説明

直播き用小幅マルチシート

【課題】従来の水稲直播きは大型機械で種子を植えるのが主流で、他に種子等を装着したシートを敷き詰める等の方法もあるが、費用や収量の不確実性等で普及定着はしていない。
【解決手段】小幅のマルチシートに、あらかじめ時期や方向を指定して作用させるようにセットした種子・薬品等を装着し、田圃に敷くことにより直播きをする。
これにより作業の簡略化と作業の一般化を図ることが出来る。また発芽を早め、除草作業や除草剤を減らすことが出来る。マルチシートを作るに当たっては簡単な技術で安価に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種子の植え付けを行うためのシート等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の稲直播きは大型機械で薬剤でコートした種子を植え付けていくのが主流である。
一部、種子を付けたシートを敷き詰める方法が利用されている。
【0003】
【特許文献1】:特許公開2005−192431号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在我が国の稲作で合理化が完成されていないのは播種・植苗の部分である。
大規模の場合、大型機械で直播きするが、北海道を除きあまり定着していない。
一部では種子を付けたシートを敷き詰める方法が利用されているが、大勢を占めるには至っていない。コストを含め技術の信頼性等で、現在主流の苗を作り田に移植する方法にはかなわない。
【0004】
本発明は、現在の技術・機械で作業ができ、作業量を軽減し、特に小規模農家でも、直播きに移行しやすいようなものを作成することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は小幅の生分解性等のシートに、種子・薬品・肥料等を作用させる方向毎にセットし、田圃等に敷設することで、あらかじめセットされた薬品の作動や種子の発芽等の作動をさせることを特徴とする。
【0006】
小幅のシートは生分解性のプラスチックが一番有利であるが通常のマルチシートでも紙のようなのでも良い。幅は最低でも作物の茎が土にふれる部分をカバー出来る長さが必要である。
【0007】
直播き用小幅マルチシートは不耕起の田圃にも使用できるが、耕起後に敷設することも出来る。
【0008】
シートの上面にのみ作用・展開させるような種子・薬剤等は、あらかじめ整形等した種子・薬品・肥料等をシートの上方に接着等するとか、シートの上に穴の開くように窪みを作ってはめ込んでも良い。たとえば除草剤等田圃等の表面に散布するものはこの方法で装着する。
【0009】
シートの上下に作用・展開させるためには、種子・薬剤等、もしくはあらかじめ整形してある種子・薬剤等をシートの上下に穴が開く様に装着する。装着は接着等でも良いが、シートに窪みを付け、差し込んで上下に作動させる穴が開いている状態にしても良い。たとえば種子を装着する場合は上と下に育つのでこの方法で行う
【0010】
シートの下面にのみ作用・展開させる場合、種子・薬剤等やあらかじめ整形等してある種子・薬剤等をシートの下面に接着等するとか、シートの下方に穴の開くように窪みを作ってはめ込んでも良い。たとえば肥料等田圃等の土中に散布するものはこの方法で装着する。
【0011】
薬剤等を整形等する場合、生分解性プラスチックス等でコートする等の処理をするとか、その他の方法で作動時期を調節する等の方法をとっても良い
【0012】
薬剤等を装着して作用させる穴を開ける場合、生分解性プラスチックス等で覆うことにより、作動する時期を調節しても良い。
【0013】
小幅シートを田圃に安定して敷設するためにシートの両端に山折処理とか凹凸を付ける。またシートの短い方向に山折りとうの凹凸を付けることにより、曲線植えを容易にする事が出来る。
【0014】
上記の考え方で直播き用シートを作成するとして、一番安価な方法として、窪みを作って薬品等を装着した場合、凹凸が表面に出て、鳥害に遭うことが考えられる。その対策として、小幅のマルチシートの一部を袋とじをするような方式で折り曲げスペースを作り、シートの上から見て表面が平らになるように、折り曲げた両端を接着等しする。そのスペースを必要に応じて区切る等して、種子や薬品等を上面に作用させる場合は上方にのみ穴を開け、上下方向に作用させる場合は上下に穴をあけ、下方に作用させるためには下方にのみ穴をあけたものを作っても良い。
【0015】
