説明

真空下水道システム

【課題】敷地の形状による拘束条件で、急勾配や高低差が大きく高揚程となる箇所で、リフト部の配管が行われていても、真空弁の開閉動作を確実に行わせて、集水可能とする真空下水道システムを提供する。
【解決手段】汚水wを一時貯留する汚水枡1と、真空圧で真空ステーション15の集水タンク16へ汚水wを移送する真空下水本管7に接続される真空下水分岐管2へ、導圧管6で導かれる真空圧で開閉駆動して、気液混合の二相流として送出する真空弁装置3とが設けられた真空弁ユニット13を有している。
接続位置の手前の真空下水分岐管2には、上り勾配を有するリフト部2cが設けられていて、導圧管6が、真空下水本管7から、負圧を取り出す負圧取出部6bが、真空下水本管7の上側側面7aで、所定寸法ML、合流位置2bよりも下流側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高い位置に配管された真空本管まで流体を搬送出来る真空下水道システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自然流下式下水道システムに代わって、真空下水道システムの採用が増加しつつある。この真空下水道システムは、真空圧を利用して、汚水枡に溜まった汚水を吸引収集するものである(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
より具体的には、このような真空下水道システムは、建築物などから排出された汚水が、真空弁を備えた汚水枡から構成される真空弁ユニットに一時的に貯留されている。
【0004】
そして、この汚水枡の汚水が一定量に達した時に、真空弁が開放されることにより、真空弁の下流側に接続された真空下水路を通じて、汚水枡内の汚水が、真空圧で真空ステーションの集水タンクへ移送されるように構成されている。
【0005】
この真空ステーションの集水タンクへ移送された汚水wは、その後、圧送ポンプの駆動によって、下水処理場へ送られて処理されるものである。
【0006】
図7に示すような真空下水道システムでは、真空下水本管7から分岐された真空下水分岐管2の上流側2aに、汚水枡1内部の真空弁装置3を介して、汚水吸込管4が接続されている。
【0007】
また、この汚水吸込管4は、排水管5から流入された汚水が、一時的に汚水枡1内に貯留された状態で、下端部4aから吸込可能としている。
【0008】
更に、前記真空弁装置3には、開閉に必要とされる真空圧を、取出可能な導圧管6の一端部6aが接続されている。
【0009】
この導圧管6の他端に設けられた負圧取出部6bは、前記真空下水分岐管2が、真空下水本管7に合流する合流位置2bの手前で、上り勾配が設けられてリフトアップされたリフト部2cの上側側面に接続されている。
【0010】
次に、この従来の真空下水道システムの作用効果について説明する。
【0011】
このような構成によれば、前記汚水枡1内の汚水の貯留量が、規定量に到達した場合、負圧が導圧管を通じ、真空弁の内部に供給されてセンサ(図示せず)によって検出され、その検出信号が真空弁コントローラ(図示せず)に送られて、真空弁装置3が開放される。
【0012】
そして、この真空弁装置3が開放されて、汚水枡1内部の汚水が、汚水吸込管4の下端部4aから吸込まれる。
【0013】
汚水は、真空弁装置3が装着されている部分から、空気との混相二層流を形成して、リフト部2cを乗り越え、真空下水本管7へと移送される。
【0014】
反対に、この真空弁装置3が、リフト部2cの圧力の上昇により、閉塞されると、真空下水分岐管2の真空圧が、汚水吸込管4に作用しなくなる。これにより、汚水枡1内部の汚水の吸込みが停止される。
【0015】
このように、前記真空弁装置3は、真空圧を、導圧管6の負圧取出部6bで検知して、開閉動作に用いている。
【0016】
また、リフト部2cの上り勾配は、一般に緩やかで、最大上り勾配角度αは、α=約45度まで、リフト高さHは、H=約45cm〜1m程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第2546721号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、従来の真空下水道システムでは、リフト部2cのように、急激な屈曲形状を呈している部分で、汚水wが停滞して溜まり易い。
【0019】
このため、前記リフト部2cの上面部に設定されている負圧取出部6bに、汚水wの液面が到達して塞いで、所望の真空圧が得られない場合があった。
【0020】
