説明

真贋判定システム、真贋判定方法、及び、真贋判定プログラム

【課題】一般市場に流通する商品の未開封を保証し、偽の商品を検出する。
【解決手段】商品1のパッケージは、RFIDインレット12が組み込まれた封印11により封印されている。工場からの出荷、卸における入庫及び出庫、小売店への入荷などの流通過程で、読取端末3は、商品1のRFIDインレット12から読取った商品IDをセンターデータベース装置2に通知し、センターデータベース装置2は商品情報記憶部24に商品IDと対応づけて流通情報を書き込む。商品販売時、真贋判定端末4は、商品1から読取った商品IDと、顧客の判定カード5から読み取った顧客IDとをセンターデータベース装置2へ通知し、センターデータベース装置2は、商品IDに対応した流通情報に基づいて得られた真贋を示す情報を、問合せ結果として真贋判定端末4に返送するとともに、顧客情報記憶部23から顧客IDに対応して読み出した顧客端末6のアドレス宛にも送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般市場に流通する商品の未開封を保証し、偽物を検出する真贋判定システム、真贋判定方法、及び、真贋判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品が各流通ポイントを通過する際に、商品に付されたRFID(Radio Frequency Identification)から識別子を読み出し、読み出した識別子をネットワーク上に設置されたサーバにおいて集計することにより、商品の流通履歴を管理する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
また、一般市場に流通するパッケージ封入された商品の未開封状態の判定のためシールもしくはシュリンクラップ等の中にRFIDを組込み、開封時にRFIDインレットが破断するようにし、商品のパッケージが未開封か開封済みかを検出する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−234628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術における真贋判定には商品に付されたRFIDを読取る真贋判定端末が必要であるが、そのコストの問題から最終消費者である顧客ではなく、顧客に商品を提供する店側のオペレーターが真贋判定端末を保有し、商品提供時に顧客に対して真贋判定端末の問合せ結果を提示するというモデルが現実的である。つまり、真贋判定端末によって、商品に組み込まれているRFIDからIDが読取れるかどうかを確認し、さらに読取れた場合にはそのIDをチェックするために、出荷済みかつ未開封であり、流通中であるかどうかをネットワーク経由でセンターデータベースに問い合わせる。そして、その問合せ結果を真贋判定端末が受信することで、商品が「未開封・流通中・真品」であると保証する。正しいオペレーションであれば、真贋判定端末から開封処理を行なうことによって、データベースでのIDの消し込みが行われ、RFIDが組み込まれたシールもしくはシュリンクラップの再利用がソフト的に不可能になる。さらには、商品の開封によりインレットが破断されることで物理的にも再利用が不可能になる。
【0005】
しかし、上述方法では、複製が困難なRFIDをIDの記録媒体として用いた場合であっても、以下のような二つの攻撃方法による偽装の可能性が残る。
(1)封印の再生:
店で開封し提供する商品の場合、真贋判定を行なって顧客の信用を得た後で、真贋判定端末による開封処理をせず、RFIDを破断しないようにシールもしくはシュリンクラップのRFIDインレット周辺部分を切り抜いてから開封して顧客に提供する。その後、空となった容器とインレット周辺部分を偽装業者に提供する。偽装業者は、空となった容器に偽の商品を入れ、インレット周辺部分を敷き込んで上から偽のシールもしくはシュリンクラップでカバーすることにより、オペレーターの端末で「未開封・真品」と保証される偽商品を作ることができる。
また、店で開封せずに販売する商品の場合、顧客が購入後の真品からRFIDを破断しないようにシールもしくはシュリンクラップのRFIDインレット周辺部分を切り抜き、開封して消費した後、空となった容器とインレット周辺部分を偽装業者に提供する。この場合、店側の協力がなければ、購入時に販売済みとデータベースに登録されるが、「未開封・販売済み・真品」として偽っての転売は可能となる。
【0006】
(2)偽の真贋判定端末:
真贋判定端末と見た目がそっくりの偽の端末を作り、店のオペレーターが偽の商品の判定をこの偽の端末で行なって「未開封・真品」の結果を出力させることにより、顧客を欺く。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、一般市場に流通する商品の未開封を保証し、偽の商品を検出することができる真贋判定システム、真贋判定方法、及び、真贋判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の課題を解決すべくなされたもので、顧客が所有する顧客識別記録媒体と、商品の流通過程に設置された読取端末と、前記商品の真贋を問い合わせる真贋判定端末と、前記商品の流通情報を記憶するセンターデータベース装置とからなる真贋判定システムであって、前記顧客識別記録媒体は、顧客を特定する顧客識別情報を記録する顧客識別記憶部を備え、前記読取端末は、前記商品に備えられた商品識別記録媒体から商品識別情報を読取る商品識別読取部と、前記商品識別読取部が読取った前記商品識別情報と、該読取端末が設置されている流通場所及び流通状態を示す流通情報とを前記センターデータベース装置に送信する流通情報通知部とを備え、前記真贋判定端末は、前記顧客識別記録媒体から前記顧客識別情報を読取るとともに、前記商品に備えられた前記商品識別記録媒体から前記商品識別情報を読取る読取部と、前記読取部が読取った前記顧客識別情報及び前記商品識別情報を前記センターデータベース装置へ送信し、商品の真贋を問合せる問合部と、前記問合部が送信した前記顧客識別情報及び前記商品識別情報に対応して、前記商品の真贋を示す問合せ結果を受信する受信部と、前記受信部が受信した問合せ結果を出力する出力部とを備え、前記センターデータベース装置は、前記顧客識別情報と、顧客が保有する顧客端末のアドレスを示す顧客アドレス情報とを対応付けて記憶する顧客情報記憶部と、前記商品識別情報と前記流通情報とを対応付けて記憶する商品情報記憶部と、前記読取端末から受信した前記商品識別情報と前記流通情報とを対応づけて前記商品情報記憶部に書込む流通情報書込部と、前記真贋判定端末から前記商品識別情報と前記顧客識別情報とを受信し、前記商品識別情報により特定される前記商品情報記憶部内の前記流通情報に基づいて得られた真贋を示す情報を、問合せ結果として前記真贋判定端末に送信するとともに、前記顧客情報記憶部から前記顧客識別情報により特定される顧客アドレス情報を読み出し、読み出した前記顧客アドレス情報を宛先として前記問合せ結果を送信する問合応答部とを備える、ことを特徴とする真贋判定システムである。
