説明

直下型点光源バックライト装置

【課題】優れた輝度均一性を有したまま、バックライト装置の厚みの薄さを保ち、点光源の個数を大幅に削減することを可能にする直下型点光源バックライト装置を提供する。
【解決手段】点光源と、点光源の上方に配置された光学板と、を備え、光学板が、出光面に複数の凸型三角錐を有し、光学板の入光面で測定した、点光源から発せられた光の照度比面積Sが3.0以下であり、照度の最大値Tmaxの半分の値の照度を与える光束の角度θが45°以上である、直下型点光源バックライト装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明技術に関し、直下型点光源バックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶ディスプレイ用のバックライトとしては、エッジライト型バックライトと、直下型バックライトと、呼ばれる2つの方式があるが、携帯端末等に用いられる小型表示装置に対してはエッジライト型バックライト、家庭用テレビ等に用いられる大型の表示装置に対しては、高輝度を実現できる直下型バックライトが多く用いられている。
【0003】
直下型バックライトにおいては、一般的に冷陰極管のような線状光源が多く用いられており、光学板や光学フィルムを用いて線状光源を面状に発光する方式がとられている。
【0004】
ところが近年、省エネルギーや水銀レス、先進的イメージの理由により、光源として、冷陰極管に替わって、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が多用されるようになってきており、小型表示装置に多く用いられていたエッジライト型LEDが、大型表示装置にも用いられるようになっている。
【0005】
しかしながら、エッジライト型LEDは、直下型LEDよりも画質、及びコントラストが劣るというデメリットがあり、大型の表示装置においては、高画質、及び高コントラストを実現できる直下型LEDが求められる傾向にある。ただし、直下型LEDは、LEDが点状光源であるために輝度ムラが発生し易いという問題があり、樹脂板や光学フィルムの機能により、点光源を面光源化する技術が求められている。
【0006】
点光源を面光源化する技術としては、LED点光源上に、出光面側に略凸型三角錐が賦形された光学板を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第11/030594号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、優れた輝度均一性を有したまま、バックライト装置厚みの薄さを保つことが困難な場合がある。そこで、本発明は、直下型点光源バックライト装置において、優れた輝度均一性を有し、厚みが薄く、点光源の個数が少ない直下型点光源バックライト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意研究した結果、点光源と、光学板と、の組み合わせにおいて、点光源が光学板の入光面にある特定の照度分布を形成し、光学板の出光面が特定の形状を有すると、上記課題が解決されることを見出した。即ち本発明の態様は、点光源と、点光源の上方に配置された、出光面に複数の凸型三角錐を有する光学板と、を備える直下型点光源バックライト装置であって、直下型点光源バックライト装置は、点光源の法線を基準とした時の角度をθ、角度θにおける照度をT(θ)、照度T(θ)の最大値をTmax、照度の最大値Tmaxを与える角度θをθmaxとして、光学板の入光面で測定した、式(1)で与えられる照度比面積Sが3.0以下であり、最大値Tmaxの半分の値の照度T(θ)を与える角度θが45°以上となる点光源を備える直下型点光源バックライト装置であることを要旨とする。
【数1】

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた輝度均一性を有し、厚みが薄く、点光源の個数が少ない直下型点光源バックライト装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る直下型点光源バックライト装置の断面図である。
【図2】実施形態に係る光学板の一例の出光面側の正面平面図(凸型三角錐形状)である。
【図3】実施形態に係る光学板表面に賦形された凸型三角錐形状の例を示す斜視図である。
【図4】実施形態に係る点光源と、角度と、照度と、の関係を示す模式図である。
【図5】実施形態に係る光学板表面に賦形された凸型三角錐形状の底面三角形の内角図である。
【図6】実施形態に係る光学板の層構成図(同一層、連続層、セパレート層)である。
【図7】実施形態に係る照度分布の一例を示すグラフである。
【図8】実施形態に係る照度比分布の一例を示すグラフである。
【図9】実施形態に係る照度比面積の一例を示すグラフである。
【図10】実施形態に係る光学板の入光面が平坦でない場合の照度の測定面を示す模式図である。
【図11】実施形態に係るバックライトのLED配置(格子配置)の一例を示す平面図である。
【図12】実施形態に係るバックライトのLED配置(千鳥配置)の一例を示す平面図である。
【図13】実施形態に係る第1及び第2の三角プリズムシートの斜視図である。
【図14】実施例1に係る照度比分布を示すグラフである。
【図15】実施例5に係る照度比分布を示すグラフである。
【図16】実施例10に係る照度比分布を示すグラフである。
【図17】比較例2に係る照度比分布を示すグラフである。
【図18】比較例6に係る照度比分布を示すグラフである。
【図19】比較例7に係る照度比分布を示すグラフである。
【図20】比較例16に係る照度比分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0013】
〔1〕バックライト装置の形態
