説明

真空断熱材

【課題】折り曲げやすく、かつ、容易に製造することができるとともに、折り曲げても断熱効果を十分に保つことができる真空断熱材を提供する。
【解決手段】第1の芯材と第2の芯材とを含む芯材を用いて、第1の芯材と第2の芯材とを含む厚層部と、第1の芯材を含みかつ厚層部よりも厚さが薄い薄層部とを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
折り曲げることができる真空断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
保温や保冷をするために断熱を要する容器等の機器においては、真空断熱材が用いられている。このような機器に真空断熱材を用いる場合には、保温や保冷をするための空間の周囲に、その空間の形状に適合するように真空断熱材を変形させて配置していた。
【0003】
例えば、湯沸かし器等の円柱状の空間を保温するために、円筒形状に変形できる真空断熱材を用いるものがあった(例えば、特許文献1参照)。この真空断熱材は、切削加工により真空断熱材に複数の溝を形成したものであり、溝の箇所で折り曲げやすくしたものであった。
【0004】
また、真空断熱材の芯材を、通常の繊維からなる部分と、粉体からなる部分とで構成したものがあった(例えば、特許文献2参照)。この真空断熱材は、この粉体からなる部分で折り曲げやすくしようとするものであった。
【0005】
さらに、真空断熱材を形成した後に、折り曲げやすくするための溝を形成するもの(例えば、特許文献3参照)や、真空断熱材を形成する前に、折り曲げやすくするための溝を芯材に形成するもの(例えば、特許文献4参照)があった。
【特許文献1】特開2000−249290号公報
【特許文献2】特開2005−106311号公報
【特許文献3】特開2006−29413号公報
【特許文献4】特許3408101号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の真空断熱材において、溝を形成するものは、いずれも切削加工や押圧加工によって形成するものであったため、製造しにくかったり、製造工程が煩雑になったりするほか、十分に溝を形成できない場合もあった。また、粉体を用いるものは、粉体を一定の形状に保つことが困難なため、真空断熱材を所望する形状にすることが困難であるとともに、粉体を封入する工程を要するため、製造工程が煩雑にならざるを得なかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、折り曲げやすく、かつ、容易に製造することができるとともに、折り曲げても断熱効果を十分に保つことができる真空断熱材を提供することにある。
【0008】
以上のような目的を達成するために、本発明においては、第1の芯材と第2の芯材とを含む芯材を用いて、第1の芯材と第2の芯材とを含む厚層部と、第1の芯材を含みかつ厚層部よりも厚さが薄い薄層部とを形成する。
【0009】
具体的には、本発明に係る真空断熱材は、
芯材部と、前記芯材部を収納しかつ内部を減圧状態に維持できる外包材と、を含む真空断熱材であって、
前記芯材部は、
少なくとも1つの第1の芯材と、
前記第1の芯材とは別体であり、かつ、少なくとも1つの第2の芯材と、を含み、
前記第2の芯材が、前記第1の芯材と少なくとも一部で重なり、
前記第1の芯材と前記第2の芯材とを含む厚層部と、
前記第1の芯材を含みかつ前記厚層部よりも厚さが薄い薄層部と、が形成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る真空断熱材は、芯材部と外包材とを含む。外包材は、芯材部を収納できるものであるとともに、外包材の内部を減圧した状態に維持できるものである。
【0011】
上述した芯材部は、第1の芯材と第2の芯材とを含む。これらの第1の芯材と第2の芯材とは、別体に構成されている。また、第1の芯材と第2の芯材との各々は、少なくとも1つ以上あればよい。
【0012】
また、第2の芯材が、第1の芯材と少なくとも一部で重なるように構成されている。すなわち、第1の芯材と第2の芯材とが重なる態様は、第2の芯材の全体が、第1の芯材と一部と重なっている態様や、第2の芯材の一部が、第1の芯材と一部と重なっている態様や、第2の芯材の一部が、第1の芯材と全体と重なっている態様がある。
【0013】
なお、第1の芯材と第2の芯材とが重なっている箇所には、接着剤等の接合するための部材が存在しないものが好ましい。
【0014】
さらに、芯材部には、第1の芯材と第2の芯材とによって、厚層部と薄層部とが形成されている。
【0015】
厚層部は、第1の芯材と第2の芯材とを含む。すなわち、厚層部は、第1の芯材と第2の芯材とを少なくとも含んでいればよく、厚層部に、さらに他の部材が含まれていてもよい。
【0016】
薄層部は、第1の芯材を含み、さらに、薄層部の厚さが厚層部の厚さよりも薄くなるように形成されている。すなわち、薄層部は、薄層部の厚さが厚層部の厚さよりも薄くなっていれば、第1の芯材の他にさらなる別の部材が含まれていてもよい。
【0017】
このような構成としたことにより、第1の芯材と第2の芯材とを重ね合わせれば芯材部を構成できるので、真空断熱材を容易に製造することができ、製造工程を簡素化することができる。
【0018】
また、薄層部が形成されているので、薄層部で折り曲げることができ、折り曲げやすい真空断熱材を提供することができる。さらに、薄層部には、少なくとも第一の第1の芯材が含まれているので、折り曲げた場合であっても、折り曲げた箇所の断熱効果を維持することができる。
【0019】
さらに、上述した厚層部や薄層部の一部に厚さが一定でない部分が含まれている場合であっても、厚層部や薄層部の全体的なおおよその厚さや、平均的な厚さを用いることによって、薄層部の厚さが厚層部の厚さよりも薄いか否かを判断することができる。
【0020】
また、上述したように、第1の芯材と第2の芯材とが重なっている箇所には、接着剤等の接合するための部材が存在しないものが好ましい。さらに、第1の芯材と第2の芯材とが、本来、別々に構成され、第1の芯材と第2の芯材との間に、第1の芯材と第2の芯材とは異なる材質からなる層や、第1の芯材や第2の芯材が変質した層等の層が介在するものであれば、第1の芯材と第2の芯材とは別体である。
【0021】
さらに、上述した厚層部や薄層部の大小や広狭にはよらない。例えば、厚層部が複数形成されるような場合に、隣り合う厚層部が密接するように形成されていても、隣り合う厚層部の間で折り曲げることができれば、折り曲げることができる箇所は薄層部であり、折り曲げることによって、薄層部の存在を確認できるので、厚層部と薄層部との双方が形成された真空断熱材である。
