説明

真空掃除用電気器具のワンド用ハンドル

【課題】床面に傷が付くのを防ぐ真空掃除用電気器具のワンド用ハンドルの提供。
【解決手段】真空掃除用電気器具のワンド用ハンドル(302)は、周囲空気を導管に流入させるアパーチャ開口部(324)を備え、第1の弁(324)がアパーチャ開口部の第1の部分を閉塞し、第2の弁(326)がアパーチャ開口部の第2の部分を閉塞する。制御機構(330)は、周囲空気を導管に流入させるために、第1及び第2の弁をアパーチャ開口部から離れるように移動させる。導管への空気流を変化させるために、制御機構は、第1及び第2の弁の両方をアパーチャ開口部から離れるように移動させるためにハンドル上に配置された第1の手動操作可能なアクチュエータと、第1及び第2の弁の一方だけをアパーチャ開口部のそれぞれの部分から離れるように移動させるため、ハンドル上に配置された第2の手動操作可能なアクチュエータとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除用電気器具のワンド用ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
真空掃除機は通常、汚れ及び埃分離装置を含む主本体と、主本体に接続され且つ吸引開口を有する床ツールと、吸引開口を通じて汚れ含有空気を吸い込むためのモータ駆動ファンユニットとを備える。吸引開口は、清掃されることになる床面に面するよう下方に向けられる。汚れ含有空気は、汚れ及び埃を空気から分離した後、空気を大気に排出できるように分離装置に運ばれる。分離装置は、フィルタ、フィルタバッグ、又は周知のようなサイクロン構造の形態をとることができる。本発明は、分離装置の性質には関係せず、従って、上述の構造又は別の適切な分離装置の何れを利用しても真空掃除機に適用可能である。
【0003】
通常はブラシバーの形態の駆動式攪拌器は、吸引開口部から少しだけ突出するように床ツール内に支持される。ブラシバーは、主に真空掃除機を用いてカーペット敷き面を清掃するときに作動される。ブラシバーは、細長い円筒状コア支持ブリストルを備え、該ブリストルはコアから半径方向外向きに延びる。
【0004】
ブラシバーの回転は、掃除機の主本体から供給される電源によって給電される電気モータにより、或いは、床ツールへの空気流により駆動される空気タービン組立体によって駆動することができる。ブラシバーの回転により、ブリストルが清掃されることになるカーペットの表面に沿って掃いて、汚れ及び埃を解放し、デブリを拾い上げるようにする。真空掃除機のファンユニットによって発生する空気の吸引により、空気が床ツールの下及びブラシバーの周囲に流れてカーペットの表面から汚れ及び埃を持ち上げ、次いで、吸引開口から床ツールを通って分離装置の方向に搬送するのを助けるようにする。
【0005】
吸引開口への空気流は、清掃操作中にユーザが変えることができる。例えば、床ツールが接続されるワンド上に抽気弁を設けて、床ツールから分離装置に通過する空気流に周囲空気を流入させ得ることは知られている。ユーザにより抽気弁が開放されたときには、吸気開口を通って床ツールに入る空気の速度が減少し、よって、床ツールでの吸引レベルが低下する。これにより床ツール内でぶつかる可能性のある物品を除去することができ、ユーザは、カーテン又は他の織物などの比較的柔らかい物品を床ツール内に詰まらせることなく清掃できるようになる。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様において、本発明は、真空掃除用電気器具のワンド用ハンドルを提供し、該ハンドルは、握り部と、空気流を受け取るための導管と、周囲空気を導管に流入させる少なくとも1つの開口部開口部と、少なくとも1つの開口部開口部の第1の部分を閉塞する第1の弁及び少なくとも1つの開口部開口部の第2の部分を閉塞する第2の弁と、第1及び第2の弁を少なくとも1つの開口部開口部から離れて移動させ、導管に周囲空気を流入させる制御機構と、を備え、該制御機構が、第1及び第2の弁の両方を少なくとも1つの開口部から離れるように移動させるために、ハンドル上に配置された第1の手動操作可能なアクチュエータを有し、ハンドルが更に、第1及び第2の弁の一方だけを少なくとも1つの開口部のそれぞれの部分から離れるように移動させるため、ハンドル上に配置された第2の手動操作可能なアクチュエータと、を備える。
【0007】
少なくとも1つの開口部は、第1及び第2の開口部を備える。この場合には、少なくとも1つの開口部の第1の部分が第1の開口部を備えることができ、少なくとも1つの開口部の第2の部分が第2の開口部を備えることができる。第1及び第2の開口部は、ハンドルの導管に沿って間隔を置くことができる。第1の開口部及び第2の開口部は、例えば、導管の外側壁の一部から離間して配置され分離することができる
【0008】
或いは、第1及び第2の開口部は、導管の外側壁の一部により分離されることなく、隣り合って配置することができる。この場合には、少なくとも1つの開口部は、単一の開口部を備えるとみなすことができ、第1の弁が開口部の第1の部分を閉塞するよう構成され、第2の弁は開口部の第2の部分を閉塞するよう構成されている。
【0009】
ハンドルの導管内に空気を流入させるための第1及び第2の弁を設けることによって、ユーザは、導管に流入される空気の速度、ひいては掃除用電気器具の床ツールにおける吸引度を変えることが可能になる。この弁の一方又は両方を少なくとも1つの開口部のそれぞれの部分から離れるように移動させるためハンドル上に2つのアクチュエータを配置することによって、ユーザは、ハンドルを把持している手を用いて吸引度を変えることが可能になり、従って、ユーザ作動性が向上する。
【0010】
第1のアクチュエータは、ハンドルの握り部上に配置されるのが好ましく、ハンドルの握り部を把持している手の親指を用いて作動させることができる。第1のアクチュエータは、例えば、電気駆動システムを用いて弁の移動を引き起こすようにユーザによって作動可能なボタンの形態とすることができる。或いは、第1のアクチュエータは、制御機構を作動させるためにハンドルの握り部に対して移動可能とすることができる。例えば、第1のアクチュエータは、導管に向かって押下げ可能とすることができ、握り部に対して滑動するよう構成することができる。制御機構が電気的駆動システムの形態である場合、第2のアクチュエータはまた、例えば第2の弁だけの移動を引き起こすようにユーザによって作動可能なボタンの形態とすることができる。或いは、第2のアクチュエータはまた、第2の弁の移動を引き起こすように握り部に対して移動可能とすることができる。第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータに隣接して配置することができる。しかしながら、弁の一方だけを移動させたい場合にユーザが誤って両方の弁を移動させる可能性を低減するために、第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータから離間して配置されるのが好ましい。好ましい実施形態では、第2のアクチュエータは、ハンドルの握り部の真下に配置され、第1及び第2の弁の一方を少なくとも1つの開口部のそれぞれの部分から引き離すようにユーザが作動可能なトリガの形態であるのが好ましい。ハンドルに対する第2のアクチュエータの移動をハンドルに対する第1のアクチュエータの移動とは異なるようにすることによって、ユーザが違う弁を誤って操作する可能性を更に低減することができる。
【0011】
本制御機構は、ハンドルの握り部内に少なくとも部分的に収容されるのが好ましい。弁の各々は、好ましくは、少なくとも1つの開口部のそれぞれの部分に向けて付勢され、ユーザによりアクチュエータが解放されたときに両方の部分が自動的に閉塞されるようにする。
【0012】
少なくとも1つの開口部は、握り部の真下に配置されるのが好ましい。
【0013】
上述のように、少なくとも1つの開口部は、単一の開口部を備えることができ、各弁は開口部のそれぞれの部分を閉塞するよう構成されている。第1の弁は、開口部の比較的大きな第1の部分を閉塞するよう構成することができ、第2の弁は、開口部の比較的小さな第2の部分を閉塞するよう構成することができる。開口部の一部は、何らかの好都合な構成で配置することができる。例えば、開口部の一部は、並べて配置することができる。或いは、開口部の第1の部分は、開口部の第2の部分の周りを少なくとも部分的に延びることができる。例えば、開口部の第1の部分は、開口部の第2の部分を囲むことができる。
【0014】
第1の弁を少なくとも1つの開口部の一部から離れるように移動させるのに必要な力を低減するために、制御機構は、第1のアクチュエータの作動に応答して、第1の弁を少なくとも1つの開口部の第1の部分から離れるように移動させる前に、第2の弁を少なくとも1つの開口部の第2の部分から離れるように移動させるよう構成することができる。好ましくは比較的小さい第2の弁のこの移動により、ある量の周囲空気を導管に抽気し、好ましくは比較的大きな第1の弁にわたる圧力差を低下させ、従って、第1の弁を少なくとも1つの開口部の第1の部分から離れるように移動させるのに必要な力を低減することができる。
【0015】
制御機構は、第1及び第2の弁を少なくとも1つの開口部から離れて移動させるため第1のアクチュエータに接続された従動部材を備えるのが好ましい。制御機構は、好ましくは、バネ又は他の弾性部材のような、従動部材に第2の弁を押し付ける手段を備え、第1のアクチュエータの作動時に第2の弁が従動部材と共に移動するようにする。他方、第1の弁は、好ましくは従動部材から法線方向に離間して配置され、第1のアクチュエータの作動時に第1の弁が従動部材によって直ぐには移動しないようにする。これにより、第2の弁が少なくとも1つの開口部のそれぞれの部分から離れて移動するのが確保され、従って、従動部材が第1の弁を係合して、少なくとも1つの開口部のそれぞれの部分から離れる第1の弁の移動を行う前に、空気を導管内に確実に抽気できるようにすることができる。
【0016】
第2の態様において、本発明は、真空掃除用電気器具のワンド用ハンドルを提供し、該ハンドルは、握り部と、空気流を受け取るための導管と、周囲空気を導管に流入させる少なくとも1つの開口部と、少なくとも1つの開口部の第1の部分を閉塞する第1の弁及び少なくとも1つの開口部の第2の部分を閉塞する第2の弁と、第1及び第2の弁を少なくとも1つの開口部から離れて移動させ、導管に周囲空気を流入させる制御機構と、を備え、該制御機構が、第1の弁を少なくとも1つの開口部の第1の部分から離れるように移動させる前に、第2の弁を少なくとも1つの開口部の第2の部分から離れるように移動させるよう構成されている。
【0017】
上述のように、少なくとも1つの開口部の一部は、導管の外側壁の一部又はハンドルの何れかの他の特徴部によって分離されることなく、横並びに、或いは互いに隣り合って配置され、導管が単一の開口部を備えるようにすることができる。これによりハンドルの弁のコンパクトな構成を提供することができる。例えば、開口部の第1の部分は、開口部の第2の部分の周りを少なくとも部分的に延びることができ、更に、これを囲むことができる。第1の弁は、開口部の第1の部分を閉塞するときにハンドルの導管によって定められるように、開口部の第1の部分の周辺が支持することができる。第1の部分が第2の部分の周りに少なくとも部分的に延びる場合、第2の弁は、第1の弁の周りを少なくとも部分的に延びることになり、よって、第2の弁は、好都合には、開口部の第2の部分を閉塞するときに第1の弁が少なくとも部分的に支持することができる。第1の弁は、追加の開口部を備えることができ、第2の弁は、第2のアクチュエータの作動に応答して追加の開口部から離れるように移動して、周囲空気が追加の開口部及び少なくとも1つの開口部の第2の部分を通って導管に流入するよう構成することができる。この追加の開口部は、第1の弁の周辺に配置することができるが、好ましい実施形態では、第1の弁の中心に配置される。
【0018】