【0009】
また、本発明は、上述する真贋判定システムであって、前記流通情報書込部は、前記真贋判定端末または前記顧客端末の一方あるいは両方から前記商品が販売されたことを示す流通状態を受信し、前記商品の商品識別情報に対応した流通情報に受信した前記流通状態を書き込むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述する真贋判定システムであって、前記商品識別記録媒体は、RFIDであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述する真贋判定システムであって、前記商品識別記録媒体は、商品の開封により破断することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述する真贋判定システムであって、前記商品識別記録媒体は、秘密画像が印刷された印刷物により前記商品に貼付され、前記顧客識別記録媒体は、前記秘密画像を判読するフィルターを備える、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、顧客が所有する顧客識別記録媒体と、商品の流通過程に設置された読取端末と、前記商品の真贋を問い合わせる真贋判定端末と、前記商品の流通履歴を記憶するセンターデータベース装置とからなる真贋判定システムにおいて実行される真贋判定方法であって、前記読取端末において、商品識別読取部が、前記商品に備えられた商品識別記録媒体から、前記商品を特定する商品識別情報を読取る商品識別読取過程と、流通情報通知部が、前記商品識別読取過程において読取った前記商品識別情報と、該読取端末が設置されている流通場所及び流通状態を示す流通情報とを前記センターデータベース装置に送信する流通情報通知過程と、前記センターデータベース装置において、流通情報書込部が、前記読取端末から受信した前記商品識別情報と前記流通情報とを対応づけて商品情報記憶部に書込む流通情報書込過程と、前記真贋判定端末において、読取部が、前記顧客識別記録媒体が備える顧客識別記憶部から、顧客を特定する前記顧客識別情報を読取るとともに、前記商品に備えられた前記商品識別記録媒体から前記商品識別情報を読取る読取過程と、問合部が、前記読取過程において読取った前記顧客識別情報及び前記商品識別情報を前記センターデータベース装置へ送信し、真贋を問合せる問合過程と、前記センターデータベース装置において、問合応答部が、前記真贋判定端末から前記顧客識別情報及び前記商品識別情報を受信し、受信した前記商品識別情報により特定される前記商品情報記憶部内の前記流通情報に基づいて得られた真贋を示す情報を、問合せ結果として前記真贋判定端末に送信するとともに、顧客識別情報と顧客が保有する端末のアドレスを示す顧客アドレス情報とを対応付けて記憶する顧客情報記憶部から、受信した前記顧客識別情報により特定される顧客アドレス情報を読み出し、読み出した前記顧客アドレス情報を宛先として前記問合せ結果を送信する送信過程と、前記真贋判定端末において、受信部が、前記送信過程において送信された前記問合せ結果を受信する受信過程と、出力部が、前記受信過程において受信した前記問合せ結果を表示する出力過程と、前記顧客端末において、処理部が、前記送信過程において送信された前記問合せ結果を受信する受信処理過程と、表示部が、前記受信処理過程において受信した問合せ結果を表示する表示過程と、を有することを特徴とする真贋判定方法である。
【0014】
また、本発明は、顧客が所有する顧客識別記録媒体と、商品の流通過程に設置された読取端末と、前記商品の真贋を問い合わせる真贋判定端末と、前記商品の流通履歴を記憶するセンターデータベース装置とからなる真贋判定システムにおける前記センターデータベース装置に用いられるコンピュータを、顧客を特定する顧客識別情報と、顧客が保有する顧客端末のアドレスを示す顧客アドレス情報とを対応付けて記憶する顧客情報記憶部、商品を特定する商品識別情報と、前記読取端末が設置されている流通場所及び流通状態を示す流通情報とを対応付けて記憶する商品情報記憶部、前記読取端末から受信した商品識別情報と流通情報とを対応づけて前記商品情報記憶部に書込む流通情報書込部、前記真贋判定端末から前記商品識別情報と前記顧客識別情報とを受信し、前記商品識別情報により特定される前記商品情報記憶部内の前記流通情報に基づいて得られた真贋を示す情報を、問合せ結果として前記真贋判定端末に送信するとともに、前記顧客情報記憶部から前記顧客識別情報により特定される顧客アドレス情報を読み出し、読み出した前記顧客アドレス情報を宛先として前記問合せ結果を送信する問合応答部、として機能させることを特徴とする真贋判定プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、市場に流通する商品個々に付与された商品識別情報に対応させて流通情報をセンターデータベース装置に蓄積しておき、顧客への商品の販売時に、真贋判定端末が商品から商品識別情報を、顧客の顧客識別記録媒体から顧客識別情報を読み取り、読み取った商品識別情報に対応した流通情報に基づく真贋問合せ結果を、真贋判定端末へ返送するとともに、顧客識別情報に対応させてセンターデータベース装置に予め登録していた顧客の携帯電話等のアドレス宛に通知する。これにより、例え、真贋判定端末に商品が真品である旨の表示がされたとしても、顧客の携帯電話に同じ情報が送られてこない場合には、偽の真贋判定端末によるものと判断ができる。また、RFIDを破断しないように封印を再利用したとしても、センターデータベース装置に販売に適切ではない流通状態が登録されているため、偽の商品であることを判定することができる。従って、顧客は、商品が真品であることを確認することが可能となり、偽の商品の販売を防ぐことができる。
また、顧客は、予め入手した判定カードのフィルターを通して商品の封印に施された特殊印刷を確認したり、商品IDを複製が困難なRFIDタグに記憶させたりすることで、より信頼性の高い真贋判定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態による真贋判定システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態による顧客情報のデータ構成例を示す図である。
【図3】同実施の形態による商品情報のデータ構成例を示す図である。
