説明

相変化材料および形状変化材料

がん細胞および正常細胞を有する対象のがん細胞(44)を殺すための装置および方法が記載されている。該装置は、複数の第1の分子(40)を有し、該第1の分子は、該対象に投与されたことに反応して、正常細胞に対してよりも大きい程度でがん細胞に結合するように構成されている。複数の、相変化分子のクラスター(42)を備えており、該クラスターの各々は、該第1の分子のそれぞれ1つに結合している。エネルギー伝達ユニット(50)は、該クラスターを選択的に加熱するエネルギーを該クラスターに向けて伝達することにより、該第1の分子に結合したがん細胞を加熱することによって該がん細胞を殺す。他の実施形態も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、
2009年8月24日に出願されたHofの"Phase change implant"というタイトルの米国仮特許出願第61/275,068号、
2009年8月24日に出願されたHofの"Shape and function change of implanted element"というタイトルの米国仮特許出願第61/275,071号、
2009年8月24日に出願されたHofの"Phase change materials for treating cancer"というタイトルの米国仮特許出願第61/275,089号
の優先権を主張する。上で参照した全ての出願は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の実施形態の分野
本発明の一部の適用は、概しては、埋め込み式医療器具に関する。具体的には、本発明の一部の適用は、相変化材料および形状変化材料の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
狭窄したまたは閉塞した血管を拡張するため、およびその後血管が拡張されたままであるのを確実にするために、一般にステントが血管内に配置される。埋め込み後にステントを加熱することで血管の再狭窄(即ち、拡張された後に血管が再び狭窄すること)が防止されることが示されている。
【0004】
固体材料が融点まで加熱されたとき、材料は液体状態への相変化を起こす。相変化の間、材料はある量の熱を蓄積する。この熱は、融解潜熱または融解エンタルピー変化と呼ばれる。相変化が生じるとき、材料の温度は比較的一定に留まる。プロセスが反転されたとき、即ち材料が液体から固体への相変化を起こすとき、蓄積された潜熱は放出される。
【0005】
腫瘍学において、殆どのがん細胞は、殆どの正常細胞のようにピルビン酸の酸化によるよりむしろ、解糖およびその後の乳酸発酵によりエネルギーを主に産生するという観察は、ワールブルグ効果により説明される。ワールブルグ効果の結果、エネルギー産生のために、同一条件の下でがん細胞は正常細胞よりも20倍より多くの量のグルコースを消費する。
【0006】
"Fluorodeoxyglucose"(「フルオロデオキシグルコース」)というタイトルのウィキペディアの記事(2009年1月18日)には以下の通りに述べられている。「FDG(フルオロデオキシグルコース)は、医療用イメージングモダリティである陽電子放出断層撮影法(PET)において最も一般に使用されている。FDG分子中のフッ素は、陽電子放出性の放射性同位体であるフッ素18となるように選択されており、18F−FDGを生じる。FDGの患者への注入後、PETスキャナーにより体内のFDGの分布の像を形成することができる。この像は核医学の医師または放射線医により評価されて、様々な医学的状態の診断を提供し得る。FDGは、グルコースアナログとして、脳、腎臓、がん細胞等の多くのグルコースを使用する細胞に取り込まれ、該細胞では、リン酸化により、グルコースが手付かずに放出されるのを防止する。更なる解糖のためにはグルコース中の2−酸素が必要であるため、(2−デオキシ−D−グルコースと同様、)FDGを細胞内で更に代謝することはできず、従って、形成されたFDG−6−リン酸は放射性崩壊前に解糖を受けない。結果として、18F−FDGの分布は、体内の細胞によるグルコースの取り込みおよびリン酸化の分布を良好に反映する。
【0007】
形状記憶合金は、ニチノールまたは銅−アルミニウム−ニッケル等の合金であって、所与の温度(「変態温度」)を下回るときには第1の形状を有し、変態温度まで加熱されたときには第2の形状を取るように変化するものである。
【0008】
GrossのPCT公開公報第WO 94/001165号にはハウジングを有する薬剤投与デバイスが記載されている。該デバイスは、体腔内に導入可能であり、体腔液に不溶性の材料のものであるが、体腔液に可溶性の材料により覆われた開口部を有して形成されている。隔膜により、ハウジングの内部は、該開口部を有する薬剤チャンバ、および制御チャンバに分割される。制御チャンバ中の電解槽は、電流がそれを通過するときに気体を生成し、電流によって制御される速度で、薬剤チャンバから該開口部を通じて体腔内に薬剤を送達する。該デバイスは、経口的に服用される錠剤またはカプセルの形態であり得る。
【0009】
Shaoulianの米国特許出願公開第2006/0241747号には、組織成形の方法およびデバイスが記載されている。該デバイスは、経皮的にまたは患者の身体外部にエネルギーを適用すること等による低侵襲的または非侵襲的な方法で患者の体内において調整されると記載されている。一つの実施例では、該デバイスは、患者の冠状静脈洞内に配置され、少なくとも一つの次元において僧帽弁輪の変化をもたらす。該デバイスは、温度変化および/または磁場への暴露に反応する形状記憶材料を有すると記載されている。一つの実施例では、形状記憶材料は、冠状静脈洞の外にあるエネルギー源から適用される、電磁的または音響的なエネルギー等のエネルギーに反応する。所望の加熱エネルギーに対して増強された吸収特性を有する材料もまた、組織成形デバイスの加熱および調整を促進するために使用されることが記載されている。
【0010】
Hessの米国特許出願公開第5,545,210号には、永久組織支持デバイスおよび組織を支持するための方法が記載されており、それらにおいては、形状記憶合金を有するステント様部材が生体の管状臓器の組織を支持するために永久的に配置される。配置されるステント様部材の形状記憶合金はマルテンサイト相状態にあり、管状臓器内に永久的に配置されたときに、形状記憶合金の応力・歪み曲線の水平な平坦部上の歪みを示す。
【0011】
Brownの米国特許第6,059,810号には、血管壁を強化するためのステントが記載されている。該ステントは膨張可能であり、また、通常の埋め込まれた状態において体温でマルテンサイト相にある形状記憶合金からなる。該ステントは更に、その転移温度を上回るように加熱されたときに、より大きな母相(parent)またはオーステナイト相の形状および直径を有する。
【0012】
Galil Medical(イスラエル国,ヨクネアム)は、凍結療法のシステムを製造している。
【0013】
以下の参考文献は関心を引くものであり得る。
Quijanoの米国特許第6,805,711号
Naghavi et al.の米国特許第6,451,044号
Maynardの米国特許第6,323,459号
Ruizの米国特許第6,120,534号
Balbierzの米国特許第5,964,744号
Mikusの米国特許第5,830,179号
Wangの米国特許第5,716,410号
Flomenblitの米国特許第5,667,522号
Doscher et al.の米国特許出願公開第2002/0183829号
Grossの米国特許出願公開第2004/0253304号
Ramtoolaの米国特許出願公開第2004/0180086号
Ben Muvharの米国特許出願公開第2005/0055082号
Rheeの米国特許出願公開第2005/0288777号
Baileyの米国特許出願公開第2006/0074479号
Shaoulian et al.の米国特許出願公開第2006/024174号
Ben Muvharの米国特許出願公開第2008/021537号
DiamantopoulosのPCT公開公報第WO 02/000145号
Ben MuvharのPCT公開公報第WO 03/028522号
"Pathologic analysis of photothermal and photomechanical effects of laser-tissue interactions", Thomsen, Photochem Photobiol, 1991 Jun; 53(6): 825-35
"The next generation of cancer treatments may be delivered by nanoparticles", The Economist, November 06, 2008
"Lipase-catalysed synthesis of glucose fatty acid esters in tert-butanol", Degn et al., Biotechnology Letters 21: 275-280, 1999
"Optimization of Carbohydrate Fatty Acid Ester Synthesis in Organic Media by a Lipase from Candida Antarctica", Degn et al., Biotechnology and Bioengineering, Vol. 74, No. 6, September 20, 2001
"Cancer's Molecular Sweet Tooth and the Warburg Effect", Kim et al., Cancer Res 2006; 66: (18). September 15, 2006
Applied Thermal Engineering, Zalba et al., 23(3), February 2003, pp. 251-283
【発明の概要】
【0014】
発明の要旨
本発明の一部の適用では、要素(例、ステント)は対象の身体内に埋め込まれる。相変化材料は、該要素の近傍において対象の身体内に埋め込まれる。相変化材料は、その相変化温度まで加熱されることにより、該要素から熱を吸収する。典型的には、相変化材料は、加熱されたことに反応して融解潜熱を吸収するが、相変化材料の全てが相変化を起こすわけではない。一部の適用では、相変化材料の少なくとも一部分が相変化(例えば、固体から液体、または固体からゲル)を起こす。
【0015】