すなわち、一般に緩やかな上り勾配で、リフト高さHも、1mを超えない静的な条件下で設定された規格と動的な条件下で設定された規格とがあり、何れの場合も前記設定限界を超えた配管を行うと、前記リフト部2cに汚水wが溜まり、上流側の真空度を低下させてしまう。
【0021】
この場合、前記導圧管6を伝って、真空弁装置3を動作させる真空度が、設計限度(一般に、−25kPa)に満たなくなると、真空弁装置3の開閉動作に支障を来してしまう。
【0022】
特に、民家の敷地内等、真空下水道システムに小型の真空弁で構成される真空弁ユニットを用いる際、水路越えや、埋設物の回避、或いは崖沿いの配管等、施工条件の厳しい箇所では、前記設定限界を超えた上り勾配角度αや、リフト高さHをリフト部2cに与えて配管施工しなければならない場合がある。
【0023】
また、敷地によっては、傾斜させる配管面積の確保が困難で、勾配角度αを、45度を超えて、垂直90度に近い、急激な上り勾配を与えなければならない場合がある。
【0024】
このような敷地の制約条件下で配管されたリフト部2cには、混相二層流の汚水から空気が分離してエアロックが発生したり、満水水柱となった場合には、このリフト部2cに設けられた負圧取出部6bに被り、所望の真空度に到達しない場合があり、真空弁装置3の開閉動作が、正常に行われなくなるといった問題があった。
【0025】
特に、図7に示す様に、一旦急激な上り勾配で立ち上がったリフト部2cが、真空下水本管7の上面側の合流位置2bへ接続されるように、短い寸法Lで再度、下方へ屈曲配管される構成では、更に、管内に水が滞積されて、導圧管6方向へこれらの水を浸入させてしまう虞もあった。
【0026】
そこで、この発明は、敷地の形状による制約条件で、急勾配配管や、高低差が大きく高揚程となる箇所でリフト部の配管が行われていても、真空弁の開閉動作を確実に行わせて、集水可能とする真空下水道システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、真空圧により、汚水升内の汚水を真空下水管路を通じて真空ステーションまで移送する真空下水本管と、該汚水升内に設置される真空弁装置と、該真空弁装置の開閉動作に用いる圧力を導く導圧管とを有してなる真空下水道システムであって、
前記導圧管では、前記真空下水路から、前記真空弁装置の開閉動作に必要となる負圧を取り出す負圧取出部を、前記真空下水本管に設けた真空下水道システムを特徴としている。
【0028】
また、請求項2に記載されたものは、前記負圧取出部を前記真空下水本管の上側側面で、しかも、該真空下水本管の前記合流位置よりも下流側に設けた請求項1記載の真空下水道システムを特徴としている。
【0029】
更に、請求項3に記載されたものは、前記負圧取出部が、前記真空下水本管の合流位置よりも、下流側に設けられる位置は、該真空下水本管の内直径寸法の三倍以上離間するように設定されている請求項1又は2記載の真空下水道システムを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明の請求項1記載のものによれば、前記真空下水路から、前記真空弁装置の開閉動作に必要となる負圧を取り出す負圧取出部が、前記真空下水本管に設けられている。
【0031】
このため、該真空下水本管の下流側の真空圧を生じさせる真空ステーションに近い位置で、しかも、比較的、水柱等の水の集積が少ない箇所で、真空圧を検出できる。
【0032】
従って、真空弁の開閉動作を確実に行わせて、集水可能とすることが出来、施工が困難な狭い場所や、障害物を回避する接続管を設置する構成が可能となる。
【0033】
また、建築物内に、これらの真空下水道システムを導入する場合でも、配管を埋設する必要が無くなり、天井部等に配管することも容易となる。
【0034】
更に、前記リフト部では、垂直若しくは垂直に近い勾配角度で配管することが可能で、全体を簡略化出来ると共に、高揚程の真空下水分岐管を設置出来る。
【0035】
また、請求項2に記載されたものは、前記負圧取出部が、前記真空下水本管の上側側面に設けられている。このため、該負圧取出部に汚水がかかりにくく、常に前記真空下水本管内の空気圧を更に正確に検知することが出来る。
【0036】
そして、前記負圧取出部が、前記真空下水本管の前記合流位置よりも下流側に設けられている。
【0037】
このため、該負圧取出部から、前記真空下水本管内の空気圧を検知しやすい。
【0038】
更に、請求項3に記載されたものは、前記真空下水本管の合流位置から下流側に設けられた前記負圧取出部の位置が、該真空下水本管の内直径寸法の三倍以上離間されている。
【0039】