【図4】同実施の形態による真贋判定システムにおける処理シーケンスを示す図である。
【図5】同実施の形態による真贋判定システムにおける処理シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による真贋判定システムの全体構成を示す図である。同図において、センターデータベース装置2は、インターネットなどのIP(Internet Protocol)網であるネットワークNを介して、工場や卸、小売店等の各流通過程に設置された読取端末3、小売店の店員が保有する真贋判定端末4、及び、顧客が保有する顧客端末6と接続される。
【0018】
一般市場に流通する商品1は、パッケージされており、パッケージが開封された後、封入されている内容物が消費される。このような商品1の例としては、例えば、お酒やたばこなどが挙げられるが、任意の商品とすることができる。商品1のパッケージは、偽装防止技術のための特殊印刷が施された封印11により封印されている。封印11は、商品1のパッケージが未開封状態であることを保証するためのRFID(Radio Frequency Identification)インレット12が組み込まれたシュリンクラップやシール等であり、開封時にはこのRFIDインレット12が破断されるように設計されている。RFIDインレット12は、IC(Integrated Circuit)チップにアンテナを取り付け、フィルムなどで封入した構成であり、商品を一意に特定する情報である商品IDが書替えできないように記憶されている。RFIDインレット12として、例えば、同サイズの同等品の製造が非常に難しいというセキュリティ面から、無線通信とROM(Read Only Memory)の機能のみを有する小型のミューチップ(登録商標)を使用することができ、商品IDには、例えば、個々の商品1の唯一無二を保証するためにucode(ユーコード)を使用することができる。
【0019】
顧客が保有する判定カード5は、RFIDインレット51とフィルター52を備える。RFIDインレット51には、顧客を一意に特定する情報である顧客IDが書替えできないように記憶されている。フィルター52は、封印11に特殊印刷された秘密画像を判読可能とする。例えば、封印11にカラーシフトインキによって秘密画像を印刷し、偏光フィルターを用いたフィルター52を重ねることによって秘密画像を判読可能とする。なお、封印11とフィルター52には、特殊印刷とフィルターを利用した既存の任意の真贋判定技術を適用することができる。
【0020】
顧客が保有する顧客端末6は、例えば、携帯電話や可搬のコンピュータ端末であり、通信部61、処理部62、表示部63、及び、入力部64を備える。通信部61は、ネットワークNと無線により接続され、ネットワークNを介してセンターデータベース装置2と通信する。表示部63は、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイである。入力部64は、キーボードやマウス、ボタンなどであり、顧客の操作による情報の入力を受ける。処理部62は、入力部64により入力された情報をセンターデータベース装置2へ送信したり、センターデータベース装置2から受信した情報を表示部63へ出力させたりする。処理部62は、電子メールのメーラや、ブラウザなどのアプリケーションにより実現することができる。なお、顧客端末6が携帯電話である場合、さらに、受話器及び送話器、ならびに、これらを制御する音声処理部(図示せず)をさらに備える。以下では、顧客端末6が携帯電話であるものとして説明する。
【0021】
センターデータベース装置2は、商品IDを管理するデータベースであり、通信部21、入力部22、顧客情報記憶部23、商品情報記憶部24、及び、処理部25を備えて構成される。センターデータベース装置2は、1台のサーバにより実現してもよく、複数台のサーバにより構成してもよい。
【0022】
通信部21は、ネットワークNを介し、読取端末3、真贋判定端末4、顧客端末6との間でデータの送受信を行う。入力部22は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタンやキーなどによりセンターデータベースのオペレーターなどのユーザが入力した情報を受信する。あるいは、ネットワークを介して接続される他のコンピュータ装置から情報を受信したり、コンピュータ読取り可能な記録媒体から情報を読み出したりするものでもよい。
【0023】
顧客情報記憶部23は、顧客ID、顧客端末6のアドレス情報、顧客が購入した商品1の商品ID等を対応づけた顧客情報を記憶する。商品情報記憶部24は、商品ID、商品の流通情報、商品の属性情報等を対応づけた商品情報を記憶する。流通情報は、卸や小売店など流通過程における流通場所や、入庫、出庫、販売済みなどの流通状態を示す。属性情報は、商品名や商品の説明等を示す。
【0024】
処理部25は、各種情報処理を実行し、流通情報書込部26、問合応答部27を備える。流通情報書込部26は、読取端末3から受信した流通情報登録要求に基づいて、商品情報記憶部24に記憶されている商品情報に流通情報を書き込む。問合応答部27は、真贋判定端末4から商品IDと顧客IDが設定された真贋問合せを受信すると、商品IDにより特定される流通情報を商品情報記憶部24から読み出し、読み出した流通情報に基づいて得られた真贋の問合せ結果を真贋判定端末4に返送するとともに、顧客IDにより特定される顧客端末6のアドレス情報を顧客情報記憶部23から読み出し、読み出したアドレス情報を宛先として真贋の問合せ結果を送信する。
【0025】
読取端末3は、通信部31、読取部32、流通情報通知部33、及び、出力部34を備えて構成される。通信部31は、ネットワークNを介し、センターデータベース装置2との間でデータの送受信を行う。読取部32は、例えば、RFIDリーダであり、商品1のRFIDインレット12から商品IDを読み出す。流通情報通知部33は、読取部32が読取った商品IDと、自装置が設置されている流通場所及び流通状態が設定された流通情報を含む流通情報登録要求をセンターデータベース装置2に送信する。出力部34は、例えばディスプレイであり、流通情報登録要求に対する応答を出力する。
【0026】
真贋判定端末4は、店員が商品1の封印11を読取り、商品1の未開封状態や真贋の判定結果を得るため端末であり、通信部41、読取部42、出力部43、入力部44、及び、処理部45を備えて構成される。
通信部41は、ネットワークNを介し、センターデータベース装置2との間でデータの送受信を行う。読取部42は、例えば、RFIDリーダであり、商品1のRFIDインレット12から商品IDを読み出すとともに、判定カード5のRFIDインレット51から顧客IDを読み出す。出力部43は、例えばディスプレイであり、受信部47が受信した真贋の問合せ結果を出力する。入力部44は、例えば、キーボード、タッチパネル、ボタンやキーなどにより店員などのユーザが入力した情報を受信する。