また、肥料や種子等を直接小幅のマルチシートに装着するのではなく。たとえば生分解性プラスチック等で、小幅のマルチシートの、シート面に対応するような構造で、種子や薬品等を装着し、種子や薬品等を上面に作用させる場合は上方にのみ穴を開け、上下方向に作用させる場合は上下に穴をあけ、下方に作用させるためには下方にのみ穴をあけた一連のユニットを作り、必要に応じて対応する部分に穴をあけたり、窪みを作る等の処理をされたシートに接着等してもよい。
またこのユニットは、ユニットを使わずシートに直接装着して作成したシートの一部にエラーが出た場合の補修にも使う事が出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明を使って水稲の直播き栽培を行う場合、小幅のシートを並列に敷設するだけでよいので、作業量が軽減される。また、稚苗の移植等に比べれば作業時期選定に余裕がとれる。
【0017】
また、あらかじめ生育過程に使う全薬品等をセット出来るので輻輳する作業を必要としない。薬品を空中散布等する必要もなく、施肥等も平均化でき、初心者でも安定した収量を期待できる。
【0018】
小幅のマルチシート採用により除草が容易になる、除草で一番大変なところは茎が土に接する部分であり、その部分の除草が不要となるので、たとえば除草剤を全く使用しない場合でも、マルチ間の直線部分のみの除草が必要なだけとなり、旧式の除草機械で十分対応できる。また、除草剤を使うとしても、使用量が半分程度で済み、経済的かつ無公害化が促進される。
【0019】
マルチの保温作用で現在の直播き方式より早く発芽させることが出来。現在主流の稚苗移植法の生育に、より近い育成が可能であり、品質のよい米作が可能になる。
【0020】
直播用小幅マルチシートは安価に大量生産が可能である。また、それほど難しい技術を使っていないため作動が安定した製品を作ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の基本的な動作状況説明の略図
【図2】本発明の鳥害対策用シートの基本的な動作状況を示した略図
【図3】本発明の種子等の収納にユニットを用いたものの動作説明用の断面図
【図4】本発明のシートを土(斜線)に敷設した場合の基本的状況を説明するための略図
【図5】本発明の基本的な3パターンのものをシートに装着、一部シートを曲げて敷設した場合の斜視図
【符号の説明】
【0022】
1はマルチシートの断面及び斜視図。矢印は薬品等の展開方向を示す。
2はあらかじめ整形した種子・薬品等
3はあらかじめ種子等をマウントしたユニットの略図
4は鳥害対策用に考えたシートの接着等した面である
5はマルチシートの土壌定着の補助のための凹凸の略図
6はマルチシートを曲線で敷設した場合の伸ばした部分の略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小幅のマルチシートの、種子や薬品等を上面に作用させる場合はシートの上方に接着するか、上方に穴が開くようにしてセットし、上下方向に作用させる場合は上下に穴が開くように、下方に作用させるためにはシートの下方に接着するか下方に穴の開くようにセットし。必要により、シートの上下に窪みを作る等し、種子または薬品等をコーティングする等で整形したものを、はめ込みもしくは接着等で装着し、土の上に敷くことにより作動するようにした直播き用のシート。
【請求項2】
小幅のマルチシートの一部を袋とじをするような方法でスペースを確保し、シートの上から見て表面が平らになるように接着等処理し、必要に応じてそのスペース内を区切る等して、種子または薬品等を収納し、種子や薬品等を上面に作用させる場合は上方にのみ穴を開け、上下方向に作用させる場合は上下に穴をあけ、下方に作用させるためには下方にのみ穴をあける等して、土の上に敷くことにより作動するようにした直播き用のシート。
【請求項3】
小幅のマルチシートに、シートの面に対応するような外形で、種子や薬品等を装着し、種子や薬品等を上面に作用させる場合は上方にのみ穴を開け、上下方向に作用させる場合は上下に穴をあけ、下方に作用させるためには下方にのみ穴をあけたユニットを作り、必要に応じて対応する部分に穴をあけたり、窪みを作る等処理をされたシートに接着等して、土の上に敷くことにより作動するようにした直播き用のシート。
【請求項4】
小幅のマルチシートの長径の両端に、敷設時田圃に定着しやすいように泥等が乗りやすいようにシートの両端に凹凸を付ける。
小幅のマルチシートを曲げて敷設する場合に曲がりやすくするため、シートの短径に沿って凹凸を付ける。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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