このため、前記真空下水分岐管から該合流位置で合流する汚水が、前記真空下水本管内で飛散しても、前記負圧取出部に、かかって流入する虞が減少する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態の真空下水道システムで、真空弁ユニット及び真空下水本管との間を接続する真空下水分岐管のリフト部近傍を示す模式的な一部透過斜視図である。
【図2】実施の形態の真空下水道システムで、全体の構成を説明する模式的な一部断面斜視図である。
【図3】実施の形態の真空下水道システムで、要部の構成を説明する模式図である。
【図4】実施の形態の実施例1の真空下水道システムで、要部の構成を説明する模式図である。
【図5】実施の形態の実施例2の真空下水道システムで、要部の構成を説明する模式図である。
【図6】実施の形態の実施例3の真空下水道システムで、要部の構成を説明する模式図である。
【図7】従来例の真空下水道システムで、真空弁ユニット及び真空下水本管との間を接続する真空下水分岐管のリフト部近傍を説明する模式的な一部透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、この発明を実施するための実施の形態の真空下水道システムの構成について、図1乃至図6を用いて説明する。
【0042】
なお、前記従来と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0043】
まず、この実施の形態の真空下水道システムでは、図1,図2に示すように、各建築物9〜11等から排出された汚水が、各々汚水枡1…を有する各真空弁ユニット13…に、一時的に貯留されている。
【0044】
この真空弁ユニット13には、各々真空弁装置3が設けられていて、この汚水枡1内の汚水が一定量に達した時に、この真空弁装置3が開放されることにより、真空弁装置3の下流側に接続された真空下水分岐管2及び真空下水本管7からなる真空下水路14を通じて、これらの汚水枡1内の汚水wが、真空ポンプ15a,15aの駆動により発生する真空圧で真空ステーション15の集水タンク16へ移送されるように構成されている。
【0045】
この真空ステーションの集水タンク16へ移送された汚水wは、その後、圧送ポンプ16b…により、図視省略の下水処理場へ送られて処理される。
【0046】
このような真空下水道システムでは、汚水枡1の内部に挿入された真空下水分岐管2の上流側2aに、真空弁装置3を介して、汚水吸込管4が接続されている。
【0047】
この汚水吸込管4は、排水管5から流入され、この汚水枡1内に貯留された汚水を、下端部4aから吸込可能としている。
【0048】
また、真空弁装置3には、開閉に必要とされる真空圧を、真空下水本管7から取出可能な導圧管6の一端部6aが接続されている。
【0049】
この導圧管6の他端に設けられた負圧取出部6bは、真空下水本管7の上側側面7aに設けられると共に、前記真空下水分岐管2が、真空下水本管7に合流する合流位置2bよりも、下流側で、一定の寸法ML以上、離間されて配置されている。
【0050】
この実施の形態では、この一定の寸法MLを、真空下水本管7の内径寸法D1(例えば、内径寸法D1=70mm)の三倍以上(この場合、ML=約210mm以上)、離間するように設定されている。
【0051】
次に、この実施の形態の真空下水道システムの作用効果について説明する。
【0052】
このような構成の真空下水道システムによれば、前記真空ステーション15に設けられた真空ポンプ15a…の駆動により、真空下水本管7内の圧力の低下に伴って、上側側面7aに設けられた負圧取出部6bにおける内部圧力も低下する。
【0053】
この圧力の低下は、前記導圧管6を通じて接続された一端部6aから真空弁装置3に伝えられて、真空弁装置3を開放動作させる。
【0054】
真空弁装置の開放により、負圧を有する真空下水本管7方向へ向けて、前記汚水枡1内部の汚水wが、前記汚水吸込管4の下端部4aから吸込まれる。
【0055】
この真空弁装置3では、汚水wが、導入される大気圧の空気と混合されて、混相二層流が形成されながら、前記真空下水分岐管2のリフト部2cを乗り越え、前記真空下水本管7へと移送される。
【0056】
汚水wの移送が進み、真空下水本管7内の圧力が、大気圧に近づくと、真空下水本管7の上側側面7aに設けられた負圧取出部6bにおける内部圧力も上昇する。
【0057】
この為、前記導圧管6の一端部6aが接続された真空弁装置3では、大気圧との差圧が無くなり閉塞されて、汚水枡1内部の汚水wの吸込みが停止される。
【0058】
このように、真空下水本管7から、真空弁装置3の開閉動作に必要となる負圧を取り出す前記導圧管6の負圧取出部6bが、真空下水本管7の上側側面7aで、しかも、真空下水分岐管2が接続されている合流位置2bから下流側に所定寸法ML離間されて配置されている。