【0027】
処理部45は、各種情報処理を実行し、問合部46、受信部47、及び、販売登録部48を備える。問合部46は、読取部42が読取った商品ID及び顧客IDが設定された真贋問合せをセンターデータベース装置2に送信する。受信部47は、センターデータベース装置2から真贋問合せに対応した問合せ結果を受信し、出力部43に出力させる。販売登録部48は、商品1が販売された旨の登録をセンターデータベース装置2に要求する。
【0028】
なお、センターデータベース装置2の通信部21と、読取端末3の通信部31、真贋判定端末4の通信部41とは、然るべき安全な方法により通信を行なう。具体的には、相互認証が可能なセキュアなネットワーク通信技術、例えば、eTRONや、公開鍵暗号方式などによる通信を行うが、他の既存のネットワーク通信技術を適用してもよい。相互認証が可能なセキュアなネットワーク通信技術を用いることにより、センターデータベース装置2において、偽の読取端末3や、偽の真贋判定端末4を検出し、通信を遮断することができる。
【0029】
図2は、センターデータベース装置2の顧客情報記憶部23に記憶される顧客情報のデータ構成例を示す図である。同図に示すように、顧客属性情報は、顧客IDと対応づけられた顧客アドレス情報、顧客属性情報、購入情報を含む。顧客アドレス情報は、顧客端末6に対してテキスト情報が送信可能な宛先であり、例えば、電子メールアドレス、ショートメールサービス(SMS)のアドレスなどを示す。顧客属性情報は、顧客の氏名、住所、年齢、性別などの情報を示す。購入情報は、顧客が購入した商品1の商品IDや、購入日などの情報を示す。
【0030】
図3は、センターデータベース装置2の商品情報記憶部24に記憶される商品情報のデータ構成例を示す図である。同図に示すように、商品情報は、商品IDと対応づけられた流通履歴情報、属性情報を含む。流通履歴情報は、流通場所、流通状態、担当者の情報を含む複数の流通情報からなる。流通場所は、商品1が出荷された工場を特定する工場ID、商品が入庫・出庫された卸を特定する卸ID、商品が入荷・販売された販売店を特定する販売店IDなどを示す。流通状態は、工場からの出荷、卸への入庫や出庫、販売店への入荷、販売済などを示す。担当者は、商品1の出庫や出庫を登録したオペレーターを特定するオペレーターIDや、商品1を販売した店員を特定する店員ID等を示す。属性情報は、商品名や、商品説明等を示し、例えば、商品1が食品である場合、商品説明は、原材料や、カロリーなどとすることができる。なお、商品情報に、流通履歴情報に代えて、最も新しい流通情報のみを設定するようにしてもよい。
【0031】
図4及び図5は、図1に示す真贋判定システムの処理シーケンスを示す図である。
(1)事前登録:
高強度の真贋判定サービスを受けたい顧客は、例えば、真贋判定サービスの提供企業にサービスを申し込み、判定カード5を入手する。判定カード5の発行に伴い、センターデータベース装置2の入力部22により顧客情報が入力される。これにより、発行された判定カード5のRFIDインレット51に書込まれている顧客IDと、顧客の氏名、住所、年齢、性別などの情報を含む顧客属性情報と、顧客アドレス情報とを対応づけた顧客情報が顧客情報記憶部23に書込まれる。
【0032】
(2)工場からの商品出荷:
図4に示すように、工場の製造現場において、商品1をパッケージした後、パッケージを封印11により封印する。工場からの商品1の出荷時、出荷担当のオペレーターは、工場に設置された読取端末3に自身のオペレーターIDを入力する。例えば、オペレーターIDは、読取端末3の入力手段(図示せず)により入力してもよく、読取部32が社員証等に備えられたRFIDインレットから読み込んでもよい。読取端末3の読取部32は、商品1の封印11に組み込まれているRFIDインレット12から商品IDを読み出し、流通情報通知部33は、流通情報登録要求として、読取部32が読み出した商品IDと、工場ID、流通状態「出荷」及びオペレーターIDが設定された流通情報とからなる出荷登録情報を送信するよう通信部31に指示する(ステップS105)。通信部31は、出荷登録情報をセンターデータベース装置2に送信する(ステップS110)。
【0033】
センターデータベース装置2の通信部21は、出荷登録情報を受信し、流通情報書込部26に出力する。流通情報書込部26は、商品情報記憶部24に記憶されている商品情報に、出荷登録情報に設定されている商品IDが登録されていないため、該商品IDを新たに商品情報に登録する。さらに、流通情報書込部26は、登録した商品IDに対応する流通履歴情報に、受信した出荷登録情報から読み出した流通情報を書込む(ステップS115)。流通情報書込部26は、正常に流通履歴情報が更新されると、「OK」を設定した応答を返送するよう通信部21に指示し、通信部21は、応答を読取端末3に送信する(ステップS120)。なお、流通履歴情報が正しく登録できなかった場合、「NG」を設定した応答を返送する。読取端末3の流通情報通知部33は、通信部31が受信した応答を出力部34に出力する。
【0034】
(3)卸への商品入庫:
卸への工場または他の卸からの商品1の入庫時、入庫担当のオペレーターは、卸の入口に設置された読取端末3に自身のオペレーターIDを入力する。読取端末3の読取部32は、商品1の封印11に組み込まれているRFIDインレット12から商品IDを読み出し、流通情報通知部33は、流通情報登録要求として、読取部32が読み出した商品IDと、商品1が入庫される卸の卸ID、流通状態「入庫」及びオペレーターIDが設定された流通情報とからなる入庫登録情報を送信するよう通信部31に指示する(ステップS125)。通信部31は、入庫登録情報をセンターデータベース装置2へ送信する(ステップS130)。
【0035】
センターデータベース装置2の通信部21は、入庫登録情報を受信し、流通情報書込部26に出力する。流通情報書込部26は、商品情報記憶部24を検索して、入庫登録情報から読み出した商品IDに対応する流通履歴情報を特定し、特定した流通履歴情報に含まれる最新の流通情報に、流通状態「出荷」または「出庫」が設定されている場合、流通状態が正常であると判断する。流通情報書込部26は、流通状態が正常であると判断した場合、特定した流通履歴情報に、受信した入庫登録情報から読み出した流通情報を書込む(ステップS135)。流通情報書込部26は、正常に流通履歴情報が更新されると、「OK」を設定した応答を返送するよう通信部21に指示し、通信部21は、応答を読取端末3に送信する(ステップS140)。なお、流通状態が正常ではないと判断した場合、「NG」を設定した応答を返送する。読取端末3の流通情報通知部33は、通信部31が受信した応答を出力部34に出力する。
