説明

直接圧縮可能な高充填アセトアミノフェン製剤

a)約40〜約95重量%のアセトアミノフェン;b)約1〜60重量%の微晶質セルロースが含まれる直接圧縮用ビヒクル;及びc)約0.01〜約4.0重量%の製剤学的に許容できる滑沢剤が含まれる直接圧縮された固体薬物剤形を開示する。該アセトアミノフェンと該直接圧縮用ビヒクルとを、アセトアミノフェンと直接圧縮用ビヒクルを分解することなく均一な顆粒に変えるのに十分な剪断条件下に混合する。直接圧縮された固体薬物剤形の製造方法、及びこの剤形を用いる治療方法も開示する。これらの方法は、全錠剤重量ベースで高充填量(すなわち80%又はそれ以上まで)のアセトアミノフェンが含まれる直接圧縮された剤形の製造に特に適している。

【発明の詳細な説明】
直接圧縮可能な高充填アセトアミノフェン製剤発明の背景 本発明は、直接圧縮法を用いる固体剤形の製造法に関する。特に、本発明は、全錠剤重量に対して比較的多量のアセトアミノフェンが含まれる錠剤を直接圧縮する方法に関する。
1以上の活性成分(薬物など)が含まれる固体剤形を製造するには、剤形に圧縮すべき物質が、固体剤形処理の目的にかなう一定の物理的性質をもっている必要がある。とりわけ、圧縮すべき物質は流動性でなければならず、滑沢性でなければならず、そして重要なことは、圧縮後に固体剤形が完全なまま維持されるために十分な結合力をもっていなければならない。
錠剤の場合には、錠剤機で錠剤にする物質に圧力をかけることによって錠剤を製造する。錠剤機には、下から臼に適合する下杵と、錠剤用物質が臼の空洞に充填された後に上から臼空洞に入るような対応した形と大きさをもった上杵とが含まれる。上杵と下杵に適用される圧力によって錠剤が成型される。臼に物質が均一に充填され、供給ホッパーなどの物質供給機から物質が連続的に移動するのを確実にするためには、物質が自由に流動できることが重要である。また、圧縮された物質が杵表面から容易に取り出せなければならないので、物質の滑沢性は固体剤形製造に極めて重要である。
ほとんどの薬物はこれらの性質を全くもっていないか、あるいは部分的にもっているだけなので、固体剤形に圧縮すべき物質にこれらの望ましい性質を付与するために多くの錠剤製造法が開発されてきた。典型的には、圧縮すべき全体としての物質に良好な流動性と圧縮性を付与するような賦形剤を製剤に添加する。このような性質は典型的には湿式造粒、スラッギング(slugging)、スプレー乾燥、調粒(spheronization)又は結晶化などの前処理工程において賦形剤に付与される。有用な直接圧縮賦形剤には、特に加工セルロース、糖類、及びリン酸二カルシウム二水和物が含まれる。
錠剤とする物質が杵にくっつくのを避けるために、典型的には滑沢剤が添加される。よく使われる滑沢剤にはステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウムが含まれる。このような滑沢剤は通常最終錠剤製品中に1重量%未満で含まれる。
更に、固体剤形には希釈剤が含まれる。希釈剤は、錠剤とする物質の嵩重量を増加させて打錠し、実際的な大きさにするために添加することが多い。薬物の用量が比較的少ないときに必要となることが多い。
固体剤形の賦形剤でよく使用されるその他のものには結合剤がある。結合剤は粉末物質に結合性を与える物質である。よく使用される結合剤には、澱粉、スクロース、グルコース、デキストロース及びラクトースなどの糖類が含まれる。
最終的に製造された圧縮固体剤形が使用環境(消化管など)において受容できる崩壊速度をもつように崩壊剤がよく添加される。典型的な崩壊剤には、澱粉誘導体及びカルボキシメチルセルロースの塩が含まれる。
圧縮前に、固体剤形に含めるべき物質を調製するには以下の3つの一般的方法がある:(1)乾式造粒;(2)湿式造粒;及び(3)直接圧縮。
乾式造粒法は、薬物又は希釈剤の成分の1つが錠剤とするのに十分な結合性をもっているときに用いられる。この方法には、成分を滑沢剤と混合し、必要ならば成分をスラッギングし、乾燥ふるいにかけ、滑沢し、最終的に成分を圧縮する工程が含まれる。
湿式造粒法には、ツインシェルブレンダー又はダブルコーンブレンダーなどの中で剤形に導入すべき粉末を剪断混合条件下に混合し、その後混合粉末に結合剤の溶液を加えて顆粒を得る工程が含まれる。その後、湿った塊を6−又は8−メッシュのスクリーンでふるいにかけ、トレイ乾燥又は流動床乾燥により乾燥する。湿式造粒法は工程が多いので時間がかかり、比較的費用もかかる。さらに、湿式造粒は微晶質セルロースが含まれるいくつかの薬物成分の圧縮性を減少することが知られている。
一方、直接圧縮法は、固体剤形に含まれる粉末物質の物理的性質を修飾することなく直接圧縮する比較的迅速な方法であると考えられている。通常、活性成分、直接圧縮用ビヒクル及び錠剤顆粒の流動速度を改良するためのすべり剤及び錠剤機の臼や杵の表面に錠剤物質が付着するのを防ぐための滑沢剤のようなその他の補助物質を、錠剤に圧縮する前にツインシェルブレンダー又は類似の低剪断性装置で混合する。成分のこのような混合が製剤学的に許容できる剤形を製造するために必須であると信じられている。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,16版(1980),Arther Osol編集では、製剤に滑沢剤を添加する方法を注意深く制御しなければならないと当業者に注意を呼びかけている。従って、滑沢剤は通常穏やかな混合によって顆粒に添加する。上記Remington'sの1556頁では、「顆粒と滑沢剤とを長時間混合すると、得られる錠剤の硬度や崩壊時間に実質的に影響することがある」と警告する。さらに、滑沢剤と顆粒成分とを混合しすぎると顆粒を過剰に被覆することになり、そのため圧縮錠剤の錠剤硬度又は錠剤強度を減少させることになると当業者は長い間信じてきた。従って、少なくともこれらの理由により、直接圧縮剤形を製造するのに高剪断混合条件は使用されてこなかった。
直接圧縮法は時間と費用の点で有利なため、製薬業者は湿式造粒法や乾式造粒法よりも直接圧縮法を好んで用いることが多い。しかしながら、直接圧縮法は、薬物又は活性成分が製剤学的に許容できる錠剤の製造に必要な結晶構造と物理的性質をもつような場合に限られる。しかしながら、多くの活性成分が必要な性質をもつわけではないので、直接圧縮法を用いる前に1以上の賦形剤を活性成分と混合しておかなければならない。製剤に加える各賦形剤が必然的に最終製品の錠剤サイズを大きくするので、当業者は圧縮錠剤当たりの活性成分充填量がかなり低い製剤にのみ直接圧縮法の使用を限定せざるを得なかった。比較的高充填量又は用量で投与できる薬物(例えば、薬物自体が全圧縮錠剤重量の実質的部分を占めるような)が含まれる固体剤形は、薬物自体が直接圧縮される成分にとって十分な物理的性質(付着性など)をもっている場合にのみ直接圧縮できていた。
例えば、よく用いられる鎮痛薬であるアセトアミノフェンは、高充填量活性成分であると考えられている。市販の圧縮錠剤製剤のほとんどは最終錠剤当たり70〜85重量%のアセトアミノフェンが含まれる。この高充填量活性成分であるということと、直接圧縮に適した性質に乏しいことが組合わさって、製薬業者は直接圧縮法を用いて最終錠剤を製造することができなかった。微晶質セルロースと一緒にアセトアミノフェンを直接圧縮しようとこれまでに試みたが、納得のいく製品を得ることはできなかった。最終製品は柔らかく、キャッピングを起こしがちであったり、商業的に望ましくなかった。即ち、サイズが大きくて飲み込みにくかったのである。従って、時間と費用のかかる湿式造粒法を用いねばならない。
