説明

省エネルギー環境試験槽及び作動方法

一連の特定された試験サイクルを実行するため、及び、可変速コンプレッサー(120、210、410)を含む冷却回路(100、200、410)によって冷却される環境試験槽(10)。試験サイクルの間、前記槽(10)は、最低設定温度に保持され、コンプレッサー(120、210、410)は、その最低回転スピードで作動し、そして、冷却能力は冷蔵媒体を冷却するのに使用される。冷蔵媒体により保存された冷気は、コンプレッサー(120、210、410)がその最大回転スピードで作動する冷却ステップの間、冷媒を補助冷却するために回収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱されたキャビティに正しくロードされ、そして、配置された素材及び/又は要素からなる被検査物を特定の回数の温度サイクルへ置くために、試験室で用いられる種類の環境試験槽に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの温度サイクルは、予め設定された長さの周期をもつ冷却ステップと交互する加熱ステップからなり、前記被検査物は、最高温度および最低温度に保持され、必要とされる温度の値は、各場合に、試験される素材及び/又は部品に関連する試験仕様により与えられる。
後者は+180℃にも達するかもしれないが、最高の温度に到達し、維持することができる場合には特別な問題に遭遇しないが、より高いまたはより低いパワーレートをもつ従来の電熱素子を使用すると、最低必要温度まで下げる必要があるので、冷却ユニットの使用を意味し、特に、最低温度が、例えば−70℃のように非常に低い場合には、多くの問題に遭遇する。
【発明の開示】
【0003】
冷却ユニットの使用に関係している第1の問題は、実際に必要な機器の種類と関連している。この問題の解決策は、単なる技術観点からはまったく容易であるが、とにかくまったく高価である。そのような低い値を持っている最低の温度に到達するには、冷却ユニットは実際のところ、2段カスケードタイプでなければならず、そこで高温段すなわち回路の蒸発装置は、熱交換条件において、低温段すなわち回路の凝縮器と共に配置される。従って、それは、環境試験槽の断熱されたキャビティと物理的に熱交換条件にある低温段の蒸発装置(ここでは、高温段において使用される冷媒より低い沸点を持っている冷媒が使用される)である。
【0004】
第2の問題、さらに言えば、より多くの深刻な問題が、冷却速度(すなわち、断熱キャビティの内部をその最大温度からその最低温度へ下げるのにかかる時間)が実際にはほんとうに重要な要因であるという事実から派生し、要求される長さの時間最低設定温度に維持するために冷却ユニットによって与えられる冷却能力は、冷却ステップの間に与えられる冷却能力の適度な割合(約10%)を作り出すことがわかる。そのような最低温度が非常に厳しい公差内、一般的には、±0.5℃に維持されなければならないので、冷却ユニットの段すなわち回路におけるコンプレッサーの繰り返しの、頻繁なオン/オフ断続を利用することができない。反対に、調整可能な流量ソレノイドバルブの適切な利用下でも、これらのコンプレッサーが継続的に動作する必要がある。
【0005】
この第2の問題に一般的に採用される先行技術解決策は、低温段の凝縮器、拡張バルブ、および、蒸発装置だけでなく、高温段の蒸発装置の冷媒の流れを切り離すように、適切なバイパス配置を与え、そして、作動させることにある。この方法では、冷媒は、個々のコンプレッサーの供給側と吸引側との間を循環し続ける。とにかく、この方法では、媒体の流量が不変のままであり、すなわち、冷却ステップの間、および、キャビティがその最低設定温度で維持される間、同じであり続ける事実も考慮すると、かなりの量のエネルギーが無駄になることが明白である。
【0006】
断熱された環境試験槽のキャビティが最低設定温度に保持されている間、そのようなかなりの量のエネルギーが無駄になることを防ぐことが、望ましいことであり、実際上の本発明の主要な目的である。
【0007】
本発明のさらなる目的は、環境試験槽の冷却速度を増大させることにあり、冷却ステップの期間および結果として温度サイクルがそれに応じて減少し、より少ないエネルギー消費を喜ぶというコストの見地からも、研究試験施設の利用者にとって明らかな利益である。
【0008】
本発明によれば、これらの目的は、以下の記載から明らかになるさらなる目的と共に、添付された特許請求の範囲に引用されているような機能及び特徴を内包する環境試験槽において達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
