面を視認可能な視認空間との間で、同一の断面形状を有する長尺な複数の縦格子部材を窓面に垂直又は略垂直な平面位置に並べることによって構成され、互いに隣り合う縦格子部材の間の間隔は、窓面から遠ざかるに従って、段階的に大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【0017】
窓面に近い領域では、視野角が大きすぎる場合、視線が居室内の奥方にまで届いてしまうため、居室内のうちプライバシー上問題とならない窓面付近の一部に視線がとどまるように視野角を制御する必要がある一方、視野角が小さくても窓前部に対する視線を十分に確保することができる。窓面から遠い領域では、視野角が小さすぎる場合、窓前部に至る視線が減少してしまう一方、窓面からの距離が遠いため視野角を大きくしても居室内への視線を窓面付近の一部にとどめることができる。従って、本発明に係る目隠し装置においては、窓面に近い領域で、縦格子部材の間の間隔を小さくすることで視野角が小さくなるよう構成し、窓面から遠い領域では、縦格子部材の間の間隔を大きくすることで視野角が大きくなるように構成している。これによって、居室内のプライバシーの確保と、室外の窓前部の見通しの確保とを、両立することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、居室内のプライバシーの確保と、室外の窓前部の見通しの確保とを、両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る目隠し装置、及び当該目隠し装置が適用される建物STの構成を示す図である。
【図2】建物の居室を拡大した図である。
【図3】本発明の実施形態に係る目隠し装置を拡大した図である。
【図4】目隠し装置の設計方法の説明のためのモデル図である。
【図5】比較例に係る目隠し装置の構成を示す図である。
【図6】比較例に係る目隠し装置の構成を示す図である。
【図7】変形例に係る目隠し装置を示す図である。
【図8】変形例に係る目隠し装置を示す図である。
【図9】変形例に係る目隠し装置を示す図である。
【図10】変形例に係る目隠し装置を示す図である。
【図11】変形例に係る目隠し装置を示す図である。
【図12】変形例に係る目隠し装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る目隠し装置について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る目隠し装置1、及び当該目隠し装置1が適用される建物STの構成を示す図である。図1(a)は、当該構成を上方から見た図であり、図1(b)は、当該構成を視認空間VE側(公道側)から見た図である。図2は、建物STの居室INを拡大した図である。図3は、本実施形態に係る目隠し装置1を拡大した図である。図1に示すように、建物STは、外壁OW1,OW2を備え、内部に居室INを有している。建物STの敷地PRと公道LDの間には、生垣やフェンスなどの外構FSが配置されている。公道LDは、外壁OW1と交わる方向D1(ここでは、外壁OW1と垂直または略垂直をなす)に沿って延びている。公道LDが延びる方向である方向D1は、建物STを公道LDから見ることができる通行人の進行方向に該当する。外構FSの生垣も方向D1に沿って延びている。居室INは、方向D1と垂直または略垂直をなす外壁OW1と、公道LD側において方向D1に沿って延びる外壁OW2と、建物ST内の内壁IWと、に囲まれて構成されている。居室INには、第1の窓側枠部101と第2の窓側枠部102を備えた窓の窓面100が設けられている。窓面100は、外壁OW1の一部に設けられており、本実施形態では、窓にあって当該外壁の外周面に一致する面を窓面として定義する。第1の窓側枠部101は、公道LDと反対側に位置し(すなわち、視認空間VEから遠くに位置する)、第2の窓側枠部102は、公道LD側に位置する(すなわち、視認空間VEの近くに位置する)。なお、本発明において「居室」とは、リビングや各人の個室等に加えて、トイレや洗面所等、住宅建物においてプライバシーを要する空間のことである。
【0022】
このように窓面100が設定された建物STに対して、公道LDには窓面100を視認可能とする視認空間VEが設定される。視認空間VEは、建物ST及び目隠し装置1の設計時に仮想的に設定される空間である。この視認空間VEは、窓面100の前部FWに対して、公道LDを通行する通行人の視線を確保するために設定される空間である。前部FWは、窓面100から侵入者が居室INへ侵入する際に、侵入作業を行う侵入者の立ち位置に該当する。視認空間VEは、窓面100との関係によって設けられる領域であり、通行人が当該窓面100に対し通過しながら1〜2秒に亘って視線を向けることができる領域である。公道に面する窓面(例えば、図8の窓面200)、或いは公道に近い位置にて当該公道に有角状(直角状)に設置される窓面(例えば、図1の窓面100や図8の窓面300)に対しては、2m程度の視認空間が得られれば充分である。また、当該視認空間VEの設定位置にあっては、図1に示すように公道LDに対して有角状(本実施形態では直角状)に設置される窓面100では、窓面100の形成される平面を起点として当該窓面100より離間する方向2m(=図1においてLで示す部分の長さ)であって、通行人は、窓面100を横に見ながら当該視認空間VEを通過することとなる。図8に示すような窓面200に対しては、通行人は、窓面200に近づきながら当該視線空間VEを通過することとなるので、当該窓面200に至るまでの間の任意の位置で2mが確保されればよい。
【0023】
窓面100と視認空間VEとの間には、目隠し装置1が設けられる。目隠し装置1は、窓面100と交わる方向、ここでは窓面100に垂直又は略垂直に延在して設けられている。目隠し装置1は、外構FSにおいて視認空間VEと対応する位置に設けられる。なお、目隠し装置1が設けられていない部分は、生垣や植え込みによって完全に視線が遮られる。目隠し装置1は、視認空間VEからの視線のうち、窓面100の前部FWに対する視線を確保して見通しを良くする一方で、居室IN内へ向かう視線の一部を制限することによって、防犯性の向上とプライバシーの保護を同時に得る機能を有している。目隠し装置1の詳細な構成については、後述する。