第3の態様において、本発明は、真空掃除用電気器具のワンド用ハンドルを提供し、該ハンドルは、握り部と、空気流を受け取るための導管と、周囲空気を導管に流入させる開口部と、開口部の第1の部分を閉塞する第1の弁及び開口部の第2の部分を閉塞する第2の弁と、第1及び第2の弁を開口部から離れて移動させ、導管に周囲空気を流入させる制御機構と、を備え、第2の弁は、開口部の第2の部分を閉塞するように第1の弁によって少なくとも部分的に支持される。
【0019】
第4の態様において、本発明は、上述のハンドルを備えたワンドを提供する。ワンドは、該ワンドに接続された真空清掃ヘッドを備える真空掃除用電気器具の一部を形成することができる。ヘッドは、好ましくは、第1の状態及び第2の状態を有し、ハンドルの制御機構の作動に応答してヘッドの状態を制御するための制御組立体を備える。制御組立体は、好ましくは、導管と流体連通した内部容積を有する圧力チャンバを備え、該圧力チャンバは、内部容積と周囲空気との間の圧力差に応答して拡張形態から収縮形態に移動可能であり、該拡張形態に向けて付勢されている。制御組立体はまた、好ましくは、制御機構の第1の作動に応答して圧力チャンバが収縮形態に移動可能にしてヘッドを第1及び第2の状態の一方にし、更に、制御機構の第2の作動に応答して圧力チャンバが収縮形態に戻ることができないようにして、ヘッドを第1及び第2の状態の他方にする、チャンバ制御機構を備える。
【0020】
引き続き、ハンドルの制御機構を操作して、導管内の空気圧を上限値と下限値との間で変動させることによって、ユーザは、チャンバ制御機構の状態を切り替えて圧力チャンバが収縮形態となることを選択的に可能又は阻止し、これによりヘッドの状態を選択的に切り換えることができるようにする。圧力チャンバの形態の変更は、例えば、処理されることになる表面から汚れを攪拌するための攪拌機の状態又は位置、このような攪拌機の回転速度、或いは清掃ヘッドの他の2つの部分の相対位置を変えることができる。
【0021】
攪拌機は、複数のブリストル、フィラメント、又は他の表面攪拌要素を有するブラシの形態とすることができる。攪拌機は、ヘッドの第1及び第2の状態にそれぞれ対応する作動及び非作動状態の間をハウジングに対して移動可能とすることができる。或いは、攪拌機は、作動状態においてハウジングに対して回転可能であり、非作動状態においてはハウジングに対してほぼ静止することができる。攪拌機は、ハウジングに対して回転可能なディスク又は他のほぼ平坦な部材を備えることができ、或いは、攪拌要素が半径方向外向きに延びた細長いブラシバーを備えることができる。
【0022】
ヘッドは、好ましくは、ハウジングに対して攪拌機を回転させる駆動機構を備え、制御組立体は、制御機構の第1の作動に応答して駆動機構を非作動にし、制御機構の第2の作動に応答して駆動機構を再び作動状態にするよう構成されている。駆動機構は、制御機構の第1の作動に応答して非作動にされるモータを備えることができる。或いは、駆動機構は、攪拌機を非作動状態にするためにプーリー又はギアからアイドラに移動する駆動ベルト、或いは、アクチュエータの状態を変化させるために係合位置又は係合解除位置にされるクラッチを備えることができる。
【0023】
別の代替形態として、駆動機構は、攪拌機を駆動するためのインペラを有する空気タービン組立体を備えることができ、該制御組立体は、攪拌機の状態を変化させるためにインペラの回転を阻止するよう構成される。例えば、ブレーキシステムは、インペラの駆動ヘッドに取り付けることができ、制御組立体が、ブレーキシステムを配備して駆動ヘッドを係合するよう構成され、或いは、ブレーキ表面がインペラの回転速度を低下させるよう駆動ヘッドの周りに延びる。或いは、クラッチを設けて、駆動ヘッドを攪拌機から選択的に係合解除することができる。しかしながら好ましくは、制御組立体は、インペラへの空気流を阻止してインペラの回転を停め、これにより攪拌機を非作動状態にするよう構成される。ヘッドは、第2の空気流をタービン組立体に流入させるため吸引開口から隔離されたタービン空気入口を備えることができ、よって制御組立体は、タービン空気入口を実質的に閉鎖してインペラへの空気の流れを阻止するため開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である閉鎖部材を備えることができる。閉鎖部材は好ましくは、閉鎖部材が閉鎖位置にあるときにタービン空気入口をシールするためのシールを備える。閉鎖部材は、好ましくは、開放位置に向けて付勢され、これは、制御機構が作動しているときに圧力チャンバを収縮形態から拡張形態に向けて移動させるのを助けることができる。
【0024】
好ましくは、ダクトは、吸引開口からの空気流をタービン空気入口からの空気流と統合する同伴チャンバを備える。圧力チャンバは、同伴チャンバから直ぐ下流側にある前記空気流路に接続することができる。或いは、圧力チャンバは、タービン組立体を収容するタービンチャンバを介して空気流路に接続することができる。例えば、タービン組立体は、第2の空気流がタービン空気入口からダクトまで通過し、よって該ダクトと流体連通した状態にあるタービンチャンバ内に配置することができ、制御機構は、タービンチャンバから圧力チャンバに延びるダクトを備えることができる。
【0025】
チャンバ制御機構は、好ましくは、圧力チャンバが収縮形態となることができない第1の状態と、圧力チャンバが収縮形態となることができる第2の状態とを有し、該チャンバ制御機構は、圧力チャンバの内部容積の増大に応答して第1の状態と前記第2の状態との間で変化させるよう構成される。チャンバ制御機構は、好ましくは、内部容積と周囲空気との間に実質的に圧力差が存在しないとき、例えば、真空掃除用電気器具がスイッチオフに切り換えられたときに第1の状態となるよう構成される。結果として、ユーザに確実性を提供するために、真空掃除用電気器具がスイッチオンに切り換えられる度に、ヘッドは、第1及び第2の状態のうちの既定状態に、例えば、床面を攪拌するために攪拌機が作動状態にある状態に常にあることになる。
【0026】
圧力チャンバは、好ましくは、第1のチャンバ部と、該第1のチャンバ部に対して移動可能な第2のチャンバ部とを備える。第1のチャンバ部は、好ましくは、ヘッドのハウジングに接続される。第1のチャンバ部及び第2のチャンバ部は、環状シールにより接続され、圧力チャンバの部間に気密シールを維持しながら、第2のチャンバ部が第1のチャンバ部に対して移動可能にすることができる。この場合には、第1のチャンバ部に対する第2のチャンバ部の移動により制御組立体を作動させ、ヘッドの状態を変化させる。制御組立体の作動は、第1及び第2のチャンバ部間の相対位置に基づいて制御組立体を作動させるために、非接触技術、例えば、磁気、電気、又は光学的技術を用いて行うことができる。制御組立体は、ヘッドの状態の変更を作動させるために第2のチャンバ部に接続されたアクチュエータを備えることができる。例えば、制御組立体は、第2のチャンバ部に接続された第1のアームと、アクチュエータに接続された第2のアームとを備えることができ、第1のアームは、第2のアームに直接的又は間接的に接続される。第1のアームは、好ましくは、第1のチャンバ部に対する第2のチャンバ部の移動がアクチュエータを作動させないように、制御機構が第1の状態にあるときに第2のアームに対して移動可能である。次いで、制御機構は、第1のアームが第2のアームを移動させてアクチュエータを作動可能にする前に、圧力チャンバが収縮形態となることができるように第2の状態にする必要がある。圧力チャンバは、アクチュエータに対してダクトの反対側に配置することができ、よって、アームは、ダクトの上又は下に延びることができる。
【0027】
圧力チャンバは、内部的に付勢されるように、或いは他の方法で圧力チャンバを拡張形態に向けて押し付けるように構成された材料から形成することができる。しかしながら、好ましくは、圧力チャンバは、拡張形態に向けて圧力チャンバを押し付けるための少なくとも1つのバネを備える。第2のチャンバ部は、好ましくは、第1のチャンバ部から離れるように付勢される。
【0028】
圧力チャンバは、拡張形態に向けて該圧力チャンバ押し付けるための2つのバネを備えることができる。第1のバネは、第1の状態と第2の状態との間でチャンバ制御機構の切り換えを制御するよう構成することができ、他方、第2のバネは、内部容積と周囲空気との間の圧力差がゼロまで低下するときに、制御機構を第1の状態に押し付けるよう構成することができる。例えば、圧力チャンバは、第1及び第2のチャンバ部の間に配置された中間部材と、第1のチャンバ部から離れて中間部材を付勢する第1のバネと、中間部材から離れて第2のチャンバ部を付勢する第2のバネと、を備えることができる。チャンバ制御機構は中間部材の周りに延びることができる。チャンバ制御機構は、好都合には、第1のバネの作用により、第1のチャンバ部から離れる中間部材の移動を制限するための止め部を形成することができる。
【0029】
この2つのバネは軸方向に整列するのが好ましい。好ましくは、第1のバネは、第2のバネよりも大きなバネ定数を有し、第1のバネが第1及び第2の状態間で制御機構の移行を行う間に第2のバネが圧縮形態を維持するようにする。
【0030】
チャンバ制御機構は、好ましくは、第1のチャンバ部に接続される軌道キャリアと、該軌道キャリアに対して移動するため第2のチャンバ部と共に移動可能な軌道従動部とを備え、軌道キャリアは、圧力チャンバの形態が変化するときの該軌道キャリアに対する軌道従動部の移動を誘導するための軌道を備える。軌道キャリア及び軌道従動部の両方は、圧力チャンバ内に配置することができる。軌道従動部は、好ましくは軌道キャリアの周りに延び、該軌道キャリアは円筒形状であるのが好ましい。軌道従動部は、軌道キャリアに対して軸方向及び回転方向の両方で移動可能であるように、第2のチャンバ部により保持されるのが好ましい。軌道従動部は、バネのバネ定数及びこれらにわたる圧力差に起因して加わる力の平衡に応じて、第2のチャンバ部が第1のチャンバ部に向かって又はこれから離れるように移動するときに第2のチャンバ部に対して回転可能であるのが好ましい。
【0031】
第1の状態から第2の状態へのチャンバ制御機構の移行は、軌道従動部が軌道キャリアに対して、アクチュエータを作動させるために第2のチャンバ部にわたる圧力差により加わる力が作用して第2のチャンバ部が軌道の形状に起因して第1のチャンバ部に向けて移動できない第1の位置から、軌道の形状により軌道従動部が軌道キャリアに沿って引き続き移動可能になり、その結果、アクチュエータが攪拌機の状態を変化させるのに十分なほどに圧力チャンバが接触するようになる第2の位置まで移動することに相当する。この第1の位置から第2の位置までの軌道従動部の移動は、ユーザが弁を開放して吸引開口からファンユニットに延びる空気流路に空気が流入することに起因して、圧力チャンバの内部容積が増大することから生じる。
【0032】
軌道従動部は、チャンバ制御機構が第1及び第2の状態の各々にあるときに軌道キャリアに対するある範囲の異なる位置となることができる。チャンバ制御機構は、第2のチャンバ部にわたる圧力差が比較的高いときの、圧力チャンバが収縮形態となることができない、軌道キャリアに対する所定位置に軌道従動部があるときには、第1の状態にあるとみなすことができ、第2のチャンバ部にわたる圧力差が比較的高いときの、圧力チャンバが収縮形態となることができる、軌道キャリアに対する所定位置に軌道従動部があるときには、第2の状態にあるとみなすことができる。
【0033】
本発明の第1の態様に関して上記で説明した特徴は、本発明の第2の態様から第4の態様の何れかにも等しく適用可能であり、その逆もまた同様である。
【0034】
ここで、単に一例として添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】真空掃除用電気器具用の床ツールの上方からの左正面斜視図である。
【図2】図1の床ツールの上方からの右正面斜視図である。
【図3】図1の床ツールの底面図である。
【図4】図1の床ツールの右側面図である。
【図5】図1の床ツールの攪拌機及び攪拌機用駆動機構の上方からの左正面斜視図である。
【図6】図5の駆動機構の上方からの左正面斜視図である。
【図7】複数の固定部品が省略されているが、図6と同様の図である。
【図8】床ツールを通る空気流が存在しない、図4の線B−Bに沿った床ツールの断面図である。