独創的な環境試験槽の機能及び特徴は、先行技術解決策を越えるそれの利点だけでなく、以下の単一ではない複数の好適な実施形態で与えられる記載から一層容易に理解される。
【0010】
ここで特許請求された特徴のすべてを考慮して、添付図面において環境試験槽の冷却ユニットを参照する:
図1は、本発明に係る2段カスケード冷却ユニットの回路図を図解し、そこでは、全ての公知の部品及び品目は、安全基準規制の要求及び規則に適合し、及び/又は補助的操作(冷媒の充填、メインテナンス等)を実行するように使用されなければならないが、本発明に関連する限り関連性をまったく有しておらず、よりよい明瞭さのために意図的に省略されている。そして、図2は、単一段冷却ユニットの同様な回路図を図解している。
【0011】
低温段の流体回路は、図1において全体が100で示され、冷媒として例えばR23(すなわち、メチル三フッ化物)を用いることができ、以下の要素を備えている:
【0012】
・空気の流れを転換するために設けられたバッフルプレートの背後で、環境試験槽の断熱されたキャビティ10の内側に配置された一連のフィン付パイプからなる蒸発装置110。それ自体公知の方法において、キャビティ10の内側には、一組の電熱素子14(実際には、平行線接続された配置の被覆された抵抗タイプ加熱素子の組)、最高温度および最低設定温度を設定し制御するための調整可能なサーモスタット15のプローブ16、温度制限安全サーモスタット17、キャビティ10の中の空気の安定的な流れを提供するために適合されたモーター駆動ファン19の羽根車18が存在する。調整可能なサーモスタット15は、キャビティ10の外に配置されて、環境試験槽の全体をコントロールしているPLC25に接続されている。特に、PLC25は、個々の電気接続23と33を介して2つのインバーター20と30と接続されて、主電源からエネルギーを与えられる。温度制限安全サーモスタット17は、電熱素子14にエネルギーを与えるための従来のライン(図示しないが、主電源に接続される)と順に接続される。
【0013】
・送電線22を介して、その最高及び最低設定値の間で回転スピードを制御するインバーター20に接続され、非同期のモーターにより駆動されるコンプレッサー120(以下に「第1のコンプレッサー」と称される);
【0014】
・コンプレッサー120の供給パイプ122。この上に引込み管125(同じ供給パイプ122に対して並行に走っている)を介してコンプレッサーの下側ベースに接続されているオイルセパレータ126が備わり、引込み管125にはオイル流れインジケータ127がオイルの通過を示すために取り付けられている;
【0015】
・オイルセパレータ126を凝縮器105と接続するパイプ128。このパイプ128は逆流熱交換器150の熱い側を形成する;
【0016】
・パイプ128の終端に配置された、液状の冷媒を収集するための容器130。この容器130は、パイプ132を介して蒸発装置110の入口111と接続され、パイプ132に順にソレノイドバルブ134(以下で、ソレノイドバルブIと称される)と低温段回路100の絞り部を形成しているサーモスタット制御バルブ136とが備わっている;
【0017】
・コンプレッサー120の回収又は吸引パイプ124。この回収又は吸引パイプ124は、供給パイプ122より大きい直径を有し、蒸発装置110の出口112と接続される。
【0018】
本発明のこの第1の実施形態では、低温段の流体回路100は、最終的には、T形管継ぎ手142(以下、第6の接続部品と称される)を介して第1のコンプレッサー120の供給パイプ122と接続され、そして、別のT形管継ぎ手(第7の接続部品)を介して同じコンプレッサーの吸引パイプ124とさらに接続されるバイパスライン140を備えている。第6の接続部品142から開始して、バイパスライン140に、ソレノイドバルブ146(以下で、ソレノイドバルブIIと称される)とキャピラリチューブ148が順に取り付けられる。
【0019】
高温段の流体回路は、全体が図1の200で示され、例えば冷媒としてR404a(すなわち、44.1%のR125,51.9%のR143a,および、4.0%の134aの混合)を使うことができ、以下の要素を順に備えている:
【0020】
・非同期モーターにより駆動され、その最大と最小の設定値の間で回転スピードを制御するインバーター30に送電線32を介して接続されたコンプレッサー210(以下で、第2のコンプレッサーと称される);