【0024】
一方、居室INには、窓面100からセットバックした位置、すなわち窓面100から居室IN側に離間した位置に、視認空間VEから居室IN内に向けての視線を制御するための基点となる視線制御基点BPが設定される。この視線制御基点BPは、建物ST及び目隠し装置1の設計時に仮想的に設定される点である。例えば、視線制御基点BPは、奥方の内壁IWに設定する場合には窓面100が設けられる外壁OW1の内表面から90cm程度、当該窓面100手前に室内洗濯物干し等を設置する場合には、当該外壁OW1の内表面から30cm程度に設定される。その他、たんす等の家具を設置する場合には、当該家具の縁部であればよく、少なくとも窓面100から居室IN側へ1m程度セットバックした位置よりも奥方まで視線が通ることを制御できるものであれば、任意の位置に設定できる。視線制御基点BPは、窓面よりもセットバックした位置であって、視認空間から見て窓面100の第1の窓側枠部101よりも遠い位置、または第1の窓側枠部101と同位置(すなわち、公道LDや外壁OW2からの垂直方向の距離が、第1の窓側枠部101と同じ距離となる)に設定される。このように設定された視線制御基点BPによって、通行人からの視認を許容できる居室INの一部(以下、当該居室の部分を「視認許容部VA」と称して説明する)が設定される。視認許容部VAとは、プライバシー上視認空間VE等の外部からの視線を遮る必要がない室内部分(日常生活ではプライバシー上重要でない部分)である。
【0025】
図2に示すように、本実施形態では、室内洗濯物干しHLが通行人に見えないようにすることを想定し、窓面100の第1の窓側枠部101から居室IN側へ向かって30cm程度セットバックした位置に視線制御基点BPが設定されている。あるいは、内壁IWの外壁OW1側の角部付近が通行人に見えてもプライバシーに影響を与えないことを想定し、内壁IWのうち、外壁OW1の内表面から90cm程度セットバックした位置に設定した視線制御基点BP2を用いてもよい。また、家具の設置位置が予め決定できる場合などには、家具の側面が通行人に見えてもプライバシーに影響を与えないことを想定し、家具FCの縁部に設定した視線制御基点BP3を用いてもよい。なお、本実施形態では、視線制御基点BPは、窓面100よりもセットバックした位置であって、窓面100の第1の窓側枠部101よりも遠い位置、または第1の窓側枠部101と同位置に設定されているが、設計段階における設定により、第1の窓側枠部101よりも視線空間VEに近い位置に視線制御基点BPを設定してもよい。すなわち、窓面100よりも居室IN側にセットバックした位置であって、視認空間VEからの視線を制御する基点となる位置であれば、どこに視線制御基点BPを設定してもよい。
【0026】
目隠し装置1は、視線制御部10と、視線非制御部20とを備えている。視線制御部10は、視認空間VEから窓面100に向けられる視線を制御し、視認空間VEから窓面100の前部FW及び居室INの一部を視認可能とする機能を有しており、視認空間VEからの通行人の視野角を制御することで視線を制御する視野角制御部として機能する。視線非制御部20は、視線制御部10よりも視線透過度を高めて視認空間VEから窓面100の前部FW及び居室INの一部を視認可能とする機能を有しており、視認空間VEからの通行人の視野角を特に制御しない視野角非制御部として機能する。目隠し装置1のうち、視線非制御部20は窓面100に近い位置に配置され、視線制御部10は窓面100から遠い位置に配置される。
【0027】
目隠し装置1は、視線制御部10と、視線非制御部20とを備えている。視線制御部10は、視認空間VEから窓面100に向けられる視線を制御し、視認空間VEから窓面100の前部FW及び居室INの一部を視認可能とする機能を有しており、視認空間VEからの通行人の視野角を制御することで視線を制御する視野角制御部として機能する。視線非制御部20は、視線制御部10よりも視線透過度を高めて視認空間VEから窓面100の前部FW及び居室INの一部を視認可能とする機能を有しており、視認空間VEからの通行人の視野角を特に制御しない視野角非制御部として機能する。目隠し装置1のうち、視線非制御部20は窓面100に近い位置に配置され、視線制御部10は窓面100から遠い位置に配置される。
【0028】
視線制御部10は、視認空間VEから居室IN内へ向かう視線VLのうち、第1の窓側枠部101の内縁部101aと視線制御基点BPとを結ぶ第1の仮想線L1であって内縁部101aと視線制御基点BPとの間の部分に交差する視線のみを許容する機能を有している(図2参照)。すなわち、第1の仮想線L1を通過しない視線VLを制限する機能を有している。これによって、視認空間VEからの全ての視線を、視認許容部VAにとどめることができる。図3に示すように、具体的には、視線制御部10は、同一の断面形状を有する長尺な複数の縦格子部材10Aを窓面100に垂直又は略垂直な平面位置に並べることによって縦格子の柵として構成される。ここでは、窓面100側から順番に、縦格子部材10A〜10AN+1の合計N+1本並べられている。
【0029】
各縦格子部材10A〜10AN+1は、断面長方形状の棒状部材であり、窓面100に平行であって当該縦格子部材10A〜10AN+1の奥行きdを規定する一対の側面部11,12を備えている。側面部11,12は、長方形状の断面における長辺に対応する側面部である。本実施形態では、縦格子部材10A〜10AN+1は、長辺(=奥行きd)を20〜90mmに設定し、短辺を5〜30mmに設定された断面長方形状とされている。また、各側面部11,12は、窓面100側の側縁部11a,12aと、視認空間側の側縁部11b,12bと、を有している。視線非制御部20に近い位置に設置される縦格子部材10(「第1の縦格子部材」に該当)の側面部12の側縁部12a,12bと、当該縦格子部材10と隣り合うと共に視線非制御部20から遠い位置に設置される縦格子部材10n+1(「第2の縦格子部材」に該当)の側面部11の側縁部11a,11bとが互いに対向している(n=1〜N)。縦格子部材10A〜10AN+1の全てについて、同様の関係が成り立つ。