【0059】
このため、真空下水本管7のうちでも、下流側に接続される真空圧を生じさせる真空ステーション15に、リフト部2c比較して近い位置で、しかも、汚水wが円滑に通過出来る直線的な流路道程を長く設定出来、汚水wの液面の上,下動が比較的穏やかな部分に、負圧取出部6bを設定出来る。
【0060】
更に、従来のリフト部2cを構成する真空下水分岐管2の内径寸法よりも大きな内径寸法を有する真空下水本管7の中でも、汚水wを被りにくい上側側面7a箇所から、弁動作に用いる負圧を導くことができる。
【0061】
従って、真空弁装置3の開閉動作を確実に行わせて、集水可能とすることが出来、施工が困難な狭い場所や、障害物を回避する接続管を設置する構成が可能となる。
【0062】
また、この実施の形態では、負圧取出部6bが、真空下水本管7の上側側面7aに、上方から略垂直に接続されている。このため、負圧取出部6bが、この真空下水本管7内を通過する汚水wを万一被っても、直ちに自重で汚水が、真空下水本管7内に流下して、負圧取出部6bを塞ぎ続ける虞が無く、更に、弁開閉に必要な圧力の検知精度を良好なものとすることが出来る。
【0063】
更に、この実施の形態では、負圧取出部6bが、真空下水本管7に対して、真空下水分岐管2が接続される合流位置2bよりも下流側に設けられている。
【0064】
このため、この負圧取出部6bから、真空下水本管7内の空気圧を検知しやすい。
【0065】
そして、この実施の形態では、真空下水本管7の前記真空下水分岐管2が接続される合流位置2bから下流側に設けられた負圧取出部6bの位置が、真空下水本管7の内直径寸法の三倍以上の寸法MLを有して離間されている。
【0066】
このため、真空下水分岐管2から、この合流位置2bで合流する汚水が、真空下水本管7内で飛散しても、負圧取出部6bの高さ方向位置に、到達して流入する虞が減少する。
【0067】
また、図1に示す様に前記真空下水分岐管2のリフト部2cが、真空下水本管7の上面側の合流位置2bへ接続される寸法Lが、小さく急激な屈曲配管された構成でも、リフト部2cにおける汚水wの集積に関係なく、真空下水本管7の中の真空圧を導き出すことが出来る。
【実施例1】
【0068】
図4は、この発明の実施の形態の実施例1の真空下水道システムを示すものである。
【0069】
なお、前記実施の形態の真空下水道システムと同一乃至均等な部分については、同一符号を付して、相違する部分を中心に説明する。
【0070】
この実施例1では、前記実施の形態の真空下水道システムに加えて、更に、前記導圧管6の接続位置6b近傍に、気液分離槽17が設けられている。
【0071】
このように構成された実施例1の真空下水道システムでは、気液分離槽17によって、導圧管6内に浸入した汚水wが、空気と分離されて、導圧管6内の真空圧が、真空下水本管7内の真空圧と同等となる。
【0072】
従って、真空下水本管7内の真空圧を真空弁装置3まで導いて、大気圧との差圧を開閉動作に用いる際の動作確実性を更に向上させることが出来る。
【0073】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態の真空下水道システムと略同様であるので、説明を省略する。
【実施例2】
【0074】
図5は、この発明の実施の形態の実施例2の真空下水道システムを示すものである。
【0075】
なお、前記実施の形態及び実施例1の真空下水道システムと同一乃至均等な部分については、同一符号を付して、相違する部分を中心に説明する。
【0076】
この実施例2では、前記実施の形態の真空下水道システムに加えて、更に、導圧管6の負圧取出部6b近傍に、逆止弁19及び真空アキュムレータ18が設けられている。
【0077】
このように構成された実施例2の真空下水道システムでは、逆止弁19及び真空アキュムレータ18によって、導圧管6内に浸入した汚水wの逆流が阻止される。
【0078】
そして、導圧管6に設けられた真空アキュムレータ18によって、真空度の蓄圧が行われると共に、この真空アキュムレータ18が緩衝装置として、急激な圧力の変化が吸収される。
【0079】
このため、導圧管6及び真空弁装置3にかかる圧力変化が緩和されて、正確な動作を保証出来る期間を延長することが出来る。
【0080】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1の真空下水道システムと略同様であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0081】
図6は、この発明の実施の形態の実施例3の真空下水道システムを示すものである。
【0082】