図1に示す本実施形態に係る直下型点光源バックライト装置は、複数の点光源(LED)と、複数の点光源の上方に配置された光学板と、を備える。図2及び図3に示すように、光学板は、出光面に複数の凸型三角錐を有する。また、本実施形態に係る直下型点光源バックライト装置において、図4に示すように、複数の点光源のそれぞれの法線を基準とした時の角度をθ、角度θにおける照度をT(θ)、照度T(θ)の最大値をTmax、照度の最大値Tmaxを与える角度θをθmaxとして、光学板の入光面で測定した、式(2)で与えられる、複数の点光源のそれぞれから発せられた光の照度比面積Sが3.0以下である。さらに、本実施形態に係る直下型点光源バックライト装置において、最大値Tmaxの半分の値の照度T(θ)を与える角度θが45°以上である。
【数2】

【0014】
〔2〕光学板
〔2−1〕凸型三角錐
複数の点光源の上方に配置される光学板は、図2及び図3に示すように、内部を透過した光が出光する出光面側の表面に複数の凸部が形成されており、複数の凸部のそれぞれは、三角錐形状である。
【0015】
〔2−2〕 凸型三角錐形状
光学板の凸部形状である三角錐形状とは、底面が三角形であって、頂上の点又は面積が底面よりも小さい三角形である立体をいう。図3に示すように、光学板の凸部側面は、平面であってもよく、頂上が点である場合、その頂上は尖っていても、曲面であってもよい。また、三角錐の稜線は尖っていても、曲面でもよい。さらに、本実施形態の光学板の凸部の形状である三角錐形状は、頂点(又は頂上の三角形の中心)と底面の三角形の中心とを結んだ直線(中心軸)が、平面と垂直であること、すなわち、斜三角錐ではないことが好ましい。
【0016】
〔2−3〕凸型三角錐の周期性
光学板は、その表面に、三角錐形状を有する同一形状の凸部が、周期的に形成されたものであることが好ましい。
【0017】
〔2−4〕凸型三角錐形状(傾斜角)
光学板の凸部三角錐形状は、輝度均一性の観点から、三角形状の底面と、当該底面と接する側面と、がなす角度の下限値は、好ましくは43°以上であり、より好ましくは47°以上であり、さらに好ましくは49°以上であり、よりさらに好ましくは55.5°以上である。上限値は、好ましくは70°以下であり、より好ましくは65°以下であり、さらに好ましくは64°以下である。
【0018】
〔2−5〕凸型三角錐形状(傾斜角の説明)
三角形状の底面と、当該底面と接する側面と、のなす角度を傾斜角とするが、底面と、各側面と、のなす角度がそれぞれ異なる場合は、底面と、各側面と、のなす角度の平均値を三角錐の傾斜角とする。
【0019】
〔2−6〕凸型三角錐の底面三角形
三角錐形状の凸部は、光学板の表面に複数個設けられる。複数個の凸部の形状は同一であっても異なっていてもよい。また、複数個の凸部の配置の態様については、本明細書の記載に限定されないが、例えば、複数の凸部を、隣り合う凸部の底面三角形の向かい合う辺同士が平行となるように、隣接して配置することが、輝度均一性及び生産性の観点から好ましい。
【0020】
また、凸部の底面の三角形の形状についても、本明細書の記載に限定されないが、例えば、図5に示すように、凸部の底面の三角形の内角を、それぞれα、β、γとした場合、|α−β|、|β−γ|、|γ−α|が、輝度均一性の観点から、好ましくは各々20°以下であり、より好ましくは10°以下であり、さらに好ましくは5°以下である。凸部の底面の三角形のとりわけ好ましい形状は二等辺三角形、正三角形である。
【0021】
さらに、略三角錐形状の凸部は、輝度均一性の観点から、好ましくは光学板の出光面の70面積%以上の領域に形成され、より好ましくは80面積%以上に形成され、さらに好ましくは90面積%以上に形成され、よりさらに好ましくは95面積%以上に形成される。
【0022】
〔2−7〕光学板の屈折率
光学板の屈折率は、輝度、及び輝度均一性の観点から、好ましくは1.40以上であり、より好ましくは1.43以上であり、さらに好ましくは1.49以上であり、よりさらに好ましくは1.53以上であり、特に好ましくは1.55以上である。屈折率の上限は任意であるが、輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性の観点から、好ましくは1.71以下であり、より好ましくは1.68以下であり、さらに好ましくは1.65以下である。
【0023】
屈折率は、凸部を形成する部位を切断分離し、その後、熱プレス等で表面が平滑なフィルムを作製し、JIS K7142に準拠してアッベ屈折計を用いることにより求めることができる。なお、光学板の凸部を形成している材料の屈折率は、試料を形成する材料のうち透明なもの(例えば、透明樹脂)によって決まり、光拡散剤等が添加されていてもそれにより屈折率自体は変化しない。そこで、凸部が光拡散剤等を含んでいるために拡散性を有しており、上記の方法で屈折率を測定することが難しい場合等には、凸部を形成する材料のうち透明なもの(例えば、透明樹脂原料)だけをフィルム化し、JIS K7142に準拠してアッベ屈折計を用いてそのフィルムの屈折率を求めてもよい。
【0024】
〔2−8〕光学板の層構成
光学板は、少なくとも拡散層と、レンズ層と、を備えることが、輝度均一性の観点から好ましい。ここで、拡散層とは、点光源から発せられた光の入光面に位置し、透明樹脂と、拡散剤と、を含む光を拡散させる層である。また、レンズ層とは、上述した凸型三角錐形状が設けられている層である。拡散層及びレンズ層が単一層で形成されてもよいし、各々複数の層から形成されてもよい。
【0025】
図6に示すように、(a)レンズ層と、(b)拡散層と、は、同一層であってもよいし、連続層であってもよいし、あるいはセパレート層であってもよい。同一層とは、(b)拡散層の表面に三角錐が形成される、すなわち(b)拡散層に(a)レンズ層が組み込まれた層構成をいう。
【0026】
連続層とは、(a)レンズ層と、(b)拡散層と、が密着し、一体化した層構成をいう。セパレート層とは、(a)レンズ層と、(b)拡散層と、が別々のシートとして存在し、2枚のシートを物理的に重ね合わせた構成をいう。セパレート層については、さらに(a)レンズ層と、(b)拡散層と、の間に別のシートを配置してもよい。
【0027】
光学板の凸部(図6に示す構成の場合においては、(a)レンズ層)を構成する材料についは、特に限定は無いが、例えば光透過性の高い樹脂が好ましく用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、並びにこれらの共重合体;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及び脂環式ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、及びアルファメチルスチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、及びポリエチルアクリレート等のアクリル系樹脂;メタクリル酸エステル樹脂、及びポリカーボネート樹脂等が使用可能である。