【0022】
さらにまた、厚層部が複数形成されるような場合に、折り曲げたときに、隣り合う厚層部の向かい合う端部が当接し合ったり押圧し合ったりするものが好ましい。このようにすることで、折り曲げた箇所の断熱効果を高めることができる。
【0023】
本発明に係る真空断熱材は、
前記薄層部の曲げ剛性が、前記厚層部の曲げ剛性よりも小さいものが好ましい。
【0024】
このようにすることで、薄層部は、厚さが薄いだけではなく、曲げ剛性も小さいので、より折り曲げを容易にすることができる。
【0025】
本発明に係る真空断熱材は、
前記第1の芯材は、第1の厚さを有する略板状の形状を有し、
前記第2の芯材は、前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する略板状の形状を有するものがより好ましい。
【0026】
第1の芯材や第2の芯材を、このような形状にすることで、製造をより容易にでき、製造工程をさらに簡素化することができる。
【0027】
本発明に係る真空断熱材は、
少なくとも2つの前記第2の芯材が、互いに離隔して前記薄層部に沿って並置され、
前記厚層部の間に前記薄層部が配置されたものがさらに好ましい。
【0028】
第2の芯材が、互いに離隔しているので、製造を容易にすることができるとともに、隣り合う厚層部の間に薄層部が位置づけられているので、薄層部で的確に折り曲げることができ、折り曲げ加工を容易にすることができる。
【0029】
さらにまた、本発明に係る真空断熱材は、
前記薄層部は屈曲部を有し、
前記屈曲部を有する前記薄層部を挟む2つの前記厚層部が所定の角度をなすものが好ましい。
【0030】
薄層部のみが折れ曲がるように変形加工されて、薄層部に屈曲部が形成されるものが好ましい。薄層部を挟んで隣り合う2つの厚層部の間をなす角度が、所望する角度をなすように、薄層部を折り曲げて変形加工するのが好ましい。この所望する角度は、真空断熱材が配置される機器の形状に応じて適宜定めることができる。
【0031】
薄層部を折り曲げる方向は、薄層部を挟む2つの厚層部のうちの一方を基準にして、時計回りに他方の厚層部を折り曲げるような方向でも、反時計回りに折り曲げるような方向でもよい。例えば、薄層部を挟む2つの厚層部が、薄層部に対して同じ側に配置されている場合には、第2の芯材が配置されている側に折り曲げる、すなわち、折り曲げることによって、第2の芯材が次第に向かい合うような方向に折り曲げても、また、第2の芯材が配置されていない側に折り曲げる、すなわち、折り曲げることによって、第2の芯材が次第に背中合わせになるような方向に折り曲げてもよい。
【0032】
本発明に係る真空断熱材は、
芯材部と、前記芯材部を収納しかつ内部を減圧状態に維持できる外包材と、を含む真空断熱材であって、
前記芯材部は、
略平板状の単一の第1の芯材と、
前記第1の芯材よりも小さく、かつ、略平板上の複数の第2の芯材と、を含み、
前記複数の第2の芯材は、互いに離隔し、かつ、前記第1の芯材上に並設され、
前記第1の芯材の曲げ剛性が、前記複数の第2の芯材の曲げ剛性よりも小さいことを特徴とするものが望ましい。
【0033】
このような構成としたことにより、第1の芯材と第2の芯材とを重ね合わせれば芯材部を構成できるので、真空断熱材を容易に製造することができ、製造工程を簡素化することができる。
【0034】
また、第1の芯材の曲げ剛性が小さいので、第1の芯材で折り曲げることができ、折り曲げやすい真空断熱材を提供することができる。さらに、第1の芯材で折り曲げることができるので、折り曲げた場合であっても、折り曲げた箇所の断熱効果を維持することができる。
【0035】
本発明に係る真空断熱材は、
前記第1の芯材の厚さは、前記第2の芯材の厚さよりも薄いものがより望ましい。
【0036】
このような構成としたことにより、第1の芯材の厚さが、第2の芯材の厚さよりも薄いので、折り曲げをより容易にすることができる。
【発明の効果】
【0037】
折り曲げやすく、かつ、容易に製造することができるとともに、折り曲げても断熱効果を十分に保つことができる真空断熱材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
【0039】
<<<第1の実施の形態>>>
図1は、芯材部110を外包材120に収納するときの状態を示す斜視図である。芯材部110を外包材120に収納して密封し、外包材120の内部を減圧状態にすることによって、第1の実施の形態による真空断熱材100を作ることができる。
【0040】
<<芯材部110>>
<芯材部110の形状>
図2は、第1の実施の形態における真空断熱材100に用いる芯材部110を示す断面図である。
【0041】
この図2に示した芯材部110は、1つの第1の芯材112と3つの第2の芯材114とからなる。第1の芯材112が「第1の芯材」に対応し、第2の芯材114が「第2の芯材」に対応する。
【0042】
図1及び図2に示すように、第1の芯材112は、略一定の厚さD1と、長さL1と、幅Wとを有する略薄板状の形状を有する。3つの第2の芯材114の各々は、略一定の厚さd1と、長さl1と、幅Wとを有する略板状の形状を有する。この第1の実施の形態では、3つの第2の芯材114の各々は、厚さd1が、第1の芯材112の厚さD1よりも厚くなるように形成されている。また、第2の芯材114は、長さl1が、第1の芯材112の長さL1よりも短くなるように形成されている。さらに、第2の芯材114は、幅Wが、第1の芯材112の幅Wと略同じになるように形成されている。
【0043】
図1及び図2に示すように、第1の芯材112の上に、3つの第2の芯材114が重ねられて配置されている。3つの第2の芯材114は、間隔Sだけ離隔して隣り合うように配置されている。3つの第2の芯材114は、第1の芯材112の上に単に重ねられていればよく、接着剤や粘着テープ等の接合するための部材を必要としない。なお、第1の芯材112の所望する位置に、3つの第2の芯材114を的確かつ容易に配置するために、第2の芯材114の大きさに応じた若干の窪みや溝を、押圧処理等の処理によって、第1の芯材112の表面に形成しておくのが好ましい。
【0044】
なお、図1及び図2に示した例では、3つの第2の芯材114を第1の芯材112の上に配置するものを示したが、第1の芯材112の上に配置する第2の芯材114の数は、少なくとも1つ以上あればよい。後述する図3(a)及び(b)に示すように、第1の芯材112のみからなる薄層部Nにおいて折り曲げることを考慮すれば、第2の芯材114の数を2つ以上にするのが好ましい。