【0036】
(4)卸からの商品出庫:
卸が入荷された商品1を出庫する際、出庫担当のオペレーターは、卸の出口に設置された読取端末3に自身のオペレーターIDを入力する。読取端末3の読取部32は、商品1の封印11に組み込まれているRFIDインレット12から商品IDを読み出し、流通情報通知部33は、流通情報登録要求として、読取部32が読み出した商品IDと、商品が出庫される卸の卸ID、流通状態「出庫」及びオペレーターIDが設定された流通情報とからなる出庫登録情報を送信するよう通信部31に指示する(ステップS145)。通信部31は、ネットワークNを介して出庫登録情報をセンターデータベース装置2へ送信する(ステップS150)。
【0037】
センターデータベース装置2の通信部21は、出庫登録情報を受信し、流通情報書込部26に出力する。流通情報書込部26は、商品情報記憶部24を検索して、出庫登録情報から読み出した商品IDに対応する流通履歴情報を特定し、特定した流通履歴情報に含まれる最新の流通情報に、出庫登録情報に設定されている「卸ID」と、流通状態「入荷」とが設定されている場合、流通状態が正常であると判断する。流通情報書込部26は、流通状態が正常であると判断した場合、特定した流通履歴情報に、受信した出庫登録情報から読み出した流通情報を書込む(ステップS155)。流通情報書込部26は、正常に流通履歴情報が更新されると、「OK」を設定した応答を返送するよう通信部21に指示し、通信部21は、応答を読取端末3に送信する(ステップS160)。なお、流通状態が正常ではないと判断した場合、「NG」を設定した応答を返送する。読取端末3の流通情報通知部33は、通信部31が受信した応答を出力部34に出力する。
【0038】
卸が複数ある場合は、ステップS125〜S160の処理を繰り返す。
【0039】
(5)小売店への商品入荷:
小売店への卸からの商品1の入荷時、入荷担当の店員は、小売店の入口に設置された読取端末3に自身の店員IDを入力する。店員IDは、真贋判定端末4の入力部44により入力してもよく、読取部42が社員証等に備えられたRFIDインレットから読み込んでもよい。読取端末3の読取部32は、商品1の封印11に組み込まれているRFIDインレット12から商品IDを読み出し、流通情報通知部33は、流通情報登録要求として、読取部32が読み出した商品IDと、商品が入荷された小売店の小売店ID、流通状態「入荷」及び店員IDとが設定された流通情報とからなる入荷登録情報を送信するよう通信部31に指示する(ステップS165)。通信部31は、入荷登録情報をセンターデータベース装置2へ送信する(ステップS170)。
【0040】
センターデータベース装置2の通信部21は、入荷登録情報を受信し、流通情報書込部26に出力する。流通情報書込部26は、商品情報記憶部24を検索して、入荷登録情報から読み出した商品IDに対応する流通履歴情報を特定し、特定した流通履歴情報に含まれる最新の流通情報に、流通状態「出庫」が設定されている場合、流通状態が正常であると判断する。流通情報書込部26は、流通状態が正常であると判断した場合、特定した流通履歴情報に、受信した入荷登録情報から読み出した流通情報を書込む(ステップS175)。流通情報書込部26は、正常に流通履歴情報が更新されると、「OK」を設定した応答を返送するよう通信部21に指示し、通信部21は、応答を読取端末3に送信する(ステップS180)。なお、流通状態が正常ではないと判断した場合、「NG」を設定した応答を返送する。読取端末3の流通情報通知部33は、通信部31が受信した応答を出力部34に出力する。
【0041】
(6)小売店における販売に際しての真贋判定:
図5において、小売店が入荷された商品1を顧客に販売する場合、まず、顧客は自らの判定カード5を店員に提示する。店員は、真贋判定端末4の読取部42により、商品1の封印11に組み込まれているRFIDインレット12から商品IDを読み込むとともに(ステップS205)、判定カード5のRFIDインレット51から顧客IDを読み込む(ステップS210)。真贋判定端末4の問合部46は、入力部44により真贋問合せ指示が入力されると、読取部42により読み取った顧客ID及び商品IDを設定した真贋問合せを送信するよう通信部21に指示する。通信部21は、ネットワークNを介して真贋問合せをセンターデータベース装置2へ送信する(ステップS215)。
【0042】
センターデータベース装置2の通信部21は、真贋問合せを受信し、問合応答部27に出力する。問合応答部27は、真贋問合せから商品IDと顧客IDを取得すると、商品IDにより特定される流通履歴情報を商品情報記憶部24から読み出し、さらに、顧客IDにより特定される顧客アドレス情報を顧客情報記憶部23から読み出す(ステップS220)。問合応答部27は、読み出した流通履歴情報に基づいて得られた、商品1の真贋を示す問合せ結果を真贋判定端末4に返送するとともに(ステップS225)、同じ内容の問合せ結果を記述した電子メールまたはSMSを、顧客アドレス情報を宛先として送信する(ステップS230)。
【0043】
問合せ結果として、例えば、流通履歴情報に設定されている最も新しい流通情報から取得した最新の流通状態を設定する。この場合、流通状態が「入荷」であれば、商品1は真品であることを示し、「入荷」以外の流通状態であれば、偽物であることを示す。また、問合せ結果として流通履歴情報の全て、または、流通場所や流通状態の履歴など流通履歴情報の一部を設定してもよい。流通状態の履歴で示される流通状態の遷移や、流通場所の履歴で示される流通場所の遷移が正常である場合、商品1は真品であることを示し、正常でなければ偽物であることを示す。
あるいは、問合応答部27は、流通履歴情報に基づいて商品1の真贋判定を行い、商品1が真品であると判定した場合に「OK」、偽物であると判定した場合は「NG」を問合せ結果として設定してもよい。例えば、最新の流通履歴情報の流通状態に「入荷」が設定され、かつ、流通場所に真贋問合せに含まれる小売店IDが設定されている場合に、真品であると判断する。また、工場IDに対応して流通状態「出荷」が、卸IDに対応して流通状態「入庫」及び「出庫」が、小売店IDに対応して流通状態「入荷」が順に設定さているなど、流通状態が正しく遷移している場合に、真品と判断するようにしてもよい。また、真贋判定結果に、流通情報を併せて送信してもよい。
【0044】
真贋判定端末4の受信部47は、通信部41が受信した問合せ結果を出力部43に表示させる(ステップS235)。店員は、出力部43に表示されている問合せ結果の内容を確認するとともに、顧客にも出力部43に表示されている問合せ結果の内容を提示する。