【0030】
本実施形態では、互いに隣り合う縦格子部材10Aと縦格子部材10An+1の間の間隔Sによって視線VLの制御がなされる。例えば、縦格子部材10Aと縦格子部材10Aの間の隙間を通過して建物ST側に到達することができる視線VLの視野VFについて説明すると、視野VFにおける窓面100へ向かう視線VLの視野角θは、縦格子部材10Aの側縁部11bと縦格子部材10Aの側縁部12aとを結ぶ境界視線VLの角度によって既定される。縦格子部材10A,10Aの奥行き(=d)は等しく各側縁部11,12も互いに対向する構成であるため、視野角θは以下の式(1)より、間隔Sによって定められる。互いに隣り合う縦格子部材10Aと縦格子部材10An+1の間の隙間を通過することができる視線VLの視野VFについても同様の関係が成り立ち、窓面100側へ向かう視線VLの視野角θは、間隔Sによって定められる。
【0031】
tanθ=S/d …(1)
【0032】
視線制御基点BPと第2の窓側枠部102の外縁部102aとを結ぶことによって、第2の仮想線L2が設定される(図2参照)。視線制御部10のうち、最も窓面100側で視線VLを制御する縦格子部材10Aと縦格子部材10Aは、上述のように視野角θを有しており、当該視野角θをなす境界視線VLは、第2の仮想線L2と平行となる(ここでは、境界視線VLと第2の仮想線L2が一致する)。これにより、縦格子部材10Aと縦格子部材10Aは、視線制御基点BPと第1の窓側枠部101の内縁部101a第1の仮想線L1に交差する視線VL(視野VFの範囲内の視線VL)のみを許容し、第1の仮想線L1を通過しない視線VLを縦格子部材10A又は縦格子部材10Aで遮ることによって、制限することができる。なお、視野VFのなす角度を第2の仮想線L2がなす角度よりも小さくしてもよい(視野VFの窓面100側の視野角θを狭くする)が、前部FWの見通しをよくするために、大きく視野角θを確保することが好ましい。
【0033】
互いに隣り合う縦格子部材10Aと縦格子部材10An+1の間の間隔Sは、窓面100から遠ざかるに従って(すなわちnの値が大きくなるに従って)、段階的に大きくなるように設定されている。これによって、窓面100から遠ざかるに従って、隙間が徐々に大きくなってゆくグラデーションが形成される。具体的には、互いに隣り合う縦格子部材10Aと縦格子部材10An+1の間の間隔Sは、縦格子部材10Aの窓面100側の側縁部12aと縦格子部材10An+1の視認空間VE側の側縁部11bとを結ぶ境界視線VLが第2の仮想線L2に平行となる状態(ここでは、境界視線VLが当該状態に該当している)から、窓面100から遠ざかるに従って段階的に大きくなるように設定されている。窓面100側の境界視線VLが視線制御基点BPを通過する状態であれば、縦格子部材10Aと縦格子部材10An+1の間の隙間を通過する視線VLは全て第1の仮想線L1と交差するため、当該状態における視野角θが最大視野角である。間隔Sは、視野角θが最大視野角を超えない範囲でどのように設定してもよいが、前部FWの見通しをよくするために、大きく視野角θを確保することが好ましい。
【0034】
本実施例の如き視認空間VEと窓面100の平面視における位置関係にあっては、互いに隣り合う縦格子部材10Aと縦格子部材10An+1の間の間隔Sは、例えば、30mm〜90mmの範囲で設定され、これら連続する縦格子部材10Aと縦格子部材10An+1によって構成される視線制御部10の視線透過率は50〜75%に設定される。当該範囲内で、窓面100(又は視線非制御部20)から遠ざかるに従って、隙間が徐々に大きくなってゆくグラデーション状の縦格子が構成される。
【0035】
視線非制御部20から離間して延在させる視線制御部10の端部(すなわち窓面100から遠い方の端部)を更に延ばしてもよいが、第1の仮想線L1を外へ向かって延ばした直線と交差する位置を限度とすることが好ましい。当該直線を超えて視線制御部10を設けたとしても、当該領域からの視線は、第1の仮想線L1と交差することができず、窓面100の前部FWへ向けようと制御した視線は、全て居室INの奥方へ及んでしまうためである。なお、図1に示す実施形態では、第1の仮想線L1と目隠し装置1が平行になっているため、そのような領域は生じない。
【0036】
視線非制御部20は、視線制御部10のように視線の制御を行うことなく(視野角を制御するための設計を行っていない)、視線制御部10よりも視線透過度を高めることによって、公道LDから窓前100の前部FWへの見通しを確保している。第2の仮想線L2よりも窓面100側の領域においては、特に視野角を制御しなくとも、窓面100の第2の窓側枠部102で遮られることで、全ての視線が第1の仮想線L1を通過し、プライバシーが確保される。従って、視線非制御部20は、少なくとも第2の仮想線L2よりも窓面100側に配置され、視線制御部10が、当該視線非制御部20に対して、窓面100の反対側に配置される。本実施形態では、第2の仮想線L2が、視線非制御部20と視線制御部10の境界部を構成している。視線制御部10が第2の仮想線L2よりも窓面100側まで延びていてもよいが、部材のコストや作業容易性の観点から、視線非制御部20の範囲を大きく確保することが好ましい。
【0037】
