説明

真空コンデンサ

本発明は電気工学分野、特に電気技術部品に関し、本件においては固定容量の有極性コンデンサに関する。本発明を用いることにより、寸法は小さいが容量と電圧は大きい電気エネルギーの貯蔵が可能となるという技術的な結果が得られる。真空コンデンサは真空室の外側に設置される陽極を具備し、真空室には陰極が設置され、陰極と陽極の間にある誘電体も同様に設置される。陰極は真空室に配置される電気絶縁フィラメントによる加熱が可能なように設計され、真空室は誘電密閉筒体形状で、陽極は誘電密閉筒体の外面に設置される。陰極は微小ピークタイプの表面を有する“冷”陰極であってもよく、加熱することなくその表面から自由電子を減損させることができ、陽極は陰極が設置される高真空の誘電筒体の外面に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気工学、特に基礎電気工学装置に関し、本件においては極性状態の一定容量コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
応用レベル
現在使用されている半導体/電解コンデンサは分極原理に基づいている。構造的には2つの板/電極を基礎とし、誘電材料が分極されることにより2つの板/電極を分離している。正電荷された板が陽極となり負電荷された板は陰極となる。電気エネルギーは誘電材料を分極することによって保存される。半導体/電解コンデンサはコンデンサの中で最も大きい。その電気容量は2ファラドで動作電圧は16ボルトである。
【0003】
弱点としては巨大なサイズと重さが挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的な利点としては、容量と電圧は大きいがサイズは小さい電気エネルギー蓄積システムを構築することが可能になる。
【0005】
以下の重要な特性一式を用いることで技術的な効果が達成される。
【0006】
発明モデルは陰極を含む真空室の外側に陽極がある真空コンデンサであり、誘電体はその中間に位置する。陰極は電気絶縁フィラメントによって直接加熱できるように設計されている。陰極は密閉された誘電筒体形状に設計された真空室の内側に位置し、陽極は筒体の外面に設置されている。陰極は微小ピーク面のある冷陰極として設計されて加熱することなく自由電子を放出し、陽極は内側が高真空の誘電筒体の外面に位置し、陰極はその高真空内に位置する。
【0007】
真空コンデンサの理論的考案を確認し、真空コンデンサにおける真空の電気容量を判定するための実験が行われ、真空の内容量がおよそ2.3cmの6D6A電気真空ダイオードが真空コンデンサとして使用された。このために、6D6Aダイオードをトランス油で充満された金属ビーカーに設置することで陽極を絶縁した。ビーカーにより真空コンデンサ(VC)の陽極が形成された。陰極を実行電圧が6.3Vの線条変圧器で加熱することも可能である。コンデンサは限流代替抵抗および電流計を経由して整流電源電圧(約310V)で充電された。こうした装置を用いて直流10mA電流を8時間継続した。8時間後に金属ビーカー(陽極)と6D6Aダイオードの陰極との間の電圧は28Vに達した。
【0008】
以上の測定によって真空コンデンサ(VC)の真空容量を計算した。
【0009】
vc=I×t=Cvc×Uであることが知られており、式中、I=0.01A、t=8時間=28,000秒、およびU=28Vである。その結果、qvc=0.01×28,000=288クーロンとなる。従って容量は以下のように計算される。
【0010】
vc=qvc/U=288/28=10,2857ファラド
はVC充電電流、tはVC充電時間、UはVCの陽極と陰極との間の電圧、qvcは充電完了時のVCの充電サイズ、Cvcは計算されたVC容量である。
【0011】
こうした計算によって新VCの容量が大きいことがわかる。従って、新VCはエネルギー保存システムやその他電力装置に用いられても構わない。この方法で測定された真空の一立方センチメートルの電気容量は一立方センチメートルに付き5ファラドを超えており、動作電圧は数十キロボルトを有する。現存のコンデンサでこの範囲を達成できるものはない。
【0012】
発明されたコンデンサに含まれる陰極は電気絶縁フィラメントで加熱されても構わず、高真空下の誘電筒体に設置され、陽極は密閉誘電筒体の外面に位置する。
【0013】
真空コンデンサの陰極は冷陰極として設計され、その表面から加熱することなく自由電子を放出する。
【0014】