【0045】
このように、3つの第2の芯材114を第1の芯材112の上に重ねることによって、図2に示すように、第1の芯材112のみからなる薄層部Nと、第1の芯材112及び第2の芯材114からなる厚層部Kとが形成される。上述したように、3つの第2の芯材114を、間隔Sだけ離隔して隣り合うように配置しているので、薄層部Nは、厚さD1と長さSと幅Wとを有する略直方体の形状を有し、厚層部Kは、厚さ(D1+d1)と長さl1と幅Wとを有する略直方体の形状を有する。
【0046】
この第1の実施の形態では、芯材部110は、1つの第1の芯材112と3つの第2の芯材114とからなるので、薄層部Nは、第1の芯材112のみからなり、厚層部Kは、第1の芯材112と第2の芯材114とからなるが、芯材部110が、さらなる別の層、例えば、保護層などや他の部材も含む場合には、このさらなる別の層や他の部材も薄層部Nや厚層部Kに含めることができる。すなわち、薄層部Nには、少なくとも第1の芯材112が含まれ、厚層部Kには、第1の芯材112及び第2の芯材114が少なくとも含まれ、薄層部Nの厚さが、厚層部Kの厚さよりも薄くなるように形成されていればよい。
【0047】
上述した第1の芯材112と第2の芯材114との大きさは、真空断熱材100が配置される装置や機器の大きさに適合するように適宜定めればよい。特に、第1の芯材112と第2の芯材114との厚さは、真空断熱材100が配置される装置や機器の大きさのほかに、後述する第1の芯材112及び第2の芯材114の材料を考慮して、要求される断熱効率となるように、適宜定めればよい。さらに、隣り合う第2の芯材114の間隔Sも、真空断熱材100が配置される装置や機器の大きさのほかに、折り曲げやすさや断熱効率を考慮して適宜定めればよい。
【0048】
なお、後述するように、真空断熱材100を折り曲げるときには、薄層部Nの箇所で折り曲げることができる。
【0049】
<第1の芯材112及び第2の芯材114の材料>
第1の芯材112及び第2の芯材114は、特に限定されないが、繊維集合体、連続気泡発泡体等が使用される。断熱性及び屈曲性の観点から好ましくは繊維集合体である。繊維集合体は、作業性の観点から、上述したように、略板状の形態で使用されることが好ましい。繊維集合体を、そのままの「わた状態」や、微細化した「粉体状」で使用する場合には、芯材部110の取り扱い性が低下するので、芯材部110を、後述する外包材120へ収納する工程が煩雑になり、作業性が悪化する。
【0050】
繊維集合体は無機繊維、有機繊維またはそれらの混合物からなる。
【0051】
無機繊維としては、例えば、ガラス繊維(グラスウール)、アルミナ繊維、スラグウール繊維、シリカ繊維、ロックウール等が挙げられる。
【0052】
有機繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、ポリノジック繊維、レーヨン繊維等の合成繊維、麻、絹、綿、羊毛等の天然繊維等が挙げられる。無機繊維および有機繊維は、1種からなる単独繊維または複数種の混合繊維として用いられる。
【0053】
この第1の実施の形態では、第1の芯材112及び第2の芯材114として、グラスウールを用いるのが好ましい。この場合に、減圧した状態で、第1の芯材112の厚さが略3ミリメートルとなり、第2の芯材114の厚さが略9ミリメートルとなるものがより望ましい。
【0054】
このグラスウールは、抄造法によって略板状(マット状)にしたもの(平均繊維長が略10ミリメートルで、平均繊維径が略3マイクロメートル)を用いる。また、このグラスウールは、減圧した状態では、密度が270キログラム/立方メートルである。グラスウールは、断熱性に優れるが、折り曲げ性にやや劣るため、第2の芯材114として用いるのが好ましく、第1の芯材112として用いる場合は、厚み6ミリメートル以下、特に、4ミリメートル以下とするのが好ましい。
【0055】
また、この第1の実施の形態では、第1の芯材112としてポリエチレンテレフタレート繊維(以下、PET繊維と称する。)を用い、第2の芯材114としてグラスウールを用いるのがより好ましい。この場合に、減圧した状態で、第1の芯材112の厚さが略3ミリメートルとなり、第2の芯材114の厚さが略9ミリメートルとなるものがさらに好ましい。
【0056】
このグラスウールは、上述したものと同様のものを用いる。一方、PET繊維は、繊維長が略51ミリメートルのポリエチレンテレフタレート繊維であり、繊維をニードルパンチ法によって略板状(シート状)に加工したもので、加工直後のシート目付は550グラム/平方メートルである。このPET繊維は、減圧した状態では、密度が220キログラム/立方メートルである。PET繊維は、折り曲げ性に優れており第1の芯材112として用いるのに特に好ましい。
【0057】
さらに、この第1の実施の形態では、第1の芯材112としてPET繊維を用い、第2の芯材114として硬質ウレタン発泡体を用いるのが望ましい。この場合に、減圧した状態で、第1の芯材112の厚さが略3ミリメートルとなり、第2の芯材114の厚さが略10ミリメートルとなるものがより望ましい。
【0058】
このPET繊維は、上述したものと同様のものを用いる。一方、硬質ウレタン発泡体は、連続気泡硬質ウレタンフォーム(密度が、55キログラム/立方メートルであり、平均セル径が75マイクロメートルで、独立気泡率が5パーセント)である。硬質ウレタン発泡体は軽量であるが、折曲げ性に乏しいため、第2の芯材114として用いるのが好ましい。
【0059】
上述した3つの例のように、第1の芯材112の厚さ及び材質と、第2の芯材114の厚さ及び材質とを適宜定めることによって、薄層部Nの曲げ剛性を、厚層部Kの曲げ剛性よりも小さくすることができる。
【0060】
なお、第2の芯材114の厚さを、上述した3つの例に示したものよりも厚くすることによって、断熱効率を高めることができるので、より好ましいものとなる。
【0061】
<<外包材120>>
<外包材120の形状>
上述したように、図1は、芯材部110を外包材120に収納するときの状態を示す斜視図である。
【0062】
外包材120は、図1に示すように、2枚のシート状の外包シート122a及び122bによって成形された袋状の形状を有する。2枚の外包シート122a及び122bの各々は、同じ大きさの正方形や長方形の形状を有する。2枚の外包シート122a及び122bが、互いに重なり合うようにし、2枚の外包シート122a及び122bの4つの辺のうちの3つの辺の縁をヒートシールすることによって袋状に形成することができる。ヒートシールしなかった1つの辺が、袋状の外包材120の開口部124となる。外包材120を袋状の形状にすることで、外包材120の内部を減圧した後、開口部124を形成する1つの辺をヒートシールすることで、真空断熱材100を形成でき、開口部124のみをヒートシールすればよいので、作業の効率を高めることができる。
