説明

眩光防止板及びこの眩光防止板を用いた施設

【課題】道路用眩光防止施設で採用されている遮光ネットは、ネットを張設する支持枠体が下枠部分に設けた支脚で支柱等に嵌合するようになっているが、支持枠体と支脚の接続部分に何ら補強対策が取られていないためネットに大きな風圧がかかると支持枠体が支脚と分離して飛翔し、車両事故につながる。
【解決手段】本発明に係る眩光防止板は、同一軸線上に遮光部(1)と取付部(2)が連続部(3)を介して一体成形されている。該遮光部(1)は遮光用の面板(11)を備え、該取付部(2)は鞘管部(21)を備えている。該鞘管部(21)は、該遮光部(1)と反対側に開放端面(22)を有し、かつ該開放端面(22)から該連続部(3)に向く回転防止用のスリット(23)を、該面板(11)との直交線(b)と平行の直径上に相対向して、備えている。そして、該連続部(3)は補強部(31)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路に沿って設置され、対向車線を走行する車両からの光線を遮断して走行車両の安全性を確保する眩光防止板及びこの眩光防止板を用いた施設に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下端に支脚を備えた支持枠体に合成樹脂繊維によるネットを張設して遮光ネット体を形成し、この遮光ネット体を、そのネット面を道路の走行方向に対向させ、かつ、一定の間隔をもって道路の中央分離帯や路肩に点在設置するようにした道路用の眩光防止手段が特開2000―282419号公報(特許文献1)や登録第3045119号実用新案公報(特許文献2)に開示されている。
【特許文献1】特開2000―282419号公報
【特許文献2】登録第3045119号実用新案公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の特開2000―282419号公報の「道路用眩光防止施設」で採用されている遮光ネット1は、ネット2を支持枠体3に張設して構成される。この支持枠体3の下枠部分が円筒状の支脚4の上部に設けた取付腕部4aにボルト5で着脱自在に固着されている。この支脚4を支柱10に嵌合して、遮光ネット1が支柱10に取付けられる。即ち、遮光ネット1と支脚4は別体となっているため、部品点数が増え、組み立てに手間がかかり、風圧を受けると支持枠体3の下枠部分が取付腕部4aから離脱し、もし飛翔すると車両に当たったりして大変危険となる。その上、ネット2を採用しているので、遮光を完全に行うことが困難である。
また、特許文献2の登録第3045119号実用新案公報の「道路用セパレート式遮光ネット」は、下端に支脚4を突設した方形状支持枠体3の枠内に緊定具7で着脱自在に張設したものである。この場合も、支脚4は方形状支持枠体3から突き出ているだけなので、風圧に対する配慮がなされていない。
本発明は、遮光部と取付部を連続部の介在により一体成形することにより、部品点数を減らして組立ての手間を省き、この連続部に補強部を備えさせることにより風圧にも十分耐えられる眩光防止板及びこの眩光防止板を用いた施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(請求項1)本発明に係る眩光防止板は、同一軸線上に遮光部と取付部が連続部を介して一体成形されている。該遮光部は遮光用の面板を備えている。また、該取付部は鞘管部を備えている。該鞘管部は、該遮光部と反対側に開放端面を有し、かつ該開放端面から該連続部に向く回転防止用のスリットを、該面板との直交線と平行の直径上に相対向して、備えている。そして、該連続部は補強部を備えている。
【0005】
この眩光防止板は、同一軸線上に遮光部と取付部が連続部を介して一体成形されたものなので、部品点数はただの一つで複数の部品を組み立てる必要はなく、取扱いも容易である。原料としては熱可塑性樹脂が望ましいが、熱硬化性樹脂や金属等も採用できる。遮光部は遮光用の面板を備えており、対向車線の走行車両のヘッドライトから放射される光線はこの面板に当たって全面的に反射されるので、ネットのように光線がメッシュを透過することがなく、十分な遮光が果される。