提案された真空コンデンサは以下の問題に対する適切な技術的解決策を見いだすのに役立つ。すなわち高電圧で大きい電荷を保存してもよく、コンデンサ自体のサイズは小さいがエネルギー量は大きいことを意味する。
【0015】
従って真空コンデンサはエネルギー蓄積装置として用いられてもよく、充電に要する時間はわずかで、蓄積エネルギーの放出はどのような動作状態でも構わず、多様な目的のエネルギー保存システムに適する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は添付図面に示されている。
【図1】熱陰極を備えた真空コンデンサの全体組立の一部である。
【図2】冷陰極を備えた同組立を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これらの図において1は陰極、2は密閉誘電筒体、3は高真空、4は陽極、5は陰極の電気フィラメントヒータを示す。
【0018】
図1に示すVCは高真空3の下で密閉誘電筒体2内に設置された電気絶縁フィラメント5で加熱される陰極と、密閉誘電筒体2の外面に位置する陽極4とを備える。
図2に示すVCは深真空3を備えた密閉誘電筒体2に設置された冷陰極1および微小ピーク面と、密閉誘電筒体2の外面に位置する陽極4とを備える。
【0019】
提案された真空コンデンサ(VC)は電気絶縁フィラメントを備えた熱陰極あるいは微小ピーク面を備えた冷陰極を含み、陰極は密閉誘電筒体の真空室でエネルギーを蓄積するために電子を放出し、筒体の内側に陰極が設置され、深真空を備えた密閉誘電筒体の外面に設置された陽極とは分離されていることを特徴とする。
【0020】
エネルギー蓄積工程においては、陽極が真空室の外側に設置される一方、陰極はその内部に位置し、それぞれが誘電体で分離され、陰極の周囲の深真空で自由電子が蓄積されることによってエネルギーが蓄積されることを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0021】
VC充電工程:自由電子を放出する特殊な充電装置を用いて(真空チューブの電圧増倍器と同様、非図示)、陽極に対して相対的に陰極で負電圧が生成され、そうすることで陰極から真空に自由電子が放出され、陽極に向かう傾向のある電子はその通路上に密閉誘電筒体があることから陽極に達する事ができないので真空で蓄積される一方、新しい自由電子は陰極から引き続き到着して陰極周辺でバルク電荷を形成する。この工程はバルク電荷の電場電圧が充電装置の電圧レベルになるまで続けられる。そうなるとVCの充電は完了する。
【0022】
本発明には以下の技術効果がある。つまり設置面積は小さく自己内蔵型の大容量エネルギー保存システムの構築が可能になる。すなわち新世代蓄積型エネルギー供給源となる。本発明を用いることで各種携帯電子装置の小型軽量化につながる。本発明は例えば自己内蔵型の電気溶接装置などの電気無線工学で用いられる新装置の設計に役立つ。
【符号の説明】
【0023】
1 陰極
2 密閉誘電筒体
3 高真空
4 陽極
5 陰極の電気フィラメントヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極が設置された真空室の外側に位置する陽極と、陽極と陰極を分離する誘電体とを備えた真空コンデンサ。
【請求項2】
前記陰極が密閉誘電筒体形状で設計された真空室の内側に配置された電気絶縁フィラメントで加熱されるという選択を含んで設計され、前記陽極は前記筒体の外面に設置される請求項1に記載の真空コンデンサ。
【請求項3】
陰極は微小ピーク面のある冷陰極として設計されて陰極を加熱すること無く自由電子を放出し、陰極が位置する高真空を内包する誘電筒体の外面に陽極が設置される請求項1に記載の真空コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−504872(P2013−504872A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528774(P2012−528774)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/RU2010/000496
【国際公開番号】WO2011/031189
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(512058995)
【出願人】(512059006)
【出願人】(512059017)
【出願人】(512059039)
【Fターム(参考)】