【図9(a)】拡張形態にある床ツールのタービンチャンバ制御組立体の圧力チャンバを備えた、図8の一部の拡大図である。
【図9(b)】圧力チャンバが拡張形態にあり、主本体の後方部が除去された床ツールの一部の上面図である。
【図10】図4の線AL−ALに沿った断面図である。
【図11(a)】軌道キャリアに対する制御組立体の制御機構の軌道従動部のピンの種々の異なる位置を示す制御組立体の軌道キャリアの外観図である。
【図11(b)】軌道キャリアに対する制御組立体の制御機構の軌道従動部のピンの種々の異なる位置を示す制御組立体の軌道キャリアの外観図である。
【図11(c)】軌道キャリアに対する制御組立体の制御機構の軌道従動部のピンの種々の異なる位置を示す制御組立体の軌道キャリアの外観図である。
【図11(d)】軌道キャリアに対する制御組立体の制御機構の軌道従動部のピンの種々の異なる位置を示す制御組立体の軌道キャリアの外観図である。
【図11(e)】軌道キャリアに対する制御組立体の制御機構の軌道従動部のピンの種々の異なる位置を示す制御組立体の軌道キャリアの外観図である。
【図11(f)】軌道キャリアに対する制御組立体の制御機構の軌道従動部のピンの種々の異なる位置を示す制御組立体の軌道キャリアの外観図である。
【図12(a)】圧力チャンバが第1の部分的に収縮した形態にある、図9(a)と同様の図である。
【図12(b)】圧力チャンバが第1の部分的に収縮した形態にあるときの図9(b)と同様の図である。
【図13(a)】ワンドの一方端に接続された図1の床ツールの上方からの右正面斜視図である。
【図13(b)】図13(a)のワンド及び床ツールを含む真空掃除用電気器具の斜視図である。
【図14(a)】図13(a)のワンドに接続されたハンドルの上方からの左正面斜視図である。
【図14(b)】ハンドルの一部が除去された上方からの右正面斜視図である。
【図14(c)】ハンドルの弁が閉鎖位置にあるハンドルの右側面図である。
【図14(d)】ハンドルの弁が閉鎖位置にあるハンドルの側断面図である。
【図15(a)】ハンドルの弁が開放位置にあるハンドルの右側面図である。
【図15(b)】ハンドルの弁が開放位置にあるハンドルの側断面図である。
【図16(a)】第2の部分的に収縮した形態の圧力チャンバを備えた図9(a)と同様の図である。
【図16(b)】圧力チャンバが第2の部分的に収縮した形態であるときの図9(b)と同様の図である。
【図17(a)】床ツールの圧力チャンバが第1の完全に収縮した形態である図9(a)と同様の図である。
【図17(b)】圧力チャンバが第1の完全な収縮した形態である図9(b)と同様の図である。
【図18(a)】床ツールの圧力チャンバが第2の完全に収縮した形態である図9(a)と同様の図である。
【図18(b)】圧力チャンバが第2の完全に収縮した形態であるときの図9(b)と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1から図4は、真空掃除用電気器具用の床ツール10の1つの実施形態を示している。本実施形態において、床ツール10は、円筒型真空掃除用電気器具のワンド又はホースに接続可能であるように構成される。床ツール10は、主本体12と、該本体12に接続される導管14とを備える。主本体12は、該主本体12の後方部20の対向する端部から前方に延びる実質的に平行な側壁16,18と、主本体12の側壁16,18間に配置される可動部22とを備える。この実施形態において、可動部22は、主本体12の側壁16,18間にほぼ直角に延びる軸線Aの周りに回転するよう主本体12に回転可能に接続される。
【0037】
可動部22は、湾曲した上部壁24、下部プレート又はソールプレート26、及び上部壁24にソールプレート26を接続する2つの側壁28,30を備える。側壁28,30は、主本体12の側壁16,18間に配置され、各側壁28,30は、主本体12の側壁16,18のそれぞれに隣接し且つ実質的に平行に配置される。使用時には、ソールプレート26は、清掃されることになる床面に面して、以下で詳細に説明するようにカーペット敷き床面の表面を係合する。吸引開口36は、ほぼ矩形形状であり、側壁28,30、相対的に長い前部壁38、及び相対的に長い後部壁40により境界が定められ、各々がソールプレート26の底面から直立している。これらの壁はまた、床ツール10の主本体12を通る吸引通路の開始部の境界を定める。
【0038】
ソールプレート26は、床ツール10がカーペット敷き床面のような表面上を操作されるときに、このようなカーペット敷き床面の繊維を攪拌するための2つの作動縁部を備える。ソールプレート26の前方作動縁部42は、前部壁38とソールプレート26の先導部32との間の交差部に配置され、側壁28,30間に実質的に中断することなく延びる。ソールプレート26の後方作動縁部44は、後部壁40とソールプレート26の後続部34との間の交差部に配置され、側壁28,30間に実質的に中断することなく延びる。少なくとも前方作動縁部42は、好ましくは比較的先鋭であり、好ましくは0.5mm未満の曲率半径を有する。
【0039】
前部バンパー46は、可動部22にオーバーモールドされ、上部壁24とソールプレート26との間に配置される。
【0040】
硬質床面のような表面上を床ツール10が操作するときに、作動縁部42,44が硬質床面に傷を付け、或いはマークを付けるのを防ぐために、床ツール10は、作動縁部42,44を硬質床面から離間させるよう機能する少なくとも1つの表面係合支持部材を備える。本実施形態において、床ツール10は、各々が転動体、好ましくはホイールの形態の複数の表面係合支持部材を備える。ホイール48の第1のペアは、ソールプレート26の先導部32内に形成された凹部のペア内に回転可能に装着され、ホイール50の第2のペアは、ソールプレート26の後続部34内に形成された凹部のペア内に回転可能に装着される。図4に示すように、ホイール48,50は作動縁部42,44を越えて下方に突出し、床ツール10が硬質床面H上に配置され、ホイール48,50が当該表面を係合したときに、作動縁部42,44が硬質床面から離間されるようになる。
【0041】
使用時には、床ツール10を通過する空気と外部環境との間に圧力差が発生する。この圧力差は、床ツール10に対して床面の方向に下方に作用する力を発生させる。床ツール10がカーペット敷き床面上に配置されると、ホイール48,50は、床ツール10の重量及び床ツール10に下方に作用する力によって、カーペット敷き床面の繊維内に押し込まれる。ホイール48,50の厚みは、該ホイール48,50がカーペット敷き床面に容易に沈み込み、少なくともソールプレート26の作動縁部42,44が床面の繊維と接触するように選択される。ホイール48,50の厚みは、ホイール48,50がカーペット敷き床面の繊維間に確実に沈み込むようにするために、好ましくは10mm未満、より好ましくは5mm未満である。ソールプレート26の先導部32の底面は、ソールプレート26の作動縁部42,44を通過する平面に対して上方及び前方に傾斜されている。結果として使用時には、先導部32は、床ツール10が当該床面上を前方に操作されたときにラグ又は深いパイルのカーペット敷き床面の繊維を床ツール10の真下で吸引開口36に誘導し、これにより床面上での床ツール10の前進運動に対する抵抗を下げることができる。ソールプレート26の後続部34の底面は、ソールプレート26の作動縁部42,44を通過する平面に対して上方及び後方に傾斜されている。その結果使用時には、後続部34は、床ツール10が当該床面上を後方に操作されたときに、ラグ又は深いパイルのカーペット敷き床面の繊維を床ツール10の真下で吸引開口36に誘導し、これにより床面上での床ツール10の後進運動に対する抵抗を下げることができる。
【0042】
ユーザによって床ツール10がカーペット敷き床面の上を後方に引き寄せられるときには、ユーザが床ツール10の主本体12の後方部20を引き上げる傾向がある。しかしながら、可動部22を主本体12に回転可能に接続することにより、ソールプレート26は主本体12に対して枢動し、作動縁部42,44を床面に接触して維持できるようになる。このことは、使用中の作動縁部42,44と床面との間でシールを維持可能にすることができ、これにより床ツールの拾い上げ性能を改善することができる。主本体12に対する可動部材22の時計回り(図4の軸線Aに沿って見たとき)の回転(図4の軸線Aに沿って見たとき)は、可動部材22のバンパー46の端部に向かって配置された上方に面する表面が、主本体12の側壁16,18の前部に向けて配置された下方に面する表面54と当接することによって制限される。主本体12に対する可動部材22の反時計回りの回転は、ソールプレート26の後続部34の上部表面56が、主本体12の側壁16,18の底面58と当接することによって制限される。
【0043】
図3に戻って参照すると、床ツール10は更に、カーペット敷き床面の繊維を攪拌するための攪拌機60を備える。この実施形態において、攪拌機60は、吸引通路内に配置されるブラシバーの形態であり、軸線Aの周りで主本体12に対して回転可能である。攪拌機60は、長手方向軸線の周りに回転する細長本体62を備える。本体62は、可動部材22の側壁28,30内に形成された開口部を通過し、本体62の一方端が、主本体12に対して回転するように主本体12の側壁18の取り外し可能部分64によって支持することができ、本体62の他端は、以下でより詳細に説明される駆動機構により支持され且つ回転できるようにされる。
【0044】
攪拌機60は更に、この実施形態では本体62から半径方向外向きに突出するブリストル66の形態の表面係合要素を備える。ブリストル66は、1つ又はそれ以上の螺旋形で本体62に沿って規則的な間隔で構成されるのが好ましい複数のクラスター状に構成される。ブリストル66は、電気絶縁性のプラスチック材料から形成されるのが好ましい。或いは、ブリストル66の少なくとも一部は、カーペット敷き床面上に滞留する何れかの静電気を放電させるために、金属又は複合材料から形成してもよい。
【0045】
図5から図8、及び図9(a)は、床ツール10の主本体12に対して攪拌機60を回転させる駆動機構70を示す。駆動機構70は、タービンチャンバ74内に配置された空気タービン組立体72を備える。タービンチャンバ74は、主本体12の後方部20の一方側に接続され、好ましくはこれと一体化された内側部76と、該内側部76の端部に接続された外側部78とを備える。外側部78は空気入口80を備え、床ツール10が接続された真空掃除用電気器具のファンユニットを作動させることにより、タービンチャンバ74に空気を吸い込むことができる。汚れ及び埃がタービンチャンバ74に進入するのを阻止するために、メッシュスクリーンのような多孔性カバー81を空気入口80上に配置してもよい。
【0046】
タービンチャンバ74を通過する空気は、主本体12の後方部20から導管14bに向けて後方に延びる空気ダクト82に排出される。空気ダクト82は、主本体12を通る吸引通路の一部を形成すると考えることができる。空気ダクト82は、主本体12の空気出口86から空気流を受け取る入口部84と、タービンチャンバ74から排出される空気流を受け取るための側部入口88とを備える。メッシュスクリーン89は、側部入口88からタービンチャンバ74への汚れの進入を阻止するために側部入口89に隣接して設けることができる。空気ダクト82の入口部84は、主本体12からの空気流の流量調整のための流量制限を可能にし、よって、入口部84の出口オリフィスのサイズが、吸引開口36を通って床ツール10に流入する空気の流量とタービンチャンバ74の空気入口80を通って床ツール10に流入する空気の流量との比を決定付ける。例えば、出口オリフィスが比較的小さい場合、空気入口80を通って床ツール10に流入する空気の流量は、吸引開口36を通って床ツール10に流入する空気の流量よりも大きくなる。このことにより、攪拌機60が比較的高速度で回転するよう駆動されるが、吸引開口36における吸引のレベルは比較的低い結果となる。他方、出口オリフィスが比較的大きい場合には、空気入口80を通って床ツール10に流入する空気の流量は、吸引開口36を通って床ツール10に流入する空気の流量よりも小さくなる。このことにより、攪拌機60が比較的低速度で回転するよう駆動されるが、吸引開口36での吸引のレベルは比較的高い結果となる。従って、入口部84の形状は、吸引開口36での攪拌機60の回転速度と吸引の所望の組み合わせを提供するように選ぶことができる。