なお、前記実施の形態及び実施例1,2の真空下水道システムと同一乃至均等な部分については、同一符号を付して、相違する部分を中心に説明する。
【0083】
この実施例3では、実施の形態の真空下水道システムに加えて、更に、真空弁ユニット23から延出される真空下水分岐管2には、大気圧の空気を、この真空下水分岐管2内に、開閉操作により導入可能な吸気弁としてのバルブ25,26,27が接続されて設けられている。
【0084】
この実施例2の真空下水分岐管2には、高低差h1,h2,h3を有する揚程に、一定の間隔を置いて、順次開放動作される複数のバルブ25,26,27が、各大気圧導入ライン28,29,30を介して接続されて設けられている。
【0085】
このように構成された実施例3の真空下水道システムでは、前記実施の形態及び実施の例1,2の作用効果に加えて、更に、真空下水分岐管2に接続された各バルブ25,26,27を順次開放すると、各バルブ25,26,27を、真空下水分岐管2に接続する各大気圧導入ライン28,29,30を介して、大気圧の空気が、この真空下水分岐管2に導入される。
【0086】
大気圧の空気の導入は、真空下水分岐管2の下流側から順次行われることにより、ウォータブロックが破砕されて、吸い上げに必要とされる真空圧が確保される。
【0087】
このため、高低差を有する敷地等、揚程が長い場合でも、順次下流側から、一定揚程毎に、ウォータブロックが破砕されて、吸い上げに必要とされる真空圧が確保される。
【0088】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態及び実施例1〜3の真空下水道システムを詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態の真空下水道システムに限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0089】
例えば、前記実施の形態及び実施例1〜3の真空下水道システムでは、前記リフト部2cでは、垂直若しくは垂直に近い勾配角度で配管することが可能で、全体を簡略化出来ると共に、高揚程の真空下水分岐管2を設置出来るが、設置場所は、特にこれに限らず、例えば、建築物9〜11内に、これらの真空下水道システムを導入する場合でも、配管を埋設する必要が無くなり、天井部等に配管することも容易に出来、設置場所の形状,数量及び材質が限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
この実施の形態の及び実施例1〜3の真空下水道システムでは、建築物9〜11等の構造や該建築物9〜11等が設置される敷地の自由度を増大させることが出来、制約条件の多い場合に用いて好適である。
【符号の説明】
【0091】
1 汚水枡(枡本体)
2 真空下水分岐管
2a 上流側
2b 接続位置
2c リフト部
3 真空弁装置
4 汚水吸込管
6 導圧管
6b 負圧取出部
7 真空下水本管(真空下水路の一部)
7a 上側側面
13,23 真空弁ユニット
14 真空下水路
17 気液分離槽
18 真空アキュムレータ
19 逆止弁
25,26,27 バルブ(吸気弁)
28,29,30 大気圧導入ライン
w 汚水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空圧により、汚水升内の汚水を真空下水管路を通じて真空ステーションまで移送する真空下水本管と、該汚水升内に設置される真空弁装置と、該真空弁装置の開閉動作に用いる圧力を導く導圧管とを有してなる真空下水道システムであって、
前記導圧管では、前記真空下水路から、前記真空弁装置の開閉動作に必要となる負圧を取り出す負圧取出部を、前記真空下水本管に設けたことを特徴とする真空下水道システム。
【請求項2】
前記負圧取出部を前記真空下水本管の上側側面で、しかも、該真空下水本管の前記接続位置よりも下流側に設けたことを特徴とする請求項1記載の真空下水道システム。
【請求項3】
前記負圧取出部が、前記真空下水本管の接続位置よりも、下流側に設けられる位置は、該真空下水本管の内直径寸法の三倍以上離間するように設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の真空下水道システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−214976(P2012−214976A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79217(P2011−79217)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】