【0021】
・コンプレッサー210の供給パイプ212;
【0022】
・供給パイプ212より大きい直径を有し、熱交換器150の冷たい側の出口と接続されるコンプレッサー210の回収又は吸引パイプ214;
【0023】
・コンプレッサー210の供給パイプ212の終端部に配置され、短い接続パイプ223を介して液状の冷媒のための容器224に接続された凝縮器220(実際には、関連するモータ駆動の冷却ファンを持つ一連のフィン付管);
【0024】
・容器224からの排出パイプ230。これには、乾燥フィルタ232、オイルの通過を示すためのオイルフローインジケータ234、T形管継ぎ手236(以下、第1の接続部品と呼ばれる)が順に備わっている。この第1の接続部品236から出発するパイプ240(メインパイプとして既に参照されている)は、それに、ソレノイドバルブ242、244(以下で、ソレノイドバルブIIIとソレノイドバルブIVとそれぞれ称される)および高温段200の流体回路の絞り部を形成しているサーモスタット制御バルブ246が順に取り付けられている。メインパイプ240は、高温段200の回路200の蒸発装置205に達し、既に言及された熱交換器150の冷たい側を形成する。
【0025】
本発明の基本的な機能によれば、第2のパイプ241もまた、前記第1のT形管継ぎ手236から出発し、そこにソレノイドバルブ248(以下で、ソレノイドバルブVと称される)が取り付けられ、そして、シールされたタンク250を通ってソレノイドバルブIII242の下流に置いたT形管継ぎ手245(以下で、第2の接続部品と称される)を介して、最終的には、メインパイプ240で終端するように延在している。タンク250(本発明の別の重要な機能を形成し、以下でストレージタンクと称され、冷蔵手段として作用するので、これはもっと詳しく説明される)は、例えば、エチレングリコール水溶液のような、適当なタイプの共晶液体で、ゲートバルブ239を備えるパイプ237を介して満たされる。
【0026】
第2のパイプ241に加えて、パイプ252のコイル形状長さもまたタンク250を通過し、このパイプ252は以下で回収パイプと称される。回収パイプ252は、T形管継ぎ手254(以下で、第3の接続部品と称される)から始めて、第2の接続部品245の下流およびソレノイドバルブIV244の上流に置かれ、このパイプ252にさらなるソレノイドバルブ256(以下で、ソレノイドバルブVIと称される)およびサーモスタット制御バルブ258が順に備わる。回収パイプ252は、ストレージタンク250の下流で、熱交換器150の冷たい側の出口の下流の第2のコンプレッサー210の吸引パイプ214に置かれた別のT形管継ぎ手255(以下で、第5の接続部品と称される)における終了ポイントに到達するまで延びている。
【0027】
本発明のこの実施形態では、高温段の流体回路200は、バイパスライン260を最終的に備え、このバイパスライン260は、パイプ230に対して分離した位置で液状の冷媒の容器224から延出し、そして、絞り弁246と熱交換器150の冷たい側の入口との間に置かれる位置にあるメインパイプ240のT形管継ぎ手266(以下で、第4の接続部品と称される)で終端する。それ自体公知の方法においては、さらなるソレノイドバルブ262(以下で、ソレノイドバルブVIIと称される)とキャピラリチューブ264がバイパスライン260に備わる。
【0028】
操作モードは、以下のように、実行されるべき試験の種類のために、仕様は4つのシーケンシャルなステップからなるNサイクルを実行することを要求するという仮定の下で、:すなわち、槽の断熱されたキャビティに置かれた被検査物を最高設定温度t1=+170℃に加熱し;3時間の間前記温度t1で被検査物を維持し;被検査物を最低設定温度t2=−70℃に冷却し;3時間の間、被検査物を前記温度t2に維持する。
【0029】
仕様に従って実行されるべきN試験サイクルの第1のものでは、装置の操作は完全に従来のものであり、すなわち、最初の2つのステップは、PLC25の制御の下で、モータ駆動ファン19により補助されるように、電熱素子14を利用することによって実行される。以下の冷却ステップにおいて、PLC25は、最初に加熱素子14をスイッチオフし、しかしながら一方で、モーター駆動ファン19の規則的な作動を保ち、PLCと接続されたプローブ16により、最終的に、キャビティ10で温度t2に達したのが検出されるまで、インバーター20及び30に、例えば、電源周波数が50Hzの場合には60Hzの最大周波数でコンプレッサー120と210の駆動モータへ供給させる。この冷却ステップの間に、PLC25は、回路のソレノイドバルブの状態が、以下の表1に示されているものであることを確かめる。表1において、オンは対応するバルブのソレノイドがエネルギーを与えられるのを意味し、一方、オフは、電源が遮断されたことを意味する。