一部の適用では、該要素は、血管内に埋め込まれるステントである。ステントが血管の再狭窄を防止するために加熱されたときに、相変化材料は、ステントからの熱を吸収することにより、ステントおよび/またはステント周囲の組織が過熱されることを防止する。一部の適用では、相変化材料は、埋め込まれた要素がさもなければ過熱され得る処置の間、埋め込まれた要素から熱を吸収する。例えば、対象がMRI処置を受けている間、またはステントが電磁場に暴露される別の処置の間、相変化材料は、対象内に埋め込まれたステントから熱を吸収し得る。
【0016】
一部の適用では、例えば医療処置の間、対象の身体の一部分が加熱される。相変化材料は、加熱される部分の近傍において対象の身体内に配置される。相変化材料は、加熱される部分の近傍から熱を吸収する。
【0017】
一部の適用では、対象の身体の一部分は冷却され、例えば、対象の身体の一部分は冷凍アブレーションされる(例、Galil Medicalにより製造された冷凍アブレーションシステムを用いる)。相変化材料は、該部分の周囲の組織に埋め込まれる。相変化材料は、その相変化温度(例、液体から固体、またはゲルから固体への転移温度)まで冷却されることにより潜熱エネルギーを放出し、それにより周囲組織への損傷を防止する。
【0018】
本発明の一部の適用では、がん細胞および正常細胞を有する対象のがん細胞を破壊するためのシステムが提供される。相変化分子のクラスターが各第1の分子(例、各グルコース分子)に結合される。複数の第1の分子が対象に投与され、正常細胞に対してよりも大きい程度でがん細胞に結合する。典型的には、第1の分子は、ワールブルグ効果のために、正常細胞に対してよりも大きい程度でがん細胞に結合するように選択される。例えば、各第1の分子はグルコース分子であってよく、正常細胞に結合するものの20倍より多くのグルコース分子ががん細胞に結合し得る。
【0019】
第1の分子ががん細胞に結合している間、相変化分子のクラスターに向けてエネルギーが伝達される。エネルギーが相変化分子のクラスターに当たるのに反応して、相変化分子が配置されている領域の温度が上昇するが、相変化分子の相変化温度を上回っては上昇しない。これは、相変化温度において、該領域に向けて伝達された熱が潜熱として相変化分子により吸収されるためである。相変化分子の加熱は、典型的には、がん細胞を加熱し、それによりがん細胞を殺す。場合によっては、相変化分子によるエネルギーの吸収は相変化分子を振動させ、それによりがん細胞の膜を破裂させる。一部の適用では、相変化分子によるエネルギーの吸収を増強するために、エネルギーは、相変化分子の共鳴周波数においてクラスターに向けて伝達される。
【0020】
本発明の一部の適用では、埋め込み可能な要素は対象の身体内に埋め込まれる。該要素は、ある変態温度を有する形状記憶材料を有する。埋め込み可能な要素は、形状記憶材料が第1の形状にあるときに、対象の身体の一部分に対して第1の治療機能を実行する。エネルギー付与装置は、形状記憶材料の温度を形状記憶材料の変態温度まで上昇されることにより、形状記憶材料を第1の形状から第2の形状へ変化させる。形状記憶材料が第2の形状にあるときに、埋め込み可能な要素は、第1の治療機能とは質的に異なる第2の治療機能を該部分に対して実行する。
【0021】
一部の適用では、埋め込み可能な要素はステントを有する。ステントは、対象の血管内に埋め込まれ、該血管は典型的には狭窄した血管である。ステントが第1の構造にある間、ステントは血管の内壁を支持することにより血管を開く。その後、ステントは加熱され、ステントの形状はベンチュリ管の形状に変化する。後述するように、および/または、Ben MuvharのPCT公開公報第WO 03/028522号(これは、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載される手法に従って、ベンチュリ管形状のステントは、ステントが配置されている血管の近傍において新たな血管の生成を惹起する。
【0022】
従って、本発明の一部の適用に従って、装置が提供され、該装置は、
埋め込み可能な要素を有し、該要素は、対象の身体内に埋め込まれるように構成されており、かつ、
相変化材料を有し、該相変化材料は、
該要素の近傍において該対象の身体内に埋め込まれるように構成されており、かつ、
該要素が加熱されたことに反応して、ワックスから液体、固体から液体、固体からゲル、およびゲルから液体からなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を吸収することにより、該要素から熱を吸収するように構成されている。
【0023】
一部の適用では、該相変化材料の全体よりも少ない部分が、該要素が加熱されたことに反応して、該選択される相変化を起こすように構成されている。
【0024】
一部の適用では、該相変化材料はパラフィンを有する。
【0025】
一部の適用では、該相変化材料は有機相変化材料を有する。
【0026】
一部の適用では、該埋め込み可能な要素はステントを有する。
【0027】
一部の適用では、該相変化材料は、該要素が電磁場に暴露されることにより加熱されたことに反応して、該要素から熱を吸収するように構成されている。
【0028】
一部の適用では、該相変化材料の相変化温度は4.5C〜145Cである。
【0029】
一部の適用では、該相変化材料の相変化温度は45C〜60Cである。
【0030】
一部の適用では、該相変化材料の相変化温度は60C〜80Cである。
【0031】
一部の適用では、該相変化材料は、該埋め込み可能な要素の埋め込みとは別の埋め込み工程において埋め込まれるように構成されている。
【0032】
一部の適用では、該相変化材料は、該埋め込み可能な要素および該相変化材料が該対象の身体内に埋め込まれているときに、該埋め込み可能な要素に付かないように構成されている。
【0033】
一部の適用では、該相変化材料および該埋め込み可能な要素は、単一の埋め込み工程において埋め込まれるように構成されている。
【0034】
一部の適用では、該相変化材料は、該埋め込み可能な要素を被覆するコーティングを有する。
【0035】
一部の適用では、該相変化材料は、該埋め込み可能な要素内に配置されている。
【0036】
一部の適用では、該埋め込み可能な要素は中空の空間を規定し、かつ該相変化材料は該中空の空間内に配置されている。
【0037】
本発明の一部の適用に従って、方法が更に提供され、該方法は、
対象の身体内に相変化材料を配置すること、および
該対象の身体内の該相変化材料を加熱することにより、該相変化材料が、ワックスから液体、固体から液体、固体からゲル、およびゲルから液体からなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を吸収するのを惹起すること
を有する。
【0038】
一部の適用では、該相変化材料が融解潜熱を吸収するのを惹起することは、該相変化材料を加熱することにより、該相変化材料の該相変化材料の全体よりも少ない部分が該選択される相変化を起こすのを惹起することを有する。
【0039】
一部の適用では、該相変化材料が融解潜熱を吸収するのを惹起することは、該相変化材料が該相変化材料の近傍における該対象の身体の一部分から熱を吸収するのを惹起することを有する。
【0040】
本発明の一部の適用に従って、装置が更に提供され、該装置は、
加熱デバイスを有し、該加熱デバイスは、対象の身体の一部分を加熱するように構成されており、かつ
相変化材料を有し、該相変化材料は、
該部分の近傍において該対象の身体内に配置されるように構成されており、かつ
該対象の身体の一部分が加熱されたことに反応して、ワックスから液体、固体から液体、固体からゲル、およびゲルから液体からなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を吸収することにより、該部分の該近傍から熱を吸収するように構成されている。
【0041】
一部の適用では、該相変化材料の全体よりも少ない部分が、該部分が加熱されたことに反応して、該選択される相変化を起こすように構成されている。
【0042】
一部の適用では、該相変化材料はパラフィンを有する。
【0043】
一部の適用では、該相変化材料は有機相変化材料を有する。
【0044】
一部の適用では、該相変化材料は、該部分の該近傍において該対象の身体内に入れられるように構成されたゲルを有する。
【0045】
一部の適用では、該相変化材料は、該部分の該近傍において該対象の身体内に入れられるように構成された固体ペレットを有する。
【0046】
一部の適用では、該相変化材料の相変化温度は4.5C〜145Cである。
【0047】
一部の適用では、該相変化材料の相変化温度は45C〜60Cである。
【0048】
一部の適用では、該相変化材料の相変化温度は60C〜80Cである。
【0049】
一部の適用では、該装置はエネルギー吸収要素を更に有し、該エネルギー吸収要素は、該部分内に埋め込まれるように、および該加熱デバイスからのエネルギーを吸収するように構成されている。
【0050】
一部の適用では、該エネルギー吸収要素は、少なくとも0.9mmの直径を有する炭素シリンダーを有する。
【0051】
一部の適用では、該エネルギー吸収要素は生体適合性金属を有する。
【0052】
本発明の一部の適用に従って、装置が更に提供され、該装置は、
埋め込み可能な要素を有し、該要素は、対象の身体内に埋め込まれるように構成されており、かつ
相変化材料を有し、該相変化材料は、
該要素の近傍において該対象の身体内に埋め込まれるように構成されており、かつ
該要素が冷却されたことに反応して、液体からワックス、液体から固体、ゲルから固体、および液体からゲルからなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を放出するように構成されている。
【0053】
本発明の一部の適用に従って、方法が更に提供され、該方法は、
対象の身体内に相変化材料を配置すること、および
該対象の身体内の該相変化材料を冷却することにより、該相変化材料が、液体からワックス、液体から固体、ゲルから固体、および液体からゲルからなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を放出するのを惹起すること
を有する。
【0054】
本発明の一部の適用に従って、がん細胞および正常細胞を有する対象のがん細胞を殺すための装置が更に提供され、該装置は、
複数の第1の分子を有し、該第1の分子は、該対象に投与されたことに反応して、正常細胞に対してよりも大きい程度でがん細胞に結合するように構成されており、
複数の、相変化分子のクラスターを有し、該クラスターの各々は、該第1の分子のそれぞれ1つに結合しており、かつ