【0047】
タービンチャンバ74から排出される空気流は、空気ダクト82の入口部84から直ぐ下流側に配置された同伴チャンバ90において主本体12から排出される空気流と統合される。これは、ダクト82の入口部84により定められる流量制限部から直ぐ下流側に渦流領域又は他の空気循環領域が生成されるのを阻止する。
【0048】
ダクト82は、同伴チャンバ90から下流側に配置される出口部91を有する。ダクト82の出口部91の入口オリフィスは、入口部84のダクト82の出口オリフィスとは反対側に配置され、そこを通る空気流に直交し、入口部84のダクト82の出口オリフィスよりも大きい断面を有する。空気ダクト82の出口部91は、導管14の入口部92に接続される。導管14はまた出口部94を備え、該出口部94は、ホース、真空掃除用電気器具のワンド又は他のダクト、並びに入口部92と導管14の出口部94との間に接続された可撓性ダクト96を備える。導管14は、ホイール98のペアにより支持される。
【0049】
タービン組立体72は、共に回転するためにインペラ駆動シャフト102と一体的に、又はその上に装着されたインペラ100を備える。例えば、インペラ100は、インペラ駆動シャフト102に装着されるか、又は該シャフトを押圧することができる。インペラ100は、該インペラ100の外周部の周りに構成された等距離インペラブレード107の円周アレイを備える。インペラ100は、単一部品であってもよく、或いは、インペラブレード104のアレイを各々支持するシート材料の2つ又はそれ以上の環状部から組み付けることもできる。これらのシート材料の部は、上下に共に接合してインペラ100を形成することができ、1つの環状部のブレードは、他の環状部のブレードと交互に構成される。
【0050】
インペラ駆動シャフト102は、タービン組立体72のステータ110内に回転可能に装着される。ステータ110は、ステータブレード112の第1の環状アレイを備え、該ステータブレード112は、インペラ駆動シャフト102が挿入される環状ステータ本体114の外周部の周りに円周方向に構成される。ステータ本体114は、インペラ100と実質的に同じ外径を有し、ステータブレード112は、インペラブレード104と実質的に同じサイズである。インペラ駆動シャフト102は、軸受116,118によりステータ本体114のボア内に支持され、インペラブレード104がステータブレード112に対向して配置されるようになる。ステータ本体114は、円筒形ステータハウジング120により囲まれ、該ハウジング120は、ステータ本体114と共に、ステータブレード112が配置される環状チャンネルを定める。ステータブレード112、ステータ本体114、及びステータハウジング120は、単一部品として好都合に形成することができる。環状の弾性支持部材122は、ステータハウジング120の外面とタービンチャンバ74の内面との間にシールを形成する。支持部材122の弾性は、タービン組立体72からタービンチャンバ74への振動の伝達を最小限にするよう選択される。ステータ110は更に、インペラ100から遠隔にあるステータ本体114の端部上に装着されるノーズコーン124を備える。ノーズコーン124は、ステータブレード112の第1のアレイと同様のサイズで且つこれと隣接して配置されるステータブレード126の第2の環状アレイを含む。ノーズコーン124の外面は、空気流をステータ本体114とステータハウジング120との間の環状チャンネル内に誘導するような形状にされる。
【0051】
ステータハウジング120は、円筒形インペラハウジング130に接続され、且つこれと一体化されるのが好ましく、該円筒形インペラハウジング130は、インペラ100と共に、インペラブレード104が配置される環状チャンネルを定める。次いで、インペラハウジング130は、タービン出口導管134に接続され、且つこれと一体化されるのが好ましく、該タービン出口導管134は、空気ダクト82上に装着されて、タービン出口導管134の出口が空気ダクト82の側部入口88を囲むようになる。環状シール部材136は、空気ダクト82の側部入口88とタービン出口導管134との間にシールを形成する。
【0052】
駆動機構70は更に、インペラ100と共に回転するために、インペラ駆動シャフト102とは反対側のインペラ100の側部上に装着されたギアを備える。第1のベルト142(図7に示す)は、駆動シャフト146の一方端上に装着された駆動プーリー144にギア140を接続する。駆動機構70のこの部分内における汚れ及び埃の進入を阻止するため、及び駆動機構70とのユーザの接触を阻止するために、第1のベルト142、駆動プーリー144、及び駆動ヘッド146は、駆動ハウジング150内に収容される。好ましくは、駆動ハウジング150は、インペラハウジング130と一体化される。
【0053】
駆動ヘッド146は、主本体12の後方部20内に配置され、軸線Aに実質的に平行である。駆動ヘッド146は、好ましくは駆動ハウジング150と一体化される駆動シャフトハウジング152内に収容される。第1の従動プーリー154は、駆動ヘッド146の他端に接続される。第1の従動プーリー154は、第2のベルト158によってより大きな第2の従動プーリー156に接続される。ベルトカバー160は、第2のベルト158の周りに部分的に延びる。駆動ドッグ162は、攪拌機60の本体62への接続のため第2の一方側上に装着される。
【0054】
その結果として、導管14の出口部94に取り付けられた、真空掃除用電気器具内に収容されるモータ駆動ファンユニットの作用により、空気流がタービンチャンバ74を通って吸い込まれると、インペラ100は、空気流によりタービンチャンバ74に対して回転される。インペラ100が回転することにより、第1のベルト144によって駆動プーリー142が回転するようになる。駆動プーリー142の回転は、駆動ヘッド146及び第1の従動プーリー154を回転させ、該第1の従動プーリー154の回転により第2の従動プーリー156が回転するようになる。第2の従動プーリー156の回転は、主本体12に対する攪拌機60の回転をもたらすことになる。
【0055】
攪拌機60は、ファンユニットの作動中に、ステータ本体114の外面とステータハウジング120との間に配置された環状チャンネルへの入口を選択的に閉鎖してタービンチャンバ74を通る空気流を阻止することにより、主本体12に対して攪拌機60が固定される非作動状態にすることができる。タービンチャンバ74を通る空気流を阻止することにより、インペラ100がタービンチャンバ74に対して回転することができず、これにより駆動機構70は、主本体12に対して攪拌機60を回転させることができない。
【0056】
図8及び図9(a)に戻って参照すると、タービンチャンバ74は、環状チャンネルへの入口を閉鎖してタービンチャンバ74を通る空気流を阻止するために弾性タービンシール170を収容する。タービンシール170は、一般に、一方端で支持部材122に接続され、他方端において、図9(b)に示されるタービンチャンバ制御組立体174の環状部材172に接続されたスリーブの形態である。タービンシール170の外面は、環状部材172に接続される前に、該環状部材172の内側半径方向外周、外側端壁、及び外側半径方向外周の周りを通る。
【0057】
制御組立体174は、空気ダクト82内の空気圧力の変化を利用して、タービンチャンバ74に対するタービンシール170の移動を生じさせる。従って、環状部材172は、攪拌機60の状態の変化を作動させるための制御組立体174のアクチュエータを提供する。制御組立体174は、タービンチャンバ74への空気ダクト82の反対側に配置されたシャーシ178内に含まれる圧力チャンバ176を備える。シャーシ178は、主本体12の後方部20の他の側部に接続され、好ましくはこれと一体化される内側部180と、内側部180の端部に接続される外側部182とを備える。シャーシ178の外側部182は中央開口部184を含む。
【0058】
圧力チャンバ176は、タービンチャンバ74と圧力チャンバ176との間に延びる導管192により空気ダクト82と流体連通状態にされる。導管192は、空気ダクト82に直接接続することができるが、タービンチャンバ74への汚れの進入を防ぐためのメッシュスクリーン81,89が存在することにより、空気ダクト82がタービンチャンバ74に接続されたときに圧力チャンバ176への汚れの流入も阻止されるので、導管192をタービンチャンバ74に接続することが好ましい。圧力チャンバ176は、第1のチャンバ部194及び第2のチャンバ部196を備える。第1のチャンバ部194は、シャーシ178の外側部182の中央開口部184内に配置される端壁198と、第1のチャンバ部194がシャーシ178に固定されるようにシャーシ178の外側部182の内面と締まり嵌めを形成する環状外側側壁200とを備える。第1のチャンバ部194は更に、外側側壁200とほぼ同軸の第1の円筒形内側側壁202と、第1の内側側壁202とほぼ同軸で且つこれを囲む第2の円筒形内側側壁203とを備える。第2のチャンバ部は、第1のチャンバ部194の端壁198の反対側に配置され、且つこれとほぼ平行な端壁204と、階段状の環状側壁206とを備える。
【0059】
可撓性の環状シール部材は、ゴム又は同様の弾性特性を有する他の材料から形成されたスリーブ208の形態が好ましく、第1のチャンバ部194と第2のチャンバ部196の両方に接続されてこれらの間に気密シールを形成し、更に、第2のチャンバ部196を第1のチャンバ部194と相対的に移動させて圧力チャンバ176の容積を可変にすることができる。スリーブ208の一方端210は外側側壁200の外面に接続され、スリーブ208の他方端212は側壁206の外面に接続され、スリーブ208が側壁200、206を囲むようにする。
【0060】
以下でより詳細に検討するように、圧力チャンバ176は、該圧力チャンバ176の形態を制御する制御機構を収容する。制御機構は、第1のチャンバ部194に接続された環状軌道キャリア214を備える。軌道キャリア214は、環状端壁216、ほぼ円筒形の内壁218、及びほぼ円筒形の外壁220を備える。軌道222は、外側壁220の外面上に配置される。軌道キャリア214は、該軌道キャリア214の端壁216が、第1のチャンバ部194の端壁198に隣接するように第1のチャンバ部194の内壁202,203間に挿入される。軌道キャリア214は、ネジ224又は他の好適なコネクタを用いて第1のチャンバ部194に固定される。
【0061】
制御組立体174は更に、図8、図9(a)、及び図9(b)に示すように、制御組立体174は更に、圧力チャンバ176を拡張形態に向けて押し付けるため、好ましくは圧縮コイルバネの形態の複数の弾性部材を備える。第1のバネ226は、軌道キャリア214の端壁216を係合する第1の端部と、第1のチャンバ部194と第2のチャンバ部196との間に配置された管状バネ保持具228の周りに延びる第2の端部とを有する。バネ保持具228は、その外面上に配置される第1の環状バネ当接部材230を有し、圧力チャンバ176が図9(a)に示す形態にあるときに第1のバネ226の第2の端部から法線方向に離間して配置される。バネ保持具228はまた、その内面上に配置された第2の環状バネ当接部材232を有する。第2のバネ234は、第2のチャンバ部196の端壁204を係合する第1の端部と、第2の環状バネ当接部材232を係合する第2の端部とを有する。従って、第2のバネ234は、バネ保持具228から、従って第1のチャンバ部194から離れる方向に第2のチャンバ部196を押し付けるよう機能する。バネ保持具228は、第1の環状バネ当接部材230から遠隔にあるバネ保持具228の環状端部に向かって第2の環状バネ当接部材232から延びる複数のスロットを備える。保持具クリップ235は、ネジ224により軌道キャリア214の内壁218の端部に固定される。バネ保持具228は、保持具クリップ235の周りに延びる。保持具クリップ235は、180度反対向きの突起(図示せず)のペアを備え、これらは、半径方向外向きに延び、各々がバネ保持具228内のそれぞれのスロットを通過する。突起とバネ保持具228の環状端部との間の係合により、バネ保持具228が図9(a)に示す位置を越えて軌道キャリア214から移動するのが阻止される。