よって、錠剤製造法として直接圧縮を用いる上での別の制限は圧縮錠剤のサイズである。活性成分の量が多い場合には、製薬業者は所望量のアセトアミノフェンが含まれる受容できるサイズの錠剤を製造するために活性成分と賦形剤を湿式造粒することを選ぶかも知れない。湿式造粒に必要な充填剤/結合剤又は賦形剤の量は通常直接圧縮に必要な量よりも少ない。これは、湿式造粒工程が錠剤の望ましい物理的性質に多少なりとも寄与するからである。
加工セルロースである微晶質セルロースは固体剤形の直接圧縮用ビヒクルとして製薬業界で頻繁に使用されてきた。微晶質セルロースは、Edward Mendell Co.,Inc.からEMCOCELTMの商標名で、またFMC Corp.からAvicelTMの商標名で市販されている。その他の直接圧縮賦形剤と比較して、微晶質セルロースは一般に、圧縮前に湿式造粒されない限り、優れた圧縮性と崩壊性を示すと考えられている。
従って、製造時間と費用が節約できるなどの直接圧縮の有利な点にもかかわらず、固体剤形の製造に湿式造粒が工業界では広く用いられている。現在のところ、湿式造粒の方が、製剤中の各主成分の物理的性質と関連するいかなる問題の解決にもより大きな可能性をもち、従って受容できる固体剤形を得るのに必要な流動性と付着性とをもつ物質を提供できるので、多くの当業者は直接圧縮よりも湿式造粒を好む。
直接圧縮法と比較して湿式造粒法に人気があるのは少なくとも3つの利点があるからである。第1に、湿式造粒は、疎水性薬物物質の場合には特に、圧縮すべき物質によりよい湿潤性を与える。親水性賦形剤の添加は疎水性薬物の表面を親水性にし、崩壊と溶解を容易にする。第2に、湿式造粒法では一般に、得られる顆粒の全てがほぼ同じ量の薬物が含まれるので、固体剤形の内容物の均一性が改良される。従って、圧縮すべき材料中の(密度などの異なる物理的性質による)
異なる成分の分離が避けられる。分離は直接圧縮法で問題となりうる。最後に、湿式造粒法によって圧縮すべき顆粒が含まれる粒子のサイズと形が最適化される。これは、乾燥固体が湿式造粒されるときに、結合剤が粒子を「のりづけする」
からであり、そのため多少とも球状の顆粒に凝集する。
湿式造粒法で得られる様々な利点にもかかわらず、多くの製造業者はそれでもアセトアミノフェンが含まれる錠剤、特に高充填量のアセトアミノフェン及び/又は微晶質セルロースが含まれる錠剤を直接圧縮することを歓迎している。
従って、重量比率で比較的多量のアセトアミノフェンが含まれる直接圧縮された剤形を製造し、これによって湿式造粒の時間と費用を節約することができる技術および薬物賦形剤を必要とする声が未だ工業界に存在する。
本発明の目的及び要約 本発明の目的は、直接圧縮法の改良をすることである。
本発明の別の目的は、剤形の全重量と比較して比較的高比率の薬物が含まれる固体剤形を製造するために、湿式造粒アセトアミノフェン製剤に代わる費用効率の良い方法を提供することである。
本発明の別の目的は、in vivo及びin vitroで容易に崩壊する直接圧縮されたアセトアミノフェンの経口固体剤形を提供することである。
本発明の別の目的は、流動床又は湿式造粒法を用いることなく、アセトアミノフェンを制御放出する直接圧縮された剤形を提供することである。
本発明の別の目的は、アセトアミノフェンを含み、かつ本明細書で記載する方法で製造された固体剤形を提供することである。
上記の目的ならびに当業者に自明なその他の目的に従い、本発明には以下の成分が含まれる直接圧縮された固体薬物剤形が含まれる: a)約40〜約95重量%のアセトアミノフェン;
b)約1〜約60重量%の微晶質セルロースが含まれる直接圧縮用ビヒクル;及び c)約0.01〜約4.0重量%の製剤学的に許容できる滑沢剤。
直接圧縮された剤形に含まれるアセトアミノフェン及び直接圧縮用ビヒクルは、アセトアミノフェンと直接圧縮用ビヒクルを分解することなく均一な顆粒に変えるのに十分な剪断混合条件下に混合する。
本発明のこの面における好ましい態様では、固体剤形は約60〜約85重量%のアセトアミノフェンを含み、このアセトアミノフェンは顆粒状である。従って、固体剤形は約10〜約1000mgのアセトアミノフェンが含まれることができる。特に好ましい態様では、直接圧縮用ビヒクルは、約0.1〜約20重量%の二酸化ケイ素と同時処理された微晶質セルロースを含み、微晶質セルロースと二酸化ケイ素は互いに密接に会合して、直接圧縮された剤形に対して高められた圧縮性を与える。さらに好ましい態様には、約0.1〜約1重量%のステアリルフマル酸ナトリウム(sodium stearyl fumarate)などの製剤学的に許容できる滑沢剤が含まれるように直接圧縮された固体剤形を製造することが含まれる。滑沢剤は、アセトアミノフェンと直接圧縮用ビヒクルが含まれる均一な混合物の一部として含まれ、均一な混合物を形成するのに用いたのと同じ又は類似の高剪断条件下にこれらの成分と混合することが好ましい。
別の態様では、本発明の直接圧縮された剤形は、約0.1〜約5.0重量%の二酸化ケイ素が含まれる。二酸化ケイ素は、成分を均一混合物中に変えるのに用いたのと同じ高剪断混合条件下に、アセトアミノフェンと直接圧縮用ビヒクルが含まれる均一混合物と混合するのが好ましい。
本発明の別の態様では、直接圧縮された剤形には崩壊剤を含み、崩壊剤は上述したアセトアミノフェン、直接圧縮用ビヒクル及び滑沢剤と高剪断混合しておくのが好ましい。
本発明の特に好ましい固体剤形は、少なくとも約75重量%のアセトアミノフェンを含み、アセトアミノフェンと微晶質セルロースが含まれる均一顆粒を約25kNの圧縮力で直接圧縮するときに約6.5kPの平均錠剤硬度を有する。本発明の錠剤はまた、比較的速い崩壊速度をもち、これは湿式造粒法を用いて製造したアセトアミノフェン錠剤と好適に比較しうるものである。いくつかの好ましい態様では、本発明の錠剤の崩壊速度は米国薬局方23(1994 United States Pharmacopeial Convention,Inc.)に記載する要件と合致する。さらに、本発明の錠剤の溶解速度も湿式造粒されたAPAP製品と好適に比較しうるか、ある場合にはこれを上回るものと信じられる。いくつかの好ましい態様では、本発明の錠剤は米国薬局方23の公式モノグラフに記載するアセトアミノフェン錠剤の溶解度要件にも合致する。例えば、直接圧縮されたAPAP錠剤は好ましくはpH5.8のリン酸緩衝液900ml中で30分で溶解する。ここで記載する「溶解度要件」及び「崩壊性要件」は、上述の米国薬局方23に記載の装置と試験を用いて行った。
本発明の別の面では、アセトアミノフェンが含まれる直接圧縮された固体剤形の製造法が提供される。本発明のこの面には、まず有効量のアセトアミノフェンと微晶質セルロースが含まれる直接圧縮用ビヒクルとを、アセトアミノフェンと直接圧縮用ビヒクルを分解することなく第1の均一顆粒に変えるのに十分な剪断条件下に混合することが含まれる。次に、この均一顆粒を類似の高剪断条件又はその他の乾燥混合条件を用いて製剤学的に許容できる滑沢剤と混合した後、得られる滑沢剤が含まれる均一顆粒を固体薬物剤形に圧縮する。
本明細書に記載する本発明の方法の別の面には、二酸化ケイ素を、好ましくはコロイド状二酸化ケイ素の形で含む高剪断混合物の形成が含まれる。特に好ましい方法には、高剪断条件下に滑沢剤を添加する前に、アセトアミノフェンと微晶質セルロースが含まれる直接圧縮用ビヒクルと二酸化ケイ素とが含まれる第1の高剪断混合物をまず形成することが含まれる。
本発明の方法のさらに別の面には、アセトアミノフェン、直接圧縮用ビヒクル、及び任意の二酸化ケイ素及び/又は崩壊剤を混合することにより第1の高剪断混合物を製造することによる直接圧縮固体薬物剤形の製造が含まれる。次に、第1の高剪断混合物を別の剪断混合工程で滑沢剤と混合して最終均一顆粒を形成する。しかしながら、本発明のこの面では、第2の剪断混合工程は、第1の剪断混合工程を行うのに用いたよりも穏やかな条件下で行う。