エネルギー伝達ユニットを有し、該エネルギー伝達ユニットは、該クラスターを選択的に加熱するエネルギーを該クラスターに向けて伝達することにより、該第1の分子に結合したがん細胞を加熱することによって該がん細胞を殺すように構成されている。
【0055】
一部の適用では、該エネルギー伝達ユニットは、該がん細胞を加熱することにより該がん細胞の膜を破裂させるように構成されている。
【0056】
一部の適用では、該エネルギー伝達ユニットは、該相変化分子の融解温度まで該クラスターを加熱するように構成されており、かつ該相変化分子は、該クラスターが加熱されたことに反応して融解潜熱を吸収するように構成されている。
【0057】
一部の適用では、該エネルギー伝達ユニットは、該相変化分子の共鳴周波数においてエネルギーを伝達するように構成されている。
【0058】
一部の適用では、該相変化分子はパラフィン分子を有する。
【0059】
一部の適用では、該相変化分子は有機相変化分子を有する。
【0060】
一部の適用では、該エネルギー伝達ユニットは、該クラスターが加熱されたことに反応して該クラスターの各々における該相変化分子の全体より少ない部分が該選択される相変化を起こすように、該クラスターを加熱するように構成されている。
【0061】
一部の適用では、該第1の分子はグルコース分子を有する。
【0062】
一部の適用では、該相変化分子のクラスターの相変化温度は60〜80Cである。
【0063】
一部の適用では、該相変化分子のクラスターの相変化温度は45〜60Cである。
【0064】
一部の適用では、該エネルギー伝達ユニットは、該クラスターが加熱されたことに反応して該クラスターの温度が該相変化分子の相変化温度を上回っては上昇しないように、該クラスターを加熱するように構成されている。
【0065】
一部の適用では、該エネルギー伝達ユニットは、該クラスターの温度の指示値に反応して該エネルギーの伝達を中止するように構成されている。
【0066】
一部の適用では、該エネルギー伝達ユニットは、該クラスターの温度を感知し、かつ該感知した温度に反応して該エネルギーの伝達を中止するように構成されている。
【0067】
一部の適用では、該エネルギー伝達ユニットは、該エネルギーの伝達の持続期間に反応して該エネルギーの伝達を中止するように構成されている。
【0068】
本発明の一部の適用に従って、がん細胞および正常細胞を有する対象のがん細胞を殺すための方法が更に提供され、該方法は、
複数の第1の分子を該対象に投与することを有し、該第1の分子の各々には相変化分子のクラスターが結合しており、該第1の分子は、正常細胞に対してよりも大きい程度でがん細胞に結合するように構成されており、かつ
該クラスターを選択的に加熱するエネルギーを該クラスターに向けて伝達することによって該がん細胞を加熱することにより、該がん細胞を殺すことを有する。
【0069】
一部の適用では、エネルギーを該クラスターに向けて伝達することは、該がん細胞が転移した可能性がある複数部位を照射することを有する。
【0070】
一部の適用では、該方法は更に、エネルギーを該クラスターに向けて伝達する間に該対象のイメージングを行うことを有する。
【0071】
一部の適用では、該対象のイメージングは、熱感応性のイメージングプロトコルを使用して該がん細胞をイメージングすることを有する。
【0072】
従って、本発明の一部の適用に従って、対象の身体の一部分で使用するための装置が提供され、該装置は、
埋め込み可能な要素を有し、該埋め込み可能な要素は、ある変態温度を有する形状記憶材料を有し、該埋め込み可能な要素は、該部分に埋め込まれるように、および、該形状記憶材料が第1の形状にあるときであって、かつ該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間に、該部分に対して第1の治療機能を実行するように構成されており、かつ
エネルギー付与装置を有し、該エネルギー付与装置は、該形状記憶材料の温度を該変態温度まで上昇させることにより、該形状記憶材料を該第1の形状から第2の形状に変化させるように構成されており、
該埋め込み可能な要素は、該形状記憶材料が該第2の形状にあるときであって、かつ該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間に、該部分に対して、該第1の治療機能とは質的に異なる第2の治療機能を実行するように構成されている。
【0073】
一部の適用では、該形状記憶材料が該第1の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素は円筒状のステントの形状である。
【0074】
一部の適用では、該形状記憶材料が該第2の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素はベンチュリ管の形状である。
【0075】
本発明の一部の適用に従って、対象の身体の一部分で使用するための方法が更に提供され、該方法は、
埋め込み可能な要素を該部分に埋め込むことを有し、
該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間に、該埋め込み可能な要素を使用して該部分に対して第1の治療機能を実行することを有し、該埋め込み可能な要素は、ある変態温度を有する形状記憶材料を有しており、該形状記憶材料は、該第1の治療機能の実行の間、第1の形状にあり、
該形状記憶材料の温度を該変態温度まで上昇させることにより、該形状記憶材料を該第1の形状から第2の形状に変化させることを有し、かつ
該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間であって、かつ該形状記憶材料が該第2の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素を使用して該部分に対して第2の治療機能を実行することを有する。
【0076】
一部の適用では、該第1の治療機能を実行することは該対象の血管を開くことを有し、該形状記憶材料が該第1の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素は円筒状のステントの形状である。
【0077】
一部の適用では、該第2の治療機能を実行することは、該埋め込み可能な要素の近位の血管部分において血圧を上昇させることを有し、該形状記憶材料が該第2の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素はベンチュリ管の形状である。
【0078】
本発明の一部の適用に従って、対象の身体の一部分で使用するための方法が更に提供され、該方法は、
埋め込み可能な要素を該部分に埋め込むことを有し、
該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間に、該埋め込み可能な要素を使用して該部分に対して第1の治療機能を実行することを有し、該埋め込み可能な要素は、該第1の治療機能を実行している間、第1の機械的構造にあり、
該埋め込み可能な要素の温度を上昇させることにより、該埋め込み可能な要素を該第1の機械的構造から第2の機械的構造に変化させることを有し、かつ
該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間であって、かつ該埋め込み可能な要素の材料が該第2の機械的構造にあるときに、該埋め込み可能な要素を使用して該部分に対して第2の治療機能を実行することを有する。
【0079】
本発明の一部の適用に従って、投薬用の埋め込み可能なポンプが更に提供され、該ポンプは、
薬物チャンバを有し、該薬物チャンバは、薬物を含むように構成されており、かつ
形状記憶材料を有し、該形状記憶材料は、所与の温度まで加熱されることによって膨張することにより、該薬物の少なくとも一部分を該ポンプから排出させるように構成されている。
【0080】
一部の適用では、該形状変化材料は、40〜60Cの温度まで加熱されることによって膨張するように構成されている。
【0081】
一部の適用では、該薬物は化学療法剤を含み、かつ該薬物チャンバは、該化学療法剤を含むように構成されている。
【0082】
本発明の一部の適用に従って、方法が更に提供され、該方法は、
薬物ポンプを対象の身体内に埋め込むことを有し、該ポンプは、薬物を含むように構成された薬物チャンバを有しており、かつ
ある変態温度を有する形状記憶材料を膨張させることにより、該薬物の少なくとも一部分を該薬物チャンバから排出させることを有し、該膨張は、第1の所与の期間、該形状記憶材料を該変態温度まで加熱することによるものである。
【0083】
一部の適用では、該方法は更に、該形状記憶材料を更に膨張させることにより、該薬物の更なる部分を該薬物チャンバから排出させることを有し、該更なる膨張は、第2の所与の期間、該形状記憶材料を該変態温度まで加熱することによるものである。
【0084】
一部の適用では、該形状記憶材料を該変態温度まで加熱することは、該形状記憶材料を40〜60Cの温度まで加熱することを有する。
【0085】
一部の適用では、該薬剤は化学療法剤を含み、かつ該薬剤を該薬物チャンバから排出させることは、該化学療法剤を該薬物チャンバから排出させることを有する。
【0086】
本発明は、図面とあわせて考慮される、その実施形態の下記の詳細な説明から、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1A】図1Aは、本発明の一部の適用に従う、中空の埋め込み可能な要素内にある相変化材料の略図である。
【図1B】図1Bは、本発明の一部の適用に従う、対象の身体の一部分の近傍に埋め込まれ、加熱されている相変化材料の略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一部の適用に従う、がん細胞の近くにあるグルコース分子に結合した相変化分子のクラスターの略図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一部の適用に従う、グルコース分子を介してがん細胞の膜に結合している相変化分子のクラスターの略図である。
【図3】図3は、コントロール実験において加熱された5つの組織片の実験結果を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の一部の適用に従う、相変化材料を入れられ、加熱された4つの組織片の実験結果を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の一部の適用に従う、相変化材料を入れられ、加熱された4つの組織片の更なる実験結果を示すグラフである。
【図6】図6は、対象の血管内に埋め込まれた埋め込み可能な要素の略図である。