また、顧客端末6の処理部62は、センターデータベース装置2から受信した電子メールまたはSMSを表示部63に表示させる(ステップS240)。顧客は、顧客端末6の表示部63に表示されている問合せ結果を確認する。顧客は、真贋判定端末4の表示内容、顧客端末6の表示内容とも、真品を示す内容の問合せ結果であることを確認すると、判定カード5のフィルター52を商品1の封印11の特殊印刷に重ね、秘密画像が判読できた場合に、商品1が真品であると判断する。顧客は、商品1が真品であると確認した上で、購入を決定する。
【0045】
(7)商品購入:
顧客が商品1の購入を決定した場合、店員は、真贋判定端末4の入力部44により「販売」を入力するとともに、自身の店員IDを入力する(ステップS245)。真贋判定端末4の販売登録部48は、流通情報登録要求として、商品ID及び顧客IDと、小売店ID、流通状態「購入」及び店員IDが設定された流通情報と、現在の日付とを設定した購入登録情報を送信するよう通信部41に指示する。通信部41は、購入登録情報をセンターデータベース装置2へ送信する(ステップS250)。センターデータベース装置2の通信部21は、真贋判定端末4から購入登録情報を受信し、流通情報書込部26に出力する。
【0046】
さらに、顧客は、顧客端末6の入力部64により、顧客購入登録情報の送信指示を入力し(ステップS255)、処理部62は、顧客IDまたは顧客アドレス情報を設定した顧客購入登録情報をセンターデータベース装置2へ送信する(ステップS260)。これは、例えば、センターデータベース装置2が提供する購入登録用のウェブページにアクセスして、顧客IDや電子メールアドレスを入力し、センターデータベース装置2へ送信することでもよく、問合せ結果が通知された電子メールやSMSの差出人アドレス宛に、電子メールを返信するようにしてもよい。センターデータベース装置2の通信部21は、顧客端末6から顧客購入登録情報を受信し、流通情報書込部26に出力する。
【0047】
センターデータベース装置2の流通情報書込部26は、真贋問合せの問合せ結果を送信した真贋判定端末4から購入登録情報を受信し、かつ、該問合せ結果を送信した顧客端末6から顧客購入登録情報を受信すると、商品情報記憶部24を検索し、購入登録情報に設定されている商品IDに対応した流通履歴情報を特定する。流通情報書込部26は、特定した流通履歴情報に含まれる最新の流通情報に、購入登録情報に設定されている「小売店ID」と、流通状態「入荷」とが登録されている場合、流通状態が正常であると判断する。流通情報書込部26は、流通状態が正常であると判断した場合、特定した流通履歴情報に、購入登録情報から読み出した流通情報を書込む(ステップS265)。さらに、流通情報書込部26は、顧客情報記憶部23を検索して、購入登録情報または顧客購入登録情報から読み出した顧客ID、あるいは、顧客購入登録情報から読み出した顧客アドレス情報に対応する購入情報を特定し、特定した購入情報に購入登録情報から読み出した商品IDと日付の情報を書き込む(ステップS270)。流通情報書込部26は、正常に流通履歴情報が更新されると、「OK」を設定した応答を返送するよう通信部21に指示し、通信部21は、応答を真贋判定端末4に送信する(ステップS275)。真贋判定端末4の通信部41は応答を受信し、販売登録部48は、通信部41が受信した応答を出力部43に表示させる。さらに、流通情報書込部26は、顧客端末6に応答を送信する(ステップS280)。顧客端末6の処理部62は、表示部63に受信した応答を表示させる。
【0048】
購入後、または、購入に際して、顧客または店員が商品1のパッケージを開封した場合、RFIDインレット12が破断する。このとき、流通状態「開封」状態をセンターデータベース装置2に登録してもよい。具体的には、店員は、真贋判定端末4の入力部44により「開封」を入力する。真贋判定端末4の販売登録部48は、商品ID及び顧客IDと、小売店ID、流通状態「開封」及び店員IDを設定した流通情報とからなる開封登録情報を送信する。また、顧客は、顧客端末6の入力部64により、顧客開封登録情報の送信指示を入力し、処理部62は、顧客IDまたは顧客アドレス情報を設定した顧客開封登録情報をセンターデータベース装置2へ送信する。センターデータベース装置2の流通情報書込部26は、問合せ結果を送信した真贋判定端末4から開封登録情報を受信し、かつ、問合せ結果を送信した顧客端末6から顧客開封登録情報を受信すると、開封登録情報から読み出した商品IDにより特定される流通履歴情報に、開封登録情報から読み出した流通情報を書込む。正常に流通履歴情報が更新されると、「OK」を設定した応答が真贋判定端末4及び顧客端末6に送信される。
【0049】
なお、センターデータベース装置2に蓄積される顧客情報は、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)やマーケティングに利用される。例えば、購入ポイントや、景品交換などの特典の付与と引き換えに各顧客の購入情報を収集し、収集した購入情報から、商品IDに対応した商品の種類毎に、購入客の年齢、性別、地域別の統計などを得ることができる。
また、センターデータベース装置2の処理部は、顧客端末6から顧客IDと購入履歴問合せを受信した場合、顧客情報記憶部23に記憶されている顧客情報から、受信した顧客IDに対応した購入情報を読み出して返送する。
【0050】
なお、上記においてセンターデータベース装置2は、問合せ結果を送信した真贋判定端末4から購入登録情報を受信し、かつ、問合せ結果を送信した顧客端末6から顧客購入登録情報を受信した場合に、商品履歴情報及び購入履歴の更新を行なっているが、真贋判定端末4からの購入登録情報、あるいは、顧客端末6から顧客購入登録情報のいずれかを受信した場合に、商品履歴情報及び購入履歴の更新を行なうようにしてもよい。なお、商品ID、小売店IDは、ステップS215において受信した真贋問合せから取得してもよく、購入の日付は、センターデータベース装置2が購入登録情報または顧客購入登録情報を受信した日付としてもよい。
【0051】
例えば、購入情報により示される商品1の購入実績に従って顧客に特典が付与される場合、購入していない商品1を購入したと偽って、顧客端末6からセンターデータベース装置2に購入を登録することが考えられる。そこで、真贋判定端末4からの購入登録情報の受信を条件とすることにより、顧客が実際には購入していない商品1を購入したように購入情報に書き込むことができなくなる。
また、例えば、偽の商品のパッケージとして使用するために、店員が、商品1の封印11及びRFIDインレット12の部分を切り取って悪意のある第三者へ渡し、偽の商品のパッケージに再利用することが考えられる。そこで、顧客端末6から顧客購入登録情報を受信した時点で購入履歴情報に販売済みを書き込むことにより、封印11及びRFIDインレット12の不正利用を防ぐことができる。