本発明の目的にとって、「高充填量」の語は、アセトアミノフェンが重量ベースで固体経口剤形の実質的部分を占めることを意味する。当業者であれば、少なくとも約40重量%のアセトアミノフェンが含まれる圧縮錠剤は「高充填量」錠剤であると認識する。
本発明の目的にとって、「顆粒」の語は、約50〜約500ミクロンの平均横断面直径をもつ粒子を意味する。顆粒状粒子は、約50ミクロン以下、多くは10〜20ミクロンの粒子サイズをもつ粉末粒子と区別される。
本発明の目的にとって、「環境流体」の語は、例えば水溶液又は消化液などが含まれる。
本発明の目的にとって、「持続放出」の語は、長時間にわたり治療的に有益な血液レベル(しかし毒性レベル以下)が維持されるような制御された速度で固体剤形からアセトアミノフェンが放出されること、例えば12時間又は24時間剤形を提供することを意味する。
本発明の目的にとって、「制御された放出」の語は、長時間にわたり治療的に有益な血液レベルが維持されるような予め定められた速度で固体剤形からアセトアミノフェンが放出されることを意味する。
本発明の目的にとって、「生物学的に利用可能な」の語は、剤形からアセトアミノフェンが吸収されて意図した作用部位で体内利用されることを意味する。
本発明の目的にとって、「一次粒子サイズ」の語は、粒子が凝集していないことを意味する。凝集は二酸化ケイ素粒子でよく見られ、比較的大きな平均凝集粒子サイズとなる。
本発明の方法および組成物は、製薬業者に直接圧縮法についての利点を提供する。例えば、本発明の方法は、当業者が直接圧縮剤形に高充填量のアセトアミノフェンを含めることができるようにする。これまでは、アセトアミノフェンが含まれる高充填量の経口剤形は湿式造粒法を用いてしか製造できなかった。というのは、硬度やサイズなどの必要な物理的性質を付与するのに必要な追加の賦形剤の量によって、最終剤形が製造者にも消費者にも受け入れられないものとなってしまったからである。
本発明のさらなる利点は、製剤を高剪断混合に付すことによって、アセトアミノフェン含有固体剤形の錠剤硬度を増加することができるようになったことである。この方法は、追加の活性成分などの1以上の製剤成分が湿式造粒できない場合には特に有利である。
本発明ならびにその他の目的をさらによく理解するために、添付の図面を参照して以下の記載を行い、また本発明の範囲は請求の範囲に示される。
図面の簡単な説明 以下の図面は本発明の態様を説明するためであって、請求の範囲に含まれる本発明の範囲を限定するものではない。
図1は、実施例3−5、7、8により製造した高充填量APAP錠剤、実施例6により製造した対照高充填量APAP錠剤、及び従来法で製造した第2の対照の引張強さを示すグラフである。
図2は、実施例8及び9−11により製造した錠剤、ならびに対照の高充填量APAP製剤の引張強さを示すグラフである。
図3は、本発明により製造した錠剤のバッチと市販のAPAP錠剤の崩壊時間の違いを示すグラフである。
発明の詳細な説明 本発明のある面では、以下の成分が含まれる直接圧縮された固体薬物剤形を提供する: a)約40〜約95重量%のアセトアミノフェン;
b)約1〜約60重量%の微晶質セルロースが含まれる直接圧縮用ビヒクル;及び c)約0.01〜約4.0重量%の製剤学的に許容できる滑沢剤。
アセトアミノフェン及び直接圧縮用ビヒクルは、アセトアミノフェンと直接圧縮用ビヒクルを分解することなく均一な顆粒にするのに十分な剪断混合条件下に混合する。剤形に含まれる滑沢剤も該均一顆粒と混合される。この時には、高剪断条件は好ましいが必須ではない。
アセトアミノフェン 本発明の直接圧縮された剤形に用いるアセトアミノフェン(以下においてAPAPという)は、好ましくは顆粒形であり、約50〜約500ミクロンの平均断面直径をもつ。しかしながら、より好ましくは顆粒APAPは約250−300ミクロンの断面直径をもつ。これらの物理的性質をもつアセトアミノフェンは例えば、Mallinkrodt,St.Louis,MO,USAから入手できる。同様にMallinkrodtから入手可能な代替のアセトアミノフェンはDC−90である。本発明はこれらの顆粒APAPに限定されないことを理解すべきである。その他のAPAPも該APAPが上述した顆粒性質をもっている限り本発明で使用できる。
本発明の剤形で好ましく使用される顆粒APAPは粉末形の活性成分と対照的である。このような粉末形のAPAPは約10−20ミクロンの断面直径をもち、本発明では使用しない。本出願人は特定理論に拘束されるつもりはないが、厳密な粒子サイズが、十分な硬度や受容できる剤形と関連するその他の物理的性質をもつ固体剤形に直接圧縮することのできる、高充填量のAPAPと直接圧縮用ビヒクルとを流動可能な顆粒に変える高剪断混合条件をうまく保持するために必要であると信じられる。
本発明の好ましい面においては、固体剤形は約60〜約85重量%のアセトアミノフェンが含まれる。勿論、本発明の剤形に含まれるアセトアミノフェンの正確な量は、当業者の意図する錠剤サイズ及び投与量に依存する。現在,APAP錠剤は約160〜約650mgの薬物が含まれるように製剤化されることが多い。約325mg及び500mgが含まれる錠剤もよく見られる。その他のAPAP製剤も市販されている。本発明の錠剤は約10〜約1000mgのAPAP、好ましくは約80〜約750mgのAPAP、そして最も好ましくは約120〜650mgのAPAPが含まれる。
本発明の別の面では、直接圧縮されたアセトアミノフェン錠剤はAPAP製品に通常みられるような追加の活性成分が含まれるように製造される。APAPと組み合わせる適当な成分の例としては、リン酸コデイン、オキシコドン及びヒドロモルフォンなどの麻薬性鎮痛薬、プソイドエフェドリンなどの副鼻腔及び/又は鼻うっ血除去薬、ならびにジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン剤が含まれるが、これに限定されない。
直接圧縮用ビヒクル 本発明の固体剤形で使用する直接圧縮用ビヒクルは、固体剤形の約1〜約60重量%を構成し、微晶質セルロース(MCC)が含まれる。好ましくは、固体剤形は約2〜約25重量%、そして最も好ましくは約5〜約20重量%の直接圧縮用ビヒクルが含まれる。
微晶質セルロースはよく知られた錠剤希釈剤及び崩壊剤である。その他の賦形剤に比べての主な利点は、水中に入れると迅速に崩壊する自己結合性錠剤に直接圧縮できる点である。この広く用いられている成分は、繊維性植物材料からパルプとして得られるセルロースを希鉱酸溶液で部分的に脱重合することによって製造される。加水分解後、得られたヒドロセルロースを濾過によって精製し、水性スラリーをスプレー乾燥すると、広範なサイズ分布の多孔性粒子の乾燥、白色無臭、無味結晶性粉末を形成する。微晶質セルロースを製造する別の方法は、米国特許第3,141,875号に開示されている。この特許は、セルロースを沸点で塩酸の加水分解に付してアモルファス状セルロース物質を取り出すと、結晶性セルロースの凝集を形成するということを開示する。凝集物を濾過により回収し、水及びアンモニア水で洗浄し、ブレンダーなどの激しい機械的手段によりセルロース微結晶とよく呼ばれる小断片に分解する。微晶質セルロースは20〜200ミクロンの平均粒子サイズのいくつかのグレードのものが市販されている。
微晶質セルロースは水不溶性であるが、この物質は毛細管作用により錠剤に流動性を与えることができる。次いで錠剤は接触により膨張するので、微晶質セルロースは崩壊剤として作用する。この物質は十分な自己滑沢性をもつので、その他の賦形剤に比べて低レベルの滑沢剤ですむ。