【図7A】図7Aは、本発明の一部の適用に従う、第1の構造にある該埋め込み可能な要素の略図である。
【図7B】図7Bは、本発明の一部の適用に従う、第2の構造にある該埋め込み可能な要素の略図である。
【図8A】図8A−Bは、本発明の一部の適用に従う、膨張可能な形状記憶部分を有する薬物ポンプの一部分の略図である。
【図8B】図8A−Bは、本発明の一部の適用に従う、膨張可能な形状記憶部分を有する薬物ポンプの一部分の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
実施形態の詳細な説明
ここで図1Aを参照する。図1Aは、本発明の一部の適用に従う、埋め込み可能な要素20内にある相変化材料22の略図である。相変化材料は、相変化材料の相変化温度まで加熱されて潜熱エネルギーを吸収することにより、該要素から熱を吸収する。
【0089】
一部の適用では、埋め込み可能な要素20はステントであり、かつ相変化材料22はステント内に配置される。例えば、ステントは中空管の形状であってもよく、あるいはステントがその中に相変化材料を含むことを可能にする異なる形状であってもよい。代替的または付加的には、相変化材料は、埋め込み可能な要素を被覆する。典型的には、相変化材料が埋め込み可能な要素内にあり、かつ/または埋め込み可能な要素を被覆する適用のためには、相変化材料22および埋め込み可能な要素20は、単一の埋め込み工程で対象の身体内に埋め込まれる。一部の適用では、相変化材料および埋め込み可能な要素が対象の身体内にあるときに、相変化材料は埋め込み可能な要素に付かない。例えば、相変化材料は、埋め込み可能な要素から数ミリメートルまたは数マイクロメートルの距離にある組織に埋め込まれてもよく、埋め込み可能な要素が加熱されたときに、相変化材料は該組織の加熱を低減し得る。一部の適用では、相変化材料は、埋め込み可能な要素の埋め込みとは別の埋め込み工程で埋め込まれる。
【0090】
一部の適用では、表1および/または表2に見られる(後述)1以上の相変化材料が相変化材料22として使用される。典型的には、相変化材料は、相変化材料の相変化温度に基づいて、相変化材料として選択される。例えば、埋め込み可能な要素20を42Cの温度まで加熱することが望まれる場合、表1のデータ(これは、Zalba et al., Applied Thermal Engineering, 23(3), February 2003, pp. 251-283からの抜粋である)に従って、16炭素原子(C16)の分子長を有するパラフィンが選択され得る。該要素が42Cまで加熱されたときに、選択された相変化材料は融解潜熱を吸収するため、エネルギーを吸収する。相変化材料がエネルギーを吸収する間、該要素および/または周囲組織の加熱は抑制される。一部の適用では、他の融解温度および対応する材料が使用される。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
一部の適用では、以下の有機相変化材料の1以上が相変化材料22のために使用される:原油、フィッシャー・トロプシュ法により製造されたパラフィン、および飽和、不飽和、直線、または分岐の炭素鎖分子を有する有機材料。相変化材料は、例えば、トリラウリン、トリミリスチン、トリパルミチン、トリステアリン、および/または任意の好適な種類のパラフィンもしくはパラフィンワックスを有し得る。
【0094】
相変化材料の相変化温度(例、融解温度)は、典型的には4.5C〜145Cであり、例えば45C〜60Cまたは60C〜80Cである。一部の適用では、相変化材料は比較的低い熱伝導率を有し、かつ、低い熱伝導率を克服し、相変化材料への熱の流れを増加させるために、大きな表面積を有するように構成されている。
【0095】
一部の適用では、相変化材料22を埋め込み可能な要素20に結合するときに、および/または相変化材料を埋め込むときに、相変化材料が熱膨張を起こすことが想定され、該結合および/または埋め込みはそれに応じて実行される。例えば、(図1Aに示すように、)相変化材料がステント内の中空の空間内に配置される場合、中空の空間内での相変化材料の熱膨張を可能とするために、中空の空間の10パーセントは空けておいてもよい。代替的には、(図1Aに示すように)相変化材料はステント内の中空の空間内に配置され、相変化材料の膨張を低減または防止するために、ステントは密閉される。
【0096】
ここで図1Bを参照する。図1Bは、本発明の一部の適用に従う、対象の身体34の一部分32の近傍に埋め込まれ、加熱デバイス30(例、超音波振動子)により加熱されている相変化材料22の略図である。一部の適用では、相変化材料は部分32の近傍において対象の身体内に配置される。部分32の加熱の間、相変化材料は、相変化材料の相変化温度まで加熱されることにより、該部分の近傍の組織から融解潜熱を吸収する。典型的には、部分32が加熱される温度に基づいて、表1に見られる相変化材料の一つまたは別の相変化材料が選択される。
【0097】
一部の適用では、部分32は、組織を変性させるために加熱デバイス30により加熱される、がん組織を含む。部分32の近傍にある他の組織の近くで熱が吸収されることにより、該他の組織が過熱されて変性されることが防止される。一部の適用では、部分32が加熱される温度は、部分32の性質に依存する。例えば、高レベルの灌流のある腎臓組織の変性には、肺組織の変性のために必要とされるよりも高い温度まで組織を加熱することが必要とされる。
【0098】
一部の適用では、相変化材料22は、ペレットおよび/またはゲルの形態で、部分32の近傍および/または埋め込み可能な要素20の近傍において組織に入れられる。
【0099】
一部の適用では、炭素または黒鉛等のエネルギー吸収要素36が部分32中に挿入され、加熱デバイス30からのエネルギーを効率的に吸収して温度上昇を起こすことにより、組織の加熱を促進する。
【0100】
一部の適用では、埋め込み可能な要素20は、後述するように、相変化材料22に結合される。埋め込み可能な要素および相変化材料は、部分32の近傍において埋め込まれる。加熱デバイス30は埋め込み可能な要素を加熱し、それと同時に、相変化材料は、埋め込み可能な要素の温度が所与の温度を上回って上昇するのを防止する。一部の適用では、部分32に対して特定の埋め込み位置で埋め込み可能な要素を埋め込むことで、該部分に向けて熱を方向付けることが促進される。
【0101】
ここで図2Aを参照する。図2Aは、本発明の一部の適用に従う、相変化分子のクラスター42に結合した糖分子(例、グルコース分子40)を有するがん治療物質の略図である。該物質は、例えば経口的にまたは注射により、対象に投与される。がん細胞によるグルコース分子の優先的な取り込みに起因して、周囲組織の正常細胞よりもがん細胞44がより多くの該物質を吸収するように該物質は構成されている。がん細胞によるグルコース分子の優先的な取り込みは、背景技術において上述し、かつ"Cancer's Molecular Sweet Tooth and the Warburg Effect", Kim et al., Cancer Res 2006; 66: (18). September 15, 2006(これは、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されているワールブルグ効果に基づく。("Fluorodeoxyglucose"というタイトルのウィキペディアの記事(これは、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されているように、がん細胞によるグルコース分子の優先的な取り込みの原理は、ある種のPET−CTイメージングプロトコルの基礎となっている。)
【0102】
一部の適用では、相変化分子をグルコース分子40に結合するために、当該技術分野で公知の手法が使用される。例えば、以下の論文(これらは、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載の手法に基づく手法が使用され得る:(a)"Lipase-catalysed synthesis of glucose fatty acid esters in tert-butanol", Degn et al., Biotechnology Letters 21: 275-280, 1999、および(b)"Optimization of Carbohydrate Fatty Acid Ester Synthesis in Organic Media by a Lipase from Candida Antarctica", Degn et al., Biotechnology and Bioengineering, Vol. 74, No. 6, September 20, 2001。
【0103】
ここで図2Bを参照する。図2Bは、本発明の一部の適用に従う、グルコース分子40を介してがん細胞44の膜46に結合している相変化分子のクラスター42の略図である。典型的には、グルコース分子40は、グルコースチャネル48を介して、がん細胞44の膜46を少なくとも部分的に貫通する。更に典型的には、相変化分子のクラスターは細胞膜を貫通できないが、グルコース分子に結合したままであるため、細胞膜に結合される。(相変化分子のクラスター42の大きさに起因して相変化分子42はグルコースチャネル48を貫通できないことを図2Bは示しているが、本発明の範囲には、別の理由によりグルコースチャネルを貫通できない相変化分子のクラスターを使用することが含まれる。)
【0104】
相変化分子のクラスター42が膜46に結合している間に、エネルギーががん細胞44に対して向けられる。例えば、エネルギー伝達ユニット50が、がん細胞が位置する身体の領域を照射する。一部の適用では、がん細胞は相変化分子の相変化温度まで加熱される。一部の適用では、相変化分子は、該分子全ての相変化(例、固体から液体)を伴うことなく熱を吸収し、熱は相変化の融解潜熱として吸収される。典型的には、相変化分子が相変化温度まで加熱されると、相変化分子および相変化分子の近傍の温度は実質的に一定のままである。更に典型的には、エネルギー伝達ユニットは、相変化温度よりも高い温度まではクラスターを加熱しない。一部の適用では、エネルギー伝達ユニットは、クラスターの温度の指示値に反応してエネルギーの伝達を中止する。例えば、エネルギー伝達ユニットは、公知の手法を使用してクラスターの温度を感知し、感知された温度に反応してエネルギーの伝達を中止してもよい。代替的または付加的には、エネルギー伝達ユニットは、エネルギーの伝達の持続期間に反応してエネルギーの伝達を中止する、即ち、該ユニットは、所与の時間後にエネルギーの伝達を中止する。
【0105】