【0030】
【表1】

【0031】
従って、冷却ユニットの両方の段は全能力で作動し、そして、キャビティ10の温度をt1からt2まで下げるための一定の時間T1(従って、最初の操作サイクルの第3のステップの期間である)を必要とすることが続いて発生する。
試験サイクルの以下の第4のステップでは、PLC25が最低設定温度t1でキャビティ10を維持する間、インバーター20とインバーター30は、両方のコンプレッサー120及び210のモータの回転のスピードを減少させる。コンプレッサーの正しい作動により許容された最低スピードに到達するとすぐに、PLC25は、この第4のステップの期間にわたって、回路のソレノイドバルブの状態が、下の表2において示したとおりであると保証する:
【0032】
【表2】

【0033】
結果として、このステップのキャビティ10に必要な非常に少ない量の冷却パワーを考慮すると、それは、低温段の回路100に流入する冷媒を冷却するための熱交換器150にはもはや使用されない高温段の回路200のほとんど全体の冷却能力である。本発明の基本的な機能によると、高温段200の回路200の冷却能力は、むしろ、回収パイプ252を通じたストレージタンク250の共晶液体を(凝固点に)冷却するのに使用される。
【0034】
N特定温度サイクルの次の(第2の)冷却ステップでは、PLC25は、回路におけるソレノイドバルブの状態を、下の表3において示されるように、保証する:
【0035】
【表3】

【0036】
従って、第2のパイプ241では、すなわち絞り弁246の上流で、冷媒は、熱力学の観点からすぐに理解できる利点によってタンク250に蓄積された冷気により補助冷却される。
この補助冷却は、熱交換器150の冷媒の蒸発に影響し、及び、調節することによって、低温度回路の回路100の冷媒の凝縮に関して好ましい効果を有し、それによって、後者の効率を押し上げる。最終的な結果は、キャビティ10の温度がt1からt2まで下げられる第2の操作サイクルの第3のステップの期間が、第1のサイクルに要する時間TIと同じものではないけれども、TIよりかなり短い値TIIを有することである。第2の操作サイクルの第4のステップは、第1の操作サイクルの第4のステップと同様である。仕様に従って実行されるすべてのその後のテストサイクルは、第2のサイクルに関連して上述されたように、同じ方法及びモードで起こる。
【0037】
上記の記載からすぐに理解されるほとんどは、試験室テストの全体の期間および結果的に、関連したエネルギー消費の削減であり、テストを指令した利用者にとって、テストのためにより少ない価格を支払うことだけでなく、非常に短い時間で生じる望ましいテスト結果を得られるという明らかな利益がそこから派生し、一方で、試験室を運営し、環境試験槽を利用している者にとっては、例えば1年の与えられた期間により多くのテストを行う能力という利益がもたらされる。
【0038】
タンク250の冷媒は完全に完成した、すなわち、その中にロードされた共晶液体が完全に凍結された条件が起こると、回路200のバイパス機能が作動する。PLC25は、その時、回路のソレノイドバルブの状態が、下の表4に示したとおりであると保証する:
【0039】
【表4】

【0040】
ここで、本発明の第2の実施形態の説明に進むと、第2の実施形態は、図2に図解され、単段冷却ユニットを備え、第1に注意すべきことは、実行されるテストサイクルの最低設定温度が第1の実施形態より高い、すなわち、例えば値t2=−20℃を有する場合の適用を意図し、一方、最大又は最高温度の値は、第1の実施形態、すなわち、t1=+170℃に関連して考慮されたものと同じであってもよい。
【0041】
全体が図2の400で示され、冷媒として例えば、R404Aを使用した流体回路は、その蒸発装置405を備えた環境試験槽の断熱されたキャビティ310を冷却するのに使用される。キャビティ310の中では、蒸発装置405に対してさらに以下のものが配置されている:最高および最低設定温度を設定しコントロールするための調整可能なサーモスタット315のプローブ316;空気流れを屈折させるためのバッフルプレート312の背後の温度制限サーモスタット317によりコントロールされる一組の電熱素子314;キャビティ310の中の空気の規則的な流れを提供するために適応されたモータ駆動ファン319の羽根車318。調整可能なサーモスタット315はキャビティ310の外に配置され、環境試験槽全体をコントロールするPLC325に接続されている。特に、PLC325は送電線323を介してインバーター320と接続され、主電源からエネルギーを与えられる。温度制限安全サーモスタット317は、電熱素子314の従来の電源供給ライン(図示せず)に順次接続されている。