【0062】
軌道キャリア214の外側壁220の一部が、図11(a)から図11(f)により詳細に示されている。軌道キャリア214は、該軌道キャリア214の外側壁220上に形成された一連の不規則な相互接続溝の形態の軌道222を備える。軌道222は、軌道キャリア214の外側壁220の周りに円周方向に構成された複数の相互接続軌道部(この実施例では5つの軌道部)に分割される。複数のピン236、この実施例では5つのピンが軌道222に沿って移動可能である。ピン236は、72°の角度で互いに角度方向に離間され、何れの時点でも各ピン236がそれぞれの軌道部内に配置されるようになる。図9(a)に戻って参照すると、ピン236は、制御機構の環状軌道従動部の内面の周りに構成される。軌道従動部238は、第2のチャンバ部196に取り付けられた保持リング240により保持され、軌道従動部238が第2のチャンバ部196及び軌道キャリア214の両方に対して回転可能であり、軌道キャリア214に対して軸方向に移動可能であるようにする。軌道従動部238は、環状ディスク242により保持リング240に押し付けられ、環状ディスク242は、該環状ディスク242と第2のチャンバ部196との間に配置された第3のバネ244により軌道従動部238に押し付けられる。
【0063】
図9(b)に戻って参照すると、制御組立体174は、第2のチャンバ部196を環状部材172に接続するための複数の相互接続アーム250、252を備える。2つの第1のアーム250は各々、その一方端にて、第2のチャンバ部196の端壁204上にある180度反対向きの2つの位置のそれぞれに接続される。第1のアーム250の各々は、空気ダクト82の上部表面を越えてタービン組立体72に向かって延びる。各第1のアーム250は、局所的に拡大された末端部分254を有する。2つの第2のアーム252は各々、その一方端にて、環状部材172上の180度反対向きの2つの位置のそれぞれに接続される。各第2のアーム252は、タービン組立体72,空気ダクト82、及び第1のアーム250を越えて圧力チャンバ176に向かって延びる。環状部材172から遠隔にある第2のアーム252の端部は、作動コネクタ256により接続される。スロット258は、第1のアーム250と第2のアーム252との間の相対移動を許容しながら、それぞれの第1のアーム250の末端部分254を保持するため各第2のアーム252の他方端に向けて配置される。第2のアーム252は、第4のバネ260により圧力チャンバ176から離れるように付勢され、その結果、真空掃除用電気器具のファンユニットがスイッチオフに切り換えられたときには、第4のバネ260は、図8及び図9(a)に示す拡張形態に向けてタービンシール170を押し付けるようになり、この場合、タービンシール170の内面はノーズコーン124の外面から離間して配置され、空気流がタービンチャンバ74を通ることができるようにする。第4のバネ260は、シャーシ178の外側部182と、コネクタ256の一部を形成する環状バネ保持具262との間に配置される。
【0064】
導管192は、複数の接続パイプ又は管体から形成することができる。図10を参照すると、導管192は、タービン出口導管134と一体化され、タービンチャンバ74と流体連通した入口パイプ270を備える。入口パイプ270の端部は、同伴チャンバ90及び空気ダクト82の入口84の下を通過する接続管体272の一方端に挿入される。接続管体272の他方端は、導管192の出口パイプ274の端部を受ける。出口パイプ274は、圧力チャンバ176の第1のチャンバ部194と一体化される。結果として、圧力チャンバ176内の空気圧は、タービンチャンバ74の空気圧と実質的に等しくなり、空気ダクト82内の空気圧の変化に伴って変動することになる。シャーシ178は気密シールされていないので、圧力チャンバ176を囲む空気圧は、大気圧又はその付近に維持されることになる。
【0065】
上述のように、図8、図9(a)及び図9(b)は、床ツール10が真空掃除用電気器具から接続解除されたとき、又は真空掃除用電気器具がスイッチオフに切り換えられたときに電気器具のファンユニットによって生成される空気流が存在しないようにする制御組立体174の構成を示している。この構成において、圧力チャンバ176内の空気圧は、圧力チャンバ176の外部の空気圧と同じである。圧力チャンバ176内の2つのバネ226,234は拡張形態の状態にあり、第1のチャンバ部194から離れるように第2のチャンバ部196を押し付け、その結果圧力チャンバ176が拡張形態になる。第1のバネ226のバネ定数は、第2のバネ234のバネ定数よりも少なくとも4倍大きいのが好ましい。次いで、第3のバネ244のバネ定数は、第1のバネ226のバネ定数よりも大きい。この形態における圧力チャンバ176では、制御組立体174の第2のアーム252は、第4のバネ260によって図9(b)に示す位置に向けて押し付けられ、ここでタービンシール170の内面がノーズコーン124の外面から離間して配置され、タービンチャンバ74の空気入口80から空気ダクト82に空気が通過できるようになる。
【0066】
真空掃除用電気器具がオンに切り換えられると、電気器具のファンユニットの回転により、第1の空気流が吸引開口36を通じて床ツール10の主本体12に吸い込まれ、第2の空気流が空気入口80を通じてタービンチャンバ74に吸い込まれるようになる。上記で検討したように、タービンチャンバ74を通る空気の流れにより、攪拌機60が床ツール10の主本体12に対して回転するようになる。第1及び第2の空気流は、空気ダクト82の同伴チャンバ90内で統合され、床ツール10の導管14を通って導管14の出口部94に流れる。
【0067】
床ツール10を通って空気が吸い込まれると、導管192の入口パイプ270における圧力は、大気圧から相対的に低い第1の準大気圧まで低下する。結果として、圧力チャンバ176の内部空気の圧力もまた、この相対的に低い圧力まで低下する。圧力チャンバ176の周囲の空気が大気圧又はその付近に維持されると、圧力チャンバ176内部の空気と圧力チャンバ176外部の空気との間の圧力差は、第2のチャンバ部196を第1のチャンバ部194に向けて押し付ける力を発生させる。
【0068】
第1のチャンバ部194に向かう第2のチャンバ部196の初期移動により、第2のチャンバ部196の端壁204が、第2のバネ234の付勢力に抗してバネ保持具228に向かって移動するようになる。第2のチャンバ部196の端壁204がバネ保持具228を係合するまで、第2のバネ234は第2のチャンバ部196とバネ保持具228との間で圧縮される。次いで、第1のチャンバ部194に向かう第2のチャンバ部196の移動により、バネ保持具228が第1のチャンバ部194に向かって第2のチャンバ部196と共に移動し、第1のバネ当接部材230が第1のバネ226を係合するようになる。第1のバネのバネ定数226は、導管192入口パイプ270における圧力が比較的低い第1の準大気圧にあるときに、第2のチャンバ部196に働く力の作用によって第1のバネ226が圧縮可能であるように選択され、他方、第3のバネのバネ定数244は、導管192の入口パイプ270における圧力が比較的低い第1の準大気圧にあるときに、第2のチャンバ部196に働く力の作用によって第3のバネ244が比較的圧縮できないように選択される。
【0069】
第2のチャンバ部196が第1のチャンバ部194に向かって移動すると、軌道従動部238のピン236は、軌道キャリア214の軌道222に沿って図11(a)に示す位置P1から図11(b)に示す位置P2まで移動する。より詳細には、ピン236の全ての移動を例証するためにピン236のうちのピン236aを参照すると、最初に、ピン236aは、該ピン236aが湾曲壁280に当接するまで軌道222に沿って軸方向に、すなわち環状軌道キャリア214の長手方向軸線の方向に移動する。軌道従動部238が軌道キャリア214の周りを回転可能であるので、ピン236aは、該ピン236aが位置P2に位置するまで、圧力チャンバ176の第2のチャンバ部196に加わる力の作用により湾曲壁280に沿って移動することができる。この位置P2において、軌道222の形状により、第1のチャンバ部194に向かう第2のチャンバ部196の軸方向の更なる移動が阻止され、その結果、圧力チャンバ176が完全に収縮した位置に移動できなくなる。従って、相対的に低い第1の準大気圧が入口パイプ270で維持される間、ピン236は位置P2に留まる。以上から、制御機構は、圧力チャンバ176の完全に収縮した形態への移動が阻止される第1の状態にあるとみなすことができる。
【0070】
図12(a)及び図12(b)は、ピン236が位置P2にあるときの制御組立体174の構成を示している。圧力チャンバ176は第1の部分的に収縮した形態の状態にあり、ここでは第1の環状バネ当接部材230が第1のバネ226の端部を係合して第1のバネ226を部分的に圧縮し、第2のバネ234は完全に圧縮されている。第1のチャンバ部194への第2のチャンバ部196の移動では、制御組立体174の第1のアーム250は、第2のアーム252に対して相対移動する。第1のアーム250の各々の末端部分254は、それぞれのスロット258の端部264に向かって移動するが、ピン236が軌道222の位置P2に達するまではスロット258の端部264には接触しない。第4のバネ260の付勢力は、第1のアーム250が第2のアーム252に対して相対移動するときに、第2のアーム252が第1のアーム250と共に移動しないように選択される。従って、制御組立体174が第1の部分的に収縮した形態の状態である場合、タービンシール170の内面は、ノーズコーン124の外面から離間して維持され、タービンチャンバ74を通る空気流を許容し、その結果、攪拌機60が床ツール10の主本体12に対して連続して回転するようになる。
【0071】
上記で検討したように、床ツール10がカーペット敷き床面上に配置されると、ホイール48,50は、床ツール10の重量及び床ツール10を通過する空気と外部環境との間の圧力差に起因して床ツール10に下方に作用する力によって、カーペット敷き床面の繊維内に押し込まれる。これによりソールプレート26の作動縁部42,44が床面の繊維と接触し、床ツール10が床面上を操作されたときに作動縁部42,44によって繊維が攪拌されるようになる。攪拌機60のブリストル66の長さは、タービン組立体72により攪拌機60が回転したときに、ブリストル66の先端により掃かれる容積が作動縁部42,44を越えて下方に突出し、ブリストル66もまた床面の繊維を確実に攪拌できるように選択される。
【0072】
引き続き床ツール10がカーペット敷き床面から硬質床面に移動すると、ブリストル66の長さによっては、ブリストル66が硬質床面と接触して、その上を掃く場合がある。硬質床面の性質によっては、床ツール10が硬質床面上に移動する前に攪拌機60の回転を阻止し、ブリストル66の回転による床面の傷付き又はマーク付けを防ぐと共に、汚れ及びデブリを床ツール10に吸い込むための吸引開口36を通る主本体12への空気流を維持することが望ましい場合がある。
【0073】
上述のように、主本体12に対する攪拌機60の回転は、タービンチャンバ74を通る空気流を選択的に防ぐことによって阻止される。タービンチャンバ74を通る空気流を阻止することにより、タービン組立体72のインペラ100に働く回転駆動力を排除し、その結果、攪拌機60に働く回転駆動力が排除され、これにより攪拌機60を停止させる。
【0074】