視線非制御部20は、同一の断面形状を有する長尺な複数の縦格子部材20Aを窓面100に垂直又は略垂直な平面位置に並べることによって縦格子の柵として構成される。縦格子部材20Aは、視線制御部10の縦格子部材10Aよりも奥行きが小さく、部材間の間隔も広く、一定に配置される。これによって、視線非制御部20の縦格子構造は、視線制御部10の縦格子構造に比して視線透過率が高く設定される。なお、視線非制御部20は、公道LDからの物理的な侵入を妨げることができるものであれば、縦格子構造に限定されず、あらゆる構造を採用することができるが、視線制御部10との意匠の観点より、縦格子構造とすることが好ましい。視線非制御部20の視線透過率は、50〜100%に設定することが好ましい。
【0038】
視線制御部10と視線非制御部20は、いずれか一方、あるいは両方が開閉自在に構成されていることが好ましい。例えば、視線制御部10(視線非制御部20)を構成する各格子が一体となってそれぞれ扉状(又は引き戸状)に開閉自在な構成としてもよい。あるいは、縦格子構造の隙間を別部材で覆うことで開閉自在としてもよい。開閉自在とすることで、通常時は開いておくことで防犯性を確保しつつも、視認空間からの視線を完全に遮断すべき場面では閉めることができる。
【0039】
次に、図4を参照して、目隠し装置1の視線制御部10及び視線非制御部20の設計方法の一例について説明する。図4は、設計方法を説明するためにモデル化されたものであるため、各要素同士の寸法関係や視線の角度の関係などは、実際の目隠し装置1とは異なる。また、図4では、説明のために、図1の例とは異なり、視線制御基点BPが第1の窓側枠部101よりも公道LDから遠い位置に設定されている。図4において、窓面100と垂直な方向における寸法のうち、X1は視線制御基点BPと第2の窓側枠部102の外縁部102aとの間の距離を示し、X2は第2の窓側枠部102の外縁部102aと基準位置(視線非制御部20と視線制御部10との間の境界部分に任意に設定できる)との間の距離を示し、gは基準位置から縦格子部材10Aの側面部12までの距離である。窓面100と平行な方向における寸法のうち、Y1は視線制御基点BPと第1の窓側枠部101との間の距離を示し、Y2は窓面100の大きさを示し、Y3は第2の窓側枠部102から目隠し装置1までの距離(ここでは、視線制御部10の縦格子部材10Aの窓面100側の端面までの距離)である。なお、本実施形態に係る計算例では、縦格子部材10Aの側面部12を、視線非制御部20と視線制御部10との間の境界部分の基準位置に設定している。この場合、g=0となる。また、視線非制御部20の大きさ(第2の窓側枠部102の外縁部102aと、視線制御部10の視線非制御部20側の端部との間の距離)は、X2から縦格子部材10Aの厚さ(窓面100と垂直な方向における大きさ)を引くことによって求めることができる。ただし、基準位置は、視線非制御部20と視線制御部10との間の境界付近であれば、どこに設定してもよく、設定した位置に応じて以下で説明する式を適宜変更すればよい。
【0040】
まず、居室INに視線制御基点BPを設定することによって、X1及びY1を定める。次に、視線制御基点BPと第2の窓側枠部102の外縁部102aとを結ぶ第2の仮想線L2を設定する。ここで、角度θを有する直角三角形に基づく相似形の関係から式(2)が導き出され、当該式(2)を変形して式(3)とすることにより、視線非制御部20の大きさであるX2が算出される。
【0041】
X1/(Y1+Y2)=X2/Y3 …(2)
X2=X1・Y3/(Y1+Y2) …(3)
【0042】
次に、縦格子部材10Aと縦格子部材10Aの間の間隔Sを導き出す。ここでは、視野角θをなす境界視線VLが第2の仮想線L2と平行となるように(一致するように)する。直角三角形に基づく相似形の関係から式(4)が導き出され、当該式(4)を変形して式(5)とすることにより、間隔Sが算出される。
【0043】
(X1+X2)/(Y1+Y2+Y3)=S/d …(4)
=(X1+X2)・d/(Y1+Y2+Y3) …(5)
【0044】
次に、縦格子部材10Aと縦格子部材10Aの間の間隔S、縦格子部材10Aと縦格子部材10Aの間の間隔S、と順次計算してゆく。ここでは、縦格子部材10Aと縦格子部材10An+1の間の間隔Sを計算する場合、視野角θをなす境界視線VLが視線制御基点BPを通過するように計算する。直角三角形に基づく相似形の関係から式(6)が導き出され、当該式(6)を変形して式(7)とすることにより、間隔Sが算出される。式(7)を用いてn=2〜Nまで計算を行うことで、視線制御部10におけるグラデーション状の縦格子を構築する。
【0045】
(X1+X2+g)/(Y1+Y2+Y3)=S/d …(6)
=(X1+X2+g)・d/(Y1+Y2+Y3) …(7)
【0046】
次に、本実施形態に係る目隠し装置1の作用・効果について説明する。
【0047】
まず、目隠し装置1との比較のため、図5及び図6を参照して、比較例に係る目隠し装置50,60について説明する。図5は比較例に係る目隠し装置50の構成を示し、図6は比較例に係る目隠し装置60の構成を示している。図5に示すように、目隠し装置50は、視認空間VEが広く設定されている。目隠し装置50を構成する縦格子部材は、視線制御部10のように視野角の制御はおこなわれておらず、視線非制御部20と同様に視線透過率の高いものが採用されている。このような目隠し装置50にあっては、居室IN内へ向かう多くの視線が、視線制御基点BPよりも更に奥方へ入り込んでいる。図6に示すように、目隠し装置60は、目隠し装置1と同じく視認空間VEが一定範囲(L=2m程度)に設定されている。目隠し装置60を構成する縦格子部材は、視線制御部10のように視野角の制御はおこなわれておらず、視線非制御部20と同様に視線透過率の高いものが採用されている。このような目隠し装置60にあっては、目隠し装置50に比して減少はしているもの、居室IN内へ向かう一部の視線が、視線制御基点BPよりも更に奥方へ入り込んでいる。以上より、比較例に係る構成では、窓面100の前に対する視線は十分に確保できるものの、居室IN内においてプライバシーを確保すべき部分にまで視線が入り込む構成となっている。
【0048】
