説明

直流コンセント

【課題】複数のプラグが差し込み可能であって、それぞれ異なる直流電圧を供給することができる直流コンセントを提供することである。
【解決手段】直流コンセント11は、第1差込口12と第2差込口13と第3差込口14とを有し、第1差込口12には正極刃16と負極刃17との断面形状が異なる第1直流プラグ15の正極刃16が差し込まれ、第2差込口13には第1直流プラグ15の正極刃16と異なる断面形状の正極刃19を有するとともに第1直流プラグ15の負極刃17と同じ断面形状の負極刃20を有し第1プラグ15の直流電圧と異なる第2直流プラグ18の正極刃19が差し込まれ、第3差込口14には第1直流プラグ15の負極刃17及び第2直流プラグ18の負極刃20を差し込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流を供給する直流コンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の交流コンセントは100V用と200V用で刃受けの形状が異なっている。これに対し直流配電については規格が定まっていないため、使用直流電圧さらにはプラグ形状も決まっていない。
【0003】
既存の交流配電用の分電盤を使用しつつ多箇所に互いに直流電圧が異なる直流電力を配電するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、交流分電盤を通して供給される交流電力を互いに直流電圧が異なる直流電力に変換する交流/直流変換装置を収納した複数の直流分電盤を備え、1つの交流/直流変換装置で全ての負荷に直流電力を給電する場合と比較して交流/直流変換装置に必要な容量を抑えることができるようにしたものである。
【0004】
また、直流コンセントの器体の前面に、互いに電圧値の異なる直流電源をそれぞれのコンセント部に供給し、1台で定格電圧の異なる複数種類の直流機器に駆動電源を供給できるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−178028号公報
【特許文献2】特開2010−27249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のものでは、数種類の電圧値の多様な負荷機器に直流電力を供給できるが、複数の直流分電盤が必要となり、直流電圧に応じた専用のコンセントが必要となる。また、特許文献2のものでは、電圧値の異なる直流電源をそれぞれのコンセント部に供給するので、1台で定格電圧の異なる複数種類の直流機器に駆動電源を供給できるが、この場合も直流電圧に応じた専用のコンセントが必要となる。すなわち、複数の直流電圧ごとに専用の直流コンセントを設置すると、直流コンセントの種類が多くなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、複数のプラグが差し込み可能であって、それぞれ異なる直流電圧を供給することができる直流コンセントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る直流コンセントは、正極刃と負極刃とを有する第1直流プラグの前記正極刃が差込可能な第1差込口と;前記第1直流プラグの正極刃とは異なる直流電圧が供給される正極刃と負極刃とを有する第2直流プラグの前記正極刃が差込可能な第2差込口と;前記第1直流プラグの負極刃及び前記第2直流プラグの負極刃を差込可能な第3差込口と;前記第1直流プラグおよび第2直流プラグの正極刃と負極刃とがそれぞれ対応する差込口以外には差込できないように構成された誤挿入防止手段と;を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の意味及び定義は以下による。正極刃とは、直流プラグが直流コンセントの正極の接触片に接続される導体片をいう。負極刃とは、直流プラグが直流コンセントの負極の接触片に接続される導体片をいう。第1差込口に差込される第1直流プラグの正極刃と第2差込口に差込される正極刃とは、異なる直流電圧が供給され、例えば、12V、24V等である。
【0010】
なお、正極刃が差込まれる差込口は、少なくとも第1差込口と第2差込口を具備していれば良いが3つ以上の差込口を有していてもよい。
【0011】
誤挿入防止手段とは、直流プラグの正極刃と負極刃とが逆に差込まれることを防止するとともに、第1直流プラグの正極刃と第2直流プラグとがそれぞれ対応しない第2差込口および第1差込口に差込まれることを防止するものである。例えば、直流プラグの正極刃または負極刃の断面形状を異なるようにし、差込口を平面視したときの形状をこの断面形状に対応した形にすることで実現することができる。また、複数の直流プラグの外形に例えば切欠を設け、それぞれの断面形状が異なるようにし、コンセントの差込口近傍に凹部または凸部を設けて対応するプラグの正極刃および負極刃のみが差込可能となるように構成してもよい。
【0012】