攪拌機60の作動回転状態から非作動の静止状態への移行は、圧力チャンバ176内の一時的な空気圧を変えることにより実施される。更にこのことは、タービンチャンバ74及び導管192を介して圧力チャンバ176に接続される空気ダクト82内の一時的な空気圧を変えることにより実施される。空気ダクト82内の圧力は、弁組立体300を作動させて、外部環境からの空気を床ツール10の導管14の出口部94から真空掃除用電気器具のファンユニットに延びる流路に流入させることによって変化する。図13(a)に示すように、この実施形態において弁組立体300は、ワンド304の第1の端部に接続されるハンドル302上に配置される。床ツール10は、ワンド304の他方端に接続される。図13(b)に示すように、ハンドル302は、真空掃除用電気器具402のホース400に接続される。電気器具402は、ホース400から受け取った空気流から汚れ及び埃を除去する分離装置404(好ましくはサイクロン分離装置)と、電気器具402を通る空気流を吸い込むために電気器具402の主本体408内に配置されるファンユニットとを含む。
【0075】
図14(a)から図14(d)を更に参照すると、ハンドル302は、ハンドル本体6と、ハンドルカバー308とを備え、ユーザが把持するよう構成される握り部310を共に定める。握り部310は、ハンドル本体306の前方管状部312と後方部314との間を延びる。ハンドル302の前方部312は、ワンド304の第1の端部に接続され、ワンド304からの空気流を受け取る空気入口316を備える。ハンドル302は更に、ハンドル本体306の前方部312と後方部314との間に接続されて相対的に回転するための円筒形回転可能部318を備える。ハンドル302の空気出口319は、空気流を真空掃除用電気器具402の分離装置404に搬送するようホース400に接続するために回転可能部318の側壁から外向きに延びる。
【0076】
以下でより詳細に検討するように、弁組立体300は、第1の弁320及び第2の弁322を備える。第1の弁320は、第2の弁322の外周の周りに延びて、これを支持する。第1の弁320及び第2の弁322は、ハンドル本体306の前方部312内、好ましくはハンドル302の握り部310の真下に形成された比較的大きな第1の開口部324を閉塞するよう構成される。第2の弁322は、第1の弁320内に形成された比較的小さな第2の開口部326を閉塞するよう構成される。図14(d)に示すように、この第2の開口部326は、第1の開口部324の上に配置され、そのため、第2の弁322は、第1の開口部324の比較的小さな部を閉塞すると考えられ、第1の弁320は、第1の開口部324の比較的大きな部を閉塞すると考えることができる。従って、開口部324,326の各々は、ハンドル302を通過する空気流に大気中空気を流入させるよう構成される。
【0077】
弁組立体300は、第1の弁320及び第2の弁322をハンドル本体306に対して移動させるよう作動する。以下で検討するように、第1の弁320及び第2の弁322を同時に移動させて、第1の開口部324を露出させることができ、他方、第2の弁322を第1の弁320とは別個に移動させて、第2の開口部326を露出させることができる。換言すると、第2の弁322は、第2の開口部326が閉塞される閉鎖位置と、第2の開口部326及びその結果第1の開口部324の一部が露出される開放位置との間で第1の弁320に対して移動させることができる。他方、第1の弁320は、第1の開口部324が閉塞される閉鎖位置と、第1の開口部324が完全に露出される開放位置との間で第2の弁322と同時に移動可能である。
【0078】
次に、図14(b)及び図14(d)を特に参照すると、弁組立体300は、弁320,322をこれらの閉鎖位置と開放位置との間で移動させるための弁駆動機構330を備える。弁駆動機構330は、ハンドルカバー308と該ハンドルカバー308に接続可能な弁駆動カバー334との間に配置されるハウジング332内に配置される。弁駆動機構330は、ハウジング332から上向き且つ外向きに突出するボタン336の形態の第1のアクチュエータを備える。ボタン336は、ユーザがハンドル302の握り部310を把持している手の親指を用いて、図14(a)に示す上昇位置から図15(a)及び図15(b)に示す下降位置まで握り部310に対して滑動するように押下げることができる。ボタン336は、ボタン336を係合する第1の端部と、ハンドルカバー308に接続され、好ましくは一体化されるバネ当接部材340を係合する第2の端部とを有する第1のハンドルバネ338により上昇位置に向けて付勢される。
【0079】
弁駆動機構330は更に、ハンドルカバー308に接続されたスピンドル344上に装着される複合ギア342を備える。複合ギア342の歯346の第1のセットは、駆動ラック348上に配置された歯のセットと噛み合う。ラッチ350は、ボタン336と駆動ラック348との間に延びて、駆動ラック348が上昇位置と下降位置との間をボタン336と共に移動するようにする。従動ラック352は、駆動ラック348に対して複合ギア342の反対側に配置される。従動ラック352は、駆動ラック348及び従動ラック352が複合ギア342の回転に伴って反対方向に移動するように、複合ギア342の歯354の第2のセットと噛み合う歯のセットを有する。従動ラック352は、その下側端部に配置される第1の弁駆動部材356と、その上側端部に配置される第2の弁駆動部材358とを備える。第1の弁320は、第1の弁駆動部材356から法線方向に離間して配置される第1の弁リッジ360を備える。第2の弁322は、第2の弁リッジ362を備え、該第2の弁リッジは、バネ当接部材340と第2の弁リッジ362との間に延びる第2のハンドルバネ364により第2の弁駆動部材358に押し付けられる。
【0080】
弁組立体300を作動させるためには、ユーザは、ボタン336が上昇位置から下降位置に向けて移動するようにボタン336を押下げる。ボタン336のその下降位置に向かう移動により、駆動ラック348がハンドル本体306の前方部312に向かって下方に移動して複合ギア342を回転させ、その結果、従動ラック352がハンドル本体306の前方部312から離れて上方に移動することになる。第2の弁駆動部材358が第2の弁リッジ362と接触状態になると、従動ラック352の移動により、第1の弁駆動部材356が第1の弁リッジ360を係合するまで第2の弁322が第2の開口部326から離れて上方に移動する。第1の開口部324を完全に露出させる第1の弁320の移動の前に、この第1の弁320よりも前の第2の弁322の移動により第2の開口部326を通してハンドル302に少量の周囲空気を抽気することが可能になる。このハンドル302への周囲空気の流出により第1の弁320にわたる圧力差が低下する。これにより、この圧力差に起因して、第1の弁320をハンドル302に押し付ける第1の弁320に働く力が低下し、従って、第1の弁320をハンドル302から離れるように移動させて第1の開口部324を露出させるのに必要な力が低下する。ボタン336がその下降位置に向かって移動するときに複合ギア342の回転が持続すると、第1の弁駆動部材356が第1の弁リッジ360を係合して、図15(a)及び図15(b)に示すようにハンドル302から離れている第2の弁322と同時に第1の弁320を引き上げ、第1の開口部324を完全に露出させてハンドル302を通過する空気流に周囲空気を流入させる。
【0081】
ユーザが弁組立体300を操作して第1の開口部324を露出させると、ワンド304内の空気圧が増大し、よって空気ダクト82内の空気圧が増大する。このことは、空気ダクト82と流体連通したタービンチャンバ74内の空気圧もまた、相対的に低い第1の準大気圧から相対的に高い第2の準大気圧まで増大することを意味している。この結果、圧力チャンバ176内部の空気の圧力が増大する。更に、圧力チャンバ176内部の空気と圧力チャンバ176外部の空気との間の圧力差の減少に起因して、第2のチャンバ部196に働く力が低下する結果となる。
【0082】
図11(b)及び図11(c)を参照すると、軌道キャリア214の軌道222は、軌道従動部238のピン236が位置P2から軸方向に離れて位置P1に向かって戻ることが可能な形状にされる。第1のバネのバネ定数226は、部分的に圧縮されたバネ226の力が第2のチャンバ部196に働く低下した力よりも大きく、その結果、第1のバネ226が第1のチャンバ部194から離れて拡張形態に向けて第2のチャンバ部196を押し付けることができるように選択される。この結果として図16(a)を更に参照すると、第1のバネ226の付勢力により、バネ保持具228及び第2のチャンバ部196は、バネ保持具228の環状端部が保持具クリップ235の突起を係合するまで、第1のチャンバ部194から離れるように移動される。これにより、第1のチャンバ部194から離れるバネ保持具228の更なる移動が阻止される。他方、第2のバネのバネ定数234は、加圧された第2のバネ234の力が第2のチャンバ部196に働く低下した力よりも小さく、よって、第2のチャンバ部196がバネ保持具228に押し付けられる圧縮形態に第2のバネ234が維持されるように選択される。圧力チャンバ176は、図12(a)に示すような第1の部分的に収縮した形態から、図16(a)に示すような第2の部分的に収縮した形態に移動したとみなすことができる。
【0083】
ピン236が位置P2から離れて移動すると、各ピン236は、軌道222の傾斜壁282を係合し、軌道キャリア214に対する軌道従動部238の回転方向及び軸方向移動により壁282に沿って移動する。軌道キャリア214に対する軌道従動部238の移動が停止すると、ピン236は、保持具クリップ235の突起とのバネ保持具228の端部の係合に起因して、図11(c)に示す位置P3にある。図16(b)に示すように、第1のチャンバ部194から離れる第2のチャンバ部196の移動は、第1のアーム250の各々の末端部分254がそれぞれのスロット258の端部から離間したまま維持されるので、タービン組立体72に対する第2のアーム252のどのような移動ももたらさない。タービンチャンバ74を通る空気経路は開放されたままであり、よって、タービン組立体72のインペラ100が引き続き回転し、攪拌機60の回転を駆動する。しかしながら、ここでは制御機構は第2の状態に変化しており、圧力チャンバ176が以下で検討するような完全に収縮した形態に移動できるようになる。
【0084】
本実施形態において、ユーザがボタン336を押下げている間、弁320は、引き続きその開放位置に留まる。ユーザによりボタン336が解除されると、第1のハンドルバネ338はボタン336をその上昇位置に向けて押し付け、第2のハンドルバネ364は、第2の弁リッジ362及び従動ラック352をハンドル本体306の前方部312に向けて下方に押し付ける。この結果、複合ギア342の逆回転が生じる。従動ラック352の下方への移動は、最初に、第1の弁320をハンドル本体306の前方部312と接触させて第1の開口部324を部分的に閉塞し、次いで、第2の弁322を第1の弁320と接触させて第2の開口部326を閉塞し、これにより第1の開口部324を完全に閉塞するようにする。第2のハンドルバネ364の力は、第2の弁322を第1の弁320に押し付けて、第2の弁322と第1の弁320との間、並びに第1の弁320とハンドル本体306の前方部312との間の気密シールを維持する。バネ338,364は、弁320,322の開放位置から閉鎖位置までの移動に数秒を要し、弁320,322によって開口部324,326が閉塞される前に第2の比較的高い準大気圧が確立できるように構成されるのが好ましい。
【0085】
弁320,322によって閉塞される第1の開口部324では、空気ダクト82内の空気圧が低下し、タービンチャンバ74及び圧力チャンバ176内の空気圧が相対的に低い第1の準大気圧に戻る。結果として、圧力チャンバ176内部の空気と圧力チャンバ176外部の空気との間の圧力差に起因して、第2のチャンバ部196に働く力が増大し弁組立体300の作動前のレベルにまで戻る。上述のように、第1のバネのバネ定数226は、部分的に圧縮された第1のバネ226の力が第2のチャンバ部196に働く大きな力よりも小さいように選択される。従って、図17(a)を参照すると、第2のチャンバ部196に働く力の作用により、バネ保持具228及び第2のチャンバ部196は、第1のバネ226の付勢力に抗して第1のチャンバ部194に向かって押し付けられる。
【0086】