【0028】
光学板が、図6に示す構成を有する場合、(b)拡散層を構成する材料は任意であり、例えば、(透明)樹脂と、拡散剤と、を含む樹脂組成物が挙げられる。好ましくは、光学板の(b)拡散層を構成する材料は、透明樹脂に、透明樹脂の屈折率と異なる屈折率を持った光拡散剤成分を最適粒径で最適量分散させたものである。
【0029】
樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、並びにこれらの共重合体;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及び脂環式ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、及びアルファメチルスチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、及びポリエチルアクリレート等のアクリル系樹脂;メタクリル酸エステル樹脂、及びポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0030】
光拡散剤としては、例えば、アクリル系樹脂架橋微粒子、スチレン系樹脂架橋微粒子、シリコーン系樹脂架橋微粒子、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合体)系架橋微粒子、フッ素樹脂微粒子、ガラス微粒子、シリカ微粒子、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、タルク、及びマイカ等が挙げられ、これらは単独もしくは併用して使用することができる。
【0031】
光拡散剤の形状としては、真球状、楕円状、不定形状、針状、板状、中空状、柱状、及び錐状等の形状が挙げられる。光拡散剤の平均粒径は、輝度均一性、及び製造の容易さの観点から、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは2〜10μmである。平均粒径については、粒径分布計により求めることができる。
【0032】
また、光学板が、図6に示す構成を有する場合において、(b)拡散層を構成する樹脂と、光拡散剤と、の屈折率差の下限値は、輝度均一性、及び製造の容易さの観点から、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.10以上である。また、上限値は、好ましくは0.20以下であり、より好ましくは0.16以下である。ポリスチレン樹脂に対して好ましい光拡散剤としては、例えば、アクリル系架橋微粒子やシリコーン系架橋微粒子が挙げられる。
【0033】
〔2−9〕光学板の厚み
光学板の厚みの下限値は、剛性、輝度、及び輝度均一性の観点から、好ましくは0.5mm以上であり、より好ましくは0.8mm以上であり、さらに好ましくは1.0mm以上である。上限値は、好ましくは3.0mm以下であり、より好ましくは2.5mm以下であり、さらに好ましくは2.0mm以下である。なお、光学板が、図1に示す構成を有する場合において、光学板の(a)レンズ層と、(b)拡散層と、がセパレート層である場合は、(a)レンズ層と、(b)拡散層と、を重ね合わせた時の総厚を光学板の厚みとする。
【0034】
〔2−10〕その他の層
光学板は、(a)レンズ層と(b)拡散層と、に加え、必要に応じてさらに別の層を積層した積層構造とすることができる。その層構成は用途、目的に応じて適宜選択することができる。層構成の例としては、(a)レンズ層、(b)拡散層の他、その他の樹脂組成物や化合物からなる層をX層、Y層、Z層とすると、例えばX層/(a)(b)同一層の2層構成や、X層/(a)層/(b)層、(a)層/(b)層/X層、(a)層/X層/(b)層の3層構成、X層/(a)層/(b)層/X層、X層/(a)層/(b)層/Y層、X層/(a)層/Y層/(b)層の4層構成、さらにはX層/Y層/(a)/(b)/Y層、X層/(a)層/Y層/(b)層/X層、X層/(a)層/Y層/(b)層/Z層の5層構成等が挙げられる。
【0035】
なお、同じ樹脂組成物から構成される層を連続して複数積層することもできる。また、5層以上積層してもよいが、製造の容易さを考えると光学板は5層以下で構成することが好ましい。
【0036】
〔2−11〕添加剤
光学板には、各種添加剤を配合してもよい。このような添加剤としては、例えば、有機や無機の染料や顔料、艶消し剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、増白剤、不純物の捕捉剤、増粘剤、及び表面調整剤等が挙げられる。
【0037】
〔2−12〕光学板の裏面
光学板は、輝度均一性、及びバックライトに装着された支持ピンとの擦れ性の観点から、上述した三角錐形状の凸部が形成された面とは反対側の面、すなわち、入光面(光源側の面)となる面に凹凸形状を設けることが好ましい。具体的には、入光面の平均傾斜角Uの下限値は、輝度及び輝度均一性の観点から、好ましくは1°以上であり、より好ましくは3°以上であり、よりさらに好ましくは5°以上である。上限値は、好ましくは30°以下であり、より好ましくは25°以下であり、さらに好ましくは20°以下である。
【0038】
平均傾斜角Uは、光学板断面をレーザー顕微鏡で観察し、1μm幅の平均傾斜角(光学板の水平面に対する傾斜角)を光学板の長手方向と短手方向に1000μm幅で連続して求め、長手方向の平均値と短手方向の平均値を計算し、さらにその平均を算出することにより求めることができる。なお、本実施形態の光学板が図1に示す構成を有する場合であって、(a)レンズ層と(b)拡散層がセパレート層の場合は、(a)レンズ層、(b)拡散層共に、入光面側の平均傾斜角を上記範囲にすることが好ましい。
【0039】
〔3〕点光源について