典型的には、相変化分子の加熱はがん細胞を加熱し、それによりがん細胞を殺す。一部の適用では、がん細胞は、相変化分子の共鳴周波数である周波数で照射される。一部の適用では、クラスター42の加熱はクラスターを振動させる。クラスター42が細胞膜46に結合している間、該クラスターの振動はがん細胞の膜の破裂を惹起し、それによりがん細胞を殺す。
【0106】
一部の適用では、相変化分子の加熱のがんに対する効果は、表3に従うものである。これは、Thomsenによる"Pathologic analysis of photothermal and photomechanical effects of laser-tissue interactions" (Photochem Photobiol. 1991 Jun;53(6):825-35)というタイトルの論文(これは、参照することにより本明細書に組み込まれる)に見られるものである。
【0107】
【表3−1】

【0108】
【表3−2】

【0109】
典型的には、上述したように、がん細胞44が位置する対象の身体の領域は、相変化分子の相変化温度まで加熱される。一部の適用では、45C〜60Cまたは60C〜80Cの相変化温度を有する相変化分子がクラスター42において使用される。更に典型的には、主にがん細胞に接触しているまたはがん細胞の非常に近くにある相変化材料分子の共鳴周波数となるように照射は選択されるため、加熱の間、正常細胞は相変化分子程は熱を吸収しない。
【0110】
一部の適用では、がん組織の転移が疑われるときに、該がん治療物質が対象に投与される。次いで、がんが転移した可能性がある対象の身体の領域に対してエネルギーが向けられる。がん細胞が該領域に存在すれば、相変化材料分子は、エネルギーを優先的に吸収し、がん細胞は殺され、一方で正常細胞は概して無傷なままとなる。(これらの適用の使用には、多くのがん細胞を殺すのと共にいくらかの正常細胞を殺すことが含まれ得る。)一部の適用では、がん組織の転移が疑われるときに、該物質の対象への投与後、対象の全身にエネルギーが照射され、エネルギーはクラスターによって優先的に吸収される。上述したように、がん細胞への相変化分子の結合に起因して、がん細胞が選択的に加熱され、殺される。
【0111】
一部の適用では、本明細書に記載の方法は、例えばCTおよび/またはMRIイメージングプロトコルを使用して対象をイメージングしている間に、対象に適用される。一部の適用では、該物質が対象に投与され、対象の身体(またはその領域)がエネルギーを照射され、エネルギーは、上述したように、クラスターにより優先的に吸収される。対象の身体が照射されている間、対象の身体のどの領域(がん細胞を含む)が加熱されたかを検出するために、対象の身体は熱感応性のイメージングプロトコルを使用して(例えば、MRIを使用して)イメージングされる。
【0112】
本発明の各適用によれば、クラスター42において使用するための相変化分子を選択するための選択基準として、相変化分子の熱力学的、速度論的、および化学的性質が挙げられる。一部の適用では、相変化分子は、所与の熱力学的性質を有するように選択され、該性質としては、所望の作動温度範囲における融解温度、単位体積当たりの高い融解潜熱、高い比熱、高い密度、高い熱伝導率、相変態時の小さい体積変化、作動温度における小さい蒸気圧、および/または一致融解(コングルエント融解)等である。一部の適用では、相変化分子は、所与の速度論的性質を有するように選択され、該性質としては、高い核形成速度、および/または高い結晶成長速度等である。一部の適用では、相変化分子は、所与の化学的性質を有するように選択され、該性質としては、化学的安定性、多くの相変化サイクル後に分子が分解せずに相変化サイクルが可逆的であること、非腐食性、および/または無毒性等である。
【0113】
一部の適用では、有機相変化材料分子がクラスター42のために使用される。例えば、パラフィンおよび/または脂肪酸分子がクラスター42において使用され得る。一部の適用では、有機分子がクラスター42において使用される。有機相変化分子は、実質的な超冷却なく凍結し、一致融解することができ、自己核形成する性質を有し、分離せず、化学的に安定であり、融解熱が高く、かつ/または異なる理由があるためである。
【0114】
一部の適用では、以下の相変化分子の1以上がクラスター42において使用される:オクタデカン(CAS番号593-45-3)、ラウリン酸(CAS No: 143-07-7)、ミリスチン酸(CAS No: 544-63-8)、パルミチン酸(CAS No: 57-10-3)、ヘプタデカン酸(CAS No: 506-12-7)、ステアリン酸(CAS No: 57-11-4)、アラキジン酸(CAS No: 506-30-9)、ベヘン酸(Cas No: 112-85-6)トリメチロールエタン(CAS No:77-85-0)、ステアラミン(オクタデシルアミン)(Sigma-74750)、セチラミン(ヘキサデシルアミン)(Sigma-445312)。
【0115】
一部の適用では、表1および/または表2(両方の表は上に示されている)に見られる相変化材料の1以上がクラスター42の相変化材料として使用される。典型的には、相変化材料は、相変化材料の相変化温度に基づいて、相変化材料として選択される。一部の適用では、他の融解温度および対応する材料が使用される。
【0116】
一部の適用では、以下の有機相変化材料の1以上が相変化材料42のために使用される:原油、フィッシャー・トロプシュ法により製造されたパラフィン、および飽和、不飽和、直線または分岐の炭素鎖分子を有する有機材料。相変化材料は、例えば、トリラウリン、トリミリスチン、トリパルミチン、トリステアリン、および/または任意の好適な種類のパラフィンもしくはパラフィンワックスを有し得る。
【0117】
相変化材料の融解温度は、典型的には、45C〜60Cまたは60C〜80Cである。相変化材料が起こす相変化は、典型的には、固体から液体、固体からゲル、またはゲルから液体である。
【0118】
ここで図3を参照する。図3は、本発明の一部の適用に従って実施されたコントロール実験において加熱された、5つの組織片の実験結果を示すグラフである。各13グラムの重さの5つの組織片を、シチメンチョウの肝臓、ニワトリの胸、または仔ウシの肝臓のいずれかから切除した。マウントピンを用いて、RF発生器から55mmの距離において組織片をポリスチレンボード上にそれぞれマウントした。いくらかの時間間隔:30秒、50秒、80秒、および100秒の間、RF発生器により各組織片を照射した。組織照射の直後に、k型熱電対を用いて各組織片の温度を測定した。組織照射後の組織の最大温度を表4に示し、図3のグラフにプロットしている。周囲温度は24.2C〜25Cであった。組織片(the pieces)の照射は、以下のプロトコルに従って行った:
組織片1 − RFエネルギーを特定の領域に集中させ、組織の周辺部分への損傷を低減するために、40mmのリフレクターをRF発生器に取り付けた。
組織片2 − 30mmのリフレクターをRF発生器に取り付けた。
組織片3 − RF発生器にリフレクターは取り付けなかった。
組織片4 − RF発生器にリフレクターは取り付けなかった。炭素シリンダー(各シリンダーは、0.9mmの直径、20mm〜40mmの長さを有する)を10mm間隔で組織内に挿入した。
組織片5 − RF発生器にリフレクターは取り付けなかった。炭素シリンダー(各シリンダーは、2mmの直径、20mm〜40mmの長さを有する)を10mm間隔で組織内に挿入した。
【0119】
【表4−1】

【0120】
【表4−2】

【0121】
図3に見られるように、組織中に炭素シリンダーを使用することで、組織の加熱が加速され、また、直径2mmのシリンダーは、直径0.9mmのシリンダーよりも迅速な加熱を惹起する。なお、0.3mm、0.5mm、および0.7mmの直径を有するより小さい炭素シリンダーを組織に挿入し、組織を加熱する実験をコントロール群に対して行った。これらのより小さい炭素シリンダーは、組織の加熱に殆ど効果がないことが観察された。このことは、最小サイズ(例、直径0.9mm)よりも小さい炭素シリンダーは、組織内に配置されたときに、良好なRFエネルギー吸収体ではないことを示す。また、リフレクターの使用は組織の加熱を遅らせ、より大きいリフレクターは、より小さいリフレクターよりも加熱を遅らせる。
【0122】
ここで図4を参照する。図4は、本発明の一部の適用に従う、相変化材料を入れられ、加熱された4つの組織片の実験結果を示すグラフである。各13グラムの重さの4つの組織片を、シチメンチョウの肝臓、ニワトリの胸、または仔ウシの肝臓のいずれかから切除した。マウントピンを用いて、RF発生器から55mmの距離において組織片をポリスチレンボード上にそれぞれマウントした。40mmのリフレクターをRF発生器に取り付け、いくらかの時間間隔:30秒、50秒、80秒、100秒、および180秒の間、該発生器により各組織片を照射した。組織照射後の組織の最大温度をk型熱電対を用いて測定した。その結果を表5に示し、図4のグラフにプロットしている。周囲温度は24.2C〜25Cであった。組織片の照射は、以下のプロトコルに従って行った:
組織片1 − 0.8gのトリラウリン、0.1gのTween80、0.16gのレシチンEpikuron200、および20gの水を含むトリラウリンベースの混合物5ccを組織片に入れた。
組織片2 − 0.8gのトリミリスチン、0.1gのTween80、0.16gのレシチンEpikuron200、および20gの水を含むトリミリスチンベースの混合物5ccを組織片に入れた。
組織片3 − 0.8gのトリパルミチン、0.1gのTween80、0.16gのレシチンEpikuron200、および20gの水を含むトリパルミチンベースの混合物5ccを組織片に入れた。
組織片4 − 0.8gのトリステアリン、0.1gのTween80、0.16gのレシチンEpikuron200、および20gの水を含むトリステアリンベースの混合物5ccを組織片に入れた。
【0123】
【表5−1】

【0124】
【表5−2】

【0125】
相変化材料の使用は、エネルギーの継続的な適用の間の安定な最大組織温度の期間を長期化させることが図4に見られる。
【0126】
ここで図5を参照する。図5は、本発明の一部の適用に従う、相変化材料を入れられ、炭素シリンダーが挿入された4つの組織片の実験結果を示すグラフである。各13グラムの重さの4つの組織片を、シチメンチョウの肝臓、ニワトリの胸、または仔ウシの肝臓のいずれかから切除した。炭素シリンダー(各シリンダーは、0.9mmの直径、20mm〜40mmの長さを有する)を10mm間隔で各組織片に挿入した。マウントピンを用いて、RF発生器から55mmの距離において組織片をポリスチレンボード上にそれぞれマウントした。40mmのリフレクターをRF発生器に取り付けた。いくらかの時間間隔の間、各組織片を加熱した。それらの各時間間隔後の各組織片内で測定された最大温度をk型熱電対を用いて測定した。それを表6に示し、図5のグラフにプロットしている。周囲温度は24.2C〜25Cであった。組織片の照射は、以下のプロトコルに従って行った:
