説明

真綿製品作成体験キット

【課題】一般の人が真綿の手引きを気軽に体験でき、手引き体験の後に実用的な物を作成できるキットを提供する。
【解決手段】少なくとも、複数枚の真綿シート1〜1、及び、袋材2,3を備え、これらが一つのパッケージに収納されてなるものであって、上記真綿シート1は、人力で当該シートの平面方向P1,P2へと引き伸ばすことができるものであり、上記袋材2,3は、上記人力で引き伸ばされた真綿シート1を複数枚重ね合わせたものを内部に収納可能な真綿製品作成体験キットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、一般の人が真綿の手引きを体験できる真綿製品作成体験キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
布団やクッションなどにおいて、内部に真綿を入れた製品が従来から存在している。そのうち、内部に手引き真綿を入れたものは、職人が手作業で作成していた。なお、「手引き真綿」とは、蚕の繭をほぐしてシート状にしたもの(真綿シート)を平面方向に引き伸ばすことによって作成したものを言う。真綿シートは生糸が絡まりあったものであることから、人力によって大きく引き伸ばすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−237723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
真綿シートが一般には入手しにくいものであることから、今までは、一般の人が手引き真綿の作成を気軽に体験できるものが存在しなかった。
【0005】
一般の人向けのものとして、例えば、特許文献1に記載された「手造り履物キット」のようなものがあれば便利である。更には、手引き体験をした後に、作成した手引き真綿を利用して、作成者自身が家庭で使うことができ、また、友達などにプレゼントできるような実用的な物を作成できることが望ましい。
【0006】
上記のことから、本願発明は、一般の人が真綿の手引きを気軽に体験でき、手引き体験の後に実用的な物を作成できるキットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明は、少なくとも、複数枚の真綿シート1〜1、及び、袋材2,3を備え、これらが一つのパッケージに収納されてなるものであって、上記真綿シート1は、人力で当該シートの平面方向P1,P2へと引き伸ばすことができるものであり、上記袋材2,3は、上記人力で引き伸ばされた真綿シート1を複数枚重ね合わせたものを内部に収納可能なものであることを特徴とする真綿製品作成体験キットを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本願発明は、複数枚の真綿シート、及び、袋材を備え、これらが一つのパッケージに収納されたものであることから、一般の人が真綿の手引きを気軽に体験できるものである。そして、手引きにより引き伸ばされた真綿シートを複数枚重ね合わせたものを袋材の内部に収納可能であることから、例えばひざ掛けなど、実用的な物を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の一実施形態に係る真綿製品作成体験キットの構成を示す概要図である。
【図2】本願発明の一実施形態に係る真綿製品作成体験キットの使用方法を説明する概要図であり、(A)は真綿シートを手引きする要領を示し、(B)は手引きした真綿シートを重ね合わせる様子を示す。
【図3】本願発明の一実施形態に係る真綿製品作成体験キットの使用方法を説明する概要図であり、(A)は図2(B)の状態としたものに収納用補助シートを重ね合わせた様子を示し、(B)は(A)の状態としたものを筒状に巻いた様子を示す。
【図4】本願発明の一実施形態に係る真綿製品作成体験キットの使用方法を説明する概要図であり、真綿シートを収納した中袋をカバーに収納する様子を(A)〜(C)の順に示したものであって、(A)は斜視、(B)(C)は断面視による。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本願発明の真綿製品作成体験キットにつき、一実施形態を取り上げて説明を行う。
【0011】
本実施形態では、ひざ掛けを作成するキットとしているが、その他、例えば座布団、クッション、布団など、真綿を用いた種々の製品を作成するキットとすることができる。
【0012】