典型的には、微晶質セルロースのバルク粉末は約0.28g/cm3の見かけ密度と約0.43g/cm3のタップ密度をもつ(Handbook of Pharmaceutical Excipients,p.53-55)。
薬物用途に用いるときは、微晶質セルロースは典型的には、製剤の5〜30%又はそれ以上で湿式造粒及び圧縮製剤において錠剤結合剤/希釈剤として用いられる。しかしながら、製剤の必要度に応じて微晶質セルロースは薬物製品中に多少なりとも使用される。直接圧縮製剤にMCCを使用することは公知であるが、APAPとMCCとを単にツインシェルブレンドしただけでは、受容できる固体剤形に直接圧縮できる混合物を与えなかった。
本発明の好ましい態様では、直接圧縮用ビヒクルは、約0.1〜約20%の二酸化ケイ素と同時処理しておいた微晶質セルロースが含まれる。この同時処理された直接圧縮用ビヒクルは、微晶質セルロースと二酸化ケイ素が互いに密接に会合した凝集体であり、これは本願と同じ譲受人に譲渡されている米国特許出願第08/370,576(その開示を参照としてここに援用する)に記載されたように微晶質セルロースと二酸化ケイ素とが互いに密接に会合している。これらの同時処理された粒子を拡大してみると、二酸化ケイ素が微晶質セルロース粒子の表面と統合されているか、又はこれを部分的にコーティングしていることが示された。
同時処理後の賦形剤中の2成分の正確な関係は現在のところわかっていないが、説明のために、同時処理された粒子は本明細書中では、微晶質セルロースと二酸化ケイ素とが互いに密接に会合した凝集体を含むものとして記載する。「密接な会合」とは、例えば2成分の化学的相互作用ではなく、二酸化ケイ素が微晶質粒子を部分的にコーティングするといったような、二酸化ケイ素が微晶質セルロース粒子と何らかの方法で統合されていることを意味する。従って、本発明の目的にとって、「密接な会合(intimate association)」の語は、「統合された(integrated)」又は「一体化された(united)」という語と同義語とみなされる。同時処理された粒子は必ずしも均質又は均一である必要はない。むしろ、走査電子顕微鏡で500倍に拡大してみると、好ましい含有率では二酸化ケイ素は「エッジコーティング」しているように思える。
圧縮された賦形剤は約0.2g/ml〜約0.6g/ml、そして最も好ましくは約0.35g/ml〜約0.55g/mlの嵩(粗)密度をもつ。同時処理された賦形剤は約0.25g/ml〜約0.65g/ml、そして最も好ましくは約0.35g/ml〜約0.55g/mlのタップ密度をもつ。粒子のpHは最も好ましくは中性近くであるが、約3.0〜約8.5のpHをもつ顆粒も可能である。賦形剤粒子の湿度含有量は約0.5%〜約15%の広範にわたり、好ましくは約1.5%〜約7%、そして最も好ましくは約3.0%〜約5%(重量%)である。
同時処理された賦形剤は単独で、あるいは「既製品」のMCCとあらゆる所望の比率で組み合わせて用いて新規な剤形に含まれる直接圧縮用ビヒクルを形成することができる。
本発明のこの面において微晶質セルロースと同時処理された二酸化ケイ素は約1nm〜1000μmの平均一次粒子サイズをもつ。しかし、より好ましくは二酸化ケイ素は約5nm〜40μmの平均一次サイズをもつ。
MCCと同時処理される二酸化ケイ素は好ましくはコロイド状二酸化ケイ素に由来するものであり、微晶質セルロースの重量ベースで同時処理された物質の好ましくは約0.5〜10重量%を含み、より好ましくは微晶質セルロースの重量ベースで凝集体の約1.25%〜約5重量%が含まれる。
滑沢剤 本発明の固体剤形には十分量の滑沢剤も含む。本発明の好ましい面では、選択される滑沢剤はステアリルフマル酸ナトリウムである。しかしながら、代替として使用できるものには、ステアリン酸マグネシウム、硬化植物油、LUBRITABTM(Edward Mendell Co.,Inc.)、ステアリン酸,PEG、及びその他の当業者に公知の滑沢剤が含まれる。この点では滑沢剤は剤形の約0.01〜約4.0重量%の量で存在しうる。約0.1〜約1.0重量%の量が好ましく、約0.2〜約0.
45重量%の量が最も好ましい。
本発明によると、滑沢剤はAPAPと直接圧縮用ビヒクルが含まれる均一混合物と混合する。驚くべきことに、滑沢剤と均一顆粒との高剪断混合は直接圧縮された剤形の錠剤硬度に悪影響を及ぼさないことがわかった。本出願人は特定の理論に拘束されるつもりはないが、高剪断混合条件が滑沢剤含有顆粒に物理的性質を与えると思われ、このことは全く予測しなかったことであり、また顆粒の直接圧縮にとって望ましいことである。
付加的成分A.二酸化ケイ素 本発明の好ましい面では、直接圧縮された薬物剤形には、同時処理されたMCC(使用する場合には)に含まれる二酸化ケイ素とは別に、これに加えた量の二酸化ケイ素が含まれる。この点で、二酸化ケイ素は好ましくはコロイド状二酸化ケイ素であり、剤形の約0.1〜5重量%で存在する。しかしながら、二酸化ケイ素は好ましくは剤形の約0.15〜約0.9重量%の量で、そして最も好ましくは約0.4%〜約0.75重量%の量で存在する。
二酸化ケイ素は、珪酸ナトリウム溶液中に溶解したシリカを不溶性にすることによって得られる。鉱酸に珪酸ナトリウムを添加することによって得られる場合には、生成物はシリカゲルと呼ばれる。珪酸ナトリウム溶液の脱安定化して微粒子を生成することにより得られる場合には、生成物は沈殿シリカと呼ばれる。二酸化ケイ素は水に不溶性である。二酸化ケイ素、特にコロイド状二酸化ケイ素は、打錠工程及びカプセル化工程で顆粒の流動性を促進するためのすべり剤及び抗付着剤として主に使用される。Handbook of Pharmaceutical Excipients,1986,American Pharmaceutical Association,p.255参照。これは、錠剤とする混合物中の二酸化ケイ素の量の増加が混合物に過剰な流動性を与え、錠剤製造の当業者に「フラッディング(flooding)」として知られている現象を引き起こすという事実に部分的によるものである。混合物が流動しすぎると、不均一な内容物をもつ種々の重量の錠剤を生じる。
本発明で用いる二酸化ケイ素の名称及び/又は製造方法が製品の有用性に決定的でないことを当業者は理解するであろう。むしろ驚くべきことに、SiO2をその他の製剤成分と高剪断混合することにより直接圧縮剤形の錠剤硬度が期せずして増強されることが見いだされた。
本発明は約1nm〜約100μmの平均の一次粒子サイズ、及び/又は約10m2/g〜約500m2/gの表面積をもつ全ての形態の二酸化ケイ素が含まれる。
本発明で使用する二酸化ケイ素は非常に細かい粒子サイズのものである。本発明の最も好ましい態様では、使用する二酸化ケイ素はコロイド錠二酸化ケイ素である。コロイド錠二酸化ケイ素は四塩化ケイ素のようなケイ素化合物の気相加水分解(例えば1110℃で)によって製造されるサブミクロンのヒュームドシリカである。この製品自体はサブミクロンで、ふわふわした、軽い、固まっていない、青白色、無臭、無味なアモルファス粉末であり、Cabot Corporation(Cab-O-Silの商標名で);Degussa,Inc.(Aerosilの商標名で);E.I.Dupont & Co.,;
及びW.R.Grace & Co.が含まれる多くの会社から市販されている。コロイド二酸化ケイ素はコロイドシリカ、ヒュームドシリカ、軽無水珪酸、無水珪酸、及びヒュームド二酸化ケイ素としても知られている。様々な製造法により、様々なグレードのコロイド二酸化ケイ素が市販されている。これらの修飾は、シリカ含量、比重、屈折率、色又はアモルファス形に影響しない。しかしながら、これらの修飾は、コロイド二酸化ケイ素製品の粒子サイズ、表面積、及び嵩密度を変化させる。