組織片1 − 0.8gのトリラウリン、0.1gのTween80、0.16gのレシチンEpikuron200、および20gの水を含むトリラウリンベースの混合物5ccを組織片に入れた。30秒、50秒、および180秒の時間間隔の間、組織片を加熱した。
組織片2 − 0.8gのトリミリスチン、0.1gのTween80、0.16gのレシチンEpikuron200、および20gの水を含むトリミリスチンベースの混合物5ccを組織片に入れた。30秒、50秒、および180秒の時間間隔の間、組織片を加熱した。
組織片3 − 0.8gのトリパルミチン、0.1gのTween80、0.16gのレシチンEpikuron200、および20gの水を含むトリパルミチンベースの混合物5ccを組織片に入れた。30秒、50秒、80秒、および180秒の時間間隔の間、組織片を加熱した。
組織片4 − 0.8gのトリステアリン、0.1gのTween80、0.16gのレシチンEpikuron200、および20gの水を含むトリステアリンベースの混合物5ccを組織片に入れた。30秒、50秒、80秒、100秒、および180秒の時間間隔の間、組織片を加熱した。
【0127】
【表6−1】

【0128】
【表6−2】

【0129】
図5に見られるように、トリラウリンベースの混合物を入れた組織片は、その相変化温度に迅速に達し、実験の間中、この温度を維持した。他の相変化材料を入れた組織片は、それらの各相変化温度に達するにはいくらか長い時間がかかったが、同様に実験の間中、それらの各相変化温度において温度を維持した。
【0130】
以下の点が図3〜5のグラフにより示される実験結果から観察され得る:
(a)組織へ相変化材料を入れることにより、かなりの期間、組織が所与の温度を上回って加熱されることを抑止できる。この時間の間、相変化材料は相変化の融解潜熱として熱エネルギーを吸収する。
(b)炭素シリンダーの直径が最小の直径(例、0.9mm)よりも大きければ、組織への炭素シリンダーの挿入により、他の条件が同一の下で、所与の温度まで組織を加熱するために必要とされる時間の長さが短縮される。なお、黒鉛や金属等の良好なエネルギー吸収体である他の材料が、所与の温度まで組織を加熱するために必要とされる時間の長さを短縮するために使用され得る。
【0131】
従って、上述したように、本発明の一部の適用では、相変化材料が対象の組織に挿入され、それにより、所与の温度までの組織の加熱が促進され、かつ該組織が該所与の温度を上回って加熱されることが抑止される。一部の適用では、エネルギー吸収要素36が対象の組織に挿入されて、例えば、上述したように、加熱デバイスからのエネルギーを組織へ引き出すことにより、組織の加熱を促進する。典型的には、生体適合性であり、かつ組織のイメージング(例、X線またはMRIイメージング)の間にアーチファクトを示さないエネルギー吸収体(炭素または黒鉛シリンダー等)が組織に挿入される。一部の適用では、少なくとも0.9mmの直径をそれぞれ有する炭素シリンダーが組織に挿入される。一部の適用では、埋め込み可能な生体適合性金属(ニチノール、ステンレス鋼、コバルト、および/またはクロム等)がエネルギー吸収要素として使用される。
【0132】
一部の適用では、相変化分子のクラスターに向けてエネルギーが伝達され、該クラスターは分子(グルコース分子等)に結合し、該分子はがん細胞に結合している。エネルギーが相変化分子のクラスターに当たるのに反応して、相変化分子が配置されている領域の温度が上昇するが、相変化分子の相変化温度を上回っては上昇しない。これは、相変化温度において、該領域に向けて伝達される熱が相変化分子により潜熱として吸収されるためである。相変化分子の加熱は、典型的には、がん細胞を加熱し、それによりがん細胞を殺す。
【0133】
ここで図6を参照する。図6は、対象の身体の一部分(例えば対象の血管70)内に埋め込まれた埋め込み可能な要素60の略図である。該要素は、ある変態温度を有する形状記憶材料を有する。形状記憶材料が第1の形状にあるときに、埋め込み可能な要素は該血管に対して第1の治療機能を実行する。エネルギー付与装置72は、形状記憶材料の温度を変態温度まで上昇させることにより、形状記憶材料を第1の形状から第2の形状へ変化させる。エネルギー付与装置72がもはや埋め込み可能な要素60へエネルギーを適用しなくなった後であっても第2の形状は維持され、かつ埋め込み可能な要素70の温度は体温に戻る。形状記憶材料が第2の形状にあるときに、埋め込み可能な要素は、第1の治療機能とは質的に異なる第2の治療機能を該部分に対して実行する。
【0134】
典型的には、エネルギー付与装置72は当該技術分野で公知のエネルギー付与装置であり、例えば、RF発生器、超音波振動子、および/または磁場発生器である。更に典型的には、要素60は、当該技術分野で公知の形状記憶材料を含み、該材料としては、例えば、ニチノール、銅−亜鉛−アルミニウム−ニッケル、および/または銅−アルミニウム−ニッケルである。
【0135】
ここで図7A−Bを参照する。図7A−Bは、本発明の一部の適用に従う、第1および第2の構造の各々にある埋め込み可能な要素60の略図である。一部の適用では、埋め込み可能な要素60はステントであり(示されているように)、ステントは、図7Aに示されるように、血管を開きかつ/または広げるために、その第1の構造において、狭窄した血管70を支持する。埋め込み可能な要素60は、典型的には、ステントの所望の効果が達成されるまで、長期間(例、週もしくは月、または異なる期間)その第1の構造に維持される。その後、エネルギー付与装置72は、ステントの形状変化材料の変態温度までステントの温度を上昇させ、ステントの形状は、図7Bに示されるように、ベンチュリ管の形状(即ち、ステントの中央部分が狭窄している)に変化する。
【0136】
一部の適用では、ステントが第2の構造にあるときに、ステントは、血管70の制御された狭窄を惹起し、血管壁の領域73はステントの外壁に向けて入り込む。血管の狭窄の結果、領域73の上流の血流(矢印78により示される)は妨げられる。妨げられた血流の感知に反応して、身体は、領域73の狭窄部を回避する新たな血管80(正確な縮尺ではない)を生成する。新たな血管が生成されたとき、血液は矢印82の方法に新たな血管を通じて流れる。埋め込まれたベンチュリステントに対する身体のこの一般的な生理的反応は、Ben MuvharのPCT公開公報第WO 03/028522号(これは、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0137】
本発明の一部の適用では、形状記憶材料を含むステントが対象の脳動脈(例えば、対象の大脳動脈)に埋め込まれる。動脈を開きかつ/または広げるために、ステントは、その第1の構造において、動脈を支持する。その後、ステントの温度がステントの形状記憶材料の変態温度まで上昇され、ステントの膨張が惹起される。膨張したステントは、血液脳関門の細胞間間隙を増加させることにより、対象の血液脳関門を越えた薬物送達を促進するために使用される。
【0138】
本発明の更なる適用では、形状記憶材料を含むステントが、食道腫瘍の近傍において対象の食道に埋め込まれる。腫瘍の近傍において食道を開くために、ステントは、その第1の構造において、食道を支持する。典型的には、ステントは、その第1の構造において食道に配置されている間に、食道を通じて蠕動を促進するのに十分である程度の柔軟性を有するように構成されている。その後、ステントの温度がステントの形状記憶材料の変態温度まで上昇され、ステントの膨張が惹起される。典型的には、ステントは、腫瘍が対象による食物の摂取を妨げる大きさまで成長したことに反応して、医療専門家により膨張される。膨張したステントは腫瘍を押し戻し、それにより食道を広げる。
【0139】
本発明の範囲には、伸長を必要とする対象の骨(例えば、骨手術後の骨)に埋め込まれる形状記憶材料が含まれる。形状記憶材料は、外科的に骨に結合される。その後(例えば、埋め込みの1日、1週間、または1ヶ月後)、形状記憶材料の温度が上昇され、形状記憶材料の膨張が惹起され、そして結果として、骨の伸長が惹起される。骨の伸長期間の間に形状記憶材料を繰り返し加熱することにより(例えば、毎日、毎週もしくは毎月1回、または必要に応じて)、形状記憶材料は更に膨張される。
【0140】
ここで図8A−Bを参照する。図8A−Bは、本発明の一部の適用に従う薬物ポンプの一部分90の略図である。部分90は、薬物チャンバ92、形状記憶材料94、およびセパレータ96(例、形状記憶材料と薬物チャンバとを分離するピストン)を有する。一部の適用では、所与の量の薬物98をチャンバ92から放出するために、形状記憶材料は、所与の期間、その変態温度まで加熱される。変態温度(例、40〜60Cの温度)まで形状記憶材料を加熱すると、図8Bに示すように、形状記憶材料は、形状変化を起こすため、膨張し、そして所与の距離にわたってセパレータ96を前進させることにより、所与の量の薬物が放出される。
【0141】
一部の適用では、形状記憶材料の加熱は、形状記憶材料が完全に形状変化を起こす前に終了される。より多くの薬物の投与のために、その後の相互作用において、形状記憶材料はその変態温度まで再び加熱され、それにより、形状記憶材料は、続けて形状変化を起こすため、更なる膨張が惹起され、より多くの薬物が放出される。
【0142】
典型的には、例えばRF発生器、超音波振動子、および/または磁場発生器を用いて形状記憶材料を照射することにより、エネルギーは形状記憶材料94に適用される。更に典型的には、形状記憶材料94は当該技術分野で公知の形状記憶材料であり、例えば、ニチノール、銅−亜鉛−アルミニウム−ニッケル、および/または銅−アルミニウム−ニッケルである。一部の適用では、形状記憶材料は、形状記憶材料が加熱される各相互作用において、5%〜25%(例、8%〜12%)だけ膨張する。
【0143】
一部の適用では、部分90は、当該技術分野で公知の埋め込み可能な薬物ポンプの一部分を有する。一部の適用では、部分90は、糖尿病の対象にインスリンを投与するために使用される。代替的または付加的には、該部分は、がんに罹患している対象に化学療法剤を投与するために使用される。
【0144】