【0063】
2枚の外包シート122a及び122bの各々は、最外層と最内層とを含む複数の層(図示せず)から構成されている。外包シート122a及び122bの最内層が、袋状の外包材120の裏面となるように構成し、すなわち、最内層が、袋状の外包材120の内面となるように構成される。このようにすることで、袋状の外包材120の内部の真空状態を十分に維持することができる。
【0064】
外包材120(外包シート122a及び122b)の大きさは、芯材部110を効率よくかつ的確に収納できる程度に、芯材部110より大きいものが好ましい。
【0065】
<外包シート122a及び122bの材料>
外包シート122a及び122bは、ガスバリア性を有し内部を減圧に維持でき、かつ、ヒートシール可能なものであれば、どのようなものでも用いることができる。上述したように、外包シート122a及び122bの各々は、単層又は複数の層から構成されており、層の各々には種々の材料が用いられる。
【0066】
外包シート122a及び122bの各々の好適な具体例として、以下のガスバリアフィルムがある。例えば、最外層がナイロンであり、第1の中間層がアルミ蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)であり、第2の中間層がアルミ箔であり、最内層が高密度ポリエチレンである4層構造のガスバリアフィルムがある。また、最外層がポリエチレンテレフタレート樹脂であり、中間層がアルミ箔であり、最内層が高密度ポリエチレン樹脂である3層構造のガスバリアフィルムがある。さらに、最外層がPET樹脂であり、中間層がアルミニウム蒸着層を有するエチレンービニルアルコール共重合体樹脂であり、最内層が高密度ポリエチレン樹脂である3層構造のガスバリアフィルムがある。
【0067】
<<ゲッター剤130>>
<ゲッター剤130の機能>
外包材120の中には、ゲッター剤130(図示せず)が設けられてもよい。外包材120の内部を減圧して開口部124をヒートシールした後に、外包材120の内部では、ガス、例えば、芯材部110からアウトガスや水分が発生する場合がある。また、外包材120の外部から内部にガスや水分が侵入してくる場合もある。このため、ガスや水分を吸着することができるゲッター剤130を、外包材120の内部に芯材部110とともに収納することが好ましい。
【0068】
このように、ゲッター剤130を外包材120の内部に収納することで、ゲッター剤130によってガスや水分を吸収できるので、真空断熱材100の断熱効果をより長く持続させることができる。
【0069】
<ゲッター剤130の数及び配置>
図3に示したように、真空断熱材100は、袋状の外包材120に芯材部110を収納し、開口をヒートシールすることによって形成される。このため、外包材120の内部は、真空断熱材100の全体で閉鎖された1つの空間となるので、真空断熱材100には、1つのゲッター剤130のみを配置すればよい。
【0070】
また、ゲッター剤130は、真空断熱材100の略中心の位置や、その近くになるようにすることで、真空断熱材100の全体に亘ってガスや水分を吸着させることができ、ゲッター剤130の機能を発揮させることができる。
【0071】
さらに、真空断熱材100や芯材部110の大きさに応じて、ガスや水分の量が変化するので、ゲッター剤130の大きさも、真空断熱材100や芯材部110の大きさに応じて適宜定めればよい。
【0072】
<ゲッター剤130の材質>
ガスや水分を吸着できる物質は、特に、限定されるものではなく、物理的にガスや水分等を吸着するものとして、例えば、活性炭、シリカゲル、酸化アルミニウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト等がある。また、化学的にガスや水分等を吸着するものは、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等や、鉄、亜鉛等の金属粉素材、バリウム−リチウム系合金、ジルコニウム系合金等がある。
【0073】
<<真空断熱材100>>
図1に示したように、袋状の外包材120の内部に、芯材部110を収納した後、外包材120の内部を減圧し、開口部124をヒートシールすることによって、減圧状態を維持でき、真空断熱材100を形成することができる。
【0074】
<<真空断熱材100の折り曲げ>>
図3は、真空断熱材100を折り曲げる過程を示す断面図である。図3(a)は、第2の芯材114が配置されている側に折り曲げる態様を示し、図3(b)は、第2の芯材114が配置されていない側に折り曲げる態様を示す。なお、図3(a)及び図3(b)のいずれも、第1の芯材112と第2の芯材114とを明確に示すために外包材120は、省略して示した。
【0075】
図3(a)のように折り曲げる場合であっても、図3(b)のように折り曲げる場合であっても、薄層部Nで折り曲げられ、薄層部Nに屈曲部が形成される。
【0076】
図3(a)のように折り曲げた場合、すなわち、反時計回りに折り曲げた場合には、折り曲げることによって、隣り合う第2の芯材114の端部や端面が当接し合ったり押圧し合ったりするので、第1の芯材112のみならず、第2の芯材114によっても断熱することができ、折り曲げた箇所の断熱効率を、厚層部Kと同様にすることができる。
【0077】
図3(b)のように折り曲げた場合、すなわち、時計回りに折り曲げた場合には、隣り合う第2の芯材114の端部や端面が当接し合ったり押圧し合ったりすることはないが、折り曲げ加工に要する力を低減できるので、折り曲げを容易にすることができる。
【0078】
図3(a)のように折り曲げるか、図3(b)のように折り曲げるかは、真空断熱材100が配置される装置や機器の形状や、求められる断熱効率や、折り曲げ加工の容易さに応じて適宜決めればよい。また、真空断熱材100を折り曲げる角度も、真空断熱材100が配置される装置や機器の形状に応じて定めればよい。いずれの場合であっても、薄層部Nのみに屈曲部が形成されるように、折り曲げるのが好ましい。
【0079】
<<<第2の実施の形態>>>
図4(a)は、第2の実施の形態における真空断熱材200に用いる芯材部210を示す断面図である。
【0080】