本実施形態の真綿製品作成体験キット(以下、キットと記す)Kは、図1に示すように、複数枚の真綿シート1〜1(1a〜1a)、袋材である中袋2とカバー3、収納用補助シート4(図3に示す)の各々から構成されたものである。これらが一つのパッケージ(図示していない)に収納されており、そのパッケージに収納された状態で流通がなされる。パッケージは箱や袋など種々の形態とでき、紙製や樹脂製など種々の材質を用いることができる。また、パッケージを透明としたり、一部に窓部を設けることで真綿シート1〜1(1a〜1a)やカバー3などの収納物が外部から見えるようにされていても良いし、不透明とされていても良い。また、パッケージへの収納物は、必要に応じて小袋に収納されたものやボール紙などの型紙を添えたものとされている。
【0013】
なお、本発明のキットKは、少なくとも複数枚の真綿シート1〜1(1a〜1a)と一つの袋材とから構成されていれば良く、その他のものは作成する真綿製品の種類によって任意に付加できる。
【0014】
それぞれの真綿シート1(1a)は、手引き、つまり人力で平面方向へと引き伸ばすことが容易にできるものである。これは、いわゆる「角真綿」と呼ばれる、繭をほぐしてほぼ正方形に成型したシート状のものである。本実施形態における真綿シート1(1a)は、手引き前の状態において約25cm四方の大きさとされているが、真綿シート1(1a)の大きさは、キットKを収納するためのパッケージの大きさなどに応じ、種々の大きさとすることができる。
【0015】
袋材は、手引きされた(人力で引き伸ばされた)状態の真綿シート1(1b)が複数枚重ね合わせられたものを内部に収納可能な袋状のものである。本実施形態では、中袋2とカバー3の二つからなっており、手引きされた真綿シート1〜1(1b〜1b)はまず中袋2に収納され、その中袋2を更にカバー3に収納する。
【0016】
本実施形態における中袋2は布製であって、図1に示すように三辺が閉鎖された、平面視がほぼ正方形のものであり、一辺には扁平な筒状の収納口部21が突出して設けられている。この収納口部21の開口した部分を通して真綿シート1〜1(1b〜1b)が中袋2の内部に収納される。なお、本実施形態では、この収納口部21の開口した部分は閉鎖できるものとはされていない。
【0017】
なお、収納口部21の形状は本実施形態のものに限定されるものではなく、例えば中袋2の一辺全体が開口したものであっても良いし、下記のカバー3と同じく、ファスナーなどの閉鎖手段を設けて開口部を閉鎖できるようにしていても良い。
【0018】
また、中袋2のうち、真綿シート1〜1(1b〜1b)の収納前の状態における内面側四隅には、耳部22が設けられている(図1に破線で示す)。この耳部22はループ状とされた紐からなっており、ここに下記カバー3に設けられた連結紐33が結ばれる。
【0019】
本実施形態におけるカバー3も布製であって、上記の中袋2と同様に三辺が閉鎖された、平面視がほぼ正方形のものである。このカバー3には一辺のほぼ全部が開口した収納口部31が設けられており、この収納口部31から真綿シート1〜1(1b〜1b)が収納された状態の中袋2が内部に収納される。この収納口部31にはファスナー、スナップ、ボタンなどの閉鎖手段32が設けられている。この閉鎖手段32は、中袋2や中袋2に収納された真綿シート1(1b)が外部に飛び出ない程度に収納口部31を閉鎖できるものであれば良い。
【0020】
また、カバー3のうち、中袋2の収納前の状態における外面側四隅には、連結紐33が設けられている。この連結紐33はカバー3の一隅当たり二本の紐からなっており、上記中袋2の耳部22に結び付けることができる。
【0021】
カバー3には上記の他、作成者の氏名や作成年月日を記入できる記入ラベルなどが設けられていても良い。
【0022】
収納用補助シート4は、真綿シート1〜1(1b〜1b)を中袋2に収納する際に、図3(B)に示すように一度筒状に巻くのであるが、その際に真綿シート1〜1(1b〜1b)同士がからまって形崩れすることを防止するために一時的に用いられるものであって、真綿製品の完成後は不要になるものである。この収納用補助シート4としては、ビニールシートなど、一般的な軟質樹脂製のシートが用いられ、その大きさは、手引きされた真綿シート1(1b)よりも大きいものとすることが望ましい。
【0023】
次に、本実施形態のキットKの使用方法について説明する。
【0024】