本発明は上記に具体的に示し説明したものに限定されないことが当業者により理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲には、上述した様々な特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせの両方、ならびに先行技術にはない、上記の説明を読んだ当業者が想起するであろうそれらの変形および改良が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
がん細胞および正常細胞を有する対象のがん細胞を殺すための装置であって、該装置は、
複数の第1の分子を有し、該第1の分子は、該対象に投与されたことに反応して、正常細胞に対してよりも大きい程度でがん細胞に結合するように構成されており、
複数の、相変化分子のクラスターを有し、該クラスターの各々は、該第1の分子のそれぞれ1つに結合しており、かつ
エネルギー伝達ユニットを有し、該エネルギー伝達ユニットは、該クラスターを選択的に加熱するエネルギーを該クラスターに向けて伝達することにより、該第1の分子に結合したがん細胞を加熱することによって該がん細胞を殺すように構成されている、
前記装置。
【請求項2】
該エネルギー伝達ユニットが、該がん細胞を加熱することにより該がん細胞の膜を破裂させるように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
該エネルギー伝達ユニットが、該相変化分子の融解温度まで該クラスターを加熱するように構成されており、かつ該相変化分子が、該クラスターが加熱されたことに反応して融解潜熱を吸収するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
該エネルギー伝達ユニットが、該相変化分子の共鳴周波数においてエネルギーを伝達するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項5】
該相変化分子がパラフィン分子を有する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
該相変化分子が有機相変化分子を有する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
該エネルギー伝達ユニットが、該クラスターが加熱されたことに反応して該クラスターの各々における該相変化分子の全体より少ない部分が該選択される相変化を起こすように、該クラスターを加熱するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項8】
該第1の分子がグルコース分子を有する、請求項1記載の装置。
【請求項9】
該相変化分子のクラスターの相変化温度が60〜80Cである、請求項1記載の装置。
【請求項10】
該相変化分子のクラスターの相変化温度が45〜60Cである、請求項1記載の装置。
【請求項11】
該エネルギー伝達ユニットが、該クラスターが加熱されたことに反応して該クラスターの温度が該相変化分子の相変化温度を上回っては上昇しないように、該クラスターを加熱するように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
該エネルギー伝達ユニットが、該クラスターの温度の指示値に反応して該エネルギーの伝達を中止するように構成されている、請求項11記載の装置。
【請求項13】
該エネルギー伝達ユニットが、該クラスターの温度を感知し、かつ該感知した温度に反応して該エネルギーの伝達を中止するように構成されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
該エネルギー伝達ユニットが、該エネルギーの伝達の持続期間に反応して該エネルギーの伝達を中止するように構成されている、請求項12記載の装置。
【請求項15】
がん細胞および正常細胞を有する対象のがん細胞を殺すための方法であって、該方法は、
複数の第1の分子を該対象に投与することを有し、該第1の分子の各々には相変化分子のクラスターが結合しており、該第1の分子は、正常細胞に対してよりも大きい程度でがん細胞に結合するように構成されており、かつ
該クラスターを選択的に加熱するエネルギーを該クラスターに向けて伝達することによって該がん細胞を加熱することにより、該がん細胞を殺すことを有する、
前記方法。
【請求項16】
該がん細胞を加熱することが、該がん細胞の膜を破裂させることを有する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
エネルギーを該クラスターに向けて伝達することが、該がん細胞が転移した可能性がある複数部位を照射することを有する、請求項15記載の方法。
【請求項18】
エネルギーを該クラスターに向けて伝達することが、該相変化分子の融解温度まで該クラスターを加熱すること、および、該クラスターが加熱されたことに反応して該相変化分子が融解潜熱を吸収するのを惹起することを有する、請求項15記載の方法。
【請求項19】
エネルギーを該クラスターに向けて伝達することが、該相変化分子の相変化温度を上回って該相変化分子を加熱することを回避することを有する、請求項15記載の方法。
【請求項20】
該クラスターを選択的に加熱するエネルギーを該クラスターに向けて伝達することが、該相変化分子の共鳴周波数においてエネルギーを伝達することを有する、請求項15記載の方法。
【請求項21】
エネルギーを該クラスターに向けて伝達することが、該相変化分子の全体より少ない部分の相を変化させることを有する、請求項15記載の方法。
【請求項22】
エネルギーを該クラスターに向けて伝達することが、45Cおよび60Cの温度まで該クラスターを加熱することを有する、請求項15記載の方法。
【請求項23】
エネルギーを該クラスターに向けて伝達することが、60Cおよび80Cの温度まで該クラスターを加熱することを有する、請求項15記載の方法。
【請求項24】
エネルギーを該クラスターに向けて伝達する間に該対象をイメージングすることを更に有する、請求項15〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
該対象をイメージングすることが、熱感応性のイメージングプロトコルを使用して該がん細胞をイメージングすることを有する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
装置であって、該装置は、
埋め込み可能な要素を有し、該要素は、対象の身体内に埋め込まれるように構成されており、かつ、
相変化材料を有し、該相変化材料は、
該要素の近傍において該対象の身体内に埋め込まれるように構成されており、かつ、
該要素が加熱されたことに反応して、ワックスから液体、固体から液体、固体からゲル、およびゲルから液体からなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を吸収することにより、該要素から熱を吸収するように構成されている、
前記装置。
【請求項27】
該相変化材料の全体よりも少ない部分が、該要素が加熱されたことに反応して、該選択される相変化を起こすように構成されている、請求項26記載の装置。
【請求項28】
該相変化材料がパラフィンを有する、請求項26記載の装置。
【請求項29】
該相変化材料が有機相変化材料を有する、請求項26記載の装置。
【請求項30】
該埋め込み可能な要素がステントを有する、請求項26記載の装置。
【請求項31】
該相変化材料が、該要素が電磁場に暴露されることにより加熱されたことに反応して、該要素から熱を吸収するように構成されている、請求項26記載の装置。
【請求項32】
該相変化材料の相変化温度が4.5C〜145Cである、請求項26〜31のいずれか1項記載の装置。
【請求項33】
該相変化材料の相変化温度が45C〜60Cである、請求項32記載の装置。
【請求項34】
該相変化材料の相変化温度が60C〜80Cである、請求項32記載の装置。
【請求項35】
該相変化材料が、該埋め込み可能な要素の埋め込みとは別の埋め込み工程において埋め込まれるように構成されている、請求項26〜31のいずれか1項記載の装置。
【請求項36】
該相変化材料が、該埋め込み可能な要素および該相変化材料が該対象の身体内に埋め込まれているときに、該埋め込み可能な要素に付かないように構成されている、請求項35記載の装置。
【請求項37】
該相変化材料および該埋め込み可能な要素が、単一の埋め込み工程において埋め込まれるように構成されている、請求項26〜31のいずれか1項記載の装置。
【請求項38】
該相変化材料が、該埋め込み可能な要素を被覆するコーティングを有する、請求項37記載の装置。
【請求項39】
該相変化材料が、該埋め込み可能な要素内に配置されている、請求項37記載の装置。
【請求項40】
該埋め込み可能な要素が中空の空間を規定し、かつ該相変化材料が該中空の空間内に配置されている、請求項39記載の装置。
【請求項41】
方法であって、該方法は、
対象の身体内に相変化材料を配置すること、および
該対象の身体内の該相変化材料を加熱することにより、該相変化材料が、ワックスから液体、固体から液体、固体からゲル、およびゲルから液体からなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を吸収するのを惹起すること
を有する、前記方法。
【請求項42】
該相変化材料が融解潜熱を吸収するのを惹起することが、該相変化材料を加熱することにより、該相変化材料の該相変化材料の全体よりも少ない部分が該選択される相変化を起こすのを惹起することを有する、請求項41記載の方法。
【請求項43】
該相変化材料が融解潜熱を吸収するのを惹起することが、該相変化材料が該相変化材料の近傍における該対象の身体の一部分から熱を吸収するのを惹起することを有する、請求項41記載の方法。
【請求項44】
該相変化材料が融解潜熱を吸収するのを惹起することが、4.5C〜145Cの温度まで該相変化材料を加熱することを有する、請求項41〜43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
該相変化材料が融解潜熱を吸収するのを惹起することが、45C〜60Cの温度まで該相変化材料を加熱することを有する、請求項44記載の方法。
【請求項46】
該相変化材料が融解潜熱を吸収するのを惹起することが、60C〜80Cの温度まで該相変化材料を加熱することを有する、請求項44記載の方法。
【請求項47】
生体適合性のエネルギー吸収要素を該対象の身体内に埋め込むことを更に有し、該相変化材料を加熱することが、該エネルギー吸収要素を加熱することを有する、請求項41〜43のいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