図11(c)及び図11(d)を更に参照すると、軌道キャリア214の軌道222は、軌道従動部238のピン236が位置P3から離れて軸方向に移動できるような形状にされる。第2のチャンバ部196が第1のチャンバ部194に向かって進むときに、軌道従動部238の軌道キャリア214に対する回転及び軸方向移動を通じて、第2のチャンバ部196に加わる増大した力の作用によってピン236が位置P3から離れて移動すると、各ピン236は、軌道222の傾斜壁284を係合し、該壁284に沿って移動する。壁284の端部では、各ピン236が軌道222の軸方向に延びるスロット286に入り、これによりピン236が軌道キャリア214に沿って迅速に移動できるようになる。
【0087】
第1のチャンバ部194に向かう第2のチャンバ部196の移動では、第1のアーム250の末端部分は、各々がそれぞれのスロット258の端部264を係合するようにスロット258に沿って移動する。第4のバネのバネ定数260は、第4のバネ260の力が第2のチャンバ部196に働く増大した力よりも小さいように選択される。従って、図17(a)及び図17(b)を参照すると、第2のチャンバ部196が第1のチャンバ部194に向けて引き続き進むと、第2のチャンバ部196に働く力の作用によって、第4のバネ260が圧縮されて、第2のチャンバ部196の第1のアーム250により第2のアーム252を圧力チャンバ176に向かって引き寄せることができる。図17(a)に示すように、圧力チャンバ176に向かう第2のアーム252の移動により、制御組立体174の環状部材172は、シール170の内面がノーズコーン124の外面を係合するまでタービン組立体72に向かって移動する。シール170の内面とノーズコーン124の外面との接触により、第1のチャンバ部194に向かう第2のチャンバ部196の更なる移動が阻止される。従って、圧力チャンバ176は、シール170の内面がノーズコーン124の外面を係合するときには完全に収縮した形態にあるとみなすことができる。圧力チャンバ176が完全に収縮した形態にあるときには、第1のバネ226、第2のバネ234、及び第4のバネ260は、全て完全に圧縮された形態にあり、軌道従動部238のピン236は、図11(d)に示す位置P4にあり、ここでは各ピン236が軌道222のそれぞれのスロット286の端部に向けて配置される。第3のバネ244は拡張形態のままである。
【0088】
シール170の内面とノーズコーン124の外面との間の係合は、ステータ本体114とステータハウジング120との間の環状チャンネルを閉鎖し、これによりタービンチャンバ74を通る空気流が阻止される。タービンチャンバ74を通る空気流が存在しないことにより、インペラブレード104に加わる駆動力が排除され、よって、インペラ100の回転速度ひいては攪拌機60の回転速度が漸次的にゼロに減少する。シール170にわたる圧力差は、シール170の内部付勢に抗してシール170をノーズコーン124に押し付けて、タービンチャンバ74を通る空気流を阻止する力を発生する。
【0089】
主本体12に対する攪拌機60の回転を再始動するために、ユーザは、弁組立体300を作動させて外部環境からの空気を流路に流入させる。流路への空気の流入により、空気ダクト82内の空気圧が増大し、その結果、空気ダクト82に共に接続されるタービンチャンバ74及び圧力チャンバ176内の空気圧が増大する。タービンチャンバ74内の空気圧の増大により、シール170にわたる圧力差に起因してシール170に働く力が減少し、他方、圧力チャンバ176内の空気圧の増大により、外側チャンバ194に向かって第2のチャンバ部196を押し付ける力が減少し、その結果、駆動機構174によりシール170に加わる力が減少する。シール170に働く力の減少によって、第4のバネ260がシール170をその拡張形態に迅速に戻すことができ、ここでシール170の内面はノーズコーン124から離間して配置される。これにより、空気流が空気ダクト82に向かってタービンチャンバ74を通過し、タービンチャンバ74内のインペラ100の回転を駆動し、従って、主本体12内の攪拌機60の回転を駆動することができる。
【0090】
シール170の拡張形態への復帰は制御組立体174によって阻止されない。第4のバネ260の拡張形態への移動により、第2のアーム252がタービン組立体72に向けて第1のアーム250を引き寄せ、その結果、第1のアーム250は、圧力チャンバ176内部の空気と圧力チャンバ176外部の空気との間の圧力差に起因した第2のチャンバ部196に働く低減された力に抗して、第1のチャンバ部194から離れるよう第2のチャンバ部196を引き寄せるようになる。ピン236が軌道222のスロット286の端部に向かって配置されると、ピン236は、位置P4から離れてスロット286に沿って妨げられることなく自由に移動できる。
【0091】
タービンチャンバ74を通って流れる空気では、タービンチャンバ74内の圧力は、第2の比較的高い準大気圧に戻る。上記で検討したように、第2のチャンバ部196に働く力の減少により、図16(a)に示すように第1のバネ226の力が圧力チャンバ176をその第2の部分的に収縮した形態に復帰させることができ、ここでバネ保持具228の環状端部が保持具クリップ235の突起を係合する。図11(d)及び図11(e)を参照すると、圧力チャンバ176がこの形態に戻ると、軌道従動部238の各ピン236は、該ピン236が軌道222のそれぞれの傾斜壁288を係合するまで、それぞれのスロット286に沿って軸方向に移動する。軌道従動部238の軌道キャリア214に対する軸方向と回転方向の移動を組み合わせることにより、ピン236が壁288に沿って移動する。壁288の端部では、各ピン236は、軌道222の軸方向に延びるスロット290に入り、これによりピン236が軌道222に沿って位置P5に移動することができる。ピン236は、保持具クリップ235の突起とバネ保持具228の端部との係合に起因して位置P5を越えて移動しない。位置P5は、位置P3から円周方向に離間し、各々が位置P1と位置P2との間に延びる経路内に配置され、真空掃除用電気器具が最初にスイッチオンにされたときにこれに沿ってピン236が移動する。制御機構は、圧力チャンバ176がその完全に収縮した形態に移動することができない第1の状態に戻されたとみなすことができる。しかしながら、各ピン236はここでは、電気器具が最初にスイッチオンにされたときにピン236が配置される部とは異なる軌道部内に配置される。
【0092】
上記で検討したように、ユーザがボタン336を放したときに、弁320,322が移動して開口部324,326を閉塞し、空気ダクト82内の空気圧が相対的に低い第1の準大気圧に戻るようにする。結果として、圧力チャンバ176内部の空気と圧力チャンバ176外部の空気との間の圧力差に起因して、第2のチャンバ部196に働く力が増大し、弁組立体300の作動前のレベルにまで戻る。上述のように、第1のバネのバネ定数226は、部分的に圧縮される第1のバネ226の力が第2のチャンバ部196に働く増大した力よりも小さいように選択される。従って、第2のチャンバ部196に働く力の作用により、バネ保持具228及び第2のチャンバ部196は、第1のバネ226の付勢力に抗して第1のチャンバ部194に向けて押し付けられ、その結果、ピン236が図11(b)に示す位置P2に移動され、圧力チャンバ176が図12(a)に示す第1の部分的に収縮した形態に戻されるようになる。シール170はその拡張形態に維持され、よって空気流はタービンチャンバ74を通って維持される。
【0093】
以上のように、攪拌機60は、ユーザが弁組立体300を簡単に作動させることによって、必要に応じて作動回転状態と非作動の静止状態との間を容易に切り替えることができる。
【0094】
使用時には、第2の弁322は、第1の弁320から隔離して開放位置に移動させることができる。これにより、床ツール10を用いて織物が床ツールの主本体12内に捕捉されることなくカーテン又は他の目の粗い織物を清掃することができるレベルまで吸引開口36の圧力を増大させることができる。第2の弁322を開放するために、ユーザは、第2のアクチュエータを作動させて第2の弁322を第2の開口部326から離れるように移動させる。本実施形態において、第2のアクチュエータは、ハンドル302の握り部310の真下に配置されたトリガ370の形態であり、第2の弁322に取り付けられる。トリガ370は、ユーザがハンドル302を把持している手の指を用いて引き寄せて、第2のハンドルバネ364の付勢力に抗して第2の弁322を第2の開口部326から離れるように移動させることができる。第1の弁320によって第2の弁322の外周が支持されていることに起因して、第2の弁322を第2の開口部326から離れるように引き寄せることにより、第1の弁320が第1の開口部324から離れるように移動することはない。例えば、第1の弁320は、第2の弁322を支持するための傾斜支持面を備えることができ、これにより、第1の弁320が第1の開口部324から引き出されることなく、第2の弁322が第1の弁320から離れるように移動できるようになる。
【0095】
織物の清掃が完了すると、ユーザはトリガ30を解放し、第2のハンドルバネ364が第2の弁322を自動的にその閉鎖位置まで戻すことができる。
第2の開口部326は第1の開口部324よりも小さいので、タービンチャンバ74内の圧力を第2の相対的に高い準大気圧まで上昇させて、すなわち攪拌機60の状態変化を作動させるには第2の開口部326を大気に露出させるだけでは不十分である。
【0096】
ユーザが真空掃除用電気器具をスイッチオフに切り換えると、空気ダクト82内の圧力ひいては圧力チャンバ176内の空気圧が大気圧に戻り、これにより、他の場合には第2のチャンバ部196を第1のチャンバ部194に押し付けている力が排除される。バネ226,234の付勢力を受けて、圧力チャンバ176はその拡張形態に向けて押し付けられる。真空掃除用電気器具がスイッチオフに切り換えられたときに攪拌機60が回転している場合、ピン236は、軌道キャリア214に対する軌道従動部238の軸方向及び回転方向移動の両方で、第1のバネ226の付勢力により位置P2から位置P3まで移動し、次いで、第2のバネ234の付勢力により位置P3から位置P1まで移動する。各ピン236の戻る位置P1は、電気器具の使用中に攪拌機60が非作動状態にされた回数に依存するので、電気器具が最初にスイッチオンに切り換えられたときにピン236が存在していたのと同じ位置P1とは必ずしも限らない。
【0097】
他方、真空掃除用電気器具20がスイッチオフに切り換えられたときに攪拌機60が静止している場合、ピン236は、この場合も同様に軌道キャリア214に対する軌道従動部238の軸方向及び回転方向移動の両方で、第1のバネ226の付勢力により位置P4から位置P5まで移動し、次いで、第2のバネ234の付勢力により位置P5から位置P1まで移動する。同様に、各ピン236の戻る位置P1は、電気器具が最初にスイッチオンに切り換えられたときにピン236が存在していたのと同じ位置P1とは必ずしも限らない。
【0098】
軌道従動部238のピン236の位置P1への復帰により、制御機構が第1の状態に維持される。結果として、真空掃除用電気器具がスイッチオフに切り換えられたときには、制御組立体174は、電気器具がスイッチオフに切り換えられたときの攪拌機60の状態に関わりなく、電気器具が次にスイッチオンに切り換えられたときに攪拌機60を回転させるためにタービンチャンバ74を通って空気流が吸い込まれる構成を採用する。
【0099】
真空掃除用電気器具の作動中及び攪拌機60が作動状態にある場合、制御組立体174は、図12(a)及び図12(b)に示す構成の状態であり、圧力チャンバ176は第1の部分的に収縮した形態の状態である。電気器具のファンユニットの回転によって、吸引開口36を通して第1の空気流を床ツール10の主本体12に吸い込み、空気入口80を通して第2の空気流をタービンチャンバ74に吸い込むようにする。第1の空気流は、主本体12を通って該主本体12の空気出口86を通過し、空気入口84から空気ダクト82に流入する。第2の空気流は、タービンチャンバ74を通過し、側部入口88から空気ダクト82に流入する。
【0100】