この第2の実施の形態における芯材部210は、第1の芯材112と3つの第2の芯材114とからなる。これらは、上述した第1の実施の形態における第1の芯材112と第2の芯材114と同じものを用いており、同様の大きさ、形状、材質及び機能を有し、図4(a)に示すように、同一の符号を付した。第1の芯材112が「第1の芯材」に対応し、第2の芯材114が「第2の芯材」に対応する。
【0081】
なお、第2の実施の形態における真空断熱材200に用いられる外包材(図示せず)は、第1の実施の形態における外包材120と同様の材料、並びに機能を有する。また、第2の実施の形態における真空断熱材200に用いられるゲッター剤(図示せず)も、第1の実施の形態におけるものと同様の形状、大きさ及び材料、並びに機能を有する。芯材部210を外包材120に収納して密封し、外包材120の内部を減圧状態にすることによって、第2の実施の形態による真空断熱材200を作ることができる。
【0082】
この第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、3つの第2の芯材114は、互いに密接して隣り合うように配置されている。第2の実施の形態でも、第1の芯材112の上に、3つの第2の芯材114が重ねられて配置されており、第1の実施の形態と同様に、3つの第2の芯材114は、第1の芯材112の上に単に重ねられていればよく、接着剤や粘着テープ等の接合するための部材を必要としない。なお、第1の実施の形態と同様に、第1の芯材112の所望する位置に、3つの第2の芯材114を的確かつ容易に配置するために、第2の芯材114の大きさに応じた若干の窪みや溝を、押圧処理等の処理によって、第1の芯材112の表面に形成しておくのが好ましい。
【0083】
なお、図4(a)に示した例では、3つの第2の芯材114を第1の芯材112の上に配置するものを示したが、第1の芯材112の上に配置する第2の芯材114の数は、少なくとも1つ以上あればよい。
【0084】
このように、3つの第2の芯材114を第1の芯材112の上に重ねることによって、第1の実施の形態と同様に、図4(a)に示すように、第1の芯材112のみからなる薄層部Nと、第1の芯材112及び第2の芯材114からなる厚層部Kとが形成される。上述したように、3つの第2の芯材114を、互いに密接して隣り合うように配置しているので、第1の実施の形態の芯材部210とは異なり、薄層部Nは、厚さD1と幅Wとを有して長さが極めて短い形状、すなわちおおよそ薄膜状の形状を有し、厚層部Kは、厚さ(D1+d1)と長さl1と幅Wとを有する略直方体の形状を有する。
【0085】
なお、この第2の実施の形態の場合には、薄層部Nは、薄膜状の形状を有し、認識し難いが、隣り合う厚層部Kの間で折り曲げることができれば、折り曲げることができる箇所は薄層部Nであり、折り曲げることによって、薄層部Nの存在を確認できる。
【0086】
この第2の実施の形態においても、芯材部210が、さらなる別の層、例えば、保護層などや他の部材も含む場合には、このさらなる別の層や他の部材も薄層部Nや厚層部Kに含めることができる。すなわち、薄層部Nには、少なくとも第1の芯材112が含まれ、厚層部Kには、第1の芯材112及び第2の芯材114が少なくとも含まれ、薄層部Nの厚さが、厚層部Kの厚さよりも薄くなるように形成されていればよい。
【0087】
上述した第1の芯材112と第2の芯材114との大きさは、真空断熱材200が配置される装置や機器の大きさに適合するように適宜定めればよい。特に、第1の芯材112と第2の芯材114との厚さは、真空断熱材200が配置される装置や機器の大きさのほかに、後述する第1の芯材112及び第2の芯材114の材料を考慮して、要求される断熱効率となるように、適宜定めればよい。さらに、隣り合う第2の芯材114の間隔Sも、真空断熱材200が配置される装置や機器の大きさのほかに、折り曲げやすさや断熱効率を考慮して適宜定めればよい。
【0088】
第1の実施の形態の真空断熱材100と同様に、薄層部Nの箇所で折り曲げることで、真空断熱材200を折り曲げることができる。
【0089】
<<<第3の実施の形態>>>
図4(b)は、第3の実施の形態における真空断熱材300に用いる芯材部310を示す断面図である。
【0090】
この第3の実施の形態における芯材部310は、第1の芯材112と3つの第2の芯材314とからなる。第1の芯材112が「第1の芯材」に対応し、第2の芯材314が「第2の芯材」に対応する。第1の芯材112は、上述した第1の実施の形態や第2の実施の形態における第1の芯材112と同じものを用いており、同様の大きさ、形状、材質及び機能を有し、図4(b)に示すように、同一の符号を付した。また、第2の芯材314は、第2の芯材114と形状が異なる点を除き、第2の芯材114と同様の材質及び機能を有する。
【0091】
なお、第3の実施の形態における真空断熱材300に用いられる外包材(図示せず)は、第1の実施の形態における外包材120と同様の材料、並びに機能を有する。また、第3の実施の形態における真空断熱材300に用いられるゲッター剤(図示せず)も、第1の実施の形態におけるものと同様の形状、大きさ及び材料、並びに機能を有する。芯材部310を外包材120に収納して密封し、外包材120の内部を減圧状態にすることによって、第3の実施の形態による真空断熱材300を作ることができる。
【0092】
図4(b)に示すように、第2の芯材314は、断面形状が略台形形状を有し、2つの傾斜面と上面と下面とを含み、第2の芯材314の全体として、おおよそ板状の形状を有する。この第2の芯材314は、上面が下面よりも小さくなるように形成されている。第2の芯材314では、2つの傾斜面が形成されている箇所は一部分であり、上面が形成されている箇所では、上面と下面との間の距離は、略一定である。したがって、上面が形成されている箇所において、上面と下面との間の距離を第2の芯材314の厚さd1とすることができる。このように、第2の芯材314の全体的なおおよその厚さを第2の芯材314の厚さd1とすることができる。
【0093】
このようにすることで、第2の芯材314は、略一定の厚さd1と、長さl1と、幅Wとを有する略板状の形状を有する。また、第2の芯材314は、厚さd1が、第1の芯材112の厚さD1よりも厚くなるように形成されている。第2の芯材314は、下面の長さl1が、第1の芯材112の長さL1よりも短くなるように形成されている。さらに、第2の芯材314は、幅Wが、第1の芯材112の幅Wと略同じになるように形成されている。
【0094】