本実施形態の直下型点光源バックライト装置において、複数の点光源のそれぞれは、以下に説明する照度比分布を光学板の入光面に形成する。
〔3−1〕放射束
放射束Φe[W]とは、単位時間あたりにある面を通過する光のエネルギーである。ここで、ある時刻にある面を通過する波長λの電磁波エネルギー[J]をQλとすると、ある時刻にある面を通過する電磁波エネルギーの総量Q[J]は、下記式(3)で与えられる。
【数3】

よって、放射束Φe[J/s-1]は、dQ/dtで与えられる。
〔3−2〕光束について
光束Φとは、放射束Φeに人間の目の光に対する感度を考えあわせたもので、単位はルーメン[lm]である。
【0040】
〔3−3〕照度比分布について
直下型点光源バックライト装置内に設置された複数の点光源のうちの一つを点灯した際に、光学板の入光面で測定される照度比分布を本実施形態における照度比分布とする。ここで、照度比分布について説明する前に、照度、照度比、及び照度分布について説明する。照度T(θ)とは、単位面積あたりに照射された光束のことであり、図4に示す微小面積ΔA[m2]、微小面積ΔAに照射される光束の大きさをΔΦ[lm]、点光源の法線方向と、点光源と微小面積部分とを結ぶ線と、がなす角度をθ[deg]としたときに、T(θ)[lx]=(ΔΦ・cosθ)/ΔAで与えられる値である。
照度比とは、照度の最大値をTmaxとしたときに、T(θ)/Tmaxで与えられる値である。
照度分布とは、図7に一例を示すように、横軸に角度θ[deg]、縦軸に照度T(θ)[lx]をとって表された分布である。
照度比分布とは、図8に一例を示すように、横軸に角度θ、縦軸に照度比(T(θ)/Tmax)をとって表された分布であり、照度分布の照度の最大値を1に規格化した分布である。図8中のθmaxは、照度の最大値Tmaxを与える角度である。
【0041】
〔3−4〕照度比面積Sについて
本実施形態に係る直下型点光源バックライト装置内に設置された複数の点光源のそれぞれは、下記式(4)で与えられる照度比面積Sが、輝度均一性の観点から、3.0以下である。
【数4】

図9に一例を示すように、照度比面積Sとは、0からθmaxまでの角度範囲における、照度比1と、照度比(T(θ)/Tmax)を与える関数と、の間の面積である。照度比面積Sは、輝度均一性の観点から、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.6以下である。点光源の照度分布を制御する方法は任意である。例えば、複数の点光源のそれぞれに、特定の照度分布になるように設計されたレンズキャップをかぶせることにより、複数の点光源のそれぞれから発せられた光による照度分布を変化させることが可能である。
【0042】
〔3−5〕半値角θαについて
半値角θαとは、下記式(5)で示すように、最大値Tmaxの半分の値の照度を与える角度である。図9に、半値角θαの一例を示す。
【数5】

本実施形態に係る直下型点光源バックライト装置内に設置された複数の点光源のそれぞれの半値角θαは、輝度均一性の観点から45°以上であり、好ましくは50°以上であり、より好ましくは60°以上である。
【0043】
なお、光学板の出光面とは反対側の入光面が平滑でない場合は、図10に示すように、光学板の入光面における、点光源基板との距離が最も近い点を通り、かつ点光源基板と平行な面を、照度、照度分布、照度比分布、照度比面積、及び半値角の測定面とする。
【0044】
〔3−6〕点光源の形態
用いられる点光源は、光学板の入光面で測定される照度比分布以外の条件については、特に制限はなく、例えば、青色LEDにより黄色蛍光体を励起するタイプや、青色LEDにより緑色、赤色蛍光体を励起するワンチップタイプの擬似白色LED、赤色/緑色/青色LEDを組み合わせて白色光を作るマルチチップタイプ、さらには近紫外LEDと赤色/緑色/青色蛍光体を組み合わせたワンチップタイプの擬似白色LED、さらには赤色/緑色/青色レーザーの組み合わせ等が挙げられる。
【0045】
〔3−7〕点光源と光学板の空間距離
点光源の頂部と、光学板と、の空間距離は、特に限定は無いが、輝度均一性の観点から好ましくは3mm以上であり、より好ましくは5mm以上である。
【0046】
〔3−8〕点光源の配置方法
本実施形態の直下型点光源バックライトにおいて、複数の点光源の配置方法は、特に制限は無いが、優れた輝度均一性を発揮させる観点から、各点光源間距離を出来るだけ均一にして周期的に配置することが好ましい。
【0047】
具体的には、図11に示すように、点光源を、直下型点光源バックライト装置内の縦方向と横方向に、それぞれ等間隔に正方格子又は長方格子状に配置する配列方法や、図12に示すように、点光源を画面縦方向と横方向にそれぞれ等間隔に千鳥状(又は三角格子状)に配置する配列方法等が好ましく採用できる。ここで格子とは、正方形、長方形を構成する各頂点の配置をいい、千鳥とは、菱形四角形を構成する各頂点の配置をいう。
【0048】
〔4〕光学板の製造方法
光学板は、光学板の各層を構成する材料を公知の方法により成形し、凸部を公知の方法により形成して製造できる。例えば、光透過性の高い樹脂を含んだ樹脂組成物を、溶融状態にて口金より押出して、所望の形状に加工したロールを用いて成形する溶融成形法;樹脂組成物を溶媒に溶解した状態にて口金より押出して、所望の形状に加工したロールを用いて成形する溶液キャスト法;溶液キャスト法にて表面賦形して得た固体フィルムに、溶融樹脂を積層する押出ラミネーション法や固体フィルムどうしを積層するドライラミネーション法;溶融状態にて口金より押出した板を所望の形状に加工したプレス金型を用いて熱プレス成形する方法;さらには所望の形状に加工した金型を用いて射出成形する方法等が挙げられる。これらのうち、生産性、環境適性の観点から、溶融成形法が好ましい。
【0049】
〔5〕光学フィルム
本実施形態の直下型点光源バックライト装置は、輝度および輝度均一性の観点から、光学板の上方に集光性を有する光学フィルムを備えることが好ましい。集光性を有する光学フィルムとは、フィルムに入射した光を、フィルムの法線方向に立ち上げる機能を有するフィルムをいう。具体例としては、市販のプリズムシート、レンチキュラーシート、拡散フィルム、及び反射型偏光フィルムなどが挙げられる。