本発明で用いる好ましいクラスの二酸化ケイ素の表面積は、約50m2/gm〜約500m2/gmである。本発明で用いる好ましいクラスの二酸化ケイ素の平均一次粒子直径は約5nm〜約50nmである。しかしながら、市販のコロイド二酸化ケイ素製品では、これらの粒子は様々な程度に凝集又は凝結している。
本発明で用いられる好ましいクラスの二酸化ケイ素の嵩密度は約20g/1〜約100g/lである。
市販のコロイド二酸化ケイ素製品は、例えば約50±15m2/gm(Aerosil OX50)から約400±20(Cab-O-Sil S-17)又は390±40m2/gm(Cab-O-Sil EH-5)のBET表面積をもつ。市販の粒子サイズは、7nmのみかけの粒子直径(例えばCab-O-Sil S-17又はCab-O-Sil EH-5)から40nmの平均一次粒子サイズ(Aerosil OX50)までにわたる。これらの製品の密度は72.0±8g/l(Cab-O-Sil Ss-17)から36.8g/l(例えば、Cab-O-Sil M-5)にわたる。4%水性分散物でのこれらの製品のpHはpH3.5−4.5である。市販の製品は好ましいクラスの二酸化ケイ素の受容できる性質を例示するためにのみ記載するのであって、この記載は本発明の範囲を限定するものではない。
二酸化ケイ素が薬物剤形の一部である本発明のこの面においては、二酸化ケイ素をアセトアミノフェン、直接圧縮用ビヒクル及び滑沢剤と、固体剤形成分の均一混合物の製造に用いたのと同じ高剪断条件下に混合するのが好ましい。あるいは、二酸化ケイ素は、滑沢剤を添加する前に、アセトアミノフェン及び直接圧縮用ビヒクルと高剪断混合してもよい。
B.崩壊剤 崩壊剤もその他の固体剤形成分とともに含めて、高剪断混合に付すことにより、均一混合物の一部とすることができる。本発明の好ましい面においては、崩壊剤は澱粉グリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)であり、剤形の約0.01〜約4.0重量%、好ましくは約0.1〜約2.0%、そして最も好ましくは約1.00〜約1.50重量%の量で存在する。特に有用な崩壊剤はEdward Mendell Co.,Inc.からExplotabTMの商標名で入手できる。その他の崩壊剤には、例えば上述したのと同ような量のカルボキシメチルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、又は約4〜約5%の量の澱粉が含まれる。
C.補助的薬物成分 固体剤形には単糖、二糖、多価アルコール、無機リン酸塩、硫酸塩又は炭酸塩、及び/又はそれらの混合物のような不活性薬物充填剤が含まれることもできる。適当な不活性薬物充填剤の例としては、スクロース、デキストロース、ラクトース、キシリトール、フルクトース、ソルビトール、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、それらの混合物が含まれる。不活性充填剤を加える場合のその量は、ここに記載する新規な方法で得られる増強された錠剤硬度を低下させない量である。この点から、量は錠剤の10重量%以下である。
剪断混合条件 本発明には、アセトアミノフェン、直接圧縮用ビヒクル及び任意の製剤学的に許容できる滑沢剤を、これらの成分を分解しない剪断条件下で、均一な顆粒に変えることが含まれる。本発明の目的において、成分を混合する剪断条件は一般に、均一顆粒を形成するが処理中の物質を破壊しない温度と機械力の組み合わせが含まれる一組の条件として記載される。本発明の目的において、この条件はツインシェル混合又はタンブリング(tumbling)によってなされる標準的ブレンドから区別するために、高剪断(high shear)と記載する。本発明で意図する高剪断混合を行うのに適した装置は、混合ボールの底近くで中央シャフトを中心に回転する羽根車又は混合翼、及び混合ボール中に挿入された高速回転アーム又はナイフからなる1又は複数のチョッパーとをもつ高速ミキサーが含まれる。この混合とチョッピングの組み合わせがAPAP及びMCCに機械的影響又は力を与え、これにより、APAPが重量ベースで顆粒の大部分を構成する場合でも、直接圧縮できるような均一混合物にこれらの成分を変える。羽根車と高剪断チョッパーとをもつ高剪断顆粒製造機はBaker-Perkinsから入手できる。このような装置は普通は湿式造粒に使用されるが、乾燥混合条件下で操作すると、固体剤形成分を剪断条件下に均一混合物に変えることができることが見いだされた。この特定の装置では、羽根車とチョッパーとの組み合わせによる操作が剪断混合環境を作り出す。必要な高剪断条件を付与するためにこの装置で有用なパラメータのセットは、羽根車を約100〜300rpmで、チョッパーを約200〜約1200rpmで操作することが含まれる。しかしながら、羽根車とチョッパーの速度は例示の装置で記載したものを越えることができ、また別の剪断混合装置についての最適操作条件は過度の実験を行うことなく当業者が求め得ることを理解すべきである。羽根車とチョッパーの同時作動によって、高充填量含有錠剤であっても経口投与に適した十分な硬度とサイズをもつ固体薬物剤形に直接圧縮しうる混合物へと固体剤形成分を変えることが見いだされた。しかしながら、上述のBaker-Perkinsの装置は剤形成分を変えることのできるタイプの装置の一例に過ぎないことを理解すべきである。当業者であれば、混合、チョッピング、剪断力及び成分の逆回転を可能にする増圧器バーを備えたPatterson-Kellyツインシェル混合装置のようなその他の高剪断混合装置を使用できることを理解するであろう。乾燥条件下で操作するMachines Collette,Inc.Totowa,NJから入手可能なGral高剪断ミキサーも使用できる。
本発明の別の面では、APAPと直接圧縮用ビヒクルを変えるのに用いる剪断混合条件は機械的処理の激しさの測定値として表される。このような測定値の1つは、羽根車が1秒ごとに動く容量とボール容量との比である相対行程容量である。行程容量の大きさは、各羽根の面積を垂直セグメントに分けて羽根車の速度とかけ、羽根が1秒当たりに動く容量を計算することによって求める。
本発明の好ましい面においては、本発明の固体剤形は2段階の高剪断混合法で得られる均一顆粒から製造される。第1段階では、アセトアミノフェン、直接圧縮用ビヒクル、及び任意の崩壊剤及び/又は二酸化ケイ素を高剪断条件下に混合して、好ましくは成分を均一分散状態で含む第1の高剪断混合物を形成する。第2段階では、この第1高剪断混合物を滑沢剤と高剪断条件下に混合して最終均一顆粒を形成する。この態様の好ましい面では、滑沢剤を第1の高剪断混合物と混合するのに用いる剪断力は、第1の高剪断混合物の成分を混合するのに用いる剪断力よりも小さい。
APAP顆粒の直接圧縮 本発明は、APAPが含まれる固体薬物剤形を直接圧縮によって製造する方法も含む。上述したように、直接圧縮法は、全ての成分の物理的性質を修飾することなく錠剤成分を直接圧縮することが含まれる。従って、この点で、本発明の方法は以下の工程が含まれる: a)約40〜約95重量%のアセトアミノフェンと約1〜約60重量%の微晶質セルロースが含まれる直接圧縮用ビヒクルを、アセトアミノフェンと直接圧縮用ビヒクルを第1の均一顆粒に変えるのに十分な剪断条件下に混合する;
b)第1の均一顆粒を約0.01〜約4.0%の製剤学的に許容できる滑沢剤と混合する;そして c)滑沢剤が含まれる均一顆粒を固体薬物剤形に圧縮する。