この第3の実施の形態においても、図4(b)に示すように、第1の芯材112の上に、3つの第2の芯材314が重ねられて配置されている。3つの第2の芯材314は、下面が間隔Sだけ離隔して隣り合うように配置されている。3つの第2の芯材314は、第1の芯材112の上に単に重ねられていればよく、接着剤や粘着テープ等の接合するための部材を必要としない。なお、第1の実施の形態や第2の実施の形態と同様に、第1の芯材112の所望する位置に、3つの第2の芯材314を的確かつ容易に配置するために、第2の芯材314の下面の大きさに応じた若干の窪みや溝を、押圧処理等の処理によって、第1の芯材112の表面に形成しておくのが好ましい。
【0095】
なお、図4(b)に示した例では、3つの第2の芯材314を第1の芯材112の上に配置するものを示したが、第1の芯材112の上に配置する第2の芯材314の数は、少なくとも1つ以上あればよい。
【0096】
このように、3つの第2の芯材314を第1の芯材112の上に重ねることによって、第1の実施の形態や第2の実施の形態と同様に、図4(b)に示すように、第1の芯材112のみからなる薄層部Nと、第1の芯材112及び第2の芯材314からなる厚層部Kとが形成される。上述したように、3つの第2の芯材314を、間隔Sだけ離隔して隣り合うように配置しているので、薄層部Nは、厚さD1と長さSと幅Wとを有する略直方体の形状を有し、厚層部Kは、おおよその厚さ(D1+d1)とおおよその長さl1と幅Wとを有する略六角柱の形状を有する。
【0097】
この第3の実施の形態においても、芯材部310が、さらなる別の層、例えば、保護層などや他の部材も含む場合には、このさらなる別の層や他の部材も薄層部Nや厚層部Kに含めることができる。すなわち、薄層部Nには、少なくとも第1の芯材112が含まれ、厚層部Kには、第1の芯材112及び第2の芯材314が少なくとも含まれ、薄層部Nの厚さが、厚層部Kの厚さよりも薄くなるように形成されていればよい。
【0098】
上述した第1の芯材112と第2の芯材314との大きさは、真空断熱材300が配置される装置や機器の大きさに適合するように適宜定めればよい。特に、第1の芯材112と第2の芯材314との厚さは、真空断熱材300が配置される装置や機器の大きさのほかに、第1の芯材112及び第2の芯材314の材料を考慮して、要求される断熱効率となるように、適宜定めればよい。さらに、隣り合う第2の芯材314の間隔Sも、真空断熱材300が配置される装置や機器の大きさのほかに、折り曲げやすさや断熱効率を考慮して適宜定めればよい。
【0099】
真空断熱材300を折り曲げるときには、薄層部Nの箇所で折り曲げることができる。特に、この第3の実施の形態においては、図3(a)に示したような態様で、すなわち、第2の芯材314が配置されている側に折り曲げる態様で、真空断熱材300を折り曲げた場合には、隣り合う第2の芯材314の向かい合う傾斜面同士が当接し合ったり押圧し合ったりするので、当接したり押圧したりする面積を大きくすることができ、第2の芯材314同士の当接や押圧によって的確に断熱することができ、折り曲げた箇所の断熱効率をより高めることができる。
【0100】
第2の芯材314に傾斜面が形成されているので、過度に力を加えずに、無理なく真空断熱材300を折り曲げることができ、折り曲げ作業を容易にすることができる。
【0101】
<<<第4の実施の形態>>>
図4(c)は、第4の実施の形態における真空断熱材400に用いる芯材部410を示す断面図である。
【0102】
この第4の実施の形態における芯材部410は、第1の芯材112と3つの第2の芯材314とからなる。これらは、上述した第3の実施の形態における第1の芯材112と第2の芯材314と同様のものを用いており、同様の大きさ、形状、材質及び機能を有し、図4(c)に示すように、同一の符号を付した。第1の芯材112が「第1の芯材」に対応し、第2の芯材314が「第2の芯材」に対応する。
【0103】
なお、第4の実施の形態における真空断熱材400に用いられる外包材(図示せず)も、第1の実施の形態〜第3の実施の形態における外包材120と同様の材料、並びに機能を有する。また、第4の実施の形態における真空断熱材400に用いられるゲッター剤(図示せず)も、第1の実施の形態〜第3の実施の形態におけるものと同様の形状、大きさ及び材料、並びに機能を有する。芯材部410を外包材120に収納して密封し、外包材120の内部を減圧状態にすることによって、第4の実施の形態による真空断熱材400を作ることができる。
【0104】
第3の実施の形態と同様に、第2の芯材314は、断面形状が略台形形状を有し、2つの傾斜面と上面と下面とを含み、おおよそ板状の形状を有する。このため、この第4の実施の形態における第2の芯材314も、上面が形成されている箇所において、上面と下面との間の距離を第2の芯材314の厚さd1とすることができる。このように、第2の芯材314の全体的なおおよその厚さを第2の芯材314の厚さd1とすることができる。
【0105】
この第4の実施の形態では、図4(c)に示すように、隣り合う第2の芯材314の下面が密接するように、3つの第2の芯材314は配置されている。3つの第2の芯材314は、第1の芯材112の上に単に重ねられていればよく、接着剤や粘着テープ等の接合するための部材を必要としない。なお、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様に、第1の芯材112の所望する位置に、3つの第2の芯材314を的確かつ容易に配置するために、第2の芯材314の下面の大きさに応じた若干の窪みや溝を、押圧処理等の処理によって、第1の芯材112の表面に形成しておくのが好ましい。
【0106】
なお、図4(c)に示した例では、3つの第2の芯材314を第1の芯材112の上に配置するものを示したが、第1の芯材112の上に配置する第2の芯材314の数は、少なくとも1つ以上あればよい。
【0107】
上述したように、3つの第2の芯材314を第1の芯材112の上に重ねることによって、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様に、図4(c)に示すように、第1の芯材112のみからなる薄層部Nと、第1の芯材112及び第2の芯材314からなる厚層部Kとが形成される。上述したように、3つの第2の芯材314を、互いに密接して隣り合うように配置しているので、第1の実施の形態の芯材部110や第3の実施の形態の芯材部310とは異なり、薄層部Nは、厚さD1と幅Wとを有して長さが極めて短い形状、すなわちおおよそ薄膜状の形状を有し、厚層部Kは、厚さ(D1+d1)と長さl1と幅Wとを有する略六角柱の形状を有する。
【0108】
なお、この第4の実施の形態の場合も、第2の実施の形態と同様に、薄層部Nは、薄膜状の形状を有し、認識し難いが、隣り合う厚層部Kの間で折り曲げることができれば、折り曲げることができる箇所は薄層部Nであり、折り曲げることによって、薄層部Nの存在を確認できる。