まず、中袋2をテーブルや床などの平らな面に広げる。次に、真綿シート1〜1(1a〜1a)を用意する。この真綿シート1〜1(1a〜1a)は、図1に示すように、複数枚が重ねられた状態でパッケージ内に収納されていることから、下記の手引き作業を行うために、まずは一枚の真綿シート1(1a)を重ねられた状態のものからはがす。
【0025】
上記のようにはがされた真綿シート1(1a)を、一枚ずつ対角方向に引っ張る。具体的には、図2(A)に示すP1方向とP2方向に引っ張ることで、図2(B)に示すように手引きされた真綿シート1(1b)とする。この手引き作業は、手引き後の真綿シート1(1b)の平面視における大きさが中袋2の大きさよりやや大きくなる程度になされる。
【0026】
具体的に、この手引き作業は作成者二人のうち一人が両手でP1方向に引っ張り、もう一人が両手でP2方向に引っ張って行う。つまり、この作業は一人で行うことができず、家族や友人の手を借りることになる。そのため、真綿製品の作成過程をより思い出深いものとして、作成者に印象付けることができる。もちろん、三人以上の作成者が四方への引っ張りを各々担当するものとしても良い。
【0027】
中袋2の内部を満たすためには、多数の真綿シート1(1b)が必要であるため、上記手引き作業を繰り返して行う。手引きされた真綿シート1(1b)は、図2(B)に示すように順次中袋2の上に積み重ねられる。
【0028】
手引き作業が終わったら、図3(A)に示すように、積み重ねられた真綿シート1〜1(1b〜1b)上に収納用補助シート4を重ねる。そして、図3(B)に示すように、中袋2が外側に露出し、収納口部21が端面に出るようにして両側から筒状に巻き込んでいく。
【0029】
そして、収納口部21と反対側の端部を図3(B)に示すP3方向に反転させることで、中袋2の内部に積み重ねられた真綿シート1〜1(1b〜1b)が収納された状態とする。その後、収納用補助シート4を収納口部21から取り出し、真綿シート1〜1(1b〜1b)の中袋2内部における位置の偏りを修正し、中袋2から突出している収納口部21を中袋2の内部に折り込む。図3(B)に示すように、両側から筒状に巻き込んだ状態にすることで、反転させやすく、反転後の真綿シート1〜1(1b〜1b)の偏りも小さくでき、更に収納用補助シート4の取り出しもしやすくできる。以上で、中袋2に真綿シート1〜1(1b〜1b)を収納する作業が完結する。
【0030】
次に、カバー3をテーブルや床などの平らな面に広げる。ここで、カバー3の内面側に記入ラベルが設けられている場合は、この時点で作成者の氏名や作成年月日を記入しておく。そして、図4(A)に示すように、真綿シート1〜1(1b〜1b)が収納された中袋2をP4方向に移動させて両者を重ね合わす。そして、中袋2とカバー3の一隅毎に、中袋2の耳部22とカバー3の連結紐33とを結ぶ。
【0031】
そして、図4(B)に示すように、カバー3の収納口部31と反対側の部分を方向P5に移動させることで、図4(C)に示すようにカバー3が反転して、カバー3の内部に中袋2が収納された状態とできる。
【0032】
最後に、ファスナーなどの閉鎖手段32を閉じることにより、カバー3の収納口部31を閉じて全作業を完了させる。これにより真綿製品(ひざ掛け)が完成する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本願発明に係る真綿製品作成体験キットは、真綿の手引きを気軽に体験できるものとして、一般家庭で用いることができるのはもちろん、学校での学習教材や、子ども会、老人会などの各種団体での体験行事などに用いることにも適するものである。
【符号の説明】
【0034】
1 真綿シート
1a 手引き前の真綿シート
1b 手引き後の真綿シート
2 袋材(中袋)
3 袋材(カバー)
4 収納用補助シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、複数枚の真綿シート(1〜1)、及び、袋材(2,3)を備え、これらが一つのパッケージに収納されてなるものであって、
上記真綿シート(1)は、人力で当該シートの平面方向(P1,P2)へと引き伸ばすことができるものであり、
上記袋材(2,3)は、上記人力で引き伸ばされた真綿シート(1)を複数枚重ね合わせたものを内部に収納可能なものであることを特徴とする真綿製品作成体験キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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