光学板の上に備える光学フィルムの枚数や種類は特に制限はなく、例えば、光学フィルムの枚数が2枚の場合の形態としては、拡散フィルム2枚、あるいは拡散フィルム1枚の上にプリズムシート1枚、あるいはプリズムシート2枚、等が挙げられ、光学フィルムの枚数が3枚の形態としては、拡散フィルム3枚、あるいは拡散フィルム1枚の上にプリズムシート1枚さらにその上に拡散フィルム1枚、あるいはプリズムシート2枚の上に拡散フィルム1枚、等が挙げられ、光学フィルムの枚数が4枚の場合の形態としては、拡散フィルム1枚の上にプリズムシート2枚さらにその上に拡散フィルム1枚、等が挙げられる。
光学板の上に備える光学フィルムとしては、プリズムシートを1枚以上又は拡散フィルムを1枚以上設けることが輝度および輝度均一性の観点から好ましく、プリズムシートを1枚以上且つ拡散フィルムを1枚以上設けることがより好ましい。
上記で挙げた光学フィルム配設において、1枚以上のプリズムシートを同じ枚数のレンチキュラーシートを置き換えて使用することもできる。
また、上記で挙げた光学フィルム配設において、配設する順番は適宜変更できる。
また、上記で挙げた各光学フィルム配設の出光面側にさらに反射型偏光フィルムを1枚加えてもよい。
【0050】
〔5−1〕
ここで拡散フィルムとは、例えば、フィルム表面や内部に散乱剤や微小な空隙などを有するもの、フィルム表面にマイクロレンズやマット形状などの凹凸が賦形されたものなどが用いられる。550nmの単色光を拡散フィルムに入射角60度で入射させたとき、変角光度計で測定される出光分布のメインピーク角が35°〜50°であり、ピークの半値角が15度以上であるものは、集光性と拡散性を両方有しており、輝度均一性の観点から好ましい。
〔5−2〕プリズムシート
光学板の上方に備えるプリズムシートとして三角プリズムシートを用いてもよい。ここで三角プリズムシートとは出光面側の表面に、図13に示すように、一方向に延伸する複数の三角プリズムが賦形されているシートのことである。三角プリズムの三角形の底辺と、側面と、が成す傾斜角に特に限定はないが、輝度均一性の観点から、好ましくは40度〜50度であり、より好ましくは42度〜48度であり、さらに好ましくは45度である。三角プリズムシートは、その三角プリズムの延伸方向が略直角となるように、光学板上方に2枚(第一のプリズムシート、及び第二のプリズムシート)配置することが輝度均一性の観点から好ましい。
【0051】
第1及び第2の三角プリズムシートは、輝度均一性の観点から、それぞれの三角プリズムの延伸方向を略直交させるように配置することが好ましい。例えば、図1に示すように、光学板の上方に、第1の三角プリズムシートを、三角プリズムの延伸方向が直下型点光源バックライト装置の長辺方向に対して垂直になるように配置し、さらにその上方に、第2の三角プリズムシートを、三角プリズムの延伸方向が直下型点光源バックライト装置の長辺方向に平行になるように配置することで、優れた輝度均一性を達成することが可能となる。
【0052】
一方向に延伸する三角プリズムの底辺と底辺の間隔は、輝度、モアレ、及び輝度均一性の観点から、好ましくは350μm以下であり、より好ましくは230μm以下であり、さらに好ましくは120μm以下である。
【0053】
第1及び第2の三角プリズムシートのそれぞれの屈折率の下限値は、輝度、輝度均一性の観点から、好ましくは1.45以上である。上限値は、好ましくは1.70以下である。
【0054】
〔6〕反射シート
図1に示すように本実施形態に係る直下型点光源バックライト装置の点光源の下方に、反射シートを設けてもよい。反射シートは拡散反射率90%以上の白色樹脂シートを用いることが好ましく、95%以上の白色樹脂シートを用いることがより好ましい。拡散反射率は、分光光度計、例えば島津製作所製分光光度計UV−2200を用いて、シートに波長が450nm〜700nmの光を入射角0°で入射させたときの反射率を10nm毎に測定し、平均反射率を算出することにより求めることができる。
【実施例】
【0055】
以下、本実施形態の具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
[評価方法]
(1)表面形状
以下で説明する実施例で作製した光学板の表面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製、GenerationIIVK−9700)で観察し、凸略三角錐の傾斜角を算出した。
【0056】
(2)全光線透過率
光学板の全光線透過率Ttを濁度計(日本電色工業社製、NDH2000)を用いて、JIS K7105に準拠した方法により測定した。入光面は光学板の凸三角錐形状が賦形されていない面とした。
【0057】
(3)照度比分布
(3−1)各位置における照度の測定
LED基板上に白色LED1個を実装し、さらに白色LED以外の部分が覆われるようにLED基板の上に黒布を敷いて、照度分布測定用のLED1灯評価装置を作製した。
照度分布の測定は、評価装置上のLED以外の光の影響や温度変化の影響を受けないようにするため、室温23度一定の暗室内にて行った。
LED1灯評価装置の白色LEDの法線上に視野角特性測定評価装置(ELDIM社製、EZContrast LX88)を設置し、LED基板から高さh、LEDから角度θの位置に焦点を合わせて、測定面がLED基板と並行になるようにして照度を測定した。測定面の大きさは直径2.0mmの円形であった。
【0058】
(3−2)照度比分布、面積S、半値角θαの算出
上記で得られた各角度θにおける照度T(θ)の最大値をTmax、Tmaxを与える角度θをθmaxとし、横軸に角度θ、縦軸にT(θ)/Tmaxを示すグラフで表される照度比分布を作成した。次に、作成した照度比分布を用いて、上記式(4)で与えられる照度比面積Sを算出した。また、最大値Tmaxの半分の値の照度を与える角度である半値角θαを求めた。
【0059】
(4)輝度及びランプムラの評価
(4−1)LEDバックライト装置
LED基板上に上記照度比面積Sと半値角θαの算出に使用した白色LEDと同様の白色LEDを複数個正方格子状に実装し、さらに、光学板の入光面と、LED基板と、の距離がhとなるように配置して、画面サイズが42インチサイズ(523mm×930mm)のLEDバックライト装置を作製した。