上述した混合工程は好ましくは上述の高剪断混合装置で行うことを理解すべきである。
本発明の好ましい態様では、APAPは約250〜約500ミクロンの粒子サイズをもち、直接圧縮用ビヒクルは同時処理されたMCCが含まれる。
本発明による別の方法では、約0.1〜約5重量%の二酸化ケイ素をAPAPと直接圧縮用ビヒクルと混合し、この混合物を上述の剪断混合条件に付す。第1の均一顆粒と呼ぶこの高剪断混合物には崩壊剤を含めることもできる。再度高剪断混合を行うか、又はツインシェルブレンドなどのその他のブレンド法によって、滑沢剤を第1の均一顆粒と混合する。しかしながら、再度高剪断混合を行うことによって滑沢剤を第1の均一顆粒と混合することが好ましい。この点では、滑沢剤を導入するのに用いる高剪断ブレンドは、第1の均一顆粒の製造に用いる剪断条件よりも小さい剪断条件下で行うのが好ましい。従って、滑沢剤は1以上の混合パラメータを小さくした剪断条件下、すなわちより小さい混合又はチョッピング速度及び/又はより短い混合時間で加えるのが好ましい。
均質な錠剤バッチを作るのに十分な量の完全に均一な高剪断混合物を次に、慣用の製造スケールの直接圧縮錠剤機中でその機械の通常の圧縮圧、例えば約1500〜10000lbs/平方インチで錠剤にする。混合物は消化液にさらされたときに水和に困難な程には圧縮すべきでない。
上述したように、本発明の固体剤形は約10〜1000mgのAPAPが含まれる。従って、直接圧縮された錠剤の平均錠剤サイズは約50〜2000mgの範囲である。本発明に従って製造したその他の製剤は適当に成型して、その他の用途や例えば歯根膜空洞、外科的傷、膣などの体腔のような部位で用いることができる。例えば制酸剤の錠剤、膣錠剤や多分インプラント剤などの特定用途では錠剤はより大きくなる。
本発明の特に好ましい固体剤形は、少なくとも75重量%のAPAPを含み、均一顆粒を約25kNの圧縮力で直接圧縮したときに約6.5kPの平均錠剤硬度をもつ。
本発明の特定の態様では、錠剤を十分量の疎水性ポリマーでコーティングして、12〜24時間製剤が得られるような薬剤の放出ができる製剤を得る。疎水性ポリマーはアクリル酸誘導体などの当業者に公知の物質から選択できる。本発明の別の態様では、疎水性ポリマーコーティングに加えて、あるいはこれに代えて腸溶皮で錠剤コーティングをしてもよい。適当な腸溶ポリマーの例としては、フタル酸セルロースアセテート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ポリビニルアセテート、メタクリル酸コポリマー、セラック、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トリメリット酸セルロースアセテート、及びその混合物が含まれる。適当な市販の腸溶物質はEudragitTML100-555の商標名で入手できる。
別の態様では、上述のコーティングに加えて、あるいはこれに代えて親水性コーティングで剤形をコーティングできる。このような親水性コーティングに適した物質の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Colorcon,West Point,Pennsylvaniaから入手できるOpadryTM)がある。
コーティングは当業者に公知のあらゆる製剤学的に許容できる方法で行うことができる。例えば、ある態様では、コーティングを流動床又はコーティングパンで行う。例えば、コーティングした錠剤をコーティングパン中で例えば約60〜70℃で約3〜4時間乾燥する。疎水性ポリマー又は腸溶皮の溶媒は、有機溶媒、水性溶媒、又は有機溶媒と水性溶媒の混合物である。有機溶媒は、例えば水を含有する又は含有しないイソプロピルアルコール、エタノールなどである。
本発明の圧縮された固体剤形に任意に適用されるコーティングは、最終固体剤形の約0.5〜約30重量%である。
本発明のさらに別の態様では、本発明によって製造した錠剤にサポートプラットフォームを適用する。適当なサポートプラットフォームは当業者に公知である。適当なサポートプラットフォームの例は米国特許第4,839,177号に記載されており、これを参照として援用する。この特許では、サポートプラットフォームは錠剤を部分的にコーティングし、水溶液中で不溶性のポリマー物質からなる。サポートプラットフォームは例えば、治療活性薬物の移動中、不透過性を維持するように設計することができる。例えば、錠剤表面の一部に圧縮コーティングすることにより、錠剤表面の全て又は一部にサポートプラットフォームが含まれるポリマー物質をスプレーコーティングすることにより、あるいは錠剤をポリマー物質溶液に浸漬することにより錠剤にサポートプラットフォームを適用できる。
サポートプラットフォームは、圧縮により適用する場合には例えば約2mm、スプレーコーティング又は浸漬コーティングにより適用する場合には約10μmの厚さをもつ。一般に、錠剤に疎水性ポリマー又は腸溶皮を適用する本発明の態様では、約1〜約20%の重量増加で、そして特定の態様では好ましくは約5〜約10%の重量増加で錠剤はコーティングされる。
本発明の疎水性コーティング及びサポートプラットフォームで用いる物質は、アクリル酸誘導体(アクリル酸エステル、メタクリル酸、及びそのコポリマーなど)セルロース及びその誘導体(エチルセルロースなど)、ポリビニルアルコールなどが含まれる。
本発明の特定の態様では、錠剤コアには、追加量の医薬、すなわちAPAPを疎水性又は腸溶コーティングの形で、あるいは錠剤コア(疎水性又は腸溶コーティングを行っていない)の外側表面のさらなる過剰コーティングとして、あるいは疎水性又は腸溶物質が含まれる基本コーティングの表面の第2のコーティング層として含む。これは例えば、製剤がまず消化液にさらされたときに治療的に有効な血液濃度を与えるために、充填用量のAPAPが必要な場合に望ましい。コーティング層に含まれる薬物の充填量は、製剤に含まれる全薬物量の例えば約10〜約40%である。
本発明の固体製剤は香料や甘味料などのその他の部分活性剤が含まれることもできる。一般に、Chemical Used in Food Processing(pub 1274,National Academy of Science,p.63-258)に記載のいかなる香料や添加物も使用できる。一般に、最終製品は約0.1〜約5重量%の香料が含まれる。
本発明の錠剤は有効量の着色剤(例えば、二酸化チタン、F.D.& C.and D.& C.色素;Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.5,p.857-884、これを参照としてここに援用する)、安定化剤、結合剤、匂い制御剤、及び保存剤が含まれることもできる。
あるいは、新規な均一高剪断顆粒は圧縮しないでその他の用途に用いることができる。例えば、顆粒をカプセルに充填できる。さらに顆粒を典型的には錠剤と関連するもの以外の形に成型できる。例えば、顆粒をアセトアミノフェンと一緒に、使用環境の特定領域に「適合する」ように(例えばインプラント)成型できる。これらの全ての使用は当業者の意図するものであり、付属の請求の範囲に含まれる。
本発明のさらに別の態様は、哺乳動物の無痛覚症に効果を及ぼす方法である。
この方法は、有効量のAPAPが含まれる本発明の剤形をこのような治療を必要とする哺乳動物に投与することが含まれる。この態様の好ましい面では、剤形には約10〜約1000mgのAPAP、より好ましくは約120〜約750mgのAPAPが含まれる。本発明の目的にとって、「有効量」の語は、軽度から中程度の痛みに対しての無痛覚に効果を及ぼすという目的にとって一般に受容されるAPAPの量が含まれると理解されたい。治療法には、単一投与量又は必要に応じて4〜6時間ごとに投与する複数投与量として有効量を投与することも含む。