配管において物体が捕捉されることによる、或いは吸引開口36が表面に接してシールされることによるなど、主本体12を通る空気流路が何らかの方法で遮断された場合、増大した空気量がタービンチャンバ74を通って流れることになる。この空気流の増大は、インペラ100の回転速度の増大、その結果として攪拌機60の回転速度の増大をもたらす。このような状況では、制御組立体174は、タービンチャンバ74を通る空気流の増大に応答してインペラ100の回転を阻止し、よってインペラ100の回転速度の増大に起因して駆動機構70の構成要素(例えば、軸受116,118、又はベルト142,158)に損傷を与えるのを防ぐ。
【0101】
タービンチャンバ74を通る空気流が増大することにより、タービンチャンバ内の空気圧は、相対的に低い第1の準大気圧よりも更に低い第3の準大気圧まで低下する。タービンチャンバ74内の空気圧の低下は圧力チャンバ176内の空気圧を低下させ、これにより、圧力チャンバ176内部の空気と圧力チャンバ176外部の空気との間の圧力差が増大する。この結果、第1のチャンバ部194に向けて第2のチャンバ部196を押し付ける力が増大する。第2のチャンバ部196に働く力のこの増大により、図18(a)に示すように、第3のバネ244の付勢力に抗して、第2のチャンバ部196が第1のチャンバ部194に向かって移動するようになる。軌道従動部238のピン236が位置P2に配置されることに起因して、軌道従動部238及び環状ディスク242は、軌道222に対して固定位置に留まるが、第2のチャンバ部196が第1のチャンバ部194に向かって移動するときに、第2のチャンバ部196に接続される保持リング240は、軌道従動部238から離れるように移動する。図18(a)は、第2の完全に収縮した形態の圧力チャンバ176を示している。図17(a)及び図17(b)に関連して上記で検討したように、第2のチャンバ部196が第1のチャンバ部194に向けて押し付けられるときに、第2のチャンバ部196の第1のアーム250によって第2のアーム252は圧力チャンバ176に向けて引き寄せられる。圧力チャンバ176に向かう第2のアーム252の移動により、図18(a)に示すように、シール170の内面がノーズコーン124の外面を係合するまで制御組立体174の環状部材172がタービン組立体72に向かって移動するようになる。シール170の内面とノーズコーン124の外面との間の係合がステータ本体114とステータハウジング120との間の環状チャンネルを閉鎖し、これによりタービンチャンバ74を通る空気流が阻止される。タービンチャンバ74を通る空気流が存在しないことにより、インペラブレード104に加わる駆動力が排除され、よって、インペラ100の回転速度ひいては攪拌機60の回転速度が漸次的にゼロに減少する。
【0102】
攪拌機60の回転が停止すると、ユーザは、真空掃除用電気器具をスイッチオフに切り換え、遮断を排除可能にすることができる。電気器具がスイッチオフに切り換えられると、空気ダクト82の圧力ひいては圧力チャンバ176内の空気圧が大気圧に戻り、これにより、他の場合には第2のチャンバ部196を第1のチャンバ部194に向けて押し付ける力が排除される。バネ226,234,244,260の付勢力を受けて、圧力チャンバ176はその拡張形態に向けて押し付けられる。ピン236は、軌道キャリア214に対する軌道従動部238の軸方向及び回転方向移動の両方で、第1のバネ226の付勢力により位置P2から位置P3まで移動し、次いで、第2のバネ234の付勢力により位置P3から位置P1まで移動する。軌道従動部238のピン236の位置P1への復帰により、制御機構が第1の状態に戻り、タービンチャンバ74を通って空気流が吸い込まれ、電気器具が次にスイッチオンに切り換えられたときに攪拌機60を回転させるようにする。
【符号の説明】
【0103】
10 床ツール
12 主本体
14b 導管
20 後方部
60 攪拌機
70 駆動機構
72 空気タービン組立体
74 タービンチャンバ
76 内側部
78 外側部
80 空気入口
81 多孔性カバー
82 空気ダクト
84 入口部
89 メッシュスクリーン
88 側部入口
90 同伴チャンバ
91 出口部
94 出口部
100 インペラ
102 インペラ駆動シャフト
104 インペラブレード
110 ステータ
112 ステータブレード
116,118 軸受
114 ステータ本体
120 ステータハウジング
130 円筒形インペラハウジング
142 第1のベルト
144 駆動プーリー
146 駆動ヘッド
150 駆動ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空掃除用電気器具のワンド用ハンドルであって、
握り部と、
空気流を受け取るための導管と、
周囲空気を前記導管に流入させる少なくとも1つの開口部と、
前記少なくとも1つの開口部の第1の部分を閉塞する第1の弁及び前記少なくとも1つの開口部の第2の部分を閉塞する第2の弁と、
前記第1及び第2の弁を前記少なくとも1つの開口部から離れて移動させ、前記導管に周囲空気を流入させる制御機構と
を備え、
前記制御機構が、前記第1及び第2の弁の両方を前記少なくとも1つの開口部から離れるように移動させるために、前記ハンドル上に配置された第1の手動操作可能なアクチュエータを有し、
前記ハンドルが更に、
前記第1及び第2の弁の一方だけを前記少なくとも1つの開口部のそれぞれの部分から離れるように移動させるため、前記ハンドル上に配置された第2の手動操作可能なアクチュエータと、を備えるハンドル。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータが、前記ハンドルの握り部上に配置される、請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータが、前記ハンドルの握り部に対して移動可能である、請求項2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記第1のアクチュエータが、前記導管に向かって押下げ可能である、請求項2又は3に記載のハンドル。
【請求項5】
前記第2のアクチュエータが、前記ハンドルの握り部の下に配置される、前記請求項1から4の何れか1項に記載のハンドル。
【請求項6】
前記第2のアクチュエータが、前記第1及び第2の弁の一方を前記少なくとも1つの開口部のそれぞれの部分から引き離すようにユーザにより作動可能なトリガを備える、前記請求項1から5の何れか1項に記載のハンドル。
【請求項7】
前記制御機構が前記ハンドルの握り部内に少なくとも部分的に配置されている、前記請求項1から6の何れか1項に記載のハンドル。
【請求項8】
前記弁の各々が、前記少なくとも1つの開口部のそれぞれの部分に向かって付勢される、前記請求項1から7の何れか1項に記載のハンドル。
【請求項9】
前記第1の部分が前記第2の部分よりも大きい、前記請求項1から8の何れか1項に記載のハンドル。
【請求項10】
前記第1のアクチュエータの作動に応答して、前記制御機構が、前記第1の弁を前記少なくとも1つの開口部の第1の部分から離れるように移動させる前に、前記第2の弁を前記少なくとも1つの開口部の第2の部分から離れるように移動させるよう構成されている、前記請求項1から9の何れか1項に記載のハンドル。
【請求項11】
前記制御機構が、前記第1及び第2の弁を前記少なくとも1つの開口部から離れるように移動させるため前記第1のアクチュエータに接続された従動部材を備える、請求項10に記載のハンドル。
【請求項12】
前記制御機構が、前記第2の弁を従動部材に押し付けるための手段を備える、
【請求項13】
前記第1の弁が前記従動部材から法線方向に離間して配置される、請求項11又は12に記載のハンドル。
【請求項14】
前記第1の部分が前記第2の部分の周りに少なくとも部分的に延びる、前記請求項1から13の何れか1項に記載のハンドル。
【請求項15】
前記第2の弁が、前記開口部の第2の部分を閉塞するよう前記第1の部によって少なくとも部分的に支持される、前記請求項1から14の何れか1項に記載のハンドル。
【請求項16】
前記第1の弁が追加の開口部を備え、前記第2の弁が、前記第2のアクチュエータの作動に応答して前記追加の開口部から離れるように移動し、前記追加の開口部及び前記少なくとも1つの開口部の第2の部分を通じて前記導管に周囲空気を流ニュさせるように構成されている、
請求項15に記載のハンドル。
【請求項17】
前記追加の開口部が前記第1の弁の中心に配置される、請求項16に記載のハンドル。
【請求項18】
前記弁が前記ハンドルの握り部の真下に配置される、前記請求項1から17の何れか1項に記載のハンドル。
【請求項19】
前記請求項1から18の何れか1項に記載のハンドルを備えたワンド。
【請求項20】
請求項19に記載のワンドと、該ワンドに接続された真空清掃ヘッドとを備えた真空掃除用電気器具。
【請求項21】
前記ヘッドが、第1の状態及び第2の状態を有し、前記ハンドルの制御機構の作動に応答して前記ヘッドの状態を制御するための制御組立体を備える、請求項20に記載の真空掃除用電気器具。
【請求項22】
前記ヘッドが、表面を攪拌するための攪拌機を備え、前記攪拌機は、前記ヘッドが第1の状態にあるときに作動され、前記第2の状態にあるときに非作動にされる、請求項21に記載の真空掃除用電気器具。
【請求項23】
前記攪拌機は、前記ヘッドが第1の状態にあるときに、該ヘッドの吸引開口に対して回転可能である、請求項22に記載の真空掃除用電気器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図11(c)】
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【図11(d)】
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【図11(e)】
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【図11(f)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【図14(a)】
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【図14(b)】
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【図14(c)】
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【図14(d)】
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【図15(a)】
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【図15(b)】
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【図16(a)】
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【図16(b)】
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【図17(a)】
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【図17(b)】
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【図18(a)】
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【図18(b)】
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【公開番号】特開2011−183162(P2011−183162A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47988(P2011−47988)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】