なお、光学板の入光面と、LED基板と、の距離をhとなるように配置しているため、前述の照度比分布は光学板の入光面における照度比分布となる。
【0060】
(4−2)評価用バックライト装置
LEDバックライト装置の個々の白色LEDの背面に反射板(東レ社製、ルミラーE6SV)を配置し、さらに、白色LED上に、光学板、所定の光学フィルムを順に配置して輝度均一性の評価用バックライト装置を作製した。
【0061】
(4−3)輝度の測定
2次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製、CA2000)を評価用バックライト装置から法線方向に1m離れた位置に設置し、画面中央部の520mm×520mmの範囲の正面輝度を測定した。カメラの解像度は490×490とした。
【0062】
(4−4)ランプムラ値Xの算出
上記で測定した520mm×520mm範囲の輝度データを用いて、ランプムラ値Xを算出した。以下にその算出方法を示す。
520mm×520mm範囲の輝度データにおいて、LED直上の位置を画面の垂直方向に直線で結び、その直線上にある輝度データを画面中心に最も近い方から4本選択した。この4本の垂直方向輝度データを水平方向に平均化した。これにより、画面垂直方向におけるLED直上ラインの平均輝度分布が得られた。この平均輝度分布に対して移動平均を算出し、平均輝度分布を算出した移動平均で除した。得られた分布は画面全体にわたって存在する輝度のうねりによって規格化されたLED直上ラインの輝度分布である。そして、この規格化された輝度分布に対して標準偏差を算出した。
次に、画面水平方向についても垂直方向と同様の手順で輝度データを選択し、平均輝度分布の算出を算出し、規格化された輝度分布を得た。また、標準偏差の算出も行った。
最後に、上記で算出した垂直方向及び水平方向の標準偏差を平均し、得られた値をランプムラ値Xとした。ランプムラ値Xは小さいほどランプムラが見えにくく画面全体の輝度均一性がより高いことを表している。
また、ランプムラ値Xと、ランプムラの目視による評価は、以下の関係を有した。
目視ランク◎ (目視でランプムラが全く見えない) X≦0.0030
目視ランク○ (目視でランプムラがほとんど見えない) 0.0030<X≦0.0040
目視ランク△ (目視でランプムラが少し見える) 0.0040<X≦0.0060
目視ランク× (目視でランプムラがはっきり見える) 0.0060<X
(4−5)最大平均LED間隔Pmaxの算出方法
評価用バックライト装置を用いて、LEDを正方格子状に配置した時に最近接するLED中心間距離をPとしたときの、前述のランプムラ値Xが0.0035を満たすLED間距離をPmax(mm)とした。
(4−6)LED個数の算出方法
LED個数は、上記、ランプムラ値Xが0.0035を満たすLED間距離Pmaxから、下記の式より算出した。
LED個数=(523mm×930mm)/LED間隔Pmax(mm)2
【0063】
(5)プレス原板の製造方法
実施例及び比較例に係る光学板は、プレス原板を加工して作製した。以下にプレス原板の製造方法を説明する。
(プレス原板A)
屈折率1.59のポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、スタイロンG9504)99.70質量部と、平均粒径2μmのシリコーン系架橋粒子(信越化学社製、KMP)0.30質量部を、ヘンシェルミキサーで混合し、二軸押出機(東芝機械社製TEM−58)で、樹脂温度230℃の条件で溶融混練し、ペレット化した。次に、得られたペレットをTEX−90単軸押出機で再度溶融混練し、1000m幅Tダイより押出しし、1.7mm厚シートを作製した。
(プレス原板B)
屈折率1.59のポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、スタイロンG9504)99.50質量部と、平均粒径2μmのシリコーン系架橋粒子(信越化学社製、KMP)0.50質量部を、ヘンシェルミキサーで混合し、二軸押出機(東芝機械社製TEM−58)で、樹脂温度230℃の条件で溶融混練し、ペレット化した。次に、得られたペレットをTEX−90単軸押出機で再度溶融混練し、1000m幅Tダイより押出しし、1.7mm厚シートを作製した。
【0064】
(6)光学板の製造方法
光学板A〜Cは、上述のように作製したプレス原板A又はBを、所定形状に賦形されたプレス金型に挟み込んで、プレス機に投入し、プレス板温度180℃、面圧100kg/cm2の条件で、30分間プレスを行うことにより得た。その後、プレス原板を挟み込んだプレス金型を水冷却したプレス機に入れ替えて、10分間冷却した。冷却後、プレス金型から所定の形状に賦形された、厚さ1.7mmの光学板を取り出した。
(光学板A)
光学板Aでは、プレス原板としてプレス原板Aを用い、プレス金型としてマット形状金型及び凹三角錐形状金型をそれぞれ1枚ずつ用いた。
得られた光学板Aは、入光面側の表面が平均傾斜角10度のランダム凹凸形状を有するマット形状であり、出光面側には周期的な凸三角錐形状が賦形されていた。この凸三角錐形状を前述の凸三角錐形状の観測方法で観測したところ、凸三角錐形状の底面の1辺の長さは、346μmであり、正三角形であった。また、凸三角錐形状の凸部頂点と、底面に垂直に投影した点とを結び、その長さを計測した結果、154μmであった。さらに、凸三角錐形状の底面と接する側面の傾斜角は全ての側面で57°であった。また、得られた光学板Aの全光線透過率Ttは、50%であった。
(光学板B)
光学板Bでは、プレス原板としてプレス原板Aを用い、プレス金型としてマット形状金型2枚を用いた。
得られた光学板Bは、両面に平均傾斜角10度のランダム凹凸形状を有するマット形状が賦形されていた。
(光学板C)
光学板Cでは、プレス原板としてプレス原板Bを用い、プレス金型としてマット形状金型及び光学板Aで使用した凹三角錐形状金型とは異なる凹三角錐形状金型をそれぞれ1枚ずつ用いた。
得られた光学板Cは、入光面側の表面が平均傾斜角10度のランダム凹凸形状を有するマット形状であり、出光面側には周期的な凸三角錐形状が賦形されていた。この凸三角錐形状を前述の凸三角錐形状の観測方法で観測したところ、凸三角錐形状の底面の1辺の長さは、346μmであり、正三角形であった。また、凸三角錐形状の凸部頂点と、底面に垂直に投影した点とを結び、その長さを計測した結果、173μmであった。さらに、凸三角錐形状の底面と接する側面の傾斜角は全ての側面で60°であった。また、得られた光学板Cの全光線透過率Ttは、56%であった。