本発明のさらに別の面には、薬物中間体として有用な均一高剪断顆粒が含まれる。顆粒には以下のものが含まれる: a)約94〜約99.99重量%の微晶質セルロースが含まれる直接圧縮用ビヒクル;及び b)約0.01〜約6.0重量%の製剤学的に許容できる滑沢剤。
直接圧縮用ビヒクルと製剤学的に許容できる滑沢剤とを、直接圧縮用ビヒクルと製剤学的に許容できる滑沢剤を分解することなく均一顆粒に変えるのに十分な剪断条件下に混合する。従って、この中間体は再び高剪断混合などによって1以上の活性成分と混合し、その後固体薬物剤形に直接圧縮するのに適している。
中間体成分を混合する剪断条件は上述のAPAP製剤で使用したのと同様の条件である。さらに、崩壊剤などの他の全ての直接圧縮用成分を中間体製品にも含めることができる。
好ましい態様の詳細な記載 以下の実施例は本発明の様々な面を記載する。これらはいかなる意味でも請求の範囲を限定するものではない。
実施例では、高充填量の活性成分アセトアミノフェン(APAP)を微晶質セルロースベースの賦形剤と組み合わせて含む薬物組成物の製造を記載する。各組成物を用いて錠剤を製造し、各錠剤製造物の引張強さを試験した。
実施例1−2同時処理されたMCC−SiO2組成物の製造とその顆粒化実施例1MCC−SiO2製品−5%w/wSiO2 本実施例では、湿潤ケーク状の微晶質セルロース(MCC)(Mendell Co.,Inc.Patterson,NY)約6.2kgを水5.2kgと混合タンク中で混合して、約15%の固体が含まれるスラリーを形成した。水酸化アンモニウム約3mlでpHをおよそ中性に調整した。スラリーを約15分混合した後、5%w/wのコロイド二酸化ケイ素(CSD)、200m2/g(Cabosil,PTGグレード、Cabot Corp.,Tuscola,ILから入手できる)と混合した。材料をよく混合した後、スラリーをNiro Production Minor(Niro,Columbia,MD)を用いて、入口温度215℃、出口温度125℃、噴霧器回転速度22300rpmでスプレー乾燥し、40〜60ミクロンの平均粒子サイズをもつMCC−SiO2を得た。
実施例2MCC−SiO2製品−2%w/wSiO2 本実施例では、2%w/wコロイド二酸化ケイ素を用いて製品を作る以外は、実施例1の方法を繰り返した。
実施例3−11: これらの実施例では、高充填量(80重量%)の顆粒アセトアミノフェン(APAP)が含まれる圧縮錠剤のバッチを、本明細書に記載する方法を用いて製造し、錠剤に圧縮する前に全ての成分をV−ブレンドした高充填量(80重量%)
APAP製剤と比較した。
各場合において、錠剤はパンチサイズ3/8”で照準(aim)重量約245±5mgのKorsch打錠機で製造した。前述の各顆粒を5つの別々の打錠ランにそれぞれ6、12、18、24及び30kNの圧縮力で入れた。各ランからの10個の錠剤の重量を測り、直径を測定し、Erweka TBH 30錠剤硬度試験機で厚さと硬度を試験し、最終製品の引張強さを測定した。得られた結果を、引張強さ対圧縮力の比較として図1、2にグラフとして示した。
比較対照錠剤のバッチ処方は以下の通りである: 比較バッチ

MCC、APAP及びSSGを2クォートのV−ブレンダーに加えて、15分混合した。その後、ステアリン酸マグネシウムをブレンダーに加えてさらに5分混合を続けた。全ての成分の混合は約10%の相対湿度の部屋で行った。次に混合物をブレンダーから除去して本発明の錠剤製造と同様に打錠した。
実施例3 本実施例では、以下に記載するバッチ処方に従いAPAP含有圧縮錠剤を製造した。用いた微晶質セルロースは、実施例1に記載の5.0%SiO2で同時処理したMCCであった。


錠剤は以下の手順で製造した: 同時処理したMCCをAPAP、CSD及びSSGとともにBaker-Perkinsの10L高剪断造粒機に入れた。加えたCSDは、同時処理MCC中に含まれるものとは別である。成分を、羽根車200rpm、チョッパー1000rpmで乾燥、高剪断条件下に3分混合した。その後、ステアリルフマル酸ナトリウム、PRUVTM,Edward Mendell Co.,Inc.,を高剪断造粒機に加えて、羽根車200rpm、チョッパー500rpmでさらに25秒混合を続けた。この混合工程の後、乾燥顆粒を取り出して、上述のKorsch PH-100打錠機と上述の圧縮力を用いて直接圧縮し、錠剤にした。
実施例4 本実施例では、使用したMCCが実施例1で同時処理した二酸化ケイ素ではなく、「既製品」のMCC(EMCOCELTM,Edward Mendell Co.,Inc.)である以外は、実施例3の方法を繰り返した。錠剤は以下に記載するバッチ処方で製造した:

実施例5 本実施例では、追加のCSDを成分の高剪断混合に含めなった以外は実施例3の方法を繰り返した。以下に記載するバッチ処方を用いた:

実施例6 本実施例では、約40%の相対湿度の制御した環境で、既製品MCCとその他の成分をV−ブレンドして、さらに照造粒を行った。顆粒には追加の二酸化ケイ素も全く含まなかった。以下に記載するバッチ処方で製剤を製造した:

実施例7 本実施例では、実施例3の方法を行った。しかし、このバッチでは使用したMCCは2.0%SiO2が含まれる実施例2の同時処理製品であった。バッチには高剪断混合で追加量のCSDが含まれなかった。


実施例8 本実施例では、使用したMCCが実施例2の同時処理微晶質セルロースであった以外は、実施例3の方法を用いてAPAP含有の直接圧縮錠剤を製造した。以下に記載するバッチ処方を用いた。




考察 図1を参照して、直接圧縮した高充填量錠剤の引張強さ試験について考察する。本発明に従って製造した高充填量含有APAP錠剤のそれぞれは、V−ブレンドした比較実施例に比べて望ましい錠剤硬度プロフィールをもっていた。
直接圧縮前に成分を単に乾燥ブレンドするだけでは、許容できる引張強さは得られなかった。湿度を約40%に増加した実施例6の場合であっても、その結果は本発明の高剪断混合によって得られた結果より劣っていた。さらに、APAPとMCCベースの圧縮用ビヒクルとの高剪断混合の利点は、高い圧縮力を使用した場合において特に顕著である。この結果はまた、実施例3及び8のようにSiO2と同時処理したMCCで製造した高充填量錠剤、ならびに実施例4のように別途添加したSiO2が含まれる錠剤が、特に望ましい錠剤硬度プロフィールをもつという事実を示す。
一般に、ステアリルフマル酸ナトリウムなどの錠剤滑沢剤をその他の錠剤成分と高剪断条件下に混合することに伴う問題点は当業者によく知られていたので、本発明の組成物で得られる結果は全く予期しないものだった。予期したこととは逆に、直接圧縮した高充填量錠剤は小さいというよりもむしろ大きな引張強さをもっていた。さらに、顆粒を滑沢剤でコーティングすると、予想された錠剤硬度の大幅な減少は観察されなかった。さらに、許容できるレベルの硬度をもつ直接圧縮された高充填量錠剤の形成を可能にするのに必要な物理的性質を、APAPの顆粒形が製剤に提供することも予期せぬことであった。従って、本明細書に記載するMCCベースの賦形剤の高剪断混合は、従来技術の欠点を直接解決することがわかる。
実施例9 本実施例では、錠剤を以下のバッチ処方で製造した:

本実施例では、MCC、APAP、CSD及びSSGの最初の高剪断混合を実施例4で記載したのと同じ方法(すなわち、高剪断ブレンダーを用いて羽根車200rpm、チョッパー1000rpmで3分間)で行った。しかしながら、この最初の高剪断混合工程の後、全ての成分を取り出して2クォートのV−ブレンダーに移した。さらに高剪断混合は行わなかった。その代わり、ステアリルフマル酸ナトリウムを混合物に加えて、V−ブレンダー混合を5分間行った。次に、上述した方法で錠剤を製造した。