該エネルギー吸収要素が、少なくとも0.9mmの直径を有する炭素シリンダーを有しており、かつ該相変化材料を加熱することが該炭素シリンダーを加熱することを有する、請求項47記載の方法。
【請求項49】
該エネルギー吸収要素が生体適合性金属を有し、かつ該相変化材料を加熱することが該生体適合性金属を加熱することを有する、請求項47記載の方法。
【請求項50】
埋め込み可能な要素を該対象の身体内に埋め込むことを更に有し、該相変化材料を加熱することが、該埋め込まれた要素から該相変化材料が熱を吸収するのを惹起することを有する、請求項41〜43のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
該対象の身体内に相変化材料を配置することが、該埋め込み可能な要素を該対象の身体内に配置することを有し、該相変化材料が該埋め込み可能な要素に結合している、請求項50記載の方法。
【請求項52】
該対象の身体内に相変化材料を配置することが、該埋め込み可能な要素を該対象の身体内に配置することを有し、該相変化材料が該埋め込み可能な要素内にある、請求項51記載の方法。
【請求項53】
装置であって、該装置は、
加熱デバイスを有し、該加熱デバイスは、対象の身体の一部分を加熱するように構成されており、かつ
相変化材料を有し、該相変化材料は、
該部分の近傍において該対象の身体内に配置されるように構成されており、かつ
該対象の身体の一部分が加熱されたことに反応して、ワックスから液体、固体から液体、固体からゲル、およびゲルから液体からなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を吸収することにより、該部分の該近傍から熱を吸収するように構成されている、
前記装置。
【請求項54】
該相変化材料の全体よりも少ない部分が、該部分が加熱されたことに反応して、該選択される相変化を起こすように構成されている、請求項53記載の装置。
【請求項55】
該相変化材料がパラフィンを有する、請求項53記載の装置。
【請求項56】
該相変化材料が有機相変化材料を有する、請求項53記載の装置。
【請求項57】
該相変化材料が、該部分の該近傍において該対象の身体内に入れられるように構成されたゲルを有する、請求項53記載の装置。
【請求項58】
該相変化材料が、該部分の該近傍において該対象の身体内に入れられるように構成された固体ペレットを有する、請求項53記載の装置。
【請求項59】
該相変化材料の相変化温度が4.5C〜145Cである、請求項53〜58のいずれか1項記載の装置。
【請求項60】
該相変化材料の相変化温度が45C〜60Cである、請求項59記載の装置。
【請求項61】
該相変化材料の相変化温度が60C〜80Cである、請求項59記載の装置。
【請求項62】
エネルギー吸収要素を更に有し、該エネルギー吸収要素が、該部分内に埋め込まれるように、および該加熱デバイスからのエネルギーを吸収するように構成されている、請求項53〜58のいずれか1項記載の装置。
【請求項63】
該エネルギー吸収要素が、少なくとも0.9mmの直径を有する炭素シリンダーを有する、請求項62記載の装置。
【請求項64】
該エネルギー吸収要素が生体適合性金属を有する、請求項62記載の装置。
【請求項65】
装置であって、該装置は、
埋め込み可能な要素を有し、該要素は、対象の身体内に埋め込まれるように構成されており、かつ
相変化材料を有し、該相変化材料は、
該要素の近傍において該対象の身体内に埋め込まれるように構成されており、かつ
該要素が冷却されたことに反応して、液体からワックス、液体から固体、ゲルから固体、および液体からゲルからなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を放出するように構成されている、
前記装置。
【請求項66】
方法であって、該方法は、
対象の身体内に相変化材料を配置すること、および
該対象の身体内の該相変化材料を冷却することにより、該相変化材料が、液体からワックス、液体から固体、ゲルから固体、および液体からゲルからなる群から選択される該相変化材料の相変化に起因する融解潜熱を放出するのを惹起すること
を有する、前記方法。
【請求項67】
対象の身体の一部分で使用するための装置であって、該装置は、
埋め込み可能な要素を有し、該埋め込み可能な要素は、ある変態温度を有する形状記憶材料を有し、該埋め込み可能な要素は、該部分に埋め込まれるように、および、該形状記憶材料が第1の形状にあるときであって、かつ該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間に、該部分に対して第1の治療機能を実行するように構成されており、かつ
エネルギー付与装置を有し、該エネルギー付与装置は、該形状記憶材料の温度を該変態温度まで上昇させることにより、該形状記憶材料を該第1の形状から第2の形状に変化させるように構成されており、
該埋め込み可能な要素は、該形状記憶材料が該第2の形状にあるときであって、かつ該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間に、該部分に対して、該第1の治療機能とは質的に異なる第2の治療機能を実行するように構成されている、
前記装置。
【請求項68】
該形状記憶材料が該第1の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素が円筒状のステントの形状である、請求項67記載の装置。
【請求項69】
該形状記憶材料が該第2の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素がベンチュリ管の形状である、請求項68記載の装置。
【請求項70】
対象の身体の一部分で使用するための方法であって、該方法は、
埋め込み可能な要素を該部分に埋め込むことを有し、
該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間に、該埋め込み可能な要素を使用して該部分に対して第1の治療機能を実行することを有し、該埋め込み可能な要素は、ある変態温度を有する形状記憶材料を有しており、該形状記憶材料は、該第1の治療機能の実行の間、第1の形状にあり、
該形状記憶材料の温度を該変態温度まで上昇させることにより、該形状記憶材料を該第1の形状から第2の形状に変化させることを有し、かつ
該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間であって、かつ該形状記憶材料が該第2の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素を使用して該部分に対して第2の治療機能を実行することを有する、
前記方法。
【請求項71】
該第1の治療機能を実行することが該対象の血管を開くことを有し、該形状記憶材料が該第1の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素が円筒状のステントの形状である、請求項70記載の方法。
【請求項72】
該第2の治療機能を実行することが、該埋め込み可能な要素の近位の血管部分において血圧を上昇させることを有し、該形状記憶材料が該第2の形状にあるときに、該埋め込み可能な要素がベンチュリ管の形状である、請求項71記載の方法。
【請求項73】
対象の身体の一部分で使用するための方法であって、該方法は、
埋め込み可能な要素を該部分に埋め込むことを有し、
該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間に、該埋め込み可能な要素を使用して該部分に対して第1の治療機能を実行することを有し、該埋め込み可能な要素は、該第1の治療機能を実行している間、第1の機械的構造にあり、
該埋め込み可能な要素の温度を上昇させることにより、該埋め込み可能な要素を該第1の機械的構造から第2の機械的構造に変化させることを有し、かつ
該埋め込み可能な要素が該部分に埋め込まれている間であって、かつ該埋め込み可能な要素の材料が該第2の機械的構造にあるときに、該埋め込み可能な要素を使用して該部分に対して第2の治療機能を実行することを有する、
前記方法。
【請求項74】
投薬用の埋め込み可能なポンプであって、該ポンプは、
薬物チャンバを有し、該薬物チャンバは、薬物を含むように構成されており、かつ
形状記憶材料を有し、該形状記憶材料は、所与の温度まで加熱されることによって膨張することにより、該薬物の少なくとも一部分を該ポンプから排出させるように構成されている、
前記ポンプ。
【請求項75】
該形状変化材料が、40〜60Cの温度まで加熱されることによって膨張するように構成されている、請求項74記載のポンプ。
【請求項76】
該薬物が化学療法剤を含み、かつ該薬物チャンバが、該化学療法剤を含むように構成されている、請求項74記載のポンプ。
【請求項77】
方法であって、該方法は、
薬物ポンプを対象の身体内に埋め込むことを有し、該ポンプは、薬物を含むように構成された薬物チャンバを有しており、かつ
ある変態温度を有する形状記憶材料を膨張させることにより、該薬物の少なくとも一部分を該薬物チャンバから排出させることを有し、該膨張は、第1の所与の期間、該形状記憶材料を該変態温度まで加熱することによるものである、
前記方法。
【請求項78】
該形状記憶材料を更に膨張させることにより、該薬物の更なる部分を該薬物チャンバから排出させることを更に有し、該更なる膨張は、第2の所与の期間、該形状記憶材料を該変態温度まで加熱することによるものである、請求項77記載の方法。
【請求項79】
該形状記憶材料を該変態温度まで加熱することが、該形状記憶材料を40〜60Cの温度まで加熱することを有する、請求項77記載の方法。
【請求項80】
該薬剤が化学療法剤を含み、かつ該薬剤を該薬物チャンバから排出させることが、該化学療法剤を該薬物チャンバから排出させることを有する、請求項77記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2013−502294(P2013−502294A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526180(P2012−526180)
【出願日】平成22年8月22日(2010.8.22)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000683
【国際公開番号】WO2011/024159
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(512047195)
【出願人】(512047209)
【Fターム(参考)】