【0065】
[実施例1]
Cree社製の光ピーク角度が0度であるの白色LED(LM6−EWN1−03−N3)の出光面上に、レンズキャップを配置し、LED基板から高さ10mmでの照度比分布が図14で示されるLED光源を作製した。
次に、LED基板からの距離10mmにおける照度比分布を測定した。照度比分布から算出した照度比面積Sは0.53、半値角θαは60°であった。
次に、作製したLED光源の上方に、LED基板と光学板の入光面との距離10mmとなるように光学板Aを設置してLEDバックライト装置を作製した。次に光学板Aの上に2枚のプリズムフィルム(住友3M社製、BEFIII)、及び拡散フィルム(東レセーハン社製、TDF127)を順に配置して評価用バックライト装置を作製した。光学板に隣接する第1のプリズムフィルムについては、プリズムの延伸方向が画面の長辺方向に対して垂直になるように配置した。第1のプリズムフィルムの上方に配置された第2のプリズムフィルムについては、プリズムの延伸方向が画面の長辺方向に対して平行になるように配置した。作製したLEDバックライト装置は、LED光源の間隔を任意に変更可能であり、以下、ランプムラ値Xが0.0035以下を保持したままLED間隔を最大限広げて配置した時の評価用バックライト装置をLED個数評価用バックライト装置と呼ぶ。
作成したLED個数評価用バックライト装置のLED間隔Pmax値は41mmであり、LED個数は289個と少なかった。評価結果を下記表1に示す。なお、表1においては、LED間隔Pmaxを以下の基準で評価した。
◎ Pmax≧40.0
○ 40.0>Pmax≧34.0
△ 34.0>Pmax≧29.0
× 29.0>Pmax
【0066】
次に、作製した評価用バックライト装置において、LED中心間の距離が40mmとなるように、LED光源を正方格子状に配置した。以下、LED中心間の距離が40mmとなるように、LED光源を正方格子状に配置した評価用バックライト装置を、目視評価用バックライト装置1と呼ぶ。作製した目視評価用バックライト装置1を用いてランプムラの評価を行った。ランプムラ値Xは0.0032で、目視でもランプムラは全く見えなかった。評価結果を下記表1に示す。
【0067】
[実施例2〜10]
白色LED(LM6−EWN1−03−N3)上のレンズキャップを変更した以外は、実施例1と同様にして、LED個数評価用バックライト装置及び目視評価用バックライト装置1を作製し、ランプムラの評価を行った。各実施例では、所定のレンズキャップを使用して表1に示す照度比面積Sと半値角θαを有するLED光源を作製し、評価に用いた。
実施例5で使用したLED光源の照度比分布を図15に示す。また、実施例10で使用したLED光源の照度比分布を図16に示す。
最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表1に示す。
[実施例11]
評価用バックライト装置において、光学板Aの上方に配置する光学フィルムを3枚の拡散フィルム(東レセーハン社製、TDF127)に変更した以外は実施例4と同様の条件で評価を行った。最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表1に示す。
[実施例12]
評価用バックライト装置において、光学板Aの上方に配置する光学フィルムを、拡散フィルム(東レセーハン社製、TDF127)、プリズムフィルム(住友3M社製、BEFIII)、拡散フィルム(東レセーハン社製、TDF127)の順で配置した以外は実施例4と同様の条件で評価を行った。最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表1に示す。
【0068】
[比較例1〜6]
白色LED(LM6−EWN1−03−N3)上のレンズキャップを変更した以外は、実施例1と同様にして、LED個数評価用バックライト装置及び目視評価用バックライト装置1を作製し、ランプムラの評価を行った。各比較例では、所定のレンズキャップを使用して表1に示す照度比面積Sと半値角θαを有するLED光源を作製し、評価に用いた。
比較例2で使用したLED光源の照度比分布を図17に示す。また、比較例6で使用したLED光源の照度比分布を図18に示す。
最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表1に示す。
【0069】
[比較例7]
LED光源をレンズキャップ無しのCree社製の光ピーク角度が0度であるの白色LED(LM6−EWN1−03−N3、国際公開第11/030594号の実施例1で使用のLED)に変更した以外は、実施例1と同様にして、LED個数評価用バックライト装置及び目視評価用バックライト装置1を作製し、ランプムラの評価を行った。比較例7の照度比分布は図19に示すようになり、比較例7の照度比面積Sと半値角θαは表1のようになった。
最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表1に示す。
【0070】
[比較例8]
光学板Aを凸型三角錐を有さない光学板Bに変更した以外は実施例1と同様の条件で評価を行った。最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表1に示す。
【0071】
[比較例9]
光学板Aを凸型三角錐を有さない光学板Bに変更した以外は実施例5と同様の条件で評価を行った。最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表1に示す。
【表1】

【0072】
[実施例13]
Cree社製の光ピーク角度が0度であるの白色LED(LM6−EWN1−03−N3)の出光面上に、レンズキャップを配置し、LED基板から高さ15mmでの照度比分布を測定した。照度比分布から算出した照度比面積Sは0.58、半値角θαは62°であった。