実施例10 錠剤の直接圧縮の前のV−ブレンディング工程で実施例11で使用したステアリルフマル酸ナトリウムに代えて等量のステアリン酸マグネシウムを用いる以外は、実施例11の方法を繰り返した。


実施例11 本実施例では、実施例4にはステアリルフマル酸ナトリウムと記載していたものをステアリン酸マグネシウムで置き換える以外は、実施例4の2段階高剪断ブレンド法を繰り返した。実施例4と同様に、最初のブレンドにも最後のブレンドにも高剪断混合を用いた。


考察 図2は、実施例8の2段階で高剪断混合され直接圧縮された錠剤を、実施例9及び10の高剪断混合と次に低剪断混合した製剤及びV−ブレンドした対照製剤と比較した結果をグラフで示すものである。このグラフはまた、第2の高剪断混合工程でステアリルフマル酸ナトリウムに代えてステアリン酸マグネシウムを含めた、実施例11の2段階高剪断製剤の結果をも示す。
各場合において、滑沢剤を低剪断条件下で混合した場合であっても、錠剤硬度が改良されていることがわかる。全ての場合において、少なくとも1つの高剪断混合工程を用いて製造した顆粒から製造した錠剤は、完全にV−ブレンドした対照よりも性能が優れていた。
実施例12 本実施例では、実施例8で製造した錠剤の平均崩壊時間を測定して、TylenolTMブランドで販売されている市販のAPAP錠剤の崩壊時間と比較した。試験はVan-Kel崩壊装置を用いて、米国薬局方ガイドラインに記載の方法で行った。特定すると、実施例8の方法で製造した錠剤6個とTylenol錠剤6個を該装置で個々に評価し、装置のバスケットディスクは用いずに37℃において、脱イオン水中で崩壊時間を測定した。次に、各グループの6個の錠剤の平均崩壊時間を計算して、図3にグラフとして示した。
グラフから明らかなように、本発明で製造した錠剤は、市販の製剤に要求される崩壊時間の半分未満の平均崩壊時間を示した。この迅速な崩壊性は、本発明の製剤のさらなる利点を示すものである。
本明細書では本発明の現時点で好ましいと考えられる態様を記載したが、当業者であれば、本発明の精神を逸脱することなく、種々の変更や修飾がなしうることを理解するであろう。これらの変更や修飾は全て本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
1.以下の成分: a)約40〜約95重量%のアセトアミノフェン;
b)約1〜60重量%の微晶質セルロースが含まれる直接圧縮用ビヒクル;及び c)約0.01〜約4.0重量%の製剤学的に許容できる滑沢剤;
を含み、該アセトアミノフェンと該直接圧縮用ビヒクルとを、アセトアミノフェンと直接圧縮用ビヒクルを分解することなく均一な顆粒に変えるのに十分な剪断条件下に混合し、そして固体薬物剤形に直接圧縮されている、直接圧縮された固体薬物剤形。
2.薬物剤形が約60〜約85重量%のアセトアミノフェンが含まれる、請求項1記載の固体剤形。
3.微晶質セルロースが約0.1〜約20重量%の二酸化ケイ素と同時処理されており、これによって微晶質セルロースと二酸化ケイ素が互いに密接な会合をしている、請求項1記載の固体剤形。
4.二酸化ケイ素が約1nm〜約100μmの平均一次粒子サイズをもつ、請求項3記載の固体剤形。
5.二酸化ケイ素がコロイド二酸化ケイ素に由来し、二酸化ケイ素が微晶質セルロースの重量ベースで約0.5〜約10重量%の量で存在する、請求項4記載の固体剤形。
6.二酸化ケイ素が微晶質セルロースの重量ベースで約1.25〜約5重量%の量で存在する、請求項5記載の固体剤形。
7.滑沢剤がステアリルフマル酸ナトリウムであり、滑沢剤が約0.1〜約1.0重量%の量で存在する、請求項1記載の固体剤形。
8.均一な顆粒が二酸化ケイ素をさらに含む、請求項1記載の固体剤形。
9.二酸化ケイ素をアセトアミノフェン及び直接圧縮用ビヒクルと高剪断条件下に混合されている、請求項3、5又は8に記載の固体剤形。
10.二酸化ケイ素がコロイド二酸化ケイ素である、請求項8記載の固体剤形。
11.二酸化ケイ素の量が剤形の約0.1〜約5重量%である、請求項8記載の固体剤形。
12.崩壊剤をさらに含み、該崩壊剤がアセトアミノフェン及び直接圧縮用ビヒクルと高剪断条件下に混合されている、請求項1記載の固体剤形。
13.直接圧縮用ビヒクルが固体剤形の約2〜約25重量%の量で存在する、請求項12記載の固体剤形。
14.二酸化ケイ素をアセトアミノフェン及び直接圧縮用ビヒクルと混合して第1の高剪断混合物を形成し、次に該第1の高剪断混合物を滑沢剤と、均一な顆粒を形成するための剪断条件下に混合する、請求項5記載の固体剤形。
15.アセトアミノフェンが固体剤形の少なくとも約75重量%を占め、均一な顆粒を約25kNの圧縮力で直接圧縮するときに固体剤形が約6.5kPの平均錠剤硬度をもつ、請求項1記載の固体剤形。
16.薬物剤形が約10〜約1000mgのアセトアミノフェンが含まれる、請求項1記載の固体剤形。
17.以下の工程を含んでなる直接圧縮された固体薬物剤形の製造方法: a)約40〜約95重量%のアセトアミノフェンと約1〜約60重量%の微晶質セルロースが含まれる直接圧縮用ビヒクルを、アセトアミノフェンと直接圧縮用ビヒクルを第1の均一顆粒に変えるのに十分な剪断条件下に混合する;
b)第1の均一顆粒を約0.01〜約4.0%の製剤学的に許容できる滑沢剤と混合する;そして c)滑沢剤が含まれる均一顆粒を固体薬物剤形に圧縮する。
18.薬物剤形が約60〜約85重量%のアセトアミノフェンが含まれる、請求項17記載の方法。
19.アセトアミノフェンが顆粒形である、請求項17記載の方法。
20.微晶質セルロースが約0.1〜約20重量%の二酸化ケイ素と同時処理されており、これによって微晶質セルロースと二酸化ケイ素が互いに密接な会合をしている、請求項17記載の方法。
21.二酸化ケイ素がコロイド二酸化ケイ素であり、約1nm〜約100μmの平均一次粒子サイズをもち、そして二酸化ケイ素が微晶質セルロースの重量ベースで約0.5〜約10重量%の量で存在する、請求項20記載の方法。
22.滑沢剤が約0.01〜約4.0重量%の量で存在するステアリルフマル酸ナトリウムである、請求項18記載の方法。
23.第1の均一顆粒が剤形の約0.1〜約5重量%の量の二酸化ケイ素をさらに含み、そして二酸化ケイ素がアセトアミノフェン及び直接圧縮用ビヒクルと高剪断条件下に混合されている、請求項1記載の方法。
24.二酸化ケイ素がコロイド二酸化ケイ素である、請求項22記載の方法。
25.崩壊剤をアセトアミノフェン及び直接圧縮用ビヒクルと高剪断条件下に混合することをさらに含む、請求項18記載の方法。
26.直接圧縮用ビヒクルが固体剤形の約2〜約25重量%の量で存在する、請求項17記載の方法。
27.滑沢剤と混合する前に、二酸化ケイ素をアセトアミノフェン及び直接圧縮用ビヒクルと混合して第1の高剪断混合物を形成する、請求項23記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表平10−506412
【公表日】平成10年(1998)6月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−519176
【出願日】平成8年(1996)11月12日
【国際出願番号】PCT/US96/18903
【国際公開番号】WO97/17947
【国際公開日】平成9年(1997)5月22日
【出願人】
【氏名又は名称】エドワード メンデル カンパニー,インコーポレーテッド