一方、本実施形態に係る目隠し装置1には、視認空間VEから窓面100に向けられる視線VLを制御し、視認空間VEから窓面100の前部FW及び居室INの一部を視認可能とする視線制御部10が設けられている。また、この視線制御部10は、視認空間VEから居室IN内へ向かう視線VLのうち、第1の窓側枠部101の内縁部101aと視線制御基点BPとを結ぶ第1の仮想線L1に交差する視線VLのみを許容するように構成されている。このような構成により、視認空間VEを通過する通行人は、当該視線制御部10を介して、窓面100の前部FWを視認することができると共に、居室INのうち、窓面付近に設定される第1の仮想線L1と視線が交差する範囲内である視認許容部VAのみを視認することができる。すなわち、当該第1の仮想線L1と交差せずに居室INの奥方へ向かう視線VLを規制することができる。設計時において、居室IN内におけるプライバシーを考慮して視線制御基点BPを設定することによって、視線制御部10は、視認空間VEからの視線VLを居室IN内におけるプライバシーを重視しない部分である視認許容部VAのみにとどめることができる。居室INの住人は、当該視認空間VEからの視線VLを窓面100の全部に得ることができ、さらには、当該視認空間VEからの視線VLをプライバシーを重要視しない視認許容部VAまでにとどめることができるものとなっている。以上によって、居室IN内のプライバシーの確保と、室外の前部FWの見通しの確保とを、両立することができる。
【0049】
また、視線制御部10よりも視線透過度を高めて視認空間VEから窓面100の前部FW及び居室INの一部を視認可能とする視線非制御部20が設けられている。視線非制御部20は、第2の窓側枠部102の外縁部102aと視線制御基点BPとを結ぶ第2の仮想線L2よりも窓面100側に配置され、視線制御部10は、視線非制御部20に対して、窓面100の反対側に配置される。すなわち、窓面100に近い位置に視線非制御部20が設けられ、窓面100から遠い位置に視線制御部10が設けられている。比較的窓面100から遠い位置においては、当該窓面100に向かう視線VLと窓面100との角度が大きなものとなり、その分、視認空間VEから居室INの奥方に向けての視線VLを通しやすい位置関係となっている。当該領域を視線制御部10とすることにより、当該視線制御基点BPから奥方への視線を制御し、これによって、当該窓面100から遠い位置であっても、居室INの住人は、当該視認空間VEからの視線を窓面100の前部FWに得ることができ、更には、当該視認空間VEからの視線VLを、居室IN内のうちプライバシーを重要視しない視認許容部VAにとどめることができる。一方、窓面100に近い位置、具体的には、視線制御基点BPと第2の窓側枠部102の外縁部102aとを結ぶ第2の仮想線L2よりも窓面100側の領域からの視線VLは、特に視線の制御を行わなくとも視線制御基点BPよりも奥方へ視線が通過することがなく(すなわち、プライバシー上問題となりうる視線が全て第2の窓側枠部102に遮られるため、第1の仮想線L1と交差する視線VLのみが居室IN内へ入ることができる)、結果的に居室IN内のうちのプライバシーを重要視しない視認許容部VAにとどまる。このように、視線制御を行うまでもなくプライバシーを確保できる領域を視線透過度の高い視線非制御部20とすることで、前部FWの見通しを極めて良くすることが可能となり、防犯性能を向上させることができる。また、視線VLの制御を行う必要がないため、設計時や作業時のコストや負担を低減することができる。
【0050】
また、視線制御部10は、同一の断面形状を有する長尺な複数の縦格子部材10A〜10AN+1を窓面に垂直又は略垂直な平面位置に並べることによって構成される。これによって、視線制御部10の形成を極めて容易に行うことができる。
【0051】
また、縦格子部材10Aと縦格子部材10An+1との間の間隔は、縦格子部材10Aの窓面100側の側縁部12aと縦格子部材10An+1の視認空間VE側の側縁部11bとを結ぶ境界視線VLが第2の仮想線L2に平行となる状態から、窓面100から遠ざかるに従って段階的に大きくなるように設定されている。ここで、当該視野角θの境界部分に係る境界視線VLが第2の仮想線L2に平行な状態であれば、間隔Sによって制御される視野VFは、各縦格子部材10A,10An+1の窓面100からの距離に関わらず、必ず第1の仮想線L1と交差する範囲内にとどめられる(後述の図6で説明される変形例に係る目隠し装置70を参照)。一方、視線制御部10を構成する縦格子部材10A〜10AN+1のうち、窓面100から遠い位置に配置される縦格子部材10A,10An+1に関しては、視線制御基点BPからの距離も同時に遠くなるため、視野角θが広くなるように設定しても、第1の仮想線L1と交差する範囲に視線をとどめることができる。同時に、視野角θを広く設定することにより、前部FWの見通しも良くすることができ、防犯性能を向上させることもできる。従って、境界視線VLが第2の仮想線L2に平行となる状態から、窓面100から遠ざかるに従って段階的に大きくなるように間隔Sを設定することによって、居室IN内のプライバシーを確実に保護すると同時に、防犯性能を向上させることができる。また、このように縦格子部材10A〜10AN+1を設置することにより、視線制御部10の間隔Sは、視線非制御部20から離間するに連れて大きくなることとなり、目隠し装置1の外観の向上も図られることとなる。
【0052】
目隠し装置1において、互いに隣り合う縦格子部材10A,10An+1の間の間隔Sは、窓面100から遠ざかるに従って、段階的に大きくなるように設定されている。窓面100に近い領域では、視野角θが大きすぎる場合、視線VLが居室IN内の奥方にまで届いてしまうため、居室IN内のうちプライバシー上問題とならない窓面100付近の一部に視線がとどまるように、視野角θを制御する必要がある一方、視野角θが小さくても前部FWに対する視線VLを十分に確保することができる。窓面100から遠い領域では、視野角θが小さすぎる場合、前部FWに至る視線が減少してしまう一方、窓面100からの距離が遠いため、視野角θを大きくしても居室IN内への視線VLを窓面付近の一部に視線をとどめることができる。従って、目隠し装置1においては、窓面100に近い領域で、縦格子部材10A,10An+1の間の間隔Sを小さくすることで視野角θが小さくなるよう構成し、窓面100から遠い領域では、縦格子部材10A,10An+1の間の間隔Sを大きくすることで視野角θが大きくなるように構成している。これによって、居室内のプライバシーの確保と、室外の窓前部の見通しの確保とを、両立することができる。