【0006】
道路の中央分離帯の両側に沿って設けられるガードレールを所定の位置に架設するため、ガードレール間に平行のブラケットを架着し、両ブラケットを中央分離帯に設置した支柱に固定している。該鞘管部はその開放端面側からこの支柱にその頂部を通して嵌入される。支柱外径と該鞘管部の内径の間には隙間があるので、該鞘管部をバンド等で締め付けて該スリット幅を狭め、該鞘管部を支柱に圧接させる。眩光防止板の場合、強風が吹くと、遮光部に受ける風圧はかなり大きく、連続部は過大な負荷を受けると破損して遮光部が飛翔する危険性がある。この連続部の該補強部は遮光部が風圧を受けた場合に取付部と離別するのを防ぐ。
【0007】
(請求項2)該連続部(3)は該軸線(a)上に該遮光部(1)側から該開放端面(22)に向かって突き出たストッパー(32)を備えていてもよい。
こうすると、該鞘管部を支柱に嵌合する際、該ストッパーが嵌合深さを規定するので、該ストッパーに当たるまで押し込むことにより正常な嵌合をなすことができる。
【0008】
(請求項3)該補強部は、該取付部と該遮光部に跨りかつ肉厚が該取付部から該遮光部にかけて漸減する、扇形状部となっていてもよい。
こうすると、該遮光部は、大きな負荷を受ける該取付部の近傍で肉厚が大で、負荷が漸減する該取付部から離別方向の場所で肉厚が薄くなる合理的な扇形状部で補強される。
【0009】
(請求項4)該補強部(31)は該取付部(2)と該遮光部(1)に跨る放射状のリブ(34)となっていてもよい。
こうすると、該遮光部は放射状のリブにより該取付部と一体となって補強されるので、該遮光部に加わる風圧の方向にかかわらず、十分な補強が可能となる。
【0010】
(請求項5)該補強部はそれぞれ該取付部と該遮光部に跨る、肉厚が該取付部から該遮光部にかけて漸減する扇形状部と、該扇形状部の表面に設けられた放射状のリブとなっていてもよい。
こうすると、該補強部の強度は十分となり、大きな風圧にも耐えられる。
【0011】
(請求項6)該面板は、該軸線と直交する面上で交互のかつ該軸線と平行方向に延びている段面による、一面側突出面と他面側突出面を備えており、該一面側突出面と該他面側突出面には複数の風穴が該段面に関連して設けられていてもよい。
こうすると、該段面が補強の役目を果たし、該面板にかかる風圧により該面板が変形したり、破断したりすることがなく、該面板には複数の風穴が穿たれているので、風圧の一部を該風穴から該面板の裏面側へ逃がして、該面板にかかる風圧を減少させることができ、しかも該風穴は該段面に関連して穿たれているので、該風穴による該面板の強度低下を効果的に防げる。
【0012】
(請求項7)該風穴の軸線上に該軸線と角度をなして該段面が位置しており、これによって入射光軸の直進が阻止されるようになっていてもよい。
こうすると、入射光軸が該風穴を直線的に透過することがないので遮光効果は確保され、風圧は該風穴を通って該面板の背後へ逃げるので風圧による該面板の変形や破断を防げる。
【0013】
(請求項8)該風穴は該段面の続く方向と平行する長穴となっていてもよい。
こうすると、該風穴の断面が大きくなるので、大きな風量を透過させることができ、風圧による該面板の変形や破断を防げる。
【0014】
(請求項9)該スリットは、該鞘管部の該スリット部分における外寸を平行するガードレール間に渡された平行のブラケット間の寸法より小さくして、該鞘管部を該ブラケットの支柱へ該ブラケットを越えて嵌入させるためのものであってもよい。
こうすると、該鞘管部は平行のブラケット間に挿通できないが、該スリット部分は挿通可能で、挿通状態で該スリット部分の開口縁部が該ブラケットに対面するので、該鞘管部は回転が規制され、支柱に対する取付けが安定する。
【0015】