請求項2の発明に係る直流コンセントは、前記第1または第2差込口に前記正極刃が差し込まれたときに、対応する直流電圧を正極刃に供給する接続切替部と、をさらに具備したことを特徴とする。
【0013】
接続切替部とは、第1差込口または第2差込口に差込まれた正極刃のみに直流電圧を供給するものである。すなわち、第1差込口に正極刃が差込まれたときは、第2差込口には直流電圧を供給せず、第1差込口のみに直流電圧を供給する。一方、第2差込口に正極刃が差込まれたときは、第1差込口とは異なる直流電圧を第2差込口に供給するとともに第1差込口には直流電圧を供給しない。
【0014】
請求項3の発明に係る直流コンセントは、正極刃と負極刃とを有し、少なくとも正極刃または負極刃のいずれか一方の形状が異なる複数種の直流プラグの前記正極刃が差込可能な正極刃差込口と;前記複数種の直流プラグの負極刃が差込可能な負極刃差込口と;前記複数種の直流プラグの正極刃と負極刃とがそれぞれ対応する差込口以外には差込できないように構成された誤挿入防止手段と;前記正極刃差込口または前記負極差込口に前記正極刃または前記負極刃が差し込まれたときに、前記正極刃または負極刃の形状の違いに対じて、複数種の直流プラグに対応する異なる直流電圧を前記正極刃に供給する接続切替部と;を備えたことを特徴とする。
【0015】
誤挿入防止手段は、正極刃と負極刃とが逆に差込まれることを防止するものである。例えば、正極刃差込口と負極刃差込口との平面視の形状が異なるものであってもよい。また、プラグの外形とコンセントの差込口周囲の形状との組み合わせによって、正極刃と負極刃とが逆に差込まれないようにしてもよい。この場合には、正極刃と負極刃との断面形状は同じであってもよい。
【0016】
正極刃または負極刃の形状の違いに対じてとは、複数種の直流プラグの正極刃同士または負極刃同士の断面形状が異なるようにしてもよいし、長さが異なるように構成されていてもよい。例えば、供給される直流電圧が異なる直流プラグにおいて、対応する正極刃の長さを異なるようにする場合には、直流電圧が24Vのときは長い正極刃の直流プラグとし、直流電圧が12Vのときは短い正極刃の直流プラグとすることができる。
【0017】
接続切替部とは、正極刃差込口に供給する直流電圧を正極刃または負極刃の形状に応じて、対応する直流電圧を供給するものである。例えば、正極刃の長さに応じて供給する直流電圧を切替える場合には、例えば正極刃が長いときは24Vの直流電圧を供給し、正極刃が短いときは12Vの直流電圧を供給する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、複数種のプラグが差し込み可能であって、それぞれのプラグに対して異なる直流電圧を供給することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、正極刃が差込まれている差込口のみにプラグに対応する電圧を付加することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、一対の差込口で複数種のプラグが差し込み可能であって、それぞれのプラグに対して異なる直流電圧を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る直流コンセントの実施例1の構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る直流コンセントの実施例2の構成図。
【図3】本発明の実施例2の直流コンセントに第1直流プラグ及び第2直流プラグを差し込んだときの状態説明図。
【図4】本発明の実施例2の直流コンセントで直流電源の接続切替を行う接続切替部の一例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る直流コンセントの実施例1の構成図であり、図1(a)はその平面図、図1(b)は実施例1の直流コンセントに差し込まれる第1直流プラグの斜視図、図1(c)は実施例1の直流コンセントに差し込まれる第2直流プラグの斜視図である。なお、図示は省略するがコンセント内部には第1差込口、第2差込口、および第3差込口に差込まれたプラグの正極刃と負極刃にそれぞれ電気的に接続する接触片が設けられている。
【0023】
直流コンセント11は、図1(a)に示すように、それぞれ形状が異なる3個の差込口、すなわち、第1差込口12、第2差込口13、第3差込口14を有している。そして、直流コンセント11の内部で、第1差込口12と第3差込口14との間、第2差込口13と第3差込口14との間には、それぞれ異なる直流電圧の直流電源が供給できるように配線されている。例えば、第1差込口12と第3差込口14との間には12Vの直流電源が供給され、第2差込口13と第3差込口14との間には、24Vの直流電源が供給されるように構成されている。これにより、一つの直流コンセントで2種類の直流電圧の直流電源を供給できるようになっている。
【0024】