【0053】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、視線制御部10がグラデーション状の縦格子構造を構成していたが、一定間隔の縦格子構造であってもよい。例えば、図7に示す目隠し装置70のように、視線制御部30を構成する各縦格子部材を同じピッチで配置してもよい。目隠し装置70では、境界視線VLが第2の仮想線L2と平行(ここでは、一致)となるように設定されており、各縦格子部材が同ピッチで配置されることにより、境界視線VL〜VLの全てが第2の仮想線L2と平行となるように設定されている。
【0054】
ここで、視野角θの境界部分に係る境界視線VL〜VLが第2の仮想線L2に平行な状態であれば、図7に示すように、各縦格子部材の間の隙間によって制御される視野は、各縦格子部材の窓面からの距離に関わらず、必ず第1の仮想線L1と交差する範囲内にとどめられる。また、居室IN内において外部からの視認を許容する部分の中でも、より窓面に近い位置のみに当該居室INへの視線を抑えることができる(すなわちプライバシーを保護したい部分と視認を許容できる部分の視認許容部VAの境界である視線制御基点BP付近に視線が集中しないようにすることができる)。従って、各縦格子部材の間の間隔を、境界視線VL〜VLが第2の仮想線に平行となる状態に設定することによって、居室IN内のプライバシーをより確実に保護することができる。かかる構成にあっては、公道から窓面前方への視線量は本実施形態よりもやや減少するものの、その分、当該居室のプライバシーは向上するものとなる。
【0055】
また、建物や外構の一例として図1に示すようなものを例として挙げたが、本発明に係る目隠し装置を、あらゆる構造のものに適用することができる。図8に示す例では、公道LDに面する窓面200に対して目隠し装置80,90が適用されている。また、公道LDと垂直な窓面300に対して、上述の実施形態と同様な構成を有する目隠し装置1が適用されている。窓面200に対して、公道LDの通行人の進行方向である方向D1に沿って、視認空間VE(L=2m程度)が設定され、視認空間VEと窓面200との間に、窓面200と垂直に延びる目隠し装置80が設けられている。目隠し装置80は窓面200と極めて近い位置に配置されている。このような配置の場合、視線非制御部とすることのできる領域が小さくなる(あるいは無くなる)ため、目隠し装置80の全てを視線制御部として構成してもよい。なお、目隠し装置90については、視線非制御部に対応する部分は敷地内の通路になっており、何も設けられていない。
【0056】
また、上述の実施形態では、各縦格子部材同士の間の間隔を一つずつ大きくしていくことによってグラデーションを構成していたが、グラデーションの構成方法は特に限定されない。すなわち、請求項における「段階的に大きくなる」という語は、実施形態の如く縦格子部材の1本1本の間隔毎に大きくなることを含むことは勿論、複数本の縦格子部材を一組とし、当該組同士の間隔を段階的に大きくすることも当然に含む。例えば、所定本数の縦格子部材について同じピッチとした状態でグラデーションを構成してもよい。具体的には、間隔S〜Sまで同じピッチとし、間隔Sから当該ピッチよりも大きくすると共に間隔S〜S10まで同じピッチとし、このようなパターンを繰り返してもよい。これによって、設計の負担や設置時の作業負担を低減することができる。
【0057】
また、上述の実施形態では、製造時のコストや負担を軽減するために視線制御部を構成する縦格子部材を全て同一断面とし、設計の負担や設置時の作業負担を低減するために、間隔Sを調整するのみで視線制御(視野角の調整)が可能な構成としていた。ただし、視線制御の方法は特に限定されず、縦格子部材として断面の大きさが異なる部材を用いることによる視線制御方法、縦格子の取付角度をずらすことによる視線制御方法など、あらゆる方法を採用してもよい。
【0058】
また、本発明に係る目隠し装置1において、各縦格子部材の幅を一定値のAとし、縦格子部材を窓面100に近い位置から第1縦格子部材v、第2縦格子部材v…、第N+1縦格子部材vN+1とし、縦格子部材間の間隔を、窓面に近い位置から順に第1間隔S、第2間隔S…、第n間隔Sとして設定する場合に、以下の式(A)、式(B)及び式(C)の関係を有して設定されてもよい。なお、各縦格子部材の幅を、図4に示すように窓面100に近い位置からA、A…、A、An+1と表した場合、各縦格子部材の幅は一定値Aに設定されているため、A〜An+1=Aとなる。かかる式に基づいて縦格子部材を立設することにより、視線の制御を確実なものとしつつ、これら縦格子部材間の間隔の管理を容易なものとすることができ、当該目隠し装置1の製造を容易に行うことができるものとなっている。
【0059】
【数2】



ただし、Δsは定数とし、また、n=1〜N

【0060】
式(A)は、隣り合う縦格子部材Vn+2と縦格子部材Vn+1との間の間隔Sn+1は、縦格子部材Vn+1と縦格子部材Vとの間の間隔Sよりも一定の増加量Δs分だけ増加することを示している。すなわち、隣り合う縦格子部材同士の間隔Sは、窓面100から遠ざかるに従って、Δsだけ大きくなっていくことを示している。なお、当該増加量Δsは一定値であり、製作を容易なものとするとの観点に鑑みると、Nmmといった整数値が好ましい。
【0061】