【0042】
回路400は、入口406と出口407を有する上記の蒸発装置405に加えて、以下のものを備えている:
【0043】
・以下でメインパイプと称されるパイプ440に沿って蒸発装置405の入口406の上流に置かれた第1のソレノイドシャットオフバルブ408(以下で、ソレノイドバルブIと称される)および回路の絞り部を形成しているサーモスタット制御バルブ409;
【0044】
・電源ライン322を介して接続されたインバーター320によりコントロールされる非同期モータにより駆動されるコンプレッサー410;
【0045】
・コンプレッサー410の供給パイプ412;
【0046】
・供給パイプ412の直径より大きい直径を有し、蒸発装置405の出口407と接続される、コンプレッサー410の回収又は吸引パイプ414;
【0047】
・コンプレッサー410の供給パイプ412の終端に配置され、短い接続パイプ423を介して液状の冷媒のための容器424に接続された凝縮器420(実際には、関連したモータ駆動冷却ファン422を備える一連のフィン付きパイプ);
【0048】
・乾燥フィルタ432、オイルの通路を示すためのオイル流れインジケータ434、およびT形管継ぎ手436(以下、で第1の接続部品と呼ばれる)が順に備わっている容器424からの排出パイプ430:。この第1の接続部品436は、上記のメインパイプ440、および、いわゆる第2パイプ441(本発明の基本的な機能を形成し、さらにもっと詳しく説明される)が流入する場所である。
【0049】
メインパイプ440に沿って、ソレノイドバルブI408及び絞り弁409の上流にある第1の接続部品436から始まり、ソレノイドバルブ442(ソレノイドバルブII)、第2のT形管継ぎ手444、第3のT形管継ぎ手446、および第4のT形管継ぎ手448が順に備わっている。
【0050】
第2のパイプ441は、ソレノイドバルブ443(ソレノイドバルブIII)の下流で、シールされたタンク450を通過するコイル形の長さを備え、第2のT形管継ぎ手444を介してメインパイプ440で終端する。このT形管継ぎ手は、上記したように、ソレノイドバルブII442の下流に置かれている。
【0051】
タンク450は、ゲートバルブ439を備えるパイプ437を通じて、エチレングリコール水溶液などの適当なタイプの共晶液体で満たされるので、冷気保存手段又は冷気アキュムレータとして作用する。第2のパイプ441に加えて、いわゆる回収パイプ452のコイル形状長さもまた、タンク450を通過する。この回収パイプ452は、メインパイプ440の前に引用された第3のT形状の管継ぎ手446から分岐し、前記コイル状にされた長さの下流から加わり、T形管継ぎ手454が備わる場所で、コンプレッサー410の回収又は吸引パイプ414に流入する。さらなるソレノイドバルブ456(ソレノイドバルブIV)、および、さらなるサーモスタット制御バルブ458が、前記第3のT形管継ぎ手と回収パイプ452の前記コイル状にされた長さの開始部分の間に順に備わる。
【0052】
それ自体公知の方法では、回路400は、最終的に、液状の冷媒の容器424から延出するバイパスライン460を備え、これは、凝縮器424の直ぐ下流に配置され、第4のT形管継ぎ手448が備わる場所でコンプレッサー410の回収又は吸引パイプ414に流れ込む。最後のバルブ462(ソレノイドバルブV)とキャピラリチューブ464は、バイパスライン460に順に備わる。
【0053】
操作モードは、以下のように、環境槽の断熱されたキャビティ310で実行されるべき試験の種類のために、仕様は4つのステップからなるNサイクルを実行することを要求するという仮定の下で、すなわち、槽の断熱されたキャビティに置かれた被検査物を最高設定温度t1=+170℃に加熱し;被検査物を3時間の間前記温度t1で維持し;被検査物を最低設定温度t2=−20℃に冷却し;3時間の間、被検査物を前記温度t2に維持する。
【0054】