第1直流プラグ15は、図1(b)に示すように、正極刃16と負極刃17とを有し、正極刃16の形状と負極刃17の形状とは異なって形成されている。すなわち、正極刃16は直流コンセント11の第1差込口12の開口部に差し込みが可能となる断面形状を有し、負極刃17は直流コンセント11の第3差込口14の開口部に差込が可能となるように正極刃16よりも断面形状の長手方向が短い形状を有している。すなわち、図1での縦方向の長さは正極刃16が負極刃17より長く形成されているため、正極刃16は第3差込口には差込むことができないため、第1直流プラグの正極刃16と負極刃17とを間違って差込むことはない。なお、正極刃16及び負極刃17は共に、直流コンセント11の第1差込口12及び第3差込口14に差し込まれる方向は同じ長さで形成されている。
【0025】
同様に、第2直流プラグ18についても、図1(c)に示すように、正極刃19の形状と負極刃20の形状とは異なって形成されている。また、第2直流プラグ18の正極刃19は、第1直流プラグ15の正極刃16と異なる形状に形成され、図1では、第1直流プラグ15の正極刃16に突起が設けられた形状となっている。第2直流プラグ18の負極刃20は第1直流プラグの負極刃と同じ形状に形成されている。
【0026】
すなわち、第2直流プラグ18の正極刃19は、直流コンセント11の第2差込口13の開口部に差し込みが可能となる断面形状を有し、第2直流プラグ18の負極刃20は直流コンセント11の第3差込口14の開口部に差込が可能となる断面形状を有している。第2直流プラグ18の正極刃19及び負極刃20は共に、直流コンセント11の第2差込口13及び第3差込口14に差し込まれる方向は同じ長さで形成され、図1での縦方向の長さにおいては正極刃19が正極刃16より短く形成されている。すなわち、正極刃19は断面形状において、一部が突出しているため、第1差込口12および第3差込口14には差込むことができない。このため、第2直流プラグ18は正極刃19と負極刃20とを間違えて差込むことはない。さらに、第1直流プラグ15と第2直流プラグ18とは第3差込口を共通で使用するが、正極刃16は図1における縦方向の長さが第2差込口よりも長いために第1差込口へは差込むことができず、正極刃19は断面形状が異なるために第1差込口へは差込むことができない。
【0027】
このように、第1、第2、第3差込口は互いに平面視の形状が異なっており、正極刃と負極刃とが逆に挿入されることがないとともに、第1および第2差込口にそれぞれ対応する正極刃のみが差込可能に構成されている。
【0028】
すなわち、本実施例1では、差込口の平面視の形状が異なることによって、第1直流プラグ15および第2直流プラグ18の正極刃16、19と負極刃17、20とがそれぞれ対応する差込口以外には差込できないように構成された誤挿入防止手段を有している。
【0029】
なお、直流プラグ外形の断面を1回回転対象な形状とし、直流コンセント11の差込口周囲に、この形状に対応する凹部を設けて、対応する直流プラグの外部がこの凹部と嵌合するときに正極刃および負極刃が対応する差込口に挿入されるようにし、誤挿入防止手段としてもよい。この場合には差込口の形状は所望の形状にすることができる。
【0030】
従って、種類の異なる第1直流プラグ15及び第2直流プラグ18であっても、誤りなく直流コンセント11の差込口に差し込める。これにより、直流電圧の異なる直流プラグであっても一つの直流コンセント11に差し込むことができるので直流コンセント11をコンパクト化でき、直流コンセント11の設置数量を抑えることができる。
【0031】
図2は本発明の実施の形態に係る直流コンセントの実施例2の構成図であり、図2(a)はその平面図、図2(b)は実施例2の直流コンセントに差し込まれる第1直流プラグの斜視図、図2(c)は実施例2の直流コンセントに差し込まれる第2直流プラグの斜視図である。この実施例2は、実施例1に対し3個の差込口に代えて2個の差込口とするとともに、第1直流プラグの正極刃及び負極刃と、第2直流プラグの正極刃及び負極刃との断面形状は同じにして、正極刃の差込口方向の長さを異なる長さにしたものである。
【0032】
直流コンセント11は、図2(a)に示すように、それぞれ形状がそれぞれ異なる2個の差込口を有している。2個の差込口は正極刃差込口21及び負極刃差込口22である。
【0033】
直流コンセント11の内部には、正極刃差込口21に対して供給する直流電圧を切替えることができる接続切替部が配設されている。この接続切替部は、例えば、正極刃差込口21と電圧の異なる複数の直流電源とが接続切替部を介して接続しており、正極刃23が差し込まれたときに、正極刃23の長さに応じて接続する直流電源を切り替えるものである。
【0034】