また、式(B)は、縦格子部材間の間隔の拡がりの割合が1割以下となることを示している。すなわち、式(A)〜(C)を満たす実施形態においては、隣り合う縦格子部材同士の間隔の拡がりの割合が1割以下となり、且つ、当該割合は、窓面100から遠ざかるに連れて小さくなる(窓面100から遠ざかるに連れてSは大きくなるため、拡がりの割合Δs/Sは小さくなってゆく)。このように、縦格子部材間の間隔の拡がりの割合を1割以下に設定しておくことで、当該縦格子部材に公道と敷地を隔てる外構としての機能を維持し、且つ、窓面に対する視線は公道を歩く人の窓面100に対する視線を確保しつつ、当該窓面100よりも居室側となる奥方への視線を遮断するという視線制御が良好に実現されるものとなるのである。
【0062】
式(C)は、視線制御部10が、視線透過率25%〜75%の範囲で、窓面100から離間するに連れて縦格子部材間の間隔が拡がっていくことを示している。n=1の視線透過率が25%より大きく、n=Nの視線透過率が75%より小さいことを示している。また、当該グラデーションの範囲は、50〜70%が好ましく、50%〜60%で段階的に変化することがより好ましい。なお、窓面100から遠ざかるに連れて、縦格子部材間の間隔が拡がっていくものとなるので、公道からの敷地に対する視線透過率は徐々にではあるが大きくなっていく。これにより、窓面100から離れた位置に対する公道からの視線も確保でき、敷地全体に対する自然監視性を高めることも可能となる。
【0063】
目隠し装置1の視線制御部10は、窓面100に近いほど縦格子部材同士の拡がりを大きくすることが好ましい。例えば、図9〜図12に示すように、窓面100付近の基準位置STと目隠し装置1との間の距離をY3として、0mm<Y3<1000mmでは、Δs=2mmとし、1000mm<Y3では、Δs=1mmとすることができる。なお、上記境界条件は厳密なものではなく、例えば1000mm≒Y3では、Δs=2mmとしてもΔs=1mmとしても同様の効果を奏するものとなる。
【0064】
図9〜図11は、窓面100が通行人の進行方向D1と直交する側面窓用グラデートスクリーンに係る目隠し装置1を示している。図9に示す例では、目隠し装置1が窓面100付近の基準位置STと同位置(Y3=90mm)に配置されている。図9の目隠し装置1は、窓面100側に視線制御部10を有し、当該視線制御部10よりも窓面100から離間する位置に視線非制御部20を有する。視線非制御部20は、縦格子部材一本の幅が30mmであると共に奥行きdが85mmであって、全体が800mmの幅を有しており、縦格子部材同士の間隔が60mmで等ピッチである。視線制御部10は、縦格子部材一本の幅が30mmであると共に奥行きdが85mmであって、全体が1200の幅を有しており、当該視線制御部10のグラデーションは、隣り合う縦格子部材同士の間隔が、60mmピッチから2mmずつ増加し90mmピッチまで増えている。より詳細には、A=30mm、Δs=2mm、S=60mm、S=90mm、視線透過率=50〜67%となっている。これは、上述の式(A)、式(B)及び式(C)を満たしている。
【0065】
図10に示す例では、目隠し装置1がY3=1000mmの位置に配置されている。図10の目隠し装置1は、窓面100側に視線非制御部20Aを有し、当該視線非制御部20Aよりも窓面100から離間する位置に視線制御部10を有する。また、当該視線制御部10よりも更に窓面100から離間する位置に視線非制御部20Bを有する。視線非制御部20Aは、縦格子部材一本の幅が30mmであると共に奥行きdが85mmであって、全体が240mmの幅を有しており、縦格子部材同士の間隔が120mmで等ピッチである。視線非制御部20Bは、縦格子部材一本の幅が30mmであると共に奥行きdが85mmであって、全体が630mmの幅を有しており、縦格子部材同士の間隔が60mmで等ピッチである。視線制御部10は、縦格子部材一本の幅が30mmであると共に奥行きdが85mmであって、全体が1080mmの幅を有しており、当該視線制御部10のグラデーションは、隣り合う縦格子部材同士の間隔が、60mmピッチから1mmずつ増加し75mmピッチまで増えている。より詳細には、A=30mm、Δs=1mm、S=60mm、S=75mm、視線透過率=50〜60%となっている。これは、上述の式(A)、式(B)及び式(C)を満たしている。
【0066】
図11に示す例では、目隠し装置1がY3=2000mmの位置に配置されている。図11の目隠し装置1は、窓面100側に視線非制御部20Aを有し、当該視線非制御部20Aよりも窓面100から離間する位置に視線制御部10を有する。また、当該視線制御部10よりも更に窓面100から離間する位置に視線非制御部20Bを有する。視線非制御部20Aは、縦格子部材一本の幅が30mmであると共に奥行きdが85mmであって、全体が120mmの幅を有しており、縦格子部材同士の間隔が120mmで等ピッチである。視線非制御部20Bは、縦格子部材一本の幅が30mmであると共に奥行きdが85mmであって、全体が270mmの幅を有しており、縦格子部材同士の間隔が60mmで等ピッチである。視線制御部10は、縦格子部材一本の幅が30mmであると共に奥行きdが85mmであって、全体が1080mmの幅を有しており、当該視線制御部10のグラデーションは、隣り合う縦格子部材同士の間隔が、60mmピッチから1mmずつ増加し75mmピッチまで増えている。より詳細には、A=30mm、Δs=1mm、S=60mm、S=75mm、視線透過率=50〜60%となっている。これは、上述の式(A)、式(B)及び式(C)を満たしている。
【0067】
また、図12は、窓面100が通行人の進行方向D1と平行になる正面窓用グラデートスクリーンに係る目隠し装置1を示している。図12に示す例では、目隠し装置1が窓面100の縁付近から外側へ向かって垂直に延びている。図12の目隠し装置1は、視線制御部10のみで構成されている。視線制御部10は、縦格子部材一本の幅が30mmであると共に奥行きdが85mmであって、全体が720mmの幅を有しており、当該視線制御部10のグラデーションは、隣り合う縦格子部材同士の間隔が、60mmピッチから2mmずつ増加し78mmピッチまで増えている。より詳細には、A=30mm、Δs=2mm、S=60mm、S=78mm、視線透過率=50〜61%となっている。これは、上述の式(A)、式(B)及び式(C)を満たしている。