【0052】
購入登録と同様に、真贋判定端末4からの開封登録情報、あるいは、顧客端末6から顧客開封登録情報のいずれかを受信した場合に、商品履歴情報の更新を行なうようにしてもよい。また、購入登録と開封登録はいずれかを行なうことでもよい。開封登録のみを行なう場合、流通状態「開封」を購入済みの状態として扱い、購入登録と同様に購入情報を更新する。
【0053】
なお、ステップS230において、センターデータベース装置2の問合応答部27は、問合せ結果に併せて、商品IDに対応して商品情報記憶部24から読み出した属性情報の全部または一部を顧客端末6に送信してもよい。あるいは、センターデータベース装置2の流通情報書込部26は、販売または開封を流通履歴情報に書き込んだ後、商品IDに対応して商品情報記憶部24から読み出した属性情報の全てまたは一部を顧客端末6に送信してもよい。
【0054】
上述した実施形態では、商品IDや、顧客IDをRFIDインレットから読み込んでいるが、QRコードなどの二次元バーコードから読み込むようにしてもよい。この場合、読取端末3の読取部32、及び、真贋判定端末4の読取部42は、二次元バーコードリーダを用いる。ただし、二次元バーコードはコピーなどの光学的な方法によって複製が容易なため、唯一無二の商品IDや顧客IDを保持することができ、複製が困難であるという点から、RFIDを用いるのが望ましい。
【0055】
また、センターデータベース装置2の問合応答部27は、ステップS230において、顧客アドレス情報を宛先として問合せ結果を送信する場合に、センターデータベース装置2からの送信であることを確認できる情報を付加して送信するようにしてもよい。例えば、予め顧客が指定した画像データ等を顧客属性情報に含めてセンターデータベース装置2の顧客情報記憶部23に記憶させておき、問合せ結果に併せて、顧客IDに対応して顧客情報記憶部23から読み出した画像データを設定して電子メールまたはSMSを送信する。
【0056】
上述した実施形態によれば、市場に流通する商品個々に付与された商品IDに対応させて流通情報をセンターデータベース装置に蓄積しておき、顧客への商品の販売時に、真贋判定端末が読み取った商品IDに対応する流通情報、または、その流通情報に基づいた真贋問合せ結果を、真贋判定端末と、判定カードから読み出された顧客IDにより特定される顧客の携帯電話等のアドレス宛に通知する。従って、真贋判定端末が受信した真贋問合せ結果と、顧客が受信した真贋問合せ結果とにより、商品が真品であるか、偽者であるかを判断することができる。
偽の真贋判定端末が使用された場合、センターデータベース装置との間で相互認証可能なセキュアなネットワーク通信を行うことができないため、顧客の携帯電話へ真贋問合せ結果を通知し、表示させることができない。また、顧客は真贋判定端末に真品である旨の表示がされたとしても、自分の携帯電話に同じ情報が送られてこない場合には、偽の真贋判定端末によるものと判断できる。従って、偽の真贋判定端末を用いて顧客を欺くことはできず、偽の商品の販売を防ぐことができる。
【0057】
さらに、判定カードのフィルターを通して顧客が特殊印刷を確認し、封印の真贋を判定するため、封印の再生利用を防ぐことができる。特殊印刷による封印のみによる偽物防止の場合、未使用の封印自体が不法流出することにより偽物が作られるケースもあるが、商品IDとして唯一無二性のIDを用いることによって、正規に流通していることがセンターデータベース装置に登録されていない封印を不正な商品IDとして検出することがきるため、封印の不正利用を防止することが出来る。
【0058】
また、判定カードを持たない顧客については、従来のように、判定カードを介さないオペレーション、つまり、商品の流通情報の確認のみを行い、RFID組込み封印による一般的な真贋判定を行うことができる。一方、商品の利用頻度が高い顧客は、判定カードを持つことにより、高強度な判定を行うことができるという素直な拡張により、全体としての偽装被害発生の可能性を現実的なレベルで減らすことが可能となる。そして、この判定カードは、単純な読取り専用のRFIDとフィルター程度の構成であり、低コストで配布が可能である。
【0059】
また、商品の属性情報や利用の記録を、テキスト情報として利用者が携帯電話等で受け取ることができるため、商品のトレーサビリティにも利用できる。判定カードをユーザ会員カードとすることによって、センターデータベース装置側で利用ポイントや景品と引換に利用情報を収集するなど、CRMやマーケティングにも利用することができる。
また、流通過程において流通履歴を確認することによって、偽物の流通を検出することができる。
【0060】
なお、上述のセンターデータベース装置2、読取端末3、真贋判定端末4、及び、顧客端末6は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、センターデータベース装置2の処理部25、読取端末3の流通情報通知部33、真贋判定端末4の処理部45、及び、顧客端末6の処理部62の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0061】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0062】
1…商品、11…封印、12…RFIDインレット(商品識別記録媒体)、2…センターデータベース装置、21…通信部、22…入力部、23…顧客情報記憶部、24…商品情報記憶部、25…処理部、26…流通情報書込部、27…問合応答部、3…読取端末、31…通信部、32…読取部(商品識別読取部)、33…流通情報通知部、34…出力部、4…真贋判定端末、41…通信部、42…読取部、43…出力部、44…入力部、45…処理部、46…問合部、47…受信部、48…販売登録部、5…判定カード(顧客識別記録媒体)、51…RFIDインレット、52…フィルター、6…顧客端末、61…通信部、62…処理部、63…表示部、64…入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が所有する顧客識別記録媒体と、商品の流通過程に設置された読取端末と、前記商品の真贋を問い合わせる真贋判定端末と、前記商品の流通情報を記憶するセンターデータベース装置とからなる真贋判定システムであって、
前記顧客識別記録媒体は、
顧客を特定する顧客識別情報を記録する顧客識別記憶部を備え、
前記読取端末は、
前記商品に備えられた商品識別記録媒体から商品識別情報を読取る商品識別読取部と、
前記商品識別読取部が読取った前記商品識別情報と、該読取端末が設置されている流通場所及び流通状態を示す流通情報とを前記センターデータベース装置に送信する流通情報通知部とを備え、
前記真贋判定端末は、
前記顧客識別記録媒体から前記顧客識別情報を読取るとともに、前記商品に備えられた前記商品識別記録媒体から前記商品識別情報を読取る読取部と、
前記読取部が読取った前記顧客識別情報及び前記商品識別情報を前記センターデータベース装置へ送信し、商品の真贋を問合せる問合部と、
前記問合部が送信した前記顧客識別情報及び前記商品識別情報に対応して、前記商品の真贋を示す問合せ結果を受信する受信部と、
前記受信部が受信した問合せ結果を出力する出力部とを備え、
前記センターデータベース装置は、
前記顧客識別情報と、顧客が保有する顧客端末のアドレスを示す顧客アドレス情報とを対応付けて記憶する顧客情報記憶部と、
前記商品識別情報と前記流通情報とを対応付けて記憶する商品情報記憶部と、
前記読取端末から受信した前記商品識別情報と前記流通情報とを対応づけて前記商品情報記憶部に書込む流通情報書込部と、
前記真贋判定端末から前記商品識別情報と前記顧客識別情報とを受信し、前記商品識別情報により特定される前記商品情報記憶部内の前記流通情報に基づいて得られた真贋を示す情報を、問合せ結果として前記真贋判定端末に送信するとともに、前記顧客情報記憶部から前記顧客識別情報により特定される顧客アドレス情報を読み出し、読み出した前記顧客アドレス情報を宛先として前記問合せ結果を送信する問合応答部とを備える、
ことを特徴とする真贋判定システム。
【請求項2】
前記流通情報書込部は、前記真贋判定端末または前記顧客端末の一方あるいは両方から前記商品が販売されたことを示す流通状態を受信し、前記商品の商品識別情報に対応した流通情報に受信した前記流通状態を書き込むことを特徴とする請求項1に記載の真贋判定システム。
【請求項3】
前記商品識別記録媒体は、RFIDであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真贋判定システム。
【請求項4】
前記商品識別記録媒体は、商品の開封により破断することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の真贋判定システム。
【請求項5】
前記商品識別記録媒体は、秘密画像が印刷された印刷物により前記商品に貼付され、
前記顧客識別記録媒体は、前記秘密画像を判読するフィルターを備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の真贋判定システム。
【請求項6】
顧客が所有する顧客識別記録媒体と、商品の流通過程に設置された読取端末と、前記商品の真贋を問い合わせる真贋判定端末と、前記商品の流通履歴を記憶するセンターデータベース装置とからなる真贋判定システムにおいて実行される真贋判定方法であって、
前記読取端末において、
商品識別読取部が、前記商品に備えられた商品識別記録媒体から、前記商品を特定する商品識別情報を読取る商品識別読取過程と、
流通情報通知部が、前記商品識別読取過程において読取った前記商品識別情報と、該読取端末が設置されている流通場所及び流通状態を示す流通情報とを前記センターデータベース装置に送信する流通情報通知過程と、
前記センターデータベース装置において、
流通情報書込部が、前記読取端末から受信した前記商品識別情報と前記流通情報とを対応づけて商品情報記憶部に書込む流通情報書込過程と、
前記真贋判定端末において、
読取部が、前記顧客識別記録媒体が備える顧客識別記憶部から、顧客を特定する前記顧客識別情報を読取るとともに、前記商品に備えられた前記商品識別記録媒体から前記商品識別情報を読取る読取過程と、
問合部が、前記読取過程において読取った前記顧客識別情報及び前記商品識別情報を前記センターデータベース装置へ送信し、真贋を問合せる問合過程と、
前記センターデータベース装置において、
問合応答部が、前記真贋判定端末から前記顧客識別情報及び前記商品識別情報を受信し、受信した前記商品識別情報により特定される前記商品情報記憶部内の前記流通情報に基づいて得られた真贋を示す情報を、問合せ結果として前記真贋判定端末に送信するとともに、顧客識別情報と顧客が保有する端末のアドレスを示す顧客アドレス情報とを対応付けて記憶する顧客情報記憶部から、受信した前記顧客識別情報により特定される顧客アドレス情報を読み出し、読み出した前記顧客アドレス情報を宛先として前記問合せ結果を送信する送信過程と、
前記真贋判定端末において、
受信部が、前記送信過程において送信された前記問合せ結果を受信する受信過程と、
出力部が、前記受信過程において受信した前記問合せ結果を表示する出力過程と、
前記顧客端末において、
処理部が、前記送信過程において送信された前記問合せ結果を受信する受信処理過程と、
表示部が、前記受信処理過程において受信した問合せ結果を表示する表示過程と、
を有することを特徴とする真贋判定方法。
【請求項7】
顧客が所有する顧客識別記録媒体と、商品の流通過程に設置された読取端末と、前記商品の真贋を問い合わせる真贋判定端末と、前記商品の流通履歴を記憶するセンターデータベース装置とからなる真贋判定システムにおける前記センターデータベース装置に用いられるコンピュータを、
顧客を特定する顧客識別情報と、顧客が保有する顧客端末のアドレスを示す顧客アドレス情報とを対応付けて記憶する顧客情報記憶部、
商品を特定する商品識別情報と、前記読取端末が設置されている流通場所及び流通状態を示す流通情報とを対応付けて記憶する商品情報記憶部、
前記読取端末から受信した商品識別情報と流通情報とを対応づけて前記商品情報記憶部に書込む流通情報書込部、
前記真贋判定端末から前記商品識別情報と前記顧客識別情報とを受信し、前記商品識別情報により特定される前記商品情報記憶部内の前記流通情報に基づいて得られた真贋を示す情報を、問合せ結果として前記真贋判定端末に送信するとともに、前記顧客情報記憶部から前記顧客識別情報により特定される顧客アドレス情報を読み出し、読み出した前記顧客アドレス情報を宛先として前記問合せ結果を送信する問合応答部、
として機能させることを特徴とする真贋判定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−14592(P2012−14592A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152358(P2010−152358)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(506400812)ユーシーテクノロジ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】