第1直流プラグ15は、図2(b)に示すように、正極刃23と負極刃24とを有し、正極刃23の形状と負極刃24の形状とは異なって形成されている。すなわち、正極刃23は直流コンセント11の正極刃差込口21の開口部に差し込みが可能となる断面形状を有し、負極刃24は直流コンセント11の負極刃差込口22の開口部に差込が可能となる断面形状を有している。そして、正極刃23及び負極刃24の長さは同じ長さに形成され、図2での縦方向の長さは正極刃23が負極刃24より長く形成されている。
【0035】
一方、第2直流プラグ18は、図2(c)に示すように、第1直流プラグ15と同様に、正極刃25は直流コンセント11の正極刃差込口21の開口部に差し込みが可能となる断面形状を有し、負極刃26は直流コンセント11の負極刃差込口22の開口部に差込が可能となる断面形状を有している。そして、第2直流プラグ18の正極刃25は、直流コンセント11の差込口方向の長さが第1直流プラグ15の正極刃23より長く形成され、第2直流プラグ18の負極刃26は第1直流プラグ15の負極刃24と同じ形状に形成されている。
【0036】
このため、正極刃23、25と負極刃24、26とが異なる断面形状を有しているために、正極刃23、25同士と負極刃24、26同士は共通の差込口に差込可能であるが、正極と負極とが逆に差込まれることはない。
【0037】
つまり、正極刃と負極刃との断面形状の違いによって、第1および第2直流プラグの正極刃23、25と負極刃24、26とがそれぞれ対応する差込口以外には差込できないように構成された誤挿入防止手段を構成している。
【0038】
ところで、第1直流プラグ15及び第2直流プラグ18は、双方共に直流コンセント11に差し込むことができ、第1直流プラグ15を直流コンセント11に差し込んだときは、正極刃23及び負極刃24は直流コンセント11の同じ位置まで差し込まれることになる。一方、第2直流プラグ18を直流コンセント11に差し込んだときは、正極刃25が長いので、直流コンセント11の奥まで差し込まれることになる。
【0039】
図3は本発明の実施例2の直流コンセント11に第1直流プラグ15及び第2直流プラグ18を差し込んだときの状態説明図であり、図3(a)は直流コンセント11の概略内部構造図、図3(b)は直流コンセント11に第1直流プラグ15を差し込んだときの直流コンセント11の概略内部構造図、図3(c)は直流コンセント11に第2直流プラグ18を差し込んだときの直流コンセント11の概略内部構造図である。
【0040】
図3(a)に示すように、直流コンセント11の正極刃差込口21には、正極刃23を把持して直流電源の正極に電気的に接続する接触片27と、正極刃23を把持して接触片27の接続を直流電圧の異なる直流電源に切り替えるための接続切替部を動作させる切替接点28とが設けられている。なお、接続切替部の図示は省略している。また、直流コンセント11の負極刃差込口22には、負極刃24を把持して直流電源の負極に電気的に接続する接触片29が設けられている。
【0041】
図3(b)に示すように、第1直流プラグ15の正極刃23が正極刃差込口21に差し込まれると、接触片27は正極刃23を把持して直流電源の正極に電気的に接続する。この場合、正極刃23は短く切替接点28まで到達しないので、接続切替部が動作しない。従って、直流電源の切替は行われない。また、接触片29は負極刃24を把持して直流電源の負極に電気的に接続する。これにより、接触片27、29の間に予め接続された直流電圧の直流電源(例えば、12V)が第1直流プラグ15に接続される。
【0042】
一方、図3(c)に示すように、第2直流プラグ18の正極刃25が正極刃差込口21に差し込まれると、接触片27は正極刃23を把持して直流電源の正極に電気的に接続するとともに、切替接点28は正極刃23を把持して、接続切替部を動作させる。接続切替部は、接触片27の接続を直流電圧の異なる直流電源(例えば、24V)に切り替える。また、接触片29は負極刃24を把持して直流電源の負極に電気的に接続する。これにより、接触片27、29の間に接続切替部で切り替えられ接続された直流電圧の直流電源(例えば、24V)が第2直流プラグ18に接続される。
【0043】
図4は、本発明の実施例2の直流コンセントで直流電源の接続切替を行う接続切替部の一例を示す回路図である。直流電源の電圧Vinは、抵抗R1及びコンデンサC1で分圧され、コンデンサC1と並列に第1定電圧ダイオードD1が接続されている。また、定電圧ダイオードD1と並列に抵抗R2、R3の直列回路が接続され、抵抗R3に並列に第2定電圧ダイオードD2が接続されている。また、出力部にはトランジスタ30が設けられ、トランジスタ30のコレクタは直流電源の正極に接続され、エミッタが出力端Aに接続されている。
【0044】
そして、ベースに図3の切替接点28が接続され、切替接点28は第1定電圧ダイオードD1のカソードと、第2定電圧ダイオードD2のカソードとの間の接続を切り替える。例えば、切替スイッチ28は、不動作のときは第2定電圧ダイオードD2のカソードに接続され、動作したときは第1定電圧ダイオードD1のカソードに接続の切り替えをする。また、出力端Aは図3の接触片27に接続され、出力端Bは図3の接触片29に接続されている。