【0068】
なお、上述の寸法関係は一例に過ぎず、適宜変更してよい。例えば、目隠し装置1の視線制御部10は、0mm<Y3≦1000mmではΔs=2mmとし、1000mm<Y3ではΔs=1mmとする等、窓面100からの距離とΔsの間隔は、条件が許す範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…目隠し装置、10…視線制御部、10A〜10AN+1…縦格子部材、11…側面部、11a,11b…側縁部、12…側面部、12a,12b…側縁部、20…視線非制御部、100…窓面、101…第1の窓側枠部、101a…外縁部、102…第2の窓側枠部、102a…内縁部、L1…第1の仮想線、L2…第2の仮想線、BP…視線制御基点、VE…視認空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の窓側枠部を備えて居室に設けられる窓の窓面と、該窓面を視認可能な視認空間との間で該窓面に垂直又は略垂直に延在して設けられ、
前記居室には、前記窓面から前記居室側に離間した位置に、前記視認空間から前記居室内に向けての視線を制御するための基点となる視線制御基点が設定されており、該視線制御基点との関係で設置される目隠し装置であって、
前記視認空間から前記窓面に向けられる視線を制御し、前記視認空間から前記窓面の前部及び前記居室の一部を視認可能とする視線制御部が設けられ、
該視線制御部は、前記視認空間から前記居室内へ向かう視線のうち、前記一対の窓側枠部のうち前記視認空間から遠くに位置する第1の窓側枠部の内縁部と前記視線制御基点とを結ぶ第1の仮想線に交差する視線のみを許容することを特徴とする目隠し装置。
【請求項2】
前記視線制御部よりも視線透過度を高めて前記視認空間から前記窓面の前部及び前記居室の一部を視認可能とする視線非制御部が設けられ、
前記視線非制御部は、前記一対の窓側枠部において前記視認空間の近くに位置する第2の窓側枠部の外縁部と前記視線制御基点とを結ぶ第2の仮想線よりも前記窓面側に寄せた位置に配置され、
前記視線制御部は、前記窓面から見て前記視線非制御部よりも遠い位置に配置されて前記視線非制御部に連続していることを特徴とする請求項1記載の目隠し装置。
【請求項3】
前記視線制御部は、同一の断面形状を有する長尺な複数の縦格子部材を前記窓面に垂直又は略垂直な平面位置に並べることによって構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の目隠し装置。
【請求項4】
それぞれの前記縦格子部材は、前記窓面に平行であって当該縦格子部材の奥行きを規定する一対の側面部を備え、
前記視線非制御部に近い位置に設置される第1の縦格子部材の前記側面部の側縁部と、当該第1の縦格子部材と隣り合うと共に前記視線非制御部から遠い位置に設置される第2の縦格子部材の前記側面部の側縁部とが互いに対向しており、
前記第1の縦格子部材と前記第2の縦格子部材との間の間隔は、前記第1の縦格子部材の前記窓面側の前記側縁部と前記第2の縦格子部材の前記視認空間側の前記側縁部とを結ぶ直線が前記第2の仮想線に平行となる状態に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の目隠し装置。
【請求項5】
それぞれの前記縦格子部材は、前記窓面に平行であって当該縦格子部材の奥行きを規定する一対の側面部を備え、
前記視線非制御部に近い位置に設置される第1の縦格子部材の前記側面部の側縁部と、当該第1の縦格子部材と隣り合うと共に前記視線非制御部から遠い位置に設置される第2の縦格子部材の前記側面部の側縁部とが互いに対向しており、
前記第1の縦格子部材と前記第2の縦格子部材との間の間隔は、前記第1の縦格子部材の前記窓面側の前記側縁部と前記第2の縦格子部材の前記視認空間側の前記側縁部とを結ぶ直線が前記第2の仮想線に平行となる状態から、前記窓面から遠ざかるに従って段階的に大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の目隠し装置。
【請求項6】
各縦格子部材の幅を一定幅のAとし、前記縦格子部材を前記窓面に近い位置から第1縦格子部材v、第2縦格子部材v…、第N+1縦格子部材vN+1とし、前記縦格子部材間の間隔を、前記窓面に近い位置から順に第1間隔S、第2間隔S…、第n間隔Sとして設定する場合に、以下の式(A)、式(B)及び式(C)の関係を有して設定されることを特徴とする請求項5記載の目隠し装置。
【数1】



ただし、Δsは定数とし、また、n=1〜N

【請求項7】
前記視線制御部と前記視線非制御部は、いずれか一方、あるいは両方が開閉自在となっていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の目隠し装置。
【請求項8】
一対の窓側枠部を備えて居室に設けられる窓面と、該窓面を視認可能な視認空間との間で、同一の断面形状を有する長尺な複数の縦格子部材を前記窓面に垂直又は略垂直な平面位置に並べることによって構成され、
互いに隣り合う前記縦格子部材の間の間隔は、前記窓面から遠ざかるに従って、段階的に大きくなるように設定されていることを特徴とする目隠し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−215066(P2012−215066A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−80381(P2012−80381)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】