(請求項10)該鞘管部は該開放端面の外周面に鍔を備えていてもよい。
こうすると、該鞘管部を締着バンドで支柱に締着した場合、締着バンドの下端面が該鍔と対面し、該締着バンドが該鞘管部から抜け落ちるのを防げる。
【0016】
(請求項11)該取付部には該支柱のキャップの開口縁部に弾発係合する係止手段が設けられていてもよい。
こうすると、該取付部を該支柱に締着する際、該取付部を該支柱のキャップを通って嵌め込むだけで係止手段が該取付部を仮に係止し、最終的な締着をこの仮止めの後にするので、締着作業を一人でも行うことができる。
【0017】
(請求項12)本発明にかかる眩光防止板を用いた施設は、請求項1から11の一つの項に記載の眩光防止板を用いている。支柱の頂部は該支柱より大径のキャップで被覆され、該鞘管部が該支柱に、該スリットを該ブラケットに向けて、該キャップ側から該ブラケットを越えて嵌入している。弾性帯が該支柱と該鞘管部の間の間隙に巻挿される。そして、締着バンドが該鞘管部と該支柱を締着している。
【0018】
これにより、該スリットは該ブラケットと当接して該鞘管部の回転が阻止され、該支柱と該鞘管部の間の間隙は弾性帯により塞がれて両者のガタつきが防止される。締着バンドの締着により該弾性帯と該鞘管部が一体となり、該鞘管部が該支柱から抜け出ることはない。その上、該鞘管部が該支柱から抜け出ようとしても、締着バンドの下端面が該鍔を抑止するので抜け落ちを防げる。この締着バンドは通常のパイプバンドで、金属製でも、樹脂製でもよい。
【0019】
(請求項13)該眩光防止板の取付部は該支柱の該キャップの開口縁部に弾発係合する係止手段が設けられている。
こうすると、該取付部を該支柱に締着する際、該取付部を該支柱のキャップを通って嵌め込むだけで係止手段が該取付部を仮に係止し、最終的な締着をこの仮止めの後にするので、締着作業を一人でも行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
(請求項1)本発明にかかる眩光防止板によれば、同一軸線上に遮光部と取付部が補強部を介して一体成形されており、該遮光部は遮光用の面板を備え、該取付部は鞘管部を備え、該鞘管部は、該遮光部と反対側に開放端面を有し、かつ該開放端面から該補強部に向く回転防止用のスリットを、該面板との直交線と平行の直径上に相対向して、備え、該連続部は補強部を備えているので、部品点数はただの一つで複数の部品を組み立てる必要はなく、取扱いも容易で、遮光用の面板は対向車線の走行車両のヘッドライトから放射される光線をこの面板で全面的に反射するので、ネットのように光線がメッシュを透過することがなく、十分な遮光が果される。また、該連続部は補強部を備えているので、遮光部が大きな風圧を受けた場合でも取付部と離別して飛翔する危険性を防ぐ。
【0021】
請求項2によれば、該連続部(3)は該軸線(a)上に該遮光部(1)側から該開放端面(22)に向かって突き出たストッパー(32)を備えているので、該鞘管部を支柱に嵌合する際、該ストッパーが嵌合深さを規定するので、該ストッパーに当たるまで押し込むことにより正常な嵌合をなすことができる。
【0022】
請求項3によれば、該補強部は、該取付部と該遮光部に跨りかつ肉厚が該取付部から該遮光部にかけて漸減する、扇形状部となっているので、該遮光部は、大きな負荷を受ける該取付部の近傍で肉厚が大で、負荷が漸減する該取付部から離別方向の場所で肉厚が薄くなる合理的な扇形状部で補強される。
【0023】
請求項4によれば、該補強部は該取付部と該遮光部に跨る放射状のリブとなっているので、該遮光部は放射状のリブにより該取付部と一体となって補強され、該遮光部に加わる風圧の方向にかかわらず、十分な補強が可能となる。
【0024】
請求項5によれば、該補強部はそれぞれ該取付部と該遮光部に跨る、肉厚が該取付部から該遮光部にかけて漸減する扇形状部と、該扇形状部の表面に設けられた放射状のリブとなっているので、該補強部の強度は十分となり、大きな風圧にも耐えられる。
【0025】