【0109】
さらに、この第4の実施の形態においても、芯材部410が、さらなる別の層、例えば、保護層などや他の部材も含む場合には、このさらなる別の層や他の部材も薄層部Nや厚層部Kに含めることができる。すなわち、薄層部Nには、少なくとも第1の芯材112が含まれ、厚層部Kには、第1の芯材112及び第2の芯材314が少なくとも含まれ、薄層部Nの厚さが、厚層部Kの厚さよりも薄くなるように形成されていればよい。
【0110】
上述した第1の芯材112と第2の芯材314との大きさは、真空断熱材400が配置される装置や機器の大きさに適合するように適宜定めればよい。特に、第1の芯材112と第2の芯材314との厚さは、真空断熱材400が配置される装置や機器の大きさのほかに、第1の芯材112及び第2の芯材314の材料を考慮して、要求される断熱効率となるように、適宜定めればよい。さらに、隣り合う第2の芯材314の間隔Sも、真空断熱材400が配置される装置や機器の大きさのほかに、折り曲げやすさや断熱効率を考慮して適宜定めればよい。
【0111】
真空断熱材400を折り曲げるときにも、薄層部Nの箇所で折り曲げることができる。特に、この第4の実施の形態においては、図3(a)に示したような態様で、すなわち、第2の芯材314が配置されている側に折り曲げる態様で、真空断熱材300を折り曲げた場合には、隣り合う第2の芯材314の向かい合う傾斜面同士が当接し合ったり押圧し合ったりするので、当接したり押圧したりする面積を大きくすることができ、第2の芯材314同士の当接や押圧によって的確に断熱することができ、折り曲げた箇所の断熱効率をより高めることができる。さらに、この第4の実施の形態では、隣り合う第2の芯材314の下面が密接するように、3つの第2の芯材314は配置されているので、真空断熱材400を折り曲げたときには、薄層部Nと厚層部Kとの間に隙間がないように、薄層部Nと厚層部Kとが位置づけられるため、より的確に断熱することができる。
【0112】
また、第2の芯材314に傾斜面が形成されているので、過度に力を加えずに、無理なく真空断熱材300を折り曲げることができ、折り曲げ作業を容易にすることができる。
【0113】
<<<第5の実施の形態>>>
図5(a)は、第5の実施の形態における真空断熱材500に用いる芯材部510を示す断面図である。
【0114】
この第5の実施の形態における芯材部510は、4つの第1の芯材512と3つの第2の芯材114とからなる。第1の芯材512が「第1の芯材」に対応し、第2の芯材114が「第2の芯材」に対応する。第2の芯材114は、上述した第1の実施の形態や第2の実施の形態における第2の芯材114と同じものを用いており、同様の大きさ、形状、材質及び機能を有し、図5(a)に示すように、同一の符号を付した。また、第1の芯材512は、第1の芯材112と形状が異なる点を除き、第1の芯材112と同様の材質及び機能を有する。
【0115】
なお、第5の実施の形態における真空断熱材500に用いられる外包材(図示せず)は、第1の実施の形態における外包材120と同様の材料、並びに機能を有する。また、第5の実施の形態における真空断熱材500に用いられるゲッター剤(図示せず)も、第1の実施の形態におけるものと同様の形状、大きさ及び材料、並びに機能を有する。芯材部510を外包材120に収納して密封し、外包材120の内部を減圧状態にすることによって、第5の実施の形態による真空断熱材500を作ることができる。
【0116】
図5(a)に示すように、4つの第1の芯材512の各々は、略一定の厚さD1と、長さL5と、幅Wとを有する略板状の形状を有する。3つの第2の芯材114の各々は、略一定の厚さd1と、長さl1と、幅Wとを有する略板状の形状を有する。この第5の実施の形態でも、3つの第2の芯材114の各々は、厚さd1が、第1の芯材512の各々の厚さD1よりも厚くなるように形成されている。また、第2の芯材114は、長さl1が、第1の芯材512の長さL5よりも長くなるように形成されている。さらに、第2の芯材114は、幅Wが、第1の芯材512の幅Wと略同じになるように形成されている。
【0117】
この第5の実施の形態においては、第1の芯材512の上に、その一部が第2の芯材114の一部と重なるように配置されている。4つの第1の芯材512は、間隔S5だけ離隔して隣り合うように配置されている。一方、3つの第2の芯材114は、間隔Sだけ離隔して隣り合うように配置されている。3つの第2の芯材114は、第1の芯材512の上に単に重ねられていればよく、接着剤や粘着テープ等の接合するための部材を必要としない。なお、第1の芯材512の所望する位置に、3つの第2の芯材114を的確かつ容易に配置するために、第2の芯材114の大きさに応じた若干の窪みや溝を、押圧処理等の処理によって、第1の芯材512の表面に形成しておくのが好ましい。
【0118】
なお、図5(a)に示した例では、3つの第2の芯材114を4つの第1の芯材512の上に配置するものを示したが、第1の芯材512の数や、第2の芯材114の数は、少なくとも1つ以上あればよい。
【0119】
このように、3つの第2の芯材114を4つの第1の芯材512の上に重ねることによって、図5(a)に示すように、第1の芯材512のみからなる薄層部Nと、第1の芯材512及び第2の芯材114からなる厚層部Kとが形成される。上述したように、3つの第2の芯材114を、間隔Sだけ離隔して隣り合うように配置しているので、薄層部Nは、厚さD1と長さSと幅Wとを有する略直方体の形状を有し、厚層部Kは、厚さ(D1+d1)と、第2の芯材114と第1の芯材512とが重なった長さと、幅Wとを有する略直方体の形状を有する。なお、この第5の実施の形態では、第2の芯材114のみからなる層Yも形成される。
【0120】
この第5の実施の形態では、芯材部510は、4つの第1の芯材512と3つの第2の芯材114とからなるので、薄層部Nは、第1の芯材512のみからなり、厚層部Kは、第1の芯材512と第2の芯材114とからなるが、芯材部510が、さらなる別の層、例えば、保護層などや他の部材も含む場合には、このさらなる別の層や他の部材も薄層部Nや厚層部Kに含めることができる。すなわち、薄層部Nには、少なくとも第1の芯材512が含まれ、厚層部Kには、第1の芯材512及び第2の芯材114が少なくとも含まれ、薄層部Nの厚さが、厚層部Kの厚さよりも薄くなるように形成されていればよい。
【0121】