特定されたNテストサイクルのうちの最初のものの最初の2つのステップでは、キャビティ310は、PLC325のコントロールの下で、モータ駆動ファン319により補助されながら、電熱素子314により加熱される。以下の冷却ステップにおいて、PLC325は、最初に加熱素子314のスイッチを切り、一方で、モータ駆動ファン419の通常的な作動を保ち、電源周波数が50Hzの場合には、最大周波数、例えば、60Hzでインバーター320にコンプレッサー410の駆動モータへ供給させ、その結果、その回転スピードが、その最高許容値に到達する。最初の操作サイクルのこの第3のステップの間(この第3のステップは、キャビティ310の中が最終的に設定温度t2=−20℃に達し、結果として、時間TIが経過していいることを示すPLC325のプローブ316に基づいて終了される)、PLC325は、回路のソレノイドバルブの状態が、以下の表5において示したとおりであることを保証する:
【0055】
【表5】

【0056】
このことは、一般的に冷却回路400の伝統的な作動の結果として生じ、それは、一方では、この最初のテストサイクルの以下の第4のステップにおいても従来の方法で作動し続ける。プリセット期間を有する、この第4のステップの間に、インバーター320は、実のところ、コンプレッサー410のモーターの回転スピードを同じコンプレッサーの正しい作動により許容される最低スピードに減少させ、そして、PLC325は、回路のソレノイドバルブの状態が、下の表6において示したとおりであると保証する:
【0057】
【表6】

【0058】
結果として、最低設定温度を維持するためにキャビティ310に必要な非常に少ない量の冷却能力を与えると、本発明の前に引用された基本的な機能に従って、回路400の冷却能力のほとんど全部は、この時点において、回収パイプ452を通じて冷気保存タンク450内にある共晶液体を(凝固点まで)冷却するのに使用される。
【0059】
次の操作サイクル、すなわち特定されたN’サイクルの2番目、PLC325は、キャビティ310内の被検査物の温度が下降する第3のステップにおいて、回路のソレノイドバルブの状態が、下の表7において示したとおりであると保証する。
【0060】
【表7】

【0061】
第2のパイプ441、すなわち絞り弁408の上流において、冷媒は、冷機保存タンク450で凍結された共晶液体により蓄積された冷気により補助冷却される結果となる。
【0062】
第1の実施形態の場合のように、この補助冷却は、熱力学的効率を押し上げる効果があり、その結果として、第2の操作サイクルの上記のステップの期間が、第1のサイクルの対応するステップの期間T1ともはや同じではなくて、TII<TIとなる。その後の特定のテストサイクルのすべては、第2のサイクルと同じ方法及びモードで起こります。従って、そこから派生する利益は、本発明の第1の実施形態と関連して上ですでに示されていたものと事実上同じである。
【0063】
本発明の第2の実施形態においても、タンク450の冷気保存が十分に完了、すなわち、共晶液体が正しく凍結されている条件が生じると、回路400のバイパスが作動する。そして、PLC325は、回路のソレノイドバルブの状態が、下の表8において示したとおりであることを保証する:
【0064】
【表8】

【0065】
発明はその複数の好適な実施形態の特定の参照により上で記述されたが、またそこから、添付の特許請求の範囲により画定されるようにその範囲から逸脱せずに多くの異なる形態とバリエーションにおいて発明自体を実施できることも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る2段カスケード冷却ユニットの回路図である。
【図2】単段冷却ユニットの回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の特定のテストサイクルの間に、少なくとも一つのテストキャビティ(10、310)が、冷媒が流れる少なくとも一の冷却回路(200;400)を含む冷却ユニットにより、最低設定温度に冷却され、かつ、維持される環境試験槽であって、
回転スピードが最大値と最小値の間で調整可能な電気モータにより駆動され、供給パイプ(212;412)および吸引パイプ(214;414)を備えるコンプレッサー(210;410)と、
凝縮器(220;420)と、
入口(111;406)及び出口(112;407)を有する蒸発装置(110;405)と、
前記凝縮器(220;420)と前記蒸発装置(105;405)の入口(111;406)との間のメインパイプ(240;440)の終端部に設けられた絞り装置(246;409)と、を備え、