【0045】
いま、トランジスタのベースエミッタ間の電圧をVbe、第1定電圧ダイオードD1のツェナー電圧をVd1、第2定電圧ダイオードD2のツェナー電圧をVd2とする。切替接点28が第1定電圧ダイオードD1のカソードに接続されたときは、出力端A、B間には、Vd1−Vbeの直流電圧が出力される。一方、切替接点28が第2定電圧ダイオードD2のカソードに接続されたときは、出力端A、B間には、Vd2−Vbeの直流電圧が出力される。
【0046】
従って、Vd1−Vbeが24V、Vd2−Vbeが12Vとなるように、第1定電圧ダイオードD1のツェナー電圧Vd1、第2定電圧ダイオードD2のツェナー電圧Vd2を定めておくと、切替接点28の切り替えにより、出力端A、B間には、12Vと24Vの直流電圧が出力できる。この場合、直流電源電圧Vinは、第1定電圧ダイオードD1のツェナー電圧Vd1より高く設定しておくことになる。
【0047】
以上の説明では、直流電源電圧は単独のVinを用いた場合について説明したが、2台のDC/DCコンバータを用意し、一方のDC/DCコンバータは12V、他方のDC/DCコンバータは24Vを出力するようにしておき、切替接点28でこれらのDC/DCコンバータを切り替えるようにしてもよい。
【0048】
また、切替接点28は、正極刃の25によって機械的に動作するものであっても良いし、電気的に動作するものであってもよい。
【0049】
実施例2によれば、直流コンセントの差込口の形状は同じ形状としておき、正極の長さが異なる直流プラグにより、直流電圧の異なる直流電源を供給できる。これにより、直流電圧に応じて専用の直流コンセントを設置する必要がなくなるので、直流コンセントをコンパクト化でき、直流コンセント11の設置数量を抑えることができる。
【0050】
なお、上記説明では正極刃の長さに応じて供給する直流電圧を切替える例について説明したが、例えば正極刃の断面形状を異なるものにしておき、この異なった部分で切替接点28を動作させるようにしてもよい。例えば、一方の正極刃を平板状に形成し、これに対して他方の正極刃には凸部を設け、この凸部によって切替接点28を動作させることができる。また、正極刃ではなく負極刃の長さまたは断面形状等の形状を異なるものにすることで切替接点を動作させるようにしてもよい。
【0051】
さらに、実施例2の接続切替部を実施例1の構成に適用し、実施例1において第1または第2差込口に正極刃が差し込まれたときに対応する直流電圧を正極刃に供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
11…直流コンセント、12…第1差込口、13…第2差込口、14…第3差込口、15…第1直流プラグ、16…正極刃、17…負極刃、18…第2直流プラグ、19…正極刃、20…負極刃、21…正極刃差込口、22…負極刃差込口、23…正極刃、24…負極刃、25…正極刃、26…負極刃、27…接触片、28…切替接点、29…接触片、30…トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極刃と負極刃とを有する第1直流プラグの前記正極刃が差込可能な第1差込口と;
前記第1直流プラグの正極刃とは異なる直流電圧が供給される正極刃と負極刃とを有する第2直流プラグの前記正極刃が差込可能な第2差込口と;
前記第1直流プラグの負極刃及び前記第2直流プラグの負極刃を差込可能な第3差込口と;
前記第1直流プラグおよび第2直流プラグの正極刃と負極刃とがそれぞれ対応する差込口以外には差込できないように構成された誤挿入防止手段と;
を備えたことを特徴とする直流コンセント。
【請求項2】
前記第1または第2差込口に前記正極刃が差し込まれたときに、対応する直流電圧を正極刃に供給する接続切替部と、をさらに具備したことを特徴とする請求項1に記載の直流コンセント。
【請求項3】
正極刃と負極刃とを有し、少なくとも正極刃または負極刃のいずれか一方の形状が異なる複数種の直流プラグの前記正極刃が差込可能な正極刃差込口と;
前記複数種の直流プラグの負極刃が差込可能な負極刃差込口と;
前記複数種の直流プラグの正極刃と負極刃とがそれぞれ対応する差込口以外には差込できないように構成された誤挿入防止手段と;
前記正極刃差込口または前記負極差込口に前記正極刃または前記負極刃が差し込まれたときに、前記正極刃または負極刃の形状の違いに対じて、複数種の直流プラグに対応する異なる直流電圧を前記正極刃に供給する接続切替部と;
を備えたことを特徴とする直流コンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−175744(P2011−175744A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36891(P2010−36891)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)