上述した第1の芯材512と第2の芯材114との大きさは、真空断熱材500が配置される装置や機器の大きさに適合するように適宜定めればよい。特に、第1の芯材512と第2の芯材114との厚さは、真空断熱材500が配置される装置や機器の大きさのほかに、第1の芯材512及び第2の芯材114の材料を考慮して、要求される断熱効率となるように、適宜定めればよい。さらに、隣り合う第2の芯材114の間隔Sも、真空断熱材500が配置される装置や機器の大きさのほかに、折り曲げやすさや断熱効率を考慮して適宜定めればよい。
【0122】
この第5の実施の形態においても、薄層部Nの箇所で折り曲げることで、真空断熱材200を折り曲げることができる。
【0123】
<<<第6の実施の形態>>>
図5(b)は、第6の実施の形態における真空断熱材600に用いる芯材部610を示す断面図である。
【0124】
第6の実施の形態における芯材部610は、第1の芯材512と第2の芯材114とからなる。これらは、上述した第5の実施の形態における第1の芯材512と第2の芯材114と同様のものを用いており、同様の大きさ、形状、材質及び機能を有し、図5(b)に示すように、同一の符号を付した。第1の芯材512が「第1の芯材」に対応し、第2の芯材114が「第2の芯材」に対応する。
【0125】
第5の実施の形態における芯材部510では、第1の芯材512に対して同じ側(図5(a)においては、第1の芯材512の上側)に、全ての第2の芯材114が配置されている。これに対して、第6の実施の形態における芯材部610は、図5(b)に示すように、第1の芯材512に対して、いずれの側(図5(b)においては、第1の芯材512の上側と下側)にも、第2の芯材114が配置されている。
【0126】
このようにしたことで、真空断熱材600を配置する装置や機器の形状に応じて、真空断熱材600を、Z字形に折り曲げたり交互に折り曲げたりする、いわゆるジグザグに折り曲げることが容易になる。
【0127】
<<<第7の実施の形態>>>
図5(c)は、第7の実施の形態における真空断熱材700に用いる芯材部710を示す断面図である。
【0128】
第7の実施の形態における芯材部710は、第1の芯材712と第2の芯材114とからなる。第2の芯材114は、上述した第1の実施の形態や第5の実施の形態における第2の芯材114と同様のものを用いており、同様の大きさ、形状、材質及び機能を有し、図5(b)に示すように、同一の符号を付した。第1の芯材712は、第1の実施の形態や第5の実施の形態における第2の芯材114と長さが異なる点を除いて、厚さ、幅、材質及び機能は同様のものである。第1の芯材712が「第1の芯材」に対応し、第2の芯材314が「第2の芯材」に対応する。
【0129】
上述した第5の実施の形態の芯材部510や第6の実施の形態の芯材部610は、1つの第1の芯材512と1つの第2の芯材114とが、一部分でのみ重なるように配置されたものであった。この第7の実施の形態における芯材部710は、第2の芯材114が、第1の芯材712と、第2の芯材114の一部分で重なる態様と、第2の芯材114の全体で重なる態様との双方を含むように配置されたものである。
このようにしたことで、真空断熱材700を配置する装置や機器の形状に応じて、真空断熱材600を折り曲げやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】真空断熱材の概略を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の芯材部110を示す断面図である。
【図3】第1の実施の形態の芯材部110を折り曲げる態様を示す断面図である。
【図4】第2の実施の形態の芯材部210を示す断面図(a)と、第3の実施の形態の芯材部310を示す断面図(b)と、第4の実施の形態の芯材部410を示す断面図(c)とである。
【図5】第5の実施の形態の芯材部510を示す断面図(a)と、第6の実施の形態の芯材部610を示す断面図(b)と、第7の実施の形態の芯材部710を示す断面図(c)とである。
【符号の説明】
【0131】
100、200、300、400、500、600、700 真空断熱材
110、210、310、410、510、610、710 芯材部
112、512、712 第1の芯材
114、314、 第2の芯材
120 外包材
K 厚層部
N 薄層部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材部と、前記芯材部を収納しかつ内部を減圧状態に維持できる外包材と、を含む真空断熱材であって、
前記芯材部は、
少なくとも1つの第1の芯材と、
前記第1の芯材とは別体であり、かつ、少なくとも1つの第2の芯材と、を含み、
前記第2の芯材が、前記第1の芯材と少なくとも一部で重なり、
前記第1の芯材と前記第2の芯材とを含む厚層部と、
前記第1の芯材を含みかつ前記厚層部よりも厚さが薄い薄層部と、が形成されたことを特徴とする真空断熱材。
【請求項2】
前記薄層部の曲げ剛性が、前記厚層部の曲げ剛性よりも小さい請求項1に記載の真空断熱材。
【請求項3】
前記第1の芯材は、第1の厚さを有する略板状の形状を有し、
前記第2の芯材は、前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する略板状の形状を有する請求項1又は2に記載の真空断熱材。
【請求項4】
少なくとも2つの前記第2の芯材が、互いに離隔して前記薄層部に沿って並置され、
前記厚層部の間に前記薄層部が配置された請求項1〜3のいずれかに記載の真空断熱材。
【請求項5】
前記薄層部は屈曲部を有し、
前記屈曲部を有する前記薄層部を挟む2つの前記厚層部が所定の角度をなす請求項4に記載の真空断熱材。
【請求項6】
芯材部と、前記芯材部を収納しかつ内部を減圧状態に維持できる外包材と、を含む真空断熱材であって、
前記芯材部は、
略平板状の単一の第1の芯材と、
前記第1の芯材よりも小さく、かつ、略平板上の複数の第2の芯材と、を含み、
前記複数の第2の芯材は、互いに離隔し、かつ、前記第1の芯材上に並設され、
前記第1の芯材の曲げ剛性が、前記複数の第2の芯材の曲げ剛性よりも小さいことを特徴とする真空断熱材。
【請求項7】
前記第1の芯材の厚さは、前記第2の芯材の厚さよりも薄い請求項6に記載の真空断熱材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−157431(P2008−157431A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350340(P2006−350340)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】