タンク(250;450)と、バルブ手段(242、248、256;442、443、456)とをさらに備え、
前記タンク(250;450)は、冷蔵媒体で満たされ、かつ、第2のパイプ(241;441)と回収パイプ(252;452)とが通過し、
前記第2のパイプ(241;441)は、前記絞り装置(246;409)の上流で、前記主パイプ(240;440)に沿って第1及び第2の接続部品(236、245;436、444)の間で延在し、
前記回収パイプ(252;452)は、前記第2の接続部品(254;444)の下流で前記主パイプ(240;440)に沿う第3の接続部品(254;446)と前記吸引パイプ(214;414)に沿う第4の接続部品(266;448)との間で延在し、
最低回転スピードで作動するコンプレッサー(210;410)の駆動モーターにより実行されるステップであって冷蔵媒体が最低設定温度で維持される試験サイクルのステップの間、前記第2のパイプ(241;441)を流れる冷媒により冷蔵媒体が冷却され、試験サイクルの全期間を削減する観点から最大回転スピードで作動するコンプレッサー(210;410)の駆動モーターにより実行される試験サイクルの冷却ステップの間、前記第2のパイプ(241;441)を流れる冷媒を補助冷却するために、冷蔵媒体により蓄積された冷気が回収され、その結果、前記特定の試験サイクルの実行におけるエネルギー消費が削減されるために、前記バルブ手段(242、248、256;442、443、456)は、選択的に開閉するように構成されている、
ことを特徴とする環境試験槽。
【請求項2】
前記冷却回路(200)は、2段階カスケード冷却ユニットの高温段を形成し、
そこでは、前記蒸発装置(205)は、熱交換器(150)の冷たい側を形成し、
熱交換器(150)は、その熱い側として第2の冷却回路(100)の凝縮器(105)を有し、
第2の冷却回路(100)は、同じ冷却ユニットの低温段を形成し、
そして、前記第2の冷却回路(100)の蒸発装置(110)は、前記少なくとも一のテストキャビティ(100)と熱交換関係にある、請求項1に記載の環境試験槽。
【請求項3】
前記コンプレッサー(210;410)は、電気モータにより駆動され、その回転スピードはインバータ手段(30;320)によりコントロールされる、請求項1に記載の環境試験槽。
【請求項4】
プログラム可能な制御装置(25;325)を備えることを特徴とする請求項1に記載の環境試験槽。
【請求項5】
前記冷蔵媒体は、共晶液体である、請求項1に記載の環境試験槽。
【請求項6】
前記冷蔵媒体は、エチレングリコール水溶液である、請求項1に記載の環境試験槽。
【請求項7】
前記コンプレッサー(120、210;410)は、非同期モーターにより駆動される、請求項1に記載の環境試験槽。
【請求項8】
好適には電気式の加熱素子(14;314)は、前記少なくとも一のテストキャビティ(10)と熱交換関係に設けられる、請求項1に記載の環境試験槽。
【請求項9】
少なくとも一のテストキャビティ(10;310)を冷却するステップと、
冷却ユニットによりそれを最低設定温度に維持するステップと、を備え、
後者は、冷媒が流れる少なくとも一の冷却回路(200;400)と、回転スピードが最大値と最小値の間で調整可能なコンプレッサー(210;410)とから構成され、
前記キャビティ(10;310)が最低設定温度に維持される前記ステップの間、コンプレッサー(210;410)は、最低回転スピードで作動し、そして、冷却能力は、冷蔵媒体を冷却するのに使用され、一方、冷却ステップの間、コンプレッサー(210;410)は、その最大回転スピードで作動し、前記冷蔵媒体により保存された冷気は、前記冷却回路(200;400)において冷媒を補助冷却するために回収される、
一連の計画された試験サイクルを実行する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−524624(P2008−524624A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547795(P2007−547795)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000710
【国際公開番号】WO2006/067810
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(503440347)アンジェラントーニ インダストリエ エスピーエー (4)
【Fターム(参考)】