次に、作製したLED光源の上方に、LED基板と光学板の入光面との距離15mmとなるように光学板Cを設置してLEDバックライト装置を作製した。次に、光学板Cの上に2枚のプリズムフィルム(住友3M社製、BEFIII)、及び拡散フィルム(東レセーハン社製、TDF127)を順に配置して評価用バックライト装置を作製した。
光学板に隣接する第1のプリズムフィルムについては、プリズムの延伸方向が画面の長辺方向に対して垂直になるように配置した。第1のプリズムフィルムの上方に配置された第2のプリズムフィルムについては、プリズムの延伸方向が画面の長辺方向に対して平行になるように配置した。
作製したLEDバックライト装置は、LED光源の間隔を任意に変更可能であり、以下、実施例1同様にランプムラ値Xが0.0035以下を保持したままLED間隔を最大限広げて配置した時の評価用バックライト装置をLED個数評価用バックライト装置と呼ぶ。
作製したLED個数評価用バックライト装置を用いてランプムラの評価を行ったところ、LED間隔Pmax値は63mmであり、LED個数は123個と少なかった。評価結果を下記表2に示す。なお、LED基板−光学板の入光面の距離が15mmであるLED個数評価用バックライト装置では、LED間隔Pmaxを以下の基準で評価した。
◎ Pmax≧40.0×(15mm/10mm)
○ 40.0×(15mm/10mm)>Pmax≧34.0×(15mm/10mm)
△ 34.0×(15mm/10mm)>Pmax≧29.0×(15mm/10mm)
× 29.0×(15mm/10mm)>Pmax
【0073】
次に、作製した評価用バックライト装置において、LED中心間の距離が60mmとなるように、LED光源を正方格子状に配置し、目視評価用バックライト装置2を作製した。作製した目視評価用バックライト装置2を用いてランプムラの評価を行った。ランプムラ値Xは0.0033で、目視でもランプムラは全く見えなかった。評価結果を下記表2に示す。
【0074】
[実施例14〜22]
白色LED(LM6−EWN1−03−N3)上のレンズキャップを変更した以外は、実施例13と同様にして、LED個数評価用バックライト装置及び目視評価用バックライト装置2を作製し、ランプムラの評価を行った。各実施例では、所定のレンズキャップを使用して表2に示す照度比面積Sと半値角θαを有するLED光源を作製し、評価に用いた。
最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表2に示す。
【0075】
[比較例10〜15]
白色LED(LM6−EWN1−03−N3)上のレンズキャップを変更した以外は、実施例13と同様にして、LED個数評価用バックライト装置及び目視評価用バックライト装置2を作製し、ランプムラの評価を行った。各比較例では、所定のレンズキャップを使用して表2に示す照度比面積Sと半値角θαを有するLED光源を作製し、評価に用いた。
最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表2に示す。
【0076】
[比較例16]
LED光源をレンズキャップ無しのCree社製の光ピーク角度が0度であるの白色LED(LM6−EWN1−03−N3、国際公開第11/030594号の実施例1で使用のLED)に変更した以外は、実施例13と同様にして、LED個数評価用バックライト装置及び目視評価用バックライト装置2を作製し、ランプムラの評価を行った。比較例16の照度比分布は図20に示すようになり、比較例16の照度比面積Sと半値角θαは表2ようになった。
最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表2に示す。
【0077】
[比較例17]
光学板Cを凸型三角錐を有さない光学板Bに変更した以外は実施例13と同様の条件で評価を行った最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表2に示す。
【0078】
[比較例18]
光学板Cを凸型三角錐を有さない光学板Bに変更した以外は実施例17と同様の条件で評価を行った。最大平均LED間隔Pmax値、LED個数、ランプムラ値X及び目視ランクの評価結果を、下記の表2に示す。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
点光源と、
前記点光源の上方に配置された、出光面に複数の凸型三角錐を有する光学板と、
を備える直下型点光源バックライト装置であって、
前記直下型点光源バックライト装置は、
前記点光源の法線を基準とした時の角度をθ、前記角度θにおける照度をT(θ)、前記照度T(θ)の最大値をTmax、前記照度の最大値Tmaxを与える前記角度θをθmaxとして、前記光学板の入光面で測定した、式(1)で与えられる照度比面積Sが3.0以下であり、
【数1】

前記最大値Tmaxの半分の値の前記照度T(θ)を与える前記角度θが45°以上となる前記点光源を備えることを特徴とする
直下型点光源バックライト装置。
【請求項2】
前記最大値Tmaxの半分の値の前記照度T(θ)を与える前記角度θが50°以上である、請求項1に記載の直下型点光源バックライト装置。
【請求項3】
前記最大値Tmaxの半分の値の前記照度T(θ)を与える前記角度θが60°以上である、請求項1又は2に記載の直下型点光源バックライト装置。
【請求項4】
前記複数の点光源のそれぞれから発せられた光の前記照度比面積Sが1.0以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の直下型点光源バックライト装置。
【請求項5】
前記複数の点光源のそれぞれから発せられた光の前記照度比面積Sが0.6以下である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の直下型点光源バックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−41722(P2013−41722A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177057(P2011−177057)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】