請求項6によれば、該面板は、該軸線と直交する面上で交互のかつ該軸線と平行方向に延びている段面による、一面側突出面と他面側突出面を備えており、該一面側突出面と該他面側突出面には複数の風穴が該段面に関連して設けられているので、該段面が補強の役目を果たし、該面板にかかる風圧により該面板が変形したり、破断したりすることがなく、該面板には複数の風穴が穿たれているので、風圧の一部を該風穴から該面板の裏面側へ逃がして、該面板にかかる風圧を減少させることができ、しかも該風穴は該段面に関連して穿たれているので、該風穴による該面板の強度低下を効果的に防げる。
【0026】
請求項7によれば、該風穴の軸線上に該軸線(c)と角度をなして該段面が位置しており、これによって入射光軸の直進が阻止されるようになっているので、入射光軸が該風穴を直線的に透過することがなく遮光効果は確保され、風圧は該風穴を通って面板の背後へ逃げるので風圧による該面板の変形や破断を防げる。
【0027】
請求項8によれば、該風穴は該段面の続く方向と平行する長穴となっているので、該風穴の断面が大きくなり、大きな風量を透過させることができ、風圧による該面板の変形や破断を防げる。
【0028】
請求項9によれば、該スリットは、該鞘管部の該スリット部分における外寸を平行するガードレール間に渡された平行のブラケット間の寸法より小さくして、該鞘管部を該ブラケットの支柱へ該ブラケットを越えて嵌入させるためのものであるので、該鞘管部は平行のブラケット間に挿通できないが、該スリット部分は挿通可能で、挿通状態で該スリット部分の開口縁部が該ブラケットに対面するので、該鞘管部は回転が規制され、支柱に対する取付けが安定する。
【0029】
請求項10によれば、該鞘管部は該開放端面の外周面に鍔を備えているので、該鞘管部を締着バンドで支柱に締着した場合、締着バンドの下端面が該鍔と対面し、該締着バンドが該鞘管部から抜け落ちるのを防げる。
【0030】
請求項11によれば、該取付部には該支柱のキャップの開口縁部に弾発係合する係止手段が設けられているので、該取付部を該支柱に締着する際、該取付部を該支柱のキャップを通って嵌め込むだけで係止手段が該取付部を仮に係止し、最終的な締着をこの仮止めの後にするので、締着作業を一人でも行うことができる。
【0031】
請求項12の本発明にかかる眩光防止板を用いた施設によれば、支柱の頂部は該支柱より大径のキャップで被覆され、該鞘管部が該支柱に、該スリットを該ブラケットに向けて、該キャップ側から該ブラケットを越えて嵌入しており、弾性帯が該支柱と該鞘管部の間の間隙に巻挿され、締着バンドが該鞘管部と該支柱を締着しているので、該スリットは該ブラケットと当接して該鞘管部の回転が阻止され、該支柱と該鞘管部の間の間隙は弾性帯により塞がれて両者のガタつきが防止される。また、締着バンドの締着により該弾性帯と該鞘管部が一体となり、該鞘管部が該支柱から抜け出ることはない。その上、該鞘管部が該支柱から抜け出ようとしても、締着バンドの下端面が該鍔を抑止するので抜け落ちを防げる。
【0032】
請求項13によれば、該眩光防止板の取付部は該支柱の該キャップの開口縁部に弾発係合する係止手段が設けられているので、該取付部を該支柱に締着する際、該取付部を該支柱のキャップを通って嵌め込むだけで係止手段が該取付部を仮に係止し、最終的な締着をこの仮止めの後にするので、締着作業を一人でも行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る眩光防止板の具体例を示す正面図である。
【図2】側面図である。
【図3】底面図である。
【図4】眩光防止板の一部切断斜面図である。
【図5】図1の5−5線断面図である。
【図6】図5のA部拡大図である。
【図7】図5のB部拡大図である。
【図8】取付部の支柱に対する締着手段の具体例を示す斜面図で、弾性帯を支柱と鞘管部間の隙間に卷挿した状態の斜面図である。
【図9】締着バンドを鞘管部を支柱に締付けた状態の図8と同様の斜面図である。
【図10】眩光防止板の使用状態の概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(請求項1)本発明にかかる眩光防止板は同一軸線a上に遮光部1と取付部2が連続部3を介して一体成形されている。遮光部1は遮光用の面板11を備え、取付部2は鞘管部21を備えている。この鞘管部21は、遮光部1と反対側に開放端面22を有し、かつ開放端面22から補強部3に向く回転防止用のスリット23を、面板11との直交線bと平行の直径上に相対向して、備えている。そして、連続部3は補強部31を備えている。
【0035】
この眩光防止板は同一軸線a上に遮光部1と取付部2が連続部3を介して一体成形されたものなので、部品点数はただの一つで複数の部品を組み立てる必要はなく、取扱いも容易である。原料としては熱可塑性樹脂が望ましいが、熱硬化性樹脂や金属等も採用できる。遮光部1は遮光用の面板11を備えており、対向車線の走行車両のヘッドライトから放射される光線はこの面板に当たって全面的に反射されるので、ネットのように光線がメッシュを透過することがなく、十分な遮光が果される。この連続部3の補強部31は遮光部1が風圧を受けた場合に取付部2と離別するのを防ぐ。
【0036】
(請求項2)連続部3は軸線a上に遮光部1側から開放端面22に向かって突き出たストッパー32を備えている。
この場合、鞘管部21を支柱jに嵌合する際、ストッパー32が嵌合深さを規定するので、このストッパー32に当たるまで押し込むことにより正常な嵌合をなすことができる。
【0037】
(請求項3)補強部31は、取付部2と遮光部1に跨りかつ肉厚がこの取付部2から遮光部1にかけて漸減する、扇形状部33となっている。
この場合、遮光部1は、大きな負荷を受ける取付部2の近傍で肉厚が大で、負荷が漸減する取付部2から離別方向の場所で肉厚が薄くなる合理的な扇形状部で補強される。
【0038】
(請求項4)補強部31は取付部2と遮光部1に跨る放射状のリブ34となっている。
この場合、遮光部1は放射状のリブ34により取付部2と一体となって補強されるので、遮光部1に加わる風圧の方向にかかわらず、十分な補強が可能となる。
【0039】
(請求項5)補強部31はそれぞれ取付部2と遮光部1に跨る、肉厚が該取付部2から遮光部1にかけて漸減する扇形状部33と、扇形状部33の表面に設けられた放射状のリブ34となっている。
この場合、補強部31の強度は十分となり、大きな風圧にも耐えられる。
【0040】
(請求項6)面板11は、軸線aと直交する面上で交互のかつこの軸線aと平行方向に延びている段面12による、一面側突出面13と他面側突出面14を備えている。そして、これらの一面側突出面13と他面側突出面14には複数の風穴15が段面12に関連して設けられている。
この場合、段面12は補強の役目を果たし、面板11にかかる風圧によりこの面板11が変形したり、破断したりすることがない。また、面板11には複数の風穴15が穿たれているので、風圧の一部をこれらの風穴15から面板11の裏面側へ逃がして、面板11にかかる風圧を減少させることができる。しかもこれらの風穴15は段面12に関連して穿たれているので、風穴15による面板11の強度低下を効果的に防げる。
【0041】
(請求項7)風穴15の軸線c上にこの軸線cと角度をなして段面12が位置しており、これによって入射光軸dの直進が阻止されるようになっている。
この場合、入射光軸dが風穴16を直線的に透過することがないので遮光効果は確保され、風圧は風穴15を通ってその軸線c方向へ逃げるので風圧による面板11の変形や破断を防げる。
【0042】
(請求項8)風穴15は段面12の続く方向と平行する長穴となっている。
この場合、風穴15の断面が大きくなるので、大きな風量を透過させることができ、風圧による該面板11の変形や破断を防げる。
【0043】
(請求項9)スリット23は、鞘管部21のスリット23部分における外寸eを、平行するガードレールf間に渡された平行のブラケットg間の寸法hより小さくして、鞘管部21をブラケットgの支柱jへブラケットgを越えて嵌入させるためのものである。
この場合、鞘管部21は平行のブラケットg間に挿通できないが、スリット23部分は挿通可能で、挿通状態でスリット23部分の開口縁部がブラケットgに対面するので、鞘管部21は回転が規制され、支柱に対する取付けが安定する。
【0044】
(請求項10)鞘管部21は開放端面22の外周面に鍔24を備えている。
この場合、鞘管部21を締着バンド41で支柱jに締着すると、この締着バンド41の下端面が鍔24と対面し、締着バンド41が鞘管部21から抜け落ちるのを防げる。
【0045】
(請求項11)取付部2には支柱jのキャップmの開口縁部m1に弾発係合する係止手段25が設けられている。図示の例ではこの取付部2が平行の切り込み間に形成された内方突部となっているが、この他に、爪手段や、板ばね手段等も採用できることは明らかである。
この場合、取付部2を支柱jに締着する際、取付部2を支柱jのキャップmを通って嵌め込むだけで係止手段25が取付部2を仮に係止し、最終的な締着をこの仮止めの後にするので、締着作業を一人でも行うことができる。
【0046】
(請求項12)本発明にかかる眩光防止板を用いた施設は、請求項1から11の一つの項に記載の眩光防止板を用いたものである。支柱jの頂部はこの支柱jより大径のキャップmで被覆され、鞘管部21が支柱jに、スリット23をブラケットgに向けて、キャップm側からブラケットgを越えて嵌入する。弾性帯32が支柱jと鞘管部21の間の間隙nに巻挿される。ここでいう「卷挿」は、弾性帯32を支柱jに巻きつけて間隙nに挿しこむことを意味する。締着バンド41はこの鞘管部21と支柱jを締着している。この締着バンド41は通常のパイプバンドと同様のもので、金属製や樹脂製等である。
【0047】
スリット23はブラケットgと当接して鞘管部21の回転が阻止され、支柱jと鞘管部21の間の間隙nは弾性帯32により塞がれて両者のガタつきが防止される。締着バンド41の締着により弾性帯32と鞘管部21が一体となり、鞘管部21が支柱jから抜け出ることはない。その上、鞘管部21が支柱jから抜け出ようとしても、締着バンド41の下端面が鍔24を抑止するので抜け落ちを防げる。
【0048】
(請求項13)眩光防止板の取付部2は支柱jのキャップmの開口縁部m1に弾発係合する係止手段25が設けられている。なお、段落0037で述べたとおり、この係止手段25として、爪手段や、板ばね手段等も採用できることは明らかである。
この場合、取付部2を支柱jに締着する際、取付部2を支柱jのキャップmを通って嵌め込むだけで係止手段25が取付部2を仮に係止し、最終的な締着をこの仮止めの後にするので、締着作業を一人でも行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 遮光部
2 取付部
3 連続部
a 軸線
b 直交線
c 軸線
d 入射光軸
e 外寸
f ガードレール
g ブラケット
h 寸法
j 支柱
m キャップ
n 間隙
11 面板
12 段面
13 一面側突出面
14 他面側突出面
15 風穴
21 鞘管部
22 開放端面
23 スリット
24 鍔
25 係止手段
31 補強部
32 扇形状部
33 リブ
41 弾性帯
42 締着バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一軸線(a)上に遮光部(1)と取付部(2)が連続部(3)を介して一体成形されており、
該遮光部(1)は遮光用の面板(11)を備え、
該取付部(2)は鞘管部(21)を備え、
該鞘管部(21)は、該遮光部(1)と反対側に開放端面(22)を有し、かつ該開放端面(22)から該連続部(3)に向く回転防止用のスリット(23)を、該面板(11)との直交線(b)と平行の直径上に相対向して、備え、
該連続部(3)は補強部(31)を備え
ていることを特徴とする眩光防止板。

【請求項2】
該連続部(3)は該軸線(a)上に該遮光部(1)側から該開放端面(22)に向かって突き出たストッパー(32)を備えている請求項1に記載の眩光防止板。

【請求項3】
該補強部(31)は、該取付部(2)と該遮光部(1)に跨りかつ肉厚が該取付部(2)から該遮光部(1)にかけて漸減する、扇形状部(33)となっている請求項1又は2に記載の眩光防止板。

【請求項4】
該補強部(31)は該取付部(2)と該遮光部(1)に跨る放射状のリブ(34)となっている請求項1又は2に記載の眩光防止板。

【請求項5】
該補強部(31)はそれぞれ該取付部(2)と該遮光部(1)に跨る、肉厚が該取付部(2)から該遮光部(1)にかけて漸減する扇形状部(33)と、該扇形状部(33)の表面に設けられた放射状のリブ(34)となっている請求項1又は2に記載の眩光防止板。

【請求項6】
該面板(11)は、該軸線(a)と直交する面上で交互のかつ該軸線(a)と平行方向に延びている段面(12)による、一面側突出面(13)と他面側突出面(14)を備えており、該一面側突出面(13)と該他面側突出面(14)には複数の風穴(15)が該段面(12)に関連して設けられている請求項1から5の一つの項に記載の眩光防止板。

【請求項7】
該風穴(15)の軸線(c)上に該軸線(c)と角度をなして該段面(12)が位置しており、これによって入射光軸(d)の直進が阻止されるようになっている請求項6に記載の眩光防止板。

【請求項8】
該風穴(15)は該段面(12)の続く方向と平行する長穴となっている請求項6又は7に記載の眩光防止板。

【請求項9】
該スリット(23)は、該鞘管部(21)の該スリット(23)部分における外寸(e)を平行するガードレール(f)間に渡された平行のブラケット(g)間の寸法(h)より小さくして、該鞘管部(21)を該ブラケット(g)の支柱(j)へ該ブラケット(g)を越えて嵌入させるためのものである請求項1から8の一つの項に記載の眩光防止板。

【請求項10】
該鞘管部(21)は該開放端面(22)の外周面に鍔(24)を備えている請求項1から9の一つの項に記載の眩光防止板。

【請求項11】
該取付部(2)には該支柱(j)のキャップ(m)の開口縁部(m1)に弾発係合する係止手段(25)が設けられている請求項1から10の一つの項に記載の眩光防止板。

【請求項12】
請求項1から11の一つの項に記載の眩光防止板を用いた施設で、支柱(j)の頂部は該支柱(j)より大径のキャップ(m)で被覆され、該鞘管部(21)が該支柱(j)に、該スリット(23)を該ブラケット(g)に向けて、該キャップ(m)側から該ブラケット(g)を越えて嵌入し、弾性帯(41)が該支柱(j)と該鞘管部(21)の間の間隙(n)に巻挿され、締着バンド(42)が該鞘管部(21)と該支柱(j)を締着している眩光防止板を用いた施設。

【請求項13】
該眩光防止板の取付部(2)は該支柱(j)の該キャップ(m)の開口縁部(m1)に弾発係合する係止手段(25)が設けられている請求項12に記載の眩光防止板を用いた施設。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−32683(P2011−32683A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178221(P2009−178221)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(591077678)